様式第九(第4条関係)
新事業活動に関する規制について規定する法律及び法律に基づく命令の規定に係る照会書
令和6年2月9日
内閣総理大臣 岸 田 文 雄 殿
総 務 大 臣 松 本 剛 明 殿
法 務 大 臣 小 泉 龍 司 殿
財 務 大 臣 鈴 木 俊 一 殿
経済産業大臣 齊 藤 健 殿
東京都新宿区愛住町22 第3山田ビル10階
リーテックス株式会社
代表取締役 小 倉 隆 志
産業競争力強化法第7条第1項の規定に基づき、実施しようとする新事業活動及びこれに関連す
る事業活動に関する規制について規定する法律及び法律に基づく命令の規定の解釈並びに当該新事
業活動及びこれに関連する事業活動に対する当該規定の適用の有無について、確認を求めます。記1 新事業活動及びこれに関連する事業活動の目標
当社は、Legal+Technologies=Le-techs の名の通り、リーガルテックで社会と企業の持続性を
向上させるという理念のもと、2019 年 12 月、電子契約サービスとして、リーテックスデジタル
契約サービスを開始しました。
この度、
電子契約サービスの普及のため廉価で使いやすい新技術として、
PKI 方式を用いた
「公
開鍵」、「秘密鍵」システムでは「ない」方法を使用し、QR コードをインターフェイスとして活用
し、文書ごとに記録を保存することをもって、文書が真正に成立したことが証明できる電子署名
サービス、
ONE デジを開発しました。
紙の契約書しか受け付けない相手にも紙で印刷して渡すこ
とができ、また利用する電子契約サービスを増やしたくない相手が利用者登録せずに利用できる
サービス、ONE デジを普及させることで、日本のデジタル化を推進し、企業の業務効率性の向上
に資することを事業目的としております。
2 新事業活動及びこれに関連する事業活動により生産性の向上又は新たな需要の獲得が見込まれ
る理由
「新たな役務の開発又は提供」に該当すると考えます。
独立系 IT コンサルティング・調査会社である株式会社アイ・ティ・アール(代表取締役:三浦
元裕)がまとめた「ITR Market View:リーガルテック市場 2022」によると、電子契約サービス
市場の 2021 年度の売上金額は前年度比 56.1%増の 157 億 2000 万円、
同市場の 2021〜2026 年度
の年平均成長率
(CAGR)
が 23.6%で推移し、
2026 年度の市場規模は 453 億円に達すると予測し
ています。
(株式会社アイ・ティ・アール ホームページ https://www.itr.co.jp/company/press/221027pr.html)
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)の調査によると、2021 年の国内電子契約
サービス市場規模は、事業者売上高ベースで前年比 38.6%増の 140 億円と推計し、2025 年の国
内電子契約サービス市場規模は、事業者売上高ベースで 395 億円に達する見通しと分析していま
す。
(株式会社矢野経済研究所ホームページ https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3088)
2018 年に経済産業省から発表された『DX レポート』によれば、DX 化が進まず、複雑化・老
朽化
・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、
2025 年までに予想される IT 人材
の引退やサポート終了等によるリスクの高まり等に伴う経済損失は、2025 年以降、最大 12 兆円
/年(現在の約3倍)にのぼる可能性があると警鐘を鳴らしています。
当社が提供するONEデジが電子署名法上の「電子署名」の要件を満たすことにより、国及び
地方自治体の契約書への押印に代わりQRコードを貼り付けることが可能となります。また、Q
Rコードを使うことでプリントアウトが可能となり、電子署名に抵抗のある事業者の心理的ハー
ドルを下げることで、業務効率化の効果を図ることが可能です。
また、ブロックチェーン技術を用いることにより、従来の当事者型電子署名の課題であった、
迅速性、簡易性の課題を解消することも可能です。
さらに、国及び地方自治体の契約書のほか、官公庁が関係する書類、その他電子契約を求めら
れる書類に ONE デジが広がることで、DX 化の浸透、推進を図り、経済損失を防ぐ1ツールとし
て有用な役割を果たすことが可能です。
【ONE デジの需要獲得見込み】
2024 年※(注記)2
2025 年 2026 年
売上合計
※(注記)2 2024 年の数値は、ONE デジのリリース日を 2024 年3月1日と設定した場合で算出
3 新事業活動及びこれに関連する事業活動の内容
(1) 事業実施主体
サービス提供事業者:当社(リーテックス株式会社)
サービス利用者:当社電子契約サービス契約者及びその相手方
