1(人)
平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年
1,388 1,202 1,867 2,545 3,260 5,000 7,586 10,901 19,629 10,493
申請数
(人)
2回目 3回目 4回目 5回目
720 1,019 1,425 1,497 1,563 749 593 115 35 6
平成29年 平成30年
申請数
平成25年 平成26年 平成27年 平成28年
平成30年における難民認定者数等について
1 難民認定申請者数及び審査請求数
(1) 難民認定申請者数
ア 難民認定申請を行った外国人(以下「申請者」という。)は,近年は毎年,対
前年比で約50%増と急増し,特に平成29年には対前年比で約80%増の1
9,629人となり過去最多を記録しましたが,平成30年の申請者数は10,
493人となり,前年に比べて9,136人(約47%)減と大幅に減少しまし
た。申請者数が前年に比べて減少したのは,平成22年以来,8年ぶりとなりま
す。
表1及び図 1:難民認定申請者数の推移
イ 申請者のうち,約7%に当たる749人が,過去に難民認定申請を行ったこと
がある申請者(以下「複数回申請者」という。)であり,申請回数が最多の複数
回申請者は5回目の申請となっています。複数回申請者のうち,申請時に在留資
格を有しない非正規在留者であった者が約31%(231人)を占めています。
表2及び図2:複数回申請者数の推移
(人)2(人)
前年比
増減率
申請数全体に
占める 割合
1 インドネシア 1,829 フィリピン 4,895 ネパール 1,713 18.1% 16.3%
2 ネパール 1,451 ベトナム 3,116 スリランカ 1,551 -30.3% 14.8%
3 フィリピン 1,412 スリランカ 2,226 カンボジア 961 24.5% 9.2%
4 トルコ 1,143 インドネシア 2,038 フィリピン 860 -82.4% 8.2%
5 ベトナム 1,072 ネパール 1,451 パキスタン 720 53.5% 6.9%
6 スリランカ 938 トルコ 1,195 ミャンマー 656 -31.8% 6.3%
7 ミャンマー 650 ミャンマー 962 インドネシア 634 -68.9% 6.0%
8 インド 470 カンボジア 772 トルコ 563 -52.9% 5.4%
9 カンボジア 318 インド 601 インド 549 -8.7% 5.2%
10 パキスタン 289 パキスタン 469 バングラデシュ 542 23.7% 5.2%
11 バングラデシュ 242 バングラデシュ 438 ベトナム 527 -83.1% 5.0%
12 ガーナ 174 中国 315 中国 308 -2.2% 2.9%
13 中国 156 イラン 120 カメルーン 203 107.1% 1.9%
14 ナイジェリア 108 ガーナ 106 ナイジェリア 98 27.3% 0.9%
15 イラン 107 カメルーン 98 ウガンダ 62 -8.8% 0.6%
16 カメルーン 66 チュニジア 87 チュニジア 58 -33.3% 0.6%
17 チュニジア 63 ナイジェリア 77 イラン 56 -53.3% 0.5%
18 セネガル 45 セネガル 75 ガーナ 50 -52.8% 0.5%
19 ウガンダ 39 ウガンダ 68 セネガル 49 -34.7% 0.5%
20 コンゴ民主共和国 39 タイ 65 タイ 40 -38.5% 0.4%
21 ギニア 38 モンゴル 61 モンゴル 32 -47.5% 0.3%
22 エジプト 31 コンゴ民主共和国 35 コンゴ民主共和国 29 -17.1% 0.3%
23 モンゴル 29 ギニア 26 ギニア 26 0.0% 0.2%
24 タイ 21 エジプト 24 スーダン 15 15.4% 0.1%
25 エチオピア 13 エチオピア 22 エチオピア 13 -40.9% 0.1%
― その他 158 その他 287 その他 178 - 1.7%
総数 -46.5% 100.0%
平成28年 平成29年 平成30年
10,901 19,629 10,493
ウ 申請者の国籍は74か国にわたり,前年の82か国から8か国の減少となって
います。主な国籍は,ネパール,スリランカ,カンボジア,フィリピン,パキス
