第4回
持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会
日 時 令和5年8月30日(水) 自 午後 1時55分
至 午後 4時01分
場 所 更生保護会館 4階会議室
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倉吉座長 もうお集まりのようですので、これから第4回持続可能な保護司制度の確立に向け
た検討会を開催いたします。
今回は会場が更生保護会館であります。暑い中御足労を掛け恐縮でしたが、せっかくの機
会ですので、この更生保護会館について、全国保護司連盟の吉田事務局長から一言御説明を
頂きたいと思います。よろしくお願いします。
吉田事務局長 全国保護司連盟で事務局長をしております吉田と申します。本日は本当にお暑
い中、更生保護会館にお越しいただきまして誠にありがとうございます。せっかくの機会で
すので、更生保護会館について簡単に紹介をさせていただければと思います。
お手元に「ようこそ更生保護会館へ」と題しました横置きの資料を用意させていただきま
したので、これを御覧いただければと思います。表紙にも書いてございますとおり、更生保
護活動を行う全国組織の民間団体の事務局がここに置かれているということでございます。
そのうちの一つで、中心的な役割を担っております日本更生保護協会という連絡助成事業を
行う更生保護法人がございまして、その日本更生保護協会が所有、管理をする建物というこ
とになります。
1枚めくっていただきますと、ちょっと古い写真などもございますが、日本更生保護協会
は、戦前は司法保護協会といった時期もございましたし、その前身は輔成会という団体がス
タートでございましたけれども、そこから数えますと、もう来年で110年を迎えるという
歴史のある団体でございます。戦後すぐに千駄ケ谷に事務所を構えるようになりまして、以
後こちらの方で活動を続けているわけですけれども、当初は非常に古い建物でございまし
た。
参考までに付言いたしますと、戦後の混乱期には、法務省の出先の機関、今で言いますと
東京保護観察所などが一時ここに置かれていた、間借りをしていたという時期もあったよう
でございます。そういう建物でございますが、老朽化したということで、昭和62年に全面
改築をして今の建物になって、現在に至っているということでございます。
1枚めくっていただきますと、昭和62年のちょうど改築をしたときの諸行事について紹
介をさせていただいております。更生保護事業、戦前からその前身となる制度があったわけ
ですけれども、その当時から皇室との関係が深く、御理解を得て活動を進めてきたというこ
とがございまして、現在も制度施行50周年、60周年、70周年という節目の年には記念
大会を開きまして、そのときに天皇皇后両陛下に毎回御臨席を頂くわけですけれども、この
更生保護会館ができましたときには、常陸宮同妃両殿下にお出で頂きまして、落成記念の式
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典を実施いたしております。
また、東京芸術大学の学長等も務められました日本画家の平山郁夫先生にも、更生保護に
非常に御理解、御協力を頂いてきておりまして、この会館ができたときには、正にこの会場
を使いまして、その記念の絵画展なども開いたということがございました。平山先生との関
係もございまして、お手元に今日も配布させていただいております日本更生保護協会が保護
司向けに発刊しております更生保護誌の表紙絵も、東京芸術大学の日本画の若手の方に毎回
描いていただいているという関係が続いてきております。
経緯といたしましては以上でございますが、今現在どういう団体が入っているかというこ
とについては、もう一枚めくっていただきますと、日本更生保護協会を中心といたしまし
て、私ども全国保護司連盟、そして全国更生保護法人連盟、これは更生保護施設などを運営
する法人の団体でございます。あと日本BBS連盟、日本更生保護女性連盟、そして、一番
新しい団体でございますが全国就労支援事業者機構、こういった各種の更生保護に関する団
体がここで活動を行っているということでございます。
こういった団体の活動状況につきましては、ホームページなどでも紹介をさせていただい
ております。一番最後のページに、更生保護ネットワークのホームページと全国保護司連盟
のホームページにつながるQRコードを掲示させていただいておりますので、時間があると
きに御覧いただければと思います。また、各種団体の活動を紹介しましたパンフレット類を
席上に置かせていただいておりますので、これにつきましても、時間があるときに御覧いた
だければ有り難いと思います。
以上でございます。
倉吉座長 吉田事務局長、どうもありがとうございました。
それでは、事務局から本日の資料について説明をするということになりますが、特に最後
の3番目の資料3、これは、前回の議論を踏まえて前回の事務局案を修正したものでござい
ます。
それでは、事務局の方から資料1からお願いいたします。
中島企画調整官 事務局でございます。第4回検討会の資料は、資料1、資料2、資料3の3
種類となっております。
資料1は第4回検討会の事務局案、そして前回御指示のありました統計データ、更生保護
行政における組織理念、参照条文となっております。順におめくりいただきながら御覧いた
だきたいと思います。
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まず初めに事務局案でございますけれども、これにつきましては事前に御覧を頂いている
とおりでございます。現状認識、課題事項に対する保護司の主な意見、今後講じていく施策
等となっておりまして、今後講じていく施策等には10の取組を列挙しております。
5ページ目でございますが、特に(10)のところでございますけれども、参照条文にご
ざいます更生保護法第32条の「保護司は、保護観察官で十分でないところを補い、」とい
う条文がございますけれども、そういう関係性、在り方が、今後の持続可能な保護司制度の
確立において適切なのかという問題意識から盛り込んだものでございます。
ちょっとページを戻っていただきまして、4ページ目の施策(2)関係としまして、本日
会場のスクリーンに保護司専用ホームページ(H@)を打ち出しておりますので、若干御覧
いただきたいと思います。
これが、H@のホームページでございますけれども、例えば、「研さん資料」のうち、
「保護司制度研修」に進んで、「保護司会」ところの下に本検討会の資料がございまして、
保護司もH@に入っていただければ、検討会の資料を御覧いただけますし、例えば、各検討
会の部分をクリックしていただくと、法務省ホームページの検討会のサイトにリンクするよ
うになっていまして、それぞれをクリックしていただければ、検討会での資料や議事録など
の全てを御覧いただくことができるようになってございます。
これは、一例でございますけれども、このほかに処遇関係の保護観察等の実施状況の報告
ですとか、そういったことも、自分が担当している事件番号を入力することによって提出が
可能になっているという状況でございます。
これが、事件番号を入力する画面でございます。このような形で事件番号を入力していた
だくと、報告書もH@上で提出ができるという状況になっております。
他方で、若干まだシステムが洗練されていない部分もございますので、事前にポンチ絵で
御覧いただいたとおりでございますけれども、このH@につきましては、順次機能の拡充を
図っていきたいと考えているところでございます。
続いて、資料の御説明を先に進めたいと思います。
前回第3回で御指示を頂いた統計データというものを若干取りまとめてみました。統計デ
ータにつきましては、過去10年分の推移を整理いたしました。
順番に御説明いたしますと、1の保護観察開始人員の年齢別の推移でございますけれど
も、若年層が激減している一方で、それ以外の年齢層は減少はしているものの、それほど変
化がない状況となっております。少年事件を担当することが少なくなってきていることか
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ら、保護司のやりがいと関係しているかもしれないです。
次に、2の保護観察開始人員の男女別の推移でございます。全体的に減少しておりますけ
れども、男性が大半を占めております。
次に、3の保護観察所の規模別・年齢別の推移でございますけれども、これは、それぞれ
大規模庁、中規模庁、小規模庁として、全国で保護観察所50庁ございますけれども、その
中から事件件数ごとに、それぞれ5庁ずつ抽出をして比較をしたものになってございます。
大規模庁では若年層が多いものの、それ以外については大きな差は見られませんで、やはり
幅広い年齢層からの適任者確保が重要になっていると考えてございます。
次に、4の男女別でございますがこれにつきましても、大きな差は見られておりません。
次に、5の保護観察事件・生活環境調整事件の取扱件数の推移でございます。この10年
間で約40%減少をしておりまして、平成25年当時の約60%になっているという状況で
ございます。
それに伴いまして、6の保護司1人当たりの担当件数の推移でございますが、こちらも減
少をしておりまして、平成25年当時と比べて約1.5件減少しているという状況になって
ございます。
次、おめくりいただきますと、これは更生保護行政における組織理念、そして次、おめく
りいただきますと参照条文となってございます。
次に、資料2は構成員からの御意見となっております。今回、第4回につきましては、山
元構成員、そして横田構成員、小西構成員から、それぞれ事前に御意見を頂戴いたしており
ます。
最後に資料3についてでございます。これは、先ほど倉吉座長からも御発言いただきまし
たが、前回、第3回検討会での御議論を踏まえまして、見え消しで加筆修正した事務局修正
案となってございます。
この修正案の3ページを御覧いただきたいと思います。今後講じていく施策等のところで
ございますが、1番目から順に趣旨を御説明いたします。
まず(1)でございますけれども、公募の取組について、ここで想定しておりますのは、
一般的な広く応募を求めるものではなくて、飽くまで保護司活動インターンシップや保護司
セミナーなどを通じて保護司候補者を募集する取組であることを、これは川出構成員からも
御意見を頂戴したところでございますが、それも踏まえて加筆したものになってございま
す。
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次に(2)についてですが、これにつきましては、主に川出構成員、小西構成員、横田構
成員、清永構成員から御意見がございました適格性を判断するための期間、いわゆるプレ保
護司、準保護司、保護司補の趣旨でございますけれども、保護司活動インターンシップを活
用していくということを盛り込んだものでございます。
また、山元構成員から御意見を頂戴いたしました保護司活動インターンシップのガイドラ
イン、マニュアル作成につきましては、次のページ(10)の「また」以降でございます
が、保護司活動インターンシップについて、参加者が保護司活動に対する理解・関心を高め
られるようにすること、参加者の保護司としての適格性を十分に確認できるようにすること
などを踏まえて、体系的なものとするとしています。これは、3ページの(2)のところの
