資 料2 山元構成員
資 料 1山元事前意見
1 保護司の職務の種類に応じた分担制度(担当制)の導入
地区保護司会の一会長の立場から述べさせていただきますと、保護司の分担制
度を導入することは、保護司の職務種類に応じて、保護司活動を区分することに
なりますので、制度として分担制を導入すると、保護司活動が限定的になること
から、会務運営に支障をきたす可能性が出てくるという事です。
たとえば、研修受講について、処遇を行わない保護司は研修受講についても参
加しなくていいのではないか。あるいは、特定の業務に特化した保護司は、社会
を明るくする運動を始めとした地区行事に参加する必要がないのではないかとい
う意見が出てくる可能性があります。さらには、懇親会の参加や会費をどうする
か、ひいては表彰関係に至るまでいろいろな点に影響を及ぼす可能性が出てきま
す。つまりは、制度として保護司の分担制度を導入することは、保護司に階層が
できてしまい排他性が生じる可能性を内包しているのではないかという事です。
そうすると、保護司会として一体感をもたせる必要がある会務運営に支障が出
てくる可能性があります。あくまでも、分担制度としてではなく、保護司会内部
で、自治的あるいは持回りで担当の役割りを決める程度にとどめておく必要があ
ると思います。
2不安や負担の軽減
(1)保護司の不安につきまして
保護司の不安につきましては、そのほとんどが経験不足から生じることが多い
と思われます。そこで、複数担当制や相談体制を充実させることには賛成です。
ただ、ベテランの保護司で経験豊かな保護司の場合は、単独で処遇活動をした方
がいいという方もおられますので。すべてのケースに複数担当制を導入すること
には限界があると思われます。
(2)保護司の負担軽減につきまして
保護司の負担軽減につきましては、実際のところ、各保護司個々人の環境によ
って異なっていると思います。ただ近年の傾向として、保護司の活動を負担に感
じている方は多くなっていると思われます。処遇活動や会務が複雑化してきてい
るということも一因ではあります。しかし、その根本的な原因は、社会における
篤志家の概念が変わってきていると思います。
「3代にわたり相続が行われると、
相続税が高いことから、祖先から承継した財産が亡くなる」といわれているよう
に、従来から言われている篤志家は減少していると思われます。また、
「シャッタ
ー商店街・歯抜け商店街」などといわれているように、物流改革や価値観の変化
などにより、小規模小売事業者が減少してきている現象もあります。
そうすると、働き盛りの年代は、やはり自分の生活をしていくために仕事をし 2なければならないという事から、夫婦で共働きも多く、経済的にも時間的にもボ
ランティアの活動を行うことは厳しい環境となっています。これは、保護司活動
に限らず、ボランティア活動全体で同様の傾向があると思います。例えば、消防
団や民生委員などが典型的な例です。これらのことが、保護司活動の負担感を増
やしている根本原因だと考えられます。そこで、社会全体としてボランティア活
動に負担感なく参加できるような方策を考えていく必要があります。
保護司の活動は、ある意味、資本主義や競争社会や貨幣経済などとは別の価値
観あるいは世界観の側面があると思います。そこで、これらを念頭に置いたうえ
で、負担を解消するためには、保護司の社会的地位を向上させて、一人でも多く
の方が、保護司を退任するときに「保護司になってよかった」という方策を考え
ていく必要があります。つまり、今まで行ってきた負担が報われるような方策を
考えていく必要があります。金銭的な報酬も考えられますが、ボランティア精神
が失われる可能性もありますので注意が必要です。
そこで、保護司を就任したことによる機会損失を上回るようなインセンティブ
が必要であると思います。インセンティブを増やすには、例えば、表彰人数を増
やすとか、経験年数を積んだ保護司には、一定の国家資格を付与するという事も
考えられます。
3研修等の休日・夜間の実施
年 3 回行われる地域別定例研修につきましては、地区観察官と地区保護司の結
び付きや、絆を深めて行く上でも必要と思われます。地域別定例研修で、観察官
と地区保護司のお互いが顔を合わせることによって、観察官が身近に感じられ、
コミュニケーションがとりやすくなります。また、地区保護司が顔を合わせる機
会が増えることによって、保護司同士の連携が深まります。
また、研修を受講するということは、法律や社会環境がめまぐるしく変化して
いる現在、保護司活動の重要な職務であり、その重要性は増していると思われま
す。パンデミックを経験してオンラインで研修も行われましたが、コミュニケー
ションには限界があり、やはりモチベーションもあまり高くなかったという印象
です。
そこで、観察官による地域別定例研修は引き続き行うとして、受講できなかっ
た者の補講を充実させることが肝要であると思います。現在、補講日は本庁で 1
回限り行われていますが、こちらも昼間の時間帯で、しかも全保護区の未参加受
講者を対象としているため、参加人数が多いと伺っております。リモートで補講
を行うという方法も考えられますが、やはり限界があると思います。
この点を解決する方策として、補講については、各地区保護司会で保護司 1-2
名に認定講師になってもらい、地区保護司会の実情に合わせた補講を開催して、
研修受講率を高める方策が考えられます。そうすると、夜間の時間帯や休日も対
応できる体制が整い、きめ細かな対応が整います。 34研修資料等のデジタル化
