法制審議会刑事法(情報通信技術関係)部会20第14回会議配布資料
試 案
目次
................................................
・第1-1 訴訟に関する書類の電子化 1...6・第1-2 電磁的記録による令状の発付・執行等に関する規定の整備
..............................11
・第1-3 電磁的記録を提供させる強制処分の創設
..........................................14
・第1-4 電磁的記録である証拠の開示等
・第2-1 刑事施設等との間における映像と音声の送受信による勾留質
........................17
問・弁解録取の手続を行うための規定の創設
・第2-2 映像と音声の送受信による裁判所の手続への出席・出頭を可
............................................................18
能とする制度の創設
・第2-3 証人尋問等を映像と音声の送受信により実施する制度の拡充
....................................................................................21
・第3-1 電磁的記録をもって作成される文書の信頼を害する行為を処
......................................................23
罰するための罰則の創設
..................25
・第3-2 電子計算機損壊等による公務執行妨害の罪の創設
・第3-3 新たな犯罪収益の没収の裁判の執行及び没収保全等の手続の
.................................................................................26
導入
................................................28
・第3-4 通信傍受の対象犯罪の追加 - -1
第1-1 訴訟に関する書類の電子化
1 電磁的記録による公判調書の作成等
(1) 公判調書は、裁判所の規則の定めるところにより、電磁的記録をも
って作成し、裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以
下同じ )に備えられたファイル(以下単に「ファイル」という )に
。 。
記録しなければならないものとすること。
(2) 公判前整理手続調書は、裁判所の規則の定めるところにより、電磁
的記録をもって作成し、ファイルに記録しなければならないものとす
ること。
2 電磁的記録である訴訟に関する書類等の閲覧・謄写
(1) 終結前の事件の電磁的記録である訴訟に関する書類等の閲覧・謄写
ア 弁護人による裁判所における閲覧・謄写
(ア) 刑事訴訟法第40条第1項の訴訟に関する書類又は証拠物の全
部又は一部が電磁的記録であるときは、当該電磁的記録に係る同
項の規定による閲覧は、当該電磁的記録の内容を表示したものを
閲覧し、又はその内容を再生したものを視聴する方法によるもの
とし、当該電磁的記録に係る同項の規定による謄写は、当該電磁
的記録を複写し、若しくは印刷し、又はその内容を表示し若しく
は再生したものを記載し若しくは記録する方法によるものとする
こと。
(イ) (ア)による電磁的記録を複写する方法及びその内容を表示し又
は再生したものを電磁的記録として記録する方法による謄写につ
いては、裁判長の許可を受けなければならないものとすること。
イ 弁護人による電磁的方法による閲覧・謄写
弁護人は、刑事訴訟法第40条第1項の規定によるほか、公訴の
提起後は、裁判長の許可を受けて、電磁的方法(電子情報処理組織
を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。以
下同じ )であって裁判所の規則で定めるものにより、訴訟に関す。る書類又は証拠物を閲覧し、又は謄写することができるものとする
こと。
ウ 電磁的記録である裁判書等の内容を証明したものの提供
被告人その他訴訟関係人は、自己の費用で、電磁的記録をもって
作成された裁判書若しくは裁判を記録した調書に記録されている事
項の全部若しくは一部を記載した書面であってその内容が当該裁判
書若しくは当該調書に記録されている事項と同一であることの証明 - -2
がされたものの交付又は当該事項の全部若しくは一部を記録した電
磁的記録であってその内容が当該裁判書若しくは当該調書に記録さ
れている事項と同一であることの証明がされたものの提供を請求す
ることができるものとすること。
エ 被告人による公判調書の閲覧
被告人に弁護人がないときは、公判調書は、裁判所の規則の定め
るところにより、被告人も、その内容を表示したものを閲覧し、又
はその内容を再生したものを視聴することができるものとし、被告
人は、読むことができないとき、又は目の見えないときは、公判調
書の内容の朗読を求めることができるものとすること。
(2) 終結後の事件の電磁的記録である訴訟記録の閲覧
刑事訴訟法第53条第1項の訴訟記録の全部又は一部が電磁的記録
であるときは、当該電磁的記録に係る同項の規定による閲覧は、当該
電磁的記録の内容を表示したものを閲覧し、又はその内容を再生した
ものを視聴する方法によるものとすること。
3 申立て等及びその記録の電子化
(1) 電子情報処理組織を使用する方法等による申立て等
ア 申立て、請求その他の裁判所若しくは裁判長又は裁判官に対して
する申述(以下「申立て等」という )であって、当該申立て等に。関するこの法律の規定により書面をもってするものとされているも
のについては、当該規定にかかわらず、裁判所の規則の定めるとこ
ろにより、裁判所の規則で定める電子情報処理組織(裁判所の使用
に係る電子計算機と申立て等をする者の使用に係る電子計算機とを
電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。ウにおいて同
じ )を使用して当該書面に記載すべき事項をファイルに記録し、。又は当該事項を記録した記録媒体を裁判所若しくは裁判長若しくは
裁判官に提出する方法によりすることができるものとすること。
イ アの方法によりされた申立て等については、当該申立て等を書面
をもってするものとして規定したこの法律の規定に規定する書面を
もってされたものとみなして、この法律その他の当該申立て等に関
する法令の規定を適用するものとすること。
ウ アの電子情報処理組織を使用してファイルに記録する方法により
された申立て等は、当該申立て等に係る事項がファイルに記録され
た時に当該裁判所若しくは裁判長又は裁判官に到達したものとみな
すものとすること。
エ 検察官及び弁護士である弁護人は、申立て等(口頭でするものを - -3
除く。)をするときは、アの方法により、これをしなければならな
