長期的には拡大が見込まれる航空需要予測を踏まえ、二酸化炭素排出量削減による地球温暖化抑止対策が航空業界における喫緊の課題となっている中、国際民間航空機関(ICAO)は、SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の導入を必要不可欠な解決手段の一つとして位置づけている。
本事業では、航空分野における二酸化炭素等の温室効果ガス排出量の更なる削減に向けて、2030年頃までに実用化が見込まれるSAF製造技術の確立、利用促進・普及を行う。
具体的には、HEFA技術やガス化・FT合成技術、ATJ技術、微細藻類培養技術や社会実装の観点から重要と判断されるその他技術等のSAF製造技術の開発、原料調達からSAFの供給に至るまでのサプライチェーンモデルの構築に取り組む。
本事業では、これまで培われた要素技術を組み合わせつつ、化石エネルギー収支や温室効果ガス排出量削減にかかる環境性の確保に加え、経済性を具備した一貫製造プロセスの工業化システムの実現が必須となる。この基本技術を確立させるべく、パイロットフェーズでの検証試験を行う。
将来の事業化を見据えた規模でのSAF製造、空港納入までの供給に至るサプライチェーン構築に向け、各製造プロセスにおける実証事業(部分実証を含む)を行い、SAF製造に伴い併産されるバイオ燃料などの副生物の利活用も含めたサプライチェーンの確立を加速する。
ニートSAF(ASTM D7566 規格準拠)の製造および二酸化炭素吸収を主目的とし、微細藻種の選定、育種や多様な培養方法について大量培養技術を実証し、事業化における必要性に応じ副生品製造も組み合わせたカーボンリサイクル技術を確立する。
今後のSAF技術の早期確立、サプライチェーン構築に資するため、国内外の最新技術開発動向や個別技術プロセスに係る詳細調査を行う。
矢野 貴久 バイオマスユニット長
本事業によりバイオジェット燃料の市場形成を支援、促進することにより、2030年頃に、バイオジェット燃料製造技術の実用化を実現することで、ジェット燃料の使用に起因する温室効果ガス排出量の削減に貢献する。
ガス化・FT合成技術や微細藻類培養技術、ATJ技術等のバイオジェット燃料製造技術開発を行い、2030年頃までに商用化が見込まれる製造プロセスを確立する。
技術・事業分野 | バイオマス |
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プロジェクトコード | P17005 |
担当部署 | 再生可能エネルギー部 (TEL:044-520-5270) |
最終更新日:2024年7月24日