2023Vol80《本号の注目記事》
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第2回アジア太平洋刑事司法フォーラム(Crim-AP)が開催されました!
国際知財司法シンポジウム(JSIP)フォローアップセミナー(ベトナム・カンボジア)を
開催しました。
日本・モンゴル外交関係樹立50周年記念講演「日本とモンゴルにおける法の支配の
浸透と促進」を開催しました。
やさしい日本語を話してみよう!「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン〜
話し言葉のポイント〜」
もくじ あかれんが 第 80号
《特 集 記 事 》
第 2回 アジア太 平 洋 刑 事 司 法 フォーラム (Crim-AP)が開 催 されま
した!
国 際 知 財 司 法 シ ン ポ ジ ウ ム ( J S I P ) フ ォ ロ ー ア ッ プ セ ミ ナ ー ( ベ ト ナ
ム・カンボジア)を開 催 しました。
日 本 ・モンゴル 外 交 関 係 樹 立 50 周 年 記 念 講 演 「 日 本 と モンゴルに
おける法 の支 配 の浸 透 と促 進 」を開 催 しました。
やさしい 日 本 語 を 話 して みよう!「 在 留 支 援 の ためのや さしい 日 本
語 ガイドライン〜話 し言 葉 のポイント〜」
アジ研 の出 版 物 を紹 介 します。
「令 和 4年 版 犯 罪 白 書 について」
令 和 4年 版 「再 犯 防 止 推 進 白 書 」を刊 行 しました!0104060811131711
《常 設 記 事 》
お答 えします〜「国 際 課 の業 務 」について〜20《連 載 記 事 》222325そんなとき法 テラスがお役 に立 ちます!Vol.60
〜法 テラスってどういう時 に利 用 できるの?〜
法 制 度 整 備 支 援 の現 場 から
法 務 省 で働 くひと・しごと紹 介 Vol.16
〜技 術 企 画 室 長 補 佐 〜
あかれんが 2023年 第80号 《特 集 記 事》
第2回アジア太平洋刑事司法フォーラム(Crim-AP)
が開催されました!
アジア太平洋刑事司法フォーラム(Crim-AP)とは?
令和5年2月13日(月)及び同月14日(火)の2日間、第2回アジア太平洋刑事司法フォーラム(英語名:The
2nd Criminal Justice Forum for Asia and the Pacific 略称:Crim-AP)が開催されました。
アジア太平洋刑事司法フォーラムは、令和 3 年3月に第14回国連犯罪防止刑事司法会議(通称:京都コング
レス)において採択された「京都宣言」の内容を着実に実行していくための取組の1つとして、法務省と国連薬
物犯罪事務所(UNODC)が開催する国際会議です。
「京都宣言」では、国際協力の強化や、法執行機関による地域ネットワークを構築することの重要性が確認さ
れましたが、日本を含むアジア太平洋地域においては、各国相互の理解不足などにより、国際協力には、なお
改善の余地があります。
そこで、アジア太平洋地域における各国の法制度や運用等について情報共有を行い、実務家同士のネットワ
ークを構築することによって、国際協力の一層の強化を図るため、本フォーラムを定期開催することとしまし
た。
第2回アジア太平洋刑事司法フォーラムの開催結果-01-第2回アジア太平洋刑事司法フォーラムには、第1回に参加した日本のほか19の国・機関に加え、米国国立
司法研究所、タイ法務研究所、国連アジア極東犯罪防止研修所といった犯罪防止刑事司法ネットワーク機関
(PNI)も参加しました。
【参加国・機関】
オーストラリア、ブルネイ、カンボジア、カナダ、中国、インドネシア、ラオス、マレーシア、ニュージーランド、
パプアニューギニア、フィリピン、韓国、シンガポール、タイ、東ティモール、米国、ベトナム、ASEAN 事務
局、国連薬物犯罪事務所(UNODC)、米国国立司法研究所(NIJ)、タイ法務研究所(TIJ)、国連アジア極
東犯罪防止研修所(UNAFEI)