適格性を判断するための期間とリンクしているという関係でございます。
続きまして(3)と(4)でございます。これにつきましては、山元構成員、小西構成
員、宮川構成員から候補者のリスト化の趣旨を踏まえたものでございます。新規に追加して
おります。また、川出構成員意見のBBSといった周辺ボランティアの取り込みの趣旨も踏
まえてございます。順番に読み上げをさせていただきたいと思います。
(3)保護観察所及び保護司会において、令和7年度から、保護司活動インターンシップ
や保護司セミナーへの参加、地方公共団体の広報誌等を通じて保護司に関心を持った者や、
地方公共団体の職員や職域団体の関係者であった者のうち、現時点では都合により直ちには
保護司になることができない者について、本人の意向を十分に踏まえ、将来の保護司を始め
とする更生保護ボランティアの候補者として登録するとともに、保護司の地域活動だけでな
く広く地域での更生保護活動についても理解・協力を得られるように情報提供すること。
(4)上記(3)の登録について、保護観察所及び保護司会において、令和6年度中か
ら、地方公共団体や職域団体の理解・協力を得て、定年退職等が見込まれる当該団体の職員
等に対して、社会貢献活動としての保護司や更生保護ボランティアについての説明を行うと
ともに、適任者である職員等を推薦してもらえるよう地方公共団体や職域団体等に対して積
極的に働き掛けること、としております。
次に、(6)でございます。(6)については、小西構成員、横田構成員、山元構成員の
御意見を踏まえたものとなってございまして、具体的には、「次世代の保護司を育成し、層
の厚い保護司組織を構築していく観点から、役職の任期・定年について留意すること」とし
まして、78歳という具体的な年齢を削除することといたしました。
次に(11)でございますが、横田構成員の御意見を踏まえまして、「協調性」という用
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語を「相互に協力し合うこと」と修正しまして、また、川出構成員、小西構成員の御意見を
踏まえまして、「いわゆる地域の名士にとどまらない多様な保護司像が求められる」、「誠
実さや信頼性が求められる」といった言葉を加筆してございます。
事務局からは以上でございます。
倉吉座長 ありがとうございました。かなりよく見ているなと思っていただけたのではないか
なと思うのですが、特に(11)についてですが、これ、前回も議論ありました保護司法の
3条に、人格及び行動について社会的信望を要することという、保護司の法務大臣が委嘱す
る要件みたいにして一つ挙がっています。そこのところをちょっと変えているというところ
と、それからもう一つは、原案ではここ、(11)の見え消しのところを見てもらうと分か
るのですが、「保護司会の会員として組織的な活動に取り組むことが求められており、その
基本的な資質として」と、つまり保護司会の活動をする上での基本的な資質としてという書
き方にしていたのを、そこを変えて、一般的な保護司として望ましい保護司像、これは使命
につながるかもしれませんが、そういうものとして要件を挙げて、そして、最初に申し上げ
た社会的信望を有することという表現を入れないで、この誠実さ、信頼性で、相互に協力し
合うというのを入れたというところでございます。
そういうこともよく見ていただいて御意見を伺いたいと思うのですが、ただいまの資料3
の、特に最後のところの今後講じていく施策等についての修正案ですが、これについて何か
御意見、それから質問等あればお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。おおむねよ
ろしいですか。
皆さん、うなずいていただきましたので、それでは、第3回の事務局修正案は、一旦はこ
の形で固めるということにしたいと思います。
それでは続いて、第4回の検討会、事務局案の今後講じていく施策等の部分について御議
論いただきたいと思います。
第4回の論点は、「職務内容の在り方」、「保護観察官との協働体制の強化」、そして、
これに関連して、その背景にある「保護司の使命」ということになっております。事務局案
に対する具体的な修正意見とか、あるいは、こういう観点が足らないんではないか等、何か
御意見があれば頂戴していきたいと思います。
まず初めに、御三方から御意見いただいていますので、山元構成員、横田構成員、小西構
成員から御発言を頂くことにいたします。
それでは、山元構成員、よろしくお願いします。
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山元構成員 構成員の山元です、よろしくお願いします。私の事前意見といたしましては、お
手元にございます資料のとおりでございますが、補足をしながら述べさせていただきたいと
思います。
まず、「1保護司の職務の種類に応じた分担制度の導入」というところで、私自身、地区
保護司会の会長として、その立場から述べさせていただきますと、その分担制度を導入する
ということは、一面では分かるのですが、保護司の職務の種類とか職務内容で保護司活動を
区別していくということになるので、その分担制を導入すると、保護司活動が限定的になっ
てしまって、その会務運営に支障を来す可能性が出てくるということです。
それはどういうことかというと、例えば研修受講について、定例研修というのが年3回あ
るのですが、処遇を行わないということであれば、研修受講についても参加しなくていいの
ではないかとか、特定の業務に特化した保護司は、例えば社会を明るくする運動ですとか、
そのほかの地区大会等の行事にも参加しなくてもいいんじゃないかとかという意見が出てく
る可能性もあるということです。さらには、懇親会の参加の有無とか会費をどうするかとい
うこととか、あるいは、ひいては表彰関係とか、いろんな点に影響を及ぼす可能性が出てく
るということです。分担制を導入するということは、保護司にある面で階層が生じてしまっ
て、排他性が生じる可能性があるというところを危惧しております。
そうすると、地区会長としては、保護司全体として一体感を持たせてまとめていかなけれ
ばならないのですが、会務運営に非常に支障が出てくるという可能性があるので、保護司会
内部で、分担制度じゃなくて自分たちで持ち回りとか自治的に役割を決めて進めていくのが
いいのではないかなということでございます。
それから、「2不安や負担の軽減」ということで、「(1)保護司の不安につきまし
て」、保護司活動をしていて不安に思われるという方に聞きますと、そのほとんどは、経験
不足、あるいは知識不足といったところから生じることが多いというものです。そこで、複
数担当制や相談体制を充実させること自体には賛成なのですが、ベテランの保護司になって
まいりますと、ある程度経験を積んでまいりまして、処遇活動なんかにも慣れてきていると
いうところで、逆に単独で処遇をした方がいいという方もおられます。ですので、全てのケ
ースで複数担当制というよりも、その担当者に応じて対応していただくのがいいのかなと思
っております。
続いて、「(2)保護司の負担軽減につきまして」ですが、実際のところ、各保護司個人
の環境によって異なってくると思います。ただ、近年の傾向としては、保護司の活動を負担
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に感じている方は多くなっていると思います。処遇活動や会務が複雑化してきているという
ことも原因ではありますが、その根本的な原因というのを考えてみますと、やはり社会にお
ける篤志家の概念が変わってきているのではないかなと思っています。3代にわたって相続
が行われると、相続税が高いということで祖先から承継した財産がなくなると、ちまたでは
言われていますが、そういったこともありまして、従来から言われている篤志家というのが
減少してきているのかなという印象です。
また、シャッター商店街や歯抜け商店街と言われるように、時流改革や価値観の変化で小
規模小売事業者が減少してきているということもあります。保護司になっていただく方で、
この小規模小売店の店主とか事業主の方が非常に多かったんですね、今までは。ところが、
なかなかそういった方たちが減ってきて、成り手が不足しているという現象が起きていま
す。そうすると、働き盛りの年代は、やはり自分の生活をしていくために仕事をしなければ
ならないということから、夫婦で共働きという方も多くて、経済的にも時間的にもボランテ
ィア活動を行うことは難しいと。これは保護司活動に限らず、他のボランティア活動全体で
も同じような傾向があるということです。
例えば、消防団や民生委員などが典型な例で、こういった方たちとお話しすると、やはり
人手が足りないということです。そこで、社会全体としてボランティア活動に負担感なく参
加できるような方策を考えていく必要がある。私自身が保護司活動をしていて、保護司の活
動というのは、ある意味、資本主義とか競争社会、貨幣経済とか、そういったところとは何
か別の価値観あるいは世界観の側面があるのかなと思っております。
そこで、これらを念頭に置いた上で負担を解消していくためには、保護司の社会的地位を
向上させて、1人でも多くの方が保護司を退任するときに、保護司になってよかったという
方策を考えていく必要があるのではないかと思っています。つまり、今まで行ってきた負担
が報われるような方策を考えていく必要があります。金銭的な報酬も考えられますが、ボラ
ンティア精神が失われる可能性もありますので、注意が必要です。
昨日、豊島区保護司会の方に公認心理師と精神保健福祉士を目指す学生の方が研修に来ら
れまして、若い方が9人いらっしゃって、お話を伺う機会があったのですが、その席で、や
はり保護司が無償だということが信じられないという意見があったり、ある面、私だったら
絶対金銭的な報酬がないとやらないという、若い方たちの考え方だと思うのですが、そうい
う方たちもいるというのも事実で、若い方たちの中にはそういう考え方もあるのかなと思い
ました。
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そこで、保護司を就任したことによる機会損失というか、ある面では機会損失が生じてい
るわけなのですが、そこでその損失を上回るようなインセンティブというのが必要だと思う
んですね。そのインセンティブを増やしていくには、例えば、表彰人数を増やすとか、経験
年数を積んだ保護司には一定の国家資格を付与するということも考えられるのではないかな
と思っております。国家資格といいましてもいろいろあるので、私自身もその国家資格にす
ごく詳しいわけではないのですが、保護司を何年かやっていると、例えば何か国家資格とい
うのが授与されるとか、あるいは何かその実地研修が免除されるとか、そういったことによ
ってインセンティブを与えるというのも大事なことなのかなと思っております。
続きまして、「3研修等の休日・夜間の実施」ということで、年3回行われる地域別定例
研修があるのですが、地区保護観察官と地区保護司による、地区保護観察官が研修の講師と
なって、我々がそれを聞いていくのですが、そういった面で、いろいろフェース・トゥー・
フェースで研修が行われるので、非常に絆を深めていく上ではいいと思います。保護司の中
には、地区保護観察官の顔を見たことがないという方も結構いて、こういう機会でないとや
はりコミュニケーションができないということで、やはり保護観察官が身近に感じられて、
