3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)173. 環境影響評価手法に係る事例のまとめ
本章では、
洋上風力発電に係る環境影響評価に関し、
実施段階前の手続(配慮書)と事業実施段階の手
続(方法書、準備書、評価書)を行う上で参考となる既往調査資料を事例としてとりまとめた。
我が国では、洋上風力発電の開発は緒についたばかりであり、国内において環境影響評価が実施さ
れた例は極めて限られている。このため、ここではフィジビリティスタディ(FS)や実証試験実施時
における環境概査、環境調査及び影響予測等の事例についても、環境影響評価の参考となる知見とし
てレビューを行った。
本章において扱った既往文献・資料について、事業実施段階前の手続(配慮書)と事業実施段階の
手続(方法書、準備書、評価書)に分類し表 3-1 に示す。
表 3-1 事例として取り上げた資料・文書
項目 分類 参考資料 発表時期配慮書FS (環境概査) NEDO 平成 20 年度 洋上風力発電実証研究 F/S 調査(銚子沖) 2009(平成 21)年 3 月
FS (環境概査) NEDO 平成 20 年度 洋上風力発電実証研究 F/S 調査(北九州市沖) 2009(平成 21)年 3 月
FS (環境概査) NEDO 洋上ウィンドファーム フィージビリティ スタディ(秋田市沖) 2012(平成 24)年 3 月
FS (環境概査) NEDO 洋上ウィンドファーム フィージビリティ スタディ(洋野町沖) 2012(平成 24)年 3 月
FS (環境概査) NEDO 洋上ウィンドファーム フィージビリティ スタディ(鹿島灘) 2012(平成 24)年 3 月
FS (環境概査) NEDO 洋上ウィンドファーム フィージビリティ スタディ(旭市沖) 2012(平成 24)年 3 月
法アセス (仮称)むつ小川原港洋上風力発電事業 計画段階環境配慮書 2013(平成 25)年 11 月
法アセス (仮称)秋田港洋上風力発電事業 計画段階環境配慮書 2015(平成 27)年 8 月
法アセス (仮称)能代港洋上風力発電事業 計画段階環境配慮書 2015(平成 27)年 8 月方法書法アセス (仮称)秋田港洋上風力発電事業 環境影響評価方法書 2016(平成 28)年 3 月
法アセス (仮称)能代港洋上風力発電事業 環境影響評価方法書 2016(平成 28)年 3 月準備書・評価書実証研究(環境調査) NEDO 洋上風力発電実証研究(銚子沖) 2009(平成 21)年度〜
実証研究(環境調査等) NEDO 洋上風力発電実証研究(北九州市沖) 2009(平成 21)年度〜
自主アセス 鹿島港洋上風力発電事業 環境影響評価報告書(評価書) 2015(平成 27)年 2 月
法アセス むつ小川原港洋上風力発電事業 環境影響評価準備書 2015(平成 27)年 6 月
法アセス (仮称)石狩湾新港洋上風力発電事業 環境影響評価準備書 2016(平成 28)年 9 月
法アセス (仮称)安岡沖洋上風力発電事業 環境影響評価準備書 2016(平成 28)年 11 月
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)183.1 配慮書の参考となる事例
(1)NEDO 洋上風力発電フィージビリティ スタディ(銚子沖・北九州市沖)
1)調査概要
ここでは、銚子沖及び北九州市沖における洋上風力発電実証研究のためのフィージビリテ
ィ・スタディ(FS)を対象として、主に配慮書における調査及び取りまとめ方の手法に参考と
なる事例について整理する。
当該 FS は、洋上風力発電の安全性や環境性、経済性などの課題を検証・検討するための洋
上風力発電の「実証研究」に先立ち、実施可能な地点(実証研究予定地点)の選定とともに、
実証研究計画を検討したものである。詳細な環境影響評価では無いが、実証研究候補海域の選
定過程や実証研究実施時における環境影響の概略検討等を行っており、洋上風力発電の配慮書
作成における参考事例として十分に有用なものであると考えられる。
表 3.1.1-1 に対象海域の概要を示す。
両候補海域共に洋上風力発電に適していることに加え、
近傍域に自然公園や共同漁業権が設定された水域であり、環境に対しても配慮が必要な海域で
ある。
表 3.1.1-1 銚子沖及び北九州市沖の候補海域の概要
項目 銚子沖 北九州市沖
実施者 東京電力株式会社・国立大学東京大学・鹿島建
設株式会社
電源開発株式会社
発表時期 2009(平成 21)年 3 月 2009(平成 21)年 3 月
候補海域 千葉県銚子市、旭市、匝瑳市の沿岸 福岡県北九州市の沿岸
候補海域
の概要
にじゅうまる年平均風速は概ね 7m/s 以上
(ハブ高 80m)
で、
水深は沖合 10 kmまで 20m 以浅の遠浅の海域。
にじゅうまる銚子市の屏風ヶ浦前面の海底は砂岩及び泥岩
が露出しており、海底勾配が小さい
にじゅうまる500 トン以上の船舶の航路と直接干渉しない海
域。
にじゅうまる銚子市に水郷筑波国定公園があり、許可申請が
必要。
にじゅうまる共同漁業権が設定されており、漁業者の了解が
必要。
にじゅうまる年平均風速は 6.4-7.0m/s 程度(ハブ高 80m)
で、
水深は沖合 2-6km までの範囲において 10-
20m の海域。
にじゅうまる海域の土質は、岩、砂、砂礫が露出しており、
海底勾配が小さく比較的平坦地形。
にじゅうまる自然公園として若松北海岸に第 2 種特別地域の
玄海国定公園がある。
にじゅうまる響灘周辺海域の東部は関門港響新港区に指定さ
れているとともに、共同漁業権(筑共第 16 号)
が設定されている。
実証機の
規模・基
礎工法
にじゅうまる2.4MW 風車
(三菱重工業製:MWT92/2.4)
にじゅうまる重力式 PC ケーソン
にじゅうまる2.0MW 風車
(日本製鋼所製:J82-2.0)
にじゅうまるハイブリッド重力式
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)192)自然条件
洋上風力発電実証研究候補海域の自然条件に係る概況として、それぞれ表 3.1.1-2 に掲げる
項目を取りまとめている。
銚子沖及び北九州市沖の自然条件の整理項目はそれぞれ 17 項目及び 18 項目で、
銚子沖では
騒音・振動(大気)
、動植物プランクトン、魚卵・稚仔魚が対象外となっている。北九州市沖で
は水中騒音、海棲爬虫類が対象外となっているが、水中騒音については後述の予測・評価の対
象として検討している。
なお、これらの項目は主に文献、既往調査資料等を収集・整理して取りまとめており、その
他関係機関等へのヒアリングも実施されている。
表 3.1.1-2 銚子沖・北九州市沖において対象とした自然項目
項目/候補海域 銚子沖 北九州市沖
気象 しろまる しろまる
海象 しろまる しろまる
海底地形・地質 しろまる しろまる
水質 しろまる しろまる
底質 しろまる しろまる
流況(海流・潮流) しろまる しろまる
騒音・振動(大気) - しろまる
水中騒音 しろまる -
電波障害 しろまる しろまる
景観 しろまる しろまる
動植物プランクトン - しろまる
底生生物 しろまる しろまる
魚類等遊泳動物 しろまる しろまる
魚卵・稚仔魚 - しろまる
鳥類 しろまる しろまる
海棲哺乳類 しろまる しろまる
海草藻類・藻場 しろまる しろまる
潮間帯生物 しろまる しろまる
海棲爬虫類 しろまる -
漁業生物 しろまる しろまる
合計(しろまる印) 17 項目 18 項目
しろまる:自然条件整理の対象項目、-:対象外項目
以下には銚子沖及び北九州市沖における自然条件の概況を把握するために使用した文献、既
往調査資料等とともに、その結果を取りまとめた。
【気 象】
気象条件については、
地方気象台の観測データの他、
NOWPHAS
(Nationwide Ocean Wave
information network for Ports and HArbourS:全国港湾海洋波浪情報網)のデータが使用され
ている。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)20表 3.1.1-3 気象に係る整理方法・参考文献
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 年平均風速 7.48m/s
最大風速 49.0 m/s
銚子地方気象台における長期観測データを
基に、
気象シミュレーションと台風シミュレ
ーションにより候補海域の風況を整理。
銚子地方気象台観測デ
ータ
北九州市沖 年平均風速 6.85m/s
最大風速 51.6 m/s
NOWPHAS 藍島・玄海灘における長期観測
データ等を基に、
極値統計解析により候補海
域の風況を整理。
NOWPHAS 藍島・玄海
灘沿岸風観測データ
【海 象】
海象については、
目視観測データ、
県海象データ及び NOWPHAS データ等を使用した有義
波高等のシミュレーションの他、
確率波高計算処理システム等による波浪推算・極値統計解析
が実施されている。
これらシミュレーションや統計解析については、
主に設計条件検討のため
に実施されている。
表 3.1.1-4 海象に係る整理方法・参考文献
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 年平均有義波高 1.4m
年 平 均 有 義 波 周 期7.5s既存の各種観測データを基に波浪シミュレー
ションを実施し、候補海域における海象概況
を整理。
犬吠埼目視観測デー
タ・千葉県海象デー
タ・鹿島 NOWPHAS
データ
北九州市沖 年平均有義波高 0.7m
年 平 均 有 義 波 周 期4.8s確率波高計算処理システム(国土交通省九州
地方整備局下関港湾空港技術調査事務所)等
により波浪推算・極値統計解析を実施。-【海底地形・地質】
海底地形、地質データとして、海上保安庁の 5 万分の 1 沿岸の海の基本図 海底地形地質
調査報告書、
日本水路協会の海底地形デジタルデータ等が既存文献として使用されており、海域の海底地形・水深・土質が整理されている。また、これら既往文献は、設備設計を目的とし
た詳細な海底面状況調査(サイドスキャンソナー)
、海底地形調査(ナローマルチビームソナー)・海底土質調査(音波探査)等の実地調査のための基礎資料としても利用されている。
表 3.1.1-5 海底地形・地質に係る整理方法・参考文献
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 水深:沖合 10km まで
20m 以浅の遠浅
海底地形:銚子市の屏
風ヶ浦前面海域の海
底は、砂岩・泥岩が露
出しており、海底勾配
が小さく比較的平坦
地形となっている。
既往文献を基にして、詳細な海底面状況調査
(サイドスキャンソナー)、海底地形調査(ナローマルチビームソナー)、海底土質調査(音波探査)を実施。
5 万分の 1 沿岸の海の
基本図 海底地形地
質調査報告書(犬吠
埼 ) ( 海 上 保 安
庁,1984)
北九州市沖 水深:沖合 2-6km ま
での範囲において 10-
20m の海域。
海域地形:岩、砂、砂
礫が露出しており、海
底勾配が小さく比較
的平坦地。
既往文献を基にして、候補海域の海底地形・
水深・土質の現況を整理。
・海底地形デジタルデ
ー タ ( 日 本 水 路 協
会,2008)
・5 万分の 1 沿岸の海
の基本図、海底地形地
質調査報告書(白島)
(海上保安庁,1983)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)21【水 質】
水質については、両地点共に県環境白書等既存文献及び公共水域水質測定点における観測
データによる整理がなさている。
水温(上層、下層)
、塩分濃度、pH、DO、COD、透明度等について整理されている他、北
九州市沖については、大腸菌群数、n-ヘキサン抽出物質、窒素、リンや健康項目についても整
理が行われている。
表 3.1.1-6 水質に係る整理方法・参考文献
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 外洋に面した海域であ
り、COD・DO 等の水質
は良好。
千葉県公共用水域水質測定点の観測データを
基に候補海域の現況を整理。
千葉県公共用水
域・地下水の測
定 結 果 報 告 書
(2003-2007)
北九州市沖 COD・DO 等水質環境基
準は概ね達成しており、
水質は良好。
北九州市における水質観測データを基に候補
海域の現況を整理。
平成 20 年度北
九 州 市 の 環 境
(北九州市,平
成 20 年 9 月)
【底 質】
底質について、銚子沖では工事時等における濁水の発生及び施工上の理由から海上保安庁
水路部による既存調査結果に基づき粒度組成を中心とした整理が行われている。これに対し、
北九州市沖では、
北九州市港湾局により
「港湾計画環境アセスメント現況調査業務委託報告書」
が作成されていたことから、これを引用することで、底質の化学的性質を整理している。
一般項目として、含水率、pH(H2O)
、pH(KCL)
、強熱減量、COD、硫化物が引用されて
いる他、健康項目(いずれも基準値以下または不検出)についても引用されている。
表 3.1.1-7 底質に係る整理方法・参考文献
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 岩と砂質堆積物であり、
粒度は細砂から粗砂で占
められている。
既存文献を基に海底地質の粒度組成等を収
集・整理。
海 上 保 安 庁 水
路部(1984)
北九州市沖 強熱減量、COD、総水銀、
ヒ素等一部の項目を除き
概ね環境基準を達成。
北九州市港湾局における底質観測データを収
集し、候補海域の現況を整理。
港 湾 計 画 環 境
ア セ ス メ ン ト
現 況 調 査 業 務
委託報告書(北
九州市港湾局,
平成 8 年 11 月)
【流況(海流・潮流)】海流・潮流について、銚子沖では「続・日本全国沿岸海洋誌」
、北九州沖では「対馬暖流 海
洋構造と漁業」等の既往文献に基づき沿岸域の一般的な流況について整理を行っている。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)22表 3.1.1-8 流況に係る整理方法・参考文献
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 沖合には黒潮本流が北東方向
へ流れており、沿岸潮流は沿
岸線に沿う流向(東〜北東)
が卓越する。
既存文献を基に沿岸域の流況を整理。 続・日本全国沿岸海洋
誌(1990)
北九州市沖 外洋には対馬海流があり、東
シナ海から日本海へ流入する
流向がある。
既存文献を基に沿岸域の流況を整理。 対馬暖流 海洋構造と
漁 業 ( 恒 星 社 厚 生
閣,1974)
【騒音・振動】
陸上の騒音・振動について、銚子沖では対象項目として選定されていない。
北九州市沖では、
周辺騒音は FS 実施会社による過去の調査結果を引用することで現況把握
を行っている。
表 3.1.1-9 騒音・振動に係る整理方法・参考文献
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 - - -
北九州市沖 調査測点での騒音レベルは
全時間帯 39dB〜51dB、振動
レベルは全て測定下限値(30
dB)未満。
既存の騒音・振動の調査データを整
理。
電源開発(株)若松総合
事務所による騒音・振
動の調査結果
(平成 19
年 6 月)
【水中騒音】
水中騒音について、銚子沖では水中騒音による魚類への影響に係る研究論文と風車水中騒
音事例等より影響を整理している。北九州市沖では対象項目として選定されていない。
表 3.1.1-10 水中騒音に係る整理方法・参考文献
候補海域
地域特性の
概要
地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 既存文献を基に海中土木工
事・風車稼働に伴う水中騒
音の現況(影響)を整理。
・水中騒音の魚類に及ぼす影響(畠山他,1997)
・風車稼働に伴う水中騒音の事例報告(NEDO
他,2007)
北九州市沖 - - -
【電波障害】
銚子沖では「NEDO 風力発電導入ガイドブック」等に基づく一般的知見及び有識者ヒアリ
ング等に基づき重要無線、漁業無線、TV 電波等の経路・伝搬状況を整理している。
北九州市沖においては、FS 実施者の過去の無線及びテレビ電波の伝搬状況調査結果に基づ
き、テレビ受信・重要無線伝搬状況を整理している。尚、候補地点の FS 調査は 2008(平成
20)年度に実施のものであるが、テレビについては 2012 年よりデジタル化されているため、
既存データの使用については注意が必要である。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)23表 3.1.1-11 電波障害に係る整理方法・参考文献
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 重要無線施設のルート外で
あるが、TV 電波・漁業無線へ
の影響確認が必要。
既存文献・有識者ヒアリングを基に重
要無線、漁業無線、TV 電波等の現況を
整理
NEDO 風力発電導入
ガイドブック(2008)
北九州市沖 テレビ電波・重要無線への影
響は小さい。
既存文献を基にテレビ受信・重要無線
伝搬状況を整理。
電源開発(株) テレビ
受信・重要無線伝搬状
況調査(平成 15 年 4月)【景 観】
景観については、現地における主要眺望点として重要公共施設、観光施設、釣桟橋、公園等
が主要眺望点として整理されている。
銚子沖においては、
眺望点の選定方法として
「NEDO 風
力発電導入ガイドブック」、「NEDO 風力発電のための環境影響評価マニュアル」等を参考と
している。
表 3.1.1-12 景観に係る整理方法・参考文献
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 可視可能な範囲の重要公共
施設・観光施設として、地球
の丸く見える丘展望台、外川
漁港、飯岡刑部岬展望館を主
要眺望点に選定。
既存文献を基に可視不可視・眺望範囲
等の検討を行い、主要眺望選定を実
施。
・NEDO 風力発電導
入 ガ イ ド ブ ッ ク
(2008)
・NEDO 風力発電の
ための環境影響評価
マニュアル等
北九州市沖 現地調査を基に脇田海釣桟
橋、高塔山公園を主要眺望点
に選定。
主要眺望地点の選定を行い、現地写真
撮影を実施。-【動物・植物プランクトン】
動植物プランクトンは銚子沖については、設置される設備規模が小さい(風車 1 基、観測タ
ワー1 基)ことや、プランクトン類が一般に海域の流れに大きく依存して分布・移動し、周辺
海域に広く分布することから、
影響は軽微であるとして対象から除外している。
北九州市沖に
ついては、
港湾計画環境アセスメントが実施されており、
同データに基づく整理がなされてい
る。
表 3.1.1-13 動物・植物プランクトンに係る整理方法・参考文献
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 - - -(既存文献等無し)
北九州市沖 植物プランクトンは珪藻類が
最も多く、春から秋に増加傾
向、
動物プランクトン周年、節足動物門が多い。
既存調査データを基に候補海域の現
況を整理
港湾計画環境アセス
メント現況調査業務
委託報告書(北九州市
港湾局,平成8年11月)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)24【底生生物】
銚子沖では続・日本全国沿岸海洋誌、千葉大文理学部銚子臨海研究所報告、北九州市では港
湾計画環境アセスメント現況調査業務委託報告書が底生生物に係る既存資料として使用され
ている。
生物関連資料については、一般に研究機関報告書、環境アセスメント報告書、地域性の高い
自然誌等が利用されている。
表 3.1.1-14 底生生物に係る整理方法・参考文献
【魚類等遊泳動物】
魚類等の遊泳動物の既存データとして、
銚子沖では千葉大文理学部銚子臨海研究所報告、北九州市沖については、港湾計画環境アセスメント現況調査業務委託報告書が既存資料として
使用されている。
表 3.1.1-15 魚類等遊泳動物に係る整理方法・参考文献
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 スズキ、マダイ、イシモチ、カ
ワハギ、シラウオ、イワシ類、
サバ類、
岩ガキ、
イセエビ等が
生息。
既存調査データを基に候補海域の魚
類の生息状況を整理。
銚子地方の魚類
(千葉大
銚 子 臨 海 研 究 所 報
告,1963 年)
北九州市沖 冬季はコウイカ、マコガレイ、
メイタガレイ、
春季〜秋季はキ
ュウセン、
シロギス、
カワハギ、
ヒラメ、マコガレイ等が多い。
既存文献データを基に候補海域の現
況を整理。
港湾計画環境アセスメ
ント現況調査業務委託
報告書(北九州市港湾
局,平成 8 年 11 月)
【魚卵・稚仔魚】
魚卵、稚仔魚については銚子沖ではプランクトン類と同様、設備規模が小さいことと、一般
に周辺海域に広く分布し、
影響は軽微であるとして調査対象から除外している。
北九州市につ
いては、
「港湾計画環境アセスメント現況調査業務委託報告書」が使用されている。
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 砂浜域においてはイソギンチャク類、
多毛類、二枚貝類(ヒメバカガイ)、
甲殻類等が多い。
既存文献を基に候補海域における底
生生物及び希少種/貴重種の生息状況
を整理。
・続・日本全国沿岸海
洋誌(1990)
・銚子半島の磯漁場に
関する調査(千葉大文
理学部銚子臨海研究
所報告,1965 年)等
北九州市沖 冬季・春季・夏季は環形動物門
(多毛類)と節足動物(サンカクフジツ
ボ等)、
秋季は環形動物門・軟体
動物門(ホトトギスガイ等)の出現種
が多い。
既存文献データを基に候補海域の現
況を整理。
港湾計画環境アセス
メント現況調査業務
委託報告書(北九州市
港湾局,平成8年11月)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)25表 3.1.1-16 魚卵・稚仔魚に係る整理方法・参考文献
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 - - -(既存文献等無し)
北九州市沖 カサゴ、イカナゴ、カタクチイ
ワシ、コノシロ、ネズッポ等が
多い。
既存文献データを基に候補海域の
現況を整理。
港湾計画環境アセスメ
ント現況調査業務委託
報告書(北九州市港湾
局,平成 8 年 11 月)
【鳥類】
鳥類について、銚子沖では「銚子市鳥類目録」
、千葉県史料研究財団による「千葉県の自然
誌」等の既存文献により、生息状況・行動を把握するとともに、有識者へのヒアリングにより
情報を収集し、
洋上での鳥類調査方法に係る助言等を受けている。
北九州市沖については、
「北
九州市自然エネルギー導入計画可能性調査報告書」
、北九州市による「北九州市の野鳥たち」
等により鳥類の生息状況について整理するとともに、有識者ヒアリングにより情報収集を行
っている。
表 3.1.1-17 鳥類に係る整理方法・参考文献
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 豊かな海洋生物群集が形成さ
れる海域であるため、
夏季には
ミズナギドリ目、
冬季はアホウ
ドリ科・ウミツバメ科、カモメ
類、カモ類が多く出現。
既存文献を基に候補海域における鳥
類の生息状況・鳥類の行動(衝突回
避)を整理するとともに、有識者へ
のヒアリングを実施。
・銚子市鳥類目録(桑
原ら,2006)
・千葉県の自然誌(千
葉県史料研究財
団,2002)等
・候補海域の鳥類、洋
上の鳥類調査方法等
(有識者知見)
北九州市沖 春季・秋季の渡りの時期にはハ
チクマ、ヒヨドリ、シギ・チド
リ類等、
11月〜3月にはウミウ、
アイサ、
カモメ類等海鳥が多く
出現。
既存文献を基に候補海域における鳥
類の生息状況を整理するとともに、
有識者へのヒアリングを実施。
・北九州市自然エネル
ギー導入計画可能性調
査報告書(北九州市,平
成 18 年)
・北九州市の野鳥たち
(北九州市,平成 6 年)
・候補海域の鳥類、出
現時期等(有識者知見)【海棲哺乳類】
海棲哺乳類について、銚子沖では「千葉県保護上重要な野生生物(動物編)」、北九州市では
「北九州市藍島小学校ホームページ」、「日本鯨類研究所の鯨類ストランディング(座礁)公表
データ」
等の資料を引用するとともに、
水族館等を含む有識者へのヒアリングにより情報収集
を行っている。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)26表 3.1.1-18 海棲哺乳類に係る整理方法・参考文献
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 スナメリを除くクジラ・イルカ
類は銚子沖 15〜30 km海域、水
深 20m 以深に出現。
銚子周辺の
沿岸には 6〜9 月に繁殖のため
スナメリが多く集まる。
既存文献を基に候補海域における
海棲哺乳類(スナメリ)の生息状況
や生態等を整理するとともに、
有識
者へのヒアリングを実施。
・千葉県保護上重要な
野生生物(動物編)
(2000、2006)等
・スナメリ等生息域、
出現時期等(有識者知見)北九州市沖 北九州市の藍島南西沿岸にお
いてスナメリが生息する。
既存文献を基に候補海域における
海棲哺乳類の生息状況を整理する
とともに、
有識者へのヒアリングを
実施。
・北九州市藍島小学校ホ
ームページ
・日本鯨類研究所の鯨
類ストランディング
(座礁)公表データ
・スナメリの生息域、
出現時期等(海の中道
水族館、下関市立水族
館知見)
【海草藻類・藻場】
藻場について、銚子沖では「続・日本全国沿岸海洋誌」、「千葉県の自然誌」、「銚子半島の磯
漁場に関する調査」及び環境省の「脆弱沿岸海域図」等により分布状況、希少種・貴重種等の
把握を行っている。これに対し北九州市では環境省による「第 4 回、第 5 回自然環境保全基
礎調査」、「港湾計画環境アセスメント現況調査業務委託報告書」等の資料を使用している。
表 3.1.1-19 海草藻類・藻場に係る整理方法・参考文献
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 アマモ、
エビアマモ、
スガモ、
マツモ、イソムラサキ、オオ
バツノマタ、ムカデノリ等が
分布する。
既存文献を基に候補海域における
海草藻類・藻場の分布状況及び希
少種/貴重種の生息状況を整理。
・続・日本全国沿岸海洋誌
(1990)
・千葉県の自然誌(千葉
県,1998 年 3 月)
・銚子半島の磯漁場に関す
る調査(千葉大文理学部銚
子臨海研究所報告,1965年)・脆弱沿岸海域図(環境省)北九州市沖 ワカメ、
ツルアラメ、
アラメ、
エンドウモク等が分布する。
既存文献を基に候補海域における
海草藻類・藻場の分布状況を整理。
・第 4 回、第 5 回自然環境
保全基礎調査(環境省)
・港湾計画環境アセスメン
ト現況調査業務委託報告書
(北九州市港湾局,平成 8
年 11 月)
【潮間帯生物】
潮間帯生物について、銚子沖では「千葉大銚子臨海研究所報告」、「千葉県の自然誌」等に基
づき潮間帯生物の把握を行っている。
これに対し北九州市では
「港湾計画環境アセスメント現
況調査業務委託報告書」を使用している。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)27表 3.1.1-20 潮間帯生物に係る整理方法・参考文献
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 ムラサキインコガイ、イワフ
ジツボ、アラメ、エビアマモ
等が分布する。
既存文献を基に候補海域における
潮間帯生物の生息状況を整理。
・銚子海岸岩礁潮間帯にお
ける生物群集の帯状分布と
遷移(千葉大銚子臨海研究
所報告,1979 年)
・千葉県の自然誌(千葉
県,1998 年 3 月)
北九州市沖 カンザシゴカイ類、イワフジ
ツボ、
ワレカラ類、
ピリヒバ、
ツノマタ類等が分布する。
既存文献を基に候補海域における
潮間帯生物の生息状況を整理。
・港湾計画環境アセスメン
ト現況調査業務委託報告書
(北九州市港湾局,平成 8
年 11 月)
【海棲爬虫類】
銚子沖では
「千葉県の自然誌」
に基づき海棲爬虫類であるウミガメの産卵域について調査し、
整理している。北九州市では海棲爬虫類に関する記述はない。
表 3.1.1-21 海生爬虫類に係る整理方法・参考文献
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 房総半島の砂浜海岸はアカ
ウミガメ産卵地のほぼ北限
にあたり、
過去に銚子におい
ても上陸が確認。
既存文献を基に候補海域におけ
るウミガメ類の産卵域を整理。
千 葉 県 の 自 然 誌 ( 千 葉
県,1996 年,2000 年)
北九州市沖 - - -
【漁業生物】
銚子沖では「千葉県農林水産統計年報総合編(平成 14〜15 年)」、
「千葉県農林水産統計年
報(平成 18〜19 年)」、北九州市沖では「北九州市水産便覧(2004 年)
」に基づき、漁業従事
者数・経営体数、操業されている漁業及び漁場図、漁獲量等の情報を整理している。
表 3.1.1-22 漁業生物に係る整理方法・参考文献
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
銚子沖 候補海域は共同漁業権区域
指定され、主にシラウオ漁、
はえ縄漁等が操業されてい
る。
既存文献を基に漁業従事者数・
経営体数、
操業されている漁業
及び漁場図、漁獲量を整理
千葉県農林水産統計年報総合編(平成 14〜15 年)、千葉県農林水産統
計年報(平成 18〜19 年)
北九州市沖 候補海域は共同漁業権区域
指定され、主にタイ・ブリ・
ヒラメ等の釣り・刺し網・小
型底曳網、
アワビ・サザエ等
の磯根漁業が操業されてい
る。
既存文献を基に候補海域周辺
の操業状況、
魚種別生産量とそ
の推移、
近隣漁港の陸揚量等を
整理。
北九州市水産便覧(2004 年)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)283)社会条件
洋上風力発電実証研究候補海域の選定に当たり候補海域における法的な規制あるいは社会
的制約を把握するため、関連する法令・条例等に係る既存資料調査及び関係機関等へのヒアリ
ングを実施している。
出力容量 500kW 以上の自家用電気工作物及び事業用電気工作物については、電気事業法に
基づく自主保安体制の下、電気工作物を設置する者が選任した電気主任技術者に、施設計画や
工事管理・自主検査等を行うことが義務付けられている。
また、15m 以上の木柱・鉄柱その他類する工作物の建設については、建築基準法に基づき、
建築確認申請が必要となる。
風車と観測タワー、海底ケーブルによる海域の占有に対しては、国有財産法と関連する条例
により、設備の設置の許可申請と使用料の支払いが必要となる。
海底ケーブルが共同漁業権設定区域や港湾区域、漁港区域を通過、占有する場合には、港湾
法、海岸法、漁港漁場整備法と関連する条例に従い許可申請を行う。また、航路標識法により
航路標識の機能障害となりうる建築物は建設できない他、船舶航行に支障のない場合でも設置
工事の際は船舶航行に支障をきたさない対策(障害灯等)が必要となる。
陸上の送電設備、変電設備の設置についても、陸上の設備が、港湾区域や漁港区域を通過ま
たは工事等により占有する場合には、港湾法と漁港漁場整備法または関連する条例に従い、港
長に工事等の許可及び進水等の届出許可申請を行う必要がある。また、陸上の設備が自然公園
を通過する場合には、自然公園法に基づき事前協議と許可申請が必要である。
2012 年 10 月以降は環境アセスメント法が改正され(2013 年 4 月 1 日完全施行)、規模 1 万
kW 以上の風力発電は第一種、7500kW 以上 1 万 kW 未満は第二種事業として環境影響評価の
対象となった。また、それ以下の規模の施設についても、条例に基づき環境アセスメントの対
象となる場合もある。
風車の景観計画区域に属する場合、
景観法または関連条例に従い、
自治体の長に届出を行い、
風車の色やデザイン等について事前協議が必要となる。
その他、施設が自然保護区、生息地等保護区、文化財保護区等の中に位置する場合、関係機
関への届出、許可取得、影響回避のための対策等が必要となる。
下表には銚子沖及び北九州市沖の地域特性を基に確認された関連法令の概要を整理した。
電気事業法・建築基準法、航行標識法等の項目は銚子沖及び北九州市沖ともに共通する法令
であるが、それぞれ一般海域及び港湾域等の地域特性があるため、適用される法令等の項目に
は差異があり、銚子沖で 12 項目、北九州市沖で 7 項目であった。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)29表 3.1.1-23 銚子沖及び北九州市沖における関連法令整理の概要
項目 細項目 銚子沖 北九州市沖
一般法規 ・電気事業法
・建築基準法
・国有財産法
・電波法
・ 国土利用計画法及び国土形成計画法
・民法
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる--
にじゅうまる
にじゅうまる--
くろまる
くろまる
航行安全 ・航路標識法
・海上交通安全法
・航空法
にじゅうまる
くろまる
にじゅうまる
にじゅうまる-にじゅうまる
港湾・海岸 ・港湾法
・港則法
・海岸法
・海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律
にじゅうまる
くろまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる--
水産関連 ・漁業法
・漁港漁場整備法
・水産資源保護法
・公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱(漁業権)-にじゅうまる
にじゅうまる
くろまる
にじゅうまる---自然保護・景観・自然公園法
・自然環境保全法
・環境影響評価法
・景観法
・絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律・鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律
・文化財保護法
にじゅうまる
くろまる
くろまる
くろまる
くろまる
くろまる-くろまる-くろまる
くろまる--
くろまる
にじゅうまる:地域特性を基に法令等を確認した結果、実証海域で適用される項目、くろまる:適用されない項目
-:確認されていない項目
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)301 銚子沖
銚子沖における法規・社会的制約条件の適用状況について表 3.1.1-24 に示す。
銚子沖候補地については、銚子市に水郷筑波国定公園があるため、自然公園法の対象となっ
ている。
表 3.1.1-24 銚子沖における法規・社会的制約条件の適用状況
分類 法令
法令の適用区域
または該当条件
千葉県条例・規則
適用
有無
一般法規 電気事業法 500kW 以上の風力発電 有
建築基準法 15m 以上の木柱・鉄柱その他類する工作物 有
国有財産法 海域(一般)の占有 国土交通省所管公共用財
産管理規則、使用料及び
手数料条例有電波法 電波伝搬障害防止区域 有
航行安全 航路標識法 航路標識の機能障害となりうる建築物 有
海上交通安全法 東京湾・伊勢湾・瀬戸内海(3 海域) 無
航空法 地表または水面から 60m 以上の高さの物件 有
港湾・海岸 港湾法 港湾区域(港湾隣接地域を含む) 千葉県港湾管理条例、港
湾区域内及び港湾隣接地
域内における工事等の規
制に関する規則有港則法 政令で定められた特定港
(千葉県内:千葉港、
木更津港)無海岸法 海岸保全区域、一般公共海岸区域 千葉県海岸管理規則 有
海洋汚染等及び海上災
害の防止に関する法律
海洋施設の設置 有
水産 漁港漁場整備法 漁港区域 千葉県漁港管理条例 有
水産資源保護法 保護水面の区域(港湾区域を除く) 千葉県海面漁業調整規則 無
公共用地の取得に伴う
損失補償基準要綱
漁業権 無
自然
保護・景観
自然公園法 国立公園、国定公園、都道府県立自然公園 千葉県立自然公園条例 有
自然環境保全法 原生自然環境保全区域、自然環境保全区域 千葉県自然環境保全条例 無
環境影響評価法 電気事業法に規定する事業用電気工作物の
設置
千葉県環境影響評価条例 無
景観法 景観計画区域 無
絶滅のおそれのある野
生動植物の種の保全に
関する法律
生息地等保護区 無
鳥獣の保護及び狩猟の
適正化に関する法律
鳥獣保護区 無
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)312 北九州市沖
北九州市沖における法規・社会的制約条件の適用状況について表 3.1.1-25 に示す。
表 3.1.1-25 北九州市沖における法規・社会的制約条件の適用状況
分類 法令
法令の適用区域
または該当条件
北九州市条例・規則
適用
有無
一般法規 電気事業法 500kW 以上の風力発電 有
建築基準法 15m 以上の木柱・鉄柱その他類する工作物 有
国土利用計画法及び国
土形成計画法
当該法に関連する計画情報等 無
民法 民法に係る物件・債権等 無
航行安全 航路標識法 航路標識の機能障害となりうる建築物 有
航空法 地表または水面から 60m 以上の高さの物件 有
港湾
・ 海岸 港湾法 港湾区域 有
港則法 政令で定められた特定港(県内:北九州港) 有
海岸法 海岸保全区域、一般公共海岸区域 無
水産 漁業法 漁業権の設定 有
漁港漁場整備法 漁港区域 無
自然保護・景観自然公園法 国立公園、国定公園、都道府県立自然公園 無
環境影響評価法 電気事業法に規定する事業用電気工作物の
設置
環境影響評価条例 無
景観法 景観計画区域 景観条例等 無
文化財保護法 無
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)32位置(国際緯度経度系)
水深
離岸距離
海底土質
海底地形
千葉県銚子市屏風ヶ浦沖合(外川漁港から3.1km沖合)
35°41'0"N、140°49'6"-16"E
10-15m
3.1km
砂岩及び泥岩、部分的に堆砂あり。
海底勾配が小さく、不陸(平坦ではないこと)も小さい。
実証研究予定地点の確定予定地点
4)実証研究予定海域の選定
下記に銚子沖サイト及び北九州市沖サイトの海域選定について示す。選定においては、風況や
水深等に基づき候補海域を絞り込んだ上で、漁業操業との調整、法的規制による制約を中心とし
て予定海域の検討を行っている。
1 銚子沖サイト
本実証研究の候補海域内を管轄する銚子市漁業協同組合(以下銚子漁協)
・海匝漁業協同組
合(以下海匝漁協)
、千葉県、銚子市、銚子海上保安部等関係部局との事前協議を実施し、下記
の協議結果から実証研究予定地点が選定されている。
にじゅうまる 銚子市漁協・海匝漁協との事前協議(銚子市漁協:2008 年 5 月 27 日〜21 年 3 月末、海
匝漁協:2008 年 9 月 2 日〜2009 年 3 月 5 日)の結果、屏風ヶ浦沖の水深 20m 以深は北
部太平洋まき網漁業が操業し、
事前協議先が多数の漁協になる可能性が高く、
当該実証研
究期間に了解を得ることが困難であるため、候補外としている。
にじゅうまる 千葉県・海上保安部等との事前協議から法令上、
研究予定海域へ研究設備を設置すること
が禁止されていないことが確認できた。
図 3.1.1-1 銚子沖サイトの概要
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)33位置(国際緯度経度系)
水深
離岸距離
海底土質
海底地形14m1.4km
砂・砂礫(堆積層:12m層厚)、岩盤
海底勾配が小さい(響灘3号埋立地から沖合に向かって10m程度の
堆積層の海域が延びている末端部)。
実証研究予定地点の確定 福岡県北九州港 響灘3号埋立地沖合1.5km沖合
35°57' 27"〜29′′N、130°36'-45"E予定地点
2 北九州市沖サイト
本実証研究の候補海域内を管轄する北九州市漁業協同組合脇之浦地区、ひびき灘漁業協同組
合、北九州市(港湾空港局・環境局、産業経済局(水産課))
、海上保安庁若松海上保安部、九州
電力等関係部局との事前協議を実施し、下記の協議結果から実証研究予定地点が選定されてい
る。
にじゅうまる 実証海域は当初予定位置の南側(陸地から1〜2km)×ばつ100mの範囲とし
て設定されている。
にじゅうまる 実証海域は北九州港港湾区域内であり、開発に当たっては港湾管理者(北九州市)の許可
が必要となる。また、当該海域は船舶航行に支障はないと考えられるものの、設置工事の
際は船舶航行に支障をきたさない対策(障害灯等)が必要となる。
なお、当 FS 段階では J-POWER 若松総合事務所沖の当初候補海域を対象に検討されたが、
その後、
海底部底質の条件等から最終候補海域へ変更されている
(下表は最終候補海域の諸元)。図 3.1.1-2 北九州市沖サイトの概要
当初候補海域
最終候補海域
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)34工事
用資
材等
の運
搬出入建設
機械
の稼働造成
等施
工等
による
一時
的な
影響
地形
改変
及び
施設
の存在施設
の稼働窒素酸化物 * * ×ばつ
粉じん等 * * ×ばつ
騒音 * * * ×ばつ
超低周波音 * * * ×ばつ
振動 振動 * * ×ばつ
水質 水の濁り * * しろまる ・工事中の底泥の巻き上げが想定されることから水の濁り(SS)の影響を選定している。
有害物質 * ×ばつ
・有害物質は工事中の底泥の巻き上げが想定されるものの、実証研究予定地点は外洋に位置
し、底泥の汚れ・底層水の貧酸素化は考えないことから選定していない(但し、浚渫等があるの
で特定有害物質の調査が必要であるとの記述あり)。
しろまる
・粒度組成は工事中の底泥の巻き上げ、地形改変・施設の存在に伴う流況の変化による底泥
の移動が考えられ、これらによる底質(粒度組成)の変化が想定されることから選定した。
その他 流向・流速 しろまる ・地形改変及び施設の存在に伴う海域の流向・流速の変化が想定されるため選定している。
地形及び
地質
重要な地形及び地質 * しろまる
・海底地形は地形改変及び施設の存在に伴う海域の流況に変化により底泥が移動し、海底地
形(漂砂・洗掘)の変化が想定されるため選定している。
風車の影 * ×ばつ
・施設の存在及びブレードの回転に伴う陰影が考えられるが、これらの現象は晴天時のみ現れること、直接的
な影響を受けやすい海草藻類は実証研究地点周辺では確認されていないこと、予定地点周辺の岩盤には砂
が堆積しており(海上保安庁,1984)、岩礁性の海藻草類が生育する可能性は低いと考えられること、また国内外
の施設の稼働前後で海洋生物の出現状況に増加傾向(Horns Rev/Nysted:NEDO,2007)や大きな変化がない
こと(瀬棚:港湾・沿岸域における風力発電推進シンポジュウム資料.2005)が認められていることから、風車の影
の影響は考え難いとされている。これらを踏まえて選定していない。
水中音 しろまる ・工事中・稼働時によって水中音に変化が想定されるため選定している。
* ―*潮間帯生物
(動物)
しろまる
・海底ケーブルの地形改変及び施設の存在に伴い生息環境が変化すると想定されることから
選定されている。*底生生物
しろまる
・海底ケーブルの地形改変及び施設の存在に伴い生息環境が変化すると想定されることから
選定されている。*魚類
しろまる
・工事による水中音、地形改変、施設の存在及び供用後の稼働(水中音,夜間照明)に伴い生息
環境が変化すると想定されることから選定されている。*海棲哺乳類
しろまる
・工事による水中音、地形改変、施設の存在及び供用後の稼働(水中音,夜間照明)に伴い生息
環境が変化すると想定されることから選定されている。*鳥類
(定住性,渡り鳥)しろまる
・実証研究予定地点周辺では豊かな海洋生物群集が形成され、それらを餌料とする海鳥が数
多く生息していること、南半球と北半球を往復する海鳥の渡り経路にもあたることが確認されて
いることから施設の存在及び稼働が鳥類へ影響を及ぼすことが想定されるため選定されてい