(国、
地方自治体及びその他)
(2) 事業概要
当社は「ONE デジ」という名称の電子契約サービスを事業者、個人向けに提供します。
ONE デジとは、契約書の作成、締結、管理までの契約業務の煩雑なプロセスを、ブロックチェ
ーンを用いた Web 上で完結させるワンストップ型の電子契約サービスです。
ONE デジは、
これまで電子契約サービスの利用に抵抗があったユーザーに対し、
紙媒体での
保存、確認ができるものとして提供、契約の相手方が電子契約サービスに登録しなくても使用
できるサービスを提供することで、電子契約サービスの普及、活用促進を目的としています。
ア ONE デジの特長
1 PKI 方式による「鍵」を使わないシステム
2 署名を付与したファイルの保存場所を記録しているので、電子署名からファイルにアク
セスすることができる。
(PDF に電子署名データを打ち込むのではなく、電子署名データ
を QR コード化し、文書に貼り付ける)
3 電子署名をグループ管理できる。
(特定の契約書、議事録など)
4 電子署名の順番を管理できる。
(電子署名をチェーンで管理)
5 電子署名を PDF に限定せず、Word、Excel などのアプリケーションにも付与可能。
※(注記)2、3、5特許登録済、4は特許申請中です。
イ ONE デジのフロー(画面イメージは別紙のとおり)
【事前準備】
1 署名依頼人※(注記)1
がリーテックス電子契約サービスを契約する。リーテックス電子契約締結
の際に署名依頼人のログイン ID、パスワードを登録する。
2 署名依頼人と署名人※(注記)2
の間で文書の作成及び合意形成を図る。
3 署名依頼人から ONE デジの使用説明及び署名人の本人確認※(注記)3。※(注記)1 署名依頼人の本人確認は、リーテックス電子契約サービスに加入時に、会社名、所
在地、代表者、電話番号、担当者(管理責任者)名、メールアドレス情報及び証明書類
の提出を通じて本人確認をします。
その後、本人に関し変更があった場合も同様の方法で本人確認をします。
※(注記)2 署名人はリーテックス電子契約サービスに加入していなくても利用可能です。
※(注記)3 署名人の本人確認は、署名依頼人において、署名人が ONE デジの真正な利用者で
あるかの確認を行うものです。
(ONE デジは、
あくまでも当事者間の契約締結過程の場を提供するものであって、
当事者
間の本人確認は、当事者が契約締結交渉過程の中で行います。当事者間であれば対面、オ
ンライン、
メールのやりとりを通じて、
本人確認を行うものと想定されます。
ONE デジは、
署名人が署名依頼人の責任において真正の利用者であることを確認したものとみなして、
対応します。
この点において、
ONE デジは立会人型と異なる当事者型と解釈している理由
です。)【ONE デジ利用】
1 署名依頼人がリーテックス電子契約システムにログイン、ONE デジにアクセスする。
アクセス時には、その都度、ワンタイムパスワードが提供される。
2 事前準備
(システム外)
で合意形成された文書を電子契約システムにアップロードする。
3 電子契約システムにアップロードされた文書ファイル(別紙契約書 Ver1.0)の情報が署
名台帳へ送られ、署名台帳から、ハッシュ値及び署名詳細情報(署名依頼人、署名内容、
署名日時等)の情報が QR コードとして電子契約システムに保存されている文書ファイル
(別紙契約書 Ver1.0)に貼り付けられた後、署名台帳管理システムに保管され、情報が登
録される。
このとき同時に署名依頼人が入力した署名人の情報
(メールアドレス、
会社名、
部署名、役職、署名人の名前)が署名台帳管理システムに登録される。
4 文書ファイルの文言及び内容をチェックした後、署名依頼人がシステム上の承認ボタン
を押す。
チェック時に修正の必要がある場合は、再度、システム外で合意した後、修正したデー
タをアップロードし、システム上の承認ボタンを押す。
5 4で署名した文書ファイル(別紙契約書 Ver1.1)に QR コードが貼り付けられる。
6 署名依頼人は、電子契約システムにログイン専用の URL を署名人に送るよう署名人情
報(メールアドレス)を提供、送付の指示をする
7 電子契約システムから、送付の指示を受けた署名人のメールアドレスに、ログイン情報
として、専用 URL が提供される。
8 7で提供された URL を使い、署名人がログインする。署名人は、ID、パスワードの設
定をしないで直接ログインする。
※(注記)署名依頼人が3の段階でメールアドレスを誤登録し、6で署名依頼人が誤登録したメ
ールアドレスを入力すれば、
当事者外の人物がログインできる可能性は否定できません。
この点が、ONE デジが立会人型ではなく、当事者型であると解釈する理由の1つです。
9 署名人は署名依頼人が署名した文書ファイル
(別紙契約書 Ver1.1)
