平 成 2 8 年 3 月 3 1 日
法 務 大 臣
公安審査委員会委員長 決定
公 安 調 査 庁 長 官
改正 平成31. 4. 1
改正 令和 3. 4. 1
改正 令和 6. 3.25
アット・ホウムプラン-プラスONE-
〜ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂性)の実践を目指して〜
法務省・出入国在留管理庁・公安審査委員会・公安調査庁特定事業主行動計画
「法務省職員の行動宣言」
〜アット・ホウムプラン-プラスONE-2021〜2026〜
1.私たち法務省職員は、法秩序の維持や国民の権利擁護を通じて国民生活の安全・安
心を守るという重要な使命を負っており、この使命をゆるぎない責任感を持って担って
いかなければなりません。
2.一方、これからの日本社会が成長・発展するためには、一人一人の個性と多様性を
尊重し、異なる意見や考え方を包摂する、ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン
(包摂性)の視点に基づく「誰一人取り残さない」社会の実現が重要であり、この視点
は、公務を担う職場においても求められています。
法務省は、約5万4、000人という多数の職員が在職し、全国に官署を持つ組織で
あり、構成する各組織にもそれぞれの特色があります。私たちは、法務省に対する社
会のニーズが多様化する中、組織そのものに柔軟性を与え、一人一人の職員自らが
主体性・積極性を持ってこれに応えていきます。
3.今回、「アット・ホウムプラン-プラスONE-2021〜2026」においては、女性の職業生
活における活躍推進と全ての職員のワークライフバランス推進のため、政府全体とし
ての取組とともに、「プラスONE」の取組を盛り込み、法務省としての主体性と独自性
を持った取組としました。
この取組を推進するに当たって、私たちは、職員一人一人の個性を尊重するととも
に、特に若い職員の声を丁寧に汲み取ることで、新たな発想や視点を法務行政に反
映していきます。加えて、各組織の特色に合わせた取組とするべく創意工夫をこらすこ
とや研修の充実等による職務に対する意識・意欲の向上により、それぞれの職員が能
力や経験を最大限発揮し、組織の活力やイノベーションを生み出していきます。
4.新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、テレワークの実施等の働き方に関す
る取組が進みましたが、私たちは、これらの取組が後戻りしないよう、ウイズコロナ、ポ
ストコロナ時代の「新しい日常」として定着させていきます。
5.私たち法務省職員は、法務省で働く一人一人の職員の主体的・積極的な関わりをレ
ベルアップさせ、全ての職員が生き生きと働くことのできる、選ばれる職場としての魅
力にあふれた法務省を実現するため、総員でこの計画に取り組むことを宣言します。
目 次
第1部 取組内容等
第1章 総論
第1 目的及び構成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
第2 計画期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
第2章 取組内容及び数値目標
第1 ワークライフバランス推進のための働き方改革に関する取組・・・・・・・・・・・・1
1 目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2 取組内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
第2 女性の職業生活における活躍推進のための取組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
1 目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
2 取組内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
第3 次世代育成支援の推進のための取組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
第4 「プラスONE」としての取組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
第5 パイロットアクション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
第3章 推進体制等
第1 計画の推進、点検、評価及び見直しのための体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
第2 女性の職業選択に資する情報の公表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
第3 職員に対する情報の提供・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
第4 職員からの相談への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
第5 職員に対する研修・啓発の実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
第4章 その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
第2部 状況把握及び分析
第1 ワークライフバランス及び次世代育成支援関係の状況把握及び分析・・・・・25
第2 女性の職業生活における活躍関係の状況把握及び分析・・・・・・・・・・・・・・29
参考資料 民間企業における働き方改革等の取組
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第1部 取組内容等
第1章 総論
第1 目的及び構成
この計画は、女性の職業生活における活躍、ワークライフバランス及び次世代育
成支援の推進のため、法務省としての主体性と独自性を持った取組を、総合的かつ
計画的に推進することを目的とする。
この計画は、第1部「取組内容等」及び第2部「状況把握及び分析」から構成し、
第1部第2章では、以下の項目を柱として、その取組内容及び数値目標を定める。
(1) ワークライフバランス推進のための働き方改革に関する取組
(2) 女性の職業生活における活躍推進のための取組
(3) 次世代育成支援の推進のための取組
(4) 「プラスONE」としての取組
第2 計画期間
令和3年4月1日から令和8年3月31日までとする。
第2章 取組内容及び数値目標
第1 ワークライフバランス推進のための働き方改革に関する取組
1 目的
働き方改革は、全ての職員がその能力を最大限に発揮し、限られた時間で効
率良く高い成果を上げることにより、政策や行政サービスの質を向上させ、職員
のワークライフバランスを実現させることを目的としている。
そのため、組織全体として、働き方改革のための抜本的かつ総合的な対策を
講じ、全ての職員がその能力を十分に発揮できるよう、職場環境を整備する必
要がある。業務効率化・デジタル化による抜本的な仕事の改革、働く時間と場所
の柔軟化等を通じて、全ての職員による働き方改革を進めていくための取組を
実施する。
2 取組内容
(1) 業務効率化・デジタル化の推進に関する取組
内閣人事局が実施した令和元年度職員アンケート調査結果によると、過
半数の職員が、働き方改革が進まない原因として、「非効率・不要な業務」
が多いことを挙げている。また、若手職員が勤務時間の多くを定型業務に
割かれ、やりがいや自己成長を感じられていないことも指摘されている。こ
れらの状況を改善するため、業務の廃止を含めた業務効率化・デジタル化
を推進することが急務である。
業務効率化・デジタル化については、日々のマネジメントにおいて業務の
実態を把握し、業務の廃止を含めた既存業務やその業務のプロセス自体
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の見直しによる課題解決を図ることも幹部職員・管理職員の職責である。
業務見直しは、「まずやってみる」ことから気付きや発見を得ることで、更
なる見直しにつながるものであり、令和2年8月に実施した「働き方改革推
進強化月間」における経験等を活かし、不断に続けることが重要である。
そのため、幹部職員・管理職員には、業務の廃止を含めた業務効率化・
デジタル化を進めることをその職責として位置付け、人事評価においてその
取組の成果を反映する。
また、業務効率化・デジタル化に関しては、本省等(本省内部部局、法務
総合研究所、出入国在留管理庁本庁、公安審査委員会及び公安調査庁本
庁をいう。以下同様。)において検討・推進することが適当な事項があること
は当然のことながら、各職場においても、すぐにでも実施できる取組もある。
そのため、職員においては、主体的・自発的に自らの職場環境の改善策を
考えることが実効性のある取組や職場風土づくりにつながることを十分認
識した上で、それぞれの職場の業務の特性や勤務体制等の実情を踏まえ、
以下の取組を実施する。
1 業務見直し
各職場においては、職場ごとに業務の棚卸しを行い、必要性の低下した
業務があれば、当該業務自体を廃止するなど、積極的な見直しを行う。
業務見直しの推進にあたっては、「業務見直しの進め方」(令和元年12
月業務の抜本見直し推進チーム)を踏まえて行う。
2 定型業務の効率化
本省等においては、AI、RPA等のICTを活用した業務の効率化を進め
る。この取組を加速させるため、ICTに知見のある外部専門家の活用等を
検討する。また、可能なものについては、外部委託を実施する。
3 横断的な業務等の効率化
ア 照会等の業務
本省等においては、複数の局部課等にまたがる照会等の業務(法令等
協関係業務、査定・審査業務、調査・照会業務、法案等作成業務等)につ
いて、協議ルール等の遵守やICTの活用等により、徹底した効率化を行
う。
特に、他府省等に作業依頼を行う場合には、できる限り他府省等の作
業が軽減され、勤務時間外の対応が発生しないよう、作業依頼の必要性
や内容、タイミング等をよく精査するとともに、作業様式の工夫等を行う。
イ 会議等の運営業務
会議、打合せ等については、原則として、以下のとおり実施し、効率的
に運営する。
・終業時間の1時間前以降には行わないこととし、やむを得ず実施する
- 3 -
場合であっても、終業時間までに終了する。
・実施回数、時間及び出席人数を必要最小限にする。
・会議等での到達目標・所要時間等をあらかじめ定める。
・資料の事前配付、簡素化及びペーパーレスで実施する。
ウ 国会関係業務の効率化
令和元年度職員アンケート調査結果によると、働き方改革の観点で国
