2023Vol83《本号の注目記事》
●くろまる 「安全安心なまちづくり関係功労者表彰」表彰式を行いました。
●くろまる 「ライフ・イン・ハーモニー推進月間」スタート!
●くろまる 記者が行く!〜「法の日フェスタ in 赤れんが」の舞台裏〜
もくじ あかれんが 第 83号
《特 集 記 事 》
「安 全 安 心 なまちづくり関 係 功 労 者 表 彰 」表 彰 式 を行 いました。
「ライフ・イン・ハーモニー推 進 月 間 」スタート!
保 護 司 国 際 研 修 を開 催 しました。
9名 の大 学 生 ・大 学 院 生 がインターンシッププロ グラムに参 加 しま した!01061012《常 設 記 事 》
お答 えします〜「公 安 調 査 庁 」について〜
記 者 が行 く!〜「法 の日 フェスタ in 赤 れんが」の舞 台 裏 〜1415
《連 載 記 事 》192022そんなときこそ 法 テ ラスがお役 に 立 ち ま す! Vol.62〜法 テラスの
DV 等 被 害 者 法 律 相 談 援 助 を知 っていますか?〜
法 制 度 整 備 支 援 の現 場 から
法 務 省 で働 くひと・しごと紹 介 Vol.19〜遺 言 書 保 管 官 〜
《情 報 告 知 記 事 》
24 霊 感 商 法 等 でお悩 みの方 のためのワンストップ相 談 会1あかれんが 2023年 第83号 《特集記事》
「安全安心なまちづくり関係功労者表彰」表彰式を行いました。
令和5年10月12日(木)
、首相官邸において、令和5年「安全安心なまちづくり関係
功労者表彰」表彰式(以下「本表彰式」とします。
)が開催されました。本稿では、本表彰
式の概要や、本表彰式当日の様子などについて、お知らせいたします!
犯罪に強い社会の実現のため、
安全安心なまちづくりの推進に関し、
顕著な功績又は功労
のあった個人又は団体に対して、内閣総理大臣が表彰を行うものです。毎年、
「安全安心な
まちづくりの日」
(10月11日)の前後の日に、本表彰式を実施しています。
本表彰は、平成17年に「地域社会における防犯活動」を実施している個人又は団体を対
象として開始されたものですが、平成30年からは、法務省が推進する「再犯の防止等に関
する活動」についても、表彰対象として加えられました。
このうち、
「再犯の防止等に関する活動」について、本年は、下記の8つの個人・団体が
表彰されました。
■しかく 「再犯の防止等に関する活動」における受賞者の皆さま(一覧)
受賞者名・団体名 功績概要
大野正博 様 令和元年度から、
岐阜県の再犯防止推進計画策定委員長
や岐阜県再犯防止推進協議会委員長を務めるなど、
県の
再犯防止施策を大きく推進。
岐阜県BBS会連盟のアド
バイザーとして県内のBBS会を指導するとともに、自身が教授を務める朝日大学の学域BBS会をコーディ
ネートし、
児童自立支援施設でのイベントの企画・運営
や、
民間企業と連携したこども食堂の開設など、
県内の
少年の健全育成に貢献。平成24年から保護司として、
平成25年から篤志面接委員としても活動し、
犯罪をし
た者等の立ち直りに向けて尽力。
関口充 様 平成元年4月、
少年補導員の委嘱を受け、
以来34年の
長きにわたり、
「渋谷」という全国有数の繁華街におい
て街頭補導活動を継続し、
不良行為をした少年等を指導
するなど、
少年の非行防止や健全育成活動に従事。
少年
指導委員も併嘱しており、
少年の健全な育成に障害を及
「安全安心なまちづくり関係功労者表彰」とはなんですか?2あかれんが 2023年 第83号 《特集記事》
ぼす風俗営業所に立ち入り、
店舗責任者等に指導助言を
実施。警察署防犯協会、東京都安全・安心まちづくり協
議会、
渋谷区環境美化推進委員等に所属し、
警察等との
連携や自主防犯活動を展開。
香川大学さぬき再犯防止プロ
ジェクト PROS(Preventing
