戸籍法の一部を改正する法律の概要
法務省民事局
平成26年 6月 「日本再興戦略2014」(戸籍...... などの公共性の高い分野を中心に......
マイナンバーの利用範囲拡大の方向性を明らかにする。) その後も同旨の記載
平成26年10月〜平成29年8月 戸籍制度に関する研究会等における検討
平成29年 9月〜平成31年2月 法務大臣から法制審議会へ諮問、答申
平成30年 6月「未来投資戦略2018」(戸籍事務......について,マイナンバー制度の利活用
の在り方等の検討結果を踏まえ,結論を得る。......次期通常国会への提出を目指す。)
1 社会保障手続において、身分関係の確認のために戸籍謄抄本の添付が必要。
2 本籍地以外の各市区町村で戸籍の届出をする際に、身分関係の確認のために
戸籍謄抄本の添付が必要。
➂ 戸籍謄抄本の請求は本籍地市区町村に限られる。
各市区町村のコンピュータ・システムがネットワーク化されていない。
既存の戸籍副本データ管理システムを活用・発展させて新システムを構築し、データの提
供を可能とする。
現状及び主な課題
対応策
○しろまる 戸籍法(昭和22年法律第224号)は、「国民各人の身分関係を公証(※(注記))する公正証書」で
ある戸籍に関する制度(戸籍制度)について定める法律である。
※(注記) 公証とは、特定の事実又は法律関係の存在を証明する行政行為を指す。
○しろまる 昭和22年に民法が全面改正され、封建的な家制度を前提とした制度から、個人の尊厳と
両性の本質的平等に基づく制度に改められた(戸主とその家族ごとに作成されていたが、夫
婦とその子の単位で作成されることとなった。)。
○しろまる 平成6年の法改正により、コンピュータを使用して戸籍事務を取り扱うことが可能となった。
○しろまる 平成19年の法改正により、戸籍の公開制度の在り方が見直された。
○しろまる 平成25年に戸籍副本データ管理システム(※(注記))を導入し、法務省において戸籍の副本を管
理することとなった。 (※(注記)平成25年に東日本大震災での被災を契機に構築)
「戸籍」とは
・ 現在、1896市区町村全てにおいて戸籍事務をコンピュータシステムにより
取り扱っている。
経緯
明治5年
旧戸籍法施行
昭和23年
(親族法の全面改正を反映)
戸籍法全面改正
平成6年
(コンピュータ
処理)
法改正
平成19年
(戸籍の公開制度
の見直し)
法改正
平成25年
戸籍副本データ
管理システム導入
(令和元年5月24日成立、同月31日公布)
現 状
C市(届出地)
※(注記)戸籍謄本を
基に審査
1戸籍謄本の
取り寄せ
戸籍
謄本
改 正 後
C市(届出地)
戸籍
謄本
戸籍
謄本
2届出
※(注記)新システムからの情報
を基に審査
第2 戸籍の届出における戸籍謄抄本の添付省略
妻 夫
1届出
2情報参照A市(本籍地)
新システム(法務省)
○しろまる 本籍地以外の市区町村において、新システムを利用して本籍地以外の市区町村のデータ
を参照できるようにし、戸籍の届出における戸籍謄抄本の添付を不要とする。
➂情報提供B市(本籍地)
第1 行政手続における戸籍謄抄本の添付省略(マイナンバー制度への参加)
○しろまる 法務大臣が戸籍の副本に記録されている情報を利用して、親子関係その他の身分関係の存
否を識別する情報等を戸籍関係情報として作成し、新システムに蓄積する。
○しろまる 従来の戸籍謄抄本による戸籍の情報の証明手段に加え、マイナンバー制度のために作られ
た情報提供ネットワークシステムを通じて戸籍関係情報を確認する手段も提供可能にする。あ改正の要点
※(注記) 戸籍事務内部での戸籍情報の利用であることから、マイナンバーを用いない。
※(注記)戸籍の届出の
審査に必要な
ため、戸籍情
報を参照
行政機関(社会保障手続等)
戸籍
謄本
1戸籍謄本の収集A市(本籍地)B市(従前の本籍地)
2手続の申請
戸籍
謄本甲乙
1手続の申請親2情報照会
情報提供
ネットワークシステム
「甲・乙は親子
関係か?」
「甲・乙は親子
である」
3戸籍関係
情報
戸籍
謄本子戸籍
謄本
行政機関(社会保障手続等)
新システム(法務省)
申請書に記載された
マイナンバーの番号
により照会
従来の証明手段 新たな証明手段(追加)