会関係業務の効率化を求める本府省等職員が約4割に達することや、国
会会期中の勤務時間が長時間に及ぶ職員も存在することを踏まえ、国会
関係業務の改善に向けて、次の取組を推進する。
(ア) 国会対応の合理化
本省等においては、国会開会中の勤務時間の見通しを立てやすくす
るために、輪番制の導入等、各部署の各日の定時後の態勢を工夫す
るなど、国会対応の合理化を図る。
(イ) 国会答弁作成プロセスの効率化
本省等においては、ICTを活用して国会関係情報の円滑な共有を図
るとともに、答弁作成に係る府省間割り振り調整の合理化に加え、府
省内における問登録や割り振り調整に係る制限時間の設定、答弁案
の了解先や合議先の数の見直し、電子メールを活用した内部了解方
法の簡略化等を通じ、答弁作成プロセスの効率化を図る。
(ウ) 調査等の必要性の吟味、効率的実施の徹底
本省等においては、地方機関等を対象とする調査等について、その
必要性を十分に吟味し、同様の趣旨の調査等を異なる課室等から行う
ことなどがないよう、局部課等の内部での情報共有を工夫するなどし
て、真に必要なものに限定し、計画的かつ効率的な実施を徹底する。
なお、地方機関等が勤務時間外に作業せざるを得ないような依頼
は、原則として行わないものとし、適切な作業期間を設ける。
4 コミュニケーション・情報共有の活性化
各職場においては、上司・同僚等との意思疎通の齟齬による業務の手戻
り等を防ぐため、部署としての目標や目標を達成するための手順の共有
等、職場におけるコミュニケーション活性化のための工夫を行う。
各職場においては、職場内での情報共有を効率的に行うため、ポータル
サイト、共用フォルダの活用等、職員が必要とする情報にアクセスしやすい
効率的な環境整備を行う。
各職場においては、業務の特性や必要性を踏まえて、効率的に業務が
遂行できるよう、オフィス環境の整備(例えば、フリーアドレスの導入等)を
検討する。
5 PDCAサイクルの構築
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幹部職員又は管理職員は、業務の効率化や職場環境の改善等につい
て、定期的又は随時に部下職員から意見を聴取する。また、部下職員から
の自由な提案や各職員層を集めた座談会等の検討体制を整備するなどに
より、部下職員が当事者意識を持つよう働き掛け、職場ごとに、業務の効率
化や職場環境の改善策を議論・策定・実施し、事後的に評価して更なる改
善につなげるPDCAサイクルが構築されるようにする。
(2) 働く時間と場所の柔軟化に関する取組
1 テレワークの推進に関する取組
テレワークを活用した柔軟な働き方の推進は、非常時における業務継続
の観点に加え、育児・介護等のために時間制約がある職員等の能力発揮
にも資するものであり、ワークライフバランスの観点からも重要である。
そのため、次の取組を着実に推進し、テレワークの実施が不可能な業務
を除き、テレワークを活用した「新しい日常」に対応し、必要な行政サービス
を提供できる体制を整備する。
ア テレワークに係るシステム環境の計画的整備
各組織においては、いかなる環境下においても、生産性を保ち、必要な
行政機能を維持する観点から、必要なテレワークの環境の整備を進める。
イ テレワークに備えた執務資料の電子化等
各職場においては、紙で保存されている執務資料について、必要に応じ
て電子化する。また、本省等においては、テレワーク中の業務生産性の改
善に向けて、共用フォルダにアクセスして行政文書を編集できる機能の導
入やチャット機能等の環境整備を進める。
ウ テレワークに対応したマネジメント
各職場においては、引き続き、テレワークを可能とするための業務プロ
セスの見直しの検討を進めるとともに、テレワーク中の職員と出勤した職
員の業務分担の適正化、テレワーク実施職員のメンタルヘルスの確保、
幹部説明のオンライン化などコミュニケーション手法の見直し等を推進す
る。
エ サテライトオフィスの整備等
本省等においては、職員のテレワーク時の執務環境等の実態を踏まえ
て、サテライトオフィスの設置を検討する。
2 勤務時間の柔軟化に関する取組
ア 早出遅出勤務の活用
早出遅出勤務の制度の周知とともに、業務の繁閑、職員の勤務状況や
体調、ワークライフバランスの事情等に応じて、早出遅出勤務を効果的に
活用するなど、弾力的な勤務時間の割り振りについての理解促進や職場
の雰囲気の醸成に一層努める。
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イ フレックスタイム制の活用
フレックスタイム制について、適切な公務運営の確保に配慮しつつ、円
滑な実施を図る。また、希望する職員には可能な限り適用するよう努め、
特に育児や介護を行う職員から希望があった場合には、できる限り希望ど
おり対応できるようにするなど配慮する。
(3) 勤務時間管理のシステム化と勤務時間管理の徹底等
職員の心身の健康確保及び仕事と生活の両立には、長時間労働の是正が
必要であることは論を待たない。そのためには、まず職員の勤務時間を「見え
る化」し、その実態を正確に把握した上で、適切な勤務時間管理を行うことが
必須である。
1 勤務時間管理のシステム化
本省等においては、出勤簿、休暇簿、フレックスタイム割振簿等を電磁記
録化することにより、定時までに出勤したことを記録するとともに、これら相
互の整合性の確認を自動化し、申請から承認までの手続をオンラインで行
う機能や、職員の勤務時間を正確に把握できる機能、管理職員が部下職員
の超過勤務の状況及び理由をリアルタイムで把握できる機能等を備えた勤
務時間管理のシステム化の実現を図る。
なお、システム化するまでの間も、職員の勤務時間の正確な把握に努め
るとともに、管理職員は部下職員の勤務時間並びに超過勤務の状況及び
理由をリアルタイムで把握するよう努める。
地方機関等についても、本省等において、業務に応じた勤務形態の多様
性に配慮しつつ、システム化に向けた検討を進める。
2 勤務時間管理による超過勤務縮減と勤務間インターバルの確保等
管理職員においては、「国家公務員の労働時間短縮対策について」(平
成4年12月9日人事管理運営協議会決定)に基づき、超過勤務をする際に
その理由や見込み時間等を事前に把握するよう努めるとともに、部下職員
の勤務時間を正確に把握する。
管理職員は、部下職員の勤務時間等も含めた業務状況を適切に把握し
た上で、業務の進め方についての指導、柔軟な業務分担や業務の優先順
位付け等、超過勤務縮減に向けた改善方策に取り組む。
各職場においては、早出遅出勤務等の活用等により、職員の心身の疲
労回復や健康維持のために必要な時間(勤務間インターバル)の確保に組
織的に取り組む。
3 超過勤務の縮減・休暇の取得促進等
ア 幹部職員は、各組織が有する特殊性を踏まえつつ、必要に応じて、各職
場・各部署の業務や職員の超過勤務の状況等を勘案し、例えば、各職場・
部署等の単位で超過勤務縮減のための数値目標を設定するなど、各職場
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の実情に応じた効果的な取組を実施する。
イ 管理職員は、部下職員の超過勤務の必要性の事前確認を徹底するとと
もに、超過勤務時間が多い職員については、その原因及び対応策を検討
し、必要に応じて幹部職員の指示を受けた上で、適正な業務分配を行うな
ど、組織的に対応する。また、超過勤務の縮減に向けた取組と成果を職員
の人事評価に適切に反映させる。
ウ 管理職員は、毎週水曜日の全府省一斉定時退庁日の他に、職員ごとに
設定させる定時退庁日(マイ定時退庁日)の実施などにより、部下職員の
超過勤務の縮減に取り組む。
なお、本省等においては、毎週水曜日の全府省一斉定時退庁日には、
業務に支障がある場合を除いて、遅くとも20時までの庁舎の消灯に努め
る。
エ テレワーク、フレックスタイム制、早出遅出勤務等により、各職員の勤務
形態・時間が多様化する状況であっても、職員が長時間勤務をせずに早
期退庁しやすい職場環境を構築する。
オ 幹部職員又は管理職員は、一定期間ごとの休暇予定表等により、部下
職員の年次休暇取得予定及び取得実績を随時把握し、取得実績が低い
職員に対しては、必要に応じて業務体制の見直し等の指示をした上で、年
次休暇の取得を個別に働き掛ける。また、部下職員の休暇予定表につい
ては、業務予定も含め、各部署等の職員間で情報共有して「見える化」し、
職員が互いに年次休暇を取得しやすい雰囲気を醸成する。
カ 幹部職員又は管理職員は、業務の区切り、公務員生活の節目、家族等
の記念日、子どもの行事参加、自身のリフレッシュ等のための年次休暇
(連続休暇、時間休暇を含む)の取得を部下職員に対して奨励するなど、
各職場の実情、特殊性、職員のニーズ等に応じた効果的な取組を積極的
に実施する。
(4) マネジメント改革に関する取組
複雑多様化する行政ニーズに的確に対応した政策立案や、質の高い行政
サービスの提供を実現するためには、行政組織の運営の要となる幹部職員
及び管理職員による適切なマネジメントが必要不可欠である。
幹部職員及び管理職員は、日々の業務において、部下職員の能力を活か
し、適切な組織運営を行って成果を上げるとともに、限りあるリソースを真に
必要な業務に傾注できるよう、業務見直しの徹底や業務の効率化に取り組
むことが本来の役割として求められている。
また、各職員が自分の仕事にやりがいを感じることは、意欲的な業務への
取組や成長を促し、ひいては公務のパフォーマンスの向上につながるもので
あるが、やりがいや成長を感じられないことが、若手の早期離職傾向の要因
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の一つと考えられる。そのことからも、部下職員のやりがいを高め、育成する
観点からのマネジメントの実施が喫緊の課題として幹部職員及び管理職員
に強く求められている。
さらに、職員自身が自ら成長する意識を持つことも重要であり、職員に主
体的にキャリアをデザインする意識を持たせるとともに、上司と人事当局が
それを支援し、組織全体として人材の質を高めていくことも重要である。
このため、職員のやりがいの向上や成長促進も含めた管理職員のマネジ
メント能力の向上、マネジメントにおける幹部職員の役割の強化、人事当局
による支援の強化等に取り組むこととし、これを着実に実施していくため、幹
部職員及び管理職員のマネジメントや職員及び職場の状況を把握し、改善
につなげていく仕組みを構築する。
1 職員のやりがい向上も踏まえた管理職員のマネジメント向上
ア 管理職員が実施すべきマネジメント行動
(ア) 業務・組織マネジメントの実施
方向性の提示や適切な判断・調整など日々の業務マネジメントを適
切に行うだけではなく、部下職員の超過勤務時間や時間の使い方も含
めた業務の実態を把握し、業務の廃止を含めた既存業務の見直し、業
務分担等の業務実施体制の見直しを実施することが、幹部職員及び