コミュニケーションを取っていく上でも、こういった顔と顔を合わせる機会が大事なのかな
と思っています。
また、研修を受講するということは、法律や社会環境が目まぐるしく変化している現在、
保護司活動の重要な職務でもあると思います。その重要性は年々増してきているのかなと思
っています。ただ、パンデミックを経験して、オンライン研修でも研修が行われたわけなん
ですけれども、やはりコミュニケーションには限界があって、モチベーションが余り高くな
かったのかなと。豊島区保護司会では、研修が終わった後にアンケートを取ったのですが、
やはり地域別定例研修の方がよかったとか、いまいち理解がちょっと難しかったという意見
もありました。そこで、引き続き保護観察官の地域別研修というのは続けていただくことが
大事かなと思うのですが、受講できなかった場合の補講の件なんですね。
これについては、現在、東京保護観察所では補講日は本庁で1回限りということで行われ
ているのですが、こちらも昼間の時間帯で、昼間ふさがっている方は夜じゃないと出られな
いということで、それから、全保護区の未参加者を対象とするので、非常に数も多くなって
きていると伺っています。ですので、やはりちょっと限界があるのかなという点で、解決す
る方策としては、やはり休日・夜間ということも考えなければいけないかと思うのですが、
この点に関して、補講については、例えば一、二名、各保護司が認定講師というか講師がで
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きるように研修を受けて、そこで地区保護司会の実情に合わせた補講を開催して、研修受講
率を高めるという方法もあるかなと思っています。そうすると、夜間の時間帯とか休日も対
応できるということで、きめ細かな対応が整うのではないかなと思っております。
続きまして、「4研修資料等のデジタル化」ということで、先ほどH@を見ていただいた
んですが、過去の研修の受講歴とか、H@が充実してくれば当然そういうことが行われるか
とは思うのですが、復習や学習機能というのも付けたりして、例えば、研修が終わった後
に、丸バツ式とか簡単な質問を行ってフィードバックするということも一案ではないかなと
思います。
それから、「5保護観察官の積極的関与」というところで、地区保護観察官の積極的関与
が重要であると、処遇活動開始前では、文章だけでは分からない処遇のポイントや注意点を
明確にして、以後の処遇活動の参考にできると思います。また、必要に応じた保護観察官と
対象者との面接が行われることにより、長期にわたる処遇の場合にマンネリ化を防止した
り、対象者の保護観察への認識を高める効果も期待できると思います。事後的には、自分の
行った処遇活動が適切であったかどうかと、今後の方針を模索することによって処遇活動に
役立てることができるということですね。これも、実際に自分で今経験しているのですが、
長期間の面接というのはやはりマンネリ化し、特に執行猶予は長期にわたるケースが多いの
ですが、マンネリ化してくるんですね。そうしたときに、霞が関の東京観察所の方に行って
いただいて面接をすると、環境が変わってくるので、その後また緊張感を持って面接が行え
るという効果も期待できております。そういう面でも保護観察官の関与というのは大事だな
と思っています。
以上です。
倉吉座長 ありがとうございました。五つの論点がありまして、皆さんの意見を伺いたいと思
いますが、特に私が思ったのは1と2なのですが、1の担当制についてはやや問題があるか
と。それから、2の方の負担軽減策としての複数担当制や相談体制、これは積極であるとい
う二つの意見が併記されています。現場の実態を踏まえて、保護司の皆さんはどうお考えか
というのを是非知りたいと思うのですが、保護司の構成員の方から御意見を頂きたいと思い
ます。
では、杉本構成員、いかがですか。
杉本構成員 保護司の仕事を分担制にすると、やりたいという人は確かに増えるだろうなと想
像はできるのですけれども、今保護司をやっていない人に、処遇活動なしで、例えば社会を
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明るくする運動には参加したいよとかという人は、私の身の周りでいうと、そういう人は多
いだろうなとは思うのです。
ただ、保護司会の中のことを考えると、やはり定数として処遇活動を行わない人がいたり
すると、本当にそれこそ表彰とかもどういう感じになるのかなというのは、さっきお聞きし
て、どういうふうにするのかなというのが想像できないところがあるなとは思いますね。
ただ、処遇活動についても保護司会の活動についても、恐らくもう既に各保護司会の状況
に合わせて、しばらく担当持っていない方がいたりとか、あと広報の活動とか、自分ができ
ないものは担当していないというか出ていないとか、できるものだけ参加させてもらってい
るとかということは、今ももう適宜、何か工夫しながら会の運営をされているなという印象
はあるんです。主任官とも話をして、恐らく今担当を持てないとかということも言えている
とは思うので、仕組みとして変える必要があるのかというのはちょっと、今の段階でもでき
ているところもあるのかなと思うので、そこがもうちょっと、皆さんがそれを理解できるよ
うな、お話を頂けるのであれば、もうちょっとやりやすいというか活動はしやすいとか、保
護司を誘うときにもそういうこと、融通が利くという話が何か具体的にできるのであればい
いのかなというようなことも思いました。
倉吉座長 2の方の複数担当制や相談体制、これについてはどうですか。
杉本構成員 私も、複数担当が必ず全員となってしまうと、やりづらくなるというか、対象者
によっても、人が余りに関わるとやりづらいことはあるかなと思うので、いい場合と悪い場
合とあるのかなと思うので、それはケースによって主任官が分けてくださるといいかなと思
いました。
倉吉座長 ありがとうございました。
野見山構成員、いかがですか。
野見山構成員 そうですね。担当制の場合、以前事務だけをやる方はいらっしゃいました。
倉吉座長 事務だけをやる、保護司会の事務だけですか。
野見山構成員 ええ、会計も全て。それは企画調整保護司の方もいらして一緒にやるという状
況をとってやっていました。その方が高齢で辞められて、今は事務局の保護司と、あと女性
の2人で企画調整やっているのですけれども、やっぱりものすごい事務量が増えて忙しく
て、ああいう事務の方がいらした方が楽だったなということはおっしゃるんですけれども、
ただ、私たち会員が忙しそうねとは言っても、どのくらい忙しいか、その質と量というのは
ほとんど分かっていないという状況ですね。だから、担当制として、保護司が別になると、
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やっぱりちょっとまた違った面が出てくるのかなという。事務だけ担当している方はいらっ
しゃいましたけれどもね。
倉吉座長 続いて、後半の方の複数担当制や相談体制はいかがですか。
野見山構成員 複数担当制は、主に新任の保護司さんとともにというのが今、うちの方は主流
です。だから、ベテランの方が2人でやるということはありません。
倉吉座長 むしろ、新任の人の研修も兼ねてではないけれども、勉強も兼ねてという観点から
はうまくいっているという感じですか。
野見山構成員 はい、それはうまくいっています。
倉吉座長 ありがとうございました。
宮川構成員 分担制度については、僕も山元構成員がおっしゃるように、保護司としての中で
分けるのはちょっと反対かなとは思っていますけれども、それでも必要である分担、誰かが
やっぱりしなければならないことがあるんであったら、短いスパンで役割が変わっていくよ
うな仕組みと、その中で、例えば、前やった人が残って次の人が入って2人体制でするんや
ったら、残っていく感じで育成する仕組みというか、全員がやっていきながら、全員にちゃ
んと負担分担ができるような仕組みであるとかというのが、あった方がいいのかなと思いま
した。
倉吉座長 なるほど。その分担というのは、その保護司会の事務だけをやる人のことを念頭に
置いて話しておられる。
宮川構成員 事務だけというの、違いますね。保護司が事務をするのであればという。
倉吉座長 保護司が事務をするのであれば、そうすべきだという話ですね。
宮川構成員 その中で、誰かがひたすらし続けるんじゃない仕組みの方がいいと思います。
倉吉座長 つまり、ほかの仕事もした方がいいということでしょうか。だから、処遇活動か地
域活動か。
宮川構成員 もちろん、それが保護司の仕事ですし、全てを含めて保護司だと思っているの
で、する中で、保護司の中で役割を回すのであれば、もう回ってくるよぐらいの勢いの方が
いいのじゃないかと思います。外に振るのであれば、例えば、本当に振るべき作業とかそう
いうものを、事務だけのものとかがあるのであれば外に振ってもいいんですけれども、そこ
の部分についても、先ほど出ていたプレであったりとかインターンシップのように、保護司
候補者としてそこに存在するという形を作ればいいのかなと思っています。
僕、予備自衛官なんですけれども、自衛隊の部分も、自衛隊本体があって、即応予備自衛
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官というのがあって、予備自衛官があって、更に自衛官補という段階を踏んでいます。あそ
こも人数が少ないんで、いっぱい集め方をしているんですけれども、どういう段階を踏んで
本体に入っていくかという仕組みというのがあると、別のさっきの施策の中にもありました
けれども、外郭団体とかその周辺のところからどういうふうに取り込んでいくかという、段
階の部分ができているのかなと思います。
次の部分と関わってくるかもしれないんですけれども、その分担していく中で、第2回に
大田区保護司会の更生保護サポートセンターを視察したときにもお話があったかもしれませ
んが、公認会計士だからずっと会計作業をされていた方とかおられたと思うんですけれど
も、そこら辺の話で杉本構成員もいらっしゃるんですが、自分が持っている職業であったり
とか資格を使ってその部分をするというのは、また違う話になってくるんじゃないかな思っ
ていて、そこに頼っちゃうと、お金が発生するか発生しないかは別として、自分が本来持っ
ている職業資格を使うというのと、そうじゃない人がするというのは違うのかなというイメ
ージがあります。何ていったらいいのか、ちょっと言い方が分からないですけれども、どう
してもどの会も、何か会計士の会員が入ってきたら、もう全部財務任せちゃえみたいな話に
なってくるんですけれども、それって、やっぱりちゃんと報酬が発生する仕事なんで、そう
いうところは考慮すべきところかなと思っています。
複数担当については、先ほども出たようにやっぱり育成という部分がどうしても必要にな
ってくると思うんで、ベテランの方1人でしたいという人もいるとは思うんですけれども、
どうしてもその育成が必要な場合は、お願いしますよというやり方の方がいいんじゃないか
なと思います。
倉吉座長 ありがとうございました。今の会計事務だけをやるというのは、地方更生保護委員
会又は保護観察所の事務を行うというのが保護司の仕事だということで法律で決まっている
わけですから、それを一切やらないで、保護司会の会計事務だけをやると、それはちょっと
問題になるんだろうと思うんですね。だけど、逆に保護司本来の仕事をしながら、それもや