タンとなっています。これら上位5か国からの申請数は,前年に比べて約41%
減少していますが,申請者総数の約55%を占めており,申請者の多くが特定の
国籍に集中しています。
他方,昨年6月に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)がプレスリリース
した「グローバル・トレンズ2017」において世界で難民認定申請者を多く出
しているとされる上位5か国(世界の申請者の約33%を占める。)からの申請
者数は50人(内訳:アフガニスタン7人,イラク3人,シリア9人,ベネズエ
ラ2人,コンゴ民主共和国29人)にとどまり,我が国での申請者の多くが,大
量の難民・避難民を生じさせるような事情がない国々からの申請者となっていま
す。
表3:国籍別難民認定申請者数の推移
エ 申請者の申請時における在留状況は,正規在留者が10,085人(申請者総
数の約96%)
,非正規在留者が408人(同約4%)であり,正規在留者が大
半を占めています。
正規在留者の在留資格は,観光等を目的として入国した「短期滞在」が6,1
05人,「技能実習」が1,339人,自ら出国する意思を表明し,その準備の
ための期間を求めて在留の許可を受けた後に難民認定申請に及んだ「特定活動
(出国準備期間)」が1,084人,「留学」が851人,難民認定申請を繰り
返す「特定活動(難民認定申請中)」が297人となっています。
このうち,「技能実習」及び「留学」からの申請者は,前年に比べて50%以
上減少したほか,複数回申請者である「特定活動(難民認定申請中)」からの申3(人)
申請数全体に
占める割合
4,134 6,394 9,702 18,716 96.1%
1,813 2,882 5,395 11,323 58.2%
414 731 1,106 3,037 12.8%
436 1,019 10.3%
699 1,413 1,399 2,036 8.1%
628 849 784 706 2.8%
580 519 582 595 3.9%
866 1,192 1,199 913 3.9%
5,000 7,586 10,901 19,629 100.0%
平成26年 平成27年 平成28年 平成30年 対前年
増減率
平成29年
正 規 10,085 -46.1%在留資格
短期滞在 6,105 -46.1%
技能実習
その他 409 -31.3%
非正規 (注2) 408 -55.3%
留学 851 -58.2%
特定活動
(難民認定申請中)
297 -57.9%
1,339 -55.9%
特定活動
(出国準備期間)(注1)
1,084 6.4%
総 数 10,493 -46.5%
請者も,前年に比べて約58%減少しており,いずれも申請者総数の減少率(約
47%)を上回る減少となっています。
また,非正規在留者からの申請者については,前年に比べて約55%減少して
おり,申請者総数の減少率を上回る減少となっています。主な国籍は,トルコが
最も多く,非正規在留者の約14%を占め,次いでスリランカ(約11%),イ
ラン(約9%),ナイジェリア(約7%),ネパール(約7%)となっています。
表4:在留資格別難民認定申請者数の推移
(注1)本統計上,
「特定活動(出国準備期間)
」については,平成26年から平成27年までは
未集計のため,
「その他」に含まれています。
(注2)
「非正規」は在留許可を有していない外国人を指します。
図3:在留資格別難民認定申請者数の内訳4オ 申請者の男女の内訳は,男性7,801人(申請者総数の約74%)
,女性2,
692人(同約26%)となっており,男性の比率が高くなっています。
また,男女別の年齢の構成比は,男性及び女性ともに20代,30代の順に多
く,20歳から39歳までの年齢の申請者が占める割合は,男性で約76%,女
性で約77%となっています。他方,未成年の申請者は少なく,男性で約6%,
女性で約12%にとどまっています。
図4:男女別・年齢別の難民認定申請者数の内訳
図5:男女別・年齢の構成比
(男性) (女性)5振分け区分 振分け数(人) 総数に占める割合
A案件 27 0.3%
B案件 1,825 17.4%
C案件 486 4.6%
D案件 8,155 77.7%
総 数 10,493 100.0%
平成30年
カ 難民認定申請を受け付けたときは,申請書の記載内容等により申請案件の振分
