10 人権の擁護
介護の際に虐待を受けた、無断で財産を処分されたなどの事案が発生
しています。豊かな知識と経験を基にこれからも社会に貢献したい、
地域の人たちと交流し、趣味を楽しみたい...。高齢者が生き生きと暮
らせる社会の実現を目指して、高齢者についての理解を深め、高齢者
を大切にする心を育てる必要があります。
高齢者❸ 我が国は、平均寿命の
大幅な伸びや少子化等を
背景として、人口の4人
に1人が65歳以上の者
となっています。このよ
うな中、介護者等による
身体的・心理的虐待とい
った高齢者の人権問題が
大きな社会問題となって
います。
平成7年12月、国民
一人一人が生涯にわたっ
て安心して生きがいを持って過ごすことができる社会を目指して「高齢社会対策
基本法」が施行され、平成8年7月には、同法に基づき、
「高齢社会対策大綱」
が策定されました(現行の大綱は平成30年2月閣議決定)。 また、
高齢者の尊厳を守るため、
平成18年4月に施行された
「高齢者虐待の防
止、
高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」
に基づき、
高齢者虐待の防止
や虐待の早期発見・早期対応のための施策が進められています。
さらに、
平成30年12月には、
「障害の有無、
年齢等にかかわらず、
国民一人一人
が、
社会の対等な構成員として、
その尊厳が重んぜられるとともに、
社会のあらゆ
る分野における活動に参画する機会の確保を通じてその能力を十分に発揮し、
もって国民一人一人が相互に人格と個性を尊重しつつ支え合い
ながら共生する社会」
の実現に向けて、
「ユニバーサル社会の
実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法
律」
が施行されました。
同法に基づいて、
関係省庁が連携しな
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くろまる内閣府
「人権擁護に関する世論調査」 (令和4年8月調査)
から
あなたが、
高齢者に関し、
体験したことや、
身の回りで見聞きしたことで、
人権問題だと思ったことはどのようなことですか。 複数回答(%)悪徳商法、
特殊詐欺の被害が多いこと
【44.7%】
高齢者が邪魔者扱いされること
【31.7%】
働く能力を発揮する機会が少ないこと
【28.4%】
経済的に自立が困難なこと
【27.9%】
病院での看護や介護施設において劣悪な処遇や虐待を受けること
【33.6%】
アパー
トなどへの入居を拒否されること
【22.2%】
高齢者の意見や行動が尊重されないこと
【14.9%】
特にない
【13.5%】
家庭内での看護や介護において嫌がらせや虐待を受けること
【22.0%】
差別的な言葉を言われること
【17.8%】
人権の擁護 11
啓発冊子
「ともに生きる時代へ 高齢社会と人権」
啓発動画「
『誰か』のこと じゃない。
−支え合う共生社会の実現に向けて−」
がら、
ユニバーサル社会の実現に向けた取組を推進しています。
加えて、
令和元年6月に取りまとめられた
「認知症施策推進大綱」
に基づき、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、
認知症の方や家
族の視点を重視しながら、
「共生」と「予防」
を車の両輪とした施策を推進してい
ます。
法務省の人権擁護機関では、
高齢者を含む全ての人々の人権が尊重される社会
の実現に向けて、
啓発冊子の配布や動画の配信等の各種人権啓発活動を実施し
ています。
また、
普段、
法務局に出向くことが困難な入所者やその家族が、
施設内で気軽
に相談できるよう、
老人福祉施設等の社会福祉施設において、
特設の人権相談所
を開設するなどの取組を行っています。
そのほか、
高齢者と身近に接する機会の多い社会福祉事業従事者等に対し
て、
人権相談活動について周知・説明し、
人権侵害事案を認知した場合の情報提
供を呼び掛けるなど連携を図っています。 1345
平成30年 令和元年 令和2年
319 251 185
高齢者に対する暴行・虐待
42 31 23
令和3年13116
令和4年8123
高齢者福祉施設における
人権侵犯
しかく高齢者に関する人権侵犯事件の新規救済手続開始件数2特集 人権擁護に関する世論調査

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