Re-Offence Sanuki) 様
令和2年に、
再犯防止のための活動や勉強会をすること
を目的として発足した香川大学の学生団体。
学生が高齢又は障害のある元受刑者と交流し、
これまで
の人生や日常生活について語ってもらう
「茶話会」
を開
催。
「依存と再犯防止」をテーマに、薬物使用者の抱え
る生きづらさに着目し、
誰もが住みやすい社会を考える
シンポジウムを開催したほか、
刑務所や少年院を題材と
した映画の上映会や監督とのトークセッション、
大学祭
で刑務作業品の展示会を開催するなど、
再犯防止の周知
啓発にも積極的に取り組む。
社会福祉法人白鳩会 様 昭和47年の設立以降、多くの障害者を受け入れてお
り、
障害者が農業分野での活躍を通じ、
自信や生きがい
を持って社会参画を実現していく取組である農福連携
事業のパイオニア。
矯正施設や保護観察所と連携し、家族と疎遠で帰住先のない少年院出院者や、
障害等が要因
となり帰住先が見つかりにくい刑務所出所者等を迎え
入れ、
住み込みでの就農の機会を与えるなど、
刑務所出
所者等の支援に尽力。
令和5年4月1日時点で障害のあ
る刑務所出所者等を27名雇用するなど、
農福連携事業
者の中でも刑務所出所者等の雇用の点で顕著な実績を
有する。
社会福祉法人聖隷福祉事業団
浜松市生活自立相談支援セン
ターつながり 様
平成27年以降、
浜松市から生活困窮者自立支援事業を
受託。
知的障害のある被疑者や高齢の被疑者等で福祉サ
ービスを必要とする者について、
釈放時に福祉サービス
等への橋渡しなどを行う「入口支援」の対象者として、
検察庁からの依頼を受け、
生活困窮者自立支援事業の一
環として支援を実施。
検察庁から依頼があれば、
同事業
の対象とならない者であっても、
生活相談に積極的に応
じているほか、
支援機関まで付き添う同伴支援も行うな
ど、
検察庁における入口支援において欠くことのできな
い相談・支援機関となっており、
入口支援対象者の社会
復帰に大きく貢献。3あかれんが 2023年 第83号 《特集記事》
鳥取地区 BBS 会 様 昭和35年、
兄や姉の立場から非行少年を支援すること
を目的に設立。
鳥取法務少年支援センターと連携した学
習支援活動、
公民館で長期休み中の児童に対する学習サ
ポート等、
地域のこどもの学習能力向上に貢献。
コロナ
禍では、生活に困窮した学生のため、食材や日用品、マ
スク等の生活必需品を募り、
大学や日本語学校で配布す
るなど、
学生支援にも尽力。
外国出身の会員が多数入会
していることを強みとし、
「ボランティアに国境なし」
の考えのもと、
児童養護施設や小学校にて平和教育を行
い、
児童生徒が命の大切さ、
多様な価値観を尊重する大
切さを学ぶ場を提供。
認定特定非営利活動法人育て
上げネット 様
平成16年に、
社会的自立が困難な青少年を対象に、個性に応じた就労と社会的自立の機会を獲得することを
目的に発足。
非行少年への支援にも尽力しており、
多摩
少年院などの少年院において、学習支援、IT講習、キ
ャリア講習などを実施。
少年院出院後も、
少年からの生
活相談に応じ、
就労支援や生活に困窮している少年に対
して食料や生活用品等の給付を行うなど、
少年院在院中
から出院後まで一貫して支援を行う"息の長い支援"
を実施しており、非行少年の社会復帰に大きく貢献。
福祉社会復帰支援ネットワー
ク協議会 様
平成29年に、
関係機関・団体が連携してネットワーク
を構築することで、
満期釈放者等の社会復帰を円滑に進
めることを目的に設立。保護司会、福井県、福井市、社
会福祉協議会、
ハローワーク等を構成団体とし、
再犯防
止に関する各種協議や個別ケースのケア会議等を開催
するほか、
本協議会事務局主導の下、
満期釈放者等に対
し、
直接、
就労等の相談・支援を実施。
地域の支援機関・