る。
* * ―* *潮間帯生物
(植物)
しろまる* *海藻草類
しろまる
* ×ばつ ・生態系に関する影響は考慮されていないため、選定されていない。。
* しろまる
・実証研究予定地点周辺には景勝地等が存在し、施設の存在及び稼働による景観への影響
が想定されることから選定されている。
* * ×ばつ
・人と自然との触れ合いの活動の場に関する影響は考慮されていないため、選定されていな
い。
産業廃棄物 * ×ばつ
残土 * ×ばつ
しろまる
・海底ケーブルの工事の実施(濁り,水中音)及び地形改変・施設の存在に伴って生息環境が変
化し、藻場の分布、藻場に生息する動植物へ影響を及ぼすことが想定されため選定されてい
る。
しろまる
・実証研究予定地点周辺海域で操業している漁業関係者が利用している漁業無線等に対し
て、施設の存在及び稼働が影響を及ぼすものと想定されることから選定されている。
注) *:発電所アセス省令の別表五で取り上げられている参考項目と影響要因の区分付け 空欄:未検討項目
環境影響評価に係る参考項目の
選定理由及び非選定理由
参考項目(主に別表第五より作成)
環境要素の区分 影響要因の区分
環境影響評価法(風力発電)NEDO平成20年度
洋上風力発
電実証研究
F/S調査
(銚子沖)
工事の実施
土地又は工
作物の存在
及び供用大気環境
大気質
・大気環境に関して人間に対する影響は考慮されていなため、選定されていない。
騒音・超
低周波音水環境植物
重要な種及び重要な群集(海
域に生育するものを除く。)
海域に生息する植物
動物
重要な種及び注目すべき生息
地(海域に生息するものを除
く。)*海域に生息する動物 *
・潮間帯生物(植物)と海藻草類は、洋上風力設備が海岸から約3kmの水深約10m付近に位置
し、設備規模が小さいこと、海草藻類は実証研究地点周辺では確認されていないこと、予定地
点周辺の岩盤には砂が堆積しており(海上保安庁,1984)、岩礁性の海藻草類が生育する可能
性は低いと考えられることがあるものの、海底ケーブルの地形改変及び施設の存在に伴い生
息環境が変化すると想定されることから選定されている。
生態系
地域を特徴づける生態系(陸域)*
人と自然との豊か
な触れ合いの確
保を旨として調
査、予測及び評
価されるべき環境
要素
景観
主要な眺望点及び観光資源並
びに主要な眺望景観
人と自然との触れ
合いの活動の場
主要な人と自然との触れ合い
の活動の場
生物の多様
性の確保及
び自然環境
の体系的保
全を旨として
調査、予測及
び評価される
べき環境要素
【NEDOのF/S調査】 空欄:未検討項目 しろまる:洋上風力発電に係る環境影響評価の選定項目 ×ばつ:洋上風力発電に係る環境影響評価の未選定項目 『』内の項目:法アセスの参考項目には該当していない項目
環境の自然
構成要素の
良好な状態の
保持を旨とし
て、調査、予
測及び評価さ
れるべき環境
要素その他の環境
その他
『粒度組成』
底質
環境への負荷の
量の程度により予
測及び評価される
べき環境要素
廃棄物等
・廃棄物等に関する影響は考慮されていないため、選定されていない。
藻場(生息環境(水質,底質,流況,海底地形)、生育する植物(海藻草類)、生育する動物(魚類,底生生物))
『電波障害』
5)調査の対象範囲と参考項目
銚子沖サイト及び北九州市沖サイトの FS では洋上風力発電実証研究予定地点周辺の自然条
件、洋上風力実証研究設備の工事・稼働時等の影響を踏まえて、概略の環境影響評価の参考項
目の抽出を行っている。以下に銚子沖サイト及び北九州市沖サイトの参考項目とその選定した
理由、選定しなかった理由を整理した。
1 銚子沖サイト
銚子沖サイトについては、工事、地形改変に伴う水の濁り(粒度組成及び流況含む)
、地形
改変及び流況変化に伴う地形・地質への影響、工事中・稼動時の水中騒音、水中生物、藻場、
景観影響、電波障害等が選定されている。
表 3.1.1-26 参考項目の選定状況(銚子沖)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)35工事
用資
材等
の運
搬出入建設
機械
の稼働造成
等施
工等
によ
る一
時的
な影響地形
改変
及び
施設
の存在施設
の稼働窒素酸化物 * * ×ばつ
粉じん等 * * ×ばつ
騒音 * * * しろまる
超低周波音 * * * しろまる
振動 振動 * * しろまる
・建設・撤去工事、施設稼働に伴い発生する振動により、環境に影響を及ぼすことが考えられる
ため選定する。
水質 水の濁り * * しろまる
・工事において底土の巻き上げ等で濁りが発生し、水質環境に影響を及ぼすことが考えられるた
め選定する。
底質 有害物質 * ×ばつ
・工事において底土の巻き上げ等で濁りが発生し、底質環境に影響を及ぼすことが考えられると
されいるが、有害物質については取り上げていない。
地形及び
地質
重要な地形及び地質 * ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。。
風車の影 * ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。。
水中音・海底地盤振動 しろまる ・工事中・稼働時によって水中環境に影響を及ぼすことが想定されるため選定する。
* ―*動物
プランクトン
しろまる
・工事中の底土の巻き上げによる濁り、施設利用等による生息環境に影響を及ぼすことが考えら
れるため選定する。*潮間帯生物
(動物)
しろまる
・海底ケーブル工事による底土の巻き上げによる濁り、沿岸一部改変、施設利用、騒音振動等に
よる生息環境に影響を及ぼすことが考えられるため選定する。*底生生物
しろまる
・工事中の底土の巻き上げによる濁り、施設利用等による生息環境に影響を及ぼすことが考えら
れるため選定する。*魚類
しろまる
・工事中の底土の巻き上げによる濁り、騒音振動、施設利用等による生息環境に影響を及ぼすこ
とが考えられるため選定する。
魚卵・
稚仔魚
しろまる
・工事中の底土の巻き上げによる濁り、施設利用等による生息環境に影響を及ぼすことが考えら
れるため選定する。*海棲哺乳類
しろまる
・工事中の底土の巻き上げによる濁り、騒音振動、施設利用に伴う騒音等による生息環境に影響
を及ぼすことが考えられるため選定する。*鳥類
(定住性,渡り鳥)
しろまる
・工事による騒音振動、施設利用に伴うバードストライク等による生息環境に影響を及ぼすことが
考えられるため選定する。
* * ―* *植物
プランクトン
しろまる
・工事中の底土の巻き上げによる濁り、施設利用等による生息環境に影響を及ぼすことが考えら
れるため選定する。* *潮間帯生物
(植物)
しろまる
・海底ケーブル工事による底土の巻き上げによる濁り、沿岸一部改変、施設利用、騒音振動等に
よる生息環境に影響を及ぼすことが考えられるため選定する。* *海藻草類
しろまる
・工事中の底土の巻き上げによる濁り、施設利用等による生息環境に影響を及ぼすことが考えら
れるため選定する。
* ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。。
* しろまる 施設の存在により、主要展望地点、近傍からの眺望景観の変化が考えられるため選定する。
* * ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。。
産業廃棄物 * ×ばつ
残土 * ×ばつ
しろまる
施設の存在が魚礁効果を生み出し、漁業生物の生産に貢献する可能性があることから選定す
る。
しろまる
・実証機本体による電波の遮断、反射により、テレビ電波受信や重要無線通信に影響を及ぼすこ
とが考えられるため選定する。
注) *:発電所アセス省令の別表五で取り上げられている参考項目と影響要因の区分付け 空欄:未検討項目
環境要素の区分 影響要因の区分
環境影響評価法(風力発電)NEDO平成20年度 洋
上風力発電実
証研究F/S調査(北九州市沖)
参考項目(主に別表第五より作成)
工事の実施
土地又は工
作物の存在
及び供用
環境影響評価に係る参考項目の
選定理由及び非選定理由
騒音・超
低周波音水環境*
海域に生息する動物 *大気環境
大気質
『漁業生物』
生態系
地域を特徴づける生態系(陸域)*
人と自然との
豊かな触れ合
いの確保を旨
として調査、予
測及び評価さ
れるべき環境
要素
景観
主要な眺望点及び観光資源
並びに主要な眺望景観
人と自然との触れ
合いの活動の場
主要な人と自然との触れ合
いの活動の場
植物
重要な種及び重要な群集(海
域に生育するものを除く。)
『電波障害』
【NEDOのF/S調査】 空欄:未検討項目 しろまる:洋上風力発電に係る環境影響評価の選定項目 ×ばつ:洋上風力発電に係る環境影響評価の未選定項目 『』内の項目:法アセスの参考項目には該当していない項目
考慮されていないため、選定されていない。
・建設・撤去工事、施設稼働に伴い発生する騒音により、環境に影響を及ぼすことが考えられる
ため選定する。
環境の自然
構成要素の
良好な状態
の保持を旨
として、調
査、予測及
び評価され
るべき環境
要素その他の環境
その他
海域に生息する植物
環境への負荷
の量の程度に
より予測及び
評価されるべき
環境要素
廃棄物等
考慮されていないため、選定されていない。。
生物の多様
性の確保及
び自然環境
の体系的保
全を旨とし
て調査、予
測及び評価
されるべき
環境要素
動物
重要な種及び注目すべき生
息地(海域に生息するものを
除く。)
2 北九州市沖サイト
北九州市沖サイトについては、銚子沖と同様、工事、地形改変に伴う水の濁り(粒度組成及
び流況含む)
、地形改変及び流況変化に伴う地形・地質への影響、工事中・稼動時の水中騒音、
海生生物、藻場、景観影響、電波障害等の他、建設工事に伴う騒音・低周波の(陸域への)影
響、海底地盤振動、底泥等の巻き上げにより発生する濁りの動植物プランクトンへの影響等が
取り上げられている。また、漁業生物の蝟集効果というプラス面での影響についても言及され
ている。
表 3.1.1-27 参考項目の選定状況(北九州市)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)36評価項目
建設工
事・撤
去工事
に伴う
一時的
な影響
施設の
存在/施
設の管
理・運
営に伴
う影響
調査・予測・評価手法
水質
(水の濁り)
しろまる
調査手法:千葉県環境白書や水環境総合情報サイト(環境省ホームページ)等の既往調査資料を基に現況把握を行う。
予測手法:工事に対する環境保全対策を踏まえた類似事例を参考に定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に工事による水質への影響を定性的に評価する。
底質
(粒度組成)
しろまる しろまる
調査手法:「5万分の1 沿岸の海の基本図 海底地形地質調査報告 犬吠埼(海上保安庁)」等の既往調査資料を基に現況把握を行
う。
予測手法:工事による底質変化の予測は環境保全対策を踏まえた類似事例を参考に定性的に予測する。また、地形改変及び施設の
存在による底質変化の予測は流向・流速の予測事例を参考に定性的に予測する。
評価手法:工事による底質変化の予測結果を基に工事による影響を定性的に行う。また、地形改変及び施設の存在による底質変化
の予測結果を基に地形改変及び施設の存在による影響を定性的に評価する。
流向・流速 しろまる
調査手法:「続・日本全国沿岸海洋誌」等の既往調査資料を基に現況把握を行う。
予測手法:施設の存在による流向・流速変化の類似事例を参考に定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に施設の存在による流向・流速への影響を定性的に評価する。
海底地形 しろまる
調査手法:「5万分の1 沿岸の海の基本図 海底地形地質調査報告 犬吠埼(海上保安庁)」等の既往調査資料を基に現況把握を行
う。
予測手法:施設の存在による地形改変の類似事例を参考に定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に施設の存在による地形改変への影響を定性的に評価する。
騒音(水中音) しろまる しろまる
調査手法:海中土木工事に伴う水中音や風車稼働に伴う水中音に関する既往調査資料を基に、現況把握を行う。
予測手法:既往調査資料を基に工事及び施設の存在に伴う水中音の変化を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に工事及び施設の存在に伴う水中音及び魚類等への影響を定性的に評価する。
潮間帯生物 しろまる
調査手法:「千葉大銚子臨海実習所研究報告」等の既往調査資料を基に現況(種類・分布等)把握を行う。
予測手法:潮間帯生物の現況調査結果及び生物特性等を参考に施設の存在による生息環境変化を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に施設の存在による影響を定性的に評価する。
底生生物 しろまる
調査手法:実証研究予定地点周辺で過去に実施された調査の報告書等を基に、現況(種類・分布等)を調査する。
予測手法:底生生物の現況調査結果及び生物特性等を参考に施設の存在による生息環境変化を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に施設の存在による影響を定性的に評価する。
漁業生物
(魚等の遊泳動物)しろまる しろまる
調査手法:「千葉農林水産統計年報」等の既往調査資料を基に現況(種類・分布等)を調査する。
予測手法:魚類等の遊泳生物の生物特性等を参考に工事及び施設の存在による生息環境変化を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に工事及び施設の存在による影響を定性的に評価する。
海棲哺乳類 しろまる しろまる
調査手法:「千葉県の自然誌 本編7 千葉県の動物2((財)千葉県史料研究財団)」等の既往調査資料・有識者ヒアリングを基に現
況(種類・分布等)を調査する。
予測手法:海棲哺乳類の生物特性等を参考に工事及び施設の存在による生息環境変化を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に工事及び施設の存在による影響を定性的に評価する。
海草藻類 しろまる しろまる
調査手法:実証研究予定地点周辺で過去に実施された調査の報告書等の既往調査資料を基に、現況(種類・分布等)を調査する。
予測手法:海草藻類の現況調査結果及び生物特性等を参考に工事及び施設の存在による生息環境変化を定性的に予測する。
評価手法:環境保全対策を踏まえ工事による水の濁りによる影響及び施設の存在が及ぼす影響を定性的に評価する。
藻場 しろまる しろまる
調査手法:「脆弱沿岸海域図(環境省)」等の既往調査資料を基に現況(藻場の種類・分布等)を調査する。
予測手法:藻場の現況調査結果及び生物特性等を参考に工事及び施設の存在による生息環境変化を定性的に予測する。
評価手法:環境保全対策を踏まえ工事による水の濁りによる影響及び施設の存在が及ぼす影響を定性的に評価する。
景観 しろまる
調査手法:既往調査資料を基に主要眺望点の選定に係る調査を実施する。
予測手法:主要眺望点からのフォトモンタージュを作成し、景観への影響を定性的に予測する。
評価手法:主要眺望点からの視距離、視野占有率、垂直視覚見込み角等を基に定量的に評価する。
電波障害 しろまる
調査手法:既往調査資料を基に重要無線、TV電波及び漁業無線に係る現状の利用・存在状況等を調査する。
予測手法:現況調査結果を基に重要無線、TV電波及び漁業無線への影響を定性的に予測する。
評価手法:予測結果及び有識者ヒアリングにより重要無線、TV電波及び漁業無線への影響を定性的に評価する。
鳥類 しろまる
調査手法:銚子沖の鳥類の概況に関する既往調査資料・有識者ヒアリングを基に現況を調査する。
予測手法:鳥類の生物特性等を参考に設備の存在が及ぼす影響(採餌環境の変化、飛翔経路の遮断・阻害、設備への接近・接触)
による変化を定性的に予測する。
評価手法:既往調査資料・予測結果を基に設備の存在による影響を定性的に評価する。
6)参考項目別の調査・予測・評価方法
銚子沖サイト及び北九州市沖サイトにおける環境影響評価の参考項目別調査・予測・評価手法
を以下に整理した。
調査・予測・評価においては、両サイトとも、既存調査資料を基に現況調査を行い、類似事例
等を参考とした定性的な予測及び評価を行っている。
1 銚子沖サイト
銚子沖サイトにおける調査・予測・評価手法について下記に示す。
表 3.1.1-28 参考項目別調査・予測・評価手法(銚子沖)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)37評価項目
建設工
事・撤
去工事
に伴う
一時的
な影響
施設の
存在/施
設の管
理・運
営に伴
う影響
調査・予測・評価手法
騒音・振動 しろまる しろまる
調査手法:平成19年6月に電源開発株式会社により行われた調査の資料を基に現況把握を行う。
予測手法:音・振動の距離伝搬を考慮して、工事中及び施設の稼働における騒音・振動レベルを定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に騒音・振動に係る影響を定性的に評価する。
水質 しろまる
調査手法:「平成20年度版 北九州の環境(北九州市)」等の既往調査資料を基に現況把握を行う。
予測手法:既存調査資料及び既存事例との比較・検討により定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に水質に係る影響を定性的に評価する。
底質 しろまる
調査手法:平成8年6月に北九州市港湾局により行われた調査の資料を基に現況把握を行う。
予測手法:既存調査資料及び既存事例との比較・検討により定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に底質に係る影響を定性的に評価する。
水中騒音・振動 しろまる しろまる
調査手法:「瀬棚港環境調査報告書」等の既往調査資料を基に現況把握を行う。
予測手法:既往調査資料に基づき、工事中及び施設の稼働における水中騒音・振動について定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に水中騒音・振動の影響を定性的に評価する。
動物・植物
プランクトン
しろまる しろまる
調査手法:「港湾計画環境アセスメント現況調査業務委託報告書(平成8年11月 北九州市港湾局)」等の既往調査資料を基に現況
把握を行う。
予測手法:既存調査資料等から動物・植物プランクトンの分布、生息環境の改変の程度を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に動物・植物プランクトンの分布域と生息環境の改変面積を比較・検討して当該生物に係る影響を定性的
に評価する。
潮間帯生物
(動物・植物)
しろまる しろまる
調査手法:「港湾計画環境アセスメント現況調査業務委託報告書(平成8年11月 北九州市港湾局)」等の既往調査資料を基に現況
把握を行う。
予測手法:既存調査資料等を基に潮間帯生物の分布、生息環境の改変の程度を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に潮間帯生物の分布域と生息環境の改変面積を比較・検討して当該生物に係る影響を定性的に評価する。
底生生物 しろまる しろまる
調査手法:「港湾計画環境アセスメント現況調査業務委託報告書(平成8年11月 北九州市港湾局)」等の既往調査資料を基に現況
把握を行う。
予測手法:既存調査資料等を基に底生生物の分布、生息環境の改変の程度を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に底生生物の分布域と生息環境の改変面積を比較・検討して当該生物に係る影響を定性的に評価する。
魚介類 しろまる しろまる
調査手法「港湾計画環境アセスメント現況調査業務委託報告書(平成8年11月 北九州市港湾局)」等の既往調査資料を基に現況把
握を行う。
予測手法:既存調査資料等を基に魚介類の分布、生息環境の改変の程度を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に魚介類の分布域と生息環境の改変面積を比較・検討して当該生物に係る影響を定性的に評価する。
魚卵・稚仔 しろまる しろまる
調査手法:「港湾計画環境アセスメント現況調査業務委託報告書(平成8年11月 北九州市港湾局)」等の既往調査資料を基に現況
把握を行う。
予測手法:既存調査資料等を基に魚卵・稚仔の分布、生息環境の改変の程度を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に魚卵・稚仔の分布域と生息環境の改変面積を比較・検討して当該生物に係る影響を定性的に評価する。
海棲哺乳類 しろまる しろまる
調査手法:既往調査資料や水族館への聞き取り調査、ストランディングレコードを基に現況把握を行う。
予測手法:既存調査資料等を基に海棲哺乳類の分布、生息環境の改変の程度を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に海棲哺乳類の分布域と生息環境の時期等を比較・検討して当該生物に係る影響を定性的に評価する。
海鳥 しろまる しろまる
調査手法:既往調査資料及び有識者・野鳥関係団体等への聞き取り調査を基に現況把握を行う。
予測手法:既存調査資料等を基に海鳥の分布、生息環境の改変等の程度を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に海鳥の分布域等と生息環境の改変を比較・検討して当該生物に係る影響を定性的に評価する。
海草・海藻 しろまる しろまる
調査手法:「港湾計画環境アセスメント現況調査業務委託報告書(平成8年11月 北九州市港湾局)」等の既往調査資料を基に現況
把握を行う。
予測手法:既存調査資料等を基に海草・海藻の分布、生息環境の改変の程度を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に海草・海藻の分布域と生息環境の改変面積を比較・検討して当該生物に係る影響を定性的に評価する。
景観 しろまる
調査手法:候補地が見渡せる主要な眺望点を選定し、一眼レフのデジタルカメラで撮影を行う。
予測手法:主要眺望点からのフォトモンタージュを作成し、景観の変化を定性的に予測する。
評価手法:フォトモンタージュ予測結果及び主要眺望点からの距離等を基に景観に係る影響を定性的に評価する。
漁業生物 しろまる
調査手法:「北九州市の水産便覧(2004年)」等の既往調査資料を基に現況把握を行う。
予測手法:既存調査資料等を基に漁業生物の分布、計画域範囲から影響の程度を定性的に予測する。
評価手法:予測結果及び水環境・海洋生物等への評価結果を総合して、当該生物に係る影響を定性的に評価する。
電波障害 しろまる
調査手法:平成15年4月に電源開発株式会社により行われた調査結果を基に重要無線、TV電波及び漁業無線に係る現状の利用・位置
等を調査する。
予測手法:現況調査結果及び電波到来方向等を基に重要無線、TV電波及び漁業無線への影響を定性的に予測する。
評価手法:予測結果により重要無線、TV電波及び漁業無線への影響を定性的に評価する。
2 北九州市沖サイト
北九州市沖サイトにおける参考項目別調査・予測・評価手法について下記に示す。
表 3.1.1-29 参考項目別調査・予測・評価手法(北九州市沖)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)38評価項目
建設工
事・撤
去工事
に伴う
一時的
な影響
施設の
存在/施
設の管
理・運
営に伴
う影響
調査・予測・評価結果
水質
(水の濁り)
しろまる
【調査結果】
実証研究予定地点周辺海域は外洋に面した海域であり、COD・DO等の水質は良好である。
【予測・評価結果】
(建設工事)
工事中の底泥の巻き上げに伴い水の濁りが問題であるが、当該海域の底質の粒度組成は細砂から粗砂であることから、沈降速度が速いこと、工事中は
汚濁防止対策を講じること等により、影響範囲は施設近傍に限られるため、予定地点周辺海域の水質影響はないとものと予測・評価されている。
底質
(粒度組成)
しろまる しろまる
【調査結果】
実証研究予定地点周辺海域の海底地質は、岩(露岩域と一部砂が堆積)と砂質堆積物であり、底質の粒度組成は細砂から粗砂の砂質で占められている。
【予測・評価結果】
(建設工事)
当該海域の底質の粒度組成は細砂から粗砂であることから沈降速度が速いこと、工事中は汚濁防止対策を講じること等により、影響範囲は施設近傍に
限られるため、予定地点周辺海域の底質影響はないとものと評価されている。
(施設の存在)
地形改変及び施設の存在による影響は、底質の変化が施設近傍に限られるため、予定地点周辺海域の底質影響はないとものと評価されている。
流向・流速 しろまる
【調査結果】
構造物の設置に伴う流れの変化については、流れの進行方向に対して構造物側面では流速の加速領域が構造物直径と同規模の範囲で出現し、構造物背
後では乱れ領域が構造物直径の約2.5倍の範囲に生じる。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
洋上風力発電設備規模が小さいこと、海底ケーブルも砂泥域では埋設することから、流向・流速の変化は施設の周辺に限られるため、実証研究予定地
点周辺海域の海底地形への影響はないと評価されている。なお、施設設置前後に構造物近傍及び実証予定地点近傍において流向・流速調査の実施が必
要であると指摘されている。
海底地形 しろまる
【調査結果】
北東部には基盤の露出した起伏地形が分布し、この地塊の後背地には屏風ヶ浦を経て銚子半島の台地が発達している。これ以外の海域では一部を除き
沖積層で被覆され、きわめて平滑化された平坦面が形成されている。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
流向・流速の予測・評価結果から、構造物の近傍に限定されると判断され、海底地形の変化も施設の周辺に限られるため、実証研究予定地点周辺海域
の海底地形への影響はないと評価されている。
騒音(水中音) しろまる しろまる
【調査結果】
工事及び風車稼働に伴う水中音の事例は幾つか存在するが、音圧レベル、伝播特性及び周波数特性は風速や風車出力などに依存し、また、海域の背景
騒音の条件によっても変わる。魚類へ影響を及ぼす水中音は一般的に損傷レベルでは210dB以上と言われており、風車騒音の水中音レベルが120dB程度
であるとされている。瀬棚洋上風力においては風車稼働前後では魚類の出現状況に大きな変化がみられなかったことが報告されている。
【予測・評価結果】
(建設工事・施設の存在)
既往調査資料から工事及び施設の存在による魚類等の遊泳生物へ及ぼす影響はほとんどないと評価されている。なお、工事や風車稼働に伴う水中音の
音圧レベル、伝搬特性及び周波数特性を把握する必要性があると指摘されている。
潮間帯生物 しろまる
【調査結果】
銚子海岸岩礁潮間帯において出現した動物は15種類、植物は45種類である。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
生息環境の変化は施設近傍に限られ、予定地点周辺海域の生息環境への影響はないとこと、潮間帯生物は予定地点周辺の潮間帯に広く分布しているこ
とから、影響はないと評価されている。
底生生物 しろまる
【調査結果】
名洗地先海域は常時30〜80種類の底生生物が生息している。銚子近海の海産貝類は沿岸性の種類で300種類が報告されており、この他に広範に分布する
184種類が存在している。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
生息環境の変化は施設近傍に限られ、予定地点周辺海域の生息環境への影響はないとこと、底生生物は予定地点周辺に広く分布していることから、影
響はないと評価されている。なお、構造物周辺では底質の変化が想定されるため、底生生物の現況調査及び監視調査を実施し、構造物の設置に伴う生
物相の変化について把握する必要があると指摘されている。
7)参考項目別の調査・予測・評価結果
銚子沖サイト及び北九州市沖サイトにおける環境影響評価の参考項目別の調査・予測・評価結
果を以下に整理した。
いずれのサイトについても、
設備規模が小さく影響が限定的であること、
既存の知見と照らし
て影響の生じる可能性が低いこと、適切な対策を講じることで影響を軽減できること等から予
測・評価されている。
1 銚子沖サイト
銚子沖における調査・予測・評価結果について下記に示す。
表 3.1.1-30(1) 調査・予測・評価結果(銚子沖)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)39評価項目
建設工
事・撤
去工事
に伴う
一時的
な影響
施設の
存在/施
設の管
理・運
営に伴
う影響
調査・予測・評価結果
漁業生物
(魚等の遊泳動物)しろまる しろまる
【調査結果】
実証研究予定地点周辺における漁獲種は107種類、このうち、漁獲が多く、生息水深20m以浅の種は、スズキ、マダイ、イシモチ、カワハギ、アイナメ、
ヒラメなど28種類であった。
【予測・評価結果】
(建設工事)
《工事による水中音》既往調査資料から魚類等の遊泳生物へ及ぼす影響はほとんどないと評価されている。
《工事による水の濁り》一時的であること、工事中は汚濁防止枠等の濁りの拡散防止対策を講じることにより、その影響は工事区域近傍に限定されるこ
とから、魚類等の遊泳生物へ及ぼす影響はほとんどないと評価されている。
(施設の存在)
《地形改変及び施設の存在による生息環境の変化》施設近傍に限られること、遊泳動物は予定地点周辺に広く分布していることから、予定地点周辺海
域の魚類等の遊泳生物へ及ぼす影響はないと評価されている。
《施設の稼働(夜間照明)》魚類には正の走光性があるが、当該施設の夜間照明は主として航空障害灯等によるもので海面を照らすものではないこと、
遊泳動物は予定地点周辺に広く分布していることから、影響はないと評価されている。
《施設の撤去》供用後に構造物及びその近傍に新たに生息場として利用している蝟集魚等への影響が想定されるが、基礎周辺の捨て石は残す計画である
ことから、ここを生息場として利用する魚類への影響はほとんどないと評価されている。海底ケーブルの撤去に伴う影響もない。
海棲哺乳類 しろまる しろまる
【調査結果】
銚子に出現するスナメリの生息域は水深20m以浅の浅海域であり、銚子周辺海域に周年出現し、6〜9月頃は出産・育児のため銚子沿岸に多く集まる。スナ
メリを除くクジラ・イルカ等の出現範囲は銚子沖合15〜30kmの海域であり、水深20m以浅の海域に出現することはほとんど無い。
【予測・評価結果】
(建設工事)
《工事中及び施設稼働時の水中音》工事中の騒音(水中音)は一時的であること、スナメリは遊泳力があることから影響を回避でき、予定地点周辺海域
に広く分布することから、影響はないと評価されている。
(施設の存在)
《地形改変及び施設の存在》生息環境の変化は施設近傍に限られ、予定地点周辺海域の生息環境への影響はないとこと、スナメリはエコーロケーション
能力や遊泳力があることから移動により回避できること、スナメリは予定地点周辺に広く分布していることから、影響はないと評価されている。
《施設の稼働:夜間照明》スナメリの光に対する反応は不明であるが、夜間照明は主として航空障害灯等によるもので海面を照らすものではないこと、
スナメリは予定地点周辺に広く分布していることから、影響はないと評価されている。なお、6-9月頃に出産・育児のため銚子沿岸に集まるため、生息
状況を確認する必要があると指摘している。
【調査結果】
銚子市及び銚子沖海上において合計326種の鳥類が確認されている。既往調査資料や専門家ヒアリング結果から得られた実証研究予定地点周年における鳥
類の生息状況から、多数が確認される種または希少性の高い種を選定し、その特性より4つの分類(カモメ科、カモ科、ミズナギドリ科、アホウドリ
科)を選定した。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
1カモメ科
《生息環境の減少・悪化・喪失、移動経路阻害・遮断》予定地点海域はカモメ類のねぐらの可能性があり、事業実施によりねぐらの一部が減少し、周
辺部に移動する可能性があるが、影響の程度は小さい。デンマークの調査報告によればカモメは洋上風車に接近する傾向があることから移動阻害は小さ
いと予測されている。
《バードストライク》カモメ科の回避率は99.9%(ベルギー調査報告書)であることからバードストライクの可能性は低いと予測されている。
《夜間照明による誘引》赤色灯に較べて白色閃光灯は鳥類を誘因し難いとの報告があることから、航空障害灯(白色閃光灯)による誘因影響は生じ難い
と予測されている。
2カモ科
《生息環境の減少・悪化・喪失、移動経路阻害・遮断》予定地点海域は数十万単位のカモ類が生息している可能性があり、事業実施に採餌場所の一部
が減少し、周辺部に移動する可能性があるが、影響の程度は小さい。デンマークの調査報告によればカモ科は洋上風車を回避する傾向があることから移
動経路を変更する可能性があるが、エネルギー消費量の増大等の影響は小さいと予測されている。
《バードストライク》カモ科の回避率は昼間97.5%、夜間87%(ベルギー調査報告書)であることからバードストライクの可能性は低いと予測されてい
る。
《夜間照明による誘引》航空障害灯(白色閃光灯)を採用予定であることから誘因影響は生じ難いと予測されている。
3ミズナギドリ科
《生息環境の減少・悪化・喪失、移動経路阻害・遮断》ミズナギドリ類は数十万単位で予定地点周辺を通過したり、索餌目的で飛来するが、予定地点
ではわずかに移動経路を変更する可能性が考えられるとされている。
《バードストライク》ミズナギドリ目は風を利用して海面から高さ30-40m上昇し、海面まで下降するパターンを繰り返しながら移動するため(山階鳥類
研究所ヒアリング)、ブレード面より低い高度を飛翔することからバードストライク回避の可能性は高いと予測されている。
《夜間照明による誘引》航空障害灯(白色閃光灯)を採用予定であることから誘因影響は生じ難いと予測されている。
4アホウドリ科
《生息環境の減少・悪化・喪失、移動経路阻害・遮断》予定地点海域はアホウドリの餌場になる可能性があるものの、飛来海域は銚子沖20km程度
(銚子海洋研究所ヒアリング)とされることから、予定地点が生息場として利用される可能性は小さいと予想されている。移動経路についても飛来場所か
らみて阻害する可能性は低いと予想されている。
《バードストライク》ミズナギドリ目に属するアホウドリはブレード面より低い高度を飛翔することからバードストライク回避の可能性は高いと予測さ
れている。
《夜間照明による誘引》航空障害灯(白色閃光灯)を採用予定であることから誘因影響は生じ難いと予測されている。
海草藻類 しろまる しろまる
【調査結果】
続・日本沿岸海洋誌によると、銚子地先の海藻類は緑藻20種類、褐藻39種類、紅藻94種類の合計153 種類、この他に種子植物のアマモ、エビアマモ、ス
ガモの3種が記録されている。
【予測・評価結果】
(建設工事・施設の存在)
工事中の水の濁り及び海底地形の改変等の影響範囲は施設近傍に限られ、予定地点周辺海域の水質への影響はないこと、予定地点周辺の岩礁地帯には海
藻草類が広く分布していること、岩礁地帯では海底ケーブルは埋設せずに直置きされることから濁りの発生はなく、海藻草類の影響はないと評価されて
いる。
藻場 しろまる しろまる
【調査結果】
実証研究予定地点周辺には岩礁性の藻場が分布し、犬若と外川では面積4.7ha、8.8haのアラメ場となっており、長崎鼻では面積24haのガラモ場となって
いる。
【予測・評価結果】
(建設工事・施設の存在)
海藻草類の評価と同一。
景観 しろまる
【調査結果】
主要な眺望地点を『地球の丸く見える丘展望館』、『外川漁港』および『飯岡刑部岬展望館』の3地点とした。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
主要眺望点から構造物までの視距離は3km以上離れており、色彩では認知できず構造物の大きさのみがポイントとなる。視野占有率、見込角度から影響は
極めて小さいと評価された。なお、今後、物理的指標として評価するだけではなく価値認識を把握する試みが必要であると記載されている。
電波障害 しろまる
【調査結果】
伝搬障害防止区域には指定されていない。TV電波の伝搬経路上には候補地点が位置しない。漁業無線への影響の有無は不明。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
1重要無線
伝搬障害防止区域に指定されていないことから影響はないと評価されている。
2TV電波
伝搬経路上に候補地点が位置しないことから影響はないと評価されている。
3漁業無線
影響の有無が不明なため、建設前後に漁業無線の通信状況を確認する必要性があると記載されている。
鳥類 しろまる
表 3.1.1-30(2) 調査・予測・評価結果(銚子沖)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)402 北九州市沖サイト
北九州沖における調査・予測・評価結果について下記に示す。
表 3.1.1-31(1) 調査・予測・評価結果(北九州市沖)
評価項目
建設工
事・撤
去工事
に伴う
一時的
な影響
施設の
存在/施
設の管
理・運
営に伴
う影響
調査・予測・評価結果
騒音・振動 しろまる しろまる
【調査結果】
陸地で候補地に近い若松発電所前交差点北側の調査地点での騒音レベルは、全時間帯で39dB(A)〜51dB(A)の範囲となっている。また、振
動レベルは、全て測定下限値30dB未満となっている。
【予測・評価結果】
(建設工事・施設の存在)
洋上風力発電所設置候補地点と陸上における住居までの距離は1km離れていることから影響はないと評価されている。
水質 しろまる
【調査結果】
DOと大腸菌群数については一部で環境基準に適合していない場合がみられたが、CODや全窒素、全リン等その他についてはすべて環境基
準に適合している。
【予測・評価結果】
(建設工事)
工事中の濁り等による影響は一時的なものであり、防止膜等の対策を講じることにより影響は軽減可能と評価されている。
底質 しろまる
【調査結果】
有害水底土砂の堆積はみられない。
【予測・評価結果】
(建設工事)
工事中の濁り等による影響は一時的なものであり、防止膜等の対策を講じることにより影響は軽減可能と評価されている。
水中騒音・振動 しろまる しろまる
【調査結果】
候補地海域の水中音圧レベルの現況は把握されていない。
【予測・評価結果】
(建設工事・施設の存在)
既往調査資料(瀬棚港環境調査等)から水中騒音・振動による影響について一部検討されているが、候補海域の水中音圧レベル・振動に
係る地盤の現況調査を測定することが必要であると指摘されている。
動物・植物
プランクトン
しろまる しろまる
【調査結果】
過年度の調査結果では、植物プランクトン27〜58種、動物プランクトン32〜71種であった。
【予測・評価結果】
(建設工事・施設の存在)
動物・植物プランクトンの分布と候補地点の面積を比較した結果、改変範囲は小さいからことから影響はないと評価されている。
潮間帯生物
(動物・植物)
しろまる しろまる
【調査結果】
過年度の調査結果では、潮間帯付着植物30〜40種、潮間帯付着動物112〜130種であった。
【予測・評価結果】
(建設工事・施設の存在)
潮間帯生物の分布と候補地点の面積を比較した結果、改変範囲は小さいからことから影響はないと評価されている。
底生生物 しろまる しろまる
【調査結果】
過年度の調査結果では、ベントス(底生生物)は91〜161種であった。
【予測・評価結果】
(建設工事・施設の存在)
底生生物の分布と候補地点の面積を比較した結果、改変範囲は小さいからことから影響はないと評価されている。
魚介類 しろまる しろまる
【調査結果】
過年度の調査結果では、魚類4〜15種であった。
【予測・評価結果】
(建設工事・施設の存在)
魚介類の分布と候補地点の面積を比較した結果、改変範囲は小さいからことから影響はないと評価されている。
魚卵・稚仔 しろまる しろまる
【調査結果】
過年度の調査結果では、稚仔魚6〜21種、魚卵5〜18種であった。
【予測・評価結果】
(建設工事・施設の存在)
魚卵・稚仔の分布と候補地点の面積を比較した結果、改変範囲は小さいからことから影響はないと評価されている。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)41評価項目
建設工
事・撤
去工事
に伴う
一時的
な影響
施設の
存在/施
設の管
理・運
営に伴
う影響
調査・予測・評価結果
海棲哺乳類 しろまる しろまる
【調査結果】
藍島近傍のスナメリクジラの生息地が知られており、地元小学校で定期的に観察され、ボートによるスナメリウォッチングも行われてい
る。また、ストランディングデータによるとスナメリクジラの他、脇之浦でのハナゴンドウの迷入や脇田漁港内へのオウギハクジラの迷
入、洞海湾内へのユメゴンドウの群れの迷入等が記録されている。
【予測・評価結果】
(建設工事・施設の存在)
海棲哺乳類(スナメリクジラ)の生息地は候補地点から約8km離れた藍島で確認されているが、候補地点周辺での詳細なデータの不足に
より評価が困難であるため、生息状況等生態調査が必要と指摘されている。ただ、工事中の影響は繁殖時期を考慮した工事時期の設定、
防音装置、工事中の見張り等の回避・低減策により影響は少なくなるものと評価されている。{上位性:スナメリクジラ}
海鳥 しろまる しろまる
【調査結果】
11月〜3月の冬季にウミウ、アイサ、カモメ類が多く、また、4月〜8月の夏季に白島でオオミズナギドリの繁殖がある。渡り鳥について
はハチクマなどの猛禽類は、主に陸伝い、シギ、チドリ類は海岸伝いであるが、海上についてはデータがなく不明な部分が多い。
【予測・評価結果】
(建設工事・施設の存在)
周辺海域には既知の渡り鳥のルートはないが、冬季には多数の海鳥が生息し、夏季には候補地点から6km離れた白島でオオミズナギドリ
が繁殖している。詳細データの不足により評価が困難であるため、洋上の渡り調査、冬季の海鳥の生息状況調査及び夏季のオオミズナギ
ドリの生息状況調査が必要と指摘されている。{特殊性:オオミズナギドリ}
海草・海藻 しろまる しろまる
【調査結果】
実証サイト近傍の響灘海域周辺の西側沿岸や島嶼部浅瀬の岩礁部にはホンダワラ類によって構成されるガラモ場やアラメやツルアラメ等
の大型褐藻で構成されるアラメ場が広がっている。
【予測・評価結果】
(建設工事・施設の存在)
周辺海域の島嶼部の浅海や自然海岸にはアラメ場やガラモ場が存在するものの、候補地点が離れていることから、現存藻場への影響は少
ないと評価されている。
景観 しろまる
【調査結果】
主要な眺望点として「脇田海釣り桟橋」、「高塔山公園」を選定した。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
フォトモンタージュによる視覚的な判断により「脇田海釣り桟橋」では約2kmの距離で望むものの対象物は背景に溶け込み違和感を感じ
ないこと、また「高塔山公園」は約8kmの距離があり小さく見えることや近傍に既設の風車があることから違和感を与える存在とはなら
ないとして、影響はないと評価されている。
漁業生物 しろまる
【調査結果】
脇之浦漁港の魚種別陸揚量は、ウニが一番多く、サザエ、イカ類、タコ、ヒラメ、アワビ、サワラ、キス、フグ、ナマコの順となってい
る。脇田漁港の魚種別陸揚量は、イカ類が一番多く、全体の約半分を占めている。次いでウニ、タコ、ブリ、サザエ、タイ類、サワラ、
ヒラメ、メバル、スズキの順となっている。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
水環境、海洋生物への影響が少ないこと、及び影響範囲が計画地周辺に限られることから影響はないと評価されている。
電波障害 しろまる
【調査結果】
遮へい障害、反射障害については電波到来方向から、何れも障害予測ラインは海上となっている。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
遮蔽障害及び反射障害は伝搬の到来方向からTV電波障害は影響はないと評価されている。また重要無線通信伝搬路は伝搬路図から影響は
ないと評価されている。なお、TVのデジタル放送移行後に再予測評価が必要と指摘されている。