第1回会合では、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、海外参加者は全員オンライン方式の出
席となりましたが、第2回会合は、17か国・機関が来場参加し、より一層充実した会合となりました。
開会式では、齋藤健法務大臣による開会挨拶の後、UNODC のガーダ・ワーリー事務局長からメッセージが
ありました。
あかれんが 2023年 第80号 《特 集 記 事》
齋藤健法務大臣 ガーダ・ワーリーUNODC 事務局長
全体会合では、「京都宣言の実施に向けて:犯罪と戦うためのアジア太平洋における国際協力の強化」とい
う全体テーマに関し、各国・機関の代表団長がステートメントを行い、日本からは川原隆司法務事務次官がス
テートメントを行いました。
全体会合の様子
その後、2つの分科会に分かれ、「捜査共助要請の種類(電子証拠及び証人の供述)」、「非拘禁措置及び犯罪
者処遇に係る課題並びに進展」のテーマの下、各国・機関の実務家が情報共有や意見交換を行いました。
分科会の様子-02-専用 Twitter
あかれんが 2023年 第80号 《特 集 記 事》
また、齋藤大臣が本会合に参加したハイレベルと会談を実施し、一層の刑事司法関係の協力を深めていくこ
とを確認しました。
東ティモール司法大臣との会談 パプアニューギニア司法大臣との会談
アジア太平洋刑事司法フォーラムを含む京都コングレスの成果の着実な実施に関する情報については、以下
の専用ウェブサイト又は専用ツイッターをご覧ください。
専用ウェブサイト-03-あかれんが 2023年 第80号 《特 集 記 事》
国際知財司法シンポジウム(JSIP)フォローアップ
セミナー(ベトナム・カンボジア)を開催しました。
安売りされているキャラクター製品、買っても大丈夫?
国際花子さんは人気漫画「キツネの刃」の大ファンです。ある日、花子さんが買い物をしていると、「キツネの
刃」のキャラクター「監獄さん」のTシャツを発見。Tシャツは新しいデザインで安かったので、花子さんは何の疑
いもなく購入しました。
翌日、花子さんがこのTシャツを着て街を歩いていると、これとそっくりのTシャツを着ている友人と出会い
ました。
しかし、友人のTシャツをよく見てみると、二人のTシャツは「キツネの刃」のロゴマークの形が少し異なって
おり、その友人は花子さんが買ったTシャツの値段の 2 倍以上の金額を支払っていたことを知りました。
花子さんは、「キツネの刃」の新商品だと思って安く買ったTシャツが、実は偽物の製品だったことがわかり、
がっかりしました。
知的財産権について知っておこう-04-花子さんのように、お気に入りの商品が安いからといって安易に買ったところ、実は類似品で本物ではなか
ったということは、海外からの輸入品が多く出回っている現在では珍しくない状況となっています。
しかし、上記の例のようにロゴマークやキャラクターを勝手に使用した安価な製品が市場に出回ると、正規
に販売する会社の業績が下がったり、製作者の創作意欲が失われたり、消費者からの正規製品への信用が失
われるなど、様々な被害が発生します。
そこで、そのような被害を防ぐために、発明や創作などは特許権、著作権、商標権などの「知的財産権」とし
て法律で保護されています。
ところが、開発途上国の中には、知的財産権を保護する法律が不十分であったり、適切に運用されていなか
ったりして、知的財産権の保護が十分になされていないことがあり、そのような状況が、産業の発展や文化の
向上に悪影響を及ぼし、日本を含む外国から企業が進出しづらいという問題が生じています。
国際知財司法シンポジウムのフォローアップセミナーをベトナムとカンボジアで開催
法務省は、知的財産に関する各国の理解を深め、国際的な連携を強化することなどを目的として、平成29
年から関係省庁等とともにASEAN(東南アジア諸国連合)などを対象に国際知財司法シンポジウム(JSIP)を
開催しています。
本年度は、令和3年度に実施したJSIPのフォローアップとして、「商標権侵害に関する救済制度の実務」をテ