いものとし、ただし、令状の請求並びに略式命令の請求及びこれと
同時にする公訴の提起その他裁判所の規則で定めるものについて
は、この限りでないものとすること。
オ エは、検察官又は弁護士である弁護人が、裁判所の使用に係る電
子計算機の故障その他その責めに帰することができない事由によ
り、アの方法により申立て等をすることができない場合には、適用
しないものとすること。
(2) 書面等による申立て等のファイルへの記録
申立て等が書面によりされたとき((1)エに違反してされたとき及び
当該申立て等が(1)エただし書に該当するときを除く )又は(1)アの記。録媒体を提出する方法によりされたときは、裁判所書記官は、当該書
面に記載され、又は当該記録媒体に記録されている事項をファイルに
記録しなければならないものとし、ただし、当該事項をファイルに記
録することにつき困難な事情があるときは、この限りでないものとす
ること。
4 電磁的方法による告訴・告発等
(1) 告訴又は告発は、犯罪事実、その犯人の処罰を求める旨並びに告訴
又は告発をする者の氏名及び住居又はこれに代わる連絡先(法人にあ
っては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)を明ら
かにしてしなければならないものとすること。
(2) 告訴又は告発は、政令で定めるところにより、電磁的方法であって
政令で定めるものによりすることができるものとすること。
5 電磁的記録の送達
電磁的記録の送達について、民事訴訟法等の一部を改正する法律(令
和4年法律第48号)による改正後の民事訴訟法第1編第5章第4節第
3款の規定を準用するものとすること。
6 公判廷における電磁的記録の取調べ等
(1) 証人の尋問及び供述並びにその状況に関する記録の取扱い
刑事訴訟法第157条の6第1項若しくは第2項に規定する方法に
より証人尋問を行う場合(同項第4号の規定による場合を除く )又。は「第2-3」1(1)の方法により証人尋問を行う場合(同イによる部
分に限る )において、裁判所は、その証人が後の刑事手続において。同一の事実につき再び証人として供述を求められることがあると思料
する場合であって、証人の同意があるときは、検察官及び被告人又は
弁護人の意見を聴き、その証人の尋問及び供述並びにその状況を録音 - -4
及び録画を同時に行う方法により、調書の一部としてファイルに記録
することができるものとすること。
(2) 証拠となる電磁的記録の取調べの方式等
ア 裁判長は、検察官、被告人又は弁護人の請求により、電磁的記録
の取調べをするについては、証拠となる事項に応じ、その取調べを
請求した者に、その内容を朗読させ、表示させ、又は再生させるも
のとし、ただし、裁判長は、自らそれらの措置をとり、又は陪席の
裁判官若しくは裁判所書記官にそれらの措置をとらせることができ
るものとすること。
、 、
イ 裁判所が職権で電磁的記録の取調べをするについては 裁判長は
自らアに定める措置をとり、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記
官にそれらの措置をとらせなければならないものとすること。
ウ 裁判長は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、相当と認
めるときは、調書の一部としてファイルに記録された証人の尋問及
び供述並びにその状況の再生に代えて、当該調書の取調べを請求し
た者、陪席の裁判官若しくは裁判所書記官に当該調書に記録された
供述の内容を告げさせ、又は自らこれを告げることができるものと
すること。
エ 裁判所は、調書の一部としてファイルに記録された証人の尋問及
び供述並びにその状況を再生する場合において、必要と認めるとき
は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、刑事訴訟法第15
7条の5に規定する措置を採ることができるものとすること。
(3) 証拠書類等に記載された事項等のファイルへの記録
裁判所書記官は、刑事訴訟法第310条の規定により提出された証
拠書類又は証拠物に記載され、又は記録されている事項をファイルに
記録しなければならないものとし、ただし、当該事項をファイルに記
録することにつき困難な事情があるときは、この限りでないものとす
ること。
7 供述の内容を記録した電磁的記録等の作成及び取扱い
(1) 被疑者の供述を録取する調書の作成
ア 刑事訴訟法第198条第3項の調書(電磁的記録をもって作成し
たものに限る。以下このアにおいて同じ )は、その内容を表示し。たものを被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤りがないかどう
かを問い、被疑者が増減変更の申立てをしたときは、その供述を調
書に記録しなければならないものとすること。
イ 被疑者が、アの調書に誤りのないことを申し立てたときは、これ - -5
に裁判所の規則で定める署名押印に代わる措置をとることを求める
ことができるものとし、ただし、これを拒絶した場合は、この限り
でないものとすること。
(2) 供述を録取した電磁的記録の取扱い
供述を録取した電磁的記録で裁判所の規則で定める供述者の署名又
は押印に代わる措置がとられたものについて、供述を録取した書面で
供述者の署名又は押印のあるものに係る刑事訴訟法第290条の3第
1項、第299条の4第6項、第316条の14第1項第2号及び第
3項第2号、第316条の15第1項第5号から第7号まで、第31
6条の18第2号、第321条第1項、第322条第1項並びに第3
50条の8の規律と同様の規律を設けること。
(3) 被告人以外の者の供述を記録・録取した電磁的記録等の証拠能力
刑事訴訟法第321条第1項第1号の「裁判官の面前」及び同項第
2号の「検察官の面前」について、映像と音声の送受信により相手の
状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法による場合を
含む旨を規定すること。
8 その他所要の規定の整備 - -6
第1-2 電磁的記録による令状の発付・執行等に関する規定の整備
1 電磁的記録による召喚状、勾引状、勾留状及び鑑定留置状の発付・執行(1) 召喚状、勾引状、勾留状及び鑑定留置状は、書面によるほか、裁判
所の規則の定めるところにより、電磁的記録によることができるもの
とすること。
(2) 電磁的記録による召喚状には、被告人の氏名及び住居、罪名、出頭
すべき年月日時及び場所並びに正当な理由がなく出頭しないときは勾
引状を発することがある旨その他裁判所の規則で定める事項を記録
し、裁判長又は受命裁判官が、これに裁判所の規則で定める記名押印
に代わる措置(召喚状に記録された事項を電子計算機の映像面、書面
その他のものに表示したときに、併せて当該裁判長又は受命裁判官の