団体を構成員とする協議会を設け、
その事務局が支援機
関・団体間の調整を行うだけでなく、
事務局自らも当事
者の支援に関与するという独自のアプローチにより、満期釈放者等の円滑な社会復帰に貢献。
本表彰式に先立ち、
「再犯の防止等に関する活動」による受賞者の方々による、小泉法務
大臣への表敬訪問が行われました。
小泉法務大臣からは、
受賞者の皆様に日頃の活動に対す
法務大臣表敬の様子4あかれんが 2023年 第83号 《特集記事》
る感謝の辞が述べられました。
また、表敬訪問の後には、小泉法務大臣と受賞者との懇談の場が設けられ、受賞者から、
日頃の活動内容の紹介や活動にあたって思いなどが伝えられました。
本表彰式は、首相官邸大ホールにおいて実施され、
「再犯の防止等に関する活動」による受
賞者を代表して、大野正博様が岸田内閣総理大臣から表彰状を受領しました。また、全受賞
者を代表して、香川大学さぬき再犯防止プロジェクト PROS(Preventing Re-Offence
Sanuki)西田侑莉様が謝辞を述べられました。
受賞者と小泉法務大臣(中央)
懇談の様子
本表敬式当日の様子5あかれんが 2023年 第83号 《特集記事》
法務省では、新たな被害者を生まない、安全で安心して暮らせる社会の実現に向けて、再
犯防止に関する取組を進めてまいります。
今後とも、犯罪や非行をした人たちの立ち直りに御理解と御協力をお願いいたします。
本表彰式における過去の受賞者やその実績については、
以下の QR コードから確認いただ
けます!
「安心安全なまちづくり関係功労者表彰」ページ
(法務省ホームページ)
大野正博様による代表受領の様子
西田侑莉様による代表謝辞の様子
終わりに6あかれんが 2023年 第83号 《特集記事》
「ライフ・イン・ハーモニー推進月間」スタート!
外国人との共生社会の実現に向けて、
我が国で生活する全ての人が、
共に社会をつくって
いくことの必要性や意義についての関心と理解を深めることが重要です。
法務省は、
外国人
との共生に係る啓発月間として、毎年1月を「ライフ・イン・ハーモニー推進月間」
(英語
名:LIFE IN HARMONY PROMOTION MONTH)と定めました。
令和 6 年 1 月は、記念すべき第1回の「ライフ・イン・ハーモニー推進月間」です!
期間中は、同月間の中央イベントである「オール・トゥギャザー・フェスティバル」を開
催するなど、様々な広報・啓発活動を重点的に実施し、共生社会の実現に向けた意識醸成を
推進していきます。
「オール・トゥギャザー・フェスティバル」
(英語名:ALL TOGETHER FESTIVAL)
は、
「ライフ・イン・ハーモニー推進月間」に基づく啓発活動をより一層盛り上げるととも
に、多くの方々に外国人との共生社会について知っていただくために開催するものです。
こちらも今回が初開催。令和6年1月21日(日)
、東京国際交流館プラザ平成@東京都
江東区を会場に、記念すべき第1回の「オール・トゥギャザー・フェスティバル」を開催し
ます。
"楽しむ!学べる!世界の文化と共生社会"
をテーマにし、
日本人か外国人かに関わらず、
楽しみながら他国の文化や習慣に触れたり、
外国人との共生社会について考える展示、
ワー
クショップ、ステージが盛りだくさんです。
オール・トゥギャザー・フェスティバルの楽しみ方はとてもシンプル!他国の文化を見て、
聞いて、
触れて、
それらの体験を通して外国人との共生社会について身近に感じてください。
特設ページはこちら
(オール・トゥギャザー・フェスティバル2024)
ライフ・イン・ハーモニー推進月間とは?
オール・トゥギャザー・フェスティバルとは?7あかれんが 2023年 第83号 《特集記事》8あかれんが 2023年 第83号 《特集記事》
皆さんは、どれくらいの数の外国人が日本に住んでいるかご存知ですか?
