1担保法制部会資料 34
担保法制の見直しに関する要綱案のとりまとめに向けた検討(6)
目次
第1 実行に関する論点 .....................................................................................................2
1 処分清算方式による動産譲渡担保権の実行の効果の発生時期.......................................252 集合動産譲渡担保権の特定範囲に属する動産の分別管理..............................................3
3 集合動産譲渡担保権の特定範囲に属する動産に対する保全処分若しくは引渡命令の執行
又は強制執行若しくは動産競売に係る差押えによる固定化 .................................................4
4 動産譲渡担保権の実行のための引渡命令及び実行後の引渡命令の相手方の範囲 ...........6
第2 集合動産譲渡担保権設定者の特定範囲に属する動産の処分権限等.............................810第3 優先する譲渡担保権の存在を知らないで譲渡担保権の設定を受けた者の保護 .........12 2第1 実行に関する論点
1 処分清算方式による動産譲渡担保権の実行の効果の発生時期
処分清算方式による動産譲渡担保権の実行における被担保債権の消滅時期については、
その目的である動産を第三者に譲渡した時と、第三者との間でその目的である動産を譲渡
する旨の合意をした時のいずれと考えるべきか。5(説明)
処分清算方式による動産譲渡担保権の実行について、被担保債権の消滅等の効果が生ず
る時点及び設定者が被担保債権を弁済して目的動産の所有権を回復することができなくな
る時点が契約締結時であるか、所有権移転時期であるかが問題とされている。
部会資料 30 第6、
4(1)では、
「動産譲渡担保権者がその目的である動産を譲渡したとき」10に被担保債権が消滅するものとしていた。
「譲渡」とは、一般に、権利、財産、法律上の地
位等を他人に移転することをいうとされており、例えば民法第 178 条の「譲渡」も物権変
動を指すと解されている。そうすると、動産譲渡担保権者が「その目的である動産を第三
者に譲渡したとき」に被担保債権の消滅等の効果が発生する旨を規定した場合には、所有
権の移転時期(特約がなければ契約締結時、特約があれば合意された時点)に被担保債権15の消滅等の効果が生ずると解釈されるものと考えられる。契約締結時ではなく所有権移転
時期に被担保債権が消滅するとの考え方については、設定者の立場からしても、倒産手続
及び担保権実行手続中止命令等の申立てをすることができる期間をより長く確保すること
ができるとのメリットがあると考えられる。
他方で、処分清算方式による私的実行は、目的物の換価価値を第三者からの対価という20形で担保権者が取得して被担保債権の回収を図る実行方法であるところ、契約締結によっ
て担保権者は売買代金債権という法的な利益を取得しているから、この時点で実行は終了
したものとして、被担保債権を消滅させることも考えられる。また、契約締結時ではなく
所有権移転時期に被担保債権が消滅するとすれば、目的物の価額もその時点を基準として
判断されることになるが、例えば、既に担保権者が第三者に対して目的物を引き渡してそ25の時点の目的物の価額に対応する代金を受領しているにもかかわらず、あえて所有権移転
時期をそれよりも更に遅い時期に設定することによって、被担保債権の消滅額をその期間
の経過によって減価した後の目的物の価額の限度にとどめることが可能となるが、このよ
うに担保権者が不当に利得する事態が生ずることは相当とはいえないと考えられる。担保
権者の立場としても、第三者から代金が支払われない場合には、第三者の債務不履行を理30由として契約を解除することによって処分清算の効果を消滅させ、被担保債権を復活させ
ることができると解されるから、契約締結時に被担保債権が消滅するとしても、被担保債
権が消滅した上に目的物の対価も取得できないという事態を避けることは可能であると考
えられる。さらに、設定者の立場としても、倒産手続及び担保権実行手続中止命令等の申
立てをすることができる期間をより長く確保するためには、受戻しが可能である間は中止35命令等の対象とするなどの他の方策を採ることも考えられるから、所有権移転時期に被担
保債権が消滅するものとすることが設定者の保護のために不可欠であるとまでは言えない
ように思われる。そうすると、処分清算の効果の発生時期を一律に契約締結時とすること
が実行手続の安定性の確保にも資すると考えられることも踏まえ、
動産譲渡担保権者が
「第
三者との間で担保目的動産を譲渡する旨の合意をしたとき」に被担保債権が消滅する旨を40 3
規定することによって、所有権移転時期ではなく常に契約締結時に第三者による確定的な