をシステム上で確認。
10 署名人が文書ファイルの文言及び内容をチェックした後、システム上の承認ボタンを押
す。
11 署名人が承認ボタンを押したのち、文書ファイル(別紙契約書 Ver1.2)QR コードが貼
り付けられる。
(3) 新事業活動を実施する場所
当社本社(東京都新宿区愛住町22 第3山田ビル10階 リーテックス株式会社)
4 新事業活動及びこれに関連する事業活動の実施時期
2024年3月1日開始予定
ただし、本照会に対する回答が、2024年3月1日以降の場合は、回答あり次第、速やかに
行います。
5 解釈及び適用の有無の確認を求める規制について規定する法律及び法律に基づく命令の規定
〇電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)
第二条 この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の
知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報
処理の用に供されるものをいう。
以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措
置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。
二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。
(以下略)
〇会計法(昭和二十二年法律第三十五号)
第四十九条の二 この法律又はこの法律に基づく命令の規定により作成することとされている書
類等(書類、計算書その他文字、図形その他の人の知覚によつて認識することができる情報が
記載された紙その他の有体物をいう。次項及び次条において同じ。
)については、当該書類等に
記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認
識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供され
るものとして財務大臣が定めるものをいう。
同項及び同条第一項において同じ。)の作成をもつ
て、当該書類等の作成に代えることができる。この場合において、当該電磁的記録は、当該書
類等とみなす。
2 前項の規定により書類等が電磁的記録で作成されている場合の記名押印については、記名押
印に代えて氏名又は名称を明らかにする措置であつて財務大臣が定める措置をとらなければな
らない。
〇契約事務取扱規則(昭和三十七年大蔵省令第五十二号)
第二十八条 次の各号に掲げる書類等の作成については、次項に規定する方法による法第四十九
条の二第一項に規定する財務大臣が定める当該書類等に記載すべき事項を記録した電磁的記録
により作成することができる。
一 契約書
二 請書その他これに準ずる書面
三 検査調書
四 第二十三条第一項に規定する書面
五 見積書
2 前項各号に掲げる書類等の作成に代わる電磁的記録の作成は、各省各庁の使用に係る電子計
算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と契約の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回
線で接続した電子情報処理組織を使用して当該書類等に記載すべき事項を記録する方法により
作成するものとする。
3 第一項第一号の規定により契約書が電磁的記録で作成されている場合の記名押印に代わるも
のであつて法第四十九条の二第二項に規定する財務大臣が定める措置は、電子署名(電子署名
及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項の電子署名をいう。
)とす
る。
〇地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)
第二百三十四条 (略)
2〜4 (略)
5 普通地方公共団体が契約につき契約書又は契約内容を記録した電磁的記録を作成する場合に
おいては、当該普通地方公共団体の長又はその委任を受けた者が契約の相手方とともに、契約
書に記名押印し、又は契約内容を記録した電磁的記録に当該普通地方公共団体の長若しくはそ
の委任を受けた者及び契約の相手方の作成に係るものであることを示すために講ずる措置であ
つて、当該電磁的記録が改変されているかどうかを確認することができる等これらの者の作成
に係るものであることを確実に示すことができるものとして総務省令で定めるものを講じなけ
れば、当該契約は、確定しないものとする。
6 (略)
〇地方自治法施行規則(昭和二十二年内務省令第二十九号)
第十二条の四の二 地方自治法第二百三十四条第五項の総務省令で定めるものは、総務省関係法
