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「研究開発型スタートアップの起業・経営人材確保等支援事業」基本計画
スタートアップ支援部
1.制度の目的・目標・内容
(1) 制度の目的
1 政策的な重要性
2022 年 6 月 3 日に閣議決定された「統合イノベーション戦略 2022」においては、引
き続きイノベーション・エコシステム形成に向けた取り組みの重要性が訴えられ、
特に
ディープテックやデジタル分野のスタートアップが次々と生まれ成長するエコシステ
ムを抜本強化した上で、
政策ツールを総動員して民間資金を誘発し、
官民の研究開発投
資を拡大することが示された。
また、2022 年 6 月 7 日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針 2022」で
は、
スタートアップへの投資の重要性が訴えられ、
起業を支える人材の育成や確保を行
うため、
成長分野において前人未踏の優れたアイデア・技術を持つ人材に対する支援策
を抜本的に拡充することが示された。
さらに、同じく 2022 年 6 月 7 日に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザ
イン及び実行計画〜人・技術・スタートアップへの投資の実現〜」や、2022 年 11 月 28
日に開催された新しい資本主義実現会議において決定された「スタートアップ育成5
カ年計画」では、IT 分野において、優れたアイデア、技術を持つ若い人材を選抜して
支援すること成功した先行事例として、情報処理推進機構(IPA)の「未踏事業」が取
り上げられ、
本事業を参考に、
ビジネスアドバイスを与える仕組み作りをした上で、IT分野以外に大規模に拡大し、横展開を図る必要性が示された。
2 我が国の状況
我が国の開業率は諸外国と比較して低い水準にあり、
新規起業・スタートアップを起
点に、
経済を活性化させていくことができていない。
産業の新陳代謝を活性化させるた
めには、
スタートアップの量産が必要不可欠であり、
起業を促すための施策が必要であ
る。
起業が少ない原因として、起業家マインドを育てる環境が未だ十分でないことが考
えられ、起業を促すための人材育成・アントレプレナー支援プログラムを拡充し、地方
も視野に入れて裾野を拡大していくことが必要である。
特に、
ディープテック分野では、
大学等において、優れた技術シーズを掘り起こす新たな施策が必要である。
加えて、我が国の大学は、米国と比較すると、取得特許数に比してスタートアップ設
立数が少ない傾向にあり、
良い技術シーズがあっても事業化する意識が低いことや、代わりに事業化・事業運営する人材が少ないことがその要因の一つとなっている。
以上のことから、
研究開発型スタートアップ企業の活性化に向けては、
日本のスター
トアップエコシステムの底上げとともに、大学等にあるシーズの掘り起こしの確度を
高め、新規産業・雇用の創出に繋げることが重要である。
3 世界の取組状況
起業・創業は、産業の新陳代謝を活性化させ、経営資源の有効活用を図り、雇用を創
出する上で不可欠である。しかし、世界では過去 25 年間で時価総額ランキングに並ぶ 2企業の顔ぶれが大きく変わった一方で、日本は十数年前とあまり変わらない顔ぶれと
なっており、産業の新陳代謝が進んでいないことは明らかである。
また、我が国においてもユニコーン(企業価値 10 億ドル超の非上場企業)を創出し
ている(6 社(注記))が、その数は、米国(487 社(注記))のみならず中国(171 社(注記))やインド
(53 社(注記))にも及ばず、世界との差が大きく開いている。
((注記)いずれも、2022 年 8 月時点)4 本事業のねらい
本事業では、NEDO のミッションである「エネルギー・地球環境問題の解決」と「産業
競争力の強化」の一環として、ディープテック分野での人材を発掘し、起業家を育成す
ると共に、
大学発スタートアップ等における経営人材の確保を支援することにより、研究開発型スタートアップの創出、育成を図り、経済活性化、新規産業・雇用の創出につ
なげることを目的とし、以下の事業を実施する。