※(注記)戸籍謄抄本による証明手段は、引き続き、維持する。
※(注記)社会保障手続等の関係で
甲・乙のマイナンバーを
記載する。
新法121の3
新法118
120の4〜120の8
附則12,14(番号利用法9III,21の2関係)
附則14(番号利用法別表第2関係)
※(注記) 行政機関と法務省との間では、マイナンバー自体のやりとりは行わない(行政機関内部で
用いられる情報提供用個人識別符号を使用。)。
本籍地市区町村以外の行政機関等でも戸籍情報にアクセス可能となることから、個人
情報を適切に保護する必要性が高まる。
第4 法務大臣が保存する戸籍関係情報等の保護措置について
第3 本籍地以外での戸籍謄本の発行
○しろまる 自らや父母等の戸籍について、本籍地の市区町村以外の市区町村の窓口でも、戸籍謄
本の請求を可能とする(マイナンバーカードや運転免許証等により適切に本人確認)。
それぞれの本籍地の市区町村役場で取り寄せ 最寄りの市区町村役場の窓口で請求可能
改 正 後A市A市(現本籍)
除籍
除籍
戸籍
謄本
B町(転籍前)
C村(婚姻前)A市B町C村除籍
除籍
戸籍
謄本
(現本籍)
(転籍前)
(婚姻前)
新システム(法務省)
⇒ さらに、自らや父母等の戸籍について、電子的な戸籍記録事項の証明情報(戸籍電子証明
書)の発行を可能とする。
法務大臣管理
戸籍電子
証明書
アクセスサーバー
行政機関
4パスワード
入力
5戸籍情報を
ダウンロード
パスワード
新システム(法務省)
1オンライン
等で請求
2パスワード
取得
3パスワード
提出A市1情報参照 2情報提供
現 状
○しろまるオンライン等で請求
○しろまる市町村からパスワードを
取得
○しろまるオンラインで申請する際
パスワードを提出
○しろまる行政機関においてシステ
ム端末にパスワードを入力
し、戸籍情報を取得
公布からシステムの運用開始まで5年を想定
システム運用開始時期
⇒システム上の保護措置
1行政機関相互間の閉じたネットワークによる情報の送受信、2不正参照を防止するシステムの
構築、証跡ログの保存等の所要の保護措置を設ける。
⇒法制上の保護措置
1システムに関し、安全性及び信頼性を確保する等の法制上の保護措置を設ける。
2システムの設計等の秘密保持義務及び当該義務違反に対する罰則を設ける。
3戸籍事務に従事する者が戸籍に関する事項を不正提供した場合の罰則を設ける。
※(注記)マイナンバー法においても所要の保護措置を設ける。
※(注記) マイナポータルの活用も視野
新法120の3
新法120の2
新法121
新法121の2,132
新法133
1 戸籍の記載の真実性を担保するため、市区町村長及び管轄法務局長等は、届出の審
査に当たって必要な場合、届出の当事者本人その他の関係者に対し、質問し、又は必
要な書類を求めることができるものとする。
第5 その他の戸籍法の規定の見直しA市任意後見契約
任意後見
受任者
死亡届
判断能力が不十分となる前に
委任した者が亡くなった場合
委任者
※(注記) 親族、弁護士、司法書士等
が受任する場合が多い
3 任意後見契約(本人の判断能力が不十分となった場合に財産管理等を行うことをあら
かじめ委任しておく契約)の受任者が任意後見の開始前であっても死亡の届出をするこ
とができるものとする。
2 誤った戸籍の記載を市区町村長が訂正するための手続について、家庭裁判所又は管
轄法務局長等の許可を得て行う場合、市区町村長の職権により行う場合の別を明確化
する。
市区町村長の職権
家庭裁判所による許可審判 管轄法務局長等の許可
法務局
照会?届出の審査に当たり
必要な質問、書類提出
について明文の規定
届出人に対して質問、書類提出
を求める明文の規定がない
戸籍
届出
未成年の子の親権事項の記載を遺
漏した等、戸籍の記載又は届書類か
ら訂正事由があることが明らかと認
められる場合
子の出生地を誤記した等、訂正事項
が軽微で身分関係についての記載
に影響を及ぼさない場合
確定判決によるべき場合を除き、戸
籍の記載を訂正する場合
公布から1年以内
(1及び2(新法114に限る)は、公布の日から20日を
経過した日(令和元年6月20日)から施行)
これらの事項の施行期日
新法24,114
新法3,27の3
新法87II
市区町村