ーマに、12月6日(火)にはベトナムを、12月9日(金)にはカンボジアを対象とした二国間のオンラインフォロ
ーアップセミナーをそれぞれ開催しました。
これらのセミナーにおいては、ベトナムからは、知的財産権侵害の対応に関するベトナム国内の組織の役
割分担及び取組内容などについて、カンボジアからは、時計等の日本製品の偽物が広く出回っている現状と
その取締実績等について、それぞれ発表がありました。日本からは、いずれのセミナーにおいても、日本の知
あかれんが 2023年 第80号 《特 集 記 事》
これらのセミナーにおいては、ベトナムからは、知的財産権侵害の対応に関するベトナム国内の組織の役割
分担及び取組内容などについて、カンボジアからは、時計等の日本製品の偽物が広く出回っている現状とそ
の取締実績等について、それぞれ発表がありました。日本からは、いずれのセミナーにおいても、日本の知的
財産権の救済制度について発表を行い、活発な意見交換が実施されました。
【12月6日ベトナムとのセミナー】
【12月9日カンボジアとのセミナー】-05-あかれんが 2023年 第80号 《特 集 記 事》
日本・モンゴル外交関係樹立50周年記念講演
「日本とモンゴルにおける法の支配の浸透と促進」を開催しました。
1 開催経緯
法務総合研究所国際協力部では、令和4年12月15日(木)、日本・モンゴル外交関係樹立50周年記念講演
「日本とモンゴルにおける法の支配の浸透と促進」を開催しました。
我が国は、モンゴルに対して法制度整備支援を実施しており、これまで独立行政法人国際協力機構(JICA)
や、日本弁護士連合会などにより、モンゴルにおける民事判例集の出版、弁護士会の強化、調停制度の普及な
どが実施されたほか、現在、法務総合研究所国際協力部が、商法典の起草支援等を行っています。
本記念公演は、令和4年に日本・モンゴル外交関係樹立50周年を迎えたことを記念し、これまでの法制度整
備支援の成果を広く知っていただくとともに、両国の友好関係の更なる発展を図ることを目的とし、国際法務
総合センター及びモンゴル法務・内務省内の会場での参加とオンライン参加を併用したハイブリッド方式で開
催したものです。
2 講演内容-06-本記念講演では、両国にゆかりの法律専門家6名からご講演いただきました。
元裁判官で弁護士の稲葉一人氏からは、モンゴルにおける調停制度の創設に関わったご経験などについて
お話しいただき、モンゴル国立大学法学部学部長バトボルド・アマルサナー氏からは、両国の法律分野におけ
る協力の歴史からモンゴルにおける私法改革と近年の商法典起草支援まで幅広くお話しいただきました。弁
護士の磯井美葉氏からは、日本弁護士連合会のモンゴルとの交流の歴史としてモンゴルでの民事判例集の出
版、モンゴル弁護士会の強化、調停制度の普及について、JICA プロジェクトの長期専門家として派遣されて
いた際のエピソードも交えてお話しいただき、九州大学大学院法学研究院副研究院長の德本穰氏からは、現
在実施されている商法典の起草支援についてご紹介いただきました。また、モンゴル国立大学法学部内に設
置された名古屋大学の日本法教育研究センターの修了生で、両国で活躍中のサランゲレル・バトバヤル氏及び
ガンホヤグ・ダワーニャム氏からは、法学教育における両国の協力関係についてご自身の経験も交えたお話を
していただきました。
両国の友好関係は、関係者の情熱と培ってきた強い信頼関係の成果であり、法の支配などの普遍的価値を
共有する重要なパートナーとして今後も両国の協力関係が発展していくことを確信させる記念講演となりま
した。
講演内容の詳細につきましては、法務総合研究所国際協力部の機関誌 ICD NEWS に掲載予定ですので、
ご関心のある方はぜひご覧ください。
あかれんが 2023年 第80号 《特 集 記 事》
門山宏哲日本国法務副大臣による開会挨拶の様子
法務総合研究所国際協力部 HP
バヤルサイハン・ソロンゴーモンゴル国法務内務省副大臣による開会挨拶の様子
国際法務総合センター会場の様子-07-あかれんが 2023年 第80号 《特 集 記 事》
やさしい日本語を話してみよう!
