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神経内分泌がん(しんけいないぶんぴつがん)

更新日 : 2024年10月11日

公開日:2014年4月28日

はじめに

神経内分泌細胞に由来する腫瘍は、神経内分泌がん(NEC: Neuroendocrine carcinoma)と神経内分泌腫瘍(NET: Neuroendocrine tumor, NET G1/G2)に分類されます(詳しくは神経内分泌腫瘍の解説をご参照ください)。NECは、増殖速度が速く早期に転移・再発を起こしやすい悪性度の高いがんで、また、非常にまれながんです。

症状

症状は腫瘍の部位や大きさによって異なります。腫瘍がある部分の違和感や疼痛、消化器に発生した場合には食欲不振や体重減少などの症状を認めることがあります。NET G1/G2ではホルモン産生に伴う症状がしばしば認められますが、NECで認められることはまれです。

診断

画像検査病理検査がNECの診断における重要な二本柱になっています。

画像検査の目的は病変の広がりを調べることです。手術ですべての腫瘍を取り除くことが可能か、化学療法を行うことが望ましいか、などの判断が画像検査を通じて検討されます。最も基本となる検査方法は造影CT検査です。原発臓器や必要に応じてMRI検査・PET検査または内視鏡検査などが実施されることがあります。NECは一般的にソマトスタチン受容体を発現していない場合が多いため、NET G1/G2に有用なソマトスタチン受容体シンチグラフィー(商品名:オクトレオスキャン)は推奨されていません。

NECの病理診断では、分化度(腫瘍細胞の顔つき)と細胞増殖活性の指標(核分裂像やKi 67指数)が重要です。とくにNECとNET G1/G2/G3を区別する分化度は重要で、それによりは治療方針が大きく変わります。

神経内分泌腫瘍の2017/2019年WHO分類

NET G1

  • 核分裂像:<2個/10HPF(高倍率視野)
  • Ki67指数:<3%

NET G2

  • 核分裂像:2から20個/10HPF(高倍率視野)
  • Ki67指数:3%から20%

NET G3

核分裂像:20個/10HPF(高倍率視野)
Ki67指数:>20%

NEC

核分裂像:20個/10HPF(高倍率視野)
Ki67指数:>20%
小細胞癌型、大細胞癌型

高分化

治療

腫瘍が局所に限局していて手術で完全に腫瘍を取り除くことが可能な場合は切除を検討しますが、増殖速度が速く早期に転移を起こしやすいNECでは、切除が可能なこと自体が多くありません。遠隔転移がある場合、切除は推奨されません。手術で取り除くことができない場合や再発した場合には病状制御を目的とした化学療法が行われます。

NECに対する化学療法はエトポシド+シスプラチン療法(EP療法)またはイリノテカン+シスプラチン療法(IP療法)が国内外で広く用いられています。消化器NECでは対するランダム化試験の結果、治療成績はEP療法とIP療法で大きくは変わらないことが示されていますので、治療前の体調や予測される副作用などを踏まえて総合的に判断し、患者さんと担当医との相談で決定されています。

啓発ポスター

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患者会支援団体の皆さんとの連携・協働を通して作成した
「11月は神経内分泌腫瘍啓発月間」ポスター(神経内分泌がんを含む)

希少がんリーフレット

神経内分泌がん

執筆協力者

森実 千種
  • 森実 千種(もりざね ちぐさ)
  • 希少がんセンター
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 肝胆膵内科
  • 肱岡 範(ひじおか すすむ)
  • 希少がんセンター
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 肝胆膵内科
本間 義崇
  • 本間 義崇(ほんま よしたか)
  • 希少がんセンター
  • 国立がん研究センター中央病院
  • 頭頸部・食道内科

関連リンク

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