研修のモチベーションを高める方策として、過去の研修受講歴を本人だけが見
れるようにして、H@(はあと)で開示するということも考えられます。さら
に、受講した後の復習機能や学習機能として、H@(はあと)内でしろまる×ばつ式や選択
式の簡単な質問を行いフィードバックしてもらうという方策も考えられます。
5保護観察官の積極的関与
地区保護観察官の積極的関与は非常に重要であると考えられます。処遇活動開
始事前では、書類(文章)だけではわからない処遇のポイントや注意点を明確に
して、以後の処遇活動の参考にできます。また、必要に応じた観察官と対象者の
面接が行われることにより、長期にわたる処遇の場合にマンネリ化を防止し、対
象者の保護観察への認識を高める効果も期待できます。
事後的には、自分の行った処遇活動が適切であったかどうかや、今後の方針を
模索することによって、処遇活動に役立てることができます。
横田構成員
資 料
第4回持続可能な保護司制度検討会 事前意見提出(2023 年 8 月 22 日)
株式会社コラボラボ 横田 響子
▼今後講じていく施策等についての意見
1. 観察官の協力体制強化と土日夜間対応について
全体的に、保護司の業務負担軽減を図るために施策に賛同いたします。
しかしながら、保護観察所の負担増にも留意し、ルール設定とともに保護司会側の配慮も
必要と考えます。
・観察官の柔軟な勤務体制を推進することは重要ですが、休日・夜間の出勤回数に関する
適切な上限設定や配慮が必要。
・保護司と観察官のコミュニケーション強化のため、チャットツール等、ICT ツール導入
を検討する場合、緊急性が低い案件においては休日・夜間対応を求めず、
『つながらない
権利』を考慮し、配慮あるコミュニケーションを行うことが重要。
・また、保護司会の研修や会議の土日夜間実施は有用ですが、男女を問わず育児や介護を
担う現代の家庭事情を考慮し、頻度や時間の設定について検討することが求められます。
2.地域活動の精査および、多様な保護司を想定した柔軟な環境整備
保護司会の地域活動が重要ということは理解しました。以下に意見を述べます。
・保護司会の地域活動が広範であり、自治会など他の地域活動との重複も懸念されます。
保護司会としての意義がある場合、明確な説明が必要です。また多様な保護司を想定し、
一律の参加の機会は限定し、各自のスケジュールと関心に合わせた調整が可能な環境を整
えることが望ましい。
・処遇活動と地域活動のバランスについては、現状を把握した上で調整することが、モチ
ベーション維持につながると考えます。
・また他の地域活動との連携を強化し、保護司会が独自の役割を果たす方法を模索するこ
とが必要だと考えます。
3.広域での事務・研修対応の検討
複数の保護司会が共同で業務を進める可能性について、小規模保護司会の存在があること
も想定し、以下の意見を述べます。
・共通の業務においては、広域対応による事務対応も検討の余地がある。デジタル化によ
る遠隔対応、個人情報の扱いが問題であれば事務員のシェアなども検討されるかもしれま
せん。
・また研修においては越境受講やオンライン研修の共同実施による負担軽減が考えられ
る。現状の保護司会の区割りと連携状況を考慮しながら、今後の方針を模索することが必
要。
小西構成員
資 料
第 4 回事務局案についての意見(小西暁和)
〔今後講じていく施策等〕について
しろまる保護司が処遇活動と地域活動に専念できるように、保護司専用ホームページ(H@)の機
能拡充及び利用促進など IT 化を推し進めながら、保護司に求める事務的業務の量を削減す
ることが必要である。
なお、
「保護司活動デジタル化ロードマップ」に関してであるが、配備されるタブレット
は各地区 1 台ずつで対応しきれるのか疑問を持った。
しろまるその他、保護観察所が保護司会等の事務的業務を部分的にでも引き受けることも含めて、
保護司に求める事務的業務の量を削減することを検討するとともに、事務担当の保護司を
置くというよりも、保護観察所の協力の下で、保護司会・更生保護サポートセンターに事務
専門の職員を別途配置できるようにするべきであると思われる。やはり保護司の方は処遇
活動と地域活動に専念できることが望ましいのではないだろうか。
しろまる罪を犯した人等への「息の長い」支援を地域社会において実現するためにも、保護司によ
る保護観察終了後の元対象者への助言や援助においても、実費弁償金の支払いなど保護司
に対する国からの充分なサポートも可能にすることが必要であると思われる。
しろまる保護司の活動となると、処遇活動が注目を集めがちであるが、現在、地域活動の重要性が
増してきているように思われる。
対象者が減少してきている状況の中で、
保護司の方々が一
層地域活動に取り組めるようになったということもある。
また、
地域のことを良く知ってお
られ、
地域を大切にされてきたからこそ、
地域の犯罪予防活動に相応しい方々であるという
こともある。
こうした地域活動は、
地域の特徴に合わせて創意工夫の余地もあり得るのであ
り、そうした活動の活性化の中で保護司活動の楽しさのようなものが感じられることもあ
るのではないかと思われる。
しろまるEBPM(エビデンスに基づく政策立案)が求められる中で、地域活動についても効果検証
を行い、どのような地域活動がより効果的なのかなどを明らかにしていくことには意味が
あると考えられる。
以上

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