んなきゃいけないというのは、それが大変だというのはよく分かるし、後ほど施策の方で出
てきていますが、保護局の方も努力をして予算を取って、賃金職員を配置するようにしてい
るようですが、やっぱりそういうことを考えていかないといけないのかもしれませんね。
栁川構成員 まず1の分担制度なんですけれども、全国の保護司会、どこでも皆さんが心配な
されているのは、やっぱり会計事務のソフトの扱い方でみんな苦労していると思うんです。
私の地区会でうまくヒットしている理由は、役所の青少年課長とか青少年相談室長を経験し
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た保護司が3名いるんですよね。
そうすると、エクセルとかの会計ソフトをみんなに分かりやすいソフトに組み直して、毎
月みんなに謝金とか会計事務のことを全部、A4で分かりやすいようにパッと出してくれ
る。要するに、事務にたけているとか、たけていないではなくて、適材適所でそういう人材
をうまく見付けていくのが、やっぱり保護司会の一つのみそかなって。大変だ大変だと言っ
ていけば、やっぱり人材は見付からないので、うまくそういう人たちをヒットさせて、連携
させていく。だから、3年に一遍ずつ青少年課長、どんどん増えていくわけじゃないんだけ
れども、うまく交代して次の人につなげていく。
あとは、やっぱり会計事務で一番置かれるのが、お金の出金とかそういうので、特定郵便
局長が2人いるんですよね。そういう人たちをうまく使うというか、会の運営そのものもそ
うなんだけれども、適材適所をする前に、どういう人材を保護司会で確保していったらいい
のかなというのが、やっぱり会の運営としてスムーズにしていく上で欠かせない。ただ、口
でこう言っても、その地域や保護司会によってそのバランスがみんな違う、大きい組織もあ
れば、当然小さい組織もある。そこで人材がヒットするというわけには必ずしも当てはまら
ないんだけれども、当てはまるような地区会であれば、そういう人たちをその場で口説くん
じゃなくって、長い目で口説いて、やっぱり役所のOBなんか3年、4年掛かりで口説きま
すよ。それでうまくヒットする、全員がヒットするわけじゃないので、福祉の部分でもやっ
ぱり福祉部長を何年か一遍に保護司になってもらったり、それも一遍に言うんじゃなくっ
て、絶えず一緒にいろんな仕事をしているので、じわりじわりうまく引き込むというか、組
織を運営していくには適材適所というんだけれども、じゃあ、どの人材をどうやって当ては
めていったらいいのかというのが、やっぱり本来の組織の在り方じゃないかなって考えてお
ります。
うちの方は、だから、全く組織運営については問題ありません。何をやらせても、パワフ
ルな保護司がいっぱいいるので、それはそういうセクションでうまくこう、みんなが人材を
見付けていく。保護司の適任者確保もそれに全部こうつながっていくというふうな流れの中
で、分担制度というか、やっぱり事務が抜群の人はいろんな事務をしてもらうとか。
あと、複数担当制のことでは、負担軽減についてなんですけれども、やはり是々非々の問
題があると思うんですよね。神奈川でも、私の地域は県下でも絶えずトップスリーの保護観
察事件数なので、一時はトップを争ったことも結構あるんだけれども、その中で、ベテラン
の保護司と経験の少ない保護司をかみ合わせてく、矛盾さは時々感じますよね。やっぱり若
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い保護司なので、年配の保護司とは年の差が当然あるわけなんですよね。考え方、進め方に
よって、先輩の保護司が、こうなんだよ、ああなんだよって言うと、若い保護司は、僕はそ
ういう保護観察指導ができないよとか、やっぱりその埋め合わせをどこで複数担当制でして
いくのかなと思う。
学べる部分もあります。逆に、年配の保護司が、若い保護司はやっぱりこう考えているん
だって、当然世代の相違はあるわけですから、だから、その中のすり合わせで、是々非々の
問題でうまくヒットすれば複数担当制はいいのかもしれないけれども、あるいは、是々非々
なので、非の部分で、若手の保護司は、やっぱり年配の保護司は決めてかかって話ししちゃ
うのかなとか、そういう相談は、私は門戸を開いているので、何でも言ってくれよって言っ
て聞く立場が多いんですけれども、だから、答えは言いにくいんだけれども、やっぱり是々
非々をどうやって捉えていくかなというのは、答えの出ない問題かなと思います。ヒットす
れば必ずいいと思いますよ。今言ったように、ベテランの保護司が若手の保護司に学ぶこと
もあるし、若手の保護司が全然知識を知らないのはベテランの保護司から学ぶ部分もあるけ
れども、ただ言葉の問題や指導の問題で、年代のギャップ差で、それは違うのかなというの
は、ベテランの保護司と若手の保護司の双方から聞きますね。
倉吉座長 ありがとうございました。今の最後の点なんかは、やっぱり両方で意見を交換し合
う、あるいは感覚の違いを正直にさらして共有し合うことによって、新しいものが生まれる
というところもあるんでしょうね。それは、前回議論した多様性の問題につながるのかもし
れないし、そこはじっと耐えてやっていくのがいいのかなあという感じが今、栁川構成員の
話を聞いて思いました。
栁川構成員 だから、複数担当制をちょっとオーバーラップすると、平塚では、定例研修以外
に自主研修でロールプレイとか保護司役とか、本当に実際にあった担当でぐちゃぐちゃにな
った事件を保護司が講義してくれるんですよね。そうすると、どうやってこの保護司は対応
するのかって。複数担当制の以前に、私の地域なんかは、ロールプレイとかグループミーテ
ィングがすごく好きなので、何でもかんでも話し合うというのが好きなので、だからそこ
で、正直にその場で、それはおかしいよと言っても構わないよって言って、それで、みんな
でこうガラガラポンして、どれがいい悪いじゃなくて、こういうやり方もあるね、こういう
やり方もあるね、ああいうやり方もあるんだって、やっぱり保護司によって指導の仕方や感
覚的なもの、あるいは言葉で、紋切り型で言う人と優しく言う方と、慰め型とか見守り型と
かいっぱいあるので、そういうのをみんなで共有するとか。
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基本的には、どの地区会でも、定例研修以外に自主研修会の中で、いかにみんなで話し合
っていくかというのは、私たちは第一条件にしています。本当に自然に複数担当制の流れに
なっても、終わった後に、二人だけじゃなくて何人かの保護司で、どうだったの、こうだっ
たのって、やっぱりみんな複数担当制のことは興味持っているんですよ。自分の指導の仕方
というのは自分しか分からないので、だから、それをどうやってこうみんなで、逆に言った
ら、どうやって共有していくのかなというのを考えていかないと、保護局が進めていった複
数担当制の本来の道筋を間違えちゃいけないなって思っています。
以上です。
倉吉座長 大変面白かったですね。ありがとうございました。
それでは、今の1、2の論点も含めて、1から5までありましたかね、山元構成員の意見
全体について、何か質問とか感想とか意見があれば、皆さんからお伺いしたいと思うのです
が、どうですか。
井上構成員 3点ほどございます。まずデータに関して、今回いいデータを出していただい
て、非常に分かりやすいなと思っております。データの1ページのところで、これ、現状把
握、前回私も保護観察事件数の推移について、さっき事務局からも説明ありましたけれど
も、前回私が利用した資料よりは、こっちの方が見やすいなと思って拝見しておりました。
特にこの年齢別の推移のところは、私が前回申し上げた保護観察処分少年の数と仮釈放者の
数が逆転しているということで、もしかすると、年齢の高い人が増えているんじゃないかと
いう、そういった質問をしたんですけれども、この表を見ると、やはりまだ数は減ったとい
っても、19歳以下、また20歳から39歳までのこの年齢層が全体としては多いんだなと
いうのが読み取れました。全体として40%減っている中で、特にこの19歳までの数が7
割減っているというのが、やっぱりかなり大きな変化かなというふうに思います。だから、
この若い層の比率はまだ多いとはいえ、やはり19歳までの数が激減しているというのが、
一つ保護司の年齢とか対応に関しても、必要な情報じゃないのかなというふうに思いまし
た。
追加で、これは入り口の話なんですけれども、出口ですね。この年齢層の方が再犯する場
合にどのぐらいの再犯率なのかというのが出口データとしてあると、要は、これぐらいの年
齢の人たちは非常に再犯率が低いとか高いとか、そこで多分問題が見えてくるんではないの
かなと思いますので、年齢別の再犯率データが出てくると、より今回の議論に関しても有効
じゃないのかなというのが1点あります。
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あと、データに関してもう1点なんですけれども、担当件数ゼロという、前回私が申し上
げたそういう方が一定数いらっしゃるということが、今回のデータの4ページのところで、
保護司1人当たりの担当件数というところで、1人当たりの担当件数はこれで明確に出てい
るんですけれども、ゼロの方がいらっしゃるという、あれアンケートなんで、多分集計する
のはすごく、累計の件数がゼロということでしたんで、どうやってデータが取れるのかよく
分かりませんけれども、難しいのかもしれませんけれども、それがあるとすごく、更に議論
が煮詰まるのかなというふうに思いました。これが1点目のデータの話です。
2点目なんですけれども、分担制度の導入の話、今、保護司の構成員の方々から御意見を
いただいて、本当に参考になりました。私、先ほどの事件数担当ゼロという方がいらっしゃ
るということを、やはりなくすことが必要なのかなというのが、先ほどの保護司の方の意見
で、プラスに感じているところです。ですから、やはり皆さん、保護司であれば事件を担当
するのが当然というお考えに私も賛同しますし、そういうふうにするためには、事件数ゼロ
の方をなくさなければいけないと。そのためには、やはり複数担当制、複数指名制という言
い方になるのか、ちょっと私、正確な言い方よく分かりませんけれども、複数指名制で、ま
ず保護司に最初になった方には必ず事件を担当してもらうと、ゼロにならないようにする
と、1件でも担当すると、そういうことであれば、全員保護司としての処遇活動については
経験済みということなんで、次のステップの事務作業どうするのという話につながりやすい
のかなと思うので、その一番最初のところは、もちろん全て複数指名制というのは、皆さん
もかなり違和感ある方もいらっしゃるようので、そういうことではなくて、とにかく最初に
保護司になられた方には担当してもらうと。そのときには複数で担当していただければ、事
件数が少なくても、多分経験できるだろうというふうに思うので、その点、この分担制度に
関しては、意見をそういうふうに申し上げたいというふうに思います。
それで、事務作業のことなんですけれども、第2回に大田区で申し上げた、私も調停委員
の中で会計の担当をやれと言われて、会計士なんでやれと言われて、それで担当したんです
けれども、やっぱり会計って独特の知識なのでいろんな事務が発生するんですね。会費を徴
収するところとか督促、やっぱり会費払っていただけない方もいらっしゃるんで、その中に