氏名が表示されることとなるものに限る )をとらなければならない。ものとすること。
(3) 電磁的記録による勾引状又は勾留状には、被告人の氏名及び住居、
罪名、公訴事実の要旨、引致すべき場所又は勾留すべき刑事施設、有
効期間並びにその期間経過後は執行に着手することができず令状は検
察官及び検察事務官又は司法警察職員(刑事訴訟法第70条第2項の
規定により刑事施設職員が執行することとなる場合にあっては、検察
官及び刑事施設職員)の使用に係る電子計算機から消去することその
他の裁判所の規則で定める措置をとり、かつ、当該措置をとった旨を
記録した電磁的記録を裁判長又は受命裁判官に提出しなければならな
い旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記録し、
裁判長又は受命裁判官が、これに裁判所の規則で定める記名押印に代
わる措置(令状に記録された事項を電子計算機の映像面、書面その他
のものに表示したときに、併せて当該裁判長又は受命裁判官の氏名が
表示されることとなるものに限る )をとらなければならないものと。すること。
(4)ア 電磁的記録による勾引状を執行するには、裁判所の規則の定める
ところにより(3)の事項及び(3)の記名押印に代わる措置に係る裁判長
又は受命裁判官の氏名を電子計算機の映像面、書面その他のものに
表示して被告人に示した上、できる限り速やかに、かつ、直接、指
定された裁判所その他の場所に引致しなければならないものとする
こと。
イ 電磁的記録による勾留状を執行するには、裁判所の規則の定める - -7
ところにより(3)の事項及び(3)の記名押印に代わる措置に係る裁判長
又は受命裁判官の氏名を電子計算機の映像面、書面その他のものに
表示して被告人に示した上、できる限り速やかに、かつ、直接、指
定された刑事施設に引致しなければならないものとすること。
ウ 電磁的記録による勾引状又は勾留状について、ア又はイによる表
示をすることができない場合において、急速を要するときは、被告
人に対し公訴事実の要旨及び令状が発せられている旨を告げて、そ
の執行をすることができるものとし、ただし、令状は、できる限り
速やかにこれを示さなければならないものとすること。
2 電磁的記録による差押状等の発付・執行
(1) 差押状及び捜索状は、書面によるほか、裁判所の規則の定めるとこ
ろにより、電磁的記録によることができるものとすること。
(2) 電磁的記録による差押状又は捜索状には、被告人の氏名、罪名、差
し押さえるべき物又は捜索すべき場所、身体若しくは物、有効期間並
びにその期間経過後は執行に着手することができず令状は検察官及び
検察事務官又は司法警察職員(刑事訴訟法第108条第1項ただし書
の規定により裁判所書記官又は司法警察職員に執行を命ずる場合にあ
っては、裁判所書記官又は司法警察職員)の使用に係る電子計算機か
ら消去することその他の裁判所の規則で定める措置をとり、かつ、当
該措置をとった旨を記録した電磁的記録を裁判長に提出しなければな
らない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記録
し 裁判長が これに裁判所の規則で定める記名押印に代わる措置 令
、 、 (
状に記録された事項を電子計算機の映像面、書面その他のものに表示
したときに、併せて当該裁判長の氏名が表示されることとなるものに
限る )をとらなければならないものとすること。。(3) 電磁的記録による差押状は、次のア又はイに掲げる方法により処分
を受ける者に示さなければならないものとすること。
ア 裁判所の規則の定めるところにより(2)の事項及び(2)の記名押印に
代わる措置に係る裁判長の氏名を電子計算機の映像面、書面その他
のものに表示して示す方法
イ 裁判所の規則の定めるところにより(2)の事項及び(2)の記名押印に
代わる措置に係る裁判長の氏名を処分を受ける者をしてその使用に
係る電子計算機の映像面その他のものに表示させて示す方法
(4) 電磁的記録による捜索状は、裁判所の規則の定めるところにより(2)
の事項及び(2)の記名押印に代わる措置に係る裁判長の氏名を電子計算
機の映像面、書面その他のものに表示して処分を受ける者に示さなけ - -8
ればならないものとすること。
3 電磁的記録による刑事訴訟法第119条の証明書等の提供
、 、
(1) 刑事訴訟法第119条の規定による証明書の交付は これに代えて
証明書に記載すべき事項を記録した電磁的記録を提供することにより
することができるものとし、ただし、相手方が異議を述べたときは、
この限りでないものとすること。
(2) 刑事訴訟法第120条の規定による目録の交付は、これに代えて、
目録に記載すべき事項を記録した電磁的記録を提供することによりす
ることができるものとし、ただし、相手方が異議を述べたときは、こ
の限りでないものとすること。
4 電磁的記録による刑事訴訟法第168条第2項の許可状の発付・執行
(1) 刑事訴訟法第168条第2項の許可状は、書面によるほか、裁判所
の規則の定めるところにより、電磁的記録によることができるものと
すること。
(2) 電磁的記録による刑事訴訟法第168条第2項の許可状には、被告
人の氏名、罪名及び立ち入るべき場所、検査すべき身体、解剖すべき
死体、発掘すべき墳墓又は破壊すべき物並びに鑑定人の氏名その他裁
判所の規則で定める事項を記録するものとすること。
(3) 刑事訴訟法第168条第2項の許可状が電磁的記録によるものであ
るときは、鑑定人は、裁判所の規則で定める方法により(2)の事項を電
子計算機の映像面、書面その他のものに表示して同条第1項の処分を
受ける者に示さなければならないものとすること。
5 電磁的記録による逮捕状の発付・執行
(1) 逮捕状は、書面によるほか、裁判所の規則の定めるところにより、
電磁的記録によることができるものとすること。
(2) 電磁的記録による逮捕状には、被疑者の氏名及び住居、罪名、被疑
事実の要旨、引致すべき官公署その他の場所、有効期間並びにその期
間経過後は逮捕をすることができず令状は検察官、検察事務官又は司
法警察職員の使用に係る電子計算機から消去することその他の裁判所
の規則で定める措置をとり、かつ、当該措置をとった旨を記録した電
磁的記録を裁判官に提出しなければならない旨並びに発付の年月日そ
の他裁判所の規則で定める事項を記録し、裁判官が、これに裁判所の
規則で定める記名押印に代わる措置(令状に記録された事項を電子計
算機の映像面、書面その他のものに表示したときに、併せて当該裁判
官の氏名が表示されることとなるものに限る )をとらなければなら。ないものとすること。 - -9
(3)ア 電磁的記録による逮捕状により被疑者を逮捕するには、裁判所の
規則の定めるところにより(2)の事項及び(2)の記名押印に代わる措置
に係る裁判官の氏名を電子計算機の映像面、書面その他のものに表
示して被疑者に示さなければならないものとすること。
イ 1(4)ウは、電磁的記録による逮捕状により被疑者を逮捕する場合