目的物の所有権の取得及び被担保債権の消滅等の効果が生ずるものとすることも考えられ
る。
なお、実行に関する規定のうち少なくとも帰属清算又は処分清算の効果の発生時期に関
する部分は強行規定と考えられるから、この場合には特約で処分清算の効果の発生時期を5変更することはできないと考えられる。
以上の点についてどう考えるか。
2 集合動産譲渡担保権の特定範囲に属する動産の分別管理
実行通知の到達後に、特定範囲に属する動産が、実行通知の到達時に属していたものと10そうでないものとを外形上区別することができる状態で保管する方法により分別して管理
されていないときは、各動産は実行通知が到達した時に特定範囲に属していたものと推定
する。
(説明)
部会資料 31 第1、2では、集合動産譲渡担保権は、実行通知が動産譲渡担保権設定者に15到達した後にその実行通知をした者が有する集合動産譲渡担保権の特定範囲に属すること
となった動産に及ばないものとした上で、その動産がその実行通知が到達した時にその特
定範囲に属していた動産と分別して管理されていないときは、この限りでないものとして
いた。これは、実行通知の到達後に特定範囲に属するに至った動産には本来は集合動産譲
渡担保権が及ばないはずであるが、担保権の効力が及ぶ動産と及ばない動産を分別して管20理するインセンティブを設定者に与えることによって実行手続に支障が生ずる事態を回避
するために、実行通知の到達後に特定範囲に属するに至った動産が実行通知の到達時に特
定範囲に属していた動産と分別管理されていないときは、実行通知の到達後に特定範囲に
属するに至った動産にも集合動産譲渡担保権が及ぶとの特別の実体法上のルールを設ける
ことを提案したものである。25これに対し、
部会では、
「分別して管理」
の具体的な意味内容を明確にすべきとの指摘や、
実行通知の到達後に特定範囲に属するに至った動産にも集合動産譲渡担保権が及ぶとする
と一般債権者等が害されるとの指摘などがあった。
担保権の効力が及ぶ動産と及ばない動産を区別することができないことにより実行手続
に支障が生ずるのは、執行に際して担保権の効力が及ぶ動産と及ばない動産を区別できな30いとすれば強制執行又は差押えが執行不能となるからである。そうすると、実行通知の到
達時に特定範囲に属していた動産と分別管理されていない動産に実体的に担保権を及ぼさ
なくても、これらの動産が実行通知の到達時に特定範囲に属していたものと推定する旨の
ルールを設けておけば、執行官はその動産も含めて執行の対象とすることができることと
なるから、実行手続に支障が生ずる事態を回避するという趣旨を実現するには十分である35と考えられる。
また、このような法律上の推定のルールによるのであれば、外形上分別管理がされてい
なかったために、実行通知の到達後に特定範囲に属するに至った動産も含めて執行の対象
になってしまった場合であっても、設定者が後に伝票等の資料を用いてそのうちの一部が
実行通知の到達後に特定範囲に属するに至ったものであることを証明することによって、40 4
担保権者に対して当該動産の返還を求めたり執行異議等による差押えの取消しを求めたり
することが可能となり、必要以上に一般債権者等の地位が害される事態も防ぐことができ
ると考えられる。
上記のような法律上の推定のルールを設けるとすれば、その推定の前提事実は明確かつ
容易に判断することができるものとする必要がある。そこで、その推定の前提事実として5の分別管理の要件については、同様に動産の分別管理について規定する信託法第 34 条第
1項を参考として、外形上区別することができる状態で保管する方法による分別管理を求
めるのが相当であると考えられる。
以上のことから、本文では、実行通知が到達した時に特定範囲に属していた動産と外形
上区別することができる状態で保管する方法により分別して管理されていない動産は、実10行通知が到達した時に特定範囲に属していたものと推定することを提案している。
3 集合動産譲渡担保権の特定範囲に属する動産に対する保全処分若しくは引渡命令の執行
又は強制執行若しくは動産競売に係る差押えによる固定化
【案 1.1】15(1) 集合動産譲渡担保権の特定範囲に属する動産について、実行のための保全処分(執行
官保管又は占有移転禁止の保全処分又は公示保全処分を命ずるものに限る。
(部会資料
30 第7、2(1)イ、ウ)
)若しくは動産譲渡担保権の実行のための引渡命令(部会資料 30
第7、3)の執行又は強制執行若しくは担保権の実行としての競売に係る差押えがあっ
たときは、集合動産譲渡担保権は、その決定の執行又は差押えの後に、特定範囲のうち20その決定の執行又は差押えにおいてその目的である動産の所在する場所として特定され
た部分に属するに至った動産には及ばない。
(2) (1)の決定の執行又は差押えがあったときは、集合動産譲渡担保権設定者は、特定範囲
のうちその決定の執行又は差押えにおいてその目的である動産の所在する場所として特
定された部分に属する動産
((1)の規定により集合動産譲渡担保権が及ばない動産を除く。)25