は、前回、野見山構成員がおっしゃったのか、どうして会費払うんだみたいな方もいて、
私、質問されたりした経験もありますし、かなり、単なる事務だけじゃなくて、精神的にも
結構負荷が掛かるような、そういった仕事でした。
そういった精神的以外にも、事務的にも最終的には決算書を作って、それを監査を受ける
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みたいな、そういったところなんで、これ、私は専門家なのでできるんですけれども、持続
性はないなと、この状態だと。ずっと私がやり続けるか、同じような方に、特定の人がやる
しかないなというふうに思ったので、さっき栁川構成員がおっしゃったように、私も誰でも
できるような、もう仕分とか簿記とか全く関係なく、数字をここの欄に入れれば決算書がで
きるというのを自分で組んで、そんな難しいソフトじゃないんですけれども、エクセルベー
スで作って、それで今、試しに、次の私の後任の方に、全く会計のこと分からない方にやっ
てくださいと。これちょっとやって、分かんないことは私に聞いていただければいいんだけ
れども、これで全くそういうことの知識のない方ができるかどうか、ちょっと使ってみてく
ださいというので、今やっていただいている最中なんですけれども、この間も途中経過をお
聞きしたら、取りあえずスムーズにいっているみたいなんで、やっぱりそういうちょっと易
しいソフトにするという仕組みは、工夫は必要なのかなと。でも、それをやってしまえば、
多分どなたでもできるような仕組みというのはできるんではないかな。
これ、事務作業全てに関して多分言えることではないのかなと思うので、やっぱり慣れた
方、さっきの栁川構成員のおっしゃった、慣れた方に最初やってもらって、それを簡素化し
てくと。私の目標も、私が引き継いだときの労力の負担が10分の1ぐらいで次の人に渡す
というようなぐらいの目標を立てて工夫したんですけれども、やっぱりそういう、各保護司
会の中でそういった工夫をして、もう既にされているところもあると思うんですけれども、
苦労されているところは必ずできますので、会計に関しては簡単にすることというのはでき
ますので、それはやられたらどうかなというのが2点目の話です。
3点目の、今日ちょっと、研修の話ちょっとしか出なかったんすけれども、やっぱりこれ
は、いろんなところで今、eラーニングという制度をやっていて、少なくとも公認会計士協
会ですとか一般の企業の研修というのは、研修会をリアルでやるんですね。リアルでやるん
だけれども、そのときに、リモートで入れるようにしておいて、そうすると、リモートを使
うと録画できるんですね。その研修会の録画をしておいて、それを後でそこに出られない方
が見るという、これが多分、今、一般的な使い方じゃないのかなと思うので、これはリアル
もできるし、リモートもできるし、時間が、そのときに出られなかった人も見られるという
ことで、多分一般的にこのやり方が、現状のITの環境では一番やりやすいのかなと思いま
すので、是非eラーニングは導入されたらどうかなというふうに思いました。
以上3点です。
倉吉座長 ありがとうございました。システムの簡易化を10分の1にするってすごいです
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ね。大変参考になりました。eラーニングの点も、これから考えていかなければいけないと
ころなんでしょうね。ありがとうございました。
横田構成員 まず、分担制の件、若干皆さんのお話を聞いていて分からなくなった点がありま
す。事件担当と地域活動と事務が大まかにあり、私、もともと想定していたのは、井上構成
員がおっしゃっていたように、事件を担当してこそ保護司だというふうに思っている一方、
他のお仕事の負担が多く、処遇活動はやるけれども、地域活動までなかなか手が回らないと
いう方が多いのかと想像をしておりました。一方で、杉本構成員のお話だと、いや、処遇活
動は荷が重く、地域活動だったら参加できるという方もいらっしゃるということを、おっし
ゃっていましたかね。
杉本構成員 私の世代というか、私が保護司の説明をしたり、関心持ってくれた人と話すとき
は、地域活動のようなことはやってもいいけれども、処遇活動をやるというのはもう荷が重
過ぎるという方は多いなという印象はありますが、今の保護司の中で、処遇活動しなくてい
いよという何かがあるわけではないです。
横田構成員 ありがとうございます。皆さんおっしゃるとおり、全部ができた方が、総合的に
保護司の在り方を理解して進められるという観点では、絶対的にというのは多分誰も否定が
できない部分だと思います。会計ソフトなどについては、いいものができた横展開をさっさ
と、地区ごとで工夫するんじゃなくて進めていただきたいと思います。やっぱり全部ができ
ない前提に立ったときに、どうできるのかという議論が必要で、そこはもうちょっと情報を
整理した上での議論をした方がいいと感じた次第です。あと、データの件だけ1点教えてい
ただきたいなと思って、いいですか。先ほど、小規模庁、中規模庁、大規模庁別の数値をい
ただきましたが、保護司会の規模と相関しているという認識でよろしいですか。
中島企画調整官 事務局でございます。これは、飽くまで保護観察所の大、中、小ですので、
保護司会と連動しているというわけではございません。つまり、例えば、大規模ですと東京
保護観察所は件数がものすごく多いんですけれども、かといって、東京保護観察所管内にも
様々な規模の保護司会がありますので、そこと厳密に連動しているかというと、そういう分
類にはなっておりません。
横田構成員 はい、分かりました。ありがとうございます。
倉吉座長 よろしいでしょうか。
では、ほかの方はいかがですか。
小西構成員 今の分担制度に関してなのですけれども、保護司法の1条の保護司の使命として
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は、規定されているのやはり、処遇活動と地域活動、いずれも保護司の使命としてあるとい
うことだと思います。ですので、やはり保護司の活動の中でも、両者をきちんと共に行うと
いうのは、今の法制度のままであれば、それは行う必要があるだろうと思います。その中
で、実際のところ、今回出していただいた1人当たりの担当件数がかなり減少してきている
と。平成25年がおよそ4件だったのが、令和4年だと2件、2.5件ぐらいだというよう
なところで、地域によってはもう全然件数もないところもあるかと思います。
その中で、やはり一つは、先ほど井上構成員がおっしゃったように、共同で特定の事件に
関して担当するという、そういうこともありますし、でも、それがない地域であったとして
も、保護司の使命としては、処遇活動だけでなくてやはり地域活動もきちんと位置付けられ
ているので、それは地域活動にその場合には専念していくという、そういう柔軟性を持っ
て、どちらも担当できるようにというのを常に維持しておくような形で持っていくのが必要
であるだろうと思います。
もう一つ、先ほど横田構成員が整理されていたように、事務という面に関しては、またそ
れは別の位置付けとして、それに関しては、自分としては、保護司の使命としては、そこの
ところに特に位置付けられているものでもないので、そこは外部に委託するとか、それは意
見の中にも書かせていただきましたけれども、保護司の方が処遇活動と地域活動に専念でき
るような形で、今後制度化していくというのが必要なのではないかと考えております。
以上です。
倉吉座長 ありがとうございました。そのとおりですね。
では、横田構成員からお願いします。
横田構成員 改めまして、データの件、お出しいただきましてありがとうございました。若年
層が激減しているとはいえ、若手、40代以下が多いことには変わりがないということの一
方で、保護司会の方は全般的に高齢化をしているということです。やはり、現役世代を積極
的に巻き込んでいく必要があるということは、確認されているのではないかというふうに感
じております。なので、本当は今回の取りまとめの部分も、今後もデータの推移を見なが
ら、理想的な保護司会の在り方というのは定期的に見直していくということが重要であるこ
とも、是非書き加えを検討いただきたいというふうには思っています。
では、今回お持ちした事前の意見提出について説明をさせていただきます。毎回エクスキ
ューズから入るんですけれども、私、門外漢になりますので、皆さんからしたら若干違和感
のあるコメントもあるかと思いますが、御容赦いただければと思います。
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全般的に申し上げたいのは、負担軽減のためのメリハリが、保護司会の中でも保護観察所
においても重要であると考えて、三つお持ちした次第でございます。
まず1点目は、私、一応柔軟な働き方とか新しい働き方に非常に積極的な人間なので、ま
ず、今回事務局からお示しいただいた中に、やはり保護観察所の協力をより強化していくと
いう方向での文言が多数記載されていることに、非常に懸念を感じました。正直、保護司の
方々がボランティアで御協力を頂いている中なので、そんなこと言っている場合かよという
ふうに御意見、現場の方からは出てくるかもしれませんけれども、公務員の方も含めて、今
は働き方改革だったりとかいうことが進められているところでございます。なので、記載の
中で土日、夜間の勤務を増やしながら、平日の代替休日を取るなど、柔軟なことは書かれて
いましたけれども、公務員の方も、ある一定の限度、歯止めが必要だというふうに感じてお
りますので、そういったところは、保護司会の方も配慮をしていく必要があるであろうとい
うのが一つ目です。
二つ目はICTツール、非常に便利なものになってきますけれども、いつでもつながって
しまうという不便さもございます。緊急案件でない限り「つながらない権利」というものが
誰しもにあるということも、是非御留意を頂きたいということが2点目になります。
3番目、土日・夜間、これ保護司側もそうですけれども、今の若手世代、30代とかにな
ってくると、育休をしっかり取りなさいとか、家事労働、妻だけに任せるべからずという流
れがございます。土日・夜間というのは、現役世代にとっては結構、男女問わず共働き世代
の中で重要な時間となっているかというふうに思います。なので、保護司側の活動において
も、研修などやはりメリハリが必要だというふうに、私は感じております。もうこれだけは
参加をしてほしい、これは選択できるということを、うまくメリハリをつけていく運用が必
要なのではないかというのが、1点目の大きな点というふうに捉えいただきたいと思いま
す。
2点、3点目については、地域活動について、前回からいろいろお話を伺っている中で、
かなり幅が広いなという印象を受けております。事件数も減少している中で皆さんとの一体
感を得る中で、地域活動もかなり幅が広がっていて、絶対的に必要なものとそうでないもの
と、もしかしたら交じっているのかもしれないなというふうに印象を持ったので、うまく地
域、他の自治会などの活動とかと連携しながら進めていくことはできないのかなあなどとい
うふうに感じたものです。というのも、保護司会だからこそ必要な地域活動というところに
限定をして、必須のものは絞り込んでいくことで、先ほど小西構成員から、いや、処遇活動
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だけなんてあり得ないよってお話がありましたけれども、処遇活動メインで、地域活動のこ