管理職員のマネジメント行動の重要な要素である。
また、管理職員は、部下職員の勤務時間等も含めた業務状況を適
切に把握し、適切かつ柔軟な業務分担や業務の優先順位付け等のコ
スト意識を持って組織運営に取り組む。
(イ) 部下職員の主体的な業務遂行の促進
管理職員は、部下職員が日々の業務の中でやりがいを感じて意欲
的に業務に取り組み、また成長していくことで公務のパフォーマンスを
高められるよう、次の取組を参考としながら、部下職員の主体的な働き
方を促進する。
・組織の目標や業務意義の説明により、納得感を高めること
・主体的に業務を遂行する幅を広げること
・挑戦的な業務の機会を付与すること
・現場や外部有識者との交流など幅広い経験をさせること
なお、管理職員は、日常的な業務上のやりとりに加え、人事評価の
期首・期末面談、期中における1on1ミーティング(上司と部下との間で
行う1対1の対話)等を活用し、部下職員と積極的なコミュニケーション
を図ることにより、部下職員の業務状況を把握し、適切なフォローを行
う。また、強みを伸ばすために褒めたり、弱みを克服するために助言や
指導したりする等のフィードバックを行い、部下職員の成長を積極的に
- 8 -
促す。
(ウ) 部下職員の人材育成・キャリア支援の実施
管理職員は、日頃のコミュニケーションを通じて把握した能力や希
望、部下職員が作成した「キャリアシート」等の情報を基に、部下職員
の中長期的なキャリア形成にも留意した上で、1on1ミーティングや期
末面談等の場を活用し、年1回以上、キャリア形成に係る助言等を行
う。
イ 管理職員のマネジメント能力の向上
上記アを達成するため、次の取組を行う。
(ア) 管理職員に対するマネジメント研修の充実
本省等においては、内閣人事局及び人事院の協力を得つつ、全て
の管理職員に、管理職に昇任する前後にマネジメント能力の向上に向
けた研修を受講させる。
(イ) 管理職員のマネジメント能力向上に向けた環境整備
本省等においては、各管理職員によるマネジメントの実施状況につ
いて、多面観察などにより、フォローアップとフィードバックを実施し、マ
ネジメントの改善を促す。
各職場においては、幹部職員が、部下である管理職員によるマネジ
メント状況を把握し、適切に評価するとともに、例えば、人事評価の面
談や多面観察の結果等を活用し、積極的に助言や指導を行うよう取り
組む。
本省等においては、幹部職員への多面観察の実施等について検討
する。
2 人材育成のための人事担当部局の役割
ア 人事異動を通じた人材育成・キャリア形成
人事担当部局は、若手職員(概ね採用10年目まで)に対して、キャリ
アデザインやその内容を「キャリアシート」等に記載して上司や人事担当
部局と共有することの重要性について、各種研修や人事担当部局からの
メッセージ等を通じて理解を促進させる。
人事担当部局は、適切な公務運営に配慮しつつ、職員の人事異動に
際して、当該職員の能力やスキル、職歴等のほか、「キャリアシート」、身
上調書、面談等を通じて把握した当該職員の中長期的なキャリアに関す
る要望等を考慮する。
また、人事担当者又は当該職員の上司となる管理職員から当該職員
に対して、期待や成長課題等について説明を行うなど納得感の向上に努
める。
人事担当部局は、職員の育成に必要となる職務経験の付与につなが
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るよう、当該職員の上司となる管理職員に対して、当該職員の異動期等
の機会を活用し、「キャリアシート」や身上調書等に記載された当該職員
の能力開発、キャリアに関する要望等や人事担当部局としての中長期的
な育成方針等を的確に伝達するなどの方法により、管理職員と協力して
当該職員の人材育成に取り組む。
イ 自己成長の機会提供
人事担当部局は、若手職員が自身のキャリアデザインを実現するため
に必要な知識やスキル・職務経験を蓄積できるよう、省内外公募制、官
民交流、留学、出向等の自主的に挑戦できる機会の周知、拡大等に取り
組む。
3 職員・職場の状況を把握・活用する仕組み
ア タレントマネジメント推進に向けた情報の整備と活用
本省等においては、職員の属性や人事異動履歴等の情報に留まら
ず、職員の有する能力やスキル、評価、キャリアに関する要望等の情報
を把握し、活用に必要な整備を行う。これらの情報を活用することで、職
員の人事についての納得感を向上させるとともに、戦略的な人材配置や
人材育成等を行うタレントマネジメントを推進する。
イ 職員調査の継続的実施とこれを踏まえた対策
本省等においては、職員・職場の状況を把握し、上記(4)の「マネジメ
ント改革」等に係る取組の効果を測るとともに、課題の発見や取組の改
善につなげるため、職員のエンゲージメントや職場環境調査等を実施す
る。こうした調査結果については、例えば、部局等の単位で職員にフィー
ドバックするなどにより、管理職員のマネジメント、職場の改善、各組織等
で行う研修に反映する。
(5) 全ての職員が家事・育児・介護等をしながら活躍できる職場環境の整備
男女問わず全ての職員が、家事・育児・介護等の家庭責任を十分に果た
しつつ、職場においてもその能力を十分に発揮して活躍していくためには、
仕事と家庭の両立支援に関する各種制度の導入・周知だけではなく、職員が
気兼ねなく安心して利用しやすい職場風土が醸成されており、実際に制度を
利用できる人員・業務体制が整い、かつ、利用した後のフォローアップやキャ
リア形成を可能とする人事管理が構築されているなど、職場環境が整備され
ている必要がある。
とりわけ、男性の家庭生活における参画に特に重点を置いた上で、以下
のとおりの取組を推進することで、全ての職員が活躍できる職場環境を整備
する。
1 男性の家庭生活への参画促進
男性の家庭生活への参画促進については、全職員の徹底した意識改革、
- 10 -
雰囲気の醸成、実際に男性が各種両立支援制度を気兼ねなく利用できる職
場環境の整備について、以下の取組を行う。
ア 意識改革、雰囲気の醸成及び体制整備
(ア) 幹部職員は、各種両立支援制度の周知のみならず、男性職員が家
事・育児・介護等の家庭生活における役割を果たすことの重要性及び
必要性について、対象となる男性職員のみならず、性別・年齢・役職問
わず、当該職場に所属する全職員に対して、強力なリーダーシップの
下、明確なメッセージを継続的に発出することにより、全職員の意識改
革を確実に行う。また、対象となる男性職員が家庭生活における役割
を果たすための各種両立支援制度を実際に利用できる職場の雰囲気
を醸成する。
(イ) 男性職員による仕事と家庭の両立支援制度の利用促進を図る上で
は、特に管理職員の制度に対する理解が重要であることから、幹部職
員は、管理職員に対する意識啓発、利用促進のための取組に関する
指示等、必要な対応を行う。
(ウ) 男性職員について、育児等に係る状況(出産予定日、配偶者の状
況、保育の状況等)や両立支援制度の利用についての意向を記入す
るための「育児シート」、「育児に伴う休暇・休業の取得計画」等により、
管理職員や人事担当部局がきめ細かく男性職員の状況を把握し、面
談による詳細な意向確認や不安払拭のための助言等を随時行いなが
ら、業務進捗状況の把握、取得希望時期の調整、業務支援体制や業
務分担変更の必要性の検討、関係する周囲の職員との意見交換等、
男性職員が各種制度を実際に利用できるようにするための体制を整
備する。
イ 男性職員による育児休業、各種休暇等の取得の促進
男性職員に対する両立支援制度の確実な周知とともに、上記アに掲げ
る幹部職員、管理職員及び人事担当部局による取組により、男性職員に
よる両立支援制度の活用を図る。
特に、男性職員の家庭生活への参画促進は、男性職員の仕事と生活
の両立のみならず、女性の活躍推進の観点からも極めて重要である。
そのため、法務省においては、「こども未来戦略」(令和5年12月22日
閣議決定)等に定める政府全体の目標に基づき、男性職員の育児休業
取得率並びに男性職員の配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇
(以下、2つの休暇を併せて「男の産休」という。)についての目標を設定
する。
さらに、全ての男性職員が1か月以上を目途に育児に伴う休暇・休業
を取得できるよう、「国家公務員の男性職員による育児に伴う休暇・休業
- 11 -
の取得促進に関する方針」(令和元年12月27日女性職員活躍・ワーク
ライフバランス推進協議会決定。令和6年1月16日一部改正。以下「取
得促進方針」という。)に基づく取組を適切に実施する。
【令和7年度までの数値目標】
しろまる男性職員の1週間以上の育児休業取得率 85パーセント
しろまる「男の産休」の合計5日以上の取得率 100パーセント
2 仕事と生活を両立しながら活躍できる環境づくり
ア 働く時間の柔軟化
各職場においては、フレックスタイム制等について、適切な公務運営に
配慮しつつ、希望する職員には可能な限り適用する。特に、職員の心身の
健康確保のために必要な場合はフレックスタイム制等の活用を積極的に
推奨するとともに、育児や介護等を行う職員の希望については、できる限
り希望どおり対応するよう配慮する。
本省等においては、フレックスタイム制等の活用に係る手続の簡素化・
柔軟化を進める。また、当該手続に係る庶務負担を軽減する観点からも、
勤務時間管理のシステム化を図る。
イ 代替要員の確保
一定期間以上育児休業を取得する職員の代替要員には、可能な限り常
勤職員を配置することとし、代替要員の配置に当たって省内全体を見渡し
た効率的な人事運用の実施、一定の産前・産後休暇や育児休業の取得
者数が生じることを踏まえた採用方針の策定等、代替要員の確保に向け
た人事運用面の対応を行う。
ウ 転勤に関する配慮等
転居を伴う人事異動は、対象となる職員の生活環境に大きな変化を生
じさせるものであるため、転勤に関して定期的に本人の意向を確認したり、
可能な限り早期に内示を実施したりするなど、職員に対する十分な配慮を
行う。
管理職への登用に当たり、キャリアパスにおける転勤の必要性につい
ての再検討を行い、必要な転勤について、特に育児・介護等による時間制
約のある職員に対しては、職員本人の希望を踏まえて、転勤を所属の管
区内等で行うことや、育児・介護等以外の時期に転勤等をさせて必要な職
務経験を積ませ、登用に向けた育成を行うなど、育児・介護等がキャリア
パスの支障とならないよう配慮を行う。
- 12 -
また、職員の引越に係る負担軽減のため、例年引越が集中する年度末
及び年度当初にかけての転居を伴う人事異動については、国家公務員の
引越が4月期、特に4月1日の前後に集中している状況も踏まえ、いわゆ
る「赴任期間」の更なる活用を推奨するほか、人事異動時期の分散も含
め、転勤に伴う引越時期の分散に向けた取組を引き続き進める。
エ 安心して公務に専念できる環境の整備(保育の確保等)