の処分をすることができない。
【案 1.2】
(1) 集合動産譲渡担保権の特定範囲に属する動産について、実行のための保全処分(執行
官保管又は占有移転禁止の保全処分又は公示保全処分を命ずるものに限る。
(部会資料
30 第7、2(1)イ、ウ)
)若しくは動産譲渡担保権の実行のための引渡命令(部会資料 3030第7、3)の執行又は担保権の実行としての競売に係る差押えがあったときは、集合動
産譲渡担保権は、その決定の執行又は差押えの後に、特定範囲のうちその決定の執行又
は差押えにおいてその目的である動産の所在する場所として特定された部分に属するに
至った動産には及ばない。
(2) (1)の決定の執行又は差押えがあったときは、集合動産譲渡担保権設定者は、特定範囲35のうちその決定の執行又は差押えにおいてその目的である動産の所在する場所として特
定された部分に属する動産
((1)の規定により集合動産譲渡担保権が及ばない動産を除く。)の処分をすることができない。
(3) 集合動産譲渡担保権の特定範囲に属する動産について強制執行に係る差押えがあった
場合において、集合動産譲渡担保権者が配当要求をしたときは、その集合動産譲渡担保40 5
権及びその集合動産譲渡担保権に優先し又は劣後する集合動産譲渡担保権は、その配当
要求の時よりも後に、特定範囲のうちその差押えにおいてその目的である動産の所在す
る場所として特定された部分に属するに至った動産には及ばない。
(4) (3)に規定する場合において、集合動産譲渡担保権設定者が配当要求があったことを知
ったときは、集合動産譲渡担保権設定者は、特定範囲のうちその差押えにおいてその目5的である動産の所在する場所として特定された部分に属する動産((3)の規定により集合
動産譲渡担保権が及ばない動産を除く。
)の処分をすることができない。
(説明)
1 固定化の範囲について
部会資料 31 第1、9では、集合動産譲渡担保権の特定範囲に属する動産について、実行10のための保全処分(執行官保管又は占有移転禁止の保全処分又は公示保全処分を命ずるも
のに限る。
)若しくは実行のための引渡命令の決定の執行がされた場合又は動産競売若し
くは動産執行に係る差押えがあった場合には、当該動産が特定範囲に含まれる集合動産譲
渡担保権(その手続の申立てに係る集合動産譲渡担保権に優先し又は劣後する集合動産譲
渡担保権を含む。
)が固定化するものとした上で、その固定化の範囲については、その手続15に係る決定の執行又は差押えの対象が種類、所在場所等によって特定されている場合には
その特定された範囲に限って固定化が生ずるものとする考え方と常に特定範囲全体が固定
化するものとする考え方を併記していた。
この点について、部会では、特に一般債権者が特定範囲に属する動産を差し押さえた場
合について、
集合動産譲渡担保権が広く固定化するのは相当でないとの意見が複数あった。20このような意見を踏まえると、まず、上記の各手続に係る決定の執行又は差押えがあった
場合における固定化の範囲を検討する必要があると考えられる。
上記の各手続に係る決定の執行又は差押えにおいては、目的となる動産の種類が執行手
続上明確に特定されているとは限らないため、動産の種類によって範囲を特定することが
できるかについては疑問がある。これに対し、上記の各手続に係る決定の執行又は差押え25は、特定の場所において行われ(民事執行法第 123 条第2項、第 169 条第2項)
、その場所
は調書に記載されるため(民事執行規則第 13 条第1項第2号)
、動産の所在場所によって
範囲を特定することは可能であると考えられる。
また、部会資料 31 第1、7のとおり、担保権者は特定範囲のうち一定の範囲を指定して
その範囲にのみ固定化を生じさせることができるものとすることを前提とすると、上記の30各手続に係る決定の執行又は差押えの対象とされた範囲を動産の所在場所によって特定す
ることができる場合について、
あえてその範囲を超えて固定化を生じさせる必要は乏しく、
その範囲に限って固定化が生ずるものとするのが相当である。
そこで、
【案 1.1】及び【案 1.2】のいずれにおいても、上記の各手続に係る決定の執行
又は差押えによる固定化は、特定範囲のうちその決定の執行又は差押えにおいてその目的35である動産の所在する場所として特定された部分についてのみ生ずるものとしている。
2 特定範囲に属する動産に対する一般債権者の差押えによる固定化の是非について
(1) 前記1のとおり、差押えによる固定化の範囲を一定の範囲に限定するのであれば、一
般債権者の差押えによって固定化が生ずることによる弊害も限定的であると考えられる。
また、
【案 1.2】については、後記(2)のとおり、先順位又は後順位の集合動産譲渡担保権40 6
者の配当要求によって集合動産譲渡担保権者が認識しないうちに固定化が生じ、その利
益が害されるおそれがあるとの問題がある。部会では、担保権者が配当要求をして無剰
余取消しがされることで固定化が覆滅するのであれば、一般債権者の差押えによって固