実施項目1 ディープテック分野での人材発掘・起業家育成事業(NEP)
(注記)NEP:NEDO Entrepreneurs Program
実施項目2 大学発スタートアップにおける経営人材確保支援事業(MPM)
(注記)MPM:Management Personnel Matching program
(2) 制度の目標
1 アウトプット目標
〈中間目標〉
実施項目 1 ディープテック分野での人材発掘・起業家育成事業においては、中間評
価時で年間 60 者程度の支援を目指す。
実施項目 2 大学発スタートアップにおける経営人材確保支援事業については、
本ス
キームを活用して経営人材が関与することとなる大学発スタートアップ数を、中間評
価時で 7 社以上とする。
〈最終目標〉
実施項目 1 ディープテック分野での人材発掘・起業家育成事業においては、年間で
100 者程度の支援を目指す。
実施項目 2 大学発スタートアップにおける経営人材確保支援事業については、
本ス
キームを活用して経営人材が関与することとなる大学発スタートアップ数を、
5 年間の
累計で 14 社以上とする。
2 アウトカム目標
実施項目 1 ディープテック分野での人材発掘・起業家育成事業における、1技術の
ビジネス化に向けた逸材の発掘・育成コースでは、
その育成支援内容に対して支援対象
者から高評価(アンケート調査等により回答者の 85%以上から満足と回答)を得るこ
とを目指す。2起業を前提とした起業家育成コースでは、採択者の 5 割以上が、事業終
了後 1 年以内に起業や事業化資金を確保することを目指す。
実施項目 2 大学発スタートアップにおける経営人材確保支援事業については、
大学
発スタートアップ数を 2027 年度に 4,000 社以上とする。
3 アウトカム目標達成に向けての取組
実施項目 1 ディープテック分野での人材発掘・起業家育成事業では、PoC(Proof of 3Concept)及び起業に係るソフト支援を実施するとともに、起業を要件とせず、特に若
手人材の発掘・育成に重点を置いたプログラムも実施する。
実施項目 2 大学発スタートアップにおける経営人材確保支援事業では、VC 等が経
営人材を発掘・育成し、大学・高専・国研等と連携して技術シーズや研究者とのマッチ
ングを行うための取組を実施する。
(3) 制度の内容
1 制度の概要
特定の技術シーズを有し、
当該技術シーズの活用アイデアを有する
「起業家候補人材」
を事業化支援人材の下で育成するとともに、研究開発型スタートアップに対して事業
化のための研究開発に係る支援を行うことにより、我が国の企業、大学、研究機関等の
優れた技術を基にした研究開発型スタートアップの創出・育成を促進する。また、起業
家候補人材の活動状況等を適宜把握することで、起業家に係る人材の育成等に資する
知見の蓄積も図ることとする。
自らが起業またはスタートアップの経営者として参画することを志向する人材を発
掘し、大学等の技術シーズ・大学発スタートアップ等とのマッチング等を実施する。加
えて、経営人材と大学発スタートアップ等とのマッチングに資するシステム構築など
を行う。
その他、
上記の目的に照らし、
オープンイノベーションの促進及びの研究開発型スタ
ートアップ等に対するハンズオン支援、調査等を行う。
実施項目 1 ディープテック分野での人材発掘・起業家育成事業(NEP)
1技術シーズのビジネス化に向けた逸材の発掘・育成コース、
2起業を前提とした起
業家育成コースの 2 コースを展開することで、ディープテック分野で優れた技術シー
ズを事業化して推進できる才能ある人材、研究開発型スタートアップの起業家候補を
育成し、支援する。加えて、技術シーズや人材を豊富に抱える事業会社から研究開発型
スタートアップを創出させるため、事業会社発の研究開発型スタートアップに関する
情報収集・分析等やその手法やモデルの構築等に向けた調査等を実施する。
実施項目 2 大学発スタートアップにおける経営人材確保支援事業(MPM)
自らが起業またはスタートアップの経営者として参画することを志向する人材を発
掘し、大学等の技術シーズ・大学発スタートアップ等とのマッチング等を実施する。
2 対象者