(ア) 庁内保育施設の整備等
本省等においては、職場の実態及び職員の利用のニーズを踏まえ
て、必要に応じて、庁内保育施設の整備を行う。
本省等においては、庁内保育施設の利用を促進するため、職員に
対して当該施設の入所募集状況等の情報提供を行う。また、他府省等
の職員による共同利用も促進させるため、府省間の情報共有を行う。
(イ) 育児関連支援サービスの充実等
転勤先の保育所の確保が必要な場合においては、引き続き、可能
な限り早期に内示を行うなどの配慮を行う。
本省等においては、職員が利用できるシッターサービス等の育児関
連支援サービスのメニューを充実させ、職員への情報提供を行う。
3 両立支援制度の利用と育児休業取得中・復職後の支援
各職場においては、管理職等への研修等を通じた両立支援制度に対する
理解の醸成、制度を利用する職員の業務情報の共有等により、職員が両立
支援制度を利用しながら職務経験の蓄積を通じてキャリア形成ができる環境
を整備する。
ア 全ての職員が両立支援制度について、いつでも必要な情報が得られる
環境を整え、職員全体の認知度を向上させる。
イ 育児に伴う負担が、幼児期のみならず小学校入学後においても大きなも
のとなっており、女性のみならず、男性も父親として当然に育児の役割を
果たす必要があること、また、介護については、誰もが直面し得るものであ
り、見通しが立たず、身体的・精神的・経済的負担が多く、職員個人や家
族内で悩み等を抱え込みやすい性質のものであること等について、各種
研修、座談会等の機会を利用し、職場内における全職員の理解を深める
とともに、組織的かつ中長期的な視点に立った「お互い様」意識の啓発に
より、「相互支援」の循環・継承の重要性が共有されるような働きかけを行
う。
ウ 幹部職員は、管理職員等への両立支援制度に対する理解を醸成し、育
児や介護などの時間制約がある職員が両立支援制度を活用することに対
する心理的負担の軽減、両立支援制度を活用する職員を支援する周囲の
職員の不公平感の解消・緩和に努める。また、制度を利用する職員の業
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務情報の共有等により、両立支援制度を利用する職員をサポートしやす
い環境を整備する。
エ 人事評価において評価者、調整者及び実施権者の立場にある職員は、
育児や介護を担うなど時間制約がある職員を支援する周囲の職員の支援
状況(業務負荷等)について、人事評価において適正に評価を実施する。
オ 各職場においては、「育児シート」、「育児に伴う休暇・休業の取得計画」
等を活用し、男女ともに育児等に係る状況(出産予定日、配偶者の状況、
保育の状況等)や両立支援制度の利用についての意向を把握する仕組み
を通じ、管理職員や人事担当部局がきめ細かく職員の状況を把握する。
カ 育児休業や育児短時間勤務等の両立支援制度を利用したことのみによ
り、昇任や昇格に不利益とならないようにするとともに、それを職員に周知
する。育児休業を取得した期間にかかわらず、能力・実績に基づき昇任や
昇格の判断を行う。
キ 両立支援制度の利用促進のみに偏るのではなく、職員の育児休業等か
らの円滑な復帰を図り、職員が育児や介護を行いながら仕事で活躍でき
るようにするため、各職場においては、育児休業からの復帰直後や育児期
の働き方等についての意識の共有や、育児休業の取得中又は復帰直後
から育児期、介護休暇の取得時期等における本人のキャリアプランに関
する意向確認及び上司や人事担当部局からのキャリアに関する助言を目
的とした面談等を実施する。
ク 管理職となるために必要な職務の経験について、例えば、出産・育児期
等の前後又は育児期で時間制約があるような場合でも、本人の意向を考
慮して、働く場所や時間の柔軟化を活用するなどして、重要なポストを経
験させたり、必要な研修の機会を付与したりするなど、柔軟な人事管理を
行う。
ケ 各職場及び人事担当部局においては、育児休業取得職員に対して、人
事担当者や所属先の管理職員など連絡担当者を決めて、定期的なコミュ
ニケーションやメールマガジンなどによる情報提供等を行う。
コ 本省等においては、育児休業後の具体的なキャリアデザイン形成や育
児中の共働き世帯の両立支援等を目的として、先輩職員の経験談や外部
講師からの講演等を内容とするセミナーや交流会等を実施する。
サ 在職期間が1年以上であるなど一定の要件を満たす非常勤職員につい
ても、育児休業、育児時間、介護休暇等の両立支援制度を利用できること
につき周知を図る。
シ 各職場においては、育児をしている職員に対して、必要に応じて、保育
園送迎等に配慮した勤務時間の割り振りを行うよう努める。
ス 各職場においては、育児をしている職員が自動車通勤を必要とする場
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合には、駐車場の利用について、他の職員より優先させるなどの配慮に
努める。
セ 研修を実施する機関は、育児をしている職員に対して、研修実施におけ
る特例措置(通所とすること、受講年齢制限の特例等)の適用を検討す
る。
第2 女性の職業生活における活躍推進のための取組
1 目的
男女共同参画社会の実現に向けて、「第5次男女共同参画基本計画」(令和2
年12月25日閣議決定。以下「第5次計画」という。)に定める政府全体の目標を
踏まえた女性職員の採用・登用を拡大するとともに、女性職員が十分に能力を
発揮して活躍できるための取組を推進する。
また、女性職員が活躍できる職場とすることは、ダイバーシティ&インクルージ
ョンの観点からも重要である。多様な人材を受け入れて、あらゆる職員が活躍で
きる職場とすることにより、組織の活力やイノベーションの創出につながる。
現状、社会全体における固定的な性別役割分担意識等に加えて、公務を担う
職場においても、性別による業務配置や職域の固定化の解消、女性職員の育
成等が十分に進んでいないことを再認識し、職種、採用区分にかかわらず、能
力のある女性職員が活躍できるよう、各組織の実情や課題等を踏まえながら、
様々な取組を継続していくことが重要となる。
2 取組内容
(1) 女性の採用の拡大
女性の職業生活における活躍の入口となる女性の採用の拡大は重要であ
る。女性の採用について、第5次計画に定める政府全体の目標を踏まえ、以
下のとおり数値目標を設定し、公務に期待される能力を有する多くの優秀な
女性を幅広く採用できるよう、国家公務員採用試験の女性申込者・合格者の
拡大に向けた以下の取組を進める。
【令和7年度までの数値目標】
しろまる法務省全体の国家公務員採用試験(男女別に実施する試験等を除く。)から
の採用者に占める女性の割合 毎年度35パーセント以上
しろまる国家公務員採用総合職採用試験からの採用者に占める女性の割合
毎年度35パーセント以上
しろまる国家公務員採用試験(技術系区分)からの採用者に占める女性の割合
30パーセント以上
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1 きめ細かな実効性のある広報活動等の推進
広報活動等については、公務に期待される能力を有する多くの優秀な女
性を幅広く採用できるよう、国家公務員採用試験の女性申込者・合格者の拡
大に向け、関係府省と広報活動等において有機的に連携・協力する。
具体的には、理系、高校生や大学1・2年生の早期段階の学生、地方大学
の学生など、幅広い層の女性に公務の魅力を伝えるため、施設見学、インタ
ーンシップの実施、SNSやオンライン配信等の多様な媒体を活用した情報
発信の強化及び広報資料の充実を図る。また、ターゲット分類ごとにきめ細
かく効果的に訴求するよう、首都圏・各地域、法学部・経済学部及びそれ以
外の学部向けなどきめ細やかな実効性のある戦略的な広報活動を実施す
る。
2 女性職員の中途採用(経験者採用試験等による採用及び選考採用)の拡大
経験者採用試験等の積極的な活用、管理職以上の官職も含めた外部女
性人材の採用・登用に取り組む。
3 育児等を理由に国家公務員を中途退職した女性が再度公務において活
躍できるための取組
人事担当部局は、個人情報の取扱いに注意しつつ、中途退職者の連絡先
の把握及び中途採用情報の提供に努める。
(2) 女性の登用目標達成に向けた計画的育成
1 女性の登用目標
女性職員の登用の拡大については、第5次計画に定める政府全体の目標
を踏まえ、以下のとおり数値目標を設定し、確実な達成に向けて、計画的に
取り組む。
令和元年度職員アンケート調査結果によると、女性職員は男性職員に比
して昇任意欲が低い傾向にあるものの、女性職員が昇任に消極的になる理
由には、長時間労働等で仕事と家庭を両立できない職場環境・育児期間等
によるキャリアの中断や職務経験の不足等が挙げられている。よって、昇任
意欲を個人の意識の問題とするのではなく、このような外的要因が大きく影
響を及ぼしていることも考慮して、組織・職場における環境整備や昇任意欲
の維持・向上のための支援を進める必要がある。
女性職員の活躍を阻害する要因は、組織や職種により実態が異なると考
えられることから、人事管理を行っている単位ごとに登用の実態やその阻害
要因を把握・分析し、各組織の実情に沿った取組を進めることが効果的と考
えられるが、取組の対象が特定の人事管理区分に偏ることがないよう、留意
が必要である。
これらを踏まえ、将来指導的地位に成長していく女性の人材プールを確実
に形成するため、職種や採用区分にかかわらず、全ての女性職員が十分に
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能力を発揮して活躍できるよう、次の取組を推進する。
【令和7年度末までの数値目標】
しろまる指定職相当に占める女性の割合 8パーセント
しろまる本省課室長相当職に占める女性の割合 10パーセント
しろまる地方機関課長・本省課長補佐相当職に占める女性の割合 17パーセント
しろまる本省係長相当職に占める女性の割合 30パーセント
しろまる係長相当職(本省)のうち新たに昇任した職員 35パーセント
2 人事管理の見直し、柔軟化等
女性職員の登用も、男性職員と同様に、成績主義・平等取扱原則が大前
提となるが、女性職員は、妊娠・出産・育児を経る場合、必然的に男性職員
よりも長い期間職場を離れることとなる点では、職務機会の付与や研修の時
期等について、男性職員とは異なる人事管理上の対応が必要となる場合が
ある。また、登用が期待される女性職員に対しても、登用により役職に応じた
職責やワークライフバランス実現について、女性職員の自律的な対応が求
められることを、キャリア形成支援等を通じて理解を深めさせる必要がある。
ア 女性の登用の実態やその阻害要因の把握
人事管理を行っている単位ごとに、職員数の男女比と管理職を含む各
役職段階に登用されている者の男女比を比較し、大きな差がある場合に