令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則(平成十五年総務省令第
四十八号)第二条第二項第一号に規定する電子署名とする。
〇総務省関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則(平成十五
年総務省令第四十八号)
第二条 (略)
2 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 電子署名
イ 電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成十四年
法律第百五十三号)第二条第一項又は電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法
律第百二号)第二条第一項に規定する電子署名
ロ 政府認証基盤(行政機関の長その他の国家公務員の職を証明することその他政府が電子
情報処理組織を使用して手続を行い、
又は行わせるために運営するものをいう。)の官職証
明書に基づく電子署名
ハ 地方公共団体組織認証基盤(行政機関の長その他の地方公務員の職を証明することその
他地方公共団体が電子情報処理組織を使用して手続を行い、又は行わせるために運営する
ものをいう。
)の職責証明書に基づく電子署名
二 (略)
6 具体的な確認事項並びに規制について規定する法律及び法律に基づく命令の規定の解釈及び当
該規定の適用の有無についての見解
(1) 本照会において確認したい事項
1 当社の電子署名サービスである「ONEデジ」を用いて、Word、PDFなどのファイ
ル形式で作成された文書をアップロードし、契約当事者双方が契約締結業務を実施する仕組
みが、契約事務取扱規則第28条第2項に規定する方法による「電磁的記録の作成」に該当
し、契約書、請書その他これに準ずる書面、検査調書、見積書等の作成に代わる電磁的記録
の作成として、利用可能であること。
2 本照会により、従来の「鍵」方式を採用しない当社が提供する ONE デジによる署名が電
子署名及び認証業務に関する法律(以下「電子署名法」という。
)第2条第1項に定める電子
署名に該当し、これを引用する契約事務取扱規則第28条第3項に基づき、国の契約書につ
いて利用可能であること、及び、これを引用する地方自治法施行規則第12条の4の2に規
定する総務省関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則第
2条第2項第1号に基づき、地方公共団体の契約書についても利用可能であること
(2) 当社の見解
1について
契約事務取扱規則第28条第2項は 、
「前項各号に掲げる書類等の作成に代わる電磁的記録
の作成は、各省各庁の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。
)と契約の相手方
の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用して当該書類等
に記載すべき事項を記録する方法により作成するもの」としている。
ONE デジのシステムは、
送信者がパソコン、
タブレットなどの電子計算機から契約書や請書
など契約事務取扱規則第28条第1項に規定された文書に関する文書ファイルを電子契約シス
テムにアップロードし、送信者及び署名者双方がインターネットを介して、電子契約システム
にアクセスしたうえ、署名者が契約の署名作業を行うシステムとなっている。
したがって、文書ファイルを ONE デジのクラウドサーバー上の電子契約システムにアップ
ロードし、契約当事者双方がインターネットを介して、電子契約システムにアクセスして契約
締結業務を実施する仕組みは、同規則第28条第2項の規定する方法による「電磁的記録の作
成」に該当し、契約書、請書その他これに準ずる書面、検査調書、見積書等の作成に代わる電
磁的記録の作成として、利用可能なものと考える。
2について
ア 「電磁的記録に記録することができる情報に対する措置ができること」との要件について電子署名法第2条1項の「電子署名」の定義は、
「この法律において「電子署名」とは、
電磁的記録(中略)に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要
件のいずれにも該当するものという。
(以下略)
」となっており、署名、捺印ではなく、
『措
置』となっています。
この『措置』とは、一般的に言われる署名、捺印に限らず、他の方法であっても、電子署
名に該当するケースがあるものとして解しております。
電子署名法の「措置」は、立法時の資料、国会答弁、当時の識者が書いた著作物を検証
すると、立法当時の技術である「共通鍵」、「公開鍵」、「秘密鍵」のシステムを念頭に議論
がなされているものの、法文上は、今後、当時の技術を超えた新たな技術が生まれること