表 3.1.1-31(2) 調査・予測・評価結果(北九州市沖)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)42(2)NEDO 洋上ウィンドファーム フィージビリティ スタディ(秋田市沖・洋野町沖・鹿島灘・
旭市沖)
1)調査概要
当該洋上ウィンドファーム フィージビリティ・スタディは、実証のために単基での洋上風
力発電機建設を前提とした前出(1)の洋上風力発電フィージビリティ・スタディ(銚子沖・北
九州市沖)に対し、複数基かつ大規模な「ウィンドファーム」の建設を想定した FS である。
このため、FS 中で検討されている環境影響の評価についても、より広域かつ大規模な開発
を前提とした検討事例となっている。
本報告において取り上げた4候補海域の概要を以下に示す。
表 3.1.2-1 4候補海域の概要一覧(1)
項目 秋田市沖 洋野町沖
実施者 株式会社大林組、国際航業株式会社 エコ・パワー株式会社、東光電気工事株式会社、イ
ー・アンド・イーソリューションズ株式会社
発表時期 2012(平成 24)年 3 月 2012(平成 24)年 3 月
候補海域 秋田県秋田市の沿岸(沖合約 2 km) 岩手県洋野町の沿岸(沖合約 2 km)
候 補 海 域
の概要
にじゅうまる年平均風速は 6.7m/s 以上(ハブ高 70m)で、水
深は沖合 2km 程度で 15m から 20mの比較的浅
い海域が海岸線に平行に分布。
にじゅうまる海底上部は締まりのよい砂質、その下部はシルト
〜砂質。
にじゅうまる自然公園や海中公園の指定はない。
にじゅうまる候補海域は共同漁業権区及び秋田港港湾区域の一
部と重なっている。
にじゅうまる近傍の秋田市内には 3 ヶ所の変電所と秋田港に 66
kVの向浜線がある。沿岸の雄物川河口には既に
15 基の風力発電設備がある。
にじゅうまる年平均風速は 7.0m/s 以上(ハブ高 80m)で、水
深は沖合 2km 程度で 20m から 30mの比較的浅
い海域が海岸線に平行に分布。
にじゅうまる海底質は砂岩及び泥岩で、当該地形はリアス式海
岸で海底も複雑な地形。
にじゅうまる候補海域及び沿岸は公園区に指定されていない。
にじゅうまる候補海域沿岸から沖合約 4km までは漁業権が設
定されており、事業が難しい定置漁業権と第一種
区画漁業権もあるものの、多くは漁業者との調整
により事業が可能な第一種及び第二種共同魚漁権
である。
実 証 機 の
規模・基礎
工法
にじゅうまる×ばつ10〜20 基
にじゅうまるモノパイル形式
にじゅうまる×ばつ3.1 基
にじゅうまるモノパイル形式及びジャケット形式
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)43表 3.1.2-2 4候補海域の概要一覧(2)
項目 鹿島灘 旭市沖
実施者 エコ・パワー株式会社、東光電気工事株式会社、芙
蓉海洋開発株式会社
清水建設株式会社、株式会社ユーラスエナジーホー
ルディングス、国立大学法人東京大学
発表時期 2012(平成 24)年 3 月 2012(平成 24)年 3 月
候補海域 茨城県鹿嶋市の沿岸(沖合約 2 km) 千葉県旭市の沿岸(沖合約 5km)
候補海域の
概要
にじゅうまる年平均風速は 6.8m/s(高度 70m)で、水深は沖合
2km 程度で 15m から 20mで浅い平坦な海域が海
岸線に平行して広く分布。
にじゅうまる海底質は砂で、海底地形は平坦で単純。
にじゅうまる候補海域は公園区域に指定されていないが、近傍
の沿岸は水郷筑波国定公園に指定されている。
にじゅうまる候補海域は第一種共同漁業権が設定されている
が、定置漁業権と第一種区画漁業権は設定されて
いない。候補海域の陸側には貝類の採捕が禁止さ
れている保護水面がある。
にじゅうまる年平均風速は 6m/s(高度 72.3m)で、水深は沖合
5km 程度で 5m から 13mの比較的浅い海域が広
く分布。
にじゅうまる海底質は砂質土で、海底は等深線が汀線と並行な
平坦地形。
にじゅうまる自然公園として候補海域前面の沿岸が県立九十九
里自然公園に指定されている。
にじゅうまる候補海域は第 59 号共同漁業権(第 1 種及び第 3種)、第 60 号共同漁業権(第 1 種及び第 2 種)
が設定されている。
実証機の規
模・基礎工法にじゅうまる3 パターン(×ばつ15 基、3.5 ×ばつ9 ×ばつ15 基)のフィージビリティ・スタディを実施
にじゅうまるモノパイル形式
にじゅうまる×ばつ50 基
にじゅうまるモノパイル形式
2)自然条件
4候補海域においては洋上ウィンドファーム設置海域の選定に当たり、候補海域の自然条件
を把握するため、表 3.1.2-3 の項目について参考文献(既往調査資料・データ等)の収集・整
理を行っている。また、必要に応じて関係機関等へのヒアリングも実施されている。
各海域の自然条件整理項目数は秋田市沖で 20 項目、洋野町沖で 15 項目、鹿島灘で 18 項目
及び旭市沖で 19 項目となっているが、騒音・振動、動植物プランクトン、魚卵・稚仔魚、生
態系等の項目は取り上げられていない。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)44表 3.1.2-3 4 候補海域において対象とした自然条件項目
項目\候補海域 秋田市沖 洋野町沖 鹿島灘 旭市沖
気象 しろまる しろまる しろまる しろまる
海象 しろまる しろまる しろまる しろまる
海底地形・地質 しろまる しろまる しろまる しろまる
水質 しろまる しろまる しろまる しろまる
底質 しろまる しろまる しろまる しろまる
流況(海流・潮流) しろまる しろまる しろまる しろまる
騒音・振動 しろまる - しろまる -
水中騒音 - しろまる しろまる しろまる
電波障害 しろまる しろまる しろまる しろまる
景観 しろまる しろまる しろまる しろまる
動植物プランクトン しろまる - - しろまる
底生生物 しろまる しろまる しろまる しろまる
魚類等遊泳動物 しろまる しろまる しろまる しろまる
魚卵・稚仔魚 しろまる - - -
鳥類 しろまる しろまる しろまる しろまる
海棲哺乳類 しろまる しろまる しろまる しろまる
海草藻類・藻場 しろまる しろまる しろまる しろまる
潮間帯生物 - - しろまる しろまる
海棲爬虫類 しろまる - しろまる しろまる
生態系 - - - しろまる
漁業生物 しろまる しろまる しろまる しろまる
合計(しろまる印) 20 項目 15 項目 18 項目 19 項目
しろまる:自然条件整理の対象項目、-:対象外項目
以下に秋田市沖、洋野町沖、鹿島灘及び旭市沖における各種自然条件項目の概要と、それら
自然条件の整理方法・参考文献等についてとりまとめた。
【気 象】
気象については、主として候補地における発電量の推計及び設計条件の確定を目的に調査
が行われている。基本となるデータは地方気象台の観測データを用いてマイクロスケールモ
デルによる風況シミュレーションを実施しているものが多いが、
秋田市沖のように、
メソ客観
解析データと NEDO 風況予測モデル LOWEPS モデル(マイクロスケールモデル)を組み合
わせで候補海域風況を予測している事例も認められる。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)45表 3.1.2-4 4 候補海域における気象の概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 年平均風速 6.7m/s
(高度 77m)
最大風速 49.8m/s
メソ客観解析データと NEDO 風況予測モ
デル LOWEPS モデルを組み合わせで候補
海域風況を予測。
メソ客観解析データ、
NEDO 風況予測モデル
LOWEPS モデル
洋野町沖 年平均風速 6.3〜
6.39m/s (高度 70m)
最大風速 51.0m/s
風況シミュレーション(MASCOT)による
風況予測。
岩手県企業局観測デー
タ、
八戸特別地域気象観
測所データ
鹿島灘 年平均風速 7.1〜
7.3m/s (高度 70m)
最大風速 54.0m/s
風況シミュレーション(MASCOT)による
風況予測。
銚子地方気象台データ
旭市沖 年平均風速 6〜7m/s
(高度 72.3m)
最大風速 50.2m/s
風況シミュレーション(MASCOT)による
風況予測。
銚子地方気象台データ
【海 象】
海象についても気象と同様、風車・発電設備の設計基準を設定するために検討されており、
年平均有義波高、年平均有義波周期等が波浪観測点の月平均データを用いて算出されている。
算出方法については、洋上風力発電の技術マニュアル、港湾の施設の技術上の基準・同解説
等が参照されている。
表 3.1.2-5 4 候補海域における海象の概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 年平均有義波高 1.66
〜2.97m/s(定格風速
時の有義波高)
年 平 均 有 義 波 周 期
5.84〜7.51s(定格風
速時の有義波周期)
洋上風力発電の技術マニュアル等を参考
に算出。
洋上風力発電の技術マ
ニュアル、港湾の施設の
技術上の基準・同解説
(上巻)
洋野町沖 年 平 均 有 義 波 高
1.23m
年 平 均 有 義 波 周 期
7.40 秒
久慈波浪観測点・八戸波浪観測点におけ
る月平均値を採用した。
久慈波浪観測点・八戸波
浪観測点データ
(2001年
1 月〜2009 年 12 月)
鹿島灘 年 平 均 有 義 波 高
1.33m
年 平 均 有 義 波 周 期
8.11 秒
鹿島波浪観測点における月平均値を採用
した。
鹿島波浪観測点データ
(2001 年 1 月〜2007 年
12 月)
旭市沖 年平均有義波高 1.48
〜1.50m
年 平 均 有 義 波 周 期
7.70 秒
IEC・GL 基準に則って算出。 -
【海底地形・地質】
海底地形・地質については、
「日本全国沿岸海洋誌」、「5 万分の 1 沿岸の海の基本図・海底
地形地質調査報告書」等の既往調査資料に基づき海底地形・水深・土質等の把握・整理がなさ
れている。また、県土木部等によるボーリングデータが利用できた事例も認められる。
秋田市沖については、
既往調査資料をナローマルチビームソナー・音波探査実施のための基
礎資料として使用している。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)46表 3.1.2-6 4 候補海域における海底地形・地質の概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 水深は沖合 2km 程度で 15m か
ら 20mの比較的浅い海域が海
岸線に平行に分布
海底勾配 1/130 の一様な緩斜
面で等深線は海岸線とほぼ平
行。
上部は締まりのよい砂質、
その
下部はシルト〜砂質、
最下部は
N値 50 以上が期待される基
盤。
既往文献を基にして、
ナローマル
チビームソナー・音波探査を実
施。
5 万分の 1 沿岸の海の基
本図 秋田 海底地質構
造図(海上保安庁)
洋野町沖 水深は沖合 2km 程度で 20m か
ら 30mの比較的浅い海域が海
岸線に平行に分布
リアス式海岸の特徴である入
組んだ地形は南方に比べて弱
まるもの海底は複雑な地形。
底質は砂岩及び泥岩
既往文献を基にして、
候補海域の
海底地形・水深・土質の現況を整
理。・日本全国沿岸海洋誌(昭和 60 年 7 月)
・5 万分の 1 沿岸の海の
基本図 海底地形地質調
査報告書
(八木)
(海上保
安庁)
鹿島灘 水深は沖合 2km 程度で 15m か
ら 20mで浅い平坦な海域が海
岸線に平行して広く分布
海底地形は平坦で単純。
底質は砂。
既往文献を基にして、
候補海域の
海底地形・水深・土質の現況を整
理。
・5 万分の 1 沿岸の海の
基本図 海底地形地質調
査報告書
(犬吠崎)
(海上
保安庁,昭和 59 年 3 月)
・鹿島沖ボーリングデー
タ(茨城県土木部)
旭市沖 水深は沖合 5km 程度で 5m か
ら 13mの比較的浅い海域が広
く分布。
等深線が汀線と並行な平坦地
形。底質は砂質土。
既往文献を基にして、
候補海域の
海底地形・水深・土質の現況を整
理。
・5 万分の 1 沿岸の海の
基本図 海底地形地質調
査報告書
(犬吠崎)
(海上
保安庁,昭和 59 年 3 月)
・旭市沿岸域ボーリング
データ(千葉県ホームペ
ージ)
【水 質】
水質は、公共用水域水質観測データ等の既存データを用いた把握が行われている。
秋田市沖については「平成 21 年度秋田市の環境」より引用しているが、同引用値も基本的
には公共用水域観測データに基づいている。
水質項目は測定地点により異なるが、
主に表層における生活環境項目、
健康項目データにつ
いて把握・整理がなされている。特に COD と懸濁物質(SS)については、環境影響を把握す
る上でのベースラインとして重視される
(汚濁及び工事・事業実施時における底泥まきあげ等
の評価に係るベースラインとして使用)。採水層は候補海域によって異なり、秋田市は表層・水深 3m、洋野町沖及び鹿島灘は表層、
旭市沖は表層・下層の水質データが対象となっている。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)47表 3.1.2-7 4 候補海域における水質の概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 COD・透明度等の水質は良好。 秋田市における水質観測データ
を基に候補海域の現況を整理
平成 21 年度秋田市の環境
洋野町沖 COD 等は清浄な水質レベル 岩手県公共用水域水質観測デー
タを基に候補海域の現況を整理
岩手県公共用水域水質観
測結果(2005-2009 年度)
鹿島灘 SS は知手浜沖で 2-4mg/L の範
囲。
茨城県公共用水域水質観測デー
タを基に候補海域の現況を整理
茨城県公共用水域水質観
測結果(2001-2010 年度)
旭市沖 COD 表層は 0.6-1.8 mg/L の範囲千葉県公共用水域水質観測デー
タを基に候補海域の現況を整理
千葉県公共用水域水質観
測結果(2006-2010 年度)
【底 質】
底質については海上保安庁の「5 万分の 1 沿岸の海の基本図」を参照している事例が多い
が、
秋田市沖については、
秋田県農林水産技術センター水産振興センターにより測定報告がな
されており、同報告書の結果により底質状況を把握している。
表 3.1.2-8 4 候補海域における底質の概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 シルト・粘土分含有は少なく、細砂〜極細砂が大半占める。
既存文献を基に底質を確認。 H21 年度秋田県農林水産
技術センター水産振興セ
ンター事業報告書
洋野町沖 殆どが岩に覆われており、とこ
ろどころ中砂・粗砂が占める。
既存文献を基に底質を確認。 5 万分の 1 沿岸の海の基
本 図 ・ 八木 ( 海上 保 安
庁,H9 年 5 月)
鹿島灘 細砂で占められる。 既存文献を基に底質を確認。 5 万分の 1 沿岸の海の基
本図・犬吠崎(海上保安
庁,S59 年 3 月)
旭市沖 細砂で占められる。 既存文献を基に底質を確認。 5 万分の 1 沿岸の海の基
本図・犬吠崎(海上保安
庁,S59 年 3 月)
【流況(海流・潮流)】流況については、日本海洋データセンターの「海洋統計」
、海上保安庁の「5 万分の 1 沿岸
の海の基本図」及び「頻度統計分布図」等の他、
「日本沿岸海洋誌」、「続・日本沿岸海洋誌」
等を参照している事例がみられる。また、秋田市沖のように「秋田港港湾計画資料」や FS 報
告書等より引用している例、鹿島灘のように「茨城県水産試験場資料」から情報を補完してい
る事例等も認められた。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)48表 3.1.2-9 4 候補海域における流況の概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 平均大潮時で北流時・南流時とも
に上層 0.089、下層で 0.069m/s
程度、海流は対馬暖流が卓越す
る。
既存文献を基に沿岸域の流
況を整理。
・秋田港港湾計画資料(その1)改訂
(秋田港港湾管理者・
秋田県,平成 18 年 2 月)
・H20 年度洋上風力発電実
証研究 F/S 調査(NEDO・電
源開発,平成 21 年 3 月)
洋野町沖 卓越流向は岸に平行な S〜ESE
方向で、
親潮による影響を受けて
いる。
既存文献を基に沿岸域の流
況を整理。
・5 万分の 1 沿岸の海の基本
図海底地形地質報告書・八木
(海上保安庁)
・海流統計(日本海洋データ
センター)
・頻度統計分布図(海上保安庁)鹿島灘 流向は概ね海岸線に平行であり、
最大流速は 2.5kn(1.3m/s)と推
計。
既存文献を基に沿岸域の流
況を整理。
・海流統計(日本海洋データ
センター)
・日本沿岸海洋誌(1985)
・茨城県水産試験場資料
旭市沖 海流の流向は北東が卓越してお
り、流速は 1kn 以下が大半を占
めている。
潮流は南北方向が卓越
し、
海岸線に直行する向岸流と離
岸流が出現する。
流速は 10cm/s
以下が大半を占めている。
既存文献を基に沿岸域の流
況を整理。
続・日本沿岸海洋誌(1990)
【騒音・振動】
騒音・振動は、測定点や時期により差異が大きいことから、既存文献において援用可能な情
報を得ることが比較的難しい。このため、自治体により測定されているケース(秋田県沖)や
近傍域において環境影響評価等がなされている場合を除き、実測により現況を把握すること
も行われている(鹿島灘事例)。表 3.1.2-10 4 候補海域における騒音・振動の概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 対象海域沿岸部は工業専用地域
(C 類型)
であることから昼間は
60dB、夜間は 50dB が基準とな
る。
低周波音・振動に係る基準は
設けられてない。
既存文献を基に騒音・振動の
基準等を整理。
・平成 22 年度秋田市の環境
(秋田市)
・秋田市の都市計画 2008
(秋田市,平成 20 年 1 月)
洋野町沖 - - -
鹿島灘 近傍の住宅地においては、
騒音が
昼間が 49dBA、夜間が 42dBA、
超低周波音が中間 62-75dB、
夜間
が 60-66dB であった。
実際に近傍の住居地域にお
いて騒音・低周波音を測定。
(平日 1 日、24 時間測定)。環境基準との比較。
(実測)
旭市沖 - - -
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)49【水中騒音】
水中騒音の魚類への影響については、4 サイト中 3 サイトにおいて「水中騒音の魚類に及ぼ
す影響(畠山他,1997)
」が引用されている。他 1 サイト(秋田市沖)については FS 報告書中
の「連絡調整会議での主な意見」において、風車騒音による魚類への影響を懸念するが因果関
係を明確にするのは難しい旨の記述が認められるが、それ以上の言及はなされていない。
表 3.1.2-11 4 候補海域における水中騒音の概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 - - -
洋野町沖 - 既存文献を基に海中土木工事・風車稼働
に伴う水中騒音の現況(影響)を整理。
・水中騒音の魚類に及ぼす
影響(畠山他,1997)
鹿島灘 - 既存文献を基に海中土木工事・風車稼働
に伴う水中騒音の現況(影響)を整理。
・水中騒音の魚類に及ぼす
影響(畠山他,1997)
旭市沖 - 既存文献を基に海中土木工事・風車稼働
に伴う水中騒音の現況(影響)を整理。
・水中騒音の魚類に及ぼす
影響(畠山他,1997)等
【電波障害】
電波障害については、総務省や海上保安本部、
(社)デジタル放送推進協会、自衛隊等にお
いて重要無線の伝搬経路が確認可能であるが、
漁業無線については、
一般に取りまとめられた
情報源はなく、漁協等へのヒアリングによる把握が行われている。
表 3.1.2-12 4 候補海域における電波障害の概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 対象域は重要無線
(伝搬障害防止
区域)
の対象外であるが、
自衛隊
航空機洋上救難訓練海域に指定
されている。
また、
地上デジタル
放送電波
(秋田放送局)
のエリア
対象域に該当する。
漁業無線は統
一された周波数等無い。
既存文献を基に電波障害等
海域を整理。
・電波産業会での伝搬障害
防止区域閲覧結果
・第二管区海上保安本部海
洋情報部 HP 資料
・デジタル放送推進協会 HP
資料 等
洋野町沖 候補海域は
「伝搬防止区域」
には
含まれていない。
候補海域は放送エリアに含まれ
ていない。
漁業無線の周波数は 27MHz、沿
岸から 50km 以内において使用
既存文献を元に伝搬障害防
止区域並びに地上波デジタ
ルテレビ電波の中継地点と
放送エリアを整理。
漁業無線については、漁協へ
のヒアリング。
総務省関東綜合通信局、東
北総合通信局及び(社)電波
産業会資料
鹿島灘 候補海域は
「伝搬防止区域」
には
含まれていない。
候補海域の半分程度は銚子中継
所の放送範囲に含まれている可
能性が高い。
漁業無線の周波数は 27MHz 並び
に 40MHz を使用。
既存文献を元に伝搬障害防
止区域並びに地上波デジタ
ルテレビ電波の中継地点と
放送エリアを整理。
漁業無線については、漁協へ
のヒアリング。
総務省関東綜合通信局、東
北総合通信局及び(社)電波
産業会資料
(社)デジタル放送推進協
会資料
旭市沖 対象域は重要無線
(伝搬障害防止
区域)
の対象外である。
テレビ電
波、
漁業無線の遮蔽障害・反射障
害が生じる可能性は低い。
既存文献・関係者へのヒアリ
ングを基に電波障害につい
て整理
・総務省「電波伝搬障害防
止区域図閲覧システム」
・デジタル放送推進協会 HP
資料
・千葉県水産情報通信セン
ターの概要(千葉県水産情
報通信センター)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)50【景 観】
景観影響の把握については、自治体の景観計画、町(あるいは市)勢要覧、インターネット
等の観光情報等に基づき主要眺望点を選定した上で、
現地において写真撮影等を実施し、
眺望
点からの可視・不可視を確認している。
表 3.1.2-13 4 候補海域における景観の概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 天王グリーンランド天王スカイ
タワー展望台、
秋田ポートタワー
セリオン展望台、
勝平寺、
新屋海
浜公園、
浜田海水浴場を主要眺望
点に選定。
現地踏査・連絡調整会議意
見、秋田景観計画等を参考に
主要眺望選定を実施。
・秋田市景観計画
(秋田市,
平成 21 年 3 月)
洋野町沖 町勢要覧等から、
海岸が主要眺望
となる眺望点として、種差海岸、
津野浜海岸、
洋野町役場、
種市海
浜公園、窓岩、久慈平岳展望台、
宿戸海岸、
有家海岸、
北侍浜野営
場を選定。
主要眺望視点からの現地写
真撮影を実施。
・周辺市町村の観光情報
(ウェブ情報)
・洋野町町勢要覧
鹿島灘 観光地図から、
主要眺望視点とし
て、波崎ウィンドファーム展望
台、
シーサイドパーク、
波崎砂丘
植物公園、波崎海水浴場展望台、
海難漁民慰霊塔、
銚子ポートタワ
ーを選定。
主要眺望視点からの現地写
真撮影を実施。
・周辺市町村の観光情報
(ウェブ情報)
旭市沖 可視可能な範囲の公共共施設・観
光施設として、
地球の丸く見える
丘展望台、
外川漁港、
飯岡刑部岬
展望館を主要眺望点に選定。
既存文献を基に可視・不可
視・眺望範囲等の検討を行
い、主要眺望選定を実施。
・NEDO 風力発電導入ガイ
ドブック(2008)
・NEDO 風力発電のための
環境影響評価マニュアル等
【動物・植物プランクトン】
動物・植物プランクトンについては、
地域の水産センターや研究機関における既往調査資料
が活用されている。プランクトン類は、一般に海域の流れに大きく依存して分布・移動し、周
辺海域に広く分布するため、
洋上風車による影響は考えられないことから、
配慮書の段階で詳
細な検討対象から除外している例も認められる。
表 3.1.2-14 4 候補海域における動物・植物プランクトンの概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 植物プランクトンは夏季に珪藻
類、
秋季に珪藻類・渦鞭毛藻類が
増加する。
動物プランクトンはカ
イアシ類が多く出現する。
既存文献を基に動植物プラン
クトンの分布状況を整理。
平成 21 年度秋田県農林水
産技術センター水産振興セ
ンター事業報告書(秋田県
水産振興センター)
洋野町沖 - - -
鹿島灘 - - -
旭市沖 対象域は黒潮と親潮分岐の混合
潮境に当たるため、
動植物プラン
クトン等一次生産が著しい。
既存文献を基に動植物プラン
クトンの分布状況を整理。
千葉県の自然誌 本編 7 千
葉県の動物 2(千葉県史料
研究財団,2000)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)51【底生生物】
底生生物については、
地域の農林水産技術センターや博物館、
研究機関等により調査がなさ
れている事例もあるが、既往調査結果が確認できず、調査実施が必要と判断された。
(洋野町沖)表 3.1.2-15 4 候補海域における底生生物の概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 候補海域近傍では端脚類、多毛
類、二枚貝類などが多出現する。
既存文献を基に候補海域に
おける底生生物の分布状況
を整理。
平成 21 年度秋田県農林水
産技術センター水産振興セ
ンター事業報告書(秋田県
水産振興センター)
洋野町沖 底魚、貝類、タコ類、ホヤ類、ウ
ニ類等の岩礁性の生物が考えら
れるが、調査が必要。
既存文献に基づいて整理を
試みたが、特に見つからなか
った。
鹿島灘 候補海域に生息すると推定され
た種はウミサボテン、
ヒトデ、ウニ、ハマグリなど 251 種あった。
無脊椎動物として、既存資料
を元に生息していると思わ
れる種を推定。
・鹿島灘沿岸のヘッドラン
ド及び茨城県央沿岸域の海
産無脊椎動物(茨城県自然
博物館、2010)
旭市沖 砂浜域においてはイソギンチャク類、多毛類、
二枚貝類(ヒメバカガイ)、
甲殻
類等が多い。
既存文献を基に候補海域に
おける底生生物及び希少種/
貴重種の生息状況を整理。
・続・日本全国沿岸海洋誌
(1990)
・銚子半島の磯漁場に関す
る調査(千葉大文理学部銚
子臨海研究所報告,1965 年)等【魚類等遊泳動物】
魚類等の遊泳動物については、
地域の農林水産技術センターや博物館、
研究機関等による調
査結果を用いて対象海域での生息状況を整理している。
表 3.1.2-16 4 候補海域における魚類等遊泳動物の概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 候補海域周辺では、
ハタハタ・マ
ダラ・カレイ等が多く確認されて
いる。
既存文献を基に候補海域に
おける魚類等遊泳動物の生
息状況を整理。
平成 21 年度秋田県農林水
産技術センター水産振興セ
ンター事業報告書(秋田県
水産振興センター)
洋野町沖 サケ類、
カツオ、
メバル等が確認
されている。
既存文献データを元に魚類
を整理した。
・岩手県水産技術センター
のホームページ
・岩手の魚類図鑑
鹿島灘 魚種としては、スズキ目の 110
種、
フグ目の 23 種など、
合計 252
種が生息されていると推定され
た。このうち、貴重種としては、
川と海を行き来している 4 種の
貴重種が含まれている。
既存資料を元に候補海域の
水深で生息すると推定され
る魚種を整理。
・茨城県自然博物館第 2 次
総合調査報告書 鹿島灘の
魚類(茨城県自然博物館、
2001)
・日本版魚類検索 前主の
同定 第 2 版(中坊編、
2001)
旭市沖 候補海域の浅海域ではタイ科、ニベ科、ヒラメ科等。107 種の魚類
が確認されている。
既存文献を基に候補海域に
おける魚類等遊泳動物の生
息状況を整理。
銚子地方の魚類第 2 報(千
葉 大 銚 子 臨 海 研 究 所 報
告,1963 年)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)52【魚卵・稚仔魚】
魚卵・稚仔魚については、前出の魚類等遊泳動物と同様に、地域の農林水産技術センターや
研究機関における有用種・重要種等の産卵場あるいは魚卵・稚仔魚調査等の既往調査資料が活
用されている。魚卵・稚仔魚は一般に海域の流れによって分布・移動し、周辺海域に広く分布
するため、
洋上風車による影響は考えられないことから、
配慮書の段階では詳細な検討対象か
ら除外している事例が認められる。
表 3.1.2-17 4 候補海域における魚卵・稚仔魚の概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 候補海域周辺では、
ハタハタ・イ
シカレイ等の稚魚が多く確認さ
れている。
既存文献を基に候補海域に
おける魚卵・稚仔魚の生息状
況を整理。
平成 21 年度秋田県農林水
産技術センター水産振興セ
ンター事業報告書(秋田県
水産振興センター)
洋野町沖 - - -
鹿島灘 - - -
旭市沖 - - -
【鳥 類】
鳥類については各地域における既存調査資料の他、博物館、レッドデータブック、日本野鳥
の会等による調査結果を使用して分布状況や特性を把握している。
また、
必要に応じて有識者
へのヒアリングにより情報の補完を図っている(秋田市沖、旭市沖)。表 3.1.2-18 4 候補海域における鳥類の概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 候補海域周辺にはユリカモメ・コ
アジサシ・ウミツバメ・ウミガラス・
ウミスズメ等が時期に応じて
出現する。
既存文献を基に候補海域に
おける鳥類の種・法令等対象
を整理するとともに、有識者
へのヒアリングを実施。
・秋田市の野鳥(秋田市)
・秋田県の野鳥百科(小笠
原, 1984)
洋野町沖 ミズナギドリ、
ヒメウ、
オジロワ
シ、
カモメ類などが岩手県沿岸種
としてあげられる。
当該海域での既存文献がな
いことから、環境庁の鳥類メ
ッシュ図と岩手県レッドデ
ータブックリストを照らし
合わせて予測対象種を選定。
・第 3 回自然環境基礎調査
動植物分布調査報告書 鳥
類 鳥類メッシュ図(環境
庁、1988)
・岩手県レッドデータリスト鹿島灘 シギ・チドリ類 55 種、カモメ類
21 種、カモ科 19 種、ミズナギド
リ類 19 種、カイツブリ科 5 種、
アビ科 3 種が文献により確認さ
れた。
ミズナギドリ以外は冬鳥で
ある。
候補海域周辺においてみら
れる鳥類について既存資料
を基に抽出し、貴重種の有
無、種ごとの生態、営巣地や
採餌場等の利用形態を整理
した。
・茨城県版レッドデータブ
ック
・茨城県自然博物館第2次
総合調査報告書 鹿島など
の鳥類(茨城県海産動物研
究会、2001)
・日本野鳥の会茨城支部報
「ひばり」
旭市沖 候補海域周辺の代表的な海鳥類
はミズナギトリ類・ペリカン類・
カモ類・チドリ類が挙げられる。
既存文献を基に候補海域に
おける鳥類の種・法令等対象
を整理するとともに、有識者
へのヒアリングを実施。
・新川から南白亀川までの
九十九里浜の鳥類(我孫子
市鳥の博物館調査研究報
告,2006)
・利根川下流部鳥類目録
(千葉県立大利根博物館調
査研究報告、1987)等
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)53【海棲哺乳類】
海棲哺乳類については、
(財)日本鯨類研究所のストランディングデータによる把握を行っ
ている事例の他、水産総合研究センター等の研究機関や県農林水産部等の資料を利用してい
る事例が認められる。
表 3.1.2-19 4 候補海域における海棲哺乳類の概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 ツチクジラ・シャチの分布が考え
られるが、
沿岸域での遊泳の可能
性は低い。
また、
オオギハクジラ・
カマイルカ等の座礁・漂着が確認
されている。
既存文献を基に候補海域に
おける海棲哺乳類の生息・分
布状況を整理。
・平成 22 年度国際漁業資
源の現況
(水産総合研究セ
ンター)
・秋田県沿岸に座礁・漂着
した小型鯨類
(秋田県農林
水産部水産漁協課資料)
洋野町沖 ミンククジラのストランディン
グ記録が多い。
ストランディングデータに
より整理
ストランディングデータ((財)日本鯨類研究所)
鹿島灘 オガワマッコウのストランディ
ング記録が多い一方、
スナメリの
生息も確認されている。
ストランディングデータに
より整理するとともに、スナ
メリの分布状況をヒアリン
グ等により整理。
ストランディングデータ((財)日本鯨類研究所)
旭市沖 候補海域周辺にはスナメリ等小
型鯨類等が確認されている。
既存文献を基に候補海域に
おける海棲哺乳類の生息状
況や生態等を整理。
・千葉県の自然誌 本編 7
千葉県の動物 2(千葉県史
料研究財団,2000)等
【海草藻類・藻場】
海草藻類・藻場については、環境省がまとめている「海域自然環境基礎調査」、「海域生物環
境調査」等報告書の他、県や研究機関により行われた調査の結果を利用している事例もある
(秋田市沖、旭市沖)。表 3.1.2-20 4 候補海域における海草藻類・藻場の概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 秋田市沿岸及び沖合において
は主要な藻場等は確認されて
いない。
既存文献を基に候補海域
における海草藻類等の分
布状況を確認。
第 4 回自然環境保全基礎調査 秋田
県自然環境情報図
洋野町沖 主としてコンブ場が多いが、総計 7 カ所、
総面積 358.7ha が確
認された。
既存資料を基に整理。 ・海域自然環境基礎調査 重要沿岸
域生物報告書
(環境省、
平成 9-13 年度)・海域生物環境調査報告書 第 2 巻
藻場(環境省、平成 1-4 年度)
鹿島灘 候補海域は砂浜海岸であり、藻場は確認されなかった。
既存資料を基に整理。 ・海域自然環境基礎調査 重要沿岸
域生物報告書
(環境省、
平成 9-13 年度)・海域生物環境調査報告書 第 2 巻
藻場(環境省、平成 1-4 年度)
旭市沖 候補海域北部の銚子半島では
ウシケノリ・イワヒゲ・オオバ
モク等の海藻類が出現する。
既存文献を基に候補海域
における海草藻類・藻場
の分布状況及び希少種/
貴 重 種 の生 息 状況 を 整
理。
・銚子海岸岩礁潮間帯における生
物群集の帯状分布と遷移(千葉大
文理学部銚子臨海研究所報告,1979年)・千葉県の自然誌 本編 4 千葉県
の植物(千葉県史料研究財団編、
1998 年)等
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)54【潮間帯生物】
潮間帯生物については、地域の研究機関等における既往調査資料が活用されている(旭市沖)。潮間帯生物は、広く分布していることから、配慮書段階で詳細な検討項目として選定し
ない事例も認められる。
表 3.1.2-21 4 候補海域における潮間帯生物の概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 - - -
洋野町沖 - - -
鹿島灘 - - -
旭市沖 ムラサキインコガイ、
イワフジツ
ボ等が分布する。
既存文献を基に候補海域に
おける潮間帯生物の生息状
況を整理。
・銚子海岸岩礁潮間帯にお
ける生物群集の帯状分布と
遷移(千葉大文理学部銚子
臨海研究所報告,1979 年)
・千葉県の自然誌 本編 4
千葉県の植物(千葉県史料
研究財団編、1998 年)等
【海棲爬虫類】
海棲爬虫類は地方の自然誌や水産総合研究センター等研究機関、レッドデータブック等に
より生息、
分布等の確認が可能である。
海棲爬虫類のうちウミガメ類は一般に温帯域以南に分
布し、砂質海岸を産卵場としているため、岩礁海域等における出現事例・知見等が少ない場合
が多い。
表 3.1.2-22 4 候補海域における海棲爬虫類の概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 秋田市沿岸で回遊アカウミガメ
等の打ち上げが確認されている
が、
ウミガメ類の産卵場は確認さ
れていない。
既存文献を基に候補海域に
おける海棲爬虫類の生息・分
布状況を整理。・平成 22 年度国際漁業資源
の現況(水産総合研究セン
ター)
・秋田の自然誌
(本郷敏夫)
洋野町沖 - - -
鹿島灘 アカウミガメの産卵が確認され
ている。
既存文献、ヒアリング等によ
り確認
・茨城県版レッドデータブ
ック
旭市沖 候補海域周辺ではアカウミガメ
の上陸が確認されている。
・千葉県の自然誌 本編 7
千葉県の動物 2
(千葉県史料
研究財団,2000)等
【漁業生物】
漁業生物については、
農林水産統計等の他、
水産技術センター等の研究機関、
地域の農政局、
自治体農林水産関連部署等においても情報が存在する可能性がある。
また、漁法や漁種等については、地元漁協へのヒアリングにより情報が収集され、整理され
ている。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)55表 3.1.2-23 4 候補海域における漁業生物の概要
候補海域 地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市沖 候補海域は共同漁業権区域指定
され、
春〜秋に刺し網によるカニ
漁、11 月〜12 月にハタハタ漁が
操業されている。
既存文献を基に漁業従事者
数・経営体数、操業されてい
る漁業及び漁場図、漁獲量を
整理・平成 23 年度秋田県水産関
係施策の概要
・秋田市農村振興課地域農
業推進室資料
・秋田県農林水産技術セン
ター提供資料(平成 22 年)
洋野町沖 候補区域は協同漁業権区域指定
され、主にサケ類、スルメイカ、
マダラ、タコ類、ウニ類、コンブ
類、
ウニ類の漁獲が多く、
主要な
漁法としては、いかり止底刺網、
潜水、
刺網、
ハエ縄で実施されて
いる。
既存文献を元に漁獲量を調
べ、周辺漁業協同組合に対し
て対象魚種、両方、漁期、漁
場についてアンケートを実
施。
岩手県農林水産統計年鑑
(東北農政局岩手農政事務所)鹿島灘 候補区域は協同漁業権区域指定
され、
主にしらす、
さよりなどは
船引き網、
いなだ、
たい等の流し
網、
ヒラメ、
カレイなどの固定刺
網、あなごやバイガイ等の筒や
籠、
ハマグリは貝けた網、
カツオ
などは一本釣りや引き縄が実施
されている。
既存資料などにより漁獲量
並びに漁期を調べ、神栖市及
び地元漁協へのヒアリング
により漁法や魚種などを整
理した。
・茨城の水産
・関東農政局茨城農政事務
所資料
旭市沖 候補海域は共同漁業権区域指定
され、
主に貝類や海藻類の採取が
行われている。
既存文献を基に漁業従事者
数・経営体数、操業されてい
る漁業及び漁場図、漁獲量を
整理
・千葉県農林水産統計年報
(関東農政局千葉農政事務所)・千葉県における漁業権の
概要(千葉県農林水産部水
産局,2008 年)等
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)563)社会条件
当該洋上ウィンドファーム フィージビリティ・スタディ(FS)では、候補海域における法
的な規制あるいは社会的制約を把握するため、関連する法令・条例等に係る既往調査資料の収
集整理及び関係機関等へのヒアリングを実施している。下表に秋田市沖、洋野沖、鹿島灘及び
旭市沖の地域特性を基に関連法令の概要を整理した。
表 3.1.2-24 4海域における関連法令整理の概要
項目 細項目 秋田市沖 洋野町沖 鹿島灘 旭市沖
一般法規 ・電気事業法
・建築基準法
・国有財産法
・電波法
・消防法
・ 国土利用計画法及び国土形成計画法
・道路法
・道路交通法
・道路運送車両法
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
くろまる
にじゅうまる
くろまる---にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
くろまる--------
くろまる--
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
くろまる-----航行安全 ・航路標識法
・海上交通安全法
・航空法
・海上衝突予防法
にじゅうまる-にじゅうまる-にじゅうまる
くろまる
にじゅうまる-にじゅうまる
くろまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
くろまる
にじゅうまる-港湾・海岸 ・港湾法
・港則法
・海岸法
・海洋汚染等及び海上災害の防止に
関する法律
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
くろまる
くろまる
にじゅうまる
にじゅうまる
くろまる-にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
水産関連 ・漁業法
・漁港漁場整備法
・水産資源保護法
・公共用地の取得に伴う損失補償
基準要綱(漁業権)
にじゅうまる
くろまる
くろまる-にじゅうまる
にじゅうまる
くろまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる-にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる-自然保護・景観・自然公園法
・自然環境保全法
・環境基本法
・環境影響評価法
・景観法
・絶滅のおそれのある野生動植物の
種の保存に関する法律
・鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関す
る法律
・文化財保護法
くろまる
くろまる
にじゅうまる-くろまる
くろまる
くろまる
くろまる
くろまる
くろまる
にじゅうまる-くろまる
くろまる
くろまる-くろまる
くろまる--
くろまる----
にじゅうまる
くろまる-にじゅうまる
にじゅうまる
くろまる
くろまる
くろまる-にじゅうまる:地域特性を基に法令等を確認した結果、実証海域で適用される項目、くろまる:適用されない項目
-:確認されていない項目
前述のように環境影響評価法については、2012 年 10 月に改正され規模 1 万 kW 以上の風
力発電は第一種、7500kW 以上 1 万 kW 未満は第二種事業として環境影響評価の対象となっ
たことから、上記の 4 ケースについては、全て環境影響評価法の適用対象となるが、ここで取
り上げた FS 調査は平成 23 年度に実施されていることから、法改正については反映されてい
ない。尚、環境影響評価法以外には大きく内容の変更を伴うものはない。
以下に各サイトにおける法令の対応状況について示す。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)571 秋田市沖
秋田市沖における主な関係法令について下表に示す。
表 3.1.2-25 秋田市沖における関連法令整理の概要
分類 法令
法令の適用区域
または該当条件
秋田県条例・規則
適用
有無
一般法規 電気事業法 500kW 以上の風力発電 ― 有
建築基準法 15m 以上の木柱・鉄柱その他類
する工作物
― 有
国有財産法 海域(一般)の占有 秋田県法定外公共用財産の使用
等に関する条例有電波法 電波伝搬障害防止区域 ― 無
消防法 難燃性や不燃性建材の使用 ― 無
国土利用計画法及び国土
形成計画法
注視区域、監視区域 ― 無
航行安全 航路標識法 港湾区域 ― 有
航空法 地表または水面から 60m以上の
高さの物件
― 有
港湾
・ 海岸 港湾法 港湾区域 秋田県港湾管理条例、港湾区域
内及び港湾隣接地域内における
工事等の規制に関する規則有港則法 特定港(秋田船川港) ― 有
海岸法 海岸保全区域、一般公共海岸区域千葉県海岸管理規則 有
海洋汚染等及び海上災害
の防止に関する法律
海洋施設の設置 ― 有
水産 漁業法 共同漁業権区域 ― 有
漁港漁場整備法 漁港区域 秋田県漁港管理条例 無
水産資源保護法 保護水面の区域 秋田県漁業調整規則 無
自然保護・景観自然公園法 国立公園、
国定公園、
都道府県立
自然公園