はその理由を把握・分析し、改善に向けて必要な対応を行う。
イ 女性職員の職域拡大、人事管理の柔軟化等を通じた女性職員の計画
的育成
(ア) 女性職員の職域の拡大、様々なキャリアパス・ロールモデルの提示
・紹介及び研修、個別面談等を通じ、キャリア形成支援を一層積極的
に行う。その際、登用により、役職に応じた職責が増すこと、それによ
り育児・介護等を含めたこれまでの自身のライフスタイルに少なから
ず変化がもたらされること、その変化に応じたワークライフバランス
を、職責、業務の状況、職場の体制等を十分に踏まえた上で、自らの
意思や判断に基づき実現していくことが求められること等についても、
女性職員の理解を深めさせる。
(イ) 特定の業務に女性職員が多く配置されている、男性職員のみが配
置されてきた業務があるなど、職域が固定化していないか確認し、合
理的な理由がある場合を除き、固定化の解消を図る。
(ウ) 男女ともに、極めて優れた能力を有すると認められる職員について
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は、管理職員への登用も視野に入れつつ、速やかに昇任させる。
(エ) 管理職となるために必要な職務の経験については、出産・育児期等
以外の時期に重要なポストを経験させ、必要な研修の機会を付与す
るなど、柔軟な人事管理を行う。
また、育児期に昇任を希望しなかった等の理由により結果として
昇任が遅れている職員についても、意欲及び優れた潜在的な能力
を持つ女性職員に対しては、多様な職務機会の付与や研修等の必
要な支援を積極的に行い、意欲、スキル等を高め、昇任スピードを
加速する等のキャッチアップを行う。
(オ) 管理職の候補となり得るような女性職員については、個別に育成方
針を立てるなど、当省における女性職員の登用目標の達成に向けた
計画的な育成を図る。その際、特に本省等及び地方機関におけるII
・III種試験・一般職・専門職試験採用の女性職員のうち優秀と見込ま
れる者については、必要な職務機会の付与や研修等の支援を通じて
積極的な育成に努める。
ウ 幹部候補育成課程における管理職への登用に向けた育成
本省等においては、幹部候補育成課程において、高い意欲と能力を有
する女性職員の管理職への登用に向け、積極的かつ計画的な育成の観
点から、女性の課程対象者を対象として、出産・子育て期等後において管
理職に登用されるための意欲の維持及び管理職に必要となるマネジメント
能力の向上に資する研修を実施する。
エ 転勤の可否が登用に及ぼす影響の排除・縮小
管理職への登用に当たり、キャリアパスにおける転勤の在り方(必要
性、異動先、タイミングの多様性確保等)について再検討を行う。その際、
例えば、転勤を所属の管区内等で行うことや、出産・育児期等を迎える前
の若手に転勤等をさせて必要な職務経験を積ませたり、女性職員本人の
希望を踏まえ、出産・育児期等を終えてから、通常より遅れてでも必要な
経験を積ませ、登用に向けた育成を行うなど、複線的な育成を行うことを
検討する。
3 管理職員の意識改革
本省等においては、女性職員の登用の拡大に向けた管理職員向けの啓
発活動を実施し、管理職員の意識改革を進める。特に、社会全体において
固定的な性別役割分担意識等が存在していること、自組織内における女性
登用の課題や取組等への理解を促進する。
(3) 女性職員のキャリア形成支援、意欲向上
1 キャリアパスモデルの提示等による女性職員のキャリア形成支援
ア 女性職員については、ロールモデル事例が少ないこと等を踏まえて、女
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性職員のキャリアイメージ形成支援による能力・意欲向上を図るため、各
組織においては、既存の研修等のカリキュラムにキャリアイメージ形成支
援に資する研修・講演会・セミナー等を盛り込むなどして、全官署におい
て、女性職員に当該研修・講演会・セミナー等を年1回以上受講することが
できる体制を整備する。
また、これらの研修・講演会・セミナー等に積極的に参加させることや、
活躍する先輩女性職員が歩んできたキャリアパスの事例や先輩職員から
の経験談等のキャリアパスモデルを紹介すること等を通じて、若手女性職
員の意欲の向上を図る。
イ 組織ごとにロールモデルとなる人材の育成に努めるとともに、様々なロ
ールモデルを紹介するための資料等を企画・作成し、上記アの研修等に
活用する。
ウ 管理職員、直属の上司又は人事担当部局が必要に応じて随時面談を
行い、今後のキャリア形成に関する助言等を行うことにより、女性職員の
意欲の向上を図る。
(4) 女性職員が抱える悩みや心配事の相談ができる体制づくり
1 メンター制度等の活用
仕事と家庭の両立や将来のキャリアに悩む女性職員が、同様の境遇を経
験してきた先輩女性職員に気軽に相談できるよう、メンター制度を積極的に
活用する。
2 人的ネットワーク形成の支援
本省等においては、仕事と家庭の両立や将来のキャリアに悩む女性職員
が、同様の境遇を経験してきた先輩職員に気軽に相談できるよう、相談窓口
の設置や先輩職員の紹介といった人的ネットワークの形成及び体制を整備
する。
第3 次世代育成支援の推進のための取組
1 勤務環境の整備に関する事項
下記2及び3に規定するものを除き、本章第1及び第2の取組を次世代育成支
援対策推進法(平成15年法律第120号。以下「次世代育成推進法」という。)の
趣旨を踏まえて実施する。
2 公共的施設における雇入れの促進等
母子及び父子並びに寡婦福祉法の規定に基づき、母子家庭の母等の法務
省、出入国在留管理庁、公安審査委員会及び公安調査庁における雇用の促進
等を図る。
3 その他の次世代育成支援対策に関する事項
子育てバリアフリー、子ども・子育てに関する地域貢献活動、子どもと触れ合う
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機会の充実等を促す。
(1) 子育てバリアフリー
1 管理者は、子ども連れの来庁者に配慮したトイレ、ベビーベッド、授乳施設
等の設置に努める。
2 全職員が、子ども連れの来庁者に対する親切な応接対応等に努める。
(2) 子ども・子育てに関する地域貢献活動
1 子ども・子育てに関する活動の支援
職員は地域の構成員でもあり、その地域における子育て等に関する活動
に積極的に参加することが期待されているため、管理者は、地域において、
子どもの健全育成、疾患・障害を持つ子どもの支援、子育て家庭の支援等を
行うNPOや地域団体等について、その活動への職員の積極的な参加を支
援する。
2 子どもの体験活動等の支援
管理者は、子どもの多様な体験活動等の機会の充実を図るため、子ども
が参加する地域活動から職場見学、各庁の敷地や施設の利用の申出がなさ
れた場合には、応じるよう努める。また、各種学習会等の講師、ボランティア
リーダー等として職員の積極的な参加を支援すること等に取り組む。
3 子どもを交通事故から守る活動の実施や支援
管理者は、子どもを交通事故から守るため、地域の交通安全活動への職
員の積極的な参加を支援するとともに、公務に関し自動車の運転を行う者に
対する交通安全教育等の交通安全に必要な措置を実施する。
4 安全で安心して子どもを育てられる環境の整備
管理者は、子どもを安全な環境で安心して育てることができるよう、地域住
民等の自主防犯活動や少年非行防止、立ち直り支援のための活動等への
職員の積極的な参加を支援する。
(3) 子どもと触れ合う機会の拡充
1 管理者は、保護者でもある職員の子どもと触れ合う機会を充実させ、心豊
かな子どもを育むため、子どもが保護者の働いているところを実際に見るこ
とができる職場見学会の実施に努める。
2 管理者は、レクリエーションを実施する場合、職員の子ども等の家族も参
加できるよう配慮する。
(4) 学習機会の提供等による家庭の教育力の向上
家庭教育に関する学習機会への参加が難しい職員に対し、必要に応じて、
家庭教育等講座等を受講する機会を設けるなどし、家庭教育への理解と参画
を促進するよう努める。
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第4 「プラスONE」としての取組
本章第1及び第2では、ワークライフバランス推進のための取組及び女性活躍
推進のための取組について、政府方針等を踏まえた取組を定めたところであるが、
本取組計画においては、第2部第1及び第2におけるこれまでの法務省の取組状
況の把握及び分析や民間企業における働き方改革や女性活躍推進に関する取組
(別添参考資料)も参考として、次の事項についても、取組を実施する。
更なる取組が必要と考えられる重点的な課題がある分野に対して、民間企業の
先進的な事例も踏まえた取組を実施することで、次の第5のパイロットアクションの
取組と併せて、「プラスONE」の要素を盛り込んだ、法務省の主体性と独自性をもっ
た取組として、高い効果を期待することができる。
1 ワークライフバランス推進のためのプラスONE
(1) 「もっと子育てしよう」【男性職員の育児に伴う休暇・休業の取得促進】
毎年度、全ての管理職員が参加するグループとして「ホウム・イクボス」を結
成し、グループごとに育児に伴う制度の勉強、課題検討等を実施し、意識改革
を図る。
また、育児に伴う休暇・休業の取得モデルを全職員に周知して、取得に係る
明確なイメージを共有し、取得しやすい環境を醸成するとともに、管理職員に
よる対象となる男性職員への「プッシュ型」の取得勧奨に係る取組を徹底す
る。
加えて、今後ますます、男性職員にも育児休業等を取得する者が増えるこ
とを踏まえて、次の2(2)の子育てメンターについては、男性職員にも導入す
る。
対象となる男性職員においては、管理職員や人事担当部局等に相談しな
がら、育児休業の取得期間を可能な限り長期間とすることや、育児時間、子の
看護休暇、休憩時間の短縮特例、育児を行うための早出遅出勤務等、それぞ
れのニーズに応じた各種制度の利用を検討し、積極的に活用する。
(2) 「もっと学ぼう」【自由度の高い研修の実施】
人事担当部局による若手職員の自己成長の機会の提供の一環として、本
省等に勤務する職員に対して、研修又は講習等(以下「研修等」という。)のテ
ーマ及び研修等参加希望者を公募し、公募があった中から、研修テーマ及び
研修参加者を選定する研修等を実施する。また、その際、研修等に参加しや
すいよう、自宅や勤務官署でリモートで受講することができようにするなど、可
能な範囲で、配慮する。
この取組により、自発的に研修に参加してもらうことで、職務に対する意識・
意欲の向上を期待することができる。
(3) 「もっと話そう」【管理職員と若手職員との意見交換の実施】
管理職員によるマネジメントの一環として、課長級などの管理職員と若手職
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員(係員クラス)との意見交換の機会を設ける。