についても同様とするものとすること。
6 検察官等がする差押え等に係る電磁的記録による令状の発付・執行
(1) 刑事訴訟法第218条第1項の令状は、書面によるほか、裁判所の
規則の定めるところにより、電磁的記録によることができるものとす
ること。
(2) 電磁的記録による(1)の令状には、被疑者若しくは被告人の氏名、罪
名、差し押さえるべき物、捜索すべき場所、身体若しくは物、検証す
べき場所若しくは物又は検査すべき身体及び身体の検査に関する条
件、有効期間並びにその期間経過後は差押え、捜索又は検証に着手す
ることができず令状は検察官、検察事務官又は司法警察職員の使用に
係る電子計算機から消去することその他の裁判所の規則で定める措置
をとり、かつ、当該措置をとった旨を記録した電磁的記録を裁判官に
提出しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で
定める事項を記録し、裁判官が、これに裁判所の規則で定める記名押
印に代わる措置(令状に記録された事項を電子計算機の映像面、書面
その他のものに表示したときに、併せて当該裁判官の氏名が表示され。) 。
ることとなるものに限る をとらなければならないものとすること
(3) 2(3)は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が刑事訴訟法第21
8条の規定によってする差押え又は検証についても同様とするものと
し、2(4)は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が同条の規定によ
ってする捜索についても同様とするものとすること。
7 電磁的記録による刑事訴訟法第225条第3項の許可状の発付・執行
(1) 刑事訴訟法第225条第3項の許可状は、書面によるほか、裁判所
の規則の定めるところにより、電磁的記録によることができるものと
すること。
(2) 4(2)及び(3)は、電磁的記録による許可状についても同様とするもの
とすること。
8 電磁的記録による収容状の発付・執行
(1) 収容状は、書面によるほか、電磁的記録によることができるものと
すること。
、 、 、
(2) 電磁的記録による収容状には 刑の言渡しを受けた者の氏名 住居 - -10
年齢、刑名、刑期その他収容に必要な事項を記録し、検察官又は司法
警察員が、これに記名押印に代わる措置(収容状に記録された事項を
電子計算機の映像面、書面その他のものに表示したときに、併せて当。)
該検察官又は司法警察員の氏名が表示されることとなるものに限る
をとらなければならないものとすること。
9 その他所要の規定の整備 - -11
第1-3 電磁的記録を提供させる強制処分の創設
1 裁判所による電磁的記録提供命令
(1) 裁判所は、必要があるときは、電磁的記録を保管する者その他電磁
的記録を利用する権限を有する者に対し、電気通信回線を通じて電磁
的記録を裁判所が指定する記録媒体に記録させ若しくは移転させる方
法又は電磁的記録を記録媒体に記録させ若しくは移転させて当該記録
媒体を提出させる方法により、必要な電磁的記録を提供することを命
ずることができるものとし、ただし、記録媒体に移転させる方法によ
る提供は、電磁的記録を保管する者に対してのみ命ずることができる
ものとすること。
(2) (1)の命令は、提供させるべき電磁的記録及び提供の方法を指定して
するものとすること。
(3) 被告人、被疑者又は弁護人は、あらかじめ証拠を保全しておかなけ
ればその証拠を使用することが困難な事情があるときは、第1回の公
、 、
判期日前に限り 裁判官に(1)の命令を請求することができるものとし
その請求を受けた裁判官は、その処分に関し、裁判所又は裁判長と同
一の権限を有するものとすること。
2 命令拒絶事由
1(1)により、公務員若しくは公務員であった者が保管し、若しくは利
用する権限を有する電磁的記録又は医師、歯科医師、助産師、看護師、
弁護士(外国法事務弁護士を含む 、弁理士、公証人、宗教の職に在る。)
者若しくはこれらの職に在った者が業務上委託を受けたため、保管し、
若しくは利用する権限を有する電磁的記録の提供を命ずるときについ
て、刑事訴訟法第103条から第105条までと同様の規律を設けるも
のとすること。
3 目録の交付
、 、
1(1)の命令により電磁的記録を提供させた場合には その目録を作り
1(1)の命令を受けた者に、これを交付しなければならないものとするこ
と。
4 移転をさせた電磁的記録の原状回復
(1) 1(1)の命令により移転させた電磁的記録について、当該命令を受け
た者に保管させないこととする理由がなくなったときは、被告事件の
終結を待たないで、決定で、当該命令を受けた者に対し、当該電磁的
記録の複写を許し、又は当該電磁的記録が記録された記録媒体を交付
しなければならないものとすること。 - -12
(2) (1)の決定をするについては、検察官及び被告人又は弁護人の意見を
聴かなければならないものとすること。
5 捜査機関による電磁的記録提供命令
(1) 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについ
て必要があるときは、裁判官の発する令状により、電磁的記録を保管
する者その他電磁的記録を利用する権限を有する者に対し、電気通信
回線を通じて電磁的記録を検察官、検察事務官若しくは司法警察職員
が指定する記録媒体に記録させ若しくは移転させる方法又は電磁的記
録を記録媒体に記録させ若しくは移転させて当該記録媒体を提出させ
る方法により、必要な電磁的記録を提供することを命ずることができ
るものとし、ただし、記録媒体に移転させる方法による提供は、電磁
的記録を保管する者に対してのみ命ずることができるものとするこ
と。
(2) (1)の令状には、被疑者又は被告人の氏名、罪名、提供させるべき電
磁的記録、提供させるべき者、提供の方法、有効期間及びその期間経
過後は提供を命ずることができず令状はこれを返還しなければならな
い旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、
、 ( )。裁判官が これに記名押印しなければならないものとすること 注
(3) (1)の令状は、処分を受ける者にこれを示さなければならないものと
すること。
(4) 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、(1)の命令をする場合にお
いて、必要があるときは、裁判官の許可を受けて、(1)の命令を受ける
者に対し、みだりに(1)の命令を受けたこと及び提供を命じられた電磁
的記録を提供し又は提供しなかったことを漏らしてはならない旨を命
ずることができるものとすること。
(5) (4)の許可の請求は、(1)の令状の請求をする際に、検察官、検察事務
官又は司法警察職員からしなければならないものとすること。