秋田県立自然公園条例 無
自然環境保全法 原生自然環境保全地
域、自然環境保全地域、
緑地環境保全地域
秋田県自然環境保全条例 無
環境影響評価法 電気事業法に規定する事業用電
気工作物の設置
秋田県環境影響評価条例 有
景観法 景観計画区域 ― *
絶滅のおそれのある野生
動植物の種の保全に関す
る法律
生息地等保護区 ― 無
鳥獣の保護及び狩猟の適
正化に関する法律
鳥獣保護区 ― 無
*:事前相談が必要
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)582 洋野町沖
洋野町沖における主な関係法令について下表に示す。
表 3.1.2-26 洋野町沖における関連法令整理の概要
分類 法令
法令の適用区域
または該当条件
岩手県条例・規則
適用
有無
一般法規 電気事業法 500kW 以上の風力発電 ― 有
建築基準法 60mを超える工作物 ― 有
国有財産法 海域の占有 国土交通省所管公共用財産管
理規則、
使用料及び手数料条例有電波法 電波伝搬障害防止区域(31m
以上の高層建築物等)
― 無
航行安全 航路標識法 航路標識の機能障害となりう
る建築物
― 有
航空法 地表または水面から 60m 以上
の高さの物件
― 有
港湾・ 海岸港湾法 港湾区域
(港湾隣接地域を含む 岩手県港湾施設管理条例
岩手県港湾施設管理条例施行
規則無港則法 政令で定められた特定港(県
内:釜石港)
― 無
海岸法 海岸保全区域、
一般公共海岸区域海岸法施行細則(岩手県) 有
海洋汚染等及び海上災害
の防止に関する法律
海洋施設の設置 ― 有
水産 漁業法 漁業権の設定 ― 有
漁港漁場整備法 漁港区域 漁港漁場整備法施行細則 有
水産資源保護法 保護水面の区域
(港湾区域を除く)岩手県漁業調整規則 無
自然保護・
景観
自然公園法 国立公園、国定公園、都道府県
立自然公園
岩手県立自然公園条例 無
自然環境保全法 原生自然環境保全区域、
自然環
境保全区域
岩手県自然環境保全条例 無
環境影響評価法 出力 1 万 kW 以上の風力発電
施設は第 1 種、7,500kW 以上
1 万 kW 未満は第 2 種事業
岩手県環境影響評価条例 有
景観法 景観計画区域 岩手の景観の保全と創造に関
する条例施行規則有絶滅のおそれのある野生
動植物の種の保存に関す
る法律
生息地等保護区 ― 無
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)593 鹿島灘
鹿島灘における主な関係法令について下表に示す。
表 3.1.2-27 鹿島灘における関連法令整理の概要
分類 法令
法令の適用区域
または該当条件
茨城県条例・規則
適用
有無
一般法規 電波法 電波伝搬障害防止区域 ― 無
道路法 道路の指定・認定、管理 ― 有
道路交通法 幅、重量、高さ、長さ等の最高
限度
― 有
道路運送車両法 輸送車両保安基準 ― 有
― 発電規模が 100 キロワット以
上の風力発電施設及び送電線
その他の附帯施設
神栖市風力発電施設建設に関
する取扱い要項有航行安全 航路標識法 港湾区域 ― 有
海上衝突予防法 水上輸送の用に供する船舟類 ― 有
海上交通安全法 東京湾、伊勢湾、瀬戸内海の 3
海域
― 無
航空法 地表または水面から 60m 以上
の高さの物件
― 有
港湾・ 海岸港湾法 港湾区域 茨城県港湾施設管理条例、茨
城県港湾施設管理条例施行規則無
海岸法 海岸保全区域、
一般公共海岸区域茨城沿岸海岸保全基本計画有
海洋汚染等及び海上災害
の防止に関する法律
海洋施設の設置 ― 有
水産 漁業法 共同漁業権区域 ― 有
漁港漁場整備法 漁港区域 茨城県漁港管理条例 有
水産資源保護法 保護水面の区域 茨城県海面漁業調整規則 有
自然保護・
景観
環境基本法 環境基準設定、環境基本計画
策定
茨城県環境基本計画 有
自然環境保全法 原生自然環境保全地
域、自然環境保全地域、
緑地環境保全地域
茨城県自然環境保全条例 無
自然公園法 国立公園、国定公園、都道府県
立自然公園
茨城県立自然公園条例 無
景観法 景観計画区域 茨城県景観形成条例 有
環境影響評価法 電気事業法に規定する事業用
電気工作物の設置
茨城県環境影響評価条例 有
文化財保護法 国指定文化財 神栖市天然記念物 無
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)604 旭市沖
旭市沖における主な関係法令について下表に示す。
表 3.1.2-28 旭市沖における関連法令整理の概要
分類 法令
法令の適用区域
または該当条件
千葉県県条例・規則
適用
有無
一般法規 電気事業法 500kW 以上の風力発電 ― 有
建築基準法 15m 以上の木柱、
鉄柱、
鉄筋コ
ンクリート製の柱、
その他これ
に類する工作物
― 有
国有財産法 海域の占有 国土交通省所管公共用財産管
理規則、
使用料及び手数料条例有電波法 電波伝搬障害防止区域 ― 無
航行安全 航路標識法 航路標識の機能障害となりう
る建築物
― 有
海上交通安全法 東京湾、伊勢湾、瀬戸内海の 3
海域
― 無
航空法 地表または水面か 60m 以上の
高さの物件
― 有
港湾・ 海岸港湾法 港湾区域
(港湾隣接地域を含む 千葉県港湾管理条例、
港湾区域
内及び港湾隣接地域内におけ
る工事等の規制に関する規則無港則法 政令で定められた特定港(県
内:木更津港、千葉港)
― 無
海岸法 海岸保全区域、
一般公共海岸区域千葉県海岸管理規則 有
海洋汚染等及び海上災害
の防止に関する法律
海洋施設の設置 ― 有
水産 公共用地の取得に伴う損
失補償基準要綱
漁業権 ― 有
漁港漁場整備法 漁港区域 千葉県漁港管理条例 有
水産資源保護法 保護水面の区域
(港湾区域を除く)千葉県海面漁業調整規則 無
自然保護・
景観
自然公園法 国立公園、国定公園、都道府県
立自然公園
千葉県立自然公園条例 有
自然環境保全法 原生自然環境保全区域、
自然環
境保全区域
千葉県自然環境保全条例 無
環境影響評価法 電気事業法に規定する事業用
電気工作物の設置
千葉県環境影響評価条例 有
景観法 景観計画区域 ― 有
絶滅のおそれのある野生
動植物の種の保存に関す
る法律
生息地等保護区 ― 無
鳥獣の保護及び狩猟の適
正化に関する法律
鳥獣保護区 ― 無
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)614) 実証研究予定海域の選定
1 秋田市沖サイト
本候補海域内を管轄する秋田県漁協、
秋田県、
海上保安部等関係部局との事前協議を実施し、
下記の協議結果から事業予定地点が選定されている。
にじゅうまる 秋田県漁協、秋田県、東北地方整備局から形成される連絡調整会議を設け、事前協議を実
施している(2010 年 9 月 21 日、11 月 21 日、2011 年 2 月 22 日)。にじゅうまる 風車配置等事業性の観点から簡易ウエイク影響モデルにより複数案
(6ケース)
の検討を
実施し、事業予定海域の候補を選定している。
図 3.1.2-1 事業予定海域の選定(秋田市沖)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)622 洋野町沖サイト
本候補海域内を管轄する岩手県、海上保安部等関係部局への事前確認を実施し、風車ウエイ
クや灯台への影響等の観点から下記の事業予定候補地点が選定されている。
図 3.1.2-2 事業予定海域の選定(洋野町沖)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)633 鹿島灘サイト
本候補海域内を管轄する茨城県神栖市、海上保安部、はさき漁協等関係部局への事前確認
(2011 年 9 月 22 日、2012 年 1 月 24 日、25 日)を実施し、風車ウエイク等の観点から下記
の事業予定候補地点が選定されている。
図 3.1.2-3 事業予定海域の選定(鹿島灘)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)644 旭市沖サイト
本候補海域内を管轄する千葉県、千葉県漁連、海匝漁協、海匝土木事務所等関係部局への事
前確認(2011 年 10 月 11 日、14 日、20 日、28 日、11 月 22 日)を実施し、漁業への影響の
観点等から下記の事業予定候補地点が選定された。
図 3.1.2-4 事業予定海域の選定(旭市沖)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)65工事
用資
材等
の運
搬出入建設
機械
の稼働造成
等施
工等
による
一時
的な
影響
地形
改変
及び
施設
の存在施設
の稼働窒素酸化物 * * ×ばつ
粉じん等 * * ×ばつ
騒音 * * * しろまる
超低周波音 * * * しろまる
振動 振動 * * ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。
水質 水の濁り * * しろまる 生活環境・人の健康影響項項目
底質 有害物質 * ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。
地形及び
地質
重要な地形及び地質 * ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。。
風車の影 * しろまる 魚類等への影響
水中音・海底地盤振動 しろまる 建設施設稼働に伴う稼働時騒音
* ―*底生生物
しろまる
工事中の底土の巻き上げによる濁り影響。*魚類
しろまる
工事中の底土の巻き上げによる濁り影響。*海棲哺乳類
しろまる
工事中の騒音振動による影響。*鳥類
しろまる
バードストライク等による生息環境に影響。
* * ―* *海藻草類
しろまる
工事中の底土の巻き上げによる濁り影響。
* 〇 注目種等への影響
* しろまる 主要展望地点の眺望景観の影響。
* * 〇 遊漁等への影響
産業廃棄物 * ×ばつ
残土 * ×ばつ
しろまる 漁業への影響
しろまる テレビ電波受信への影響。
注) *:発電所アセス省令の別表五で取り上げられている参考項目と影響要因の区分付け 空欄:未検討項目
環境要素の区分 影響要因の区分
環境影響評価法(風力発電)NEDO平成23年度
洋上WFF/S
調査
(秋田市沖
サイト)
参考項目(主に別表第五より作成)
工事の実施
土地又は工
作物の存在
及び供用
環境影響評価に係る参考項目の選定理由
考慮されていないため、選定されていない。
騒音・超
低周波音
建設施設稼働に伴う稼働時騒音**
環境の自然
構成要素の
良好な状態
の保持を旨
として、調
査、予測及
び評価され
るべき環境
要素大気環境
大気質水環境その他の環境その他
生物の多様
性の確保及
び自然環境
の体系的保
全を旨とし
て調査、予
測及び評価
されるべき
環境要素
動物
重要な種及び注目すべき生
息地(海域に生息するものを
除く。)
植物
重要な種及び重要な群集(海
域に生育するものを除く。)
生態系
地域を特徴づける生態系(陸域)*
人と自然との
豊かな触れ合
いの確保を旨
として調査、
予測及び評
価されるべき
環境要素
景観
主要な眺望点及び観光資源
並びに主要な眺望景観
人と自然との触れ
合いの活動の場
主要な人と自然との触れ合い
の活動の場
『電波障害』
【NEDO WFF/S調査】 空欄:未検討項目 しろまる:洋上風力発電に係る環境影響評価の選定項目 ×ばつ:洋上風力発電に係る環境影響評価の未選定項目 『』内の項目:法アセスの参考項目には該当していない項目
環境への負
荷の量の程
度により予測
及び評価され
るべき環境要素考慮されていないため、選定されていない。。
『漁業生物』
廃棄物等
5)調査の対象範囲と参考項目
秋田市沖サイト、洋野町沖サイト、鹿島灘サイト、旭市沖サイトの洋上風力発電事業予定地
点周辺の自然条件、洋上風力実証研究設備の工事・稼働時等の影響を踏まえて、概略の環境影
響評価の参考項目の抽出を行った。以下に当該4サイトの参考項目の選定理由を整理した。
1 秋田市沖サイト
秋田市沖サイトにおける参考項目の選定理由について下記に示す。
当該サイトでは、
「風力発電のための環境影響評価マニュアル第 2 版(NEDO)」、
「風力発電
施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会報告書(環境省,平成 23 年)」、
「発電
所に係る環境影響評価の手引き(経済産業省,平成 19 年)」、
「港湾分野の環境影響評価ガイド
ブック 1999(港湾空間高度化センター)
」を基にして、騒音、低周波音、水の濁り、水中音、
海底地盤、動物・植物、生態系、景観、シャドーフリッカー、電波障害等を取り上げている。
表 3.1.2-29 秋田市沖サイトにおける参考項目の選定
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)66工事用
資材等
の運搬
出入
建設機
械の稼働造成等
施工等
による
一時的
な影響
地形改
変及び
施設の
存在
施設の
稼働
窒素酸化物 * * ×ばつ
粉じん等 * * ×ばつ
騒音 * * * ×ばつ
超低周波音 * * * ×ばつ
振動 振動 * * ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。
水質 水の濁り * * しろまる
工事において、一部の底土の巻き上げ等により若干濁りが発生し周辺の水質環境に変化を及ぼ
すことが考えられるため選定。
底質 有害物質 * しろまる
工事において、一部の底土の巻き上げ等により若干濁りが発生し周辺の水質環境に変化を及ぼ
すことが考えられるため選定。また施設の存在による流況への影響が底質・地形環境に変化を
及ぼすことが考えられるため選定。
地形及び
地質
重要な地形及び地質 * ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。。
風車の影 * ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。。
水中音・海底地盤振動 しろまる
工事に伴い発生する騒音により水中の音環境に変化を及ぼすことが考えられるため選定。また
施設の供用に伴い発生する騒音により水中の音環境に変化を及ぼすことが考えられるため選
定。
* ―*潮間帯生物
しろまる
海底ケーブル工事の際に一部の底土の巻き上げ等による若干濁りが発生及び沿岸一部の地形
の改変により生息環境に変化を及ぼすことが考えられるため選定。施設の供用による海底ケー
ブル設置に伴い生息場が消失する可能性があるため選定。*底生生物
しろまる
工事において、一部の底土の巻き上げ等により若干濁りが発生により生息環境に変化を及ぼす
ことが考えられるため選定。また施設の供用による海底ケーブル設置に伴い生息場が消失する
可能性があるため選定。*魚介類
しろまる
工事において、一部の底土の巻き上げ等により若干濁りが発生及び騒音による生息環境に変化
を及ぼすことが考えられるため選定。また施設の存在による集魚効果や騒音が生息環境に変化
を及ぼすことが考えられるため選定。*海棲哺乳類
しろまる
工事において、騒音による生息環境に変化を及ぼすことが考えられるため選定。また施設の供用
による騒音が生息環境に変化を及ぼすことが考えられるため選定。*鳥類
しろまる
施設の稼働に伴い、バードストライク等が考えられるため選定。
* * ―* *藻場
しろまる
海底ケーブル工事の際に一部の底土の巻き上げ等による若干濁りが発生及び沿岸一部の地形
の改変により生息環境に変化を及ぼすことが考えられるため選定。施設の供用による海底ケー
ブル設置に伴い藻場が消失する可能性があるため選定。
* 〇
工事に伴い発生する濁りや騒音により環境に変化を及ぼすことが考えられるため選定。また施設
の存在や供用に伴い発生する水環境や音響環境に変化をを及ぼすことが考えられるため選定。
* 〇 施設の存在により主要眺望地点からの景観の変化が考えられるため選定する。
* * ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。
産業廃棄物 * ×ばつ
残土 * ×ばつ
しろまる
工事において、一部の底土の巻き上げ等により若干濁りが発生及び騒音による生息環境に変化
を及ぼすことが考えられるため選定。また施設の存在による集魚効果や騒音が生息環境に変化
を及ぼすことが考えられるため選定。
しろまる
風車本体による電波の遮蔽、反射による重要固定無線、テレビ電波および漁業無線の受信通信
に影響を及ぼすこが考えられるため選定。
注) *:発電所アセス省令の別表五で取り上げられている参考項目と影響要因の区分付け 空欄:未検討項目
考慮されていないため、選定されていない。。
『漁業生物』
『電波障害』
【NEDO WFF/S調査】 空欄:未検討項目 しろまる:洋上風力発電に係る環境影響評価の選定項目 ×ばつ:洋上風力発電に係る環境影響評価の未選定項目 『』内の項目:法アセスの参考項目には該当していない項目
環境への負
荷の量の程
度により予測
及び評価され
るべき環境要素廃棄物等**
人と自然との
豊かな触れ合
いの確保を旨
として調査、
予測及び評
価されるべき
環境要素
景観
主要な眺望点及び観光資源並
びに主要な眺望景観
人と自然との触れ
合いの活動の場
主要な人と自然との触れ合い
の活動の場
植物
重要な種及び重要な群集(海
域に生育するものを除く。)
生態系
地域を特徴づける生態系(陸域)*
環境の自然
構成要素の
良好な状態
の保持を旨
として、調
査、予測及
び評価され
るべき環境
要素大気環境
大気質 考慮されていないため、選定されていない。
騒音・超
低周波音
考慮されていないため、選定されていない。水環境その他の環境その他
生物の多様
性の確保及
び自然環境
の体系的保
全を旨とし
て調査、予
測及び評価
されるべき
環境要素
動物
重要な種及び注目すべき生息
地(海域に生息するものを除
く。)
環境影響評価に係る参考項目の選定理由
環境要素の区分 影響要因の区分
環境影響評価法(風力発電)NEDO平成23年度
洋上WFF/S
調査
(洋野町沖
サイト)
参考項目(主に別表第五より作成)
工事の実施
土地又は工作
物の存在及び
供用
2 洋野町沖サイト
洋野町沖における参考項目の選定理由について下記に示す。
当該サイトでは、
「風力発電のための環境影響評価マニュアル第 2 版(NEDO)」、
「風力発電
施設に係る環境影響評価の基本的考え方に関する検討会報告書(環境省,平成 23 年)
」を参考
にして、水質、底質・地形、藻場、鳥類、潮間帯生物、底生生物、魚介類、海産哺乳類、漁業
生物、生態系、景観資源、電波障害等を選定しており、また、洋上風力発電として考慮すべき
水中騒音を取り上げている。なお、シャドーフリッカーは陸から沖合 2 km離れた海域である
ことから影響が小さいと考えられるため除外している。
表 3.1.2-30 洋野町沖における参考項目の選定
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)67工事用
資材等
の運搬
出入
建設機
械の稼働造成等
施工等
による
一時的
な影響
地形改
変及び
施設の
存在
施設の
稼働
窒素酸化物 * * ×ばつ
粉じん等 * * ×ばつ
騒音 * * * しろまる
超低周波音 * * * しろまる
振動 振動 * * ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。
水質 水の濁り * * しろまる 海底ケーブル敷地時に海底土砂の巻き上げが想定され、水質への影響が懸念されるため選定。
底質 有害物質 * しろまる
海底ケーブル敷地時に海底土砂の巻き上げが想定され、底質環境への影響が懸念されるため
選定。
地形及び
地質
重要な地形及び地質 * ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。。
風車の影 * しろまる
風車の供用によりブレードの影のちらつきによる住民の生活環境への影響が想定されるため選
定。
水中音 しろまる
基礎工事のパイル打設による大きな水中騒音が想定され、魚類等への影響が想定されるため選
定。また風車の稼働による水中騒音が魚類等への影響が想定されるため選定。
* ―*潮間帯生物
しろまる
海底ケーブル敷地時に生息場の消失が想定されるため選定。*底生生物
しろまる
海底ケーブル敷設時に海底土砂の巻き上げによる生息環境の変化と施設設置工事に伴い生息
場の消失が想定されるため選定。また、風車の存在と海底ケーブルの存在により生息場の消失
が想定されるため選定。*魚介類
しろまる
基礎工事と海底ケーブル敷設時に海底土砂の巻き上げによる生息環境の変化やパイル打設時
の騒音による生息環境の変化、生息場の消滅が想定されるため選定。また、風車の存在と供用
により、生息場の消滅と稼働時による生息環境の変化と海底ケーブルの存在による生息場の消
滅が想定されるため選定。*海棲哺乳類
しろまる
風車の存在により、生息場の消滅と生息環境の変化が想定されるため選定。*海棲爬虫類
しろまる
風車の存在により、生息場の消滅と生息環境の変化が想定されるため選定。*鳥類
しろまる
風車設置工事により生息妨害による生息地放棄、移動に対する障壁、風車への衝突、直接的な
生息地の喪失・破壊が想定されるため選定。また、風車の存在により、生息妨害による生息地放
棄、移動に対する障壁、風車への衝突、直接的な生息地の喪失・破壊が想定されるため選定。
* * ―* *海草・藻類
しろまる
海底ケーブル敷設時に海底土砂の巻き上げによる濁りの発生により生息環境の変化と施設設置
工事に伴い生息場の消失が想定されるため選定。また、風車の存在と海底ケーブルの存在によ
り生息場の消失と海底ケーブルの存在による生息場の消失が想定されるため選定。
* ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。
* 〇 施設の存在により、主要眺望点からの景観の変化が考えられるため選定。
* * ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。
産業廃棄物 * ×ばつ
残土 * ×ばつ
しろまる
基礎工事と海底ケーブル敷設時に海底土砂の巻き上げによる生息環境の変化やパイル打設時
の騒音による生息環境の変化、生息場の消滅が想定されるため選定。また、風車の存在と供用
により、生息場の消滅と稼働音による生息環境の変化と海底ケーブルの存在による生息場の消
滅が想定されるため選定
しろまる
風車本体による電波の遮蔽・反射による重要固定無線・TV電波・漁業無線の受信通信に影響を
及ぼすことが考えられるため選定
注) *:発電所アセス省令の別表五で取り上げられている参考項目と影響要因の区分付け 空欄:未検討項目
考慮されていないため、選定されていない。。
『漁業生物』
『電波障害』
【NEDO WFF/S調査】 空欄:未検討項目 しろまる:洋上風力発電に係る環境影響評価の選定項目 ×ばつ:洋上風力発電に係る環境影響評価の未選定項目 『』内の項目:法アセスの参考項目には該当していない項目
環境への負
荷の量の程
度により予測
及び評価され
るべき環境要素廃棄物等
人と自然との
豊かな触れ合
いの確保を旨
として調査、
予測及び評
価されるべき
環境要素
景観
主要な眺望点及び観光資源並
びに主要な眺望景観
人と自然との触れ
合いの活動の場
主要な人と自然との触れ合いの
活動の場
植物
重要な種及び重要な群集(海域
に生育するものを除く。)
生態系 地域を特徴づける生態系(陸域) ***
環境の自然
構成要素の
良好な状態
の保持を旨
として、調
査、予測及
び評価され
るべき環境
要素大気環境
大気質水環境その他の環境その他
生物の多様
性の確保及
び自然環境
の体系的保
全を旨とし
て調査、予
測及び評価
されるべき
環境要素
動物
重要な種及び注目すべき生息地
(海域に生息するものを除く。)
考慮されていないため、選定されていない。
騒音・超
低周波音
基礎工事のパイル打設による大きな騒音が想定され、住民の生活環境への影響が想定されるた
め選定。また風車の稼働による騒音と低周波音が住民の生活環境への影響が想定されるため
選定。
環境影響評価に係る参考項目の選定理由
環境要素の区分 影響要因の区分
環境影響評価法(風力発電)NEDO平成23年度
洋上WFF/S
調査
(鹿島灘
サイト)
参考項目(主に別表第五より作成)
工事の実施
土地又は工作
物の存在及び
供用
3 鹿島灘サイト
鹿島灘における参考項目の選定理由について下記に示す。
当該サイトでは、国内外の既往事例等を参考にして、事業の特性と対象域特性を踏まえて、環
境に影響を及ぼす恐れがある要因ごとに、その影響を受けると想定される環境の構成要素を
検討し、
この中から参考項目を抽出している。
具体的にはモノパイル打設工事及び風車稼働を
想定して陸域の騒音・低周波音、海底ケーブル設置工事を想定して水質・底質、海底ケーブル
設置工事・洋上風車の存在を想定して海草藻類・魚類・底生生物・潮間帯生物・漁業生物、そ
して洋上風車の存在・稼働等による影響を想定してシャドーフリッカー、鳥類、海産哺乳類、
海産爬虫類等を取り上げている。
表 3.1.2-31 鹿島灘における参考項目の選定
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)68工事用
資材等
の運搬
出入
建設機
械の稼働造成等
施工等
による
一時的
な影響
地形改
変及び
施設の
存在
施設の
稼働
窒素酸化物 * * ×ばつ
粉じん等 * * ×ばつ
騒音 * * * ×ばつ
超低周波音 * * * ×ばつ
振動 振動 * * ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。
水質 水の濁り * * しろまる
基礎工事に伴う海底土の巻き上がりによる濁りの発生。基礎設置による流動変化とそれに伴う水
質の変化の可能性。
底質 有害物質 * しろまる
基礎工事に伴う海底土の巻き上がりによる濁りの発生。基礎設置による流動変化とそれに伴う底
質の変化の可能性。
地形及び
地質
重要な地形及び地質 * ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。。
風車の影 * ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。。
流向・流速 しろまる 基礎設置による流動変化の可能性。
水中音 しろまる
基礎工事、風車工事に伴って発生する他、建設後の風車運転に伴って発生する水中音と振動の
可能性。
* ―*潮間帯生物
しろまる
基礎部の設置に伴う場の喪失。*底生生物
しろまる
基礎部の設置に伴う場の喪失。*魚介類
しろまる
基礎部の設置に伴う場の喪失。*海棲哺乳類
しろまる
基礎部の設置に伴う場の喪失。*鳥類
しろまる
基礎部の設置に伴う場の喪失、風車本体・タワーへの鳥類の衝突の可能性。
* * ―
* 〇 基礎部の設置に伴う場の喪失、風車本体・タワーへの鳥類の衝突の可能性。
* 〇 眺望の阻害、周辺景観特性との非調和の可能性。
* * ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。
産業廃棄物 * ×ばつ
残土 * ×ばつ ×ばつ 考慮されていないため、選定されていない。
注) *:発電所アセス省令の別表五で取り上げられている参考項目と影響要因の区分付け 空欄:未検討項目
考慮されていないため、選定されていない。。
『漁業生物』
『電波障害』
【NEDO WFF/S調査】 空欄:未検討項目 しろまる:洋上風力発電に係る環境影響評価の選定項目 ×ばつ:洋上風力発電に係る環境影響評価の未選定項目 『』内の項目:法アセスの参考項目には該当していない項目
環境への負
荷の量の程
度により予測
及び評価され
るべき環境要素廃棄物等
人と自然との
豊かな触れ合
いの確保を旨
として調査、
予測及び評
価されるべき
環境要素
景観
主要な眺望点及び観光資源並
びに主要な眺望景観
人と自然との触れ
合いの活動の場
主要な人と自然との触れ合いの
活動の場
植物
重要な種及び重要な群集(海域
に生育するものを除く。)
生態系 地域を特徴づける生態系(陸域) ***
環境の自然
構成要素の
良好な状態
の保持を旨
として、調
査、予測及
び評価され
るべき環境
要素大気環境
大気質水環境その他の環境その他
生物の多様
性の確保及
び自然環境
の体系的保
全を旨とし
て調査、予
測及び評価
されるべき
環境要素
動物
重要な種及び注目すべき生息地
(海域に生息するものを除く。)
考慮されていないため、選定されていない。
騒音・超
低周波音
考慮されていないため、選定されていない。
環境影響評価に係る参考項目の選定理由
環境要素の区分 影響要因の区分
環境影響評価法(風力発電)NEDO平成23年度
洋上WFF/S
調査
(旭市沖
サイト)
参考項目(主に別表第五より作成)
工事の実施
土地又は工作
物の存在及び
供用
4 旭市沖サイト
旭市における参考項目の選定理由について表 3.1.2-32 に示す。
当該サイトでは、
「風力発電のための環境影響評価マニュアル第 2 版(NEDO)」、
「発電所の
設置又は変更の工事の事業に係る環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査・予測及び
評価を合理的に行うための手法を選定するための指針、環境の保全のための措置に関する指
針等を定める省令(通商産業省令第 54 号,平成 10 年)
」を参考に、洋上風力発電設備の工法等
の概要及び候補海域周辺の自然的状況を踏まえて、水質(水の濁り)
、流向・流速、底質(粒
度組成)
、海底地形(漂砂・洗掘)
、水中騒音、動物・植物、生態系、景観を選定している。
表 3.1.2-32 旭市沖における参考項目の選定
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)69評価項目
建設工
事・撤
去工事
に伴う
一時的
な影響
施設の
存在/施
設の管
理・運
営に伴
う影響
調査・予測・評価手法
騒音・振動 しろまる しろまる
調査手法:「平成22年度 秋田市の環境 平成21年度調査結果報告書」等の既往調査資料・文献から沿岸住宅地の状況、風車騒音の一般
的な苦情の状況、秋田県内の苦情の状況を整理する。
予測手法:工事の実施については既存資料・文献からを定性的に予測する。施設の供用により発生する騒音はエネルギー伝搬予測式に
基づき予測する。低周波音は既存資料・文献により供用時に関して定性的に予測する。
評価手法:騒音に関しては予測値を設定した環境基準と比較することで評価する。低周波音に関しては、風車力発電所事例により定性
的に評価する。
水質 しろまる
調査手法:「平成22年度 秋田市の環境 平成21年度調査結果報告書」等の既往調査資料・文献に基づき、水質の現況を把握する。
予測手法:工事の方法等を考慮して、文献を基に水質(濁り)の発生に関して定性的に予測する。
評価手法:予測結果と環境保全対策を基に定性的に評価する記載されているが、評価は成されていない。
水中騒音・振動 しろまる しろまる
調査手法:既往調査資料・文献に基づき、建設工事中の水中音の発生音圧レベル、洋上風車による発生音圧レベル、魚類の水中音に対
する反応等の知見を整理する。
予測手法:既往調査資料・文献に基づき、建設工事及び施設の供用により発生する水中音を予測する。
評価手法:水中音関する魚類の反応に関する知見から影響を評価する。
底生生物 しろまる
調査手法:「秋田県農林水産技術センター水産振興センター事業報告書」等の既往調査資料・文献から底生動物の現況を把握する。
予測手法:底質の分布状況及び事業特性から定性的に予測する。
評価手法:事業特性及び底質の変化状況の予測結果に基づき、定性的に評価すると記載されているが、評価は成されていない。
魚介類 しろまる しろまる
調査手法:「秋田県農林水産技術センター水産振興センター事業報告書」等の既往調査資料・文献及びヒアリング基づき魚類の現況を
把握する。
予測手法:水質(濁り)と水中音の予測結果及び事業規模(生息場の消滅)から定性的に予測する。
評価手法:水質(濁り)、水中音の予測結果及び事業規模(生息場の消滅)から定性的に評価すると記載されているが、評価の明確な
記載は無い。
海棲哺乳類 しろまる しろまる
調査手法:「秋田県沿岸に座礁・漂着した小型鯨類(秋田県農林水産部水産漁協課提供資料)」等の既往調査資料・文献及びヒアリン
グに基づき候補海域における海産哺乳類の出現種を把握する。
予測手法:対策等を考慮して定性的に予測する。
評価手法:事業特性に基づき、定性的に予測評価すると記載されているが、建設工事に関しては評価されていない。
海鳥 しろまる
調査手法:既往調査資料・文献及び有識者へのヒアリングにより鳥類の現況を把握する。
予測手法:調査結果から飛翔形態、渡りの状況等を予測する。
評価手法:飛翔形態や渡りの状況や事業計画に基づき、定性的に評価する。
海草・海藻 しろまる しろまる
調査手法:「第2回自然環境保全基礎調査 海域調査報告書(環境庁)」等の既往調査資料・文献に基づく海藻草類の現況及び底質の分
布を把握する。
予測手法:底質の状況から海藻草類の存在を予測する。
評価手法:海藻草類の現況及び底質の状況から定性的に評価する。
景観 しろまる
調査手法:現況写真撮影により眺望点からの現況景観を把握する。
予測手法:施設共用時のフォトモンタージュを作成し、景観の変化について予測する。
評価手法:フォトモンタージュを基に定性的に評価する。
漁業生物 しろまる
調査手法:「平成23年度 秋田県水産関係施策の概要(秋田県)」等の既往調査資料・文献及びヒアリングに基づき候補海域における
漁業の状況を把握する。
予測手法:事業特性から事業占有面積を予測する。
評価手法:事業特性に基づき、定性的に評価すると記載されているが、評価は成されていない。
電波障害 しろまる
調査手法:関係機関へのヒアリング等により重要無線の有無、電波塔の位置等を確認する
予測手法:重要無線、テレビ電波については既往調査資料やヒアリングによる情報取集結果から施設供用時の電波の伝搬経路を予測す
る。漁業無線については、ヒアリング結果から遮蔽や反射の状況を予測する。
評価方法:施設の位置関係や利用の状況(漁業無線)から定性的に予測・評価する。
生態系 しろまる しろまる
調査手法:既往調査資料・文献に基づき出現種を把握する。
予測手法:上位性種、特殊性、典型性に関して定性的に予測する。「海岸林(保安林)」、「海域」、「海浜部」の3つにわけて予測
する。
評価手法:予測結果に基づき、定性的に評価する。上位性、特殊性についは評価されていない。典型性については「海岸林(保安
林)」、「海域」、「海浜部」の3つに分けて評価されているが、「海域部」については評価されていない。
人と自然との触
れ合いの活動の場しろまる
調査手法:文献等により選定した主要な人と自然との触れ合いの活動の場について、利用の状況および利用環境を把握する。
予測手法:水質(濁り)の予測結果により定性的な予測をする。
評価手法:水質(濁り)の予測・評価結果に基づき定性的に評価すると記載されているが、明確な評価は成されていない。
シャドーフリッ
カー
しろまる
調査手法:既往調査資料・文献に基づき、シャドーフリッカーの魚類への影響に関しての知見を整理する。
予測手法:知見の整理結果に基づき、定性的に予測する。
評価手法:類似例の引用により定性的に評価すると記載されているが、今後の方向性が示されたのみで評価は成されていない。
6)参考項目別の調査・予測・評価方法
秋田市沖サイト、洋野町沖サイト、鹿島灘サイト、旭市沖サイトにおける環境影響評価の参考
項目別調査・予測・評価手法を以下に整理した。
1 秋田市沖サイト
秋田市沖における項目別調査・予測・評価手法について下記に示す。
表 3.1.2-33 秋田市沖における項目別調査・予測・評価手法
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)70評価項目
建設工
事・撤
去工事
に伴う
一時的
な影響
施設の
存在/施
設の管
理・運
営に伴
う影響
調査・予測・評価手法
水質(濁り) しろまる
調査手法:候補海域において水質調査は実施されていないため、類似の水質と考えられる種差沖における水質調査結果により現況を把
握する。
予測手法:建設工事による濁りの変化を定性的に予測する。
評価手法:環境保全対策を踏まえて濁りの影響が回避・低減されているかを定性的に評価する。
底質(粒度組成)しろまる しろまる
調査手法:「5万分の1沿岸の海の基本図 海底地形地質調査報告 八木(海上保安庁)」を基に、底質の現況を把握する。
予測手法:建設工事の濁りによる底質の変化及び施設の存在による流況の変化に起因する底質への影響を定性的に予測する。
評価手法:環境保全対策及び底質の現況を踏まえて底質への影響が回避・低減されているかを定性的に評価する。
海底地形 しろまる しろまる
調査手法:「海底地形図(No.6371-6 八木)(海上保安庁)」等の既往調査資料・文献に基づき、海底地形の現況を把握する。
予測手法:建設工事の掘削による地形の変化及び施設の存在に起因する流況の変化による地形への影響に関して定性的に予測する。
評価手法:環境保全対策及び海底地形の現況を踏まえて海底地形への影響が回避・低減されているかを類似事例等を参考に定性的に評
価する。
水中音 しろまる しろまる
調査手法:既往調査資料・文献に基づき水中音の発生音圧レベル、魚類の損傷・威嚇音圧レベルを整理する。
予測手法:建設機械による設置作業及び施設の供用により発生する水中音を予測する。
評価手法:想定音圧レベルと既往調査資料・文献から整理される海洋生物の騒音に関する損傷・威嚇レベル等との比較や類似事例等に
より定性的に評価する。
鳥類 しろまる
調査手法:既往調査資料・文献やヒアリングに基づき、海鳥と沿岸性海鳥について生息鳥類の現況を把握する。
予測手法:施設の存在が鳥類に与える影響として、1生息妨害・放棄、2移動の障壁、3バードストライク、4生息地の喪失・破壊に
ついて定性的に予測する。
評価手法:生息の現況及び施設の特性を踏まえて既存文献・資料を参考として定性的に評価する。
潮間帯生物 しろまる しろまる
調査手法:既往調査資料・文献に基づき、種類、分布範囲等の現況を把握する。
予測手法:建設工事及び施設の存在について、建設工事の方法等を考慮して定性的に予測する。
評価手法:環境保全対策を踏まえて濁りや一部の地形改変の影響が回避・低減されているかを、類似事例等を参考として定性的に評価
する。
底生生物 しろまる しろまる
調査手法:既往調査資料・文献に基づき、種類、分布範囲等の現況を把握する。
予測手法:建設工事及び施設の存在について、水質予測結果及び工事方法等を考慮し定性的に予測する。
評価手法:環境保全対策を踏まえて濁りや一部の地形改変の影響が回避・低減されているかを、類似事例等を参考として定性的に評価
する。
魚介類 しろまる しろまる
調査手法:「岩手県農林水産統計年報」等の既往調査資料・文献、アンケート及びヒアリング調査結果に基づき、種類、分布範囲等の
現況を把握する。
予測手法:種類、分布範囲等の現況を把握するとともに、工事の方法等を考慮して定性的に予測する。
評価手法:水質・底質、水中音の評価結果に基づき、環境保全対策を踏まえて影響が回避・低減されているかを、類似事例等を参考と
して定性的に評価する。
海棲哺乳類 しろまる しろまる
調査手法:既往調査資料・文献及びヒアリング調査結果に基づき、種類、分布範囲等の現況を把握する。
予測手法:種類、分布範囲等の現況を把握するとともに、工事の方法等を考慮して定性的に予測する。
評価手法:水質・底質、水中音の予測・評価結果に基づき、環境保全対策を踏まえて影響が回避・低減されているかを、類似事例等を
参考として定性的に評価する。
藻場 しろまる しろまる
調査手法:「第4回自然環境保全基礎調査 海域生物環境調査(干潟、藻場、サンゴ礁調査)」等の既往調査資料・文献に基づき、種
類、分布範囲等の藻場の現況を把握する。
予測手法:建設工事及び施設の存在について、工事の方法・規模及び水質に対する予測結果を考慮して藻場に生息生育する海藻草類へ
の影響につい定性的に予測する。
評価手法:環境保全対策、藻場の現況及び水質への影響評価結果を踏まえて濁りや一部の地形改変の影響が回避・低減されているか
を、定性的に評価する。
景観 しろまる
調査手法:洋野町町勢要覧、各種のWeb情報等から、特に海岸が主要な眺望対象となる可能性のある眺望点を抽出した上で現地踏査を
実施し、現況写真撮影により眺望点からの現況景観を把握する。
予測手法:施設供用時のフォトモンタージュを作成し、景観の変化を予測する。
評価手法:フォトモンタージュを基に視距離、視野占有率、見込角等から評価する。
漁業生物 しろまる しろまる
調査手法:「岩手県農林水産統計年報」等の既往調査資料・文献、各漁業協同組合へのアンケート及びヒアリング調査結果に基づき、
主な水産生物、漁業の状況等の現況を把握する。
予測手法:主な水産生物、漁業の状況等の現況を把握するとともに、工事の方法等を考慮して定性的に予測する。
評価手法:水環境、高度自然域及び海洋生物の評価結果に基づき、環境保全対策を踏まえて影響が回避・低減されているかを、類似事
例等を参考として定性的に評価する。
電波障害 しろまる
調査手法:関係機関からの情報収集・ヒアリングにより重要固定無線、テレビ電波、漁業無線の現況を把握する。
予測手法:重要固定無線、テレビ電波については既往調査資料やヒアリングによる情報取集結果から施設供用時の電波の伝搬経路を予
測する。漁業無線については、ヒアリングにより利用状況を把握する。
評価手法:重要固定無線に関しては、伝搬経路の有無により定性的に評価した。テレビ電波については遅延距離により定量的に評価し
た。漁業無線に関しては利用の状況等から定性的に評価する。
生態系 しろまる しろまる
調査手法:水環境、高自然度域、動植物の予測結果に基づき生態系の現況を把握する。
予測手法:工事の方法等を考慮して定性的に予測する。
評価手法:予測結果と既往調査資料・文献に基づき定性的に評価する。
2 洋野町沖サイト
洋野町沖における項目別調査・予測・評価手法について下記に示す。
表 3.1.2-34 洋野町沖における項目別調査・予測・評価手法
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)71評価項目
建設工
事・撤
去工事
に伴う
一時的
な影響
施設の
存在/施
設の管
理・運
営に伴
う影響
調査・予測・評価手法
騒音・振動 しろまる しろまる
調査手法:既往調査資料・文献及び暗騒音の測定に基づき、騒音の現況と規制値を把握する。
予測手法:建設機械の作業および施設の供用により発生する騒音・低周波音をエネルギー伝搬式を用いて予測する。
評価手法:予測値と環境基準や参照値との比較により評価する。
(候補海域の沿岸は騒音に関する類型指定がなされていないため、地域指定状況が第二種中高層住宅専用地区であることから騒音に係
る環境基準がA類型に相当するとして評価する。低周波音に関しては物的苦情及び心身に係る苦情に関する参照値を評価に用いる。)
水中音 しろまる しろまる
調査手法:既往調査資料・文献に基づき水中音の発生音圧レベル、魚類の損傷・威嚇音圧レベルを整理する。
予測手法:建設工事および施設の供用により発生する騒音を予測する。
評価手法:想定音圧レベルと既往調査資料・文献から整理される海洋生物の騒音に関する損傷・威嚇レベル等との比較や類似事例等に
より定性的に評価する。
水質(濁り) しろまる
調査手法:「茨城県公共用水域水質測定結果(茨城県)」等の既往調査資料・文献に基づき、水質の現況を把握する。
予測手法:工事計画を考慮して拡散シミュレーションにより建設工事中の濁り(SS濃度)を予測する。
評価手法:水産用水基準と予測結果との比較により評価する。
底質(粒度組成)しろまる
調査手法:海上保安庁水路部の資料等の既往調査資料・文献に基づき、底質の現況を把握する。
予測手法:建設工事による濁り(SS濃度)の予測結果より海底に堆積した濁り(SS濃度)の分布を予測する。
評価手法:濁り(SS濃度)の拡散シミュレーション結果に基づき定性的に評価する。
潮間帯生物 しろまる しろまる
調査手法:茨城県の海産無脊椎動物標本リストに基づき、種類を把握する。
予測手法:水質・底質、水中騒音の評価結果や工事の方法などを考慮して潮間帯生物(砂浜生物)への影響を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に、既往事例や影響の規模などにより定性的に評価する。
底生生物 しろまる しろまる
調査手法:底生魚類を除く貝類・タコ・イカ類、甲殻類、ヒトデ類等の潮下帯に生息する無脊椎動物を対象に既往調査資料・文献に基