けを行い,振分け結果に応じて迅速処理の対象とするとともに,在留を認めない
措置や就労を認めない措置を執っています。
難民認定申請案件の振分け状況は,A案件(難民である可能性が高いと思われ
る案件又は本国情勢等により人道上の配慮を要する可能性が高いと思われる案
件)が27人,B案件(難民条約上の迫害事由に明らかに該当しない事情を主張
している案件)が1,825人,C案件(再申請である場合に,正当な理由なく
前回と同様の主張を繰り返している案件)が486人,D案件(上記以外の案件)
が8,155人となっています。
振分けの段階で明らかに濫用・誤用的な申請と判断された案件(B・C案件)
が申請者総数に占める割合は,前年の約34%から約22%に減少しています。
(注)申請書の記載内容等によって,申請案件の振分けを行っているため,インタビュー等の
調査の結果,申請の受付時に振り分けられた分類と別の分類に振り分けられる場合があり
ます。
表5及び図6:地方入国管理官署における振分け状況6(人)
平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年
審査請求数 1,156 859 1,719 1,738 2,408 2,533 3,120 5,197 8,530 9,021
(2)審査請求数
ア 平成30年の審査請求数は9,021人で,前年に比べて491人(約6%)
増加しました。
(注)
難民の認定をしない処分に対する不服申立ては,
平成28年4月1日に施行された改正
入管法により,従来の「異議申立て」から「審査請求」に改められました。
表6及び図7:審査請求数の推移
イ 審査請求人の国籍は60か国にわたり,前年の62か国から2か国減少しま
した。主な国籍はフィリピン,ネパール,インドネシア,ベトナム,スリラン
カです。このうち,上位5か国だけで審査請求人全体の約73%,上位10か
国だけで同じく約92%を占めており,審査請求人の大半が特定の国籍に集中
しています。
表7:国籍別審査請求数の推移72 処理の状況
(1)難民認定申請(一次審査)
ア 難民認定申請の処理数は13,
502人であり,
前年に比べて2,
129人(約19%)増加しました。処理数が申請数を上回ったのは,平成23年以来,7年
ぶりとなります。
その内訳は,難民と認定した者(以下「認定者」という。)38人,難民と認
定しなかった者(以下「不認定者」という。)10,541人,申請を取り下げ
た者等2,923人となっています。
イ 不認定者の国籍は67か国にわたり,主な国籍は,フィリピン2,664人,
ネパール1,759人,インドネシア1,480人,スリランカ1,080人,
ベトナム981人,
トルコ769人,ミャンマー325人,カンボジア273人,
中国244人,インド214人となっています。
ウ 申請を取り下げた者等の数は急増しており,前年の1,612人と比べて約8
1%増となっており,処理数の約22%を占めています。主な国籍は,フィリピ
ン902人,ネパール411人,インドネシア210人,ベトナム207人,ス
リランカ194人,トルコ150人,インド144人,ミャンマー140人,中
国140人,パキスタン108人となっています。
主な取下げ理由は,「問題が解決したため」,「帰国するため」,「他の在留
資格への変更が許可されたため」などとなっており,申請を取り下げた者の約8
0%が出国し,約15%が本邦に不法に残留し続けています(平成31年2月1
日時点)。
(2) 不服申立て
ア 不服申立ての処理数は8,171人であり,前年に比べて3,780人(約8
6%)増加しました。その内訳は,不服申立てに「理由あり」とされた者(認定
者)4人,「理由なし」とされた者(不認定者)6,013人,不服申立てを取
り下げた者等2,154人となっています。このうち,不服申立てを取り下げた
者等の数は,処理数の約26%を占めています。
イ 「理由なし」とされた者(不認定者)の国籍は67か国にわたり,主な国籍は,
ベトナム1,933人,フィリピン1,403人,インドネシア1,057人,
ネパール545人,
トルコ241人,スリランカ181人,ミャンマー167人,
バングラデシュ82人,パキスタン75人,インド58人となっています。
(3)平均処理期間
一次審査の平均処理期間は約13.2月,不服申立ての平均処理期間は約18.