(6) 裁判官は、(4)の許可をするときは、(1)の令状にその旨を記載するも
のとすること。
(7) 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、(4)の命令をした場合にお
いて、その必要がなくなったときは、その命令を取り消さなければな
らないものとすること。
6 捜査機関による電磁的記録提供命令についての準用
2から4(1)までは、検察官、検察事務官又は司法警察職員がする5(1)
の命令について準用するものとすること。
7 不服申立て - -13
(1) 裁判所がした1(1)の命令又は4(1)の複写の許可若しくは記録媒体の
交付に関する決定に対しては、抗告をすることができるものとするこ
と。
(2) 1(3)により裁判所と同一の権限を有する裁判官がした1(1)の命令又
は4(1)の複写の許可若しくは記録媒体の交付に関する裁判に対して
は、準抗告をすることができるものとすること。
(3) 検察官、検察事務官又は司法警察職員がした5(1)若しくは(4)の命令
又は6において準用する4(1)の処分に対しては、準抗告をすることが
できるものとすること。
8 罰則
(1) 正当な理由がなく1(1)又は5(1)若しくは(4)の命令に違反したとき
は、その違反行為をした者は、1年以下の拘禁刑又は30万円以下の
罰金に処するものとすること。
(2) 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者
が、その法人又は人の業務に関して(1)の違反行為をしたときは、行為
者を罰するほか、その法人又は人に対しても(1)の罰金刑を科するもの
とすること。
9 記録命令付差押え(刑事訴訟法第99条の2)の廃止
記録命令付差押え(刑事訴訟法第99条の2)を廃止すること。
10 その他所要の規定の整備
(注 「第1-2 電磁的記録による令状の発付・執行等に関する規定の整備」の規律に)従い電磁的記録による令状の発付・執行等に関する規律を整備する。 - -14
第1-4 電磁的記録である証拠の開示等
1 電磁的記録である証拠の閲覧等の機会の付与
(1) 刑事訴訟法第299条第1項の証拠書類又は証拠物の全部又は一部
が電磁的記録であるときは、当該電磁的記録に係る同項の規定による
閲覧する機会の付与は、相手方に対し、当該電磁的記録の内容を表示
したものを閲覧し、又はその内容を再生したものを視聴する機会を与
えることによりするものとすること。
(2)ア 刑事訴訟法第316条の14第1項第1号の証拠書類又は証拠物
の全部又は一部が電磁的記録であるときは、当該電磁的記録に係る
同号の規定による閲覧する機会の付与(被告人に対するものに限
る )は、当該電磁的記録の内容を表示したものを閲覧し、又はそ。の内容を再生したものを視聴する機会を与えることによりするもの
とし、当該電磁的記録に係る同号の規定による閲覧し、かつ、謄写
する機会の付与は、その内容を表示したものを閲覧し、又はその内
容を再生したものを視聴し、かつ、当該電磁的記録を複写し、若し
くは印刷し、又はその内容を表示し若しくは再生したものを記載し
若しくは記録する機会を与えることによりするものとすること。
イ 刑事訴訟法第316条の14第1項第2号の供述録取書等の全部
又は一部が電磁的記録であるとき(当該供述録取書等を閲覧させる
ことが相当でないと認めるときを除く )は、当該電磁的記録に係。る同号の規定による閲覧する機会の付与(被告人に対するものに限
る )は、当該電磁的記録の内容を表示したものを閲覧し、又はそ。の内容を再生したものを視聴する機会を与えることによりするもの
とし、当該電磁的記録に係る同号の規定による閲覧し、かつ、謄写
する機会の付与は、その内容を表示したものを閲覧し、又はその内
容を再生したものを視聴し、かつ、当該電磁的記録を複写し、若し
くは印刷し、又はその内容を表示し若しくは再生したものを記載し
若しくは記録する機会を与えることによりするものとすること。
ウ 刑事訴訟法第316条の14第1項第2号の規定による証人、鑑
定人、通訳人又は翻訳人が公判期日において供述すると思料する内
容の要旨を記載した書面を閲覧する機会の付与(被告人に対するも
のに限る )は、これに代えて、当該要旨を記録した電磁的記録の。内容を表示したものを閲覧する機会を与えることによりすることが
できるものとし、同号の規定による閲覧し、かつ、謄写する機会の
付与は、これに代えて、その内容を表示したものを閲覧し、かつ、 - -15
当該電磁的記録を複写し、若しくは印刷し、又はその内容を表示し
若しくは再生したものを記載し若しくは記録する機会を与えること
によりすることができるものとすること。
エ ウの場合においては、刑事訴訟法第316条の14第1項第2号
の規定による開示をしたものとみなすものとすること。
(3) 刑事訴訟法第316条の15第1項又は第316条の20第1項の
規定による開示をすべき証拠の全部又は一部が電磁的記録であるとき
におけるこれらの規定による開示についても、(2)アと同様とするもの
とすること。
(4)ア 刑事訴訟法第316条の18第1号の証拠書類又は証拠物の全部
又は一部が電磁的記録であるときは、当該電磁的記録に係る同号の
規定による閲覧し、かつ、謄写する機会の付与は、当該電磁的記録
の内容を表示したものを閲覧し、又はその内容を再生したものを視
聴し、かつ、当該電磁的記録を複写し、若しくは印刷し、又はその
内容を表示し若しくは再生したものを記載し若しくは記録する機会
を与えることによりするものとすること。
イ 刑事訴訟法第316条の18第2号の供述録取書等の全部又は一
部が電磁的記録であるとき(当該供述録取書等を閲覧させることが
相当でないと認めるときを除く )は、当該電磁的記録に係る同号。の規定による閲覧し、かつ、謄写する機会の付与は、当該電磁的記
録の内容を表示したものを閲覧し、又はその内容を再生したものを
視聴し、かつ、当該電磁的記録を複写し、若しくは印刷し、又はそ
の内容を表示し若しくは再生したものを記載し若しくは記録する機
会を与えることによりするものとすること。
ウ 刑事訴訟法第316条の18第2号の規定による証人、鑑定人、
通訳人又は翻訳人が公判期日において供述すると思料する内容の要
旨を記載した書面を閲覧し、かつ、謄写する機会の付与は、これに
代えて、当該要旨を記録した電磁的記録の内容を表示したものを閲
覧し、かつ、当該電磁的記録を複写し、若しくは印刷し、又はその
内容を表示し若しくは再生したものを記載し若しくは記録する機会
を与えることによりすることができるものとし、この場合において
は、同号の規定による開示をしたものとみなすものとすること。
2 電磁的記録をもって作成された証拠の一覧表の提供等
(1) 検察官は、刑事訴訟法第316条の14第1項の規定による証拠の
、 、 、
開示をした後 被告人又は弁護人から請求があったときは 速やかに
被告人又は弁護人に対し、検察官が保管する証拠の一覧表であって電 - -16