づき、種類を把握する。
予測手法:水質・底質、水中騒音の評価結果や工事の方法などを考慮して底生生物への影響を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に、既往事例や影響の規模などにより定性的に評価する。
魚類 しろまる しろまる
調査手法:茨城県沿岸産魚類目録に基づき、種類を把握する。
予測手法:水質・底質、水中騒音の評価結果や工事の方法などを考慮して魚類への影響を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に、既往事例や影響の規模などにより定性的に評価する。
海棲爬虫類 しろまる
調査手法:茨城県版レッドデータブック等の既往調査資料・文献及びヒアリングに基づき、現況を把握する。
予測手法:施設の規模などを考慮し、影響を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に、影響の規模などにより定性的に評価する。
海棲哺乳類 しろまる
調査手法:(財)日本鯨類研究所がまとめたストランディングデータ等の既往調査資料・文献に基づき、種類を把握する。
予測手法:施設の規模を考慮し影響を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に、影響の規模などにより定性的に評価する。
鳥類 しろまる
調査手法:「茨城県自然博物館第2次総合調査報告書」等の既往調査資料・文献に基づき、生息鳥類の現況を把握する。
予測手法:生息鳥類を海鳥(アビ科,カイツブリ科,ウ科,カモメ科,ウミスズメ科)、沿岸性鳥類(カモ科,サギ科,シギ・チドリ類)及び陸
生鳥類(タカ科,猛禽類)に分け、生息妨害による生息地放棄、移動に対する障壁、設備への衝突及び直接的な生息地の喪失や破壊につ
いて定性的に予測する。
評価手法:生息の現況を踏まえて既往調査資料・文献を参考として定性的に評価する。
海草・海藻 しろまる しろまる
調査手法:「茨城県自然博物館第1次総合調査報告書 鹿島灘の海草類」等の既往調査資料・文献に基づき、種類などの現況を把握す
る。
予測手法:建設工事及び施設の存在に関し水質・底質の評価結果や工事の方法を考慮して海草・海藻への影響を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に、影響の規模などにより定性的に評価する。
景観 しろまる
調査手法:観光地図やWeb情報等に基づき周辺の地域で海域を対象とした眺望地点を選定し、現地踏査を実施し現況写真撮影により眺
望点からの現況景観を把握する。
予測手法:施設共用時のフォトモンタージュを作成し、視距離、視野占有率、見込角について算定し景観の変化について予測する。
評価手法:フォトモンタージュを基に視距離、視野占有率、見込角等から評価する。
漁業生物 しろまる しろまる
調査手法:沿岸漁業の代表種であるシラスとチョウセンハマグリを対象に、既往調査資料・文献に基づき現況を把握する。
予測手法:水質・底質、水中騒音の評価結果や工事の方法などを考慮して漁業生物の代表種への影響を定性的に予測する。
評価手法:予測結果を基に、既往事例や影響の規模などにより定性的に評価する。
電波障害 しろまる
調査手法:関係機関からの情報収集・ヒアリングにより要固定無線、テレビ電波、漁業無線の現況を把握する。
予測手法:重要固定無線、テレビ電波については既往調査資料やヒアリングによる情報取集結果から施設供用時の電波の伝搬経路を予
測する。漁業無線については、ヒアリングにより利用状況を把握する。
評価手法:重要固定無線に関しては、伝搬経路の有無により定性的に評価した。テレビ電波については遅延距離により定量的に評価し
た。漁業無線に関しては利用の状況等から定性的に評価する。
シャドーフリッ
カー
しろまる
調査手法:風車稼働時の日陰の長さを夏至と冬至を対象に算出する。
予測手法:風車のブレードが地上と垂直になった時の影の長さを太陽高度と方位角から計算し予測する。
評価手法:予測結果を基に、日陰の到達距離と住居の位置関係を比較して評価する。
3 鹿島灘サイト
鹿島灘における項目別調査・予測・評価手法について下記に示す。
表 3.1.2-35 鹿島灘における項目別調査・予測・評価手法
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)72評価項目
建設工
事・撤
去工事
に伴う
一時的
な影響
施設の
存在/施
設の管
理・運
営に伴
う影響
調査・予測・評価手法
流向・流速 しろまる
調査手法:「続・日本全国沿岸海洋誌」等の既往調査資料・文献に基づき、候補海域周辺における流向及び流速の現況を把握する。
予測手法:施設の存在による影響を施設規模と施設配置から予測する。
評価手法:施設規模と施設配置から定性的に評価する。
水質 しろまる
調査手法:「公共用水域及び地下水の水質測定結果(千葉県)」等の既往調査資料・文献に基づき、水質の現況を把握する。
予測手法:建設工事による濁りの影響に関し工事の方法等を考慮して定性的に予測する。
評価手法:環境保全対策を踏まえて濁りの影響が回避・低減されているかを定性的に評価する。
底質
(粒度組成)
しろまる しろまる
調査手法:「5万分の1沿岸の海の基本図 海底地形地質調査報告書(九十九里浜)(海上保安庁)」により、底質の現況を把握する。
予測手法:建設工事の及び施設の存在の影響に関し底質の現況を踏まえ、粒度組成について定性的に予測する。
評価手法:環境保全対策を踏まえて定性的に評価する。
海底地形 しろまる
調査手法:「5万分の1沿岸の海の基本図 海底地形地質調査報告書(九十九里浜)(海上保安庁)」により、海底地形の現況を把握す
る。
予測手法:施設の存在の影響に関し、流向・流速の変化予測の結果を踏まえ定性的に予測する。
評価手法:流向・流速の変化予測の結果と施設規模・施設配置を参考に定性的に評価する。
水中音 しろまる しろまる
調査手法:文献調査により、杭打ち工事に伴う水中音と洋上風力発電設備の稼働に伴う水中音を把握する。
予測手法:既往資料・文献・に基づき建設中および施設の供用により発生する騒音を予測する。
評価手法:想定音圧レベルと既往文献・資料から整理される海洋生物の騒音に関する損傷・威嚇レベル等との比較や類似事例等により
定性的に評価する。
潮間帯生物
(動物、植物)
しろまる
調査手法:「千葉県の自然誌 本編4 千葉県の植物1 細菌類・菌類・地衣類・藻類・コケ類」等の既往調査資料・文献に基づき、現況
を把握する。
予測手法:施設の存在(海底ケーブル)に関し、流向及び流速、底質、海底地形の変化の予測結果や工事規模から予測する。
評価手法:流向及び流速、底質、海底地形の変化の予測結果と工事規模から定性的に評価する。
底生生物 しろまる
調査手法:「外房総沿岸海域日本海洋学会(沿岸海洋研究部会 編)」、「続・日本全国沿岸海洋誌」等の既往調査資料・文献に基づ
き、候補海域周辺の現況を把握する。
予測手法:流向及び流速、底質(粒度組成)及び海底地形の変化の予測結果を基に定性的に予測する。
評価手法:流向及び流速、底質(粒度組成)及び海底地形の変化の予測結果と施設規模・施設配置を踏まえ定性的に評価する。
魚類 しろまる しろまる
調査手法:銚子臨海研究所研究報告等の既往調査資料・文献に基づき、候補海域周辺の現況を把握する。
予測手法:水質(濁り)、流向及び流速、底質(粒度組成)、海底地形(漂砂・洗掘)の変化、水中音及び夜間照明の明るさを建設工
事及び施設の設置について定性的にを予測する。
評価手法:水質(濁り)、流向及び流速、底質(粒度組成)及び海底地形(漂砂・洗掘)の変化、水中音及び夜間照明の明るさの予測
結果と施設規模・配置及び既往調査資料・文献から定性的に評価する。
海棲哺乳類 しろまる しろまる
調査手法:「千葉県の自然誌 本編7 千葉県の動物2 海の動物((財)千葉県史料研究財団編)」等の既往調査資料・文献に基づき、
現況を把握する。
予測手法:既往調査資料・文献に基づく調査結果から出現種を予測する。
評価手法:出現種に対する建設機械の稼働、地形改変及び施設の存在、機械等の稼働、夜間照明の使用に伴う環境影響について、流向
及び流速や底質の影響評価結果等により、定性的に評価する。
鳥類 しろまる
調査手法:既往調査資料・文献により候補海域における鳥類の現況を把握する。
予測手法:既往文献・資料や有識者へのヒアリングに基づき、貴重性の特に高い種に関し、施設の存在及び供用について定性的に予測
する。
評価手法:生息の現況を踏まえて既往調査資料・文献を参考として定性的に評価する。
景観 しろまる
調査手法:候補海域周辺における歴史的・文化的背景を持った眺望視点場の把握・選定を行い、現地踏査を実施し現況写真撮影を行
い、眺望点からの現況景観を把握する。
予測手法:施設供用時のフォトモンタージュを作成し、視距離、視野占有率、見込角について算定し景観の変化について予測する。
評価手法:フォトモンタージュを基に視距離、視野占有率、見込角等から評価する。
生態系 しろまる しろまる
調査手法:既往調査資料・文献に基づき、候補海域周辺の上位性(生態系の上位に位置する生物)と典型性(地域の生態系の特徴を典
型的に表す生物)を把握する。
予測手法:水の濁り及び水中音は、発生する範囲、流向及び流速、底質(粒度組成)及び海底地形(漂砂・洗掘)の変化範囲を予測す
る。
評価手法:予測結果による変化の範囲と動物への影響評価結果から定性的に評価する。
4 旭市沖サイト
旭市沖における項目別調査・予測・評価手法について下記に示す。
表 3.1.2-36 旭市沖における項目別調査・予測・評価手法
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)73評価項目
建設工
事・撤
去工事
に伴う
一時的
な影響
施設の
存在/施
設の管
理・運
営に伴
う影響
調査・予測・評価結果
騒音・振動 しろまる しろまる
【調査結果】
調査海域の背後にあたる沿岸部は、工業専用地域であることから、騒音の環境基準の類型は、C類型(昼間:60デシベル(dB)以下、夜間:50デ
シベル(dB)以下)に該当する。振動規制法や秋田市公害防止条例において風車に関する基準は特に定められておらず、海域についてはこれら
の法や条例は適用されない。県内の19箇所の風力発電所のうち、騒音や低周波音に対する苦情は1箇所のみで、既に終結済みとなっている。
【予測・評価結果】
(建設工事:騒音)
候補海域の沿岸部は騒音規制区域でないが、該当する規制値を当てはめると85dB以下である。バイブロハンマーによりモノパイルを打設するこ
とで発生する騒音は、既存資料・文献によれば施行場所からの距離20〜25mで85dB以下であると予測されるため、発生する騒音の影響は極めて小
さいと評価されている。
(施設の存在:騒音)
予測された騒音レベルは27.2dBであり、暗騒音に加わったとしても現況を大きく上回ることはないと予測された。また、全国の風車騒音の苦情
が確認されたのは1.5km以内の施設のみであるとしている。評価に関して記述はなされていない。
(施設の存在:低周波音)
秋田県内での苦情事例が1件であること、全国の既存風車で苦情があったのが1.5km以内であり、候補海域から沿岸部が1.2km離れていることか
ら、低周波音について大きな問題はないと評価している。
水質 しろまる
【調査結果】
調査海域の公共用水域の類型区分はB類型に該当する。過年度の調査結果では、秋田市沖の全調査地点で環境基準を達成している。
【予測・評価結果】
(建設工事)
バイブロハンマによるモノパイル打設自体に濁りの発生ははほとんどないが、併用するジェットにより、濁りが発生する。しかし、底質のシル
ト・粘土分の占める割合が少ないことから、濁りが発生した場合も、長時間滞留することなく、速やかに沈降していくものと予測された。バイ
ブロハンマ打設にあたっては、周辺への濁りの拡散を防ぐため、汚濁防止膜を展張し、周辺海域への影響を最小化することが必要と考えられる
との記載があるが、評価の記載は無い。
水中騒音・振動 しろまる しろまる
【調査結果】
工事時に関して、デンマークの洋上風力発電施設の基礎工事(モノパイルの打設など)に伴う魚類の回避行動が確認されている。海産ほ乳類に
関しては、Horns(80x2MW)およびNysted(72x2.3MW)では、建設前に騒音から守るためネズミイルカ等を追い払い、建設終了後には、両地域にネズ
ミイルカ等が戻ってきたという報告がある。風車稼動時については、魚類に関して北海道せたな町(600kW(2基))での調査事例があり、風車
の稼動前後で魚類の種類に変動はなく、個体数が増加したとの報告がされている。海産ほ乳類に関する海外事例では、ほ乳類が騒音の影響で供
用中の風力発電所の回避行動を行っている証拠はなかった、アザラシには建設中や運転後の行動に大きな影響はみられなかったという報告があ
る。
【予測・評価結果】
(建設工事)
工事中については、モノパイル打設時に発生する水中音は1kmの場所で180dBとされ、モノパイル打設時の音圧による影響を低減するため、工事
実施前に警告音を発するなどし、周辺に海産哺乳類や魚類が近寄らないようにした上で、工事を実施することが望ましいと考えられると記載さ
れている。
(施設の存在)
事例によれば水中音と魚類の回避行動との関連は明確でないとしている。水中音と魚の回避行動の関係は明確でないために、工事中や供用時
(風車稼動時)の水中音圧レベルを計測するとともに、魚類の回避行動の有無のモニタリングや、今後予定されている国内の実証研究等の調査
結果を収集し、その影響を把握することが必要と記載されている。
底生生物 しろまる
【調査結果】
端脚類のクビナガスガメ(ヨコエビの仲間)、多毛類のイタスピオ、二枚貝類のヒメカノコアサリ、端脚類のヒトツメスガメなどが確認されて
いる。雄物川の河口部に近い地点では、汚濁指標種である多毛類のヨツバネスピオ(A型)や二枚貝類のチヨノハナガイが確認されている。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
調査海域一帯は、広く砂質土が分布していること、流況等の変化は風車近傍に限られることから、底生動物の生息環境の変化は極一部に限られ
ると予測された。ただし、風車近傍では、底質の変化が少なからず想定されるため、法に基づく環境影響評価の実施に際して、現地調査を行
い、底生動物の変化について予測・評価を行うことが必要であると記載されている。評価の記載は無い。
魚介類 しろまる しろまる
【調査結果】
秋田県沖での調査によると、稚仔魚については、ハタハタが多数確認されているほか、重要魚類としては、イシガレイ、ヤナギムシガレイなど
のカレイ類の稚魚が確認されている。また、魚類の捕獲調査では、ハタハタ当歳魚、マダラ当歳魚のほか、ヤナギムシガレイ、ヒレグロなどが
多く確認されている。
【予測・評価結果】
(建設工事:濁り)
工事中の濁りについては、汚濁防止膜の展張により、影響を低減できると予測されたが、評価の記述は無い。水中音については、現状では知見
が少なく、国内の実証研究等の成果を収集し、影響の程度について、検討していく必要があると記載されている。
(建設工事:水中音)
水中音の箇所に記載されている。
(施設の存在:生息場の消滅)
風車設置により生息域の一部が消滅すると予測された。既存資料から認められた底生魚の主要な生息域は、設置候補箇所(水深16m 程度)より
も深い水深40m 以深であり、生息域そのものには大きな影響を与えないと評価されている。
(施設の存在:水中音)
水中音の箇所に記載されている。
海棲哺乳類 しろまる しろまる
【調査結果】
秋田県沿岸では、平成8年度以降の記録において、オオギハクジラ、カマイルカなど約10種のイルカ類、クジラ類の座礁、漂着が確認されてい
る。
【予測・評価結果】
(建設工事)
工事実施前に警告音を発するなどし、周辺に海産哺乳類(秋田県沿岸での漂着記録が特に多いオオギハクジラ、カマイルカ等)が近寄らないよ
うにした上で、工事を実施することが望ましいとされ、評価はなされていない。
(施設の存在)
風車設置候補箇所付近を主要生息場としているものは確認されていないことなどから、供用時に関する影響はないと評価されている。
7)参考項目別の調査・予測・評価結果
秋田市沖サイト、洋野町沖サイト、鹿島灘サイト、旭市沖サイトにおける環境影響評価の参考
項目別の調査・予測・評価結果を以下に整理した。
1 秋田市沖サイト
秋田市沖サイトにおける調査・予測・評価結果を下表に示す。
表 3.1.2-37(1) 秋田市沖における項目別調査・予測・評価結果
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)74評価項目
建設工
事・撤
去工事
に伴う
一時的
な影響
施設の
存在/施
設の管
理・運
営に伴
う影響
調査・予測・評価結果
海鳥 しろまる
【調査結果】
渡りや海域での飛行の可能性があるものとしては、ウミツバメ、ウミガラス、ウミスズメ、ケイマフリ、コアジサシ、ユリカモメ、ガン、ヒヨ
ドリ、マガン、ヒシクイ、オオワシ、オジロワシ、カモメ、ハシボソガラス、ミズナギドリ、シマセンニュウ、アカエリヒレアシシギ、ユビナ
ガコウモリ、キクガシラコウモリ、モモジロコウモリ、ウミアイサ、ウミウ、ヒメウなどがあげられる。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
出現種が整理された。ヒアリングによればウミスズメなどは、海上から4〜5m 程度を飛行しているとのことであり、海面付近を飛ぶ鳥類につい
ては風車の影響は小さいと評価された。しかし、既往調査では、洋上での調査記録がないため、渡りの時期を中心とした現地調査により、洋上
で確認される鳥類の種類、海面からの飛行高さなどの確認を行うことが必要となると記載されている。また、夜間に渡りを行う鳥類は、灯台な
どの強い照明に誘引されバードストライクを起こす可能性が指摘されており、渡りの時期の夜間工事は避けるとともに、風車に設置する航空障
害灯についても、鳥類の誘引を生じにくいものを採用する必要がある(ただし、航空障害灯については、国土交通省東京航空局との協議・調整
の上、決定する必要がある)とされている。
海草・海藻 しろまる しろまる
【調査結果】
調査海域周辺では、主要な藻場等は確認されていない。
【予測・評価結果】
(建設工事及び施設の存在)
候補海域周辺では、砂質土が広く分布しており、海藻・海草類の生育や重要な藻場等の確認はなく、風車設置による海草・海藻類への影響はな
いと評価されている。
景観 しろまる
【調査結果】
主要な眺望地点として、「天王グリーンランド 天王スカイタワー展望台」、「秋田ポートタワーセリオン展望台」、「勝平寺」、「新屋海浜公
園」、「浜田海水浴場」を抽出した。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
「天王スカイタワー」、「勝平寺」、「新屋海浜公園」、「浜田海水浴場」及び「秋田ポートタワーセリオン」の5か所の眺望点からの景観に関
してフォトモンタージュを作成し、供用時の景観を予測した。る天王スカイタワーについては、風車の配置が南北方向であることから、ほぼ1
列に重なった景観となり、周辺に秋田ポートタワーセリオンなどの高層建築物などもあることから、周辺景観に違和感を与える可能性は少ない
と評価されている。既存の風車が存在する「勝平寺」、「新屋海浜公園」、「浜田海水浴」場についてもこれらの既存風車が「第18 回市民が選
ぶ都市景観賞」に選定されており、見る人に対して違和感を与えることは少ないと評価されている。秋田ポートタワーセリオンについては、正
面に風車が並ぶことになり、水平線に沈む夕日の鑑賞などへ影響を与える可能性があるが、候補海域は景勝地とはなっていないこと、秋田市で
は既存風車が都市景観の一つとして認識されていることから、景観に及ぼす影響は少ないと評価されている。なお、海域は対象外ではあるもの
の、秋田市では景観条例を制定していることから、風車の色彩や配置等については、事前に関係部局への相談が必要とされている。
漁業生物 しろまる
【調査結果】
秋田支所での漁獲量が多いのは、バイツブ、スズキ、マダラ、アブラツノザメ、ガザミ、クロメバル、マダイ、ウスメバルなどである。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
20基の風車が海域に占める基礎の面積は392m2
、投影面積は5,000m2
になると予測した。風車の存在・稼動による影響範囲については、基礎周辺
での流況変化の範囲、風車騒音の影響(海域では騒音の規制値がなく、騒音レベルの許容値についても検討が必要と考えられる。)、操船や漁
業(刺し網などの設置場所)への影響範囲など、現地調査等の結果を踏まえて、総合的に判断する必要があるとされ、評価はなされていない。
海底ケーブルについては、調査海域周辺では、底引き漁は行われていないため、海底ケーブル敷設による漁業への影響は小さいと評価されてい
る。
電波障害 しろまる
【調査結果】
調査海域には、重要無線の伝搬障害防止区域は設定されていない。秋田市沿岸では、秋田局より男鹿半島に向けて対岸照射が行われており、調
査海域は放送エリア内に位置する。調査海域において漁船に使用されている漁業無線は、統一された周波数はなく船川など近隣の無線局やパー
ソナル無線を活用している。
【予測・評価結果】
(施設の存在:重要無線)
伝搬障害防止区域に指定されていないが、具体化した段階で東北総合通信局及び陸上自衛隊秋田駐屯地に事前の相談が必要であると記載されて
いる。
(施設の存在:テレビ電波)
遮蔽に関しては、男鹿半島方面には経路が風車より上方であるもの風車位置によっては影響の可能性もあり詳細な事前調査が必要している。ま
た、反射に関しては地上波デジタル放送では、反射によるゴーストは発生しないとされており、洋上への風車設置による影響は小さいと評価し
ているが、秋田局より対岸照射が行われている男鹿半島については、今後詳細な調査が必要とされている。また、事業計画が確定した時点でNHK
秋田放送局等と事前協議が必要とされている。
(施設の存在:漁業無線)
候補海域において漁業無線を利用している秋田県漁業協同組合で主に使用している27MHz 帯の電波帯の電波伝搬は、障害物からの反射波や障害
物の背後まで回りこむ回析波による通信も可能であるとされている。このため、漁業無線に対して電波障害が生じる可能性は小さいと評価され
ている。
【調査結果】
上位性種については、猛禽類、クジラ・イルカ類、スズキ(魚類)などが推測される(現地調査により対象種を抽出し、その影響について把握
を行っていくことが必要と記述されている)。
【予測・評価結果】
(上位性種)
猛禽類、クジラ・イルカ類、スズキ(魚類)などが予測された。これらについては、現地調査により対象種を抽出し、その影響について把握を
行っていくことが必要とされている。
(特殊性)
現段階では設置候補箇所周辺で特殊な生息環境は確認されていないが、現地調査の結果を踏まえ、必要に応じて対象種や生息環境を設定する必
要があるとされてる。
(典型性)
・海岸林(保安林):ケーブル敷設や変電所の設置などが想定されるが、改変箇所は風車の設置範囲に比べて非常に小さいと予測された。その
ため、その影響は小さいと評価されている。
・海域:風車基礎部は生息域が消滅することになるが、周辺は広く砂質土が分布しており、風車周辺の一部を除くと、底生魚等の生息環境に大
きな変化はないものと予測された。ただし、渡り鳥等のバードストライク、魚類等への水中音等の影響については、事後のモニタリングにおい
て、確認が必要であるとされた。
・海浜部:海岸地形の変化がそこに生息する生物の生息・生育状況に変化をもたらすため、波浪場の変化に伴う海岸地形の変化について予測評
価を行った。風車群による波浪の遮蔽影響は、透過率を考慮すると0.4〜1.0%と予測された。候補海域沿岸の海岸部は沿岸漂砂により浸食が進
むため、離岸堤が設けられている。風車群の設置はこの離岸堤背後の波浪低減効果をもたらすため、海浜における砂の動きを弱める方向に働く
ものと考えられるが、その影響は低く抑えられること、離岸堤背後では元々波浪が低減されていることを勘案すれば、背後海浜の侵食を著しく
助長するような要因はならないとしている。
人と自然との触
れ合いの活動の場しろまる
【調査結果】
設置海域周辺で遊魚が行われている。
【予測・評価結果】
(建設工事)
設置海域周辺では遊魚が行われており、工事中の濁りの発生による影響が想定されるが、水質(濁り)の予測・評価の通り、汚濁防止膜の展張に
より濁りの影響は低減できると記載されているが、明確な評価はなされていない。
シャドーフリッ
カー
しろまる
【調査結果】
魚類等の海生生物への影響について整理された既往資料が少なく、実際にどのような影響があるかはほとんど解明されていない。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
能代市浅内漁業組合では、漁獲量が前年比3割減の原因として風車の設置に伴うシャドーフリッカーの影響であるとしているが、、デンマークの
洋上風力発電所における環境影響調査結果では、洋上風力発電所運転後に魚類をはじめとする海生生物や海産哺乳類の生物量に増加傾向が認め
られており、シャドーフリッカーなどによる影響は特に報告されていない。このように、シャドーフリッカーに関して、魚類等の海生生物への
影響について整理された既往資料が少なく、実際にどのような影響があるかはほとんど解明されていないため、供用時の魚類の回避行動の有無
のモニタリングや、今後予定されている国内の実証研究等の調査結果を収集し、その影響を把握することが必要であることが記載されている。
生態系 しろまる しろまる
表 3.1.2-37(2) 秋田市沖における項目別調査・予測・評価結果
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)75評価項目
建設工
事・撤
去工事
に伴う
一時的
な影響
施設の
存在/施
設の管
理・運
営に伴
う影響
調査・予測・評価結果
水質(濁り) しろまる
【調査結果】
候補海域において水質調査は実施されていないため類似の水質と考えられる種差沖における水質調査結果を確認したところ、候補海域の水質は清浄
であることが確認された。
【予測・評価結果】
(建設工事:濁り)
候補海域の底質は岩であり、建設工事による濁りの発生は少ないと予測され、さらに工事中は汚濁防止膜を設置するために濁りによる影響は小さい
と評価されている。
底質(粒度組成)しろまる しろまる
【調査結果】
候補海域の海底は、ほとんどが岩に覆われており、部分的に中砂もしくは粗砂が占める状況である。
【予測・評価結果】
(建設工事)
底質が岩であり濁りの発生は少ないと予測され、さらに工事には汚濁防止膜を設置することから底質への影響は小さいと評価されている。
(施設の存在)
流況の変化は風車の極近傍で起こると予想されるが、底質が岩のため流れの変化による底質への影響は無いものと評価されている。
海底地形 しろまる しろまる
【調査結果】
海底地形は複雑であり、候補海域の水深は概ね20mから30mである。
【予測・評価結果】
(建設工事)
工事に伴う小規模の掘削により基礎部分の地形が消失するが、それは極狭い範囲と予測され、海底地形への影響は小さいと評価されている。海底
ケーブルの設置は、埋設工事ではないので地形変化は無いものとされている。
(施設存在)
流況の変化が風車の極近傍で予想されるが、底質が岩なので流況の変化による地形への影響は少ないと予測され、海底地形への影響は小さいと評価
されている。また、風車設置による基礎部分の地形の消失は、その範囲はごく狭い範囲であること、海底ケーブル敷設は、掘削・埋設を行わないた
め地形変化は無いとされている。
水中音 しろまる しろまる
【調査結果】
工事中の騒音については、デンマークのHornes Rev とNysted の洋上風力発電施設の工事中に海生生物の逃避行動が確認され、それは一過性の現象
として分類されている。またウィンド・パワーいばらぎの風車設置工事時に魚類の大量斃死などの生息異常について漁業関係者などからの指摘等は
無いとのことである。風車供用時の騒音については、水中音が魚介類に及ぼす影響に関しては、魚介類の忌避行動が観察されている事例があるもの
の、生理的・生態的にどのような影響が忌避行動に結びついているのかは不明である。
【予測・評価結果】
(建設工事)
水中音圧はモノパイル打設時に220dB程度になる可能性があるが、それは一時的であり、魚類の威嚇レベルの140dB から160dB になる時点で魚類は
逃避行動を起こし、安全な場所に移動すると予想される。これに加え騒音低減型機械を使い、防音効果のあるエアーバブルカーテンなどの防音対策
を施し、さらに工事音を徐々に大きくしていくことで、逃避の時間を長く取るなどの対策をとるため、影響は軽微であると評価されている。
(施設の供用)
水中音は稼働時に100dBになる可能性があるものの、瀬棚港の例では、風車稼働前後で魚類の出現状況に変化がなかったとの報告もある。稼働時の
水中音が魚類や海産ほ乳類へ与える影響に関する知見は少なく、また、洋上ウィンドファームとしての知見も少ないため、暗騒音を含め十分な事前
調査(暗騒音に関する現地調査や新たな水中音調査結果等)が必要であると記載されている。
【調査結果】
候補海域において認められる可能性のある海鳥として、ヒメウ、ノシリガモが抽出された
【予測・評価結果】
(施設の存在・供用)
≪海鳥:ウ科≫
貴重種であるヒメウに主に焦点を当て予測・評価している。
1生息妨害による生息地放棄及び移動の障壁:候補海域はヒメウの採餌場、休息場となっており、生息地放棄及び採餌ルートへの影響が予想される
が、風車の占有面積は狭く影響は軽微と評価されている。
2バードストライク:ウ科の飛翔高度はそれほど高くないと予測され、影響は軽微と評価されている。しかし、ウ科の飛翔高度についての情報は十
分ではないため、事前調査(現地調査及び新たな調査資料の収集)が必要と記載されている。
3直接的な生息地の喪失・破壊:ヒメウの営巣地は沿岸や島の岩棚であることから、生息地の喪失はないと予測され、影響は軽微と評価されてい
る。しかし、採餌は海域で行うために餌場の消失が考えられるため、事前調査(現地調査及び新たな調査資料の収集)が必要と記載されている。
≪沿岸性鳥類:カモ類≫
貴重種であるシノリガモに主に焦点を当て予測・評価している。
1生息妨害・放棄:採餌場、休息場として候補海域付近を利用していると考えられるため、生息妨害による生息地の放棄が予想されるが、カモ類は
浅い沿岸部で採餌しているとみられることから生息妨害・放棄の可能性は低く、生息妨害・放棄に関する影響は軽微であると評価されている。
2移動の障壁及びバードストライク:カモ類は飛行高度が高くないと考えられること、風力発電所等を避ける傾向があること、及び風車回避率とし
て97.5%(オランダ)が報告されていることから移動の障壁及びバードストライクの可能性は低いく、移動の障壁及びバードストライクに関する影
響は小さいと評価されている。
3直接的な生息地の喪失・破壊:カモ類の営巣地は陸域の藪地などであることから、風車施設による生息地の喪失はない、また、陸側でのケーブル
敷設においては営巣地を避けるため、影響は軽微であると評価されている。しかし、事業前に営巣地の調査(現地調査及び新たな調査資料の収集)
が必要と記載されている。
潮間帯生物 しろまる しろまる
【調査結果】
資料が存在しない。
【予測・評価結果】
(建設工事:濁り)
候補海域の潮間帯はほとんどが岩で覆われており、さらに汚濁防止膜が設置されることから、濁りの発生は少ないと予測され、影響は小さいと評価
されている。
(施設の存在:生息場の消失)
潮間帯におけるケーブル敷設面積が極めて小さいことから、潮間帯生物の生息場の消失面積は潮間帯生物の生息範囲に比べて極めて小さいため影響
は小さいと評価されている。ただし、潮間帯生物に関しては現況資料がほとんど得られなかったことら事前調査(現地調査及び新たな調査資料の収
集)が必要とされている。
底生生物 しろまる しろまる
【調査結果】
資料が存在しない。
【予測・評価結果】
(建設工事:濁り)
候補海域は海底が岩であり工事による濁りの発生は少ないと予測され、これに加え工事中は汚濁防止膜を設置することから濁りよる影響は小さいと
評価されている。
(施設の存在:生息場の消失)
風車基礎及び海底ケーブル敷設に相当する生息場は消失するが、その範囲は極めて小さいため影響は軽微であると評価されている。しかし、現況資
料がほとんど得られなかったことから事前調査(現地調査及び新たな調査資料の収集)が必要とされている。
鳥類 しろまる
2 洋野町沖サイト
洋野町沖サイトにおける調査・予測・評価結果を下表に示す。
表 3.1.2-38(1) 洋野町沖における項目別調査・予測・評価結果
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)76評価項目
建設工
事・撤
去工事
に伴う
一時的
な影響
施設の
存在/施
設の管
理・運
営に伴
う影響
調査・予測・評価結果
【調査結果】
候補海域に生息する可能性のある魚類を科別に種類を抽出すると、カレイ科とフカサゴ科の魚類が13種類、サケ科の魚類が5種類、サバ科とヒラメ
科の魚類が3種類、他にアナゴ科、アイナメ科、サンマ科など19科が各1種類、計61 種類の魚類が抽出された。
【予測・評価結果】
[浮魚]
(建設工事:濁り)
海底が岩であり工事による濁りの発生は少ないと予測され、さらに工事中は汚濁防止膜を設置することから濁りによる影響は小さいと評価されてい
る。
(建設工事:水中音)
水中音圧はモノパイル打設時に220dB程度になる可能性があるが、魚類の威嚇レベルの140dB から160dB になる時点で魚類は逃避行動を起こし、安
全な場所に移動すると予想される。これに対して騒音低減型機械を使い、防音効果のあるエアーバブルカーテンなどの防音対策を施し、さらに工事
音を徐々に大きくしていくことで、逃避の時間を長く取るなどの対策をとるため、影響は軽微であると評価されている。しかし、現状では水中音圧
に対する魚種ごとの行動については情報不足であることから、今後モノパイル基礎の打設工事中に水中音圧の計測を行うとともに浮魚の行動の調査
を行い、知見を収集する必要があると記載されている。
(施設の供用:水中音)
忌避行動が観察されている事例があるものの、生理的・生態的にどのような影響が忌避行動に結びついているのかは不明であり、また洋上ウィンド
ファームを事例としての知見は少なく、詳細な解析・評価は今後の課題とされている。
【施設の供用:集魚効果】
集魚効果が予想されるが、その規模については不明であるとされている。
[底魚]
(建設工事:濁り)
海底が岩であり工事による濁りの発生は少ないと予測され、さらに工事中は汚濁防止膜を設置することから濁りによる影響は小さいと評価されてい
る。
(建設工事:水中音)
建設工事の水中音の影響については不明であり、今後の洋上ウィンドファーム供用時に水中騒音の計測と底生魚の行動を調査することが必要とされ
ている。
(施設の存在:生息場の消失)
生息場の一部を消失するが、その面積は底魚の生息範囲に比べて狭く、影響は軽微であると評価されている。
(施設の供用:集魚効果)
浮魚と同様に効果が予想されるが、その規模については不明であり、事前調査(現地調査及び新たな調査資料の収集)が必要と記載されている。
海棲哺乳類 しろまる しろまる
【調査結果】
死体漂着と港内への迷込みの例が6例あった。
【予測・評価結果】
(建設工事:水中音)
工事中に水中音が発生し、生息環境の変化が予想されるが、海棲哺乳類は遊泳力があり、一時的な回避が可能であること、工事時期の回遊時期への
配慮、防音対策により影響は最小にできると評価されている。
(施設の存在・供用:生息場の消滅)
施設の存在により生息域の減少が予想されるが、海棲哺乳類は遊泳力があり構造物を回避することができること等により、影響は小さいと評価され
ている。
(施設の存在・供用:水中音)
風車施設による水中音については、低減策により影響は小さいと評価されている。
ただし、候補区域の海棲哺乳類の生息状況については、不明な点が多く、今後、生息状況、生態行動等についての事前調査(現地調査及び新たな調
査資料の収集)の必要性が記載されている。
藻場 しろまる しろまる
【調査結果】
候補海域の沿岸においてコンブ場の存在が認められた。
【予測・評価結果】
(建設工事:濁り)
建設工事により発生する濁りは少ないと予測され、工事中は汚濁防止膜を施すことから、藻場(コンブ場)に及ぼす影響は極めて少ないと評価されて
いる。
(施設の存在:生息場の消失)
海底ケーブルレライン上の藻場(コンブ場)の極一部は消滅するが、施設の供用場所は藻場の存在する場所から1.5km以上沖合にあり、施設の存在
が藻場を消失させることは無いと予測された。海底ケーブル敷設面積が藻場全体の面積に比べて極めて小さいこと、施設の存在は藻場を消失させな
いことから影響は小さいと評価されている。しかし、現況資料が少ないために事前調査(現地調査)の必要性があると記載されている。
景観 しろまる
【調査結果】
「角浜海岸 階上灯台」、「種市海浜公園」、「有家海岸」の3地点を選定した
【予測・評価結果】
(施設の存在)
1視野占有率:視野占有率は0.04%から0.1%であると予測され、プラス評価を得られる閾値1.5%を下回っていることから、景観への与える影響は
小さいと評価されている。
2視距離:眺望点から構造物までの視距離が構造物の質感をに認識できる距離3km以内の風車本数は最大で5本と予測され、ほとんどの風車は構造物
の質感をに認識できる距離以上となっているために景観への与える影響は小さいと評価されている。
3見込み角:見込み角は最大で2.9度であると予測され、鉄塔に関する事例から圧迫感を受けない見込み角3度以下であることから、景観への与える
影響は小さいと評価されている。
魚介類 しろまる しろまる
表 3.1.2-38(2) 洋野町沖における項目別調査・予測・評価結果
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)77評価項目
建設工
事・撤
去工事
に伴う
一時的
な影響
施設の
存在/施
設の管
理・運
営に伴
う影響
調査・予測・評価結果
【調査結果】
漁業生物としては、さけ類、スケトウダラ、スルメイカ、タコ類、ウニ類、海藻類の漁獲が多いことが分かった。
【予測・評価結果】
(建設工事:濁り)
魚介類の場合と同様に候補海域が岩であることから濁りの発生は少なく、さらに汚濁防止膜を使用することから濁りによる主要漁業生物であるサ
ケ、ヒラメ、カレイ、スルメイカ等への影響は小さいと評価されている。
(建設工事:水中音)
魚介類の場合と同様に漁業生物は建設工事中は逃避行動を起こし、安全な場所に移動すると予想され、さらに工事中は環境保全対策を施すとともに
工事音を徐々に大きくしていくことで、逃避の時間を長く取るなどの対策をとるため、影響は軽微であると評価されている。しかし、モノパイル基
礎工事の音圧や音圧に対する魚介類の行動については情報不足であることから、今後モノパイル基礎の打設工事での水中音圧の計測を行い、同時に
漁業生物の行動の調査を行い、知見を収集する必要があると記載されている。
(施設の設置・供用:水中音)
魚介類の場合と同様に風車稼働による水中騒音の影響については不明であり、今後の洋上ウィンドファーム供用時に風車の稼働による水中騒音の計
測と主要漁業生物の行動を調査することが必要である記載されている。
(施設の設置・供用:漁場の消失)
漁場の消失が考えられるが、風力発電施設設置水深位置での主な漁業である定置網施設付近は、風力発電施設設置を除外したこと、海底ケーブル設
置に伴う漁場の消滅範囲は僅かであることより、漁場の消失範囲は広大な漁場面積に比べて極めて小さいものと予測され、漁業生物の漁獲に対する
影響は軽微であると評価されている。
電波障害 しろまる
【調査結果】
候補海域においては、重要固定無線の伝搬障害防止区域はなく、候補海域を横切るテレビ電波の伝搬経路もない。また、テレビ電波の反射は許容遅
延距離以内である。漁業無線は短波であり、障害物の影響を受けにくい。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
1重要固定無線
・伝搬障害防止区域に指定されていないことから影響は少ないと評価されている。
2テレビ電波
・遮蔽障害;伝搬経路上に候補海域が候補地点が位置しないことから影響は無いと評価されている。
・反射障害はガイドインターバルで規定される許容遅延距離以下であることから影響は少ないと評価されている。
3漁業無線
・障害物の影響をあまり受けない短波であることが認められたことから影響は少ないと評価されている。
ただし、重要無線の伝搬障害防止区域の指定は現段階のもであること、テレビ電波は1次反射のみ考慮した評価であること、漁業無線はこれまで
に事例が無いことから漁業無線電波の現況を把握する事前の現地調査の必要性があると記載されている。
【調査結果】
候補海域の代表的な海洋生物としてサケとスルメイカが取り上げられている。
【予測・評価結果】
(建設工事:濁り)
魚介類の場合と同様に候補海域が岩であることから濁りの発生は少なく、これに加え汚濁防止膜を使用することから濁りよる主要種であるサケ、ス
ルメイカへの影響は小さいと評価されている。
(建設工事:水中音)
魚介類の場合と同様に主要種は、既往調査資料等から建設工事中には逃避行動を起こし、安全な場所に移動すると予想され、さらに工事中は環境保
全対策(騒音低減型機械の導入及びエアーバルブカーテンの併用等)を施し、これに加え工事音を徐々に大きくしていくことで、逃避の時間を長くと
るなどの対策を採用するため、影響は軽微であると評価されている。しかし、モノパイル基礎工事の音圧や音圧に対する魚介類の行動については情
報不足であることから、今後モノパイル基礎の打設工事での水中音圧の計測を行い、同時に主要種の行動の調査を行い、知見を収集する必要がある
と記載されている。
(施設の設置・供用)
魚介類の場合と同様に風車稼働による水中音の影響については不明であり、今後の洋上ウィンドファーム供用時に風車の稼働による水中騒音の計測
と主要種の行動を調査することが必要である記載されている。
漁業生物 しろまる しろまる
生態系 しろまる しろまる
表 3.1.2-38(3) 洋野町沖における項目別調査・予測・評価結果
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)78評 価 項 目
建 設 工
事 ・ 撤
去 工 事
に 伴 う
一 時 的
な 影 響
施 設 の
存 在 /施
設 の 管
理 ・ 運
営 に 伴
う 影 響
調 査 ・ 予 測 ・ 評 価 結 果
騒音・振動 しろまる しろまる
【 調 査 結 果 】
茨城県神栖市波崎新港近傍の住居地域における騒音調査の結果によれば、騒音測定結果は等価騒音レベルLAeq(dB)で昼(6時〜22時)49dB、夜(22時
〜6時)42dBであり、低周波音測定結果はG特性音圧レベルLG (dB)で昼(6時〜22時)62〜75dB、夜(22 時〜6 時)60〜66dBであった。
【 予 測 ・ 評 価 結 果 】
( 建 設 工 事 )
工事が行われる昼間を対象として予測を行い、予測地点全てにおいて騒音レベルは49dBと予測された。この結果、予測値はこの環境基準55dB(昼
間)を下回り、騒音の影響は軽微と評価されている。
( 施 設 の 存 在 )
昼間と夜間の両方を対象として予測を行い、昼間、夜間ともに42dBから49dBの範囲と予測された。環境基準45dBから55dBの範囲(時間帯によって異
なる)を下回ることから、影響は軽微であると評価されている。施設の供用の低周波音に関しては、予測値は全ての周波数において参照値を下回っ
ており影響は軽微であると評価されている。
水中音 しろまる しろまる
【 調 査 結 果 】
洋上風車建設時の水中騒音は、一時的には生体の損傷レベルの220dB(1μPa)以上になる可能性もあるが、威嚇レベルの140dB(1μPa)から160dB
(1μPa)になる時点で魚類は逃避行動を起こし、安全な場所に移動すると予想される。風力発電施設の稼働に伴う水中騒音が魚介類に及ぼす影響に
関しては、忌避行動が観察されている事例があるものの、生理的・生態的にどのような影響が忌避行動に結びついているのかは不明であり、また洋
上ウィンドファームを事例としての知見は少ない。
【 予 測 ・ 評 価 結 果 】
( 建 設 工 事 )
一時的には魚類の生体の損傷レベルの220dB(1μPa)以上になる可能性があるが、パイル打設工事は同時に複数個所で実施しないことから、通常の
海洋工事と同様の想定が可能である。つまり、威嚇レベルの140dB(1μPa)から160dB(1μPa)になる時点で魚類は逃避行動を起こし、安全な場所