実施項目 1 ディープテック分野での人材発掘・起業家育成事業(NEP)
コース1については、特定の技術シーズを有する、大学・企業・研究機関等に所属す
る個人及びチーム、
自らが特定の技術シーズを有する起業前の個人及びチームまたは他
者の技術シーズを活用できる個人及びチーム。
コース2については、特定の技術シーズを活用し、その事業化に向けた活動を行う
個人及びチーム又は法人。
調査等の実施については、
事業会社発の研究開発型スタート
アップに関する情報収集・分析等を実施することや事業会社におけるカーブアウト等に
対する支援実績を有し、
スタートアップ創出のための手法や、
モデルの構築等を行う VC、
アクセラレータ等。
実施項目 2 大学発スタートアップにおける経営人材確保支援事業(MPM) 4自らが起業またはスタートアップの経営者として参画することを志向する人材を発
掘し、大学等の技術シーズ・大学発スタートアップ等とのマッチング等を実施する VC
等。
3 実施期間
実施項目 1 ディープテック分野での人材発掘・起業家育成事業(NEP)
原則、1 年以内(必要に応じて延長する場合がある。)。
実施項目 2 大学発スタートアップにおける経営人材確保支援事業(MPM)
原則、3 年以内。(必要に応じて延長する場合がある。)。
4 事業規模等
実施項目 1 ディープテック分野での人材発掘・起業家育成事業(NEP)
コース1については、その対象者を「起業家候補人材」として運営管理法人が委嘱
し、ディープテック分野における起業家候補としての活動(研究開発や市場調査等)
に要する費用に充当する活動費として運営管理法人が毎月定額の謝金を支払う(年間
3 百万円以内。)。
コース2については、30 百万円以内/年の研究開発に係る助成を行い、助成率につい
ては、対象者により定額もしくは 3/4 とする。また、事業
会社からのスタートアップ創出のための手法や、モデルの構築等に向けた調査等を委
託により行う。
実施項目 2 大学発スタートアップにおける経営人材確保支援事業(MPM)
マッチング支援に係るプログラムの運営、システム構築等を委託により行う。
5 その他
以上の各業務のほか、経営支援人材の育成に係る研修等を実施するとともに、事業化
に資する外部専門家等を活用することで、研究開発型スタートアップ等に対するハンズ
オン支援や連携大学への支援人材の派遣なども行う。
その他、本事業を含む研究開発型スタートアップ支援関連事業に対する制度改善及び
研究開発型スタートアップに対する支援に資する各種調査についても実施する。 52.制度の実施方式
プロジェクトマネージャー(以下「PMgr」という。
)にNEDO スタートアップ支援
部 加藤茉里を指名する。PMgrは、事業の成果・効果を最大化させるため、実務責任者
として担当事業全体の進行を計画・管理し、事業遂行にかかる業務を統括する。
(1)制度の実施体制
実施項目 1 ディープテック分野での人材発掘・起業家育成事業(NEP)
本事業におけるコース1の実施体制は以下の通り。(注記)
1 NEDOは、運営管理法人を公募し、申請書類の審査及び面接等により決定する。
2 NEDOは、運営管理法人に事業の運営管理等に係る委託契約等を行う。
3 NEDOは、起業家候補人材を公募し、申請書類の審査及び面接等を実施し、支援対象
者を決定・採択する。
4 運営管理法人は起業家候補人材として採択者を委嘱する。
5 起業家候補人材は、当該活動内容を報告書等に記載し、提出する。
6 運営管理法人は、当該活動費として毎月定額の謝金を支払う。
運営管理法人NEDO2委託等
1応募・審査
起業家候補人材
3応募、審査、
採択等
4委嘱
5報告書等
6謝金 6本事業におけるコース2の実施体制は以下のとおり。
(1)研究開発に係る助成を行う場合
1NEDOは、運営管理法人を公募し、申請書類の審査及びプレゼン審査等によりその
採択先を決定する。
2NEDOは、採択した運営管理法人と事業の運営管理等に係る委託契約を締結する。
3NEDOは、実施法人等を公募し、申請書類の審査等を実施し、その採択先を決定する。
4NEDOは、採択した実施法人から助成金の交付申請を受け、交付決定を行う。
5運営管理法人は、4の実施法人等に対して、事業実施におけるサポート行う。
