1摘要
洋上風力発電は、アイルランドの脱炭素エネルギーシステム移行において重要な技術であり、化石燃料によるエネルギ
ー生成への依存を低減する。アイルランド政府は、気候行動計画において、2030 年までに「少なくとも」3.5 ギガワットの着
床式洋上風力発電の建設を約束している。洋上風力発電が現地コミュニティに受け入れられるかどうかは、エネルギー転
換における大きな課題である。現地コミュニティからの抵抗は、開発業者や政府による不適切な関与が原因である。洋上風
力発電の開発に対する沿岸地域の人々の態度を理解することは、エネルギー転換を迅速かつ成功させるための基礎とな
る。コミュニティ・ベネフィット・ファンド(CBF)の提供は、アイルランド政府の再生可能電力支援制度(renewable electricity
support scheme: RESS)の一部であり、コミュニティの受容性を高める手法である。洋上風力発電開発からの CBF の提供
に対する沿岸コミュニティの認識を理解し、受容性を高めるだけでなく、コミュニティの回復力を高めるために、基金の最適
化方法の理解が重要である。現地コミュニティへの基金の提供の全体像を把握し、最適な利用方法を探るために、提供す
る産業界、政策を立案する政府、そして受益者の現地コミュニティの視点を理解するために、3 段階の混合した手法で調査
を行う。調査方法として、半構造化インタビュー、Q 方法論、フォーカスグループの対話などが用いられる。本調査の最終目
的は、産業界の戦略と政府の政策が、洋上風力発電の地域援助基金に対する現地コミュニティのニーズと期待に合致して
いるか否かの理解である。
問い合わせ:ncarr04@qub.ac.uk
IEA Wind Task 28 風力発電プロジェクトの社会的受容性
フェース 3(2020 年第 1 四半期) 成果物資料集 9
ウィックロー州の洋上風力発電による地域支援基金に対する
沿岸地域住民の理解
Nuala Carr
本翻訳書は,国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
(NEDO)「風力発電等技術研究開発/風力発電高度実用化研究開発/風車運
用高度化技術研究開発」事業の一環として,IEA Wind 国内委員会の承認
のもと作成されたものです。翻訳監修:名古屋大学 丸山康司 教授

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