に移動し、さらに建設工事にあたっては騒音低減型機械を使い、防音対策を併用することから水中騒音による影響は軽微であると評価されている。
( 施 設 の 存 在 )
風車稼働時の水中騒音が魚類や海産ほ乳類へ与える影響に関する知見は多少あるものの洋上ウィンドファームとしての知見は少なく、今後の調査・
研究が待たれると記載されている。
水質(濁り) しろまる
【 調 査 結 果 】
対象地点として、候補海域に近い知手浜沖と銚子大橋の2地点を選定した。工事中の濁りに関係してくる浮遊物質(SS)について過去10 年間の状況
をみると、知手浜沖では2mg/l〜4mg/l、感潮域の銚子大橋では7mg/l〜18mg/lの範囲で推移していた。なお、公共用水域の類型区分は知手浜沖で海B
であり、銚子大橋でA である。
【 予 測 ・ 評 価 結 果 】
( 建 設 工 事 )
SS予測濃度は最高で0.01ppmと予測された。水産用水基準によれば「人為的に加えられるSS濃度は2mg/L以下」とされており、予測値はこれを下回っ
ているために、環境に及ばす影響は少なくと評価されている。
底質(粒度組成)しろまる
【 調 査 結 果 】
候補海域に近い地点の調査結果によれば、底質の中央粒径(Md)は1.8φ〜3.0φであり、底質は細砂および砂であった。
【 予 測 ・ 評 価 結 果 】
( 建 設 工 事 )
SSの堆積は、汀線部、風車中間部とも工事箇所周辺で1日当たり1,000mg×ばつ10-4
cmと僅かであると予測され、SS の堆積が底質へ及ぼす影響は小さいものと評価されている。
潮間帯生物 しろまる しろまる
【 調 査 結 果 】
無脊椎動物は軟体動物門142種、節足動物門57種、棘皮動物門21種など251種である。そのうち潮間帯に生息する椎生物を潮間帯生物としている。潮
間帯生物自体の種数は記載されていない。
【 予 測 ・ 評 価 結 果 】
( 建 設 工 事 : 生 息 場 の 消 滅 )
ケーブル埋設工事の範囲は極めて小さいため、生息場の消滅範囲も極めて小さいと予測された。工事による生息場の消滅範囲は極めて小さいことか
ら、影響は極めて小さいと評価さている。
底生生物 しろまる しろまる
【 調 査 結 果 】
無脊椎動物は軟体動物門142種、節足動物門57種、棘皮動物門21種など251種である。そのうち潮下帯以下に生息する貝類、タコ・イカ類、甲殻類、
ヒトデ類などの底生の無脊椎動物を底生生物としている。底生生物自体の種数は記載されていない。
【 予 測 ・ 評 価 結 果 】
( 建 設 工 事 : 水 質 ( 濁 り ) )
海底ケーブルの敷設に伴う掘削工事からの濁りの拡散範囲は小さいとされたため、底生生物の生活環境への変化は極めて小さいと予測され、影響は
軽微であると評価されている。
( 施 設 の 存 在 : 生 息 場 の 消 滅 )
モノパイル基礎の打設工事による生息場の消滅範囲は420m2
であり、この消滅範囲は対象海域が広大な海洋であることを考慮すると生息場の消滅範
囲は極めて小さいと予想された。また、海底ケーブル敷設により13,200m2
の生息域が一時的に消滅するが再び生息場が回復すると予測された。した
がって、生息場の消滅については影響は軽微であると評価されている。
【 調 査 結 果 】
候補海域の魚類は、スズキ目110種など252種である。
【 予 測 ・ 評 価 結 果 】
[回 遊 魚 ]
( 建 設 工 事 : 濁 り )
海底ケーブルの敷設の伴う掘削工事からの濁りの拡散範囲は小さいと予測されたため、回遊魚の生息環境への変化は極めて小さいと予測された。こ
のことから、その影響は軽微であると評価されている。
(建設工事:水中音)
建設時の水中騒音は、一時的には魚類の生体の損傷レベルの220dB以上になる可能性もあるが、威嚇レベルの140dBから160dBになる時点で魚類は逃避
行動を起こすと予測された。これ対し、工事中には防音対策や段階的な打設方法を採用することで、水中騒音が及ぼす影響を軽減できることから、
その影響は軽微であると評価されている。しかし、現状では音圧に対する魚種ごとの行動については情報不足であり、今後工事中に水中音圧の計測
を行うとともに回遊魚の行動の調査を行い、知見を収集する必要があると記載されている。
【 施 設 の 存 在 】
・生息場の消滅:風力発電施設の存在による生息場の消滅範囲は9,326m3
と予測された。これはおおよそ1辺が22m の直方体の体積(10,648m3
)に相
当し、対象海域が外洋に面した広大な海域であることを考慮すると、生息場の消滅範囲は極めて小さく、影響は軽微である評価されている。
・水中騒音:風力発電施設の稼働に伴う水中騒音の影響に関しては、忌避行動が観察されている事例があるものの、生理的・生態的にどのような影
響が忌避行動に結びついているのかは不明であり、また洋上ウィンドファームを事例としての知見は少なく、詳細な解析・評価は今後の課題とされ
予測は行ておらず、供用時に、風車の稼働に伴う水中騒音の計測と、回遊魚の行動を調査することが必要と記載されている。
[底 生 魚 ]
( 建 設 工 事 )
・濁り:海底ケーブルの敷設に伴う掘削工事からの濁りの拡散範囲は小さいと予測されたため、底生魚の生息環境への変化は極めて小さいと予測さ
れた。このことから、工事中の濁りの影響については、底生魚への影響は軽微であると評価されている。
・水中音:水中音に関する影響予測は、回遊魚と同様に工事中は逃避行動を起こし、安全な場所に移動することに加え、設置工事時には水中騒音低
減対策を実施することや、モノパイル打設開始時は打設の力を段階的に大きくするなどの対策を施すことから、底生魚の損傷回避が予測された。し
たがって、モノパイル基礎の打設工事に伴う水中騒音については、防音などの対策を施すため、底生魚に対する影響は軽微であると評価されてい
る。しかしながら、音圧に対する魚種ごとの行動については情報不足であることから、今後モノパイル基礎の打設工事中に水中音圧の計測を行うと
ともに底生魚の行動の調査を行い、知見を収集する必要があると記載されている。
( 施 設 の 存 在 : 生 息 場 の 消 滅 )
風車基礎の設置による生息場の消滅範囲は風車基礎面積の420m2
と狭い範囲であること、海底ケーブルは埋設されているため生息場が再生しするため
生息場の消滅範囲はないと予測された。したが、生息場の消滅範囲が極めて小さいことから、影響は極めて小さいと評価されている。
( 施 設 の 存 在 : 水 中 騒 音 )
風車稼働時に魚介類の忌避行動が観察されている事例があるものの、生理的・生態的にどのような影響が忌避行動に結びついているのかは不明で、
また洋上ウィンドファームの事例としての知見は少なく、その詳細な解析・評価は今後の課題となっているとされ、予測は行っておらず、今後の洋
上ウィンドファーム供用時に水中騒音の計測と底生魚の行動を調査することが必要と記載されている。
魚類 しろまる しろまる
3 鹿島灘サイト
鹿島灘サイトにおける調査・予測・評価結果を下表に示す。
表 3.1.2-39(1) 鹿島灘における項目別調査・予測・評価結果
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)79評価項目
建設工
事・撤
去工事
に伴う
一時的
な影響
施設の
存在/施
設の管
理・運
営に伴
う影響
調査・予測・評価結果
海棲爬虫類 しろまる
【調査結果】
候補海域近傍の砂浜でアカウミガメが確認されている。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
生息場が消失し、アカウミガメの生息に影響を及ぼすことが考えられるが、生息環境の変化は施設の近傍に限られ、かつアカウミガメは一般的に遊泳力
があることから施設を回避すると予測された。このことから影響は軽微であると考えられている。
(施設の存在:夜間照明)
航空障害灯は海面を照らすものでないことより影響は軽微であると考えられる。
(施設の存在:水中音)
海中騒音については、音圧とアカウミガメの行動について情報不足である。したがって、本ウィンドファーム建設予定地点周辺海域の生息状況の確認お
よび風車の海中騒音とアカウミガメの行動について研究する必要があると記載されている。
海棲哺乳類 しろまる
【調査結果】
候補海域はスナメリの生息域になっている。
【予測・評価結果】
(施設の存在:生息場が消失)
海産ほ乳類の生息(オガワマッコウ、スナメリ等)の生息に影響を及ぼすことが考えられるが、生息環境の変化は施設の近傍に限られ、かつ海産ほ乳類
は一般的に遊泳力があり、周辺近傍に同様な環境が広大にあることから、影響は軽微であると評価されている。
(施設の存在:夜間照明)
航空障害灯は海面を照らすものでないことから、影響は軽微であると評価されてる。
(施設の存在:水中騒音)
海中騒音も比較的軽微であると予想されることから、影響は軽微であると評価されてる。
生息状況等が不明であることから、本ウィンドファーム建設予定地点周辺海域の生息状況を確認する必要があると記載されている。
【調査結果】
候補海域の鳥類は、シギ・チドリ類55種、カモメ類21種、カモ科19種、ミズナギドリ19種などである。
【予測・評価結果】
(建設工事・施設の存在:生息地放棄)
1海鳥:候補海域で出現頻度の高いカモメ類は同海域をねぐらとしていおり事業の実施によりその一部が減少するか、あるいは周辺部海域へ移動する可
能性がある。ただ営巣地は崖や岩礁、沿岸の草地等である候補海域から離れたところにあるため、直接的な生息地の破壊にはつながらないと予測されて
いる。 ウミウはこの海域を採餌場、休息場として利用している。一方、アビ科、
カイツブリ科等は、営巣地が沿岸の草地、岩棚、岩礁であることから直接的な生息地の破壊になる可能性はないが、採餌や休息時における障害となる可
能性がある。以上、これらの海鳥類については直接的ではない生息地に対する影響が予測されるが、ウィンドファームの占める面積は小さいことからそ
の影響は軽微であると評価されている。
2沿岸性鳥類:カモ科は候補海域において多数見られる種であり、生息環境の一部としての採餌場として候補海域を利用している場合は、それらの減
少、あるいは周辺海域へ移動する可能性が予想されるが、ウィンドファームの占める面積は小さいことからその影響は軽微であると評価されている。
出現種類数の多いシギ・チドリ類(その1種のシロチドリは茨城県の貴重種)は採餌場として利用している可能性はあるが、主に汀線際であることから影響
はないものと評価されている。それら鳥類の詳細な位置は不明であり、海上での生態について船を利用しての調査が必要であるとし、評価はされていな
い。
(建設工事・施設の存在・供用:移動に対する障壁)
1海鳥:移動に対する障壁として海鳥の採餌ルートへの影響が最も大きいが、採食域は、情報不足な点が多く、その年の採食可能な食物量や分布にも影
響を受ける。アジサシ類は給餌のため採食地と営巣地との間を何度も往復し、ミズナギドリ類は1度に1日以上、給餌のために巣を離れたり、カモメ類は
夜間に海上にねぐらをとり昼間には採餌場所へと移動することから、その経路に候補海域が該当する可能性は高いとされている。
2沿岸性鳥類:欧州におけるカモ類の調査研究では、風車を含む一覧の発電施設に対する回避行動が調査されているが、本候補海域周辺では経路の変更
による移動距離の増加分は総移動距離に対して極めて小さいことが予想され、迂回によるエネルギー消費といった影響はほとんどないものと予測されて
いる。またシギ・チドリ類においては、採餌場が汀線際であることが考えられることから、採餌場までの障壁による影響はないと評価されている。
(建設工事・施設の存在:衝突)
1海鳥及び沿岸性鳥類:海鳥の洋上風力発電施設に対する回避率として、昼間でカモメ類99.9%(ベルギー報告書)、カモ類97.5%(オランダ報告書)、
夜間でカモ類87%(オランダ報告書)をあげ、これらの回避率が参考になるとしつつも、ミズナギドリ類の飛翔高度が不明なこと、また候補海域の周辺が
アホウドリ類などの伊豆諸島からアリューシャン列島への渡り経路に相当する可能性もあり、それらの解明には詳細な事前調査が必要であるとされてい
る。
2陸生鳥類:サシバ、ハチクマ、オオワシ等の猛禽類は、渡り途中の休息や採餌飛行によるバードストライクが考えられる。ハヤブサは陸域の営巣地か
ら海岸へ採餌行動に表れた際にその飛翔ルートや高度により影響が考えられるが、詳細なルートや高度が不明であることから事前調査で確認が必要で、
評価されていない。
(建設工事・施設の存在:直接的な生息地の喪失や破壊)
1海鳥:候補海域周辺ではカモメ類のねぐらになっている可能性が高いため、その場合には直接的な生息地の破壊となるとされている。ウミスズメ類は
岩礁域が営巣地となっているため、工事で岩礁域が喪失した場合には影響を与える可能性がある。しかしながら、これらの生息地等について詳細なデー
タがなく、事前調査で確認する必要があると記載され、評価は行われていない。
2沿岸性鳥類:候補海域周辺は、直接カモ類の営巣地となるなる可能性はないと考えられるが、候補海域に近い陸域の藪地等が営巣地となる可能性はあ
る予想されるとされている。ただし、採餌活動範囲などのデータ等不明な点が多いことから、実施に当たっては事前調査で確認する必要がある記載さ
れ、評価されていない。
海草・海藻 しろまる しろまる
【調査結果】
候補海域周辺に藻場は確認されなかった。茨城県の旧波崎町(現、神栖市)から旧鎌田町(現、鎌田市)は、砂浜海岸で自然の岩礁は皆無であり、海藻
の着生基物は極めて貧弱な地域であるとされている。しかしながら、砂の流失を防ぐ目的で設置されたヘッドランドに海藻が確認されている。
【予測・評価結果】
(建設工事:濁り)
海底ケーブル敷設工事に伴う濁りの拡散範囲は小さいと予想されたため、海藻・海藻の生活環境への変化は極めて小さいと予測され、工事に伴う濁りの
影響は軽微であると評価されている。
(建設工事:生息場の喪失)
風力発電施設の基礎設置工事によって消滅する生息場の範囲は極めて小さいと予測される上、海底ケーブル埋設工事部のかく乱は一過性であり、工事終
了後早い時点で回復していくと予測された。そのためこれらによる生息場の消滅に対する影響は極めて軽微であると評価されている。
(施設の存在)
風力発電施設の存在による生息場の消滅範囲は、風車の基礎部のみであり、生息場の消滅範囲は極めて限定的であることから、その影響は小さいと予測
されたことや、極小規模ながら風車の基礎部が海草・海藻の付着基盤となることから、風車の存在に伴う影響は軽微であると評価されている。
景観 しろまる
【調査結果】
「銚子ポートタワー」、「波崎海水浴場展望台」、「シーサイドパーク」の3地点を選定した。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
1視野占有率は0.02%から0.06%と予測され、プラス評価を得られる閾値1.5%を下回っていることから、景観上大きな阻害要因にはなっていないとして
いる。
2眺望点から構造物までの視距離が構造物の質感を認識できる距離3km以内の風車本数は最大で5本と予測され、景観に与える影響は軽微であると評価さ
れている。
3見込み角は3度以下であると予測され、鉄塔に関する事例から圧迫感を受けない見込み角3度以下であることから、圧迫感は感じないと言えるとしてい
る。
鳥類 しろまる
表 3.1.2-39(2) 鹿島灘における項目別調査・予測・評価結果
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)80評価項目
建設工
事・撤
去工事
に伴う
一時的
な影響
施設の
存在/施
設の管
理・運
営に伴
う影響
調査・予測・評価結果
【調査結果】
候補海域の主要漁獲物はしらす、ひらめ・かれい類、鹿島灘はまぐりなどである。
【予測・評価結果】
[カタクチイワシシラス]
(建設工事:水質(濁り))
シラスは5ppm〜20ppm の濁度に強く誘因されるとの水槽実験結果と海底ケーブル敷設工事箇所付近での増加したSS 濃度が0.01ppm であることから、海底
ケーブル敷設工事がカタクチイワシシラスの行動に影響を及ぼす可能性は極めて小さいと予測された。このことから、工事中の濁りの影響は軽微である
と評価されている。
(建設工事:水中音)
カタクチイワシシラスに対する聴覚能力については不明であるが、回遊魚への工事中の水中騒音による影響予測と同様に工事中はカタクチイワシシラス
は逃避行動を起こし、安全な場所に移動することが予測された。また、設置工事時水中騒音低減対策やモノパイルの段階的打設を実施することで、カタ
クチイワシシラスの損傷回避が予測された。これに加え、モノパイル基礎の打設工事に伴う水中騒音については、防音などの対策を施すため、影響は軽
微であると評価される。しかしながら、音圧に対するカタクチイワシシラスの行動については情報不足であることから、今後モノパイル基礎の打設工事
中に水中音圧の計測を行うとともにカタクチイワシシラスを含む魚類の行動調査を行い、知見を収集する必要があることが記載されている。
(施設の存在)
・生息場の消滅:風力発電施設の存在による生息場の消滅範囲は9,326m3 であると予測された。これは、これはおおよそ1辺が22mの直方体の体積
(10,648m3)であり、対象海域が広大な海洋であることを考慮すると生息場の消滅範囲は極めて小さく、、影響は極めて小さいと評価されている。
・水中音:他の魚類(回遊魚・底生魚)と同様に魚類への忌避行動が観察されている事例があるものの、生理的・生態的にどのような影響が忌避行動に
結びついているのかは不明で、また洋上ウィンドファームを対象とした知見は少なく、その詳細な解析・評価は今後の課題となっていため予測を行って
おらず、今後の洋上ウィンドファーム供用時に風車の稼働に伴う水中騒音の計測するとともにカタクチイワシシラスを含む魚類の行動を調査することが
必要と記載されている。
[チョウセンハマグリ]
(建設工事:水質(濁り))
海底ケーブルの敷設に伴う掘削工事からの濁りの拡散範囲は小さいと予測されたため、チョウセンハマグリの生息環境への変化は極めて小さいと予測さ
れた。このため、影響は軽微であると評価されている。
(施設の存在:生息場の消滅)
モノパイル設置工事の影響については、チョウセンハマグリは分布域が水深10m以浅であるのに対して、設置工事は水深15m 以深で行うことから、生息場
の消滅は無いと予測された。海底ケーブル敷設工事の影響については、底生魚の施設の設置工事に伴う生息場の消滅による影響予測と同様に、工事中に
一時的にチョウセンハマグリの生息場が消滅するが、工事終了後には再び生息場は回復すると予測された。したがって、影響は軽微であると評価されて
いる。
電波障害 しろまる
【調査結果】
候補海域付近には2011年10月13日現在において「伝搬障害防止区域」は存在しない。候補海域の半分程度は銚子中継所の放送範囲に含まれる可能性が高
い。候補海域では漁業無線が利用されているが、波崎漁業協同組合が漁業無線の陸上基地となっており、27MHzの短波と40MHzの超短波を用いて漁船間と
の通信を行っているとのことであった。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
1重要固定無線
・伝搬障害防止区域に指定されていないことから、影響は無いと評価されてる。
2テレビ 電波:
・遮蔽障害:候補海域の半分程度は放送エリアに含まれる可能性が高いものの、中継所の位置に対して候補海域の背後にはテレビ電波を受信するような
地域は存在しないとから影響は無いものと評価されている。
3反射障害
・ガイドインターバルで規定される許容遅延距離以下であることから影響は少ないと評価された。
3漁業無線
・障害物の影響あまり受けない短波であることから施設が電波に与える影響は小さいと評価されている。
ただし、重要無線の伝搬障害防止区域の指定は現段階のものであるいこと、テレビ 電波は1次反射のみ考慮した評価であること、漁業無線はこれまでに
事例が無いことから事業実施前の事前調査の必要性があると記載されている。
シャドーフリッ
カー
しろまる
【調査結果】
ドイツのガイドラインでは、太陽は地平線から3°以上の角度で日陰のおよぶ範囲時間帯をシミュレーションにより定量的に予測することとしている。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
風車の影は太陽高度3度付近で最も長く、その時点でも到達範囲は海岸線までと予測された。海岸には住居が存在しないことから、風車によるシャドーフ
リカーの影響は無いものと評価されている。
漁業生物 しろまる しろまる
表 3.1.2-39(3) 鹿島灘における項目別調査・予測・評価結果
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)81評価項目
建設工
事・撤
去工事
に伴う
一時的
な影響
施設の
存在/施
設の管
理・運
営に伴
う影響
調査・予測・評価結果
流向・流速 しろまる
【調査結果】
海流については、候補海域周辺では、流向は北東が卓越しており、流速は1ノット以下の流れが50%以上の割合で出現している。潮流について
は、候補海域周辺では、流向は南北方向が卓越しており、流速は10cm/sec 以下の流れが大半を占めている。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
候補海域の面積約21km2
に比べ、風力発電設備の存在により占有する面積(×ばつ50本、海底ケーブル直径10cm程度)が小さいこ
と、風車の設置間隔が広く、風力発電設備は候補海域に点在することから、流向及び流速の変化は構造物近傍に限定されると予測された。そのた
め、施設の存在が候補海域周辺の流向及び流速へ影響を及ぼす可能性はほとんどないものと評価されている。
水質 しろまる
【調査結果】
候補海域周辺での水質は以下のとおりである。なお、濁り(SS)の測定は実施されていない。
1水温:(上下層)約10〜25°Cで推移 2塩分:(上層)約31.0〜34.5‰で推移、(下層)約32.5〜34.5‰で推移 3水素イオン:(上下層)約
7.9〜8.3 で推移 4溶存酸素:(上層)約6.5〜10.0mg/L で推移、(下層)約5.5〜9.5mg/Lで推移 5化学的酸素要求量:(上層)約0.6〜
1.8mg/Lで推移、(下層)約0.5〜1.7mg/Lで推移 6透明度:約2〜15mで推移
【予測・評価結果】
(建設工事)
濁りの40〜80%が除去されることから、水の濁りが発生する範囲は工事区域近傍に限定され、水質へ影響(水の濁り)を及ぼす可能性はほとんどな
いものと評価されている。
底質
(粒度組成)
しろまる しろまる
【調査結果】
候補海域周辺では、細砂が分布している。
【予測・評価結果】
(建設工事)
候補海域周辺の底質は一様に細砂が分布していること、工事中は汚濁防止膜による濁りの拡散防止策を講じることにより、工事に伴う底泥の拡散
範囲は工事区域近傍に限定されると考えられる。そのため、候補海域周辺の底質(粒度組成)へ影響を及ぼす可能性はほとんどないと評価してい
る。
(施設の存在)
候補海域の面積約21km2
に比べ、風力発電設備の存在により占有する面積(×ばつ50 本、海底ケーブル直径10cm 程度)が小さい
こと、風車の設置間隔(約800m)が広く、風力発電設備は候補海域に点在することから、流向・流速の変化は構造物近傍に限定されると予測され
た。このため、候補海域周辺の底質へ影響を及ぼす可能性はほとんどないと評価されている。
海底地形 しろまる
【調査結果】
候補海域周辺では、水深約5〜12mのなだらかな斜面となっている。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
候補海域の面積約21km2
に比べ、風力発電設備の存在により占有する面積(×ばつ50 本、海底ケーブル直径10cm 程度)が小さい
こと、風車の設置間隔(約800m)が広く、風力発電設備は候補海域に点在することから、流向及び流速の変化は構造物近傍に限定されるため、施
設の存在が候補海域周辺の海底地形(漂砂・洗掘)へ影響を及ぼす可能性はほとんどないと評価されている。
水中音 しろまる しろまる
【調査結果】
杭打ち工事に関する水中音は、既往の調査結果では、音源から約30m離れた地点で約149〜189dB、音源から約400m離れた地点で約120〜165dBで
あった。ただし、音源から約1,000m離れた地点で180dB以上の音圧が測定された事例も存在した。洋上風力発電設備の稼働時に測定された水中音
は、既往の調査結果では、音源から約20m離れた地点で95〜119dBであり、海中のバックグラウンド水中音(70〜120dB)と同程度であった。
【予測・評価結果】
(建設工事)
建設機械の稼働は一時的であること、杭打ち工事に伴う水中音(最大で198dB)は魚類の損傷レベル(220dB)を下回ると予測された。これに加
え、魚類等の遊泳動物は遊泳力があることから、候補海域周辺の水中音の変化が魚類等の遊泳動物へ影響を及ぼす可能性はほとんどないと評価さ
れた。
(施設の存在)
洋上風力発電設備の稼働に伴う水中音は、概ね120dB以下であり、海中のバックグラウンド水中音と同程度と予測され、候補海域周辺の水中音の
変化はほとんど無く、魚類等の遊泳動物へ影響を及ぼす可能性はほとんどないと評価された。
潮間帯生物
(動物、植物)
しろまる
【調査結果】
候補海域周辺で15種の潮間帯動物と45種の潮間帯植物が確認された。このうち、潮間帯動物の貴重種はワスレガイ1種、潮間帯植物の貴重種はエ
ビアマモ、イソマツの2種、合計3種であった。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
潮間帯に敷設される海底ケーブルの直径は10cm 程度と小さく、潮間帯動物・植物の生息環境の変化は海底ケーブル近傍に限定されると予測され
た。このことから、周辺には類似の環境が存在することから、候補海域の潮間帯動物へ影響を及ぼす可能性はほとんどないものと評価されてい
る。
底生生物 しろまる
【調査結果】
候補海域周辺で、バイ、ヤマホトトギス、アコヤガイ、ハボウキガイ、ワスレガイ、オオトリガイ、イチョウシラトリ、ミクリガイ(ヤナギノイ
ト型)、モスソガイ、エゾヒバリガイ、ムラサキウニ、ヒメゴウナ、アリソガイ、バテイラ、シラギク、ミゾガイ(D)、クチキレガイ、ソトオ
リガイ、タカノハガイ、クチベニガイの20種の貴重種が確認された。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
流向及び流速、底質(粒度組成)及び海底地形の変化は構造物近傍に限定されると予測された。候補海域約21km2
のうち、風力発電設備の存在に伴
い改変される面積(風車1 ×ばつ50 本、海底ケーブル直径10cm 程)が小さいことから、候補海域の底生生物へ影響を及ぼす可能性は
ほとんどないと評価されている。
魚類 しろまる しろまる
【調査結果】
候補海域周辺で107種の魚類が確認された。このうち貴重種は、ウナギ、カナガシラ、マツカワ及びババガレイの4種であった。
【予測・評価結果】
(建設工事:濁り及び水中音)
水の濁り及び水中音は、発生する範囲が工事区域近傍や音源近傍に限定されると予測された。また、魚類は遠泳力を有し変化を回避することが可
能と考えられる。さらに、工事中は必要に応じて汚濁防止枠等の濁りの拡散防止策を講じる。そのため、候補海域周辺の水の濁りや水中音の変化
が魚類へ影響を及ぼす可能性は小さいものと評価されている。
(施設の存在:流向及び流速、底質(粒度組成)及び海底地形(漂砂・洗掘)の変化)
流向及び流速、底質(粒度組成)及び海底地形(漂砂・洗掘)の変化は、構造物近傍に限定されると予測されている。また、魚類は遊泳力を有し
変化を回避することが可能と考えられる。そのため、候補海域周辺の流向及び流速、底質(粒度組成)、海底地形(漂砂・洗掘)の変化が魚類へ
影響を及ぼす可能性はほとんどないものと評価されている。
(施設の存在:水中音)
風力発電設備の稼働に伴う水中音は、バックグラウンド水中音と同程度と予測されている。そのため、魚類へ影響を及ぼす可能性はほとんどない
ものと評価されている。
(施設の存在:夜間照明)
主として使用する照明は航空障害灯であり、海面を照らすものではないことから、候補海域周辺の魚類へ影響を及ぼす可能性はほとんどないと評
価されている。
4 旭市沖サイト
旭市沖における調査・予測・評価結果を下表に示す。
表 3.1.2-40(1) 旭市沖における項目別調査・予測・評価結果
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)82評価項目
建設工
事・撤
去工事
に伴う
一時的
な影響
施設の
存在/施
設の管
理・運
営に伴
う影響
調査・予測・評価結果
海棲哺乳類 しろまる しろまる
【調査結果】
候補海域周辺でスナメリやアザラシ類、クジラ、イルカ等の生息が確認された。このうち、アザラシ類は日常的に生息する動物ではなく、クジ
ラ、イルカ等は水深20m以浅井に出現することがほとんどない。
【予測・評価結果】
(建設工事:濁り及び水中音)
水の濁り及び水中音は、発生する範囲が工事区域近傍や音源近傍に限定されると考えられた。このことに加え、この海域に生息するスナメリは遊
泳力を有し変化を回避することが可能と考えられるため、候補海域周辺の水の濁りや水中音の変化がスナメリへ影響を及ぼす可能性は小さいと評
価されている。
(施設の存在:地形改変及び施設の存在:流向及び流速、底質(粒度組成)及び海底地形(漂砂・洗掘)の変化)
流向及び流速、底質(粒度組成)及び海底地形(漂砂・洗掘)の変化は、構造物近傍に限定されると予測された。これに加え、スナメリは遊泳力
を有し変化を回避することが可能と考えられる。そのため、候補海域周辺の流向及び流速、底質(粒度組成)、海底地形(漂砂・洗掘)の変化が
スナメリへ影響を及ぼす可能性はほとんどないものと評価されている。
(施設の存在:水中音)
機械等の稼働に伴う、伴う水中音と海中のバックグラウンド水中音は同程度であると予測された。このため、水中音の発生がスナメリへ影響を及
ぼす可能性はほとんどないと評価されている。
(施設の存在:夜間照明)
主に使用する照明は航空障害灯であり、海面を照らすものではないことから、スナメリへ影響を及ぼす可能性はほとんどないと評価されている。
鳥類 しろまる
【調査結果】
候補海域周辺である九十九里北部で102種、銚子市及び銚子沖海上では326種の鳥類が確認された。このうち貴重種は157種であった。また、個体
数が多く貴重性が特に高い海鳥類は、以下の6科17種であった。 1アホウドリ科(アホウドリ、コアホウドリ) 2ウミツバメ科(ヒメクロウ
ミツバメ、クロコシジロウミツバメ、オーストンウミツバメ) 3ミズナギドリ科(オオミズナギドリ、ハシボソミズナギドリ) 4ウ科(ヒメ
ウ) 5カモ科(スズガモ、クロガモ、ビロードキンクロ) 6カモメ科(ズグロカモメ、コアジサシ、ユリカモメ、セグロカモメ、ウミネコ、
アジサシ)
【予測・評価結果】
(施設の存在:生息環境の減少・悪化・喪失)
候補海域において個体数が多く貴重性が高い鳥類として、アホウドリ科(アホウドリ等)ウミツバメ科(ヒメクロウミツバメ等)、ミズナギドリ
科(オオミズナギドリ等)、ウ科(ヒメウ)、カモ科(スズガモ等)、カモメ科(コアジサシ、セグロカモメ、ウミネコ等)が生息が予想され
た。候補海域は、九十九里浜の沖合全体に占める割合は極一部(面積:約21km2
)であり、周辺の海域には類似の環境が広く存在することから、採
餌や休息の場は周辺にも広く存在する。そのため、候補海域周辺の海鳥類へ影響を及ぼす可能性はほとんどないものと評価されている。
(施設の存在:バードストライク)
鳥類は行動(渡り、採餌等)によって飛行パターンが変わること、候補海域が含まれる沖合2〜10km の範囲は、鳥類の調査が最も行われておら
ず、現況把握ができていない場所であることを指摘された。そのため、候補海域周辺の海鳥類のバードストライクが生じる可能性は無いとは言え
ないと評価されている。
(施設の存在:夜間照明)
ライトアップを予定していないこと、夜間には白色閃光灯のみが使用されることから、候補海域周辺の海鳥類へ影響を及ぼす可能性はほとんどな
いと評価されている。
景観 しろまる
【調査結果】
景観上重要と考えられる主要な眺望地点として「地球の丸く見える丘展望館」、「外川漁港」及び「飯岡刑部岬展望館」の3地点を選定した。
【予測・評価結果】
(施設の存在)
視野占有率は0.9%から2.1%、視距離は最も近い飯岡刑部岬展望館でも8.8kmから24.1km、眺望地点からの見込角は0.32〜0.65度と予測された。
視野占有率は構造物の存在が気にならなくなるとされる0.021%を超えたもの、視距離は最も近い飯岡でも8.8km以上であり、樹木のテクスチュア
が認識できる3kmを超えていること、眺望地点からの見込角は人間の視力で対象をはっきりと識別できる見込角(1〜2度)より小さい。主要な眺
望地点から風力発電設備の存在は気になるものの、眺望地点から候補海域の距離が離れており、人間の視力では色彩等をはっきりと認知できない
ため、主要な眺望視点からの景観に対する影響はほとんどないものと評価されている。
【調査結果】
候補海域周辺の上位性(生態系の上位に位置する生物)はスナメリと海鳥、典型性(地域の生態系の特徴を典型的に表す生物)はマクロベントス
(1〜4mm程度の底生生物)と考えられるとしている。
【予測・評価結果】
(建設工事:水の濁り及び水中音)
水の濁り及び水中音の発生範囲は工事区域近傍や音源近傍に限定されると予測された。また、上位種であるスナメリは遊泳力を有し変化を回避す
ることからこれらの影響はほとんどないと評価されている。
(施設の存在:流向及び流速、底質(粒度組成)及び海底地形(漂砂・洗掘))
流向及び流速、底質(粒度組成)及び海底地形(漂砂・洗掘)の変化による典型種であるマクロベントスや上位種であるスナメリへの影響が想定
される。これらの変化は構造物近傍に限定されること、候補海域のうち設備の存在に伴い改変される面積は小さいと予測された。これらに加え、
スナメリは遊泳力を有し変化を回避することから、マクロベントスやスナメリへの影響はほとんどないと評価されている。
(施設の存在:水中音)
設備の稼働時における水中音の発生による上位種のスナメリへの影響が想定される。設備稼働に伴う水中音と海中のバックグラウンドは同程度と
予測された。このため、水中音の発生がスナメリへ影響を及ぼす可能性はほとんどないと評価されている。
(施設の存在:バードストライク)
バードストライクによる上位種の鳥類への影響が予測され、それに伴う捕食圧の減少により、海鳥類の餌動物である魚類への影響(捕食圧の減
少)が想定される。しかし、海鳥類が捕食している魚類は主として、候補海域を含む太平洋を広く回遊している。このため、候補海域における局
所的な変化(捕食圧の減少による個体数の増加など)が、候補海域の生態系へ影響を及ぼす可能性はほとんどないと評価されている。
(施設の存在:夜間照明)
夜間照明による誘引の発生による、上位種のスナメリや海鳥類への影響が想定される。夜間照明として主に使用する照明は航空障害灯であり、海
面を照らすものではないことから、スナメリへ影響を及ぼす可能性はほとんどないものと評価されている。また、風力発電設備では、ライトアッ
プを予定していないこと、夜間には白色閃光灯のみが使用されることから、候補海域周辺の海鳥類へ影響を及ぼす可能性はほとんどないと評価さ
れている。
生態系 しろまる しろまる
表 3.1.2-40(2) 旭市沖における項目別調査・予測・評価結果
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)83(3)民間事業者による洋上風力発電事業((仮称)むつ小川原港洋上風力発電事業)
1)事業概要
むつ小川原港洋上風力発電事業(計画段階環境配慮書)に係る概要を以下に整理した。
本事業は、環境影響評価法対象の洋上風力発電事業(総出力 80,000kW(最大)
)であり、同
法に則った計画段階環境配慮書の事例となる。以下に概要をとりまとめた。
表 3.1.3-1 概要一覧
実施者 むつ小川原港洋上風力開発株式会社
発表時期 2013(平成 25)年 11 月
事業実施
想定海域
青森県上北郡六ヶ所村のむつ小川原港港湾区域の水域と一部陸域(尾お駮
ぶち
地先及び新納
し ん な屋や
地先)
想 定 海 域
の概要
にじゅうまる事業想定区域面積:14k m2(尾駮地先約 10k m2、新納屋地先約 4k m2)
にじゅうまる陸上に比べ、風の乱れが小さく、風況が良い洋上を対象。
にじゅうまる国立公園・国定公園・県立自然公園の指定はない。
にじゅうまる漁業権指定が無い「むつ小川原港港湾区域」の範囲内とする。
事業規模・
基礎工法
にじゅうまる総出力 80,000kW(最大)
A 案:2,500kW 級風車 32 基
B 案:2,500kW 級風車 24 基程度、5,000 kW 級風車 4 基程度
にじゅうまるドルフィン式及びケーソン式
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)842)自然条件
洋上風力発電施設設置海域の選定に当たり候補海域の自然条件を把握するため、表 3.1.3-2
の項目毎に参考文献(既往調査資料・データ等)の収集・整理及び関係機関等へのヒアリング
を実施した。
当海域の自然条件整理項目は 17 項目となっており、水中騒音、電波障害、海棲哺乳類、海
棲爬虫類が対象外となっている。
表 3.1.3-2 自然条件整理一覧
気象 しろまる
海象 しろまる
海底地形・地質 しろまる
水質 しろまる
底質 しろまる
流況(海流・潮流) しろまる
騒音・振動 しろまる
水中騒音 -
電波障害 -
景観 しろまる
動植物プランクトン しろまる
底生生物 しろまる
魚類等遊泳動物 しろまる
魚卵・稚仔魚 しろまる
鳥類 しろまる
海棲哺乳類 -
海草藻類・藻場 しろまる
潮間帯生物 しろまる
海棲爬虫類 -
生態系 しろまる
漁業生物 しろまる
合計(しろまる印) 17項目
しろまる:自然条件整理の対象項目、-:対象外項目
以下に各種自然条件項目の概要、それら自然条件の整理方法・参考文献等を整理した。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)85【気 象】
気象については、青森県の「第四次青森県環境計画」や気象庁の統計データに基づき気象の
特性及び概要を整理している。
表 3.1.3-3 気象に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
年平均風速 2.8m/s ・気象特性、気象概要の整
理。
・「第四次青森県環境計画」
(青森県環境生活部環境政策
課,平成 25 年 3 月)
・気象庁 HP
【海 象】
海象は、(独)港湾空港技術研究所の「港湾空港技術研究所資料」に記載された年平均有義波
高及び年平均有義周期を用いてとりまとめを行っている。
表 3.1.3-4 海象に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
年平均有義波高 1.08m
年平均有義波周期 7.7s
既存文献に記載されている
年間平均値を採用。
港湾空港技術研究所資料
No.1035((独)港湾空港技術
研究所,平成 14 年)
【海底地形・地質】
海底地形・地質は、海上保安庁の「海底地形図」及び「海底地質構造図」に基づき、地形勾
配、地質・地層の整理を行っている。
表 3.1.3-5 海底地形・地質に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
海域の地形は、事業実施想
定区域の尾駮地区では沖合
に向かい約1/50、新納屋地
区では約1/80 の勾配となっ
ている。等深線はおおむね
海岸線と平行になってい
る。
海域の地質は、堆積岩類の
砂子又層及び蒲野沢層が分
布している。
既往文献を基にして、候補
海域の海底地形・地質の現
況を整理。
・海図第 6372 号 4 海底地形
図 むつ小川原(海上保安
庁,昭和 57 年)
・海図第 6372 号 4-s 海底地
質構造図 むつ小川原(海上
保安庁,昭和 57 年)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)86【水 質】
水質については、海上保安庁の「公共用水域及び地下水の水質測定結果」をデータとして用
いている。
水質項目は環境項目及び健康項目について整理を行っており、
環境基準値との適合
についても取りまとめている。
表 3.1.3-6 水質に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
COD 及び測定している 5 項
目の健康項目に関しても環
境基準に適合しており、
水質
は良好。
青森県における水質観測デ
ータを基に候補海域の現況
を整理。
「平成 19〜23 年度公共用水
域及び地下水の水質測定結
果」
(青森県,平成 21〜25 年)
【底 質】
底質については、海上保安庁の「公共用水域及び地下水の水質測定結果」をデータとして用
いている。
水質項目は環境項目及び健康項目について整理を行っており、
環境基準値との適合
についても取りまとめている。
表 3.1.3-7 底質に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
細砂が分布している。 既存文献を基に底質を確認。 海底地形地質調査報告 むつ
小河原(海上保安庁,昭和 57年)【流況(海流・潮流)】流況については、小川原港港湾管理者の「むつ小川原港港湾計画資料」に基づく整理を行っ
ている。
表 3.1.3-8 流況に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
恒流は、夏季はおおむね北
流の傾向を示し、冬季は南
流が継続する傾向を示して
いる。沿岸部に津軽海峡を
南下する津軽暖流が流れ、
その外側を親潮が南下して
いる。
既存文献を基に沿岸域の流
況を整理。
・むつ小川原港港湾計画資料
(その 2)
新規
(むつ小川原港
港湾管理者,昭和 52 年)
・むつ小川原港港湾計画資料
(その 2)
一部変更
(むつ小川
原港港湾管理者,平成 5 年)
【騒音・振動】
騒音については、
県の環境白書に基づく整理を行っているが、
事業実施計画区域及び周辺に
おける測定は行われておらず、
騒音規制区域も設定されていないことから、
青森県としての騒
音の現況を引用してとりまとめている。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)87表 3.1.3-9 騒音・振動に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
事業実施区域及びその周辺
において、平成 23 年度末現
在、環境騒音、自動車騒音、
道路交通振動の測定は行わ
れていない。
六ヶ所村では騒音の環境基
準の類型指定、騒音規制の
地域の指定、振動規制の地
域の指定はない。
既存文献を基に騒音・振動の
調査データを整理。
「環境白書 平成 24 年版」(青森県、平成 24 年)
【水中騒音】
配慮書において水中騒音による生物相等への影響に関する記述はない。
【景 観】
景観については、インターネットを含む観光関連情報、環境省「自然環境保全基礎調査」、青森県観光連盟による「青森県観光要覧」等に基づき事業予定地周辺の主要眺望点を抽出し、
事業エリアの視認性について検討を行っている。
表 3.1.3-10 景観に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
六ヶ所野鳥観察公園、鷹架
野鳥の里森林公園、六ヶ所
原燃PR センター展望室、む
つ小川原国家石油備蓄基地
石油資料館展望室を眺望点
に選定。六ヶ所村砂丘、六
ヶ所海岸段丘等計 20 箇所を
景観資源に選定。
文献及びその他の資料調査
結果に基づき、眺望点及び
眺望景観の状況を抽出。
・青森県観光情報サイト(青森
県HP、平成25 年8 月閲覧)
・全国旅そうだん(日本観光振
興協会HP、平成25 年8 月閲覧)・六ヶ所原燃PR センター紹介
(六ヶ所原燃PR センターHP、
平成25 年8 月閲覧)
・見学のご案内(むつ小川原石
油備蓄基地株式会社HP、平成
25 年8 月閲覧)
・ふるさと眺望点(上十三地区)(青森県 HP 平成 25 年 8 月閲覧)・第 3 回自然環境保全基礎調
査 青森県自然環境情報図(環境
庁、平成元年)
・’96 青森県観光要覧((社)
青森県観光連盟、平成 8 年)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)88【動物・植物プランクトン】