(2)スタートアップ創出のための手法や、モデル構築等に向けた調査等を行う場合
aNEDOは、実施法人を公募し、申請書類の審査及びプレゼン審査等によりその採択先を
決定する。
bNEDOは、採択した実施法人と事業の実施に係る委託契約を締結する。
運営管理法人NEDO(1)2委託等
(1)1応募・
審査
実施法人等cv
(1)3応募、審査、
採択等
(1)5実施におけるサポート等
(1)4交付
決定
(2)b委託等
(2)a 応募・
審査 7実施項目 2 大学発スタートアップにおける経営人材確保支援事業(MPM)
本事業における実施体制は以下のとおり。
1 NEDOは、人材確保支援機関を公募し、申請書類の審査等によりその採択先を決定す
る。
2 NEDOは、採択した人材確保支援機関と事業の実施に係る委託契約等を締結する。
3 人材確保支援機関は、経営人材候補についてその人材発掘や育成講座、研修等を実施
する。
4 人材確保支援機関は、システム構築、イベント等を実施することで、研究開発型スタ
ートアップと経営人材候補のマッチングを促進する。
研究開発型
スタートアップ
人材確保支援機関NEDO2委託等
1応募・審査
経営人材候補
3、4人材発掘等
4マッチング 8(2)制度の運営管理
制度の管理・執行に責任を有する NEDO は、経済産業省と密接な関係を維持しつつ、本
制度の目的及び目標に照らして適切な運営管理を実施する。
具体的には以下の事項につい
て運営管理を実施する。
1 公募・採択
1)ホームページ等のメディアの最大限の活用等により公募を実施する。公募に際して
は、NEDOのホームページ上に、原則、公募開始の1ヶ月前(緊急的に必要なもので
あって事前の周知が不可能な場合を除く。)には公募に係る事前の周知を行う。ま
た、地方の提案者の利便性にも配慮し、地方での公募説明会を積極的に開催する。
2)NEDO外部からの幅広い分野の優れた専門家・有識者・起業家の意見も参考に、客観
的な審査基準に基づく公正な選定を行う。
3)選定結果の公開と不採択案件応募者に対する明確な理由の通知を行う。
4) 必要に応じて業務の外注を活用することで、事務の合理化・迅速化を図る。
2 各テーマの評価
NEDOは、政策的観点並び各テーマの事業進捗状況及びその変更等に応じ、事業計画
の意義、目標達成度、事業化の実現可能性、将来の産業への波及効果等について、必
要に応じて外部有識者による厳正な評価を適時適切に実施し、事業実施に反映するも
のとする。
なお、評価の実施時期については、当該技術シーズに係る技術動向、政策動向や当
該事業化の進捗状況等に応じて、前倒しする等、適宜見直しを行うものとする。
3.制度の実施期間
2023 年度から 2027 年度までの 5 年間実施する。
4.制度評価に関する事項
NEDO は、技術評価実施規程に基づき、技術的・政策的観点から見た制度の意義、目
標達成度、将来の産業への波及効果、効果的な制度運営等の観点から、制度評価を実施
する。
評価の時期は、中間評価を 2025 年度、終了時評価を 2028 年度とし、本制度に係る技
術動向、政策動向や本制度の進捗状況等に応じて、適宜見直しするものとする。
また、制度評価結果を踏まえ必要に応じて制度の拡充・縮小・中止等見直しを迅速に
行う。
5.その他の重要事項
(1)制度基本計画の変更
NEDO は、制度の妥当性を確保するため、社会・経済的状況、内外の研究開発動向、政
策動向、施策の変更、評価結果、事業費の確保状況、当該事業の進捗状況等を総合的に
勘案し、制度内容、実施方式等、制度基本計画の見直しを弾力的に行うものとする。
(2)根拠法
本事業は、
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法
(平成 14 年法律
第 145 号)第 15 条第 3 号、8 号及び 9 号に基づき実施する。 96.基本計画の改訂履歴
(1)2023 年 3 月 制定
(2)2023 年 12 月 実施項目1コース2を追記・修正のため、変更。
(3) 2024 年 7 月 組織改編に伴う部署名の変更

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