定化が生ずることとしても実務的には支障がないのではないかとの意見もあった。
そこで、
【案 1.1】では、特定範囲に属する動産に対する一般債権者の差押えによって5も固定化が生ずるものとしている。
(2) 他方で、特定範囲に属する動産がわずかな数だけ差し押さえられたような場合を想定
すると、それによって担保価値は害されないと考える担保権者に対して第三者異議の訴
え又は配当要求といった手続的負担を課すのは相当ではないし、第三者異議の訴え又は
配当要求によって差押えが取り消されるとすれば差押えをした一般債権者の利益も害さ10れることとなる。また、特定範囲のうちの一部であるとしても、少なくとも一定の期間
にわたって設定者が固定化によって特定範囲に属する動産の処分権限を失うとすれば、
事業活動に支障が生ずるなど設定者の利益も害されるおそれがある。
そこで、
【案 1.2】では、特定範囲に属する動産に対する一般債権者の差押えがあった
としても直ちには固定化が生じないものとした上で、集合動産譲渡担保権者の配当要求15によって固定化が生ずるものとしている。
この場合の担保権の効力が及ばなくなる基準時については、明確さの観点から、本文
(3)では配当要求の時点としている一方で、設定者が処分権限を失う基準時については、
配当要求の時点とすると処分権限の喪失を認識し得ない設定者及び設定者から処分を受
ける第三者の利益が害されるおそれがあることから、本文(4)では設定者が配当要求があ20ったことを知った時点としている。これによれば、特定範囲に新たに加入する動産に担
保権が及ばない一方で設定者が特定範囲に属する動産を処分できる期間が生ずることと
なるが、担保権者としては、配当要求に先立って実行通知を送付して固定化を生じさせ
ておくことにより、そのような期間が生ずることを避けることができると考えられる。
【案 1.2】については、集合動産譲渡担保権者が配当要求をしたときは、動産競売の25申立てをした場合と同様に、その先順位又は後順位の集合動産譲渡担保権についても固
定化が生ずることとすべきと考えられるが、先順位又は後順位の集合動産譲渡担保権者
は他の集合動産譲渡担保権者による配当要求の事実を必ずしも認識することができない
ため、その利益が害されるおそれがあることが問題となり得る。304 動産譲渡担保権の実行のための引渡命令及び実行後の引渡命令の相手方の範囲
(1) 実行のための引渡命令
動産譲渡担保権の私的実行に当たり、裁判所がその目的である動産の評価又は譲渡のた
めに必要があるときに発令する引渡命令に関し、
その相手方を設定者
(第三取得者を含む。)に限定するか、その動産の占有者を含めるかについて、どのように考えるか。35(2) 実行後の引渡命令
動産譲渡担保権の私的実行が終了した後に、裁判所が発令する引渡命令に関し、その相
手方を設定者
(第三取得者を含む。)に限定するか、
その動産の占有者を含めるかについて、
どのように考えるか。
(説明)40 7
部会資料 30 第7、
3(1)及び4(1)においては、
実行のための引渡命令又は実行後の引渡命
令の発令の相手方について特に限定を設けないものとし、裁判所は動産譲渡担保権設定者
又は動産の占有者に対してこれらを発令することができるものとすることを提案していた。
これに対し、部会では、民事執行法第 83 条の引渡命令については、不動産の登記名義人
が所有者であることを前提として、所有権を主張する第三者は第三者異議の訴えを提起し5て争うという構造となっており、その引渡命令の審理では買受人が所有権を取得したかど
うかは基本的に争点とならないのに対し、ここで提案されている実行のための引渡命令及
び実行後の引渡命令については、第三者が目的物を占有している場合には、設定者に所有
権が帰属するという外形はなく、第三者が第三者異議の訴えを提起する機会もないことか
らすれば、特にその第三者が目的物の所有権を主張する場面を想定すると、簡易な決定手10続で債務名義を取得することができるとすることを正当化することができるのか疑問があ
るとの指摘があった。また、実行のための引渡命令及び実行後の引渡命令という簡易な決
定手続による債務名義の取得は、動産競売開始許可決定という簡易な手続で動産競売の手
続を開始することができる場合であることから正当化されると考えられるため、第三者が
目的物を占有しているために動産競売開始許可決定により動産競売手続を開始することが15できない場合については、簡易な決定手続による債務名義の取得を認めることは慎重に検
討する必要があるとの指摘もあった。
実行のための引渡命令又は実行後の引渡命令は目的物を占有する第三者に対しても発令
することができるものとした場合には、例えば、第三者であるCが従前から所有し占有し
ている動産について、AとBが通謀し、AがBから譲渡担保権の設定を受けたものと仮装20してAによる引渡命令の申立てがされることもあり得ることとなる。
このような場合には、
CにおいてAとBの間の担保権設定契約が仮装のものであることを主張して争うことは必