プランクトンについては、
「むつ小川原港港湾計画資料」において調査がなされており、同
データに基づく記述がなされている。
表 3.1.3-11 動物・植物プランクトンに係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
動 物 プ ラ ン ク ト ン で は
Polychaeta larva、Oncaea
media 等が確認されてい
る。植物プランクトンでは
Skeletonema costatum 、
Lauderia annulata 等が確
認されている。
既存文献を基に動植物プラ
ンクトンの分布状況を整理。
・むつ小川原港港湾計画資料
(その2)-一部変更-(む
つ小川原港港湾管理者、平成
5 年)
【底生生物】
底生生物については、
「むつ小川原港港湾計画資料」において調査がなされており、同デー
タに基づく記述がなされている。
表 3.1.3-12 底生生物に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
チヨノハナガイ、タケフジ
ゴカイ科等が確認されてい
る。
既存文献を基に候補海域に
おける底生生物の分布状況
を整理。
・むつ小川原港港湾計画資料
(その 2)-一部変更-(む
つ小川原港港湾管理者、平成
5 年)
【魚類等遊泳動物】
国土交通省水情報「河川環境データベース」
、六ヶ所村史編纂委員会「六ヶ所村史」等より
魚類等遊泳動物の情報を抽出・使用している。
表 3.1.3-13 魚類等遊泳動物に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
魚類ではカワヤツメ、ス
ナヤツメ北方種等の 2 綱
15 目 38 科 89 種が確認
されている。
既存文献を基に候補海域に
おける魚類等遊泳動物の生
息状況を整理。
・河川環境データベース
河川水辺の国勢調査(国土
交通省水情報国土データ管
理センターHP、平成25 年8
月閲覧)
・六ヶ所村史 下巻II
(六ヶ
所村史編纂委員会、平成 9年)【魚卵・稚仔魚】
魚卵・稚仔魚については、
「むつ小川原港港湾計画資料」において調査がなされており、同
データに基づく記述がなされている。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)89表 3.1.3-14 魚卵・稚仔魚に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
稚仔魚ではカタクチイワ
シ、イソギンポ等が確認
されている。
既存文献を基に候補海域に
おける魚卵・稚仔魚の生息状
況を整理。
・むつ小川原港港湾計画資料(その 2)
-一部変更-(むつ小川原港港湾管理者、平
成 5 年)
【鳥 類】
環境省自然環境局生物多様性センターのデータと現地有識者へのヒアリングにより、鳥類
等の生息状況が把握されている。対象地においてはオジロワシ・オオワシ・ガン・カモ・ハク
チョウが確認されている。
表 3.1.3-15 鳥類に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
六ヶ所村における渡りの経
路として確認されているの
は、冬季のオジロワシ、オ
オワシであった。また、越
冬期及び渡り期にオオハク
チョウが下北半島を集結地
にしている。
ガン・カモ類は岸が見える
範囲の海上を飛んでいると
思われる。
既存文献を基に候補海域に
おける鳥類の生息状況を整
理するとともに、有識者への
ヒアリングを実施。
・モニタリングサイト 1000
シギ・チドリ類調査速報(環
境省自然環境局生物多様性
センター、
平成 21〜25 年)等・鳥類等に関する風力発電施
設 立地適正化のための手引
き(環境省、平成 23 年)
・鳥類の現地の状況(有識者
意見)
【海藻草類・藻場】
海藻草類・藻場については、環境庁自然保護局による「自然環境保全基礎調査海域生物環境
調査報告書」のデータが使用されている。
表 3.1.3-16 海草藻類・藻場に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
事業実施想定区域の周辺
には藻場は分布していな
い。
既存文献を基に候補海域に
おける海藻草類等の分布状
況を確認。
・六ヶ所村史下巻II(六ヶ所
村史刊行委員会、平成9 年)
・第4 回自然環境保全基礎調
査海域生物環境調査報告書
(干潟、藻場、サンゴ礁調
査)第2 巻藻場」(環境庁自
然保護局、平成6 年)
・むつ小川原港港湾計画資料
(その2)-一部変更-(むつ
小川原港港湾管理者、平成5年)【潮間帯生物】
潮間帯生物については、むつ小川原港港湾管理者による「むつ小川原港港湾計画資料」のデ
ータが使用されている。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)90表 3.1.3-17 潮間帯生物に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
事業実施想定区域の周辺
については、ホソメコン
ブ、アオサ属、ワカメ等
が確認されている。カマ
キリヨコエビ、ムラサキ
イガイ等が確認されてい
る。
既存文献を基に候補海域に
おける分布状況を確認。
・むつ小川原港港湾計画資料(その 2)
-一部変更-(むつ小川原港港湾管理者、
平成
5 年)
【漁業生物】
漁業生物については、漁業権情報として、「免許漁業原簿謄本漁業図」、「青森県報号外」
等が使用されている。
また、
現地漁業関係者へのヒアリングにより、
情報の補完を図っている。
表 3.1.3-18 漁業生物に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
事業実施想定区域は漁業権
の設定のない範囲としてい
るが、
その周辺は、
海面の共
同漁業権並びに定置漁業権
が設定されている。
刺し網や
定置網などで、
ヒラメやサケ
などが水揚げされている。
既存文献を基に操業されてい
る漁業及び漁場図、漁獲量を
整理するとともに、漁業関係
者へのヒアリングを実施。
・免許漁業原簿謄本漁業図
(青森県、平成25 年8 月)
・青森県報号外第18 号
(青森県、平成25 年)
・青森県報号外第61 号
(青森県、平成25 年)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)913)社会条件
当該洋上風力発電施設設置海域における法的規制あるいは社会的制約等関連法令の概要を
下表に整理した。
表 3.1.3-19 むつ小川原港沖における関連法令整理の概要
項目 細項目 むつ小川原港沖
一般法規 ・電気事業法
・建築基準法
・電波法
・国土利用計画法
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
航行安全 ・航路標識法
・航空法
・港則法
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
港湾・海岸 ・港湾法
・海岸法
・青森県港湾管理条例
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
水産関連 ・漁業法
・漁港漁場整備法
くろまる
くろまる
自然保護・
景観
・環境基本法
・環境影響評価法
・景観法
・騒音規制法
・振動規制法
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
くろまる
くろまる
にじゅうまる:地域特性を基に法令等確認した結果、実証海域で適用される項目、くろまる:適用されない項目
4)事業予定配置計画の選定
事業実施想定区域として尾駮地先及び新納屋地先の 2 カ所が選定されている。
尾駮地先の南北方向の距離は約 4.2 km(むつ小川原港の港湾区域の北端から尾駮漁港の北側
防波堤まで)、東西方向の距離は約 2.4 km(六ヶ所村尾駮浜から出戸にかけての保安林の東端
起点から沖方向) の範囲である。
新納屋地先の南北方向の距離は約 3.0km(むつ小川原港の南防波堤からむつ小川原港の港湾
区域の南端まで)、東西方向の距離は約 1.2 km(六ヶ所村新納屋から平沼の汀線を起点として
沖合方向)の範囲とされている。
事業における風車配置計画については、図 3.1.3-1 に示す A 案、B 案の二案が提示されてい
る。発電機の配置決定に際しては、以下の条件が考慮されている。
・陸上に比べ風の乱れが小さく、風況が良い洋上とする。
・漁業権の設定のない「むつ小川原港港湾区域」の範囲とする。
・保安林にかからない範囲とする。
・泊地、航路及び埋立計画地にかからない範囲とする。
・発電機の設置工事が難しい砕波帯(水深5m前後)は除く。
・発電機の基礎形式は、施工実績の多い「着床式」とする。
・砕波帯より岸側に設置する発電機の基礎は、着床式のうち、施工に大型起重機船を
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)92必要としない「ドルフィン式」とする。
・沖側に設置する発電機の基礎は、着床式のうち、施工実績の多い「ケーソン(重力)
式」とする。ケーソン式基礎の設置水深は30m以浅とする。
図 3.1.3-1 事業予定配置計画
発電機の概略配置計画【A 案】
発電機の概略配置計画【B 案】
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)935)調査の対象範囲と参考項目
当該事業については、
表 3.1.3-20 のとおり、
計画段階配慮事項の参考項目が選定されている。
当該事業においては、
「発電所の設置又は変更の工事の事業に係る計画段階配慮事項の選定並
びに当該計画段階配慮事項に係る調査、
予測及び評価に関する指針、
環境影響評価の項目並びに
当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手段を選定するための指針並びに環
境の保全のための措置に関する指針等を定める省令」(平成 10 年通産省令第 54 号)(以下、
発電所アセス省令と称す)をベースに、本事業に内容との相違を整理した結果、一般的な事業内
容と判別されたため、工事による影響は非選定とした。
施設の存在・稼働に関する重大な影響項目として、騒音、シャドーフリッカー、動物・植物、
生態系、景観を対象としている。また、地形・地質について事業実施想定区域に学術上又は希少
性の観点からの重要な地形及び地質が存在しないこと、主要な人と自然との触れ合いの活動の
場についても、事業実施想定区域に存在しないことを理由に非選定としている。
表 3.1.3-20 参考項目の選定
*上記表中の紗掛け部分は「発電所アセス省令」第 21 条第 1 項第 5 号に定める「風力発電所 別表第 5」に示す参考項目であり、
しろまる」は計画段階配慮事項の項目として選定する項目を示す。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)94評価項目
施設の存在/
施設の管
理・運営に
伴う影響
調査・予測・評価手法
騒音・超低周波音しろまる
調査手法:既往調査資料・文献に基づき、学校・病院・その他の環境の保全について配慮が特に必要な施設及び住居を
抽出する。
予測手法:風力機列から配慮が特に必要な施設及び住居までの距離に基づいて影響を予測する。
評価手法:A案(2500k×ばつ32基)、B案(2500k×ばつ24基+5000k×ばつ4基)ごとに重大な環境影響の程度を整理し、その
結果を比較する。併せて、基準・目標等との整合性を検討する。
風車の影 しろまる
調査手法:既往調査資料・文献に基づき、学校・病院・その他の環境の保全について配慮が特に必要な施設及び住居を
抽出する。
予測手法:シャドーフリッカーの配慮範囲と配慮が特に必要な施設及び住居の位置関係に基づいて影響を予測する。
評価手法:A案(2500k×ばつ32基)、B案(2500k×ばつ24基+5000k×ばつ4基)ごとに重大な環境影響の程度を整理し、その
結果を比較する。併せて、基準・目標等との整合性を検討する。
重要な動物種及
び注目すべき生
息地(海域に生
息するものを除く)哺乳類・両生
類・爬虫類・昆
虫類・魚類
しろまる
調査手法:既往調査資料・文献に基づき、動物の生息の状況、重要な種及び注目すべき生息地を把握する。
予測手法:文献調査で得られた重要な種について、一般的な生態特性を基に生息域や行動等の生態特性によっていくつ
かのグループに区分し、各グループの生態特性に対して想定される影響を整理する。
評価手法:A案(2500k×ばつ32基)、B案(2500k×ばつ24基+5000k×ばつ4基)ごとに重大な環境影響の程度を整理し、その
結果を比較する。併せて、基準・目標等との整合性を検討する。
重要な動物種及
び注目すべき生
息地(海域に生
息するものを除く)鳥類
しろまる
調査手法:既往調査資料・文献に基づき、動物の生息の状況、重要な種及び注目すべき生息地を把握する。
予測手法:文献調査で得られた重要な種について、一般的な生態特性を基に生息域や行動等の生態特性によっていくつ
かのグループに区分し、各グループの生態特性に対して想定される影響を整理する。
評価手法:A案(2500k×ばつ32基)、B案(2500k×ばつ24基+5000k×ばつ4基)ごとに重大な環境影響の程度を整理し、その
結果を比較する。併せて、基準・目標等との整合性を検討する。
海域に生息する
動物
しろまる
調査手法:既往調査資料・文献に基づき、動物の生息の状況、重要な種及び注目すべき生息地を把握する。
予測手法:一般的な生態特性を基に生息域や行動等の生態特性によっていくつかのグループに区分し、各グループの生
態特性に対して想定される影響を整理する。事業実施想定区域内の生息地の改変の程度について、それぞれ改変区域の
面積比率の算出により影響の程度を予測する。
評価手法:A案(2500k×ばつ32基)、B案(2500k×ばつ24基+5000k×ばつ4基)ごとに重大な環境影響の程度を整理し、その
結果を比較する。併せて、基準・目標等との整合性を検討する。
重要な植物種及
び重要な群落
(海域に生息す
るものを除く)
しろまる
調査手法:既往調査資料・文献に基づき、植物の生育の状況、重要な種及び重要な群落を把握する。
予測手法:一般的な生態特性を基に生育地によっていくつかのグループに区分し、各グループの生態特性に対して想定
される影響を整理する。事業実施想定区域内の生育地等の改変の程度について、それぞれ改変区域の面積比率の算出に
より、影響の程度を予測する。
評価手法:A案(2500k×ばつ32基)、B案(2500k×ばつ24基+5000k×ばつ4基)ごとに重大な環境影響の程度を整理し、その
結果を比較する。併せて、基準・目標等との整合性を検討する。
海域に生息する
植物
しろまる
調査手法:既往調査資料・文献に基づき、植物の生育の状況、重要な種及び重要な群落を把握する。
予測手法:一般的な生態特性を基に生育地によって重要種をいくつかのグループに区分し、各グループの生態特性に対
して想定される影響を整理する。事業実施想定区域内の生育地の改変の程度について、それぞれ改変区域の面積比率の
算出により影響の程度を予測する。
評価手法:A案(2500k×ばつ32基)、B案(2500k×ばつ24基+5000k×ばつ4基)ごとに重大な環境影響の程度を整理し、その
結果を比較する。併せて、基準・目標等との整合性を検討する。
生態系 しろまる
調査手法:既往調査資料・文献に基づき、環境類型区分、生態系の概要を把握する。
予測手法:文献調査で確認した自然環境について、重要な自然環境のまとまりの場を整理する。まとまりの場につい
て、施設の存在に伴う影響を整理し、各々のまとまりの場に対して想定される影響をとりまとめる。まとまりの場に対
して、事業実施想定区域内の改変の程度について、それぞれ改変区域の面積比率により影響の程度を予測する。
評価手法:A案(2500k×ばつ32基)、B案(2500k×ばつ24基+5000k×ばつ4基)ごとに重大な環境影響の程度を整理し、その
結果を比較する。併せて、基準・目標等との整合性を検討する。
景観 しろまる
調査手法:既往調査資料・文献に基づき、眺望点及び眺望景観の状況を抽出する。
予測手法:施設の存在に伴う眺望点や景観資源の直接改変の有無及び風力発電機と重なる可能性のある景観資源の整理
結果、眺望点から風力発電機を見た時の最大垂直視角の計算結果に基づいて、影響を予測する。
評価手法:A案(2500k×ばつ32基)、B案(2500k×ばつ24基+5000k×ばつ4基)ごとに重大な環境影響の程度を整理し、その
結果を比較する。併せて、基準・目標等との整合性を検討する。
6)参考項目別の調査・予測・評価方法
参考項目別の調査・予測・評価方法については、表 3.1.3-21 のように示されている。
いずれの項目についても、既往資料に基づく、定量予測となっている。
表 3.1.3-21 参考項目別の調査・予測・評価方法
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)95評価項目
施設の存在
/施設の管
理・運営に
伴う影響
調査・予測・評価結果
騒音・超低周波音しろまる
【調査結果】
・既往調査資料等を基に学校、病院、特に環境保全配慮が必要な施設・住居を確認した結果、住居までの最短距離が約
0.9kmであった。
【予測・評価結果】
・住居等に最も近い風車設置予定地(発電機列・尾駮地先・西側)は、住居までの最短距離が約0.9kmであるため、発電
機の音響パワーレベルによって騒音及び超低周波音の影響が大きくなる可能性が考えられると予測・評価されている。
<A案とB案の比較>
発電機列から配慮が特に必要な施設及び住居までの距離は、A案とB案ともに最も近いものは約0.9kmであり、尾駮地先・
東側風力発電機列から当該住居までの距離はA案で約1.8km、B案で約2.1kmであることから、A案とB案でほとんど差はな
いと評価されている。
<基準・目標等との整合性の検討>
六ヶ所村では騒音の環境基準の類型指定はされていない。また、超低周波音について、環境基準等の基準は定められて
いない。
風車の影 しろまる
【調査結果】
・既往調査資料等を基に学校、病院、特に環境保全配慮が必要な施設・住居を確認した結果、住居までの最短距離が約
0.9kmであった。
【予測・評価結果】
・一部の住居がシャドーフリッカーの影響範囲(約0.9km)の外縁に位置するため、シャドーフリッカーによる一定の影
響が想定されると評価されている。
<A案とB案の比較>
シャドーフリーカー影響範囲における配慮が特に必要な施設及び住居の存在状況はA案とB案で変わらないことから、A案
とB案で差はないと評価されている。
<基準・目標等との整合性の検討>
環境基準等の基準は定められていない。
重要な動物種及
び注目すべき生
息地(海域に生
息するものを除く)哺乳類・両生
類・爬虫類・昆
虫類・魚類
しろまる
【調査結果】
・既往調査資料等を基に重要な動物種及び注目すべき生息地を確認した結果、哺乳類で8種、両生類で5種、爬虫類で1
種、昆虫類で66種、魚類で19種、貝類で5種、軟甲類1種、合計228種の重要種が尾駮沼等の周辺で確認されている。
【予測・評価結果】
(施設の存在に伴う生息地への影響)
海浜部に生息する哺乳類等の重要な種については管理用道路等によって生息地の改変が想定される。尾駮地先の海浜部
では、A案、B案とも管理用道路等による海浜部の改変面積の比率は4.0%であり、ほとんどの部分が残存すると予測・評
価されている。
(施設の存在に伴う移動阻害及び施設の稼働に伴う衝突の影響(コウモリ類))
コウモリ類が海岸線と直角方向に飛翔する場合、移動阻害等が想定される。2基の風力発電機間の面積のうち、ブレード
回転面面積を除いた空隙率はA案、B案とも73.8%であると予測・評価されている。
<A案とB案の比較>
A案とB案にほとんどで差はみられないものと評価されている。
<基準・目標等との整合性の検討>
基準・目標等は定められていない。
重要な動物種及
び注目すべき生
息地(海域に生
息するものを除く)鳥類
しろまる
【調査結果】
・既往調査資料等を基に重要な動物種及び注目すべき生息地を確認した結果、鳥類で123種の重要種が尾駮沼等の周辺で
確認されている。
【予測・評価結果】
(施設の存在に伴う採餌場や生息地への影響)
影響があると想定されるのは、尾駮地先の管理用桟橋および管理用道路、風力発電機、風力発電機の基礎部であるが、A
案、B案とも面積や空域容積の全体に占める改変率は小さくほとんどの部分が残存すると予測されている。
(施設の存在に伴う移動阻害及び施設の稼働に伴う衝突の影響)
鳥類が海岸線に平行に飛翔する場合、2列のブレード回転面間の列間空隙距離はA案約1,012m、B案1,348mであり、空隙
率はA案81.8%、B案84.0%であると予測されている。鳥類が海岸線と直角方向に飛翔する場合、2基の風力発電機間の面
積のうち、ブレード回転面面積を除いた空隙率はA案、B案とも73.8%であると予測されている。
<A案とB案の比較>
A案とB案にほとんど差はみられないものと評価されている。
<基準・目標等との整合性の検討>
基準・目標等は定められていない。
7)参考項目別の調査・予測・評価結果
環境影響評価の参考項目別の調査・予測・評価結果を表 3.1.3-22 に整理した。代替案として
A 案と B 案が示されているが、評価結果によれば、両案において殆ど差異は生じていない。
表 3.1.3-22(1) 参考項目別の調査・予測・評価結果
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)96評価項目
施設の存在
/施設の管
理・運営に
伴う影響
調査・予測・評価結果
海域に生息する
動物
しろまる
【調査結果】
・既往調査資料等を基に海域に生息する種を確認した結果、魚類はカワヤツメ・カナガシラ等11種の重要種が尾駮沼等
の周辺で確認されている。
【予測・評価結果】
(施設の存在に伴う生息地への影響】
海底に生息する種、海水中に生息する種、潮間帯動物に対しては、A案、B案とも面積や海域容積の全体に占める改変率
は小さくほとんどの部分が残存すると予測されている。重要な種について、魚類のカナガシラは海底に生息しており、
魚類のカワヤツメ等は海域と尾駮沼を回遊している。A案、B案とも、改変面積の比率が最大0.1%であり、ほとんどの部
分が残存すると予測されている。
<A案とB案の比較>
A案とB案にほとんど差はみられないものと評価されている。
<基準・目標等との整合性の検討>
基準・目標等は定められていない。
重要な植物種及
び重要な群落
(海域に生息す
るものを除く)
しろまる
【調査結果】
・既往調査資料等を基に重要な動物種及び注目すべき生息地を確認した結果、シダ植物・種子植物・紅藻植物等77種の
重要種が尾駮沼等の周辺で確認されている。
【予測・評価結果】
(施設の存在に伴う生育地への影響)
海浜部に生育する重要な種については、A案、B案とも尾駮地先の海浜部の面積のうち、管理用道路等による海浜部の改
変面積の比率は4.0%であり、ほとんどの部分が残存すると予測されている。新納屋地先については管理用道路等を設置
しない。海浜部以外に生育している重要な種及び重要な群落については、風力発電機からは十分に離れているため影響
は及ばないと予測されている。
<A案とB案の比較>
A案とB案に差はないものと評価されている。
<基準・目標等との整合性の検討>
基準・目標等は定められていない。
海域に生息する
植物
しろまる
【調査結果】
・既往調査資料等を基に重要な植物種及び重要な群落等を確認した結果、事業実施区域内には重要な植物分布情報は無
いが、その周辺にはヒメキンポウゲ、シバナ等重要な種が確認されている。
【予測・評価結果】
(施設の存在に伴う生育地への影響)
潮間帯植物については、A案、B案とも尾駮地先・西側では風力発電機の管理用桟橋による改変面積の比率は1.9%であ
り。ほとんどの部分が残存し、尾駮地先・西側、尾駮地先・東側及び新納屋地先では基礎部設置水深が潮間帯より深い
ため生育地は改変しないと予測されている。植物プランクトン、海藻草類については、A案、B案とも改変面積の比率は
最大0.1%であり、ほとんどの部分が残存すると予測されている。重要な種にとして、汽水域に生育するコアマモ等につ
いては、湖沼の中に生育していると考えられることから、A案、B案とも影響は想定されない。
<A案とB案の比較>
A案とB案に差はないものと評価されている。
<基準・目標等との整合性の検討>
基準・目標等は定められていない。
生態系 しろまる
【調査結果】
・既往調査資料等を基に事業実施区域の周辺の自然環境状況を整理した。
【予測・評価結果】
(施設の存在に伴うまとまりの場への影響)
自然海岸にあたる尾駮地先の海浜部の面積のうち、管理用道路等による海浜部の改変面積の比率は4.0%であり、ほとん
どの部分が残存すると予測されている。新納屋地先については、管理用道路等を設置しないため影響は及ばないと考え
られる。また、自然海岸以外のまとまりの場は改変されない。
<A案とB案の比較>
A案とB案に差はないものと評価されている。
<基準・目標等との整合性の検討>
基準・目標等は定められていない。
景観 しろまる
【調査結果】
・既往調査資料等を基に眺望点及び眺望景観を整理した結果、六ヶ所野鳥観察公園、鷹架野鳥の里森林公園、六ヶ所原
燃PRセンター展示室、むつ小川原国家石油備蓄基地石油資料館展望室が挙げられる。
【予測・評価結果】
(眺望点の変化)
眺望点への影響は、すべて眺望点に対し直接改変はないことから、影響はないと評価されている。
(景観資源の変化)
「六ヶ所村砂丘」の一部が改変される可能性があることから、一定の影響が想定されると評価されている。
(眺望景観の変化)
一部の眺望点において発電機がやや大きく見える可能性があること、また眺望点から発電機を見た時に重なる可能性の
ある景観資源があることから、一定の影響が想定されると評価されている。
<A案とB案の比較>
A案とB案にほとんど差はみられないものと評価されている。
<基準・目標等との整合性の検討>
今後、事業の実施にあたり「青森県景観条例」に基づいた手続を経ることとなるとされている。
表 3.1.3-22(2) 参考項目別の調査・予測・評価結果
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)97(4)民間事業者による洋上風力発電事業((仮称)秋田港洋上風力発電事業)
1)事業概要
秋田港洋上風力発電事業(計画段階環境配慮書)に係る概要を以下に整理した。
本事業は、環境影響評価法対象の洋上風力発電事業(総出力 7 万 kW(最大)
、3,450〜7,000kW
級風車を最大 14 基配置することを想定)であり、同法に則った計画段階環境配慮書の事例とな
る。事業の概要を表 3.1.4-1 にとりまとめた。
表 3.1.4-1 概要一覧
実施者 丸紅株式会社、株式会社大林組、エコ・パワー株式会社
((注記)平成 27 年度中に設立予定の特別目的会社(SPC)に事業主体が移行する予定。)発表時期 2015(平成 27)年 8 月
事業実施
想定海域
2014 年 12 月に実施された「秋田港及び能代港における洋上風力発電事業者公募」の能代港の選定
海域を含む能代港湾区域内
想 定 海 域
の概要
にじゅうまる事業想定区域面積:616 ヘクタール(秋田港湾区域内)
にじゅうまる近隣には秋田火力発電所、港湾施設、各種工場等が存在する。
にじゅうまる水深は 0m〜約 30m で細砂が分布している。
にじゅうまる国立公園・国定公園・県立自然公園の指定はない。
にじゅうまる漁業権指定が無い「秋田港港湾区域」の範囲内とする。
事業規模・
基礎工法
にじゅうまる総出力 70,000kW(最大)
にじゅうまる基数:最大 14 基
にじゅうまる単機出力:3,450kW、3,600kW、4,000kW、5,000kW、6,000kW、7,000KW
にじゅうまるモノパイル式或いはジャケット式
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)982)自然条件
洋上風力発電施設設置海域の選定に当たり候補海域の自然条件を把握するため、表 3.1.4-2 の
項目毎に参考文献(既往調査資料・データ等)の収集・整理を実施した。
当海域の自然条件整理項目は 15 項目となっており、水中騒音、電波障害、海棲爬虫類等が対
象外となっている。
表 3.1.4-2 自然条件整理一覧
気象 しろまる
海象 しろまる
海底地形・地質 しろまる
水質 しろまる
底質 しろまる
流況(海流・潮流) -
騒音・振動 しろまる
水中騒音 -
電波障害 -
景観 しろまる
動植物プランクトン しろまる
底生生物 しろまる
魚類等遊泳動物 しろまる
魚卵・稚仔魚 -
鳥類 しろまる
海棲哺乳類 しろまる
海草藻類・藻場 しろまる
潮間帯生物 -
海棲爬虫類 -
生態系 しろまる
漁業生物 しろまる
合計(しろまる印) 15項目
しろまる:自然条件整理の対象項目、-:対象外項目
以下に各種自然条件項目の概要、それら自然条件の整理方法・参考文献等を整理した。
【気象・大気質】
表 3.1.4-3 に気象に係る整理方法・参考文献を示す。気象については、県の環境白書や気象庁
の統計データに基づき気象の特性及び概要を整理している。
表 3.1.4-3 気象・大気質に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
年平均風速 4.4m/s
平均最大風速 14.0m/s
・気象特性、気象概要の整
理。
・大気質の状況の整理
・平成 26 年版 環境白書(資
料編)(秋田県生活環境部環
境管理課,平成 26 年 12 月)
・気象庁 HP
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)99【水 質】
表 3.1.4-4 に水質に係る整理方法・参考文献を示す。水質については、県の環境白書のデータ
を用いている。水質項目は環境項目及び健康項目について整理を行っており、環境基準値との適
合についても取りまとめている。
表 3.1.4-4 水質に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
河川、海域の生活環境項目、
健康項目に関して概ね環境
基準に適合している。
秋田港
北等の海域において pH、全
窒素、全リン COD、DO が
環境基準に不適合が見られ
る。
秋田県における水質観測デ
ータを基に候補海域の現況
を整理。
・平成 26 年版環境白書(資料編)(秋田県生活環境部環境管
理課,平成 26 年 12 月)
・能代海域水質調査の結果に
ついて(能代市ホームページ)
【海底底質・地質】
表 3.1.4-5 に海底地形・地質に係る整理方法・参考文献を示す。海底地形・地質は、海上保安
庁の「海底地形図」及び「海底地質構造図」に基づき、地形勾配、地質・地層の整理を行ってい
る。
表 3.1.4-5 海底地形・地質に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
事業実施想定区域及びその
周辺の海底の底質は細砂が
一帯に広がっている。
海域の地質は、沖積層が一
帯に広がっている。
既往文献を基にして、候補
海域の海底地形・地質の現
況を整理。
・海図第 6328 号 2-5 海上保
安庁昭和 58 年 3 月刊行
【騒音・振動】
表 3.1.4-6 に騒音・振動に係る整理方法・参考文献を示す。騒音及び振動については、事業実
施想定区域周辺の一部の区域が騒音・振動規制法による規制地域に指定されており、騒音・振動
に係る測定が実施されている。県の環境白書に基づく整理を行っており、事業実施想定区域及び
周辺における測定結果を参考としている。
表 3.1.4-6 騒音・振動に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
事業実施区域及びその周辺
において、平成 23 年度〜平
成 25 年度に自動車騒音、平
成 24 年度〜平成 25 年度に
環境騒音、平成 25 年度に道
路交通振動の測定が行われ
ている。
秋田市では騒音の環境基準
類型指定、振動規制の要請
限度が定められている。
既存文献を基に騒音・振動の
調査データを整理。
・平成 24 年版環境白書
(資料編)(秋田県生活環境部環境管
理課,平成 25 年 2 月)
・平成 25 年版環境白書
(資料編)(秋田県生活環境部環境管
理課,平成 25 年 12 月)
・平成 26 年版環境白書
(資料編)(秋田県生活環境部環境管
理課,平成 26 年 12 月)
・騒音・振動調査結果
(能代市
ホームページ)
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)100【水中騒音】
配慮書において水中騒音による生物相等への影響に関する記述はない。
【動物・植物プランクトン】
表 3.1.4-7 に動物・植物プランクトンに係る整理方法・参考文献を示す。プランクトンについ
ては、秋田県水産振興センターにおいて調査がなされており、同調査データに基づく記述がなさ
れている。
表 3.1.4-7 動物・植物プランクトンに係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
動 物 プ ラ ン ク ト ン で は
Polychaeta larvae 、
Bivalvia larvae 等が確認
されている。植物プランク
トンでは Ceratium fusus、
Skeletonema costatum 等が
確認されている。
既存文献を基に動植物プラ
ンクトンの分布状況を整理。
・「秋田県水産振興センター
業務報告書」(平成25年、秋
田県)
【底生生物】
表 3.1.4-8 に底生生物に係る整理方法・参考文献を示す。底生生物については、秋田県水産振
興センターにおいて調査がなされており、同調査データに基づく記述がなされている。
表 3.1.4-8 底生生物に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
イトゴカイ科、フトヒゲソ
コエビ科等が確認されてい
る。
既存文献を基に候補海域に
おける底生生物の分布状況
を整理。
・「秋田県水産振興センタ
ー業務報告書」(平成25
年、秋田県)
【魚類等遊泳動物】
表 3.1.4-9 に魚類等遊泳動物に係る整理方法・参考文献を示す。日本海産魚類目録より魚類等
遊泳動物の情報を抽出・使用している。
表 3.1.4-9 魚類等遊泳動物に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
魚類ではカジカ科、カレ
イ科等の 34 目 151 科 475
種が確認されている。
既存文献を基に候補海域に
おける魚類等遊泳動物の生
息状況を整理。・「日本海産魚類目録」(河野光久他.2014 年.山口県
水産研究センター紀要 11:
1-30)
【鳥 類】
表 3.1.4-10 に鳥類に係る整理方法・参考文献を示す。鳥類は陸生生物の状況として、哺乳類、
爬虫類、両生類、昆虫類の中で整理しており、環境省の自然環境保全基礎調査等のデータにより
鳥類等の生息状況が把握されている。文献により、カイツブリ、ウミウ、アオサギ、チョウゲン
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)101ボウ等、256 種の鳥類が確認されている。また、事業実施想定区域周辺には追分鳥獣保護区・新
屋鳥獣保護区が存在する。また、事業実施想定区域の北側約 10 km先には、渡り鳥の中継地とな
っている八郎湖及び八郎潟干拓地が存在し、さらにその北東に小友沼がある。
表 3.1.4-10 鳥類に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
鳥類の重要な種では、シジ
ュウカラガン、コクガン、
オジロワシ等、重要種とし
て 16 目 33 科 95 種が文献
により確認されている。
既存文献を基に候補海域に
おける鳥類の生息状況を確
認。
・昭和 52 年度
「工業立地に伴
う生態系影響調査」報告書
(1978,秋田県)
・第 2 回自然環境保全基礎調
査 日本産鳥類の繁殖分布
(1993,環境庁)
・第 3 回自然環境保全基礎調
査 動物分布調査報告書 鳥
類(1988,環境庁)
・第 38〜45 回ガンカモ調査
成果物
(2007〜2014,
環境省)
【海草藻類・藻場】
表 3.1.4-11 に海草藻類・藻場に係る整理方法・参考文献を示す。海藻草類・藻場については、
秋田県沿岸域における文献「秋田県南部沿岸海藻目録」のデータが使用されている。
表 3.1.4-11 海草藻類・藻場に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
男鹿半島を除く秋田県の
北部海域では、藍藻類 1
種、緑藻類 19 種、褐藻類
33 種、紅藻類 84 種の合
計 137 種の海藻類が確認
されている。
既存文献を基に候補海域に
おける海藻草類等の分布状
況を確認。
・「秋田県南部沿岸海藻目
録」(今野郁.1973年.藻類
21(4):144-149)
【海棲哺乳類】
表 3.1.4-12 に海棲哺乳類に係る整理方法・参考文献を示す。海棲哺乳類については、
、国立科
学博物館の「海棲哺乳類ストランディングデータベース」のデータが使用されている。
表 3.1.4-12 海棲哺乳類に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
秋田市内におけるストラ
ンディング(座礁)事例
としてはオットセイが2
件、ゴマフアザラシが1
件、オウギハクジラが5
件、オウギハクジラ属
(別種の可能性あり)が1
件、マイルカが1件、カマ
イルカが2件、ハナゴウン
ドウが2件、ネズミイルカ
が1件、イシイルカ(イシ
イルカ型)が1件、それぞ
れ報告されている。
既存文献を基に候補海域に
おける分布状況を確認。
・国立科学博物館海棲哺乳
類ストランディングデータ
ベース
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)102【景 観】
表 3.1.4-13 に景観に係る整理方法・参考文献を示す。秋田県では「秋田県の景観を守る条例」
(平成 18 年 3 月 28 日施行)が定められており、
「秋田県景観保全基本方針」
(平成 5 年 9 月 10
日施行)、「秋田県届出行為景観保全基準」
(同日施行)とともに、景観保護の必要性が認められ
ている。また、秋田市は景観行政団体に属しており、
「秋田市景観条例」
(平成 21 年 11 月 1 日施
行)を定めている。景観については、秋田市景観マップ、インターネット及び現地踏査等に基づ
き事業予定地周辺の主要眺望点を抽出し、事業エリアの視認性について検討を行っている。
表 3.1.4-13 景観に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
小泉潟公園、秋田市下新城
中野地区、秋田マリーナ、
秋田市ポートタワー、秋田
ベイパラダイス、秋田城
跡、洋上(フェリー等の船
上)を眺望点に選定。男鹿
半島、八郎潟調整池、太平
山、秋田砂丘、夕日の松原
の計5箇所を景観資源に選
定。
文献及びその他の資料調査
結果、現地踏査結果に基づ
き、眺望点及び眺望景観の
状況を抽出。
・秋田市景観マップ2008(平成
20年 秋田市都市整備部都市計
画課)
・第4回自然環境保全基礎調査
秋田県自然環境情報図(平成7
年環境庁)
・秋田県、秋田市等ホームペー
ジ、美の国あきたネット、道路
地図、住宅地図等
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)1033)社会条件
当該洋上風力発電施設設置海域における法的規制あるいは社会的制約等関連法令の概要を表
3.1.4-14 に整理した。
表 3.1.4-14 秋田港における関連法令整理の概要
項目 細項目 秋田港
一般法規 ・電気事業法
・建築基準法
・電波法
・国土利用計画法
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
航行安全 ・航路標識法
・航空法
・港則法
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
港湾・海岸 ・港湾法
・海岸法
・秋田県県港湾管理条例
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
水産関連 ・漁業法
・漁港漁場整備法
くろまる
くろまる
自然保護・
景観
・環境基本法
・環境影響評価法
・景観法
・騒音規制法
・振動規制法
・水質汚濁防止法
・悪臭防止法
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
くろまる
にじゅうまる:地域特性を基に法令等確認した結果、実証海域で適用される項目、くろまる:適用
されない項目
4)事業予定配置計画の選定
本事業では、秋田県公募によって指定された海域内での事業実施が要件となっており、配慮書
における位置の複数案を設定することは現実的に難しい為、位置、配置に係る複数案は現状では
設定していない。よって、本事業では、構造(基礎構造、風車機種)と規模(出力)の複数案を
設定することとする。
・規模(出力)について、選定可能機種により風車配置、基数を決定する。
・風車機種については、最大限に風力エネルギーを活用するため発電能力のある風車を選択す
る必要性から、現在、陸上風車で主流の 2,000kW〜3,000kW クラスの風車よりも規模の大
きな 3,450kW〜7,000kW クラスの風車を使用する事を想定する。
・漁業権の設定のない「秋田港港湾区域」の範囲とする。
・発電機の基礎形式は、モノパイル式基礎或いはジャケット式基礎を採用する。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)104図 3.1.4-1 事業予定配置計画
5)調査の対象範囲と参考項目
当該事業については、表 3.1.4-15 のとおり、計画段階配慮事項の参考項目が選定されている。
当該事業においては、
「発電所の設置又は変更の工事の事業に係る計画段階配慮事項の選定並び
に当該計画段階配慮事項に係る調査、予測及び評価に関する指針、環境影響評価の項目並びに当
該項目に係る調査、
予測及び評価を合理的に行うための手段を選定するための指針並びに環境の
保全のための措置に関する指針等を定める省令」
(平成 10 年通産省令第 54 号)
(以下、発電所ア
セス省令と称す)に基づき選定した。
施設の存在・稼働に関する重大な影響項目として、騒音、風車の影、動物・植物、景観を対象
としている。また、地形・地質について事業実施想定区域に学術上又は希少性の観点からの重要
な地形及び地質が存在しないこと、主要な人と自然との触れ合いの活動の場についても、事業実
施想定区域に存在しないことを理由に非選定としている。
また、工事中の項目については、現段階では工事計画の熟度が低く、また、工事による環境影
響は一時的であり重大な影響は予想されないため、方法書以降で取り扱うものとした。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)105表 3.1.4-15 参考項目の選定
*上記表中の紗掛け部分は「発電所アセス省令」第 21 条第 1 項第 5 号に定める「風力発電所別
表第 5」
に示す参考項目であり、
しろまる
は計画段階配慮事項の項目として選定する項目を示す。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)1066)参考項目別の調査・予測・評価方法
参考項目別の調査・予測・評価方法については、表 3.1.4-16 のように示されている。いずれの
項目についても、既往資料に基づく、定量予測となっている。
表 3.1.4-16 参考項目別の調査・予測・評価方法
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)107評価項目
施設の存在/施
設の管理・運営
に伴う影響
調査・予測・評価結果
騒音及び
超低周波音
しろまる
【調査結果】
・事業実施想定区域から2kmの範囲で、住宅1,961件、学校5件、福祉施設19件、医療機関17件の配慮が
必要な施設等が抽出された。住宅は1.5〜2.0kmの範囲に最も多く、学校は1.0〜2.0km、福祉施設は1.5
〜2.0km、医療機関は1.5〜2.0kmの範囲に多く分布していた。また、事業実施想定区域から最も近い配