磁的記録をもって作成したものを提供し、又はこれを印刷した書面を
交付しなければならないものとすること。
(2) 検察官は、(1)による提供又は交付をした後、証拠を新たに保管する
に至ったときは、速やかに、被告人又は弁護人に対し、当該新たに保
管するに至った証拠の一覧表であって電磁的記録をもって作成したも
のを提供し、又はこれを印刷した書面を交付しなければならないもの
とすること。 - -17
第2-1 刑事施設等との間における映像と音声の送受信による勾留質問・
弁解録取の手続を行うための規定の創設
1 裁判所と刑事施設等との間における映像と音声の送受信による勾留質
問の手続
裁判所は、刑事施設又は少年鑑別所にいる被告人に対し刑事訴訟法第
61条の規定による手続を行う場合において、被告人を裁判所に在席さ
せてこれを行うことが困難な事情があるときは、被告人を当該刑事施設
又は少年鑑別所に在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相
互に認識しながら通話をすることができる方法によって、これを行うこ
、 、 、 、
とができるものとし この場合においては 被告人に対し あらかじめ
裁判所が同条の規定による手続を行うものである旨を告げなければなら
ないものとすること。
2 検察庁と刑事施設との間における映像と音声の送受信による弁解録取
の手続
検察官は、被疑者をその留置されている刑事施設に在席させ、映像と
音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが
できる方法によって、刑事訴訟法第205条第1項の規定による弁解の
機会の付与を行うときは、被疑者に対し、あらかじめ、検察官が同項の
規定による弁解の機会の付与を行うものである旨を告げなければならな
いものとすること。 - -18
第2-2 映像と音声の送受信による裁判所の手続への出席・出頭を可能と
する制度の創設
1 映像と音声の送受信による公判前整理手続期日等への出席・出頭
(1) 検察官・弁護人・裁判長ではない裁判官の出席・出頭
、 、 、
ア 裁判所は 相当と認めるときは 検察官及び弁護人の意見を聴き
同一構内 裁判長が公判前整理手続期日又は期日間整理手続期日 以( (下「公判前整理手続期日等」という )における手続を行うために在。席する場所と同一の構内をいう。イ及び(2)において同じ )以外にあ。る場所であって適当と認めるものに検察官又は弁護人を在席させ、
映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話を
することができる方法によって、公判前整理手続期日等における手
続を行うことができるものとし、この場合において、その場所に在
席した検察官又は弁護人は、その公判前整理手続期日等に出頭した
ものとみなすものとすること。
、 、
イ 裁判所は 同一構内以外にある場所に合議体の構成員を在席させ
映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話を
することができる方法によって、公判前整理手続期日等における手
続を行うことができるものとすること。
(2) 被告人の出頭
裁判所は、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意
見を聴き、同一構内以外にある場所であって適当と認めるものに被告
人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識し
ながら通話をすることができる方法によって、公判前整理手続期日等
における手続を行うことができるものとすること。
2 映像と音声の送受信による公判期日への出席・出頭
(1) 被告人・弁護人の出頭
ア 裁判所は、次に掲げる場合において、事案の軽重、審理の状況、
弁護人の数その他の事情を考慮した上、やむを得ない事由があり、
被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがなく、かつ、相当
と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、同一
構内(裁判官及び訴訟関係人が公判期日における手続を行うために
在席する場所と同一の構内をいう。このアにおいて同じ )以外にあ。る場所であって適当と認めるものに被告人を在席させ、映像と音声
の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが
できる方法によって、公判期日における手続を行うことができるも - -19
のとし、この場合において、その場所に在席した被告人は、その公
判期日に出頭したものとみなすものとすること。
(ア) 被告人が傷病又は障害のため同一構内に出頭することが著しく
困難であると認めるとき。
(イ) 同一構内への出頭に伴う移動に際し、被告人の身体に害を加え
又は被告人(刑事施設又は少年院に収容中の者に限る )を奪取し。若しくは解放する行為がなされるおそれがあると認めるとき。
、 、
イ 弁護人は 裁判所がアにより公判期日における手続を行うときは
被告人が在席する場所に在席することができるものとし、この場合
において、その場所に在席した弁護人は、その公判期日に出頭した
ものとみなすものとすること。
ウ アは、刑事訴訟法第404条の規定にかかわらず、刑事訴訟法等
の一部を改正する法律(令和5年法律第28号)による改正後の刑
事訴訟法第390条の2本文の規定により控訴裁判所が判決を宣告
する公判期日への出頭を命じた被告人による当該公判期日への出頭
については準用しないものとすること。
(2) 被害者参加人・その委託を受けた弁護士の出席
ア 裁判所は、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士から、裁判
官及び訴訟関係人が公判期日における手続を行うために在席する場
所以外の場所であって裁判所が適当と認めるものに在席し、映像と
音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をするこ
とができる方法によって、公判期日に出席することの申出がある場
合において、被告人又は弁護人の意見を聴き、審理の状況、申出を
した者の数その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、申出をし
た者が当該方法によって公判期日に出席することを許すものとする
こと。
、 、 、
イ アの申出は あらかじめ 検察官にしなければならないものとし
この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知
するものとすること。
3 映像と音声の送受信による裁判員等選任手続期日への出席・出頭