ずしも容易ではないと考えられるため、譲渡担保権の設定時にBとCのいずれが目的動産
を所有していたかなどが主な争点となると考えられるが、裁判所が簡易な決定手続におい
てそのような実質的な争点を判断することは容易ではない。また、Cは第一次的には簡易25な決定手続でこれを争うほかなく、仮にこれが認容された場合には請求異議の訴えを提起
する必要が生ずることとなるが、何ら帰責性のないCに対してこのように起訴責任を転換
することを正当化することは困難であるように思われる。
他方、目的物を占有する第三者を引渡命令の相手方とすることができないとすれば、設
定者は第三者に目的物の占有を移転することによって容易に引渡命令の対象から逃れるこ30とができ、引渡命令が実効性を欠くものとならないかが問題となる。まず、設定者が目的
物を第三者に譲渡した場合には、その第三者は単なる占有者ではなく第三取得者として物
上保証人と同様の地位に立つため、その第三者を引渡命令の相手方とすることができると
考えられる。このことから、本文(1)及び(2)では「動産譲渡担保権設定者」が第三取得者を
含む旨を明示している。他方で、設定者が第三者に対して目的物を譲渡するのではなく単35にその占有を移転した場合には、その時期、方法、第三者の素性等の具体的事情にもよる
ものの、その占有の移転について合理的理由が見当たらないときは、第三者が目的物の占
有の移転を受ける行為自体が客観的に見て価格減少行為等に該当することも多いと考えら
れるため、第三者を相手方として保全処分の申立てをすることによって対応することも可
能であると考えられる。このように、目的物を占有する第三者を引渡命令の相手方とする40 8
ことはできないとの立場を採用した場合でも、担保権者として一定の手段を採ることは可
能であると考えられる。
そこで、本文(1)及び(2)では、動産譲渡担保権の実行のための引渡命令及び実行後の引渡
命令のそれぞれの相手方について、動産譲渡担保権設定者に加えて動産の占有者を相手方
とすることができるとの従前の考え方に加え、
動産譲渡担保権設定者
(第三取得者を含む。)5
のみを相手方とすることができるとの考え方を示しているが、この点についてどのように
考えるか。
第2 集合動産譲渡担保権設定者の特定範囲に属する動産の処分権限等
【案 2.1】101 集合動産譲渡担保権設定者は、特定範囲に属する動産の処分をすることができる。ただ
し、その処分が集合動産譲渡担保権者を害することを知ってしたものであるときは、この
限りでない。
2 1本文は、集合動産譲渡担保契約により、集合動産譲渡担保権設定者が特定範囲に属す
る動産を処分する権限に制限を加えることを妨げない。153 集合動産譲渡担保権設定者が集合動産譲渡担保契約により制限された処分の権限の範囲
(以下「権限範囲」という。
)を超えて特定範囲に属する動産を処分した場合において、権
限範囲に制限が加えられていることを処分の相手方が知らなかったときは、当該処分の相
手方は、その動産についての権利を取得する。
4 設定者が集合動産譲渡担保権者を害することを知って特定範囲に属する動産の処分をす20るおそれがあるとき、又は権限範囲を超えて特定範囲に属する動産の処分をするおそれが
あるときは、集合動産譲渡担保権者は、その予防を請求することができる。
【案 2.2】
1から4までに加え、
集合動産譲渡担保権設定者は、
【集合動産譲渡担保権者の承諾のない
限り、
】特定範囲に属する動産を担保権付きで譲渡することはできない旨の規律を設けるこ25とについて、どのように考えるか。
(説明)
1 【案 2.1】について
(1) 集合動産譲渡担保権設定者の動産の処分権限(本文1、2)について
本文1は、集合動産譲渡権設定者が特定範囲に属する動産を担保権の負担のないもの30として処分する権限に関する規律である。従来、集合動産譲渡担保権設定者の処分権限
については、判例が採用する「通常の事業の範囲」内(集合動産譲渡担保契約により別
段の定めがある場合はその範囲内)
で有するものとしていたところ、
「通常の事業の範囲」
の規律がルールとして明確とはいえないなどの指摘があったことを踏まえ、
部会資料 32
においては、
「通常の事業の範囲」に代えて、設定者がすることができない処分行為の要35件を定めるという規律方法を選択肢の一つとして提示したところであり、部会の審議に
おいては、そのような規律の方向性は、処分の相手方の保護の観点からも適切であるな
どの理由から、賛同する意見があった。
本文1は、上記の方向性に従って、集合動産譲渡担保権設定者は、特定範囲に属する
動産を担保権の負担のないものとして処分することができる旨を定めつつ、動産の無償40 9
譲渡や不当廉売がされ、これによって減少した集合物の価値を設定者が補充することが
できない場合など、譲渡担保権者の優先弁済権を害すると通常考えられる処分について
は、処分権限を有しないことを示すため、集合動産譲渡担保権者を害することを知って
した行為を処分権限の範囲から除外する旨のただし書を設けている。