なんと、
およそ322万人の外国人が日本で生活しているんです
(令和5年6月末時点)。年々、日本に住む外国人が増え、出身国・地域の多様化も進んでいます。
これからの社会では、
そこに住む全ての人々がお互いの国籍や文化などの違いを超え、それぞれが持つ多様性を理解・尊重して共生していくことが不可欠です。
しかし、
外国人や外国にルーツのある方に接する機会が無いため、
「外国人との共生社会」
と言われても、どういうものかよく分からないという方も多くいらっしゃると思います。
日本人と外国人が互いを尊重し、
安全・安心に暮らせる共生社会を実現していくためには、
国民及び在留外国人の一人ひとりが、共生社会の意義等について関心と理解を深めていく
必要があります。
そこで、
皆さんに、
日本が目指している外国人との共生社会の三つのビジョンについて知
っていただくなど、共生社会に関する意識醸成・理解促進のため、令和6年から、毎年1月
(1月1日〜1月31日)を「ライフ・イン・ハーモニー推進月間」とし、期間中は関係省
庁、地方公共団体、関係機関・団体等と連携して、外国人との共生社会の実現に向けた様々
な広報・啓発活動を重点的に実施していくこととしました。
「ライフ・イン・ハーモニー」とは、国籍や文化などが異なる人々が、調和して共生して
いくことを目指していくという思いを込めた名称であり、そのような共生社会の実現に向
けた取組を全国的に展開していくこととしています。
令和4年 6 月、日本が目指す外国人との共生社会のビジョン、それを実現するために解
決しなければならない課題、
そのための具体的な取組を示す
「外国人との共生社会の実現に
向けたロードマップ」を決定しました。
このロードマップでは、
日本が目指す外国人との共生社会について、
三つのビジョンが示
されています(下図参照)。これらの共生社会を、みんなで目指していきましょう!
どうしてライフ・イン・ハーモニー推進月間ができたの?
外国人との共生社会の三つのビジョンとは?9あかれんが 2023年 第83号 《特集記事》10あかれんが 2023年 第83号 《特集記事》
保護司国際研修を開催しました。
「国連アジア極東犯罪防止研修所(UNAFEI、アジ研)
」は、昭和37年に国連と日
本政府の協定に基づいて設立された機関で、
法務省法務総合研究所が運営しています。
アジ
研では、
主な業務として、
世界の刑事司法の実務家を対象とした国際研修やセミナーを実施
していますが、一部の国際研修内において保護司国際研修というものを実施しています。
本研修は、日本の保護司に諸外国における犯罪者処遇の状況などについて知っていただ
くとともに、海外から参加している研修参加者には、保護司との対話等を通じて、日本の保
護司制度や保護司の活動等について理解を深めていただくことを目的としており、昭和6
0年に本研修を開始して以降、オブザーバー参加も含めこれまで698人の保護司が参加
しています。
新型コロナウイルスの世界的流行の影響を受け、アジ研での国際研修は令和5年5月ま
でのおよそ3年間にわたって実施できず、その間はオンラインやJICA東京での研修を
行っておりました。
保護司国際研修もその間、
同様にオンラインやJICA東京で行ってお
りましたが、今年度の研修からようやくアジ研での対面実施を再開しました。
今年度は、第182回国際研修期間中の9月19日・20日の2日間行い、オブザーバー
参加も含め7人の保護司が参加しました。
1日目は、客員専門家である
サブン・オー氏
(NGOプリズン
フェローシップカンボジア代表)による講義
「カンボジアにお
ける官民連携による刑務所出所
者の社会復帰支援について」を
聴講しました。
客員専門家の講義を聴講する保護司の方々
保護司国際研修とは?
アジ研での保護司国際研修の再開
今年度の保護司国際研修について11あかれんが 2023年 第83号 《特集記事》
2日目は、グループに分かれ、保護司からは実際に担当した保護観察事件の事例や、
「社
会を明るくする運動」
などの保護司活動を紹介し、
海外研修参加者からの質問やコメントな
どに答える形で意見交換を行いました。
保護司活動紹介・意見交換の様子
地域ボランティアとして犯罪や非行をした人たちの立ち直りを支える活動や、地域での
犯罪予防活動に日々熱心に取り組んでいる保護司の活動には、多くの海外研修参加者から
高い関心と称賛のコメントが寄せられ、活発な意見交換となりました。
また、
参加した保護司からは、
普段の保護司活動では触れることのない海外の犯罪者処遇
に関する実情や、保護司活動に対して海外研修参加者から様々な質問やコメントをいただ
くことで、自身の保護司活動への新たな気付きを得る機会ともなったとの声も聞くことが
できました。
今後とも、より実りのある研修となるよう、努めていきたいと思います。
集合写真12あかれんが 2023年 第83号 《特集記事》
9名の大学生・大学院生がインターンシッププログラムに
参加しました!