(1) 裁判所は、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意
見を聴き、呼び出すべき裁判員候補者の全部又は一部を裁判官及び訴
訟関係人が裁判員等選任手続を行うために在席する場所以外の場所で
あって適当と認めるものに在席させ、映像と音声の送受信により相手
の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、
裁判員等選任手続を行うことができるものとし、この場合において、 - -20
その場所に在席した裁判員候補者は、その裁判員等選任手続の期日に
出頭したものとみなすものとすること。
(2) 裁判所は、相当と認めるときは、検察官及び弁護人の意見を聴き、
裁判官及び訴訟関係人が裁判員等選任手続を行うために在席する場所
以外の場所であって適当と認めるものに被告人を在席させ、映像と音
声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが
できる方法によって、裁判員等選任手続を行うことができるものとす
ること。
4 その他所要の規定の整備 - -21
第2-3 証人尋問等を映像と音声の送受信により実施する制度の拡充
1 証人尋問を映像と音声の送受信により実施する制度の拡充
(1) 裁判所は、証人(国内にいる者に限る。以下同じ )を尋問する場。合において、次に掲げる場合であって、相当と認めるときは、検察官
及び被告人又は弁護人の意見を聴き、同一構内(裁判官及び訴訟関係
人が証人を尋問するために在席する場所と同一の構内をいう。以下同
じ )以外にある場所であって適当と認めるものに証人を在席させ、。映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をす
、 。
ることができる方法によって 尋問することができるものとすること
ア 証人に鑑定に属する供述を求める場合であって、その職業、健康
状態その他の事情により証人がその尋問の日時に同一構内に出頭す
ることが著しく困難であり、かつ、証人の重要性、審理の状況その
他の事情により当該日時に尋問することが特に必要であると認める
とき。
イ 証人が傷病又は障害のため同一構内に出頭することが著しく困難
であると認めるとき。
ウ 証人が刑事施設又は少年院に収容中の者であって、次のいずれか
に該当するとき。
(ア) その年齢、心身の状態、処遇の実施状況その他の事情により、
同一構内への出頭に伴う移動により精神の平穏を著しく害され、
その処遇の適切な実施に著しい支障を生ずるおそれがあると認め
るとき。
(イ) 同一構内への出頭に伴う移動に際し、証人を奪取し又は解放す
る行為がなされるおそれがあると認めるとき。
(2) 裁判所は、証人を尋問する場合において、裁判官及び訴訟関係人が
証人を尋問するために在席する場所以外の場所であって適当と認める
ものに証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互
に認識しながら通話をすることができる方法によって尋問するについ
て、検察官及び被告人に異議がなく、証人の重要性、当該方法によっ
て尋問をすることの必要性その他の事情を考慮し、相当と認めるとき
は、当該方法によって、尋問することができるものとすること。
2 鑑定を命ずる手続を映像と音声の送受信により実施する制度の拡充
、 ( 。 。)裁判所は 鑑定を命ずる際に鑑定人 国内にいる者に限る 以下同じ
を尋問し、又は鑑定人に宣誓をさせる場合において、相当と認めるとき
は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、同一構内以外にある場 - -22
所であって適当と認めるものに鑑定人を在席させ、映像と音声の送受信
により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法に
よって、尋問し、又は宣誓をさせることができるものとすること。
3 通訳を映像と音声の送受信により実施する制度の拡充
(1) 裁判所は、通訳人(国内にいる者に限る。以下同じ )に通訳をさ。せる場合において、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護
人の意見を聴き、同一構内以外にある場所であって適当と認めるもの
に通訳人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に
認識しながら通話をすることができる方法によって、通訳をさせるこ
とができるものとすること。
(2) 裁判所は、通訳人に通訳をさせる場合において、やむを得ない事由
があり、かつ、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の
意見を聴き、同一構内以外にある場所であって適当と認めるものに通
訳人を在席させ、裁判所、検察官並びに被告人及び弁護人が通訳人と
の間で音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によっ
て通訳をさせることができるものとすること。
4 その他所要の規定の整備 - -23
第3-1 電磁的記録をもって作成される文書の信頼を害する行為を処罰す
るための罰則の創設
1 公電磁的記録文書等偽造等の罪
(1) 行使の目的で、公務所若しくは公務員の電磁的記録印章等(印章又
は署名として表示されることとなる電磁的記録をいう。以下同じ )。を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき電磁的記録文書等(文
書又は図画として表示されて行使されることとなる電磁的記録をい
う。以下同じ )を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の電。磁的記録印章等を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき電磁的
記録文書等を偽造した者は、1年以上10年以下の拘禁刑に処するも
のとすること。
(2) 公務所又は公務員が電磁的記録印章等を使用して作成した電磁的記
録文書等を変造した者も、(1)と同様とするものとすること。
(3) (1)及び(2)に規定するもののほか、公務所若しくは公務員の作成すべ
き電磁的記録文書等を偽造し、又は公務所若しくは公務員が作成した
電磁的記録文書等を変造した者は、3年以下の拘禁刑又は20万円以
下の罰金に処するものとすること。
2 虚偽公電磁的記録文書等作成等の罪
公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の電磁的記録文書等
を作成し、又は電磁的記録文書等を変造したときは、電磁的記録印章等
の有無により区別して、1の例によるものとすること。
3 電磁的記録免状等不実記録の罪
(1) 公務員に対し虚偽の申立てをして、免状、鑑札又は旅券の全部又は