この取組により、管理職員に対しては、マネジメント力の向上が期待され、
また、組織にとっては、若手職員の声で組織がイノベーションされることを期待
することができる。
(4) 「もっとリフレッシュしよう」【年次休暇の取得促進と取得が当たり前の職場
作り】
年次休暇については、これまで法務省独自の数値目標として、「年間15日
以上」を定めてきたところ、第2部第1の1に記載しているとおり、令和元年度
の法務省等全体の取得日数は、13.1日であり、目標を達成することができ
ていない。そこで、年次休暇の取得日数について、引き続き、次の数値目標を
定める。
【令和7年までの数値目標】 年次休暇取得日数 年間15日以上
また、年次休暇の取得については、各組織又は各職場において、取組が進
められてきたところではあるが、年次休暇の取得は、休息のためであることは
もとより、業務の区切り・節目、家族の記念日や子どもの行事参加等の何らか
の予定がある場合に取得するケースが多いものと考えられる。他方で、これ
からは、これらに加えて、自己成長のための休暇(「ブラッシュアップ休暇」)を
設けて、自分自身のために年次休暇を取得するという意識の醸成も図り、本
章第1の2(3)3オ及びカの取組と併せて、年次休暇を当たり前に取得できる
職場環境を作っていくことで、上記目標達成のための取組を進めていく。
2 女性活躍推進のためのプラスONE
(1) 「もっと伸ばそう」【各種施策の体系化・総合化の徹底】
本取組計画における女性職員の育成・登用については、本章第2の2(2)
から(4)までの取組をいかに実行に移していくかが肝要となる。
そこで、本省等においては、上記各種の取組を体系的に分かりやすく「ホ
ウム・女性職員キャリア育成・支援プログラム」として整理し、各組織ごとの特
色を最大限考慮した、より実効性のある取組として、各組織・各職員に浸透さ
せていく取組を実施する。
この取組を着実に実施することで、女性が職場において活躍し、育児・子
育て等を経ても、必要な業務経験を付与し、研修や適切な人事管理を行い、
特に、本省係長クラスの若い世代を着実に育成するなど、将来、指導的地位
に成長していく女性の人材の層を着実に形成していくことを期待することがで
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きる。
(2) 「もっと相談しよう」【子育てメンターの導入】
本省等においては、育児休業から復帰する女性職員の職場復帰に係る不
安等を解消するため、育児休業経験者をメンターとし、育児休業中等の女性
職員をメンティーとする「子育てメンター制」を導入し、各組織においても導入
が進むように周知を図る。
第5 パイロットアクション
この計画における数値目標と現状が大きく乖離し、計画期間末までの達成が困
難と考えられるような指標については、計画期間全体を概観しながら急激な変化に
よるリスクを考慮しつつ、組織ごとに順次展開させていくなどの戦略的なプランニン
グが必須となる。また、計画期間中に各組織特有の問題点等を解消・解決するた
めには、各組織の取組状況等を横断的に把握・分析しつつ、既存の手法や先例に
捕らわれず、果敢に効果的と考えられるあらゆる手法を試行していくスピード感も
重要となる。
そこで以下のとおり、全組織一律の実施は困難と考えられるような目標や手法
等について、モデル部署等を選定し積極果敢に一定期間集中的な取組(以下「パ
イロットアクション」と称する。)を行い、半期に一度、各パイロットアクションのフォロ
ーアップを行い、その成果、課題等を検証した上で、新たなパイロットアクション等
により全組織に展開し、目標達成に取り組む。
1 女性職員が意欲と能力を十分に発揮し、働き続けることができる職場環境の
実現に係る課題解決型パイロットアクション
2 男性職員の家庭生活における活躍の重要性に係る意識を変容し、男性職員
の育児に伴う休暇・休業の取得に係る目標を達成するための順次展開型パイロ
ットアクション
3 そのほかのパイロットアクション
上記1及び2のほか、この計画における数値目標と各組織の現状に大きな乖
離がある場合等は、各組織において、効果的な課題解決型パイロットアクション
又は順次展開型パイロットアクションを検討し、積極的に実施する。
第3章 推進体制等
第1 計画の推進、点検、評価及び見直しのための体制
1 この計画の推進、取組の実施状況の点検・評価及び見直しは、法務省女性職
員活躍及びワークライフバランス推進検討会議(平成28年3月31日事務次官決
定。以下「検討会議」という。)において、総合的かつ継続的に行う。
検討会議においては、計画における数値目標の達成状況や、計画に基づく取組
の実施状況の点検・評価を毎年度少なくとも1回実施し、その結果を、女性職員活
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躍・ワークライフバランス推進協議会に報告する。併せて、その結果をその後の取
組や計画に反映させる、PDCAサイクルを確立する。
また、パイロットアクションの選定及び進捗状況の把握を行うとともに、必要に応
じて、ヒアリング等を実施するなど、各組織・各職場の実情の的確な把握に努め
る。
さらに、本省等においては、第2章第1の2(4)3イの職員のエンゲージメントや
職場環境などについての調査を定期的に実施するなどして、各職場・各世代の男
女の声を広く汲み上げるよう努めるとともに、意欲ある職員が業務見直しを始めと
する働き方改革に関する議論と情報共有を行うことができる場を設け、その意見等
を可能な限り自組織等における取組に反映する。
2 大臣官房人事課は、この計画を総合的かつ継続的に推進するために必要な事
務を行う。
3 大臣官房人事課は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成
27年法律第64号。以下「女性活躍推進法」という。)第19条第5項に基づく策定
又は見直しされた計画及び同法同条第6項に基づく取組実施状況の点検・評価結
果について、法務省ホームページ等により公表する。
4 民事局、刑事局、矯正局、保護局、出入国在留管理庁及び公安調査庁におい
ては、地方機関等に「女性職員活躍及びワークライフバランス推進担当者」を置
き、地方機関等における計画の推進を支援する。
第2 女性の職業選択に資する情報の公表
大臣官房人事課は、女性活躍推進法第21条に基づき、職業生活を営み、又は
営もうとする女性の職業選択に資するよう、女性の職業生活における活躍に関す
る情報を、おおむね1年に1回以上、法務省ホームページにおいて公表する。
第3 職員に対する情報の提供
1 大臣官房人事課は、この計画の推進等に資する情報等を掲載した冊子を作成
する。
2 大臣官房人事課は、法務省ホームページに設けた専用コーナーを活用して、職
員を含め広く国民一般を対象とした情報提供を行う。
3 大臣官房人事課は、管理職員、人事担当部局等を対象とした職員向けの情報
提供及び連絡の場として、法務省情報ネットワークに設けた専用掲示板を活用す
る。
第4 職員からの相談への対応
本省等における人事等の管理部門は、女性職員活躍及びワークライフバランス
についての相談を行う窓口を、本省等及び所管する地方機関等に設置し、職員か
- 24 -
らの個別の相談や質問等について適切に対応する。
第5 職員に対する研修・啓発の実施
1 研修実施機関は、それぞれが実施する研修において、この計画の推進に関す
る基本的事項についての講義を実施する。
2 研修実施機関は、管理者に対する研修において、この計画の推進に関する基
本的事項に加え、管理者としての役割の重要性や各種制度を利用しやすい職場環
境の整備のための重点事項についての講義を実施する。
3 各職場において実施する職員向けの研修や意見交換会等において、この計画
の推進に関する基本的事項や当該職場における重点的な取組内容等について、
啓発、意見交換等を実施する。
第4章 その他
平成31年4月1日以降、本省内部部局から外局となった出入国在留管理庁及び入国
者収容所並びに地方出入国在留管理局においても、この計画により、引き続き各種取組
等を継続することとなる。
また、この計画は、以下の法令及び政府方針に基づき策定するものである。
1 女性活躍推進法第19条第1項に基づき、女性の職業生活における活躍の推進に
関する法律に基づく特定事業主行動計画の策定等に係る内閣府令(平成27年内閣
府令第61号。以下「内閣府令」という。)で定めるところにより、事業主行動計画策定
指針(平成27年内閣官房、内閣府、総務省、厚生労働省告示第1号)に即して各府
省が策定する特定事業主行動計画
2 採用昇任等基本方針(平成26年6月24日閣議決定、平成28年1月28日一部改
正、令和2年12月25日一部改正(最終改正))及び「国家公務員の女性活躍とワー
クライフバランス推進のための取組指針」(平成26年10月17日女性職員活躍・ワー
クライフバランス推進協議会決定。令和6年1月16日一部改正(最終改正))に基づ
き改正する各府省等における取組計画
3 次世代育成推進法第19条第1項の規定に基づき、行動計画策定指針(平成26
年内閣府、国家公安委員会、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、
国土交通省、環境省告示第1号。以下「次世代育成行動計画策定指針」という。)に
即して各府省等が策定する特定事業主行動計画
- 25 -
第2部 状況把握及び分析
第1 ワークライフバランス及び次世代育成支援関係の状況把握及び分析
1 職員に対し付与された勤務時間法第17条に規定する年次休暇の日数に対す
る職員が取得した年次休暇の平均取得日数
(1) 状況把握
平成28年から令和元年の各年における年次休暇の平均取得日数につい
て、図1-1及び図1-2のとおり把握した。
図1-1(年次休暇の平均取得日数)
図1-2(年次休暇の平均取得日数)01020本省等
(14.7)
法務局
(13.3)
検察庁
(16.6)
矯正官署
(10.7)
保護官署
(13.9)
入管庁
(14.5)
公安庁
(17.7)01020本省等
(13.8)
法務局
(12.3)
検察庁
(16.2)
矯正官署
(8.0)
保護官署
(13.5)
入管庁
(13.7)
公安庁
(17.2)01020本省等
(14.6)
法務局
(13.0)
検察庁
(16.8)
矯正官署
(9.2)
保護官署
(13.9)
入管庁
(14.1)
公安庁
(17.1)01020本省等
(14.2)
法務局
(13.5)
検察庁
(17.1)
矯正官署
(10.4)
保護官署
(13.4)
入管庁
(15.0)
公安庁
(17.5)
平成28年 平成29年
平成30年 令和元年
しかく各年実績
しろいしかく目標値(年間15日以上)
本省等 法務局 検察庁 矯正官署 保護官署 入管庁 公安庁 法務省等全体