0月となっています。
3 難民認定者及び人道配慮による在留許可者数
難民認定手続の結果,我が国での在留を認めた者は82人となっています。その内
訳は,次のとおりです。
(1)認定者数は,一次審査での認定者38人及び不服申立てで「理由あり」とされた
者(認定者)4人を合わせた42人で,前年に比べて22人増となっています。
国籍の内訳は,コンゴ民主共和国13人,イエメン5人,エチオピア5人,アフ
ガニスタン4人,中国4人,イラン3人,シリア3人,ウガンダ1人,エリトリア
1人,コロンビア1人,ブルンジ1人,無国籍1人となっています。
(2)難民とは認定しなかったものの人道的な配慮を理由に在留を認めた者は40人
で,前年に比べて5人減となっています。そのうち,本国の情勢等を踏まえて在留
を認めた者は16人であり,その国籍の内訳は,パキスタン4人,イラク3人,イ8エメン2人,シリア2人,中国2人,エジプト1人,ソマリア1人,ミャンマー1
人となっています。
4 仮滞在許可の運用状況
仮滞在を許可した者は38人で,前年に比べて3人増となっています。
仮滞在の許否を判断した人数は977人で,許可とならなかった者の主な理由は,
・本邦に上陸した日(本邦にある間に難民となる事由が生じた者にあっては,その
事実を知った日)から6か月を経過した後に難民認定申請をしたこと...665人
・逃亡するおそれがあると疑うに足りる相当の理由があること...301人
・既に退去強制令書の発付を受けていたこと...378人
となっています(注2)。
(注1)「仮滞在許可」とは,不法滞在中の難民認定申請者の法的地位の安定化を図
ることを目的として,不法滞在者から難民認定申請があった場合に,出入国管
理及び難民認定法第61条の2の4第1項に定める除外事由に該当する場合
を除き,その者に仮に本邦に滞在することを許可する制度です。仮滞在の許可
を受けた者については,難民認定手続中は退去強制手続が停止され,収容され
ている場合は,収容を解かれます。
(注2)1人の申請者について許可しなかった理由(除外事由)が複数ある場合は,
そのすべてを計上しています。95 難民認定申請(一次審査)における申立て内容
(1) 認定者の申立て事例
・本国において,性暴力被害者の支援や調査,性暴力防止活動を行うNGO団体
のメンバーとして,被害女性の支援活動を行っていたところ,警察官から同団体
の事務所を襲撃されて拘留され,
性的暴行を受けた上,
拘留先から逃亡したため,
警察に捜索されている。
(2)不認定者の主な申立て
・知人,近隣住民,マフィア等とのトラブルを申し立てるもの(不認定者全体の
約43%。以下同じ。)・政治的意見を理由に,本国政府や対立政党の関係者から危害を加えられるおそ
れを申し立てるもの(約22%)
・本国の治安に対する不安を申し立てるもの(約13%)
・家族が難民認定申請中であることを申し立てるもの(約6%)
・特定の宗教を信仰していることや改宗に起因する迫害のおそれを申し立てるも
の(約6%)
・人種を理由とした迫害のおそれを申し立てるもの(約5%)
・本邦での稼働を希望するもの(約2%)
図8:不認定者(一次審査)の主な申立て内容の内訳
(注)具体的な認定事例及び不認定事例については事例集を参照してください。