れは絶対ねみたいにところを限定してくと、より参加がしやすくなるのではないかというふ
うに思った次第です。
3点目は、事務も研修も広域的に対応を検討することもあり得るのではないかというふう
に思っております。これは、自治体、大学でも同様の動きがあり、1団体単独でやっていく
ということが、人手不足の中で難しくなっているということから、広域的にカバーし合うと
いうことが一つの流れとしてございます。もしかしたら保護司活動の中で、セキュリティー
の問題、個人情報の問題で難しい点もあろうかというふうには思いますけれども、少なくと
も研修に関しては越境で行うこともできるというふうに思いますし、共同での分担をしない
ながらの運営というのも考えられるというふうに思います。
eラーニングじゃちょっと難しいという意見、あるいは、eラーニングのお勧めもあった
と思いますけれども、やっぱり対面が大事という意見はあるかと思います。私の経験上から
申し上げると、基礎知識はとにかく動画、短時間で対面という、メリハリだというふうに考
えておりますので、うまくそういったことを、一体感を作るために、短時間でこのときだけ
はみんな集まろうよみたいなことを、ちゃんとケアしているよというふうに思えば、お忙し
い保護司の方も参加がしやすくなるのではないかというふうに思います。
以上です。
倉吉座長 ありがとうございました。真ん中で話された地域活動の点が、これ本当に難しい問
題だなと思うんですが、この次の第5回で、待遇と活動環境についてまた議論をしますの
で、むしろそっちの方が本番かなという気もしましたが、皆さん是非参考にしていただきた
いと思います。
それから、最初の1番目の点ですね。公務員の働き方改革というのは、私自身も公務員時
代から非常に関心があって、私も上の立場でいながら、それが十分にできなかったと非常に
忸怩たる思いがずっとあります。霞が関で勤務している者は皆そうなんですが、保護観察官
に対して、例えば、今日のような提言があった場合にどういう対応するかということについ
て、保護局でも当然考えているのではないかと思うので、押切構成員から一言コメントいた
だければと思います。
押切保護局長 これまでに大変参考になる御意見を頂いていると思います。やはり私どもの立
場としては、今国家公務員離れといいますか、なかなか採用も難しくなってきたり、いろい
ろ忙しい環境であったりする中で、職員の福祉を守りながらやっていくというのは、我々の
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務めだというふうに思っています。一方で、我々の分野というのは非常に特殊で、民間の保
護司の方々に、場合によっては夜間・休日も対応いただいているわけで、そこに対して、や
はりできる限りのことをしていかなければならないという立場でございます。職員の福祉を
守りながら、保護司の皆様が活動しやすいように、充実した活動ができるように、こちらも
対応していくという、この二つを両立させる、最大限両立させていくということが大切だと
思っております。
倉吉座長 ありがとうございました。では、小西構成員からお願いします。
小西構成員 私の資料は、先ほどの横田構成員の資料の次のところにございますが、まず最初
の○しろまるの部分ですが、これは、保護局の方で作成された、「今後講じていく施策等」の(1)
とか(2)に関わるところかと思います。保護司が処遇活動と地域活動に専念できるように
ということは、先ほどもお話させていただきましたが、保護司専用のホームページ、H@の
機能拡充、利用促進などIT化を進めながら、とにかく保護司の方の事務的な業務はやはり
本来的な業務というよりも付随的なものだと思うので、これは量を削減していくということ
を目指すのが必要であろうと思います。
保護司活動デジタル化ロードマップの資料を事前に頂きましたが、そこのところには、配
布されるタブレットは各地区1台ずつということで、目標なので今後更に増やしていかれる
ことかと思うのですが、実際のケースでの活用の中では、まだ1台ずつだとちょっと十分で
はないのかなと感じました。今後更に、予算のこともあるかと思うんですけれども、台数に
関しては充実化させていくことが必要なのではないかと思います。今、小学校中学校の生徒
たちは、みんなGIGAスクール構想ということでタブレット端末が全員に配布されている
というような状況ですので、保護司の皆さんももっと活用できるような形で、予算に関して
大変かと思いますけれども、御検討いただければと思います。
2番目の○しろまるですが、これが施策等の(1)とか(9)に関係するかと思います。保護観察
所が、保護司会等の事務的業務を、可能であればですけれども、部分的にでも引き受けるこ
とも含めて、保護司に求める事務的業務の量、これも最近、例えばサポートセンターの運営
など増えてきている面もあるのかななどとも思いますが、それをとにかく削減することを検
討していくということとともに、事務担当の保護司を置くというよりも、むしろその保護観
察所の協力の下で、保護司会とか更生保護サポートセンターに事務専門の職員を別途配置で
きるようにするべきなのではないかと考えています。
例えば、ほかの職能団体のようなところとか、あるいはある程度の規模のNPO団体など
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も、事務担当の職員を置いておられたりしているので、やはり保護司会においても、全部保
護司の方がやるというよりも、やはり負担量が増大する中で、事務専門の職員を配置できる
ようにするとか、ほかに委託できるようにするということも、選択肢として考えることが必
要になってきているのではないかと思いました。やはり保護司の方は、処遇活動と地域活動
に専念できるということが望ましいのではないかと考えています。
3番目の○しろまるですが、これは(4)に関係するところかと思いますが、罪を犯した人等への
息の長い支援を地域社会において実現するためにも、保護司による保護観察終了後の元対象
者への助言や援助、これは、保護司のベテランの方とかだとやはり長く、元対象者の方が相
談に来たりすることもあるというのは、いろいろお伺いしておりますが、その中でも、例え
ば実費弁償金の支払など、保護司に対する国からの十分なサポートも可能にするということ
が必要なのではないかと思います。息の長い支援ということになると、やはり保護司の方に
いろいろ御負担、お世話になる場合もたくさん、長期間に及ぶことにもなるので、そこはも
う十分なサポートをしていくことも、併せて行わなければならないのではないかと思いま
す。
4番目の○しろまるですが、これは(5)に関係しているところですが、保護司の活動となると、
やはり処遇活動が注目を集めがちですが、現在地域活動の重要性が増してきているようにも
思われます。対象者が減少してきているという、本日配布いただいた資料の中にもあります
が、そういう状況の中で、保護司の方々が一層地域活動に取り組めるようになったというこ
ともあろうかと思いますし、また、地域のことをよく知っておられ、地域を大切にされてき
たからこそ、地域の犯罪予防活動にふさわしい方々であるということもあろうかと思いま
す。こうした地域活動というのは、地域の特徴に合わせて創意工夫の余地もあり得るのであ
り、そうした活動の活性化の中で、保護司活動の楽しさ、これは前回の井上構成員の発言
で、楽しさのようなものがやはりあるといいのではないかというお話があったのですが、そ
うしたものも結構感じられることもあるのではないかなと思います。
こうした地域活動に類した活動というのは、やはりほかの更生保護ボランティアの活動の
中でも、幅広く取り組まれてこられていると思います。その中でも、BBS会も、いろいろ
地域に合わせて地域活動に当たるようなことをされてきたり、あるいは更生保護女性会も、
例えば、今回配布されているこの『更生保護』の雑誌、2023年8月号がございますが、
この36ページ、37ページで、これは非常に身近なことなのでちょっと触れさせていただ
きますが、本学の校舎内にございます更新会という更生保護施設で、常務理事の山田先生
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が、これを御紹介してくださっていますが、地域の更生保護女性会の方たちが来て、いろい
ろ料理を在会者の皆さんに作ってくださって、また交流の場を持たれたりとかとされていま
す。地域ごとに、こういういろいろ工夫をして、いろんな連携をしながら活動していくとい
うことが、より幅広くBBS会でも、更生保護女性会でも、そして保護司会でも広がってい
き、対象件数が減少してきている中で、重要な役割として、この部分に関しても、今後更に
展開され得るのではないかなとも思いました。
もう一点、6番目の○しろまるのところですが、(6)の施策の関係で、EBPM、エビデンスに
基づく政策立案が求められる中で、地域活動についても効果検証を行い、どのような地域活
動がより効果的なのかなどを明らかにしていくことには、意味があると考えられます。やは
り現在では、行政の様々な活動に関しても、エビデンスを出してということが求められてい
く中で、地域活動についても、それぞれのところで自由にされてこられていると思うのです
が、例えば、ベストプラクティスなどを明らかにしていくことは、今後この部分を展開して
いく中でも重要なのではないかなと思います。
私からは以上となります。
倉吉座長 ありがとうございました。幾つかありましたが、私、ちょっと印象に残ったのが、
最後のベストプラクティスの点なんですけれども、これって本当に難しい。抽象的な話は、
考えてみたら幾らでもできるんですけれども、論証できるのかというのは難しいんですが、
それを何とか頑張ろうという話ですよね。その決意と、それから、タブレットの話が出まし
た。小学生並みに1人1台って、本当にそうだなと、僕なんかも素人で考えるんですけれど
も、現場の保護司会の方で、保護司に1人1台タブレット必要だみたいな感覚はあります
か。
横田構成員 1点だけいいですか。
倉吉座長 どうぞ。
横田構成員 私、事前に事務局に伺ったら、H@は自分のスマホとかパソコンでも普通にアク
セスができるものと伺っているので、本当にそういったツールをお持ちじゃない方がタブレ
ットを活用されるのかなという印象を持っています。
倉吉座長 やっぱりそうかな。さっきのH@も含めて、特にないですか。何か参考になること
があれば。
山元構成員 うちの保護司会では、実はそのタブレット、なかなか普及しないということもあ
って、今いろいろ予算を捻出して、1人1台ということで全保護司に配布しております。そ
- 26 -
れは、目的は何かというと、やはりICT化ということで、連絡等とか、それからレジュメ
というかスケジュール管理なんかも、そのタブレットでできるように今はしつつあります。
ただ、これは1人1台、皆さんに活用していただくということで差し上げたのですが、中
には、そんなの要らないという方もいらっしゃいまして、結構、相当数いらっしゃるのも事
実です。
それと、もう一つはタブレット操作に習熟していないということで、これも個別相談会を
開いてはいるのですが、個別相談会に来ていただける方はいいのですが、もうそこら辺も放
棄している方もいらっしゃったりして、全員にという、1度に全員にというのは難しいので