を想定し、技術的中立性を保つよう定義していると評価されております。
ONE デジは、契約内容が記録された文書ファイル(PDF に限らず Word、Excel なども
可能)
に対して、
署名依頼人、
署名人双方が、
QR コードを付す形で電子署名及びタイムス
タンプを付与するものであり、要件を満たすものと言えます。
イ 「措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのもの」との要件について
(ア) いわゆる当事者型に該当することについて
ONE デジは、署名依頼人(当社電子契約サービス加入者)が、自己の責任において相
手方の本人確認を行い、当社は本人確認が真正であることを前提に署名人にアクセス可
能な URL と認証キーを送り、アクセスを許可します。
当事者間で本人確認をした後、署名依頼人が電子署名を行い、その結果として非改変
性が担保された QR コードが貼り付けられ、その後、アクセスを許可された署名人が電
子署名を行い、その結果として非改変性が担保された QR コードが文書情報用紙に貼り
付けられます。
文書情報用紙には、文書名、文書 ID が頭に付され、その下に署名履歴(署名日時、会
社名、部署/役職、氏名、操作情報)が記載されます。ONE デジは、サービス提供事業
者の署名鍵を利用する等して電子署名を行うものではなく、利用者により当社のシステ
ムに登録された情報が QR コードの形で付されるものであるので、利用者自身により非
改変性が担保された QR コードが貼り付けられるという措置が行われていることになり
ます。このように、当社の認識としては、ONE デジは、いわゆる当事者型に該当すると
考えております。
そして、当該文書情報用紙に付された QR コードから文書にアクセスすることで、措
置を行った者が当該文書に署名したことがわかりますので、
「措置を行った者の作成に係
るものであることを示すためのもの」であると考えます。
(イ) 仮に立会人型であるとしても本要件を充足することについて
しかしながら、もし仮に貴庁、貴省において、当事者型の電子署名でないと判断され
た場合であっても、以下の理由から、総務省・法務省・経済産業省「利用者の指示に基
づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関する
Q&A」
(令和2年7月17日)
(以下「Q&A」という。
)の要件に合致していると評価で
きます。
・ 電子署名法第2条第1項第1号の「当該措置を行った者」に該当するためには、必ずしも物理
的に当該措置を自ら行うことが必要となるわけではなく、例えば、物理的にはAが当該措置を
行った場合であっても、Bの意思のみに基づき、Aの意思が介在することなく当該措置が行わ
れたものと認められる場合であれば、
「当該措置を行った者」はBであると評価することができ
るものと考えられる。
・ このため、利用者が作成した電子文書について、サービス提供事業者自身の署名鍵により暗号
化を行うこと等によって当該文書の成立の真正性及びその後の非改変性を担保しようとするサ
ービスであっても、技術的・機能的に見て、サービス提供事業者の意思が介在する余地がなく、
利用者の意思のみに基づいて機械的に暗号化されたものであることが担保されていると認めら
れる場合であれば、
「当該措置を行った者」はサービス提供事業者ではなく、その利用者である
と評価し得るものと考えられる。
・ そして、上記サービスにおいて、例えば、サービス提供事業者に対して電子文書の送信を行っ
た利用者やその日時等の情報を付随情報として確認することができるものになっているなど、
当該電子文書に付された当該情報を含めての全体を1つの措置と捉え直すことよって、電子文
書について行われた当該措置が利用者の意思に基づいていることが明らかになる場合には,こ
れらを全体として1つの措置と捉え直すことにより、
「当該措置を行った者(=当該利用者)の
作成に係るものであることを示すためのものであること」という要件(電子署名法第2条第1
項第1号)を満たすことになるものと考えられる。
Q&A は、次の要件を満たせば、いわゆる立会人型の電子署名サービスも、電子署名法第
2条第1項第1号の「当該措置を行った者」に該当するとしています。
Q&A について、
1つずつ検証すると、
1番目の要件については、
当社が QR コードを付
しますが、当社は当事者が署名した情報を署名台帳管理システムに記録・保存し、当該情
報と文書を紐づけるだけであり、当社の意思が介在することなく、当該措置が行われてい
ると言えます。
2番目の要件については、
「鍵」
を使わず当該文書の成立の真正性及びその後の非改変性
を担保しようとするサービスであり、当社の技術は、署名人の署名に基づき、機械的に暗
号化されるものであり、その点においては、過去に要件該当性を認められたサービスと同
じです(詳細は後述の「改変が検知できるもの」との要件で説明します。)。