また、本文2は、設定者が、原則として、特定範囲に属する動産を担保権の負担のな5いものとして処分することができる旨の本文1をデフォルトルールとしつつ、担保権者
と設定者が別段の定めをすることにより、その処分権限を制限することを許容するもの
である。この点については、中間試案(3-2(1))や部会資料 28(4-3(1))における
規律と実質的に同様である。
(2) 本文1ただし書に反する処分及び権限範囲を超える処分の効果について10ア 従前、設定者による特定範囲に属する動産の担保権の負担のないものとしての処分
が、通常の事業の範囲又は契約で定められた権限範囲を超えてされた場合の効力につ
いては、部会において、1相手方は何らの権利を取得しない、2相手方は、設定者と
しての地位を引き継ぎ、いわば物上保証人としての地位に立つ、3相手方は負担のな
い所有権を取得するという3つの考え方があり、権限範囲を超えた動産が特定範囲か15ら逸出した場合の効果について、i実体法上も担保権の効力が及ばなくなる、ii実体
法上の担保権は存続するが、対抗力はなくなる、iii第三者による即時取得がされるま
では、実体法上の担保権も対抗力も存続する、という考え方が紹介されてきたところ
である。
この点については、そもそも、譲渡担保契約一般において、譲渡担保権設定者が目20的財産について有する権利を第三者に譲渡することができるか否かに関する部会資料
33 の【案 3.1】
(原則有効説)又は【案 3.2】
(原則無効説)の規律の選択とも関連す
ることから、後記3において検討することとしている。
イ 本文1ただし書に該当する処分の効果について
本文1ただし書に該当する処分がされた場合、設定者が有する処分権限を越えてさ25れたものであることから、相手方は、目的物について、担保権の負担のない権利を取
得することはできない。しかし、当該処分が担保権者を害することを設定者が知って
いたことについて、引渡しを受けた処分の相手方が、善意で、かつ無過失である場合
には、民法第 192 条の即時取得の適用により、担保権の負担のない動産の所有権を取
得することになると考えられる。30即時取得が適用される場合における処分の相手方の主観的要件の内容については、
譲渡担保権者を害することを知ってされたものであることにつき相手方が善意でさえ
あれば保護されるとする考え方もあり得る。しかし、本文では、集合動産譲渡担保権
設定者の処分権限が制限される場合を、譲渡担保権者の優先弁済権を害するような濫
用的な処分がされた場合に限定していることから、譲渡担保権者の保護とのバランス35の観点から、この場合の処分の相手方の主観的要件としては、善意のみでは足りず、
知らなかったことにつき無過失であることをも要するとすることとしている。
ウ 権限範囲を超える処分の効果(本文3)について
集合動産譲渡担保契約により定めた設定者の処分権限の範囲(権限範囲)を超える
処分については、設定者の処分権限を有しない処分であることから、このような処分40 10
がされた場合も、原則として、相手方は目的物について担保権の負担のない権利を取
得することはできない。
もっとも、この場合についても、上記イと同様に、民法第 192 条の即時取得の適用
があり得る。もっとも、集合動産譲渡担保契約により設定者の処分権限を制限する場
合、これを外部から認識することは困難であるのが通常であることから、即時取得の5要件を緩和し、処分の相手方については、当該契約により制限が加えられていること
につき善意であれば、目的物について担保権の負担のない権利を取得するものとして
いる。
エ 部会においては、従来、設定者の通常の事業の範囲又は契約で定めた権限範囲を超
えた場合の相手方の保護については、民法第 192 条の適用又はその要件を緩和した規10律を適用するのではなく、代理権の範囲を逸脱した場合の相手方の保護(民法第 110
条)の規律が妥当する旨の見解も示されてきたところである。処分の相手方は占有改
定であってもその権利を取得することとなるが、設定者の処分が本文1ただし書に該
当し、又は権限範囲を逸脱する場合において、処分の相手方が占有改定により引渡し
を受けたにすぎず、特定範囲について何らの外形的変化が生じていない場合でも相手15方が権利を取得することができると考えることについては、疑問もあり得る。抵当不
動産の一部が、抵当不動産の通常の使用の範囲を超えて担保権の負担のないものとし
て処分された場合については、民法第 192 条の即時取得の適用があるものと解される
ことをも踏まえ、本文は、民法第 192 条の適用問題として整理している。
オ 集合動産譲渡担保契約により設定者の処分権限の範囲が定められている場合におい20て、設定者の処分が当該権限範囲を超えるものであるが、譲渡担保権者を害すること
を知ってしたものではないときは、本文3のルールがそのまま適用されることになる
と考えられる。
これに対し、集合動産譲渡担保契約により設定者の権限範囲が定められている場合
において、当該権限範囲を超えた処分がされ、かつ、当該処分が、譲渡担保権者を害25することを知ってしたものであるときは、処分の相手方が当該動産の権利を取得する