一部として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、1年以
下の拘禁刑又は20万円以下の罰金に処するものとすること。
(2) (1)の罪の未遂は、罰するものとすること。
4 偽造公電磁的記録文書等行使等の罪
(1) 1若しくは2の電磁的記録文書等を行使し、又は3(1)の電磁的記録
を免状、鑑札若しくは旅券の全部若しくは一部として行使し、若しく
は人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録文書等を偽造し、
若しくは変造し、虚偽の電磁的記録文書等を作成し、又は3の電磁的。記録に不実の記録をさせた者と同一の刑に処するものとすること
(2) (1)の罪の未遂は、罰するものとすること。
5 私電磁的記録文書等偽造等の罪
(1) 行使の目的で、他人の電磁的記録印章等を使用して権利、義務若し - -24
くは事実証明に関する電磁的記録文書等を偽造し、又は偽造した他人
の電磁的記録印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する
電磁的記録文書等を偽造した者は、3月以上5年以下の拘禁刑に処す。るものとすること
(2) 他人が電磁的記録印章等を使用して作成した権利、義務又は事実証
明に関する電磁的記録文書等を変造した者も、(1)と同様とするものと
すること。
(3) (1)及び(2)に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する
電磁的記録文書等を偽造し、又は変造した者は、1年以下の拘禁刑又
は10万円以下の罰金に処するものとすること。
6 虚偽電磁的記録診断書等作成の罪
医師が公務所に提出すべき診断書、検案書又は死亡証書の全部又は一
部として表示されて行使されることとなる電磁的記録に虚偽の記録をし
たときは、3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処するものとす
ること。
7 偽造私電磁的記録文書等行使の罪
(1) 5の電磁的記録文書等又は6の電磁的記録を行使した者は、5の電
磁的記録文書等を偽造し、若しくは変造し、又は6の電磁的記録に虚
偽の記録をした者と同一の刑に処するものとすること。
(2) (1)の罪の未遂は、罰するものとすること。
8 その他所要の規定の整備 - -25
第3-2 電子計算機損壊等による公務執行妨害の罪の創設
公務員が職務を執行するに当たり、その職務に使用する電子計算機若し
くはその用に供する電磁的記録を損壊し、若しくはその電子計算機に虚偽
の情報若しくは不正な指令を与え、又はその他の方法により、その電子計
算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する動作をさ
せた者は、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処するものとする
こと。 - -26
第3-3 新たな犯罪収益の没収の裁判の執行及び没収保全等の手続の導入
1 暗号資産等の没収の裁判の執行等
(1) 組織的犯罪処罰法第31条第2項に規定するその他の財産権(注)
であって電子情報処理組織を用いて移転するものの没収の裁判の執行
は、刑事訴訟法第490条第2項の規定にかかわらず、検察官が、次
のいずれかの方法により行うものとし、ただし、イに掲げる方法によ
る執行は、アに掲げる方法によることが困難である場合に限り行うこ
とができるものとすること。
ア 当該財産権を検察官に移転すること。
イ 当該財産権の権利者(名義人が異なる場合は、名義人を含む。2
(2)及び2(3)イにおいて同じ )であってこれを移転することができ。るものに命じて、当該財産権を検察官に移転させること。
(2) 没収された(1)の財産権は、検察官がこれを処分しなければならない
ものとすること。
2 暗号資産等の没収保全手続
(1) 1(1)の財産権の没収保全は、その処分を禁止する旨の没収保全命令
を発して行うものとすること。
(2) (1)の没収保全命令の謄本及び組織的犯罪処罰法第27条第2項に規
定する更新の裁判の謄本は、1(1)の財産権の権利者に送達しなければ
ならないものとすること。
(3) 1(1)の財産権の没収保全命令の執行は、次のいずれかの方法により
行うものとし、ただし、イに掲げる方法による執行は、アに掲げる方
法によることが困難である場合に限り行うことができるものとするこ
と。
ア 当該財産権を検察官の管理に移すこと。
イ 当該財産権の権利者であってこれを他の者の管理に移すことがで
きるものに命じて、当該財産権を検察官の管理に移すこと。
(4) 1(1)の財産権の没収保全の効力は、(3)アにより検察官の管理に移さ
れ又は(3)イにより命令が告知された時に生ずるものとすること。
3 罰則
(1) 1(1)イ又は2(3)イによる命令に違反したときは、その違反行為をし
た者は、3年以下の拘禁刑若しくは250万円以下の罰金に処し、又
はこれを併科するものとすること。
(2) 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者
が、その法人又は人の業務に関して(1)の違反行為をしたときは、行為 - -27
者を罰するほか、その法人又は人に対しても(1)の罰金刑を科するもの
とすること。
4 その他所要の規定の整備
<前提>前提となる没収保全の要件・手続の概要
しろまる 没収保全は、組織的犯罪処罰法第2条第2項第1号イ若しくはロ若しくは同項
第2号ニに掲げる罪又は同法第10条第3項の罪に係る被告事件に関し、同法そ
の他の法令の規定により没収することができる財産に当たると思料するに足りる
相当な理由があり、かつ、これを没収するため必要があると認めるときにするこ
とができる(同法第22条第1項 。)、 、 ( )、しろまる 没収保全命令は 検察官の指揮によって これを執行し 同法第24条第1項
その執行は、当該命令により処分を禁止すべき財産を有する者にその謄本が送達
される前であっても、することができる(同条第2項 。)しろまる 没収保全の効力が生じた後にされた処分は、没収に関しては、その効力を生じ
ない(同法第25条本文 。)(注)組織的犯罪処罰法第27条から第30条までに規定する財産(不動産、船舶等、
) 、 、
動産及び債権 以外の財産権で債務者又はこれに準ずる者がないものであり かつ
権利の移転について登記又は登録を要しないものがこれに当たる(同法第31条第
2項 。) - -28第3-4 通信傍受の対象犯罪の追加
犯罪捜査のための通信傍受に関する法律別表第2に掲げる通信傍受の対
象犯罪に刑法第236条第2項、第246条第2項及び第249条第2項
の罪を加えるものとすること。

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