法務総合研究所国際協力部は、独立行政法人国際協力機構(JICA)等の関係機関と協
力・連携しながら、アジア諸国に対して、法令の起草支援や司法関係者の人材育成等の法制
度整備支援を行っています。当部では、法制度整備支援に関心を持っている大学生・大学院
生を対象にインターンシッププログラムを提供しており、今年も9月4日から同月8日ま
での5日間、合計9名の大学生・大学院生を受け入れ、法制度整備支援に関する業務などを
体験していただきました。様々なバックグランドをお持ちの熱意あふれる学生の皆さんを
お迎えし、私たち職員も大変刺激を受けました。
本プログラムでは、国際協力部がある東京都昭島市の国際法務総合センターだけではな
く、霞が関の法務省本省や東京都渋谷区のJICA東京センターなど様々な場所で講義や
実習を行いました。法制度整備支援の最前線でJICAプロジェクトに携わっている現役
長期派遣専門家へのインタビューや当部教官が担当するラオス国立司法研修所とのオンラ
インセミナーの傍聴、
長期派遣専門家経験者等との意見交換などを通じて、
様々な角度から
法制度整備支援に関する理解を深めていただきました。
また、
インドネシアの本邦研修にも一部参加していただき、
法制度整備支援の対象国に対
し、日本での研修という方法を用いてどのような支援を行っているのかを実際に見ていた
だきました。インドネシアでは、現在、JICAプロジェクト(
「ビジネス環境改善のため
のドラフターの能力向上及び紛争解決機能強化プロジェクト」
)が進行しており、上記本邦
研修はその一環として行ったものです。
学生の皆さんには、
インドネシアから来た研修員と
一緒に講義を受けたり、
プロジェクトに関する資料を読んだりしていただき、
同国の問題を
どのように解決したらよいかについてグループで検討していただきました。学生の皆さん
は、限られた時間にもかかわらず、それぞれに独自の視点をもって深く検討されており、そ
の能力の高さや真摯な姿勢に大変驚かされました。
また、
休憩時間を利用して積極的に研修
員と英語で交流し、
最後には研修員からおみやげをもらうほど仲良くなっており、
高いコミ
ュニケーション能力を存分に発揮していました。
インターンシップ終了後、参加していただいた学生の皆さんからは、
「日本の法整備支援
の特徴である『寄り添い型支援』の意義について理解を深めることができた。」「法整備支援
の苦労ややりがいを知ることができたことは非常に貴重な経験となった。
」などの感想が寄13あかれんが 2023年 第83号 《特集記事》
せられました。
短い期間ではありましたが、
少しでも法制度整備支援に関する理解を深めて
いただけたのであれば、とても嬉しく思います。これからも、このような人材育成活動を継
続的に実施し、法制度整備支援の裾野を広げていきたいと思います。
長期派遣専門家へのインタビュー
グループワークの様子
インドネシアの研修員との交流14あかれんが 2023年 第83号 《常設記事》
お答えします
〜「公安調査庁」について〜
Q1 公安調査庁はどんな業務を担っているの?
公安調査庁は、名前のとおり、
「公」共の「安」全を確保することを目的に「調査」を行
う国の機関です。
主な業務は、
暴力で政治的目的を達成しようとする団体等への規制業務と、
調査の過程で収集・分析した情報を関係機関に提供する情報貢献業務に大別されます。
これ
らの業務には、情報収集・分析のスペシャリストである公安調査官が従事しています。
Q2 団体規制とは?
世の中には、暴力で政治的目的を達成しようとする団体や過去に無差別大量殺人を行っ
た団体が存在します。公安調査庁は、これらの団体に対する調査を実施し、団体の活動制限
や解散指定などの処分請求を行うことを任務としています。
現在、
いわゆるオウム真理教が
観察処分に付されており、
公安調査官が団体の施設に立ち入り、
必要な検査等を行っていま
す。
Q3 情報貢献とは?