ためには、本文1ただし書に当たることについて民法第 192 条の要件が、かつ、合意
された権限について本文3の要件が、いずれも満たされる場合、すなわち、処分の相
手方は、設定者の処分権限の範囲の制限につき善意で、設定者の処分が譲渡担保権者
を害することを知ってされたものであることにつき善意でかつ無過失の場合である必30要があると考えられる。
(3) 本文4について
本文4は、集合動産譲渡担保権設定者が、特定範囲に属する動産につき、譲渡担保権
を害することを知って処分をするおそれがあるとき、又は権限範囲を超えて処分をする
おそれがあるときは、集合動産譲渡担保権者は、その予防を請求することができるとす35る規律であり、中間試案(3-2(2))
、部会資料 28(4-3(2))と実質的に同様の内容の
規律である。
3 【案 2.2】について
(1) 部会資料 33 では、譲渡担保契約一般において、設定者が、目的財産について有する権
利を第三者に譲渡することができるか否かについて、これを原則として譲渡することが40 11
できるという部会資料 33 の【案 3.1】
(原則有効説)と、原則として譲渡することがで
きないとする従前からの部会資料 33 の【案 3.2】
(原則無効説)を示したところ、この
うち、部会資料 33 の【案 3.1】
(原則有効説)を採用した場合、特段の規定を設けない
限り、集合動産譲渡担保契約についてもこの規律が適用されることとなるから、集合動
産譲渡担保権設定者は、特定範囲に属する動産につき、担保権の負担のないものとして5の処分に加えて、担保権の負担付きの譲渡をもすることができることとなり得る。
もっとも、
集合動産譲渡担保契約について、
譲渡担保契約一般における部会資料 33 の
【案 3.1】の原則有効説をそのまま適用することとしてよいか否かについては、更に検
討する必要があると考えられる。集合動産譲渡担保権設定者が、担保権の負担のある動
産を、
譲渡担保権者の承諾なく、
多数の相手方に有効に譲渡することができるとすると、10譲渡担保権者による担保目的物の管理が困難になることに加え、
その実行に当たっては、
特定範囲から逸出した動産について、元の所在場所への返還をさせる必要があると考え
られる。特定範囲から逸出した動産に対する集合動産譲渡担保権の効力について、前記
のiからiiiまでのとおりの考え方が分かれるところであるが、部会資料 33 の【案 3.1】
を採用し、設定者が、目的財産について有する権利を第三者に譲渡することができる旨15の規律を採用する場合には、この規律に基づき、集合動産譲渡担保権設定者が担保権の
負担のある動産を第三者に有効に譲渡した場合には、譲渡担保権者が、これを元の所在
場所に戻すよう請求することができるかについては疑問も生じ得る。
そこで、集合動産譲渡担保契約においては、設定者に、担保権の負担のないものとし
て動産を処分する権限が付与されており、これとは別に、担保権の負担のあるものとし20て譲渡することを可能とする必要性についてそもそも疑問があり得ることも踏まえ、譲
渡担保契約一般において、設定者が目的財産について有する権利を原則として第三者に
譲渡することができる旨の規律を採用した場合においても、なお集合動産譲渡担保契約
においては、このような譲渡をすることができないとする規律を採用することが考えら
れることから、
【案 2.2】の規律を提案している。25【案 2.2】を採用する場合でも、譲渡担保権者の承諾がある場合については、特定範
囲に属する動産につき担保権付きで譲渡することを可能とするか否かについては、この
ような譲渡をする場面が想定されるか否かといった点にもよることになると考えられる
ことから、この点を隅付き括弧としている。
以上の規律については、部会資料 33 の【案 3.1】の隅付き括弧において、契約による30別段の定めにより、設定者が目的財産について有する権利の譲渡を制限することを可能
とする規律を採用する場合には、集合動産譲渡担保契約においてもこのような別段の定
めをすることにより、上記のような問題は生じないこととなるから、あえてこのような
規律を設けるまでの必要はないという考え方もあり得る。
(2) 集合動産譲渡担保権設定者が、特定範囲に属する動産を担保権の負担のないものとし35て処分した場合において、当該処分が本文1ただし書に該当し、又は権限範囲を超える
場合には、当該処分の相手方は、当該動産を担保権の負担のないものとして権利を取得
することは原則としてないことは前記のとおりであるところ、
このような場合でもなお、
処分の相手方は、担保権の負担付きのものとして権利を取得するという効果が生ずるの
か否かという点が問題となり得る。40 12
【案 2.2】の規律を採用する場合には、集合動産譲渡担保権設定者は、特定範囲に属
する動産を担保権付きで譲渡をすることがそもそもできないのであるから、上記のよう
な問題は生じないこととなる。
これに対し、