すが、実際に活用してみますと、先ほど言ったスケジュール管理なんかも、どこどこの部会
がいつどこでこういうことをしますとか、それから、会議がいつこういうふうにありますと
いうことで、今まで、今もそうなんですけれども、はがきでいちいち全部会員に送っていた
のが、それが徐々に減ってくるだけでも、やはり違ってくるかなというところもあります。
実態としては、3分の1までいかないですけれども、4分の1ぐらいの保護司の方は否定
的、これは本当に直感でしかないんですけれどもね。ですが、若手の保護司は非常に積極的
に使っていただいているというところです。
倉吉座長 ありがとうございました。先ほどのH@でもありましたけれども、あれは保護司会
から配るタブレットも含めてですが、それがない人は、今、横田構成員がおっしゃっていた
ように、自分ので見てということですか。
山元構成員 もちろん自分のスマホとかからも入れますので、あえてタブレットが要らないと
いうこともあるんですが、逆に、いろいろセキュリティーとかプライバシーの問題とかもあ
りますんで、専用に持って、そこから会としては活用していただいた方がいいかな。使い分
けていただいた方が、間違いが起きないかなと思っています。
倉吉座長 先ほどの説明では、H@は個々の処遇事件の報告等もするわけだから、その情報が
もし漏れたりしたら大変なことになる。これは素人考えなんだけれども、セキュリティーは
大丈夫ですか。
中島企画調整官 そこは、独立してセキュリティーが確保できるようにということで、整備を
しております。
倉吉座長 ありがとうございました。
それでは、一通り御三方の御意見について伺いましたが、そのほか関連した御意見でもほ
かの御意見でも、あるいはこの事務局の原案に対する御意見ありませんか。
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どうぞ、川出構成員お願いします。
川出構成員 まず、分担制度についてですが、これまでのお話を伺っていますと、この問題
は、要は処遇活動をしない保護司というのを認めるかどうかという問題なのだろうと思いま
す。皆さんの御意見を伺うかぎり、それは認めるべきではないという意見が圧倒的多数のよ
うですし、私も同意見です。そうしますと、それ以外の地域活動と事務の部分をどうするの
かという話になりますが、まず事務に関しては、小西構成員がおっしゃったように、保護司
でなければできない内容のものでなければ、保護司の中でそれを専門に担当する人を決める
というよりも、外注するなり何なりして、担当者配置するという方法をとるべきであると思
います。
それから地域活動については、それが重要性を増しているというのはそのとおりなのです
が、横田構成員がおっしゃったように、これについても保護司ではないとできないような活
動に限定する方向で考えていくのが、保護司さんの負担軽減という観点からは望ましいので
はないかという気がします。もちろん、余裕がある保護司会には積極的に行っていただくと
いうことでよいのですが、地域活動が非常に負担になっているような場合には、その地域に
同じようなことができる他の団体があるのであれば、その人たちと協力するという形で負担
を減らすということを考えていくのがよいのではないかと思います。
倉吉座長 ありがとうございました。先ほどの保護司会の事務ですね、それはできるだけ外注
にと、川出構成員からもお話ありましたけれども、もちろん、今回の事務局案の4ページの
今後講じていく施策等の1ですけれども、保護司会の運営に関する事務を補助する保護司会
運営補助賃金職員を配置していると、これ予算を措置してやっているということなんですよ
ね。これがやっぱり非常に望ましいんだろうと思います。
ほかにはございませんか。
どうぞ、宮川構成員。
宮川構成員 次回のために知っておきたいんですけれども、よその保護司会の地域活動という
のは、具体的にどんなのがいろいろあるかというのが分かっていないんです。多分、保護司
会によってやっている地域活動というのは違うと思うので、次のときに話すときに、ここは
こんなことしているよとかいうのが分かっていれば、またちょっと考えることがあると思う
んで、知りたいですっていう。保護司会としても、やっているのは7月1日の社明運動のと
ころで大きくやっているとか、その表彰であったりとか、論文大会とか、そういう事業とか
はやっているんで、それが全国的なものなのか、うちらの四国とか香川だけなのかとか、も
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っとほかのところはこんないろいろやっているよというのが、やっぱりエリアの規模感とか
も違うと思うんで知りたいなというのがあります。
倉吉座長 分かりました。もし今話せることがあれば...、栁川構成員。
栁川構成員 私の地域は、事業をちょっと多過ぎるほどやっていても弊害が全然ないんですよ
ね、みんな出てくることが大好きなので。だから、どこの地域も全国レベルで、地域別定例
研修は年間3回なんだけれども、毎月自主例会をやっているんですよね。それ以外に、やっ
ている事業が結構、五つ、六つあるんですよね。
手っ取り早く言えば、例えば社会貢献事業をしなさいということを、平成13年ぐらいか
ら障害者施設に、保護観察対象者とともにそこでボランティア活動をして、重度の障害者施
設なので、通常の車椅子じゃなくてベッドのような車椅子を外に散歩に連れて行ったら、そ
の身障者が初めて外へ出られて感激したとか、逆に、どうしょうもなくて手の付けられなか
った青少年が、僕は健全なのに、なぜ僕が保護観察を受けなきゃいけないのかって、涙流し
てその大きなベッド押して田んぼを回ったとか、それで一遍に本人の性格が変わったとか。
社会貢献活動もそうだし、あと社明運動の話が出たんですけれども、全国で最初に、私、
平塚で、日本一貧乏球団の湘南ベルマーレの地域になるので、そこで啓発活動やって、ハー
フタイムにグラウンドの中で、今まで誰も考えられなかったけれども、何でハーフタイムに
一般人が中で、のぼり旗や横断幕を持って犯罪予防活動できるんだというのを、平成23年
ぐらいから既にスタートしていたり、あと、学校との話合いなんかも、もう昭和の時代から
やっていたし、今問題になっている保護司会の事務というか行政の保護司会の事務担当や、
三役と青少年相談室というのが、大きな青少年会館そのものが全部サポートセンターで使え
るんですよ。保護司会の三役で作ったデータが担当事務員と全部共通のファイルで持ってい
るので、何かのときにそのデータをすぐその場で出せるんですよね。もしよかったら、いつ
でもデータは出せるので。
倉吉座長 そうですね。特に、今みたいなエピソード付きがいいですね。そこで対象者がこん
なに変わったとか、そういったものが非常に参考になるかなと思いました。
栁川構成員 それも社会貢献活動で、横浜保護観察所の中で実際にやっている女性の保護司が
全部発表して、それをレジュメで文書的に作ったんですよ。施設側も、本来出さない文書
で、施設側がこういう状況で受け入れて、今後も、身障者施設なんだけれども、保護観察対
象者を施設が受け入れる限りは受け入れてくれますよって、施設側がそういうコメントも出
してくれたんですよ。
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倉吉座長 ありがとうございました。そういうのを出していただいて、宮川構成員も参考にし
ていただければと思います。
栁川構成員 あんまり出し過ぎると、一人ひとりの考えにちょっとびっくりするから、あんま
りデータ出せないんだけれども、本当に出すと10幾つ、全国に先駆けた事業をやっている
ので、集まるのがうちの方は好きなもんで、7月の社明なんか4回ぐらい集まるので。
倉吉座長 ありがとうございました。
宮川構成員 参考になるレベルのものが、またほかにもあったかというのと、うちのところは
案内がかからない、全員に、多分。全員に、来られる人来たらいいような話になっているん
で、いうたら役員とか理事の人の中でやろうってなっちゃっていて、一般の保護司というか
全員には、これがあるから来てねみたいな感じはもう言わない感じになっているんで、逆に
言うと、いつか消滅しそうな気もするしみたいなのもあるんで。
倉吉座長 なるほどね。一般的な熱意とか、運営のありようの問題ですかね。
宮川構成員 会長が、私が行くから大丈夫みたいな。
栁川構成員 うまいこと言えないんだけれども、人が集まりやすいような保護司会の組織にす
ると、適任者確保うんぬんっていうけれども、私たちの地域は適任者確保が当てはまらない
んですよ。定数70で、ほとんど70に近い数字で集まってくるし。さっき言ったいろんな
役所関係とか、うまくそのセクションですぐに適任者を見付けるんじゃなくって、3年、4
年、あるいは5年掛けて、口説いて口説いて入ってくれる人なので、入ってくれる人にした
ら、そういう下準備があって、保護司会の意味も分かって、保護司の活動も分かっているの
で、入りやすいというか、その下地作りの大切さは、私たちは全員が共通して持っているん
で、全員の意識として考えてほしいということは絶えずしゃべるし、文書にもするしね。
倉吉座長 その地域活動が新しい保護司候補者の発掘にもつながっているという、こういうこ
とですか。
栁川構成員 小西構成員と神奈川県の会議でよく一緒になるんですけれども、この間も県の会
議で私、ちょこっとお話ししたんだけれども、本来は小西構成員と同じ趣旨の意見書を書き
たかったんだけれども、つい最近までちょっと病院で静養していたもので、自損事故でちょ
っとおなか2か所切ったので意見を提出できなかったんですけれども、やっぱり処遇活動と
地域活動の中で、保護司がどうやって当てはめていくかって、地域の中で保護司がどうやっ
て地域の人と関わっていくかというのが、やっぱり処遇とは別に地域活動の中でどうやって
皆さんと手を組んで、次につながる人材作りをしていくかというのも、やっぱり処遇とは別
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に地域活動で保護司の活動の在り方とか、サポートセンターについては平塚もその大きな全
館自由に使えるのあるんだけれども、あの地域の中規模公民館の大きい公民館の中でも面接
できるようなシステムを今、三つも四つも増えているんですよね、一番身近なところで保護
司がよりどころになれるというふうな。そこの館長さんが保護司であったり。だから、それ
を地域活動の中で、保護司が地域の中でどうやって位置付けでいてくれるかというのが、や
っぱりそれが一つのファクトになると、保護司が動きやすいし、次の後任も探しやすいとい
うか。だから、いろんなパターンを作っていけば、いろんな選択肢を作っていけば、その中
で適任者の確保ができてくる、あるいは活動もできていくって、それは絶えず私はみんなに
言っているんですけれどもね。
倉吉座長 ありがとうございました。
では、横田構成員、どうぞ。
横田構成員 ありがとうございます。地区によって本当にバリエーションがあることを理解い
たしました。
私も宮川構成員おっしゃっているように、幾つかの地域で構わないので、地域活動こんだ
けあるというのと、保護司の数と保護司の年齢層のばらつきを出していただきたいのと、井
上構成員おっしゃっていた、処遇活動担当を過去何年か、あるいは直近1年でしていない人
数と、各保護司さんの処遇活動の担当平均件数というの、もしヒアリングベースで何か表に