3番目の要件に関しては、まさに利用者、日時などの情報を付随情報として確認できる
ものであり、全体を1つの措置と捉え直せば、電子文書について行われた当該措置が利用
者の意思に基づいていることが明らかになる場合に該当するものと言えます。
以上から、ONE デジは、仮に立会人型と評価されたとしても、Q&A の要件を満たして
いることから、
「措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのもの」
と言えま
す。
ウ 「改変が行われていないかどうかを確認することができるもの」との要件について
ONE デジの電子署名コードは、
ブロックごとに各措置段階において措置を行った者の情
報がわかるよう、電子署名法施行規則第6条第5項が定める事項を細分化し、また必要な
事項を加え、より詳細な情報を記録しています。
【電子署名法施行規則第6条第5項が定める事項と ONE デジの比較】
また、署名台帳管理システムには、電子契約システム上の情報が記録されます。
その記録は、業務が完了するまでの間の作業1つずつに記録が付されます。
上記のイメージ図を説明すると、以下のような流れになります。
1のユーザーが契約書類を電子契約システムにアップロードします。
2のユーザー(1のユーザーの上司)がアップロードされた契約書類をチェックし、合
意します。
3のユーザー(最終決裁権者)が合意します。
次に、
相手方の契約担当者である4のユーザーが、
契約書類をチェックし、
修正します。
※(注記)修正することに関しての連絡、協議はシステム外において当事者間で適宜の方法を用
いて行います。
修正協議の後、5のユーザーが修正後の契約書類をチェックし、合意します。
6のユーザー(相手方の最終決裁権者)が合意し、契約業務が終了します。
これらの情報が QR コードとして1から6のそれぞれの段階に対応するように付されま
す。
(イメージは別紙のとおり)
このように業務フローの各段階で電子署名情報がハッシュ関数SHA256 等の方式で付さ
れます。
ONE デジでは、
ユーザーが作成した電磁的記録が、
電子契約システムにアップロードさ
れ時点で、ハッシュ値が付され、その情報が台帳管理システムにも記録されます。
次に、アップロードされた電磁的記録に対し、署名がなされる時点で、署名前後のハッ
シュ値及び署名詳細情報が台帳管理システムに記録されます。
電子契約システム内に保存されている電磁的記録のハッシュ値と台帳に記録されたハッ
シュ値を検証し、一致しているかどうかで改変が行われてないことの確認が可能です。
7 その他
特になし
別紙 照会書3(2)イに記載の ONE デジの業務フローのイメージ
1 リーテックス建設株式会社の担当者小林久美子がリーテックスデジタル契約にログインし、
ONE デジ上に合意文書
(契約書 Ver1.0)
をアップし、
代表取締役社長鈴木一之助に署名を求めた
段階
ONE デジ上に合意文書
(契約書 Ver1.0)
をアップし、
代表取締役社長鈴木一之助に署名を求め
た段階で署名管理台帳に保存された署名記録データが QR コードとして付されているもの
契約書とは別のシートに署名履歴情報と QR コードが付される
この QR コードからは契約書 Ver1.0 へのアクセスが可能
2 契約書 Ver1.0 に対し、リーテックス建設株式会社の代表取締役社長鈴木一之助が承認し、署名
を行った文書(契約書 Ver1.1)に対して、署名人松芝電機株式会社の松平芝之助に署名を求めた
段階
ONE デジ上に契約書 Ver1.1 をアップし、署名人松芝電機株式会社の松平芝之助に署名を求め
た段階で署名管理台帳に保存された署名記録データが QR コードとして付されているもの
契約書 Ver1.1 とは別のシートに署名履歴情報と QR コードが付される
この QR コードからは契約書 Ver1.0 及び契約書 Ver1.1 へのアクセスが可能。
紙媒体で契約書を持っているときは、どちらのバージョンか QR コードでチェック可能
3 契約書 Ver1.1 に対し、署名人松芝電機株式会社の松平芝之助が承認し、署名を行い、署名が完
了した合意文書(契約書 Ver1.2)の署名記録画面
ONE デジ上に契約書 Ver1.2 をアップし、署名人松芝電機株式会社の松平芝之助が署名した結
果が署名管理台帳に保存された署名記録データとして QR コードとして付されているもの
契約書 Ver1.2 とは別のシートにこれまでの署名履歴情報と QR コードが付される
この QR コードからは契約書 Ver1.0(作成者:小林久美子)
、契約書 Ver1.1(署名者:鈴木一
之助、契約書 Ver1.2(署名者:松平芝之助)いずれのデータへのアクセスが可能。
紙媒体で契約書を持っているときは、どのバージョンか QR コードでチェック可能
システム上の署名履歴を拡大したもの