【案 2.2】の規律を採用しない場合には、上記の問題が生じ得るが、設定
者が、特定範囲に属する動産につき担保権の負担のないものとして処分する場合の当該5動産と、担保権の負担のあるものとして譲渡する場合の当該動産とでは、処分の目的物
が異なるものであることから、上記のような縮小的な形での効力発生を認めないとする
考え方もあるとも考えられる。もっとも、この点は、処分に係る契約の解釈によると考
えられる。10第3 優先する譲渡担保権の存在を知らないで譲渡担保権の設定を受けた者の保護
優先する譲渡担保権の存在を知らないで他の者が譲渡担保権の設定を受けた場合は即時
取得が成立することがあると考えられるが、その範囲や効果を次のように考えることにつ
いて、どのように考えるか。
(1) 譲渡担保権を設定することができる者から譲渡担保権の設定を受けた者が、既存の譲渡15担保権のいずれについても過失なく知らなかったときは、その他の即時取得の要件を満た
していれば、最先順位の譲渡担保権を取得する。
(2) 譲渡担保権を設定することができる者から譲渡担保権の設定を受けた者が、既存の譲渡
担保権のいずれかを知っていたか、知らなかったことについて過失があるときは、即時取
得は成立せず、譲渡担保権の順位に関する規定に従って譲渡担保権を取得する。20(3) 譲渡担保権を設定することができない者から譲渡担保権の設定を受けた者が、設定者が
譲渡担保権を設定することができると過失なく信じていたときも、(1)(2)のとおりとする。
(説明)
1 例えば、譲渡担保権の設定者をAとし、既に第1順位のB及び第2順位のCのために譲
渡担保権を設定している動産について、Aが更にDのために譲渡担保権を設定したケース25を検討すると、この場合におけるDの主観的事情は次のようなものが考えられる。
1 B及びCの譲渡担保権をいずれも知っていた(以下、
「知っていた」には過失なく知ら
なかった場合を含み、
「知らなかった」
は知らないことについて過失がなかったものとす
る。)。
2 Bの譲渡担保権を知っていたが、Cの譲渡担保権について知らなかった。303 Bの譲渡担保権を知らなかったが、Cの譲渡担保権について知っていた。
4 B及びCの譲渡担保権をいずれも知らなかった。
上記のうち、Dが、1においてB及びCに劣後する第3順位の譲渡担保権を取得するこ
と、4において最先順位の譲渡担保権を取得することについては、大きな異論は見られな
いと考えられる。2及び3において、Dはどのような譲渡担保権を取得するか。352 Dの主観的事情に従って、Dは過失なく知らなかった既存の譲渡担保権よりも優先する
譲渡担保権を取得すると解することも考えられる。これによると、2においてはBには劣
後するが、Cに優先する譲渡担保権を取得することになる。この場合、譲渡担保権の順位
は、対抗要件の種類を考慮に入れなければ、B>D>Cの順となる。
他方、3においては、DはBには優先するが、Cに劣後することになる。しかし、Dの40 13
譲渡担保権の取得は、BC間においてBが優先することに影響を与えないと考えられるか
ら、D>B、C>D、B>Cとなって、優先順位を一義的に決定することができないこと
になる。既存のBC間の順位を変更することも考えられる(すなわち、Dが知らなかった
譲渡担保権を全てDに劣後させる)が、事後的に現れたDによって順位が大きく変動する
ことになり、妥当でないように思われる。53 そこで、本文では、Dが既存の譲渡担保権のうちいずれか一つでも知っていたときは、
順位に関する即時取得は問題にならず、Dの譲渡担保権の順位は譲渡担保権の順位の決定
に関する一般的な規律に従って決定されるという考え方を示している。これによれば、2
においても3においても、DはB及びCに劣後することになる(B>C>D)。4 本文(3)は、譲渡担保権を設定することができない者が譲渡担保権を設定した場合(例え10ば、1から4のケースで、たまたま目的物を占有していた無権利者EがDのために目的物
に譲渡担保権を設定した場合)に関するものである。
この場合に、Dが譲渡担保権を取得するためには、Eに処分権限があることをDが過失
なく信じていたことが必要になり、この点について悪意であった場合には、Dはそもそも
譲渡担保権を取得しない。一方、Eに処分権限があることをDが過失なく信じていた場合15には譲渡担保権を取得することになるが、その順位については、本文(1)及び(2)と同様に扱
おうとするものである。
5 なお、本文の考え方については解釈に委ねることとし、明文の規定を設けないこととし
てはどうか。この問題は、現行法の質権についても例外的には生じないではないところ、
その処理について明文の規定は設けられていないし、設定者が目的物を占有するという一20般的な譲渡担保権の利用形態を前提とする限り、占有改定又は登記によって対抗要件を具
備することになると考えられるから、譲渡担保権の即時取得が生ずること自体多くはない
と考えられるからである。

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