平成28年実績 13.8 12.3 16.2 8.0 13.5 13.7 17.2 11.6
平成29年実績 14.6 13.0 16.8 9.2 13.9 14.1 17.1 12.4
平成30年実績 14.2 13.5 17.1 10.4 13.4 15.0 17.5 13.1
令和元年実績 14.7 13.3 16.6 10.7 13.9 14.5 17.7 13.10.02.04.06.08.010.012.014.016.018.020.0 - 26 -
(2) 分析
図1-1のとおり、年次休暇の平均取得日数は、令和元年実績が13.1日で
あり、平成28年実績の11.6日と比較して、2.1日(約1.13倍)増加した。
平均取得日数が増加した要因としては、人事評価における休暇取得に関する
業績目標の設定や各種会議・会同等における管理職員等からの働き掛け等の
取組により、職員一人一人に休暇を取得する意識が醸成されたこと等が要因と
して挙げられる。しかし、改正前の取組計画における「年間15日以上」という数
値目標を達成できていないため、引き続き、同数値目標を維持し、各組織の実
情や特殊性に応じた効果的な取組を着実に継続していく必要がある。
2 男性職員であって配偶者が出産した者の数に対する当該男性職員であって育
児休業をした者の割合
(1) 状況把握
男性職員の育児休業の取得状況について、図2-1及び図2-2のとおり把
握した。
図2-1(男性職員の育児休業取得率)
本省等 法務局 検察庁 矯正官署 保護官署 入管庁 公安庁
法務省等
全体
平成28年度実績 2.3% 15.4% 17.0% 1.6% 5.3% 22.9% 2.7% 7.2%
平成29年度実績 4.2% 13.5% 24.7% 3.2% 45.8% 14.4% 8.2% 9.1%
平成30年度実績 15.2% 25.4% 28.2% 3.7% 11.1% 14.1% 15.2% 10.8%
令和元年度実績 24.0% 13.8% 32.6% 12.0% 32.4% 30.9% 26.1% 18.2%0.0%5.0%
10.0%
15.0%
20.0%
25.0%
30.0%
35.0%
40.0%
45.0%
50.0%
- 27 -
図2-2(男性職員の育児休業取得率)
(2) 分析
図2-1のとおり、令和元年度における法務省等全体の育児休業取得率は、
18.2パーセントであった。これは、平成28年度実績の7.2パーセントと比較し
て、約2.53倍であり、改正前の取組計画において設定された「13パーセント以
上」という数値目標を達成することができた。
取得率が増加した要因としては、対象職員の早期把握の徹底、管理職員等か
らの取得に向けた勧奨や人事担当者からの制度周知、業務分担の見直し等の
継続的な取組に加えて、令和元年12月に決定された取得促進方針を受けて、
法務省において実施している「ホウム・イクボス」等の管理職員による「プッシュ
型」の取得勧奨を行っていること等が挙げられる(「男性職員の育児に伴う休暇・
休業の取得促進に向けた取組について」(令和2年2月7日付け法務省人企第2
5号人事課長依命通知)参照)。
男性職員の育児休業取得率について、法務省等全体としては、年々増加して
きているものの、各組織ごとに取得率の状況にはなお差がある。そのため、前述
のとおり、女性の職業生活における活躍、全職員のワークライフバランス及び次
世代育成支援を推進する上で、男性の家庭生活における活躍は必要不可欠で
あるため、「こども未来戦略」において政府全体の目標として設定されている「1
週間以上の取得率85パーセント」を、この計画における数値目標として設定し、
男性の育児休業取得に関する取組を法務省等全体としてはもとより、各組織に0102030
本省等
(2.3)
法務局
(15.4)
検察庁
(17.0)
矯正官署
(1.6)
保護官署
(5.3)
入管庁
(22.9)
公安庁
(2.7)01020304050
本省等
(4.2)
法務局
(13.5)
検察庁
(24.7)
矯正官署
(3.2)
保護官署
(45.8)
入管庁
(14.4)
公安庁
(8.2)0102030
本省等
(15.2)
法務局
(25.4)
検察庁
(28.2)
矯正官署
(3.7)
保護官署
(11.1)
入管庁
(14.1)
公安庁
(15.2)
平成30年度010203040本省等
(24.0)
法務局
(13.8)
検察庁
(32.6)
矯正官署
(12.0)
保護官署
(32.4)
入管庁
(30.9)
公安庁
(26.1)
令和元年度
しかく各年度実績
しろいしかく目標値(13%)
平成28年度 平成29年度
- 28 -
おいても強力かつ果敢に実施していく必要がある。
3 男性職員であって配偶者が出産した者の数に対する当該男性職員であって男
の産休を取得した者の数の割合
(1) 状況把握
男の産休の取得状況について、図3-1及び図3-2のとおり把握した。
図3-1(男の産休合計5日以上の取得率)
図3-2(「男の産休」合計5日以上の取得率)050100本省等
(57.5)
法務局
(55.6)
検察庁
(85.2)
矯正官署
(39.1)
保護官署
(52.6)
入管庁
(44.0)
公安庁
(75.7)
平成28年度050100本省等(94)法務局
(73.8)
検察庁
(95.5)
矯正官署
(98.5)
保護官署
(82.4)
入管庁
(71.8)
公安庁(87)令和元年度050100本省等
(66.2)
法務局
(49.4)
検察庁(86)矯正官署
(86.2)
保護官署
(79.2)
入管庁
(46.6)
公安庁
(73.5)
平成29年度050100本省等
(82.6)
法務局
(73.2)
検察庁
(89.5)
矯正官署
(96.2)
保護官署
(86.1)
入管庁
(68.5)
公安庁
(97.8)
平成30年度
しかく各年度実績
しろいしかく目標値(100%)
本省等 法務局 検察庁 矯正官署 保護官署 入管庁 公安庁 法務省等全体
平成28年度実績 57.5% 55.6% 85.2% 39.1% 52.6% 44.0% 75.7% 51.5%
平成29年度実績 66.2% 49.4% 86.0% 86.2% 79.2% 46.6% 73.5% 79.8%
平成30年度実績 82.6% 73.2% 89.5% 96.2% 86.1% 68.5% 97.8% 91.5%
令和元年度実績 94.0% 73.8% 95.5% 98.5% 82.4% 71.8% 87.0% 93.5%0.0%20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
100.0%
120.0%
- 29 -
(2) 分析
図3-1のとおり、令和元年度における法務省等全体の男の産休の取得率
については、93.5%であった。これは、平成28年度実績と比較して、約1.8
倍であり、改正前の取組計画における「両休暇合計5日以上(の取得率100パ
ーセント)」という数値目標にわずかに到達していないが、ほぼ達成することが
できた。
取得率が増加した要因としては、上記2(2)の育児休業と同じく、対象職員
の早期把握の徹底、管理職員等からの取得に向けた勧奨や人事担当者から
の制度の周知等の継続的な取組の実施により、本人や管理職員等の意識や
取得しにくいといった職場風土が改善されてきていることが伺える。すなわち、
1日又は時間単位で取得可能な男の産休は、取得期間の制限はあるものの、
業務都合等に応じて柔軟に対応できる特別休暇であり、妻の産前産後の心身
負担の軽減や、出生後間もない貴重かつ大変な時期に育児に関与することに
よる親としての喜びや責任感の実感、その後の育児・家事参加や育児休業取
得のきっかけともなるという認識が浸透してきているものと考えられる。
引き続き、この計画においても、改正前の取組計画における「両休暇合計5
日以上(の取得率100パーセント)」という数値目標を維持し、男性の両休暇取
得のための取組を法務省等全体としてはもとより、各組織においても、引き続
き、強力かつ果敢に実施していく必要がある。
第2 女性の職業生活における活躍関係の状況把握及び分析
1 採用した職員(再採用(職員であった者を選考により再び採用することをいう。)
により採用された者を除く。)に占める女性職員の割合
(1) 法務省等全体の国家公務員採用試験(男女別に実施する試験を除く)から
の採用者に占める女性職員の割合
1 状況把握
法務省等全体の国家公務員採用試験(男女別に実施する試験を除く)から
の採用者に占める女性職員の割合について、図4-1及び図4-2のとおり把
握した。
- 30 -
図4-1(法務省等全体の国家公務員採用試験採用者の女性割合(男女別除く))
図4-2(法務省等全体の国家公務員採用試験採用者の女性割合(男女別除く))
2 分析
図4-1のとおり、令和2年度における法務省等全体の国家公務員採用試
験(男女別に実施する試験を除く。)からの採用者に占める女性職員の割合に
ついては、42.9パーセントであり、平成28年度以降、毎年度40%以上の高
い割合を維持している状況にある。また、各組織別に見ても、採用者数が極
端に少ない組織での例外はあるが、30パーセントを下回る組織はなく、改正
前の取組計画における「毎年度30パーセント以上」という数値目標を達成す
施設課 法務局 検察庁 矯正官署 保護官署 入管庁 公安庁
法務省等
全体
平成28年4月1日付採用者 25.0% 38.7% 43.5% 50.0% 45.2% 38.5% 38.0% 40.7%
平成29年4月1日付採用者 100.0% 39.0% 43.3% 50.0% 31.3% 42.2% 35.2% 40.7%
平成30年4月1日付採用者 33.3% 39.6% 41.4% 63.6% 58.0% 37.8% 26.8% 40.6%
平成31年4月1日付採用者 100.0% 40.3% 41.1% 47.4% 53.5% 36.1% 44.2% 40.0%
令和2年4月1日付採用者 50.0% 47.4% 43.4% 66.7% 58.1% 36.7% 43.8% 42.9%0.0%20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
100.0%
120.0%050100施設課
(25.0)
法務局
(38.7)
検察庁
(43.5)
矯正官署
(50.0)
保護官署
(45.2)
入管庁
(38.5)
公安庁
(38.0)
平成28年度050100施設課
(100.0)
法務局
(40.3)
検察庁
(41.1)
矯正官署
(47.4)
保護官署
(53.5)
入管庁
(36.1)
公安庁
(44.2)
令和元年度050100施設課
(100.0)
法務局
(39.0)
検察庁
(43.3)
矯正官署
(50.0)
保護官署
(31.3)
入管庁
(42.2)
公安庁