複雑に変化する内外情勢の中、
公安調査庁は、
我が国の情報関係機関によって構成される
情報コミュニティーのコアメンバーとして、調査の過程で収集・分析した情報を、日々、政
府関係機関に提供することで各種施策に貢献しています。15あかれんが 2023年 第83号 《常設記事》
記者が行く!
〜「法の日フェスタ in 赤れんが」の舞台裏〜
記 者
皆さま、こんにちは!
今回は、10 月7日(土)に開催された「法の日フェスタ in 赤れんが」を担当し
ている秘書課広報室の室長に、インタビューしてきました。
記 者
早速聞きたいんですが、そもそも、
「法の日」ってどんな日なんですか?
広 報 室 長
「法の日」は、国民主権のもとに、国を挙げて法を尊重し、法によって個人の基本的権
利を擁護し、法によって社会秩序を確立する精神を高めるために設けられた記念日です。
昭和35年に、毎年10月1日を「法の日」とすることで閣議了解されています。
イベント当日の写真16あかれんが 2023年 第83号 《常設記事》
また、
「法の日」から1週間は「法の日週間」とされており、最高裁判所、法務省・最高
検察庁、日本弁護士連合会では、
「法の日週間」にあわせて、法の役割や重要性を考えてい
ただくとともに、法を身近に感じていただくための様々なイベントを開催しています。
記 者
なるほど。そのイベントの一つが、
「法の日フェスタ in 赤れんが」という訳ですね?
広 報 室 長
そうなんです。
法務省(本省)では、例年、この「法の日週間」に「法の日フェスタ in 赤れんが」と
題したイベントを行っています。法務省の各部局が趣向を凝らして、様々なプログラムを
用意しています。本年は、10月7日(土)に行いましたが、ご来場の皆様に裁判員役で
参加いただく「模擬裁判」
、国の重要文化財(外観のみ)である赤れんが棟内にある法務史
料展示室の休日公開、
「法の日」にちなんだ「落語会」など、様々なプログラムを行いまし
た。詳しくは、法務省のホームページをご覧ください。
「法の日フェスタ in 赤れんが」の様子について詳しくは
こちら(法務省ホームページ)
記 者
今回の「法の日フェスタ in 赤れん
が」は4年ぶりに人数制限なしで本格開催し
たんですよね。
広 報 室 長
そうなんです。新型コロナウイルス感染症
の感染拡大にともない、この3年間はオンラ
インでの開催や人数を制限しての開催などを
行ってきましたが、今年度は令和元年度以来
となる、どなたでも自由に参加できるオープ
ンイベントとして実施しました。広報室の担当者は、かなり力を入れて準備をしていまし
たよ。
9月29日(金)の定例記者会見では、小泉龍司
法務大臣から、「様々な工夫を積み重ねている
このフェスタに、ぜひ大勢の皆さまにご参加いた
だきたい」と呼びかけていただきました。17あかれんが 2023年 第83号 《常設記事》
記 者
4年ぶりの本格実施にあたり、エピソードがあれば教えてください。
広 報 室 長
4年ぶりの開催となると、まず、担当している広報室のメンバーも各局部課の広報担当
者の多くも入れ替わっているので、このイベントの経験者の少ない中での企画・準備とな
り、色々苦労がありました。
また、一般の皆さまの間でも、このイベントを知ってくださっている方が少なくなって
いるのではないかという懸念があり、広報室としては、イベントをより多くの人に知って
いただき足を運んでいただくために、事前広報に力を入れました。
ポスター・ちらしの作成や公式ホームページや公式 X(旧 Twitter)での呼び掛けは当
然として、各種イベント情報サイトへの掲載のほか首都圏の多くの駅、大学、自治体や関
係団体の皆さま等にご協力をいただき、ポスターの掲出やフライヤーの配布を行うことが
でき、多くの方に本イベントを知っていただくことができたと思います。
その甲斐あってか、本年は約740人もの方にご来場いただくことができました。
掲出にご協力いただいたポスター・ちらし18あかれんが 2023年 第83号 《常設記事》
予想以上の来場者数となり、来場者にお配りする会場マップが不足し、当日のイベント
中に急きょ追加印刷するというハプニングもありましたが、それだけ多くの方に来ていた
だけたのは本当に嬉しい誤算でした。
記 者
なるほど。がんばって広報した甲斐がありましたね。
広 報 室 長
はい。当日、小中学生を含め幅広い年齢層の皆さまが、楽しみながらも大変熱心に各プ
ログラムに参加されているのを拝見し、ご来場いただいた皆さまに感謝の気持ちでいっぱ
いになりました。
やはり国民の皆さまの法務行政に対するご関心やご期待が大きいことを実感し、身の引
き締まる思いでした。
記 者
それでは最後に、来年度の「法の日フェスタ in 赤れんが」への意気込みをお願い
します。
広 報 室 長
「法の日フェスタ in 赤れんが」への参加を通して、より多くの皆さまに法の役割
や重要性を考えていただくきっかけとしていただければありがたいです。
来年度も今回以上に充実した企画を準備し、盛り上げていきたいと思っておりますの
で、ぜひ楽しみにしていただければと思います!