して、一覧表で拝見できると、様子が分かりやすくなると思いましたので、御検討いただけ
れば幸いです。
倉吉座長 御指摘ありがとうございました。その点はできるだけ準備できるようにしましょ
う。それから今日御出席の保護司の構成員の皆さんも、自分のところでこんなことやってい
るよとか、こんなエピソードがあったよとか、あるいはもっとこんなところがあればいいな
と思うというようなことも、もし出せるものがあれば、次回にまた出していただければ有り
難いと思います。
野見山構成員 地域活動といったら、ほかの団体とのタイアップ連携で進めるということは多
々ありますよね。例えば警察、薬物、私なんかは、「ダメ。ゼッタイ。」の薬物乱用防止を
やるときは保健所とかも、そういうのと一緒にティッシュ配りをやるという。それから、防
犯・暴追運動というのは警察とともにやるといった、その他団体とのタイアップという、そ
ういうこと。
倉吉座長 それでも結構です。もちろん、ペーパーに出すというのが負担になるようだった
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ら、ちょっと次回時間取って口頭で発表してもらえれば、宮川構成員は非常に参考になるだ
ろうと思います。私たちも参考になります。そういう前提で、あんまり重荷の負担と考えな
いでやっていただければと思います。ありがとうございました。
川出構成員、どうぞ。
川出構成員 今後講じていく施策等の(10)について、意見を申し上げたいと思います。資
料1の1ページに書かれていますように、更生保護法の32条に、「保護司は、保護観察官
で十分でないところを補う」という規定が置かれていまして、この意味は、その下に記載さ
れていますように、地域性・民間性という保護観察官にはない特性を処遇にいかすというこ
とだとされています。ただ、両者の関係性という観点からこの規定を文字どおり読むと、そ
れは、専門的知識を持つ保護観察官が処遇の中心であって、保護司はそれを補助する者だと
いうことを示しているようにも読めます。
その一方で、1ページのタイトルのところにも書いてありますように、保護司と「保護観
察官との協働態勢」という言葉がしばしば使われます。実際にも、(10)の中に書かれて
いますように、保護観察官と保護司の活動というのは、主従の関係にあるわけではなく、そ
れぞれの特性に応じた処遇の役割分担を行っているというものですし、それは望ましい姿で
あろうと思います。そうだとしますと、32条の「保護観察官で十分でないところを補う」
という規定は、誤解をうみかねないものですので、例えば「協働」という言葉を使うなどし
て、文言を変えた方がよいのではないかと思います。
以上です。
倉吉座長 おっしゃるとおりで、(10)はそういうニュアンスを十分に出している文章だと
思っていまして、私、川出構成員と全く同感で、裁判員制度ってあるわけですけれども、あ
の制度ができたときに、これどうするんだと思ったりしたんですけれども、専門的な知識を
持っている裁判官と一般的な地域社会につながりのある普通の市民の常識、これがコラボし
て初めていい判決になるんだと、いい裁判になるんだって発想なんですよね。それは、互い
に対等で、対等な立場で合議をしてやって結論を出していくということになっています。当
時、裁判員制度に対する批判の中の一つとして、裁判員が裁判官と同じ意見だったら、制度
自体無駄だし、裁判官と違う意見だったら、それは弊害があるという意見もありました。
だけど、そうじゃなかったんですよね。裁判員制度、非常にうまくいっています。だか
ら、私もここで、保護司の皆さんと保護観察官との関係というのはやっぱり協働関係だとい
うのが、だんだん皆さんのお話を聞いて分かってきて、川出構成員のおっしゃっていること
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もそのとおりで、場合によっては条文の見直しということは、これからあり得るんじゃない
かなと思っておりますが、これはちょっと個人的な感想です。
それでは、最後に、今回は、特に保護司と保護観察官との関係性の在り方ということが大
きなテーマでしたけれども、それの背景にある「保護司の使命」について、今日の議論を振
り返って感じたことがあれば、いかがでしょうか。
では、小西構成員。
小西構成員 繰り返しのようなことになりますが、処遇活動と地域活動に関して、キャパシテ
ィーがこれぐらいだとすると、地域によっては処遇活動がすごく少ないところもあるかもし
れませんけれども、その分、地域活動に専念もできるし、従事できるのではないかなと思い
ます。
その中で、先ほど栁川構成員がおっしゃられたような、いろいろ、その地域の特色を持っ
て、例えばサッカー場に行って社明運動をいろいろ宣伝したりとか、ちょっとその中で楽し
みというのですかね、なかなか入れないグラウンドに、社明運動をする中で入っていって活
動をするとかというので、そういうところで何か工夫しながら、保護司の皆さんが保護司会
ごとに特色のある形で地域活動を更に展開していくと、前回の井上構成員がおっしゃられた
ような楽しさの面というのですかね、なかなか処遇活動で楽しさというのは難しいところが
あるかと思うのですけれども、それ以外のところで、みんなである種ワイワイしながらとい
う場面もあるかもしれませんが、話合いながら活動を展開していくというのも、保護司の一
定数をキープしていくという中では、そういうところで参加していただくことの楽しみ、喜
びもあるということを理解して、一定数をキープしていくということも、一つの方向性とし
てあるのではないかと思います。使命としても、この二つの点というのはやはり重要なので
はないかなというのを、今日またいろいろお話をお伺いしながら思った次第です。
以上です。
倉吉座長 ありがとうございました。
では、横田構成員、どうぞ。
横田構成員 私、山元構成員の一つ目に書かれていた、保護司になられる方々の環境が変わっ
て、篤志家の方が減っていて、保護司の担い手が変化しているという点リアリティーのある
御意見、非常に参考になりました。長年の歴史があるものの、これまでと同じような形では
成り立たないのではないかなというふうに思っているし、そこのバランスをどう取っていく
のかが非常に重要なんだなというのを、改めて感じました。何回か読み直していきたいと思
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います。
以上です。
倉吉座長 ありがとうございました。
どうぞ、栁川構成員。
栁川構成員 今、横田構成員とか山元構成員の話で、保護司の例会の在り方もかなり、どうや
って集まるかという集まり方自体も、研修会自体もこれから変わっていくんじゃないかな。
昨日、神奈川県の更生保護大会を私どもの平塚でやるので、相模原から西の県西が私たち
のブロックなので、5市10町1村で八つの保護司会と九つの更生保護女性会で、ちょっと
時間があったので、コロナ後にみんな動けるようになったら、どうやって集まっているっ
て。やっぱりみんな今、生活のバランスとかで、若い保護司なんかが、平日の定例会をなぜ
やるんだという、そういう疑問があって、一つある保護司会で試してみますって、ある保護
司会で土曜日とか日曜日にやったそうなんですよ。そうしたら、それを発言した若手の保護
司が誰も出てこなかったんだって。土日でやってくれって言っていた保護司が、結局は笑い
話で、みんな会長ばっかりなので。だから、じゃあ、どうやって取り組んでいったらいいの
って。
女性会は夜はできないので、昼間の会議しか、それもお昼食べて午後の1時から3時ぐら
いまでで、晩の支度があるから女性会の会議も終わりにしますよって言っても、やっぱり
今、女性会も若い女性が入らないで、本当にもう後期高齢者ばっかりの女性会になっちゃっ
ていて、これだとじり貧だとか。
やっぱり保護司会も、今言ったようにどうやって定例会を持っていくか、自主研修会、あ
るいはどんな事業をやっていくかって、バランス感覚を見てもやっぱり、若手の保護司の話
を聞いてみようということで実行した保護司会が、結局発言した四、五人の保護司が誰も出
てこなかった、これどうしたらいいのってみんなに投げ掛けて、じゃ、結論出ねえなって
ね。話だけは対応策でみんなで考えようよって、これ余談なんですけれども。
だから、これ、保護局の方も是非考えていただきたい。本当に山元構成員や横田構成員の
意見で、やっぱり生活のバランスが狂ってきて、ただ、今まで集まっていたものが本当にい
いのかどうなのかというのも、やっぱりどこですみ分けしていくのかというのが今後大きな
課題になると思うんだよね。保護司を見つけるよりも、例会の出席率が低くなっちゃったか
らどうしようかというのも考えていかないと、やっぱり人が集まらなければ何もできないの
で、これは全国886の保護司会ですが、全部同じ問題を抱えているんじゃないかなって思
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っております。
倉吉座長 大変難しいですね。本当大事なところ。ありがとうございました。
どうぞ、井上構成員。
井上構成員 使命ということで、話に聞くと、この制度、保護司の制度を導入するときにいろ
いろ、戦後をすぐだったらしいんですけれども、アメリカはこういうのは全部国がやってい
るという話を伺ったことがあって、そういった観点からすると、国がやるべき仕事を今、民
間の保護司が代わりにボランティアでやっているという、その立場というのはやっぱりちゃ
んと理解しておかなきゃいけないんじゃないのかなと思います。
だから、さっき「保護観察官を補う」というのは、もしかすると、本来保護司が全面的に
ボランティアでやる仕事じゃないんだよということを、そこで言っているのかなというちょ
っと気もしたので、私は飽くまでも保護司が一生懸命こうやっているというのは、やっぱり
本来国がやるべき仕事をやっているという位置付けを、どこかで押さえておいた方が、多
分、今の保護司法の根底にはそれが流れていると思うんですけれども、いろんな法案を改正
するときに、そこのところが、保護司の地位というのかな、使命を高めることによって、全
て保護司に責任があるような、そういう書き方にならない方がいいなと。だから、国がやる
ことを保護司の方でやっているから、国はもう全面的にサポートしろよと、だから、いろん
な事務的な予算も、さっき座長がおっしゃったような、それは積極的に付けるべきだし、い
ろんな保護司の人が困っているところがあったら、国が全面的に支援すべきだというところ
は、やっぱりどこかに残すべきではないのかなというふうに思っております。
だから、難しいんですけれども、使命をすごく高めることで、国の一部になっているとい
うことが乖離してしまうと、ちょっとそれは逆にマイナスの、今まで保護司会に対する支援
というのが弱まるんではないのかなという危惧がありますので、そこら辺気を付けながら、
改正に向けてやっていただければいいかなと思っています。
倉吉座長 それは本当に大事なところですね。何かずっと聞いていると、前回もそうでしたけ
れども、常にいろんなことのバランスを取りながらというところが、この問題の難しいとこ
ろですね。ありがとうございました。
では、そろそろ時間も参りましたので、本日はこの程度にとどめたいと思います。よろし
いでしょうか。
第4回検討会を終了いたします。長時間にわたってどうもありがとうございました。お疲
れさまでした。
- 35 -
―了―