(35.2)
平成29年度050100施設課
(33.3)
法務局
(39.6)
検察庁
(41.4)
矯正官署
(63.6)
保護官署
(58.0)
入管庁
(37.8)
公安庁
(26.8)
平成30年度
しかく各年度実績
しろいしかく目標値(毎年度30%以上)050100施設課
(50.0)
法務局
(47.4)
検察庁
(43.4)
矯正官署
(66.7)
保護官署
(58.1)
入管庁
(36.7)
公安庁
(43.8)
令和2年度
- 31 -
ることができている。女性の割合が高い要因としては、インターネット・SNS及
びパンフレット等の多様な媒体を積極的に活用した情報発信を行っているこ
と、業務説明や採用面接等の機会に女性職員を配置し、女性職員の具体的
なキャリアパスやワークライフバランスに関する制度の周知等を継続して実施
していること等が挙げられる。
引き続き、第5次計画における政府目標である、国家公務員採用試験から
の採用者に占める女性割合を「毎年度35パーセント以上」を、法務省におけ
る数値目標として設定し、新規目標として追加された「国家公務員採用試験
(技術系区分)からの採用者に占める女性の割合30パーセント(令和7年
度)」と併せて、女性の採用に積極的に取り組んでいく必要がある。
(2) 国家公務員採用総合職試験からの採用者に占める女性の割合
1 状況把握
国家公務員採用総合職試験からの採用者に占める女性の割合について、
図5-1及び図5-2のとおり把握した。
図5-1(国家公務員採用総合職試験採用者の女性割合)
民事局 矯正局 保護局 入管庁 公安庁 法務省等全体
平成28年4月1日付採用者 50.0% 47.1% 42.9% 33.3% 25.0% 42.9%
平成29年4月1日付採用者 50.0% 52.6% 22.2% 50.0% 50.0% 45.0%
平成30年4月1日付採用者 25.0% 63.6% 40.0% 0.0% 0.0% 44.7%
平成31年4月1日付採用者 50.0% 47.4% 50.0% 50.0% 25.0% 46.5%
令和2年4月1日付採用者 20.0% 66.7% 87.5% 57.1% 50.0% 62.2%0.0%10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
50.0%
60.0%
70.0%
80.0%
90.0%
100.0%
- 32 -
図5-2(国家公務員採用総合職試験採用者の女性割合)
2 分析
国家公務員採用総合職試験からの採用者に占める女性の割合について
は、令和2年度においては62.2%であり、全府省庁の中で最も高い割合とな
った。また、平成28年度以降、毎年度40%以上の高い割合を維持しており、
改正前の取組計画における「毎年度30パーセント以上」という数値目標を達
成することができている。
高い割合となった要因としては、上記1(1)の国家公務員採用試験からの
採用者に占める女性割合と同じく、インターネット・SNS等の多様な媒体を用い
た積極的な情報発信を継続して実施したこと、業務説明や採用面接等の機会
に女性職員を配置し、女性職員のキャリアパスやワークライフバランスに関す
る制度の周知等を継続して実施していること等が挙げられる。
なお、総合職試験における人間科学区分に関しては、採用者に占める女性
の割合は更に高くなり(令和2年度実績では、約83%)、同区分の採用試験
の受験者は女性が多い傾向があるものの、専門分野の能力等を活かせる職
場として魅力を感じている女性採用志望者が多い状況が伺える。
引き続き、第5次計画における政府目標である国家公務員採用総合職試験
からの採用者に占める女性の割合「毎年度35パーセント以上」を法務省にお
ける数値目標として設定し、女性の採用に積極的に取り組んでいく必要があ
る。
2 管理的地位にある職員に占める女性職員の割合
(1) 状況把握
管理的地位にある職員に占める女性職員の割合について、図6のとおり把握
した。
なお、管理的地位にある職員とは、「本省課室長相当職以上」の職にある者と
しかく各年度実績
しろいしかく目標値(毎年度30%以上)050100民事局(50)矯正局
(47.1)
保護局
(42.9)
入管庁
(33.3)
公安庁
(25.0)
平成28年度050100民事局
(50.0)
矯正局
(47.4)
保護官署
(50.0)
入管庁
(50.0)
公安庁
(25.0)
令和元年度050100民事局
(50.0)
矯正局
(52.6)
保護局
(22.2)
入管庁
(50.0)
公安庁
(50.0)
平成29年度050100民事局
(25.0)
矯正局
(63.6)
保護局
(40.0)
入管庁
(0.0)
公安庁
(0.0)
平成30年度050100民事局
(20.0)
矯正局
(66.7)
保護局
(87.5)
入管庁
(57.1)
公安庁
(50.0)
令和2年度
- 33 -
し、具体的には、指定職俸給表の適用を受ける者、行政職俸給表(一)7級以
上、公安職俸給表(一)8級以上及び公安職俸給表(二)7級以上の職員のことを
指すものとする。
図6(管理的地位にある職員に占める女性割合)
(2) 分析
図6のとおり、令和2年度の管理的地位にある職員数に占める女性割合は、
9.2パーセントであり、平成28年度実績の6.0パーセントと比較して、約1.5
3倍となっているが、第4次男女共同参画基本計画における「2020年度まで
に、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度となるよう期待す
る」という政府全体の数値目標は達成できていない。
なお、管理的地位にある職員に占める女性割合については、改正前におけ
る取組計画において、具体的な数値目標を設定しておらず、次の各役職段階
にある職員に占める女性割合の向上に関する取組と統合して推進していく。
3 各役職段階にある職員に占める女性職員の割合
(1) 状況把握
平成28年度から令和2年度における本省係長相当職、地方機関課長・本省
課長補佐相当職、本省課室長相当職及び指定職の各役職段階にある職員に
占める女性職員の割合について、図7-1から図7-4までのとおり把握した。
なお、対象とする俸給表は、指定職俸給表、行政職俸給表(一)、公安職俸
給表(一)及び公安職俸給表(二)である。
総数 うち女性 女性割合
平成28年度 1,065 64 6.0%
平成29年度 1,066 81 7.6%
平成30年度 1,069 88 8.2%
令和元年度 1,091 89 8.2%
令和2年度 1,106 102 9.2%
- 34 -
図7-1(本省係長相当職の女性割合)
図7-2(地方機関課長・本省課長補佐相当職の女性割合)
平成28年7月1日現在 平成29年7月1日現在 平成30年7月1日現在 R1.7.1現在 令和2年7月1日現在
法務省等全体 19.6% 18.7% 18.7% 17.9% 22.1%0.0%5.0%
10.0%
15.0%
20.0%
25.0%
30.0%
平成28年7月1日現在 平成29年7月1日現在 平成30年7月1日現在 R1.7.1現在 令和2年7月1日現在
法務省等全体 9.0% 10.0% 10.7% 11.9% 12.2%0.0%2.0%4.0%6.0%8.0%10.0%
12.0%
14.0%
- 35 -
図7-3(本省課室長相当職の女性割合)
図7-4(指定職の女性割合)
(2) 分析
1 本省係長相当職
図7-1のとおり、本省係長相当職に占める女性割合は、平成28年度から
平成28年7月1日現在 平成29年7月1日現在 平成30年7月1日現在 R1.7.1現在 令和2年7月1日現在
法務省等全体 5.7% 5.3% 7.7% 6.8% 6.7%0.0%1.0%2.0%3.0%4.0%5.0%6.0%7.0%8.0%9.0%
平成28年7月1日現在 平成29年7月1日現在 平成30年7月1日現在 R1.7.1現在 令和2年7月1日現在
法務省等全体 6.0% 7.7% 8.3% 8.2% 9.3%0.0%1.0%2.0%3.0%4.0%5.0%6.0%7.0%8.0%9.0%
10.0%
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令和元年度までは微減しているが、令和2年度実績は22.1パーセントと増加
に転じているものの、改正前の取組計画における数値目標である「30パーセン
ト(令和2年度末)」を達成することができていない。
この要因は、そもそも女性職員の割合が低いこと、子の育児等の家庭事情
により本省係長への任用を希望しない職員がいること、本省業務に対する不安
感があること等により、目標を達成できていないものと考えられる。
2 地方機関課長・本省課長補佐相当職
図7-2のとおり、地方機関課長・本省課長補佐相当職に占める女性割合
は、令和2年度実績が12.2パーセントであり、平成28年度実績の9.0パー
セントと比較して、約1.36倍となっており、改正前の取組計画における数値目
標である「12パーセント(令和2年度末)」を達成することができた。
この要因は、女性職員に対するキャリアパス・キャリアプランの説明及び女
性幹部からの経験談の共有や育児時間等の制度を利用しやすい職場環境の
醸成等の取組により、目標を達成することができたものと考えられる。
3 本省課室長相当職及び指定職相当
図7-3のとおり、本省課室長相当職に占める女性割合は、令和2年度実績
が9.3パーセントであり、平成28年度実績の6.0パーセントと比較して、約1.
55倍となっており、改正前の取組計画における数値目標である「8パーセント
(令和2年度末)」を達成することができた。
また、図7-4のとおり、指定職相当に占める女性割合は、各年度ごとに若
干の増減はあるものの、平成30年度以降は7パーセント前後を維持しており、
改正前の取組計画における数値目標である「6パーセント(令和2年度末)」を
達成することができている。
この要因は、意欲と能力のある女性職員を積極的に登用したことで、目標を
達成することができた。
各役職段階に占める女性割合については、第5次計画において、令和7年度
末までの数値目標として、「係長相当職(本省)30パーセント」、「地方機関課長
・本省課長補佐相当職17パーセント」、「本省課室長相当職10パーセント」及
び「指定職相当8パーセント」と設定されている。また、第5次計画においては、
「係長相当職(本省)のうち新たに昇任した職員35パーセント」が新規目標とし
て追加されている。
そこで、この計画においては、これらの数値目標を本取組計画における数値
目標として設定し、引き続き、法務省全組織において、成績主義及び平等取扱
原則を前提として、意欲と能力のある女性の登用に積極的かつ計画的に取り
組んでいく必要がある。

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