■しかく法テラスって?
私たち法テラス(日本司法支援センター)は、国によって設立された法的トラブル解決のため
の「総合案内所」です。
法テラスでは、法的トラブルを抱えた方に、解決に役立
つ法制度や相談窓口を紹介する情報提供や、経済的
に余裕のない方を対象とした無料の法律相談などを行っ
ています。
■しかく法テラスについて知りたい
●くろまる法テラス公式X(旧Twitter) ●くろまる広報誌「ほうてらす」 ●くろまる法テラス公式YouTubeチャンネル
法テラス公式X(旧Twitter)では、
制度情報・イベント情報・法律豆知識
など役立つ情報を配信しています!
フォロワー随時募集中♪
「法テラス公式X(旧Twitter)」
【第57号】
特集:「変わる!成年後見制度」
表紙・インタビュー
:平野レミさん
広報誌には、法的トラブル解決に
役立つ情報が満載です♪
ホームページからも読むことができます。
広報誌「ほうてらす」
Vol.62 法テラスのDV等被害者法律相談援助を知っていますか?
『DV等被害者法律相談援助』とは、DV・ストーカー・児童虐待の被害を受けている方や、現に被害を受けている疑いがあると
認められる方が弁護士と相談できる制度です。
■しかく DV等被害者法律相談援助ってどんな制度?
どんな相談ができるの?
費用はかかるの?
相談方法は?
• 例えば、DV被害の場合、保護命令、被害
届の提出、離婚のほか、民事・刑事を問わず、
再被害の防止に必要な相談であれば幅広く
利用可能です。
• 面談での相談のほか、電話やオンラインによる
相談も可能な場合があります。
• 相談者が自由に使うことのできる現金・預貯
金の合計額が300万円以下の方は無料で
相談できます。(※(注記)治療費など一定の費用
は現金・預貯金の合計額から差し引くことが
できます。)
• 300万円を超える場合は、相談料5,500円
(税込)をご負担いただきます。
『DV等被害者法律相談援助』を利用した
い、もっと詳しく知りたいという方は、公式ホー
ムページをご覧いただく、もしくは犯罪被害者
支援ダイヤルまでお電話ください。
法テラス・犯罪被害者支援ダイヤル
「3分で解説!法テラスの使い方」など、法テラス
の業務内容や利用方法に関する動画をアップし
ています。ぜひご覧ください!