慮が特に必要な施設等は、学校である秋田県立大学で、その距離は1.2kmであった。次いで土崎港古川
町の住宅が1.3kmの距離に位置している。
【予測・評価結果】
・1km 未満の範囲には配慮が必要な施設等は存在しておらず、適地内における風車の機種(音響パワー
レベル)、配置及び基数を事業者が実行可能な範囲で考慮することにより、重大な環境影響を回避又は
低減することが可能と評価する。
・また、事業実施想定区域周辺には騒音に係る環境基準の類型指定地域が存在しており、基準との整合
性を図る必要がある。なお、超低周波音については、環境基準は定められていない。
風車の影 しろまる
【調査結果】
・事業実施想定区域から1.64kmの範囲で、住宅504件、学校1件、福祉施設6件の配慮が必要な施設等が
抽出された。事業実施想定区域から最も近い配慮が特に必要な施設等は、学校である秋田県立大学で、
その距離は約1.2kmであった。次いで土崎港古川町の住宅が約1.3kmの距離に位置している。
【予測・評価結果】
・事業実施想定区域の東側1.2kmの位置に最寄りの配慮が特に必要な施設である学校が存在している。
8機種の影響範囲はA社2機種の影響範囲が1.2km未満、それ以外の6機種の影響範囲が1.2km以上となって
いる。したがって、A社の2機種については影響がないが、B社〜F社の6機種については西日の差す夕方
に風車の影による影響が予想される。しかしながら、適地内における風車の機種及び配置を事業者が実
行可能な範囲で考慮することにより、いずれの機種についても重大な環境影響を回避又は低減すること
が可能と評価する。
動物 しろまる
【調査結果】
・空域を飛翔する動物と海域に生息する動物に区分した。空域では、事業実施想定区域周辺において、
鳥類の重要な種は16目33科95種が確認されている。また、事業実施想定区域周辺は、ノスリ、ハチクマ
の渡りの経路であり、コハクチョウ、オオハクチョウの渡り集結地となっている。一方、海域におい
て、魚類ではハタハタ、カレイ類、タラ類、サケ類が主要な漁獲対象種となっており、底生動物では節
足動物門(エビ等)の出現数が卓越している。
【予測・評価結果】
1空域における影響
・事業実施想定区域上空を飛翔する鳥類等については、風車の存在・稼働による移動経路の阻害および
ブレード・タワーへの接触が考えられる。予測結果によると、複数案(風車規模最大案・最小案)の改
変空域の容積比率は4.0〜1.7%であり、96.0〜98.3%の空域が残存することになる。さらに鳥類等の移
動経路を考慮した風車の配置等を事業者が実行可能な範囲で考慮することにより、両案とも重大な環境
影響を回避又は低減することが可能と評価する。
2海域における影響
・事業実施想定区域及びその周辺海域に生息する動物については、風車の基礎構造部による生息地の改
変等が考えられる。予測結果によると、複数案(モノパイル式・ジャケット式)の改変区域の面積比率
は0.0092%または0.0041%であり、ほとんどの区域が残存することになる。さらに鳥類等の移動経路を
考慮した風車の配置等を事業者が実行可能な範囲で考慮することにより、両案とも重大な環境影響を回
避又は低減することが可能と評価する。
植物 しろまる
【調査結果】
・事業実施想定区域及びその周辺海域において、藍藻類1種、緑藻類19種、褐藻類33種、紅藻類84種の
合計137種の海藻類が確認されている。
【予測・評価結果】
・事業実施想定区域及びその周辺の海域に生育する植物については、風車の基礎構造部による生息地の
改変等が考えられる。予測結果によると、複数案(モノパイル式・ジャケット式)の改変区域の面積比
率は0.0092%または0.0041%とほとんどの区域が残存することになり、重大な環境影響を回避又は低減
することが可能と評価する。
景観 しろまる
【調査結果】
・事業実施想定区域及びその周辺における主要な眺望点は、小泉潟公園、秋田市下新城中野地区、秋田
マリーナ、秋田市ポートタワー、秋田ベイパラダイス、秋田城跡、洋上(フェリー等の船上)が挙げら
れる。
【予測・評価結果】
1主要な眺望点及び主要な景観資源への影響
・主要な眺望点及び主要な景観資源については、いずれも直接的な改変は生じないことから、眺望点及
び景観資源に係る重大な影響を回避していると評価する。
2主要な眺望景観への影響
・主要な眺望点6地点のうち、秋田マリーナからの最大垂直視角が最大案・最小案ともに10〜12 度(圧
迫感を受けるようになる)以上となっており、眺望景観への影響が予想される。しかしながら、適地内
における風車の機種(風車高さ)、色彩及び配置を事業者が実行可能な範囲で考慮することにより、重
大な環境影響を回避又は低減することが可能と評価する。
7)参考項目別の調査・予測・評価結果
環境影響評価の参考項目別の予測・評価結果を表 3.1.4-17 に整理した。代替案として A 案と
B 案が示されているが、評価結果によれば、両案において殆ど差異は生じていない。
表 3.1.4-17 参考項目別の調査・予測・評価結果
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)108(5)民間事業者による洋上風力発電事業((仮称)能代港洋上風力発電事業)
1)事業概要
能代港洋上風力発電事業(計画段階環境配慮書)に係る概要を以下に整理した。
本事業は、環境影響評価法対象の洋上風力発電事業(総出力 10 万 kW(最大)
、3,450〜7,000kW
級風車を最大 20 基配置することを想定)であり、同法に則った計画段階環境配慮書の事例とな
る。事業の概要を表 3.1.5-1 にとりまとめた。
表 3.1.5-1 概要一覧
実施者 丸紅株式会社、株式会社大林組、エコ・パワー株式会社
((注記)平成 27 年度中に設立予定の特別目的会社(SPC)に事業主体が移行する予定。)発表時期 2015(平成 27)年 8 月
事業実施
想定海域
2014 年 12 月に実施された「秋田港及び能代港における洋上風力発電事業者公募」の能代港の選定
海域を含む能代港湾区域内
想 定 海 域
の概要
にじゅうまる事業想定区域面積:626 ヘクタール(能代港湾区域内)
にじゅうまる近隣には能代火力発電所、港湾施設、保安林などが存在する。
にじゅうまる水深は 0m〜約 20m で細砂が分布している。
にじゅうまる国立公園・国定公園・県立自然公園の指定はない。
にじゅうまる漁業権指定が無い「能代港港湾区域」の範囲内とする。
事業規模・
基礎工法
にじゅうまる総出力 100,000kW(最大)
にじゅうまる基数:最大 20 基
にじゅうまる単機出力:3,450kW、3,600kW、4,000kW、5,000kW、6,000kW、7,000KW
にじゅうまるモノパイル式或いはジャケット式
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)1092)自然条件
洋上風力発電施設設置海域の選定に当たり候補海域の自然条件を把握するため、表 3.1.5-2 の
項目毎に参考文献(既往調査資料・データ等)の収集・整理を実施した。
当海域の自然条件整理項目は 15 項目となっており、水中騒音、電波障害、海棲爬虫類等が対
象外となっている。
表 3.1.5-2 自然条件整理一覧
気象 しろまる
海象 しろまる
海底地形・地質 しろまる
水質 しろまる
底質 しろまる
流況(海流・潮流) -
騒音・振動 しろまる
水中騒音 -
電波障害 -
景観 しろまる
動植物プランクトン しろまる
底生生物 しろまる
魚類等遊泳動物 しろまる
魚卵・稚仔魚 -
鳥類 しろまる
海棲哺乳類 しろまる
海草藻類・藻場 しろまる
潮間帯生物 -
海棲爬虫類 -
生態系 しろまる
漁業生物 しろまる
合計(しろまる印) 15項目
しろまる:自然条件整理の対象項目、-:対象外項目
以下に各種自然条件項目の概要、それら自然条件の整理方法・参考文献等を整理した。
【気象・大気質】
表 3.1.5-3 に気象に係る整理方法・参考文献を示す。気象については、県の環境白書や気象庁
の統計データに基づき気象の特性及び概要を整理している。
表 3.1.5-3 気象・大気質に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
年平均風速 4.1m/s
平均最大風速 12.0m/s
・気象特性、気象概要の整
理。
・大気質の状況の整理
・平成 26 年版 環境白書(資
料編)(秋田県生活環境部環
境管理課,平成 26 年 12 月)
・気象庁 HP
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)110【水 質】
表 3.1.5-4 に水質に係る整理方法・参考文献を示す。水質については、県の環境白書のデータ
を用いている。水質項目は環境項目及び健康項目について整理を行っており、環境基準値との適
合についても取りまとめている。
表 3.1.5-4 水質に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
河川、海域の生活環境項目、
健康項目に関して概ね環境
基準に適合している。
海域の
一部の地点において COD、
DO が環境基準に不適合が
見られる。
秋田県における水質観測デ
ータを基に候補海域の現況
を整理。
・平成 26 年版環境白書(資料編)(秋田県生活環境部環境管
理課,平成 26 年 12 月)
・能代海域水質調査の結果に
ついて(能代市ホームページ)
【海底底質・地質】
表 3.1.5-5 に海底地形・地質に係る整理方法・参考文献を示す。海底地形・地質は、海上保安
庁の「海底地形図」及び「海底地質構造図」に基づき、地形勾配、地質・地層の整理を行ってい
る。
表 3.1.5-5 海底地形・地質に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
事業実施想定区域及びその
周辺の海底の底質は細砂が
一帯に広がっている。
海域の地質は、沖積層が一
帯に広がっている。
既往文献を基にして、候補
海域の海底地形・地質の現
況を整理。
・海図第 6327 号 4-5 海上保
安庁平成 7 年 3 月刊行
【騒音・振動】
表 3.1.5-6 に騒音・振動に係る整理方法・参考文献を示す。騒音及び振動については、事業実
施想定区域周辺の一部の区域が騒音・振動規制法による規制地域に指定されており、騒音・振動
に係る測定が実施されている。県の環境白書に基づく整理を行っており、事業実施想定区域及び
周辺における測定結果を参考としている。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)111表 3.1.5-6 騒音・振動に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
事業実施区域及びその周辺
において、平成 24 年度〜平
成 25 年度に自動車騒音、平
成 20 年度に環境騒音、道路
交通振動の測定が行われて
いる。
能代市では騒音の環境基準
類型指定、振動規制の要請
限度が定められている。
既存文献を基に騒音・振動の
調査データを整理。
・平成 25 年版環境白書
(資料編)(秋田県生活環境部環境管
理課,平成 25 年 12 月)
・平成 26 年版環境白書
(資料編)(秋田県生活環境部環境管
理課,平成 26 年 12 月)
・騒音・振動調査結果
(能代市
ホームページ)
【水中騒音】
配慮書において水中騒音による生物相等への影響に関する記述はない。
【動物・植物プランクトン】
表 3.1.5-7 に動物・植物プランクトンに係る整理方法・参考文献を示す。プランクトンについ
ては、秋田県水産振興センターにおいて調査がなされており、同調査データに基づく記述がなさ
れている。
表 3.1.5-7 動物・植物プランクトンに係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
動 物 プ ラ ン ク ト ン で は
Polychaeta larvae 、
Bivalvia larvae 等が確認
されている。植物プランク
トンでは Ceratium fusus、
Skeletonema costatum 等が
確認されている。
既存文献を基に動植物プラ
ンクトンの分布状況を整理。
・「秋田県水産振興センター
業務報告書」(平成25年、秋
田県)
【底生生物】
表 3.1.5-8 に底生生物に係る整理方法・参考文献を示す。底生生物については、秋田県水産振
興センターにおいて調査がなされており、同調査データに基づく記述がなされている。
表 3.1.5-8 底生生物に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
モモノハナガイ、フトヒゲ
ソコエビ科等が確認されて
いる。
既存文献を基に候補海域に
おける底生生物の分布状況
を整理。
・「秋田県水産振興センタ
ー業務報告書」(平成25
年、秋田県)
【魚類等遊泳動物】
表 3.1.5-9 に魚類等遊泳動物に係る整理方法・参考文献を示す。日本海産魚類目録より魚類等
遊泳動物の情報を抽出・使用している。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)112表 3.1.5-9 魚類等遊泳動物に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
魚類ではカジカ科、カレ
イ科等の 34 目 151 科 475
種が確認されている。
既存文献を基に候補海域に
おける魚類等遊泳動物の生
息状況を整理。・「日本海産魚類目録」(河野光久他.2014 年.山口県
水産研究センター紀要 11:
1-30)
【鳥 類】
表 3.1.5-10 に鳥類に係る整理方法・参考文献を示す。鳥類は陸生生物の状況として、哺乳類、
爬虫類、両生類、昆虫類の中で整理しており、
「能代地区における風力発電事業環境影響評価準
備書」のデータにより鳥類等の生息状況が把握されている。文献により、マガン、オオハクチョ
ウ、カンムリカイツブリ等、78 種の鳥類が確認されている。また、事業実施想定区域周辺には落
合海岸・能代公園・後谷地鳥獣保護区が存在する。
表 3.1.5-10 鳥類に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
鳥類の重要な種では、ヒシ
クイ、マガン、オジロワシ
等、重要種として 8 目 9 科
13 種が文献により確認さ
れている。
既存文献を基に候補海域に
おける鳥類の生息状況を確
認。
・「能代地区における風力発
電事業環境影響評価準備書」
(風の松原自然エネルギー
株式会社, 平成 26 年 1 月)
【海草藻類・藻場】
表 3.1.5-11 に海草藻類・藻場に係る整理方法・参考文献を示す。海藻草類・藻場については、
秋田県沿岸域における文献「岩舘の海藻」のデータが使用されている。
表 3.1.5-11 海草藻類・藻場に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
男鹿半島を除く秋田県の
北部海域では、藍藻類 1
種、緑藻類 20 種、褐藻類
28 種、紅藻類 66 種の合
計 115 種の海藻類が確認
されている。
既存文献を基に候補海域に
おける海藻草類等の分布状
況を確認。
・「岩舘の海藻」(今野郁.
1971年.藻類19(2):44-50)
【海棲哺乳類】
表 3.1.5-12 に海棲哺乳類に係る整理方法・参考文献を示す。海棲哺乳類については、
、国立科
学博物館の「海棲哺乳類ストランディングデータベース」のデータが使用されている。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)113表 3.1.5-12 海棲哺乳類に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
能代市内におけるストラ
ンディング(座礁)事例
としてはオウギハクジラ
が1件、オウギハクジラ属
(別種の可能性あり)が1
件、ネズミイルカが1件、
不明種のイルカ類が1件、
それぞれ報告されてい
る。
既存文献を基に候補海域に
おける分布状況を確認。
・国立科学博物館海棲哺乳
類ストランディングデータ
ベース
【景 観】
表 3.1.5-13 に景観に係る整理方法・参考文献を示す。秋田県では「秋田県の景観を守る条例」
(平成 18 年 3 月 28 日施行)が定められており、
「秋田県景観保全基本方針」
(平成 5 年 9 月 10
日施行)、「秋田県届出行為景観保全基準」
(同日施行)とともに、景観保護の必要性が認められ
ている。景観については、秋田県能代市ガイドブック、インターネット及び現地踏査等に基づき
事業予定地周辺の主要眺望点を抽出し、事業エリアの視認性について検討を行っている。
表 3.1.5-13 景観に係る整理方法・参考文献
地域特性の概要 地域特性の整理方法 参考文献
能代公園、はまなす画廊、
はまなす展望台、能代エナ
ジアムパーク、能代海水浴
場、浅内海岸を眺望点に選
定。白神山地、男鹿半島、
風の松原、能代砂丘の計4箇
所を景観資源に選定。
文献及びその他の資料調査
結果、現地踏査結果に基づ
き、眺望点及び眺望景観の
状況を抽出。
・秋田県能代市観光ガイドブッ
ク(能代市)、能代市史(能代
市)、秋田県等ホームページ
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)1143)社会条件
当該洋上風力発電施設設置海域における法的規制あるいは社会的制約等関連法令の概要を表
3.1.5-14 に整理した。
表 3.1.5-14 能代港における関連法令整理の概要
項目 細項目 能代港
一般法規 ・電気事業法
・建築基準法
・電波法
・国土利用計画法
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
航行安全 ・航路標識法
・航空法
・港則法
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
港湾・海岸 ・港湾法
・海岸法
・秋田県県港湾管理条例
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
水産関連 ・漁業法
・漁港漁場整備法
くろまる
くろまる
自然保護・
景観
・環境基本法
・環境影響評価法
・景観法
・騒音規制法
・振動規制法
・水質汚濁防止法
・悪臭防止法
にじゅうまる
にじゅうまる
くろまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる
にじゅうまる:地域特性を基に法令等確認した結果、実証海域で適用される項目、くろまる:適用
されない項目
4)事業予定配置計画の選定
本事業では、秋田県公募によって指定された海域内での事業実施が要件となっており、配慮書
における位置の複数案を設定することは現実的に難しい為、位置、配置に係る複数案は現状では
設定していない。よって、本事業では、構造(基礎構造、風車機種)と規模(出力)の複数案を
設定することとする。
・規模(出力)について、選定可能機種により風車配置、基数を決定する。
・風車機種については、最大限に風力エネルギーを活用するため発電能力のある風車を選択す
る必要性から、現在、陸上風車で主流の 2,000kW〜3,000kW クラスの風車よりも規模の大
きな 3,450kW〜7,000kW クラスの風車を使用する事を想定する。
・漁業権の設定のない「能代港港湾区域」の範囲とする。
・発電機の基礎形式は、モノパイル式基礎或いはジャケット式基礎を採用する。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)115図 3.1.5-1 事業予定配置計画
5)調査の対象範囲と参考項目
当該事業については、表 3.1.5-15 のとおり、計画段階配慮事項の参考項目が選定されている。
当該事業においては、
「発電所の設置又は変更の工事の事業に係る計画段階配慮事項の選定並
びに当該計画段階配慮事項に係る調査、予測及び評価に関する指針、環境影響評価の項目並びに
当該項目に係る調査、
予測及び評価を合理的に行うための手段を選定するための指針並びに環境
の保全のための措置に関する指針等を定める省令」
(平成 10 年通産省令第 54 号)
(以下、発電所
アセス省令と称す)に基づき選定した。
施設の存在・稼働に関する重大な影響項目として、騒音、風車の影、動物・植物、景観を対象
としている。また、地形・地質について事業実施想定区域に学術上又は希少性の観点からの重要
な地形及び地質が存在しないこと、主要な人と自然との触れ合いの活動の場についても、事業実
施想定区域に存在しないことを理由に非選定としている。
また、工事中の項目については、現段階では工事計画の熟度が低く、また、工事による環境影
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)116響は一時的であり重大な影響は予想されないため、方法書以降で取り扱うものとした。
表 3.1.5-15 参考項目の選定
*上記表中の紗掛け部分は「発電所アセス省令」第 21 条第 1 項第 5 号に定める「風力発電所別
表第 5」
に示す参考項目であり、
しろまる
は計画段階配慮事項の項目として選定する項目を示す。
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)1176)参考項目別の調査・予測・評価方法
参考項目別の調査・予測・評価方法については、表 3.1.5-16 のように示されている。いずれの
項目についても、既往資料に基づく、定量予測となっている。
表 3.1.5-16 参考項目別の調査・予測・評価方法
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)118評価項目
施設の存在/施
設の管理・運営
に伴う影響
調査・予測・評価結果
騒音及び
超低周波音
しろまる
【調査結果】
・事業実施想定区域から2kmの範囲で、住宅560件、学校4件、福祉施設10件、医療機関2件の配慮が必要
な施設等が抽出された。これらの施設等は、いずれも1.5〜2.0kmの範囲に多く分布していた。また、事
業実施想定区域から最も近い配慮が特に必要な施設等は、能代町日和山下の住宅で、その距離は1kmで
あった。住宅以外の施設では、福祉施設のケアプランしらかみ、のしろケアセンターそよ風及びヘル
パーステーションまつばらが1.1km の距離に位置している。
【予測・評価結果】
・1km 未満の範囲には配慮が必要な施設等は存在しておらず、適地内における風車の機種(音響パワー
レベル)、配置及び基数を事業者が実行可能な範囲で考慮することにより、重大な環境影響を回避又は
低減することが可能と評価する。
・また、事業実施想定区域周辺には騒音に係る環境基準の類型指定地域が存在しており、基準との整合
性を図る必要がある。なお、超低周波音については、環境基準は定められていない。
風車の影 しろまる
【調査結果】
・事業実施想定区域から1.64kmの範囲で、住宅183件、学校1件、福祉施設5件の配慮が必要な施設等が
抽出された。事業実施想定区域から最も近い配慮が特に必要な施設等は、能代町日和山下の住宅で、そ
の距離は約1.0kmであった。住宅以外の施設では、福祉施設のケアプランしらかみ、のしろケアセン
ターそよ風及びヘルパーステーションまつばらが約1.1kmの距離にそれぞれ位置していた。
【予測・評価結果】
・事業実施想定区域の東側1.0kmの位置に最寄りの住宅が存在している。影響範囲はすべての機種で
1.0km以上となっており、西日の差す夕方に風車の影による影響が予想される。しかしながら、適地内
における風車の機種及び配置を事業者が実行可能な範囲で考慮することにより、重大な環境影響を回避
又は低減することが可能と評価する。
動物 しろまる
【調査結果】
・空域を飛翔する動物と海域に生息する動物に区分した。空域では、事業実施想定区域周辺において78
種の鳥類が確認されており、そのうち13 種が重要な種に区分される。一方、海域において、魚類では
ハタハタ、カレイ類、タラ類、サケ類が主要な漁獲対象種となっており、底生動物では節足動物門(エ
ビ等)の出現数が卓越している。
【予測・評価結果】
1空域における影響
・事業実施想定区域上空を飛翔する鳥類等については、風車の存在・稼働による移動経路の阻害および
ブレード・タワーへの接触が考えられる。予測結果によると、複数案(風車規模最大案・最小案)の改
変空域の容積比率は3.9〜1.7%であり、96.1〜98.3%の空域が残存することになる。さらに鳥類等の移
動経路を考慮した風車の配置等を事業者が実行可能な範囲で考慮することにより、両案とも重大な環境
影響を回避又は低減することが可能と評価する。
2海域における影響
・事業実施想定区域及びその周辺海域に生息する動物については、風車の基礎構造部による生息地の改
変等が考えられる。予測結果によると、複数案(モノパイル式・ジャケット式)の改変区域の面積比率
は0.0090%または0.0040%であり、ほとんどの区域が残存することになる。さらに鳥類等の移動経路を
考慮した風車の配置等を事業者が実行可能な範囲で考慮することにより、両案とも重大な環境影響を回
避又は低減することが可能と評価する。
植物 しろまる
【調査結果】
・事業実施想定区域及びその周辺海域において、藍藻類1種、緑藻類20種、褐藻類28種、紅藻類66種の
合計115種の海藻類が確認されている。
【予測・評価結果】
・事業実施想定区域及びその周辺の海域に生育する植物については、風車の基礎構造部による生息地の
改変等が考えられる。予測結果によると、複数案(モノパイル式・ジャケット式)の改変区域の面積比
率は0.0090%または0.0040%とほとんどの区域が残存することになり、重大な環境影響を回避又は低減
することが可能と評価する。
景観 しろまる
【調査結果】
・事業実施想定区域及びその周辺における主要な眺望点は、能代公園、はまなす画廊、はまなす展望
台、能代エナジアムパーク、能代海水浴場、浅内海岸が挙げられる。
【予測・評価結果】
1主要な眺望点及び主要な景観資源への影響
・主要な眺望点及び主要な景観資源については、いずれも直接的な改変は生じないことから、眺望点及
び景観資源に係る重大な影響を回避していると評価する。
2主要な眺望景観への影響
・主要な眺望点6地点のうち、はまなす画廊、はまなす展望台の最大案・最小案、及び能代エナジアム
パークの最大案に関して、最大垂直視角が10〜12度(圧迫感を受けるようになる)以上となっており、
眺望景観への影響が予想される。しかしながら、適地内における風車の機種(風車高さ)、色彩及び配
置を事業者が実行可能な範囲で考慮することにより、重大な環境影響を回避又は低減することが可能と
評価する。
7)参考項目別の調査・予測・評価結果
環境影響評価の参考項目別の予測・評価結果を表 3.1.5-17 に整理した。代替案として A 案と
B 案が示されているが、評価結果によれば、両案において殆ど差異は生じていない。
表 3.1.5-17 参考項目別の調査・予測・評価結果
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)119(6)配慮書参考事例において使用された文献・既往資料
上記事例より、配慮書作成において参考となると思われる文献、既存資料等について抽出し、
調査項目毎に文献資料を分類し、下表にとりまとめた。
動植物類等に係る文献は環境省データベース等全国的に実施された調査の他に、
地域性が強く、
必ずしも他自治体でも利用が可能とは限らないものもあるが、
各自治体の同種の研究機関等にお
いて同様の調査資料が作成されているケースも多いことから、特に分けて記載はしていない。
表 3.1.6-1 配慮書において参考となる文献及び既往調査資料
項目 文献・既往調査資料 備考
気象 1 地方気象台観測データにじゅうまる
2 NOWPHAS(全国港湾海洋波浪情報網)沿岸風
観測データにじゅうまる
3 NEDO局所風況マップにじゅうまる
4 土木学会風力発電設備支持物構造設計指針・同
解説:2010年版(土木学会、2011年) にじゅうまる
1最寄りの気象観測所における観
測データの活用
(http://www.jma.go.jp/jma/me
nu/menureport.html)
2国土交通省港湾局の波浪情報シ
ステムの活用
(http://www.mlit.go.jp/kowan/
nowphas/)
(付図-1参照)
海象 1 灯台目視観測データにじゅうまる
2 NOWPHASデータにじゅうまる
3 海象データ(各自治体)にじゅうまる
4 風力発電のための環境影響評価マニュアル 第2
版(NEDO,2006年)☆
5 港湾の施設の技術上の基準・同解説(上巻)(日本港湾協会,2007年) にじゅうまる
6 全国港湾海洋波浪観測30か年統計(NOWPHAS
1970-1999)(永井紀彦、港湾空港技術研究所資
料No.1035、(独)港湾空港技術研究所,2002年)
にじゅうまる
7 土木学会風力発電設備支持物構造設計指針・同
解説:2010年版(土木学会、2011年) にじゅうまる
8 A third-generation wave model for coastal
regions,PartI.(Booij,N.R., Ris,R.C. and
Holthuijsen,L.H.( J.Geophisical
Research,Vol.104,No.C3.1999) にじゅうまる
1 海上保安庁の灯台、海上交通セ
ンター、船舶方位信号所、船舶
通行信号所、無線方位信号所 及
びレーダ施設における波浪デー
タの活用
(http://www.jodc.go.jp/data/wav
e/fixed_wave_j.htm)
2 国土交通省港湾局の波浪情報シ
ステムの活用(前出)
海底地形
地質
1 5万分の1沿岸の海の基本図(海上保安庁)☆
2 海底地形地質調査報告書(海上保安庁)☆
3 海底地形デジタルデータ(日本水路協会, 2008
年)☆
4 海図(海上保安庁)☆
5 海底地質構造図(海上保安庁)☆
6 日本全国沿岸海洋誌(日本海洋学会,1985年)☆
7 ボーリングデータ(各自治体)☆
8 音波探査を実施☆
水質 1 公共用水域水質観測結果☆ 1 2 各自治体が毎年水質調査結
果をホームページにて公表して
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)120項目 文献・既往調査資料 備考
2 環境白書(各自治体)☆
3 港湾工事における濁り影響予測の手引き(国土
交通省港湾局, 1994年)〇
いる
底質 1 5万分の1沿岸の海の基本図(海上保安庁)☆
2 海底地形地質調査報告書(海上保安庁)☆
3 港湾計画環境アセスメント現況調査業務委託報
告書(各自治体港湾局)☆
3 港湾計画に係る環境アセスメン
トが実施された港湾付近ではそ
のデータの利用が可能
流 況 ( 海
流・潮流)
1 続・日本全国沿岸海洋誌(日本海洋学会,1990
年)☆
2 港湾計画資料(港湾管理者)☆
3 流況頻度統計分布図(海上保安庁)☆
4 海流統計(日本海洋データセンター)☆
5 水産試験場資料☆
6 海底地形地質調査報告書(海上保安庁)☆
7 対馬暖流 海洋構造と漁業(恒星社厚生閣,1974
年)☆
2 港湾区域或いはその近傍の海域
においては港湾計画に係る資料
が利用可能
6 海上保安庁出版の海底地形地質
調査報告書にも海域によっては
流況の記載がある
7 海域によっては海況が記載され
た出版物が存在する
騒音
振動
1 環境報告書及び環境白書(各自治体)☆
2 事業主体による騒音・振動の調査結果☆
3 都市計画〇
1 2 各自治体が毎年水質調査結
果をホームページにて公表して
いる
水中騒音 1 水中騒音の魚類に及ぼす影響(畠山他,1997年,
(社)日本水産資源保護協会、水産研究叢書)☆2 洋上風力発電導入のための技術的課題に関する
調査報告書(NEDO,2007年)☆
3 風車稼働に伴う水中騒音の事例報告(NEDO
他,2007年)☆
4 Danish offshore wind, Key Environmental
issues.(Dong Energy,Vattenfall, Danish
Energy Authority and Danish Forest And
Nature Agency,2006)〇
5 Offshore Wind Farms and the Environment
(Danish Energy Authority, Danish
Experiences from Horns Rev and
Nysted,2006) 〇
6 Evaluation on the influence that offshore wind
power generation facilities give to
underwater creatures - An Example in Setana
Port -(M.Miyoshi・K.Sumida,
WWEC2005,2005)〇
7 Offshore Wind Energy Research on
Environmental Impacts(Julia Koller, Johann
Koppel, Wolfgang Peters, 2006)〇
(注記) 調査事例が少なく今後の情報集
積が待たれる
電波障害 1 風力発電導入ガイドブック(NEDO,2008年)☆
2 総務省関東綜合通信局、東北総合通信局及び(社)
電波産業会資料☆
3 電波産業会での伝搬障害防止区域閲覧結果☆
4 デジタル放送推進協会HP資料☆
5 各自治体水産情報通信センター資料〇
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)121項目 文献・既往調査資料 備考
6 事業主体によるテレビ受信・重要無線伝搬状況
調査☆
景観 1 風力発電導入ガイドブック(NEDO,2008年)☆
2 風力発電のための環境影響評価マニュアル 第2
版(NEDO,2006年) ☆
3 景観計画(各自治体)〇
4 自治体の要覧(各自治体)☆
5 地域の観光情報☆
6 港湾・沿岸域における風力発電推進に関する研
究報告書(港湾・沿岸域における風力発電推進
研究会、2005年)〇
7 新体系土木工学59:土木景観計画:(篠原修、
技報堂、1982) 〇
動 植 物 プ
ラ ン ク トン1 港湾計画資料(港湾管理者)☆
2 港湾計画環境アセスメント現況調査業務委託報
告書(各自治体港湾局)☆
3 各自治体農林水産技術センター事業報告書☆
4 自然誌(各自治体)☆
(注記) 洋上風力発電の場合には影響が
小さい項目である
1 港湾区域或いはその近傍の海域
においては港湾計画に係る資料
が利用可能
2 港湾計画に係る環境アセスメン
トが実施された港湾付近ではそ
のデータの利用が可能
底生生物 1 港湾計画資料(港湾管理者)☆
2 続・日本全国沿岸海洋誌(日本海洋学会,1990
年)☆
3 農林水産技術センター事業報告書(各自治体)☆4 銚子半島の磯漁場に関する調査(千葉大文理学
部銚子臨海研究所報告,1965年)☆
5 鹿島灘沿岸のヘッドランド及び茨城県央沿岸域
の海産無脊椎動物(茨城県自然博物館、2010
年)☆
1 港湾区域或いはその近傍の海域
においては港湾計画に係る資料
が利用可能
2 海域によっては研究機関による
調査結果を利用可能な場合がある魚類等
遊泳動物
1 港湾計画資料(港湾管理者)☆
2 港湾計画環境アセスメント現況調査業務委託報
告書(港湾管理者)☆
3 日本版魚類検索 全種の同定 第2版(中坊編、
2001年)☆
4 農林水産技術センター事業報告書(各自治体)☆5 農林水産技術センターホームページ(各自治
体)☆
6 河川環境データベース 河川水辺の国勢調査(国
土交通省)☆
7 日本の希少な野生水生生物に関するデータブッ
ク:水産庁編((社)日本水産資源保護協会、
1998年)☆
8 銚子地方の魚類(千葉大銚子臨海研究所報
告,1963年)☆
9 銚子地方の魚類第2報(千葉大銚子臨海研究所報
告,1963年)☆
1 港湾区域或いはその近傍の海域
においては港湾計画に係る資料
が利用可能
2 港湾計画に係る環境アセスメン
トが実施された港湾付近ではそ
のデータの利用が可能
6 河口域においては活用可能な場
合がある
(http://mizukoku.nilim.go.jp/ksn
kankyo/)
7 海域によっては研究機関による
調査結果を利用可能な場合がある 3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)122項目 文献・既往調査資料 備考
魚卵
稚仔魚
1 港湾計画資料(港湾管理者)☆
2 港湾計画環境アセスメント現況調査業務委託報
告書(各自治体)☆
3 農林水産技術センター事業報告書(各自治体)☆(注記) 洋上風力発電の場合には影響が
小さい項目である
1 港湾区域或いはその近傍の海域
においては港湾計画に係る資料
が利用可能
2 港湾計画に係る環境アセスメン
トが実施された港湾付近ではそ
のデータの利用が可能
鳥類 1 鳥類目録(桑原他,2006年)〇
2 日本鳥類目録 改訂第6 版(日本鳥学会、2000
年)〇
3 自然環境基礎調査 動植物分布調査報告書 鳥
類 鳥類メッシュ図(環境庁、1988年)☆
4 レッドデータブック(各自治体)☆
5 日本野鳥の支部報☆
6 鳥類に関する冊子(各自治体)☆
7 自然誌(各自治体)☆
8 山渓ハンディ図鑑7 日本の野鳥(山と渓谷社、
1998)☆
9 山渓カラー名鑑 日本の野鳥(高野伸二、山と渓
谷社、1991年) ☆
10 日本の鳥550 水辺の鳥(桐原政志他、文一総合
出版、2000年) ☆
11 日米アホウドリ人工衛星追跡共同事業報告書〇
12 モニタリングサイト1000シギ・チドリ類調査速
報(環境省自然環境局生物多様性センター、平
成2009〜2013年)☆
13 鳥類等に関する風力発電施設 立地適正化のため
の手引き(環境省,2011年)
14 鳥類、爬虫類、両生類及びその他無脊椎動物の
レッドリストの見直しについて(環境省、2006
年) ☆
15 茨城県自然博物館第2次総合調査報告書 鹿島
などの鳥類(茨城県海産動物研究会、2001年)☆16 新川から南白亀川までの九十九里浜の鳥類(我
孫子市鳥の博物館調査研究報告,2006年)☆
17 北九州市自然エネルギー導入計画可能性調査報告書
(北九州市、2006年)☆
18 北九州市の野鳥たち(北九州市、1998年)☆
19 Base-line investigations of birds in
relation to an offshore wind farm at Horns
Rev, and results from the year of
construction.(Christensen, T.K,National
Environmental Research Institute, 2003)〇
20 野鳥の記録 東京〜釧路航路の30年(宇山大
樹,2012)
有識者知見☆
6 日本野鳥の会の地方各支部が発
行する会報の活用
7 各自治体が発行する自然誌等の
活用
14 〜18 海域によっては研究機関
による調査結果を利用可能な場
合がある
20 日本野鳥の会や近傍地域の博物
館等の有識者意見のヒアリング
の活用
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)123項目 文献・既往調査資料 備考
海 棲 哺 乳類1 海棲哺乳類データベース(国立科学博物館)☆
2 鯨類ストランディング(座礁)公表データ((財)日本鯨類研究所,2010年)☆
3 国際漁業資源の現況((独)水産総合研究センタ
ー)☆
4 自然誌(各自治体)☆
5 哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、植物I
及び植物II のレッドリストの見直しについて
(環境省、2007年) ☆
6 日本におけるスナメリの分布(白木原国雄、月
刊海洋Vol.35、2003年) ☆
7 国際漁業資源の現況 スナメリ日本周辺((独)水
産総合研究センター、2008年) ☆
8 スナメリの食性について「スナメリの飼育と生
態」(鳥羽水族館、1977年)☆
9 千葉県保護上重要な野生生物(動物編)
(2000
年、2006年)☆
10 環境省 海域自然環境保全基礎調査 海棲動物調
査(スナメリ生息調査)
(平成14年3月)
11 北九州市藍島小学校ホームページ☆
12 有識者知見☆
1 国立科学博物館のデータベース
利用が可能
(http://svrsh1.kahaku.go.jp/m
armam/)
9 海域によっては研究機関による
調査結果を利用可能な場合がある11 近傍教育機関の情報
12 近傍水族館、博物館及び研究機
関等へのヒアリングによる有識
者意見の活用
海草藻類
藻場
1 自然環境保全基礎調査 自然環境情報図☆
2 海域自然環境基礎調査 重要沿岸域生物報告書
(環境省、1999-2001年度)☆
3 海域生物環境調査報告書(干潟、藻場、サンゴ
礁調査)第2巻 藻場(環境省、1989-1992年
度)☆
4 続・日本全国沿岸海洋誌(日本海洋学会,1990
年)☆
5 脆弱沿岸海域図(環境省)☆
6 自然誌(各自治体)☆
7 地方史(各自治体)☆
8 銚子海岸岩礁潮間帯における生物群集の帯状分
布と遷移(千葉大文理学部銚子臨海研究所報
告,1979年)☆
9 銚子半島の磯漁場に関する調査(千葉大文理学
部銚子臨海研究所報告,1965年)☆
1 〜3環境省の環境総合データ
ベースが利用可能
(http://www.biodic.go.jp/kiso/f
nd_list.html)
8 9 海域によっては研究機関に
よる調査結果を利用可能な場合
がある
潮 間 帯 生物1 自然誌(各自治体)☆
2 港湾計画環境アセスメント現況調査業務委託報
告書(各自治体)☆
3 銚子海岸岩礁潮間帯における生物群集の帯状分
布と遷移(千葉大銚子臨海研究所報告,1979年)☆2 港湾計画に係る環境アセスメン
トが実施された港湾付近ではそ
のデータの利用が可能
3 海域によっては研究機関による
調査結果を利用可能な場合がある海 棲 爬 虫類1 自然誌(各自治体)☆
2 国際漁業資源の現況((独)水産総合研究センタ
ー)☆
3 鳥類、爬虫類、両生類及びその他無脊椎動物の
レッドリストの見直しについて(環境省、2006
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)124項目 文献・既往調査資料 備考
年) ☆
漁業生物 1 漁業権連絡図・免許漁業原簿謄本漁業図(各自
治体)☆
2 農林水産統計年報(各自治体)☆
3 農林水産部による漁業権一覧(各自治体)☆
4 水産関係施策の概要(各自治体)☆
5 農村振興課等資料(各自治体)☆
6 農林水産技術センター資料(各自治体)☆
7 日本漁具・漁法図説(金田禎之、成山堂書店、
1981年) ☆
8 漁業協同組合へのヒアリング結果☆
1 付図-2参照
凡例:☆地域概況及び予測評価に係わる文献・資料 にじゅうまる地域概況に係わる文献・資料
〇予測評価に係わる文献・資料
ホームページ URL は 2014 年 11 月 17 日現在のもの
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)125付図-1 NOWPHAS(全国港湾海洋波浪情報網)沿岸風観測データ
NOWPHAS (全国港湾海洋波浪情報網 : Nationwide Ocean Wave information network for
Ports and HArbourS )は、国土交通省港湾局・各地方整備局・北海道開発局・沖縄総合事務局・
国土技術政策総合研究所及び独立行政法人港湾空港技術研究所の相互協力のもとに構築・運営さ
れている我が国沿岸の波浪情報網で、2014 年 3 月現在、76 観測地点において、波浪の定常観測
が実施されている。この蓄積されたデータは NOWPHAS のサイトからダウンロードできる。
NOWPHAS の観測地点を下図に示す。
出典:独立行政法人 港湾空港技術研究所ホームペー
ジ全国港湾海洋波浪情報網波浪観測地点
3.環境影響評価手法に係る事例のまとめ(3.1 配慮書の参考となる事例)126付図-2 漁業権連絡図例
各自治体が作成している漁業権連絡図や免許漁業原簿謄本漁業図では、漁業権と魚種・漁法が
対応付けられており、これを利用して漁業権の範囲を把握できるのみならず、対象海域の漁業生
物をある程度推定することが可能である。
出典:千葉県水産ハンドブック(千葉県農林水産部水産局,平成 25 年 8 月)
共同漁業権連絡図例(千葉県外房海域)

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