「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン〜話し言葉のポイント〜」
やさしい日本語とは?
やさしい日本語とは、難しい言葉を言い換えるなど、相手に配慮した分かりやすい日本語のことです。
外国人が日本で安心して安全に生活するためには、法律などのルール、在留や社会保険などの手続、災害・
避難情報をはじめとする国や地方公共団体等からのお知らせなどを正しく理解することが必要ですが、全て
の情報を多言語で発信するには限界があります。
そのため、日本に住む外国人に情報を伝えるときに、多言語で翻訳・通訳することは重要ですが、それに加
えてやさしい日本語を活用することも重要となっています。
やさしい日本語、使えるの?-08-出入国在留管理庁が、令和3年度に実施した「在留外国人に対する基礎調査」では、8 割強の在留外国人が、
自身の日本語能力(話す・聞く)を「日常生活に困らない程度に会話できる」と回答していることから、やさしい
日本語は、外国人にとって理解しやすい可能性がとても高いことが分かります。
また、話し言葉のやさしい日本語を学ぶことで身に付く、コミュニケーションの際に相手に心掛けるポイント
は、外国人だけでなく、高齢者、障害者等を含む様々な人に対して接する際にも役立ちます。
あかれんが 2023年 第80号 《特 集 記 事》
「話し言葉のポイント」作りました。
出入国在留管理庁と文化庁は、令和2年8月に、書き言葉のやさしい日本語に焦点を当てた「在留支援のた
めのやさしい日本語ガイドライン」を策定しましたが、こうした状況や、令和3年度に実施した地方公共団体に
対するアンケート結果において、話し言葉のやさしい日本語のガイドラインの作成が望まれていたことなどを
踏まえ、本年度、「話し言葉のやさしい日本語の活用促進に関する会議」を開催し、令和4年10月に同会議にお
いて「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン〜話し言葉のポイント〜」が取りまとめられました。この
「話し言葉のポイント」は、話し言葉のやさしい日本語の実務に精通した委員が、在留外国人とのコミュニケー
ションの際に留意すべき実践的事項を検討し、効果的な話し方や、言い換え等を 6 つのポイントとして整理し
ています。
実際に使ってみませんか?
話し言葉のポイントでは、
1.はじめの心得(内容を整理し、相手に配慮する)
2.聴き方の心得(相手の話をしっかり聴く)
3.話の進め方(反応を見る、臨機応変に対応する)
4.話し方の基本(短くはっきり言い切る)
5.適切な言い換え(相手が理解できる言葉に言い換える)
6.言語以外の工夫(ノンバーバルコミュニケーション)
を、話し言葉のやさしい日本語を使う際のポイントとして整理しています。
窓口や店頭など、やさしい日本語を必要としている人と関わるとき、この "ポイント"に気を付けて、話して
みませんか。
話し言葉のポイント
やさしい日本語には常に決まった一つの正解があるわけではありません。話し言葉のやさしい日本語は、人
と人との対面の場でコミュニケーション手段として活用されるものですので、使う人の配慮や心掛けが重要で-09--10-
やさしい日本語には常に決まった一つの正解があるわけではありません。話し言葉のやさしい日本語は、人
と人との対面の場でコミュニケーション手段として活用されるものですので、使う人の配慮や心掛けが重要で
す。
使うテクニックにとらわれず、気軽に使ってみてください。
あかれんが 2023年 第80号 《特 集 記 事》
「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン
〜話し言葉のポイント〜」はこちら
「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」
はこちら
話し言葉のポイント
あかれんが 2023年 第80号 《特 集 記 事》
アジ研の出版物を紹介します。
1 研修資料集(Resource Material Series)
アジ研は、正式には「国連アジア極東犯罪防止研修所(UNAFEI)」といい、昭和37年に国際連合(国連)と
日本政府の協定に基づいて設立された機関です。法務省法務総合研究所国際連合研修協力部が運営してお
り、世界の刑事司法の実務家(検察官、裁判官、刑務所職員、保護観察官など)を対象とした国際研修等を実施
しています。アジ研では、その活動内容や研修の成果を出版していますので、主なものをご紹介します。
なお、アジ研の出版物はすべてウェブサイトで公開していますので、ぜひご覧になってください。
アジ研の研修の成果を掲載した出版物で、年2回から3回発行しています。主にアジ研の研修で海外客員専
門家が使用した資料や、研修員が執筆した論文の中でも優秀なものが掲載されており、各研修の主要課題に
ついての国際的な知見や、海外での実情を知ることができる貴重な出版物です。昭和46年の第1号から最新
の114号(令和4年10月発行)まで、実に50年以上にわたって出版されてきた歴史ある出版物です。
この資料集は、これまで英語でしか出版されていませんでしたが、多方面からのご希望にお応えして、この
たび「邦訳版 UNAFEI リソース・マテリアル・シリーズ 世界の刑事司法」を出版することになりました。本年
3月頃の発刊を予定していますので、ご期待ください。
アジ研図書室のアジ研出版物コーナー-11-2 コングレスワークショップ報告書
あかれんが 2023年 第80号 《特 集 記 事》-12-アジ研は、国連の犯罪防止・刑事司法プログラム・ネットワーク機関(PNI)の一つでもあり、19の機関のうち
最も長い歴史があります。5年に一度開催される国連犯罪防止刑事司法会議(コングレス)において、アジ研
は、ワークショップの進行役を務めるなどして積極的に関与しており、その成果を報告書として出版していま
す。
令和3年3月に京都で開催された第14回コングレスにおいても、アジ研は、国連薬物・犯罪事務所
(UNODC)及びタイ法務研究所(TIJ)と協働して「再犯防止:リスクの特定とその解決策」についてのワークシ
ョップを担当し、その成果を出版しました。
京都コングレス ワークショップ2報告書
3 アジ研の活動報告
アジ研で実施している各研修の概要は、オンラインで発行されているニューズレター( UNAFEI
Newsletter)に掲載されています。また、アジ研の毎年の活動内容は、年に1回国連に報告をすることとされ
ています。この報告書は、年次報告(Annual Report)として、アジ研のウェブサイトにも掲載されています。
UNAFEI
ウェブサイトはこちら▶
あかれんが 2023年 第80号 《特 集 記 事》
「令和4年版犯罪白書について」
犯罪白書とは?
犯罪白書は、犯罪の動向や犯罪者の処遇の状況について、統計資料等に基づいて紹介しているものです。
昭和35年から、法務省法務総合研究所により毎年発刊されており、犯罪対策を検討するための基礎的な資
料としての役割を担っています。-13-犯罪の動向は?
刑法犯の認知件数(警察が犯罪の発生を把握した件数)は、平成14年に戦後最多の約285万3,700件を
記録しましたが、その後は19年連続で減少し、令和3年は約56万8,100件と、戦後最少を更新しました。
平成15年からの認知件数の減少は、刑法犯の7割近くを占める窃盗の件数が大幅に減少し続けたことに伴
うものです。
再犯の現状は?
あかれんが 2023年 第80号 《特 集 記 事》
平成29年に刑事施設を出所した者のうち、4割近くの者が、出所後の犯罪により、出所後5年以内に刑事施
設に再入所しており、そのうち約半数が2年以内に刑事施設に再入所しています。
また、満期釈放者は、仮釈放者と比べて、再入率(各年の出所受刑者人員のうち刑事施設に再入所した者の
人員の比率)が高いことが分かります。
令和3年に刑法犯で検挙された者の人員は、戦後最少の約17万5,000人でしたが、そのうち、65歳以上
の高齢者が23.6%を占めており、高齢者の比率の上昇が進んでいます。-14--15-
今回の特集は?
令和4年版犯罪白書では、新型コロナウイルス感染症感染拡大下における犯罪の動向や同感染症が刑事司
法に与えた影響等について特集としているほか、犯罪者や非行少年の生活意識及び価値観に焦点を当てた特
集も組んでいます。
「新型コロナウイルス感染症と刑事政策」
刑法犯認知件数は、令和2年は前年比17.9%減と大幅に減少し、特に最初の緊急事態宣言があった令和2
年4月及び5月において、大きく減少しました。この傾向は、刑法犯の7割近くを占める窃盗の減少に伴うもの
であると言え、外出自粛要請により、在宅人口が増加し、駅や繁華街の人流が減少したことから、犯罪被害の
ターゲットとなる留守宅や通行人等が減少したことなどによると考えられます。
あかれんが 2023年 第80号 《特 集 記 事》
「犯罪者・非行少年の生活意識と価値観」
犯罪者・非行少年の生活意識や価値観に
関する特別調査から、再犯防止対策の在り
方等について検討しました。
例えば、「悪い」ことをしようと思ったとき
に、それを思いとどまらせる心のブレーキ
となるものについて、非行少年は、「父母の
こと」を挙げる者の割合が高く、犯罪者は、
年齢層が上がるにつれて、「社会からの信
用を失うこと」を挙げる者の割合が高くな
っていました。このことから、非行少年にと
っては家族が、高齢犯罪者にとっては社会
とのつながりが、それぞれ重要な社会資源
になると考えられます。
法務総合研究所は、今後も適切なテーマ等を選んで調査を行い、犯罪・非行をした者に対する有効な支援・
指導を検討するための資料を提供していきます。
もっと犯罪白書の内容を知りたい場合は?
法務省のホームページで閲覧できるほか、官報販売所等で購入できます。
法務省ホームページ「犯罪白書」はこちら
あかれんが 2023年 第80号 《特 集 記 事》-16-あかれんが 2023年 第80号 《特 集 記 事》
令和4年版「再犯防止推進白書」を刊行しました!
「再犯防止推進白書」とは、どのようなものですか。
法務省では、政府が実施した再犯防止施策について取りまとめ、国会へ報告をしています。国会へ報告した
内容について、国民の皆さまにお伝えするため刊行したものが、「再犯防止推進白書」になります。
「再犯防止推進白書」は、平成 30 年から毎年刊行しており、今回で 5 回目の刊行となりました。
なお、表紙の「再犯防止推進白書」の題字や絵画は、少年院在院者が揮毫、制作したものです。
「再犯防止推進白書」は、大きく分けて2つの項目で構成しています。具体的には、各年のトピックなどを記
載した「特集部分」と、政府による再犯防止施策の取組状況を記載した「本文部分」で構成しています。
○しろまる 令和4年版「再犯防止推進白書」について
令和4年版の「特集」は、「再犯防止推進計画策定後の課題と今後の展望〜当事者の声とともに振り返る〜」
です。本年度が「再犯防止推進計画」の計画期間の最終年度となることを踏まえ、計画策定後の施策を振り返
るものです。具体的には、薬物事犯、性犯罪などの「罪名別」、高齢・障害、女性などの「属性別」、保護司、協力
雇用主などの「実施者別」の3つの切り口で、これまでの取組から見えてきた課題と今後の展望をまとめてい
ます。その中では、コラムとして、非行や犯罪を行った者(刑事施設在所者・出所者、少年院在院者など)の「当
事者の声」も掲載しています(実際に執筆いただいたり、インタビューの内容を記載したりしています。)。
また、「本文部分」については、下記の内容で構成しています。第 1 章では、再犯防止に関する指標の最新デ
ータを掲載しており、第 2 章から第 8 章では、主として、令和3年度末までに政府が実施した取組を掲載して
います。加えて、「コラム」においては、民間協力者の方々の具体的な取組などを紹介しています。
「再犯防止推進白書」では、どのようなことが書かれているのですか。-17-これまでに刊行した「再犯防止推進白書」の電子データは、法務省ホームページにおいて公開をしています。
また、「再犯防止推進白書」の冊子については、政府刊行物センターや都道府県官報販売所で販売されており、
お近くの書店でも注文いただくことができます。
第1章 再犯防止をめぐる近年の動向
第2章 就労・住居の確保等のための取組
第3章 保健医療・福祉サービスの利用の促進等のための取組
第4章 学校等と連携した修学支援の実施等のための取組
第5章 犯罪をした者等の特性に応じた効果的な指導の実施等のための取組
第6章 民間協力者の活動の促進等、広報・啓発活動の推進等のための取組
第7章 地方公共団体との連携強化等のための取組
第8章 関係機関の人的・物的体制の整備等のための取組
「再犯防止推進白書」を読みたいのですが、どのような方法がありますか。
「再犯防止推進白書」ページ(法務省ホームページ内)
〜 お知らせ 〜
非行や犯罪を行った者が、再び犯罪をしないためには、本人自身が、立ち直りに向けた努力を行うことはも
とより、本人が立ち戻っていく地域社会の中で孤立しないよう、地域社会がその者を受け入れ、立ち直りの手
を差し伸べることも大切です。そのため、皆さまにも、再犯防止の取組についてご理解・ご協力をいただくこと
が重要であると考えています。
そこで、法務省では、皆さまに、再犯防止の取組や再犯防止の現状について知っていただくため、本年 3 月
に「再犯防止シンポジウム」を開催いたします。
「再犯防止シンポジウム」の概要は、下記のとおりです。
●くろまる「再犯防止シンポジウム」の概要 ●くろまる
(日時)令和 5 年 3 月25日(土)午後3時〜午後4時
(内容)非行や犯罪からの立ち直りを経験した当事者とその支援者などによるディスカッション
(形式)YouTube 法務省チャンネルにて、生配信
YouTube 法務省チャンネル
あかれんが 2023年 第80号 《特 集 記 事》-18--19-
「再犯防止シンポジウム」に関する情報については、今後、法務省ホームページの特設ページや、法務省公式
Twitter などでお知らせしていく予定です。 引き続き、ご注目をお願いいたします!
皆さまの視聴をお待ちしております!
再犯防止シンポジウムの特設ページ
(法務省ホームページ内)
もどらないおん
あかれんが 2023年 第80号 《特 集 記 事》
お 答 え し ま す
〜 「 国 際 課 の 業 務 」 に つ い て 〜
法 の 支 配 や 基 本 的 人 権 の 尊 重 と い っ た 普 遍 的 価 値 を 国 際 的 に 浸 透 さ せ る た め
の取 組 である「司 法 外 交 」の推 進 を 目 的 として平 成 30年 4月 1 日 に設 置 され、法 務
省 の国 際 関 係 事 務 についての基 本 的 な政 策 の企 画 立 案 ・総 合 調 整 、国 際 会 議 の開
催 、 外 国 政 府 職 員 等 に よ る 表 敬 対 応 及 び 職 員 の 海 外 派 遣 等 の 事 務 に 取 り 組 ん で
います。Q1Q1 国 際 課 とは?
Q2 国 際 課 はどのような国 際 会 議 を開 催 していますか?
あかれんが 2023年 第 80号 《常 設 記 事 》
令 和 3 年 3 月 に、 犯 罪 防 止 ・ 刑 事 司 法 分 野 にお ける 国 連 最 大 の 国 際 会 議 であ る
第 1 4 回 国 連 犯 罪 防 止 刑 事 司 法 会 議 ( 京 都 コ ン グ レ ス ) を ホ ス ト しま し た 。 G 7 議 長
国 で あ り、 か つ、 日 A S E AN 友 好 協 力 5 0 周 年 とな る 令 和 5 年 7 月 には 、 アジ ア 唯 一
の G7 メ ン バ ー で あ る 我 が 国 の 立 場 を 活 か し、 G 7 司 法 大 臣 会 合 と 日 A S E A N 特 別
法 務 大 臣 会 合 を開 催 し、法 の支 配 の推 進 にリーダーシップを発 揮 し、司 法 外 交 をよ
り一 層 推 進 していきます。-20-A1:A2:Q3 国 際 課 における職 員 の海 外 派 遣 とは、どのようなものですか?
在 外 公 館 や国 際 機 関 等 へ法 務 省 職 員 を積 極 的 に派 遣 しています。最 近 では、国
際 刑 事 裁 判 所 ( I C C ) や 国 連 薬 物 犯 罪 事 務 所 ( UNODC ) 、 国 連 国 際 商 取 引 法 委
員 会 (UNCITRAL)等 に職 員 を派 遣 しました。派 遣 された職 員 は、国 際 的 な法 的 紛
争 に関 する業 務 や法 制 度 整 備 支 援 等 の国 際 的 な業 務 に従 事 しています。司 法 外 交
の 推 進 の 担 い 手 と な り 得 る、 高 いレ ベル の 語 学 能 力 、 国 際 情 勢 を 踏 まえ たバラ ンス
感 覚 及 び法 的 思 考 能 力 を併 せ持 つ国 際 法 務 人 材 を確 保 ・育 成 することを目 指 して
います。A3:あかれんが 2023年 第 80号 《常 設 記 事 》-21-あかれんが 2023年 第 80号 《連 載 記 事 》
そ ん な と き 法 テ ラ ス が お 役 に 立 ち ま す ! V o l .6 0
法 テ ラ ス っ て ど う い う 時 に 利 用 で き る の ?-22-あかれんが 2023年 第80号 《連 載 記 事》
法制度整備支援の現場から
インドネシア長期派遣専門家 及川 裕美
本年(令和5年)は、日本とインドネシアの国交樹立65周年、日本と東南アジア諸国連合(ASEAN。以下
「ASEAN」という。)友好協力50周年であると共にインドネシアが ASEAN の議長国を務める年であり、皆さ
んがインドネシアや ASEAN に関する報道に触れる機会が増えるのではないかと思っています。
私は10年以上日本で検察官として勤務していましたが、令和4年3月からインドネシアの首都ジャカルタに
JICA長期派遣専門家として派遣され、インドネシアの法務人権省の方々と一緒に、法案の起草・審査を担当す
る「ドラフター」という国家専門職の能力向上を図るための法整備支援活動を行っています。この活動の目的
の一つは、インドネシアで問題となっている法令の不整合等を少しでも解消し、現地企業、日系企業等がインド
ネシアでビジネスを行いやすい環境を整備することにあります。現在の具体的な活動としては、インドネシアの
法令の問題点等を詳細に把握するためのインドネシアの大学、官公庁等での調査活動や、ドラフター等を対象
とする現地セミナー、オンラインセミナー等を行っています。オンラインセミナーはインドネシア全土のドラフタ
ー等を対象とするものであって、参加者は700人を超えるなど大変大きな活動となっており、昨年(令和4
年)には、インドネシアの法務人権大臣から、JICA の法整備支援活動がドラフターの能力向上に貢献したとい
うことで直々に表彰されました。
現地の皆さんの生活や考え方に触れることが法整備支援活動にも役立つと思い、インドネシア語を勉強し、
積極的に現地の方々とコミュニケーションを図るように心がけており、余暇もインドネシアの音楽やインドネシ
アの文化を楽しんでいます。少しでもより良い支援ができるよう、引き続き邁進していきたいと思っていま
す。-23-ジョグジャカルタ特別州での現地セミナーの様子(令和4年10月)