「法テラス公式YouTubeチャンネル」20あかれんが 2023年 第83号 《常設記事》
法整備支援の現場から
カンボジア長期専門家 戸部友希
日本のカンボジアに対する法制度整備支援は、民法・民事訴訟法の起草支援に始まり、2
5年を超える歴史があります。制定された法が深く理解され、正しく運用され、そして社会
に根付くためには、それだけ多くの時間とステップを要するのです。
そのステップの重要な一つが、司法を担う人材の育成です。カンボジアは、その歴史の中
で多くの司法人材を失いました。
日本はこれまで、
裁判官や検察官を養成する学校の教育の
制度を一から築き、この養成校の教官を育成する支援を行いました。そして、現プロジェク
トでは、
養成校の教育をより良いものにし、
将来的にも持続可能な養成の体制を築くことで、
司法を担う人材の育成を強化することを目指しています。
令和4年11月に現プロジェクトが開始してから、約1年が経ちました。この間、私たち
は、養成校の教育改善に反映させるため、カンボジアの裁判官や弁護士、司法省の方々とワ
ーキンググループを作り、
民事裁判や養成校における教育について、
現状抱えている課題を
調査し、その課題をじっくりひもとくことを試みてきました。具体的には、裁判官や養成校
職員へのインタビュー、学生に対するセミナー、新しい教材の作成、カリキュラムやシラバ
スの検討、
日本の経験の共有などの活動をしています。
養成校や裁判実務の現場で日々奮闘
している法律家や職員からは、
民法や民事訴訟法に関する質問や、
裁判実務や教育の課題が
途切れることなく寄せられます。
議論の場では、
過去の支援で養成された当時には若手であ
った中堅裁判官がリードしてくださり、若手裁判官もとても熱心に議論に参加しており活
気が感じられます。ときに議論が熱くなり緊張感が生まれることもありますが、それも、よ
り正しく法を理解したい、自分たちの手でより良いものを築きたいという思いの表れに感
じられます。こうした思いが、カンボジアの一人一人が守られることにつながると信じ、全
力で支えるべく、二人の専門家1
、聡明で心優しい現地スタッフのチームと共に、邁進して
まいります。1現在、カンボジアの法制度整備支援のプロジェクトには、執筆者である戸部友希専門家のほ
か、伊藤みずき専門家、川上司専門家が派遣されています。21あかれんが 2023年 第83号 《常設記事》
地方の裁判官へのインタビュー
ワーキンググループの会議22あかれんが 2023年 第83号 《常設記事》
法務省で働くひと・しごと紹介 Vol.19
〜遺言書保管官〜
職 名:遺言書保管官
氏 名:秋葉修
採用年:平成6年
所 属:東京法務局供託第一課
Q1 遺言書保管官ってどんな仕事?
令和2年7月10日に、
法務局における遺言書の保管に関する法律
(平成30年法律第7
3号)
が施行され、
遺言者が民法第968条に基づいて作成した自筆証書遺言書を法務局で
保管することが可能となりました。
遺言書保管官は、この自筆証書遺言書について必要な審査を行った上で保管の決定を行
い、遺言書の原本と画像データを長期間大切に保管します。
遺言者の死亡後は、
相続人等からの請求に応じて、
保管している遺言書の閲覧や証明書の
発行手続を行います。
Q2 最近のトピックスは?
遺言書保管制度の親切な点として、指定者通知制度があります。この指定者通知は、遺言
者からの事前の申出に基づいて、
法務局が遺言者の死亡の事実を確認したときに、
遺言者が
相続人等の中から指定した者に対して、法務局に遺言書が保管されている旨をお知らせす
るものです。
令和5年10月2日にこの通知制度が改正されたことにより、それまで指定者通知の対
象者は1名とされていたものが、3名まで指定することが可能となりました。あわせて、通
知の対象者も、相続人、受遺者等、遺言執行者等に限定されていましたが、それら以外の者
を指定することも可能となりました。
Q3 遺言書保管官のやりがいって何?
遺言書保管官は、
遺言者が、
残された家族や大切な方に対して自身の思いを残す最後の手
紙と言われる遺言書を大切に保管し、残された家族等に引き継ぐメッセンジャーの役割を23あかれんが 2023年 第83号 《常設記事》
担っています。
また、
法務局で保管した遺言書を利用して、
相続手続が円滑に進んでいけば、
相続登記の推進にもつながることから、やりがいを感じます。
Q4 心に残っているエピソードがあれば教えてください。
遺言者本人やその家族の方から、「遺言書を預かってもらって安心した。」、「この制度
はいい制度だ。」などとおっしゃっていただくことがあり、そのような言葉を聞くたびに、
お役に立つことができてよかったと身をもって感じます。
遺言書をお預かりする様子(イメージ)
東京法務局遺言書保管所の様子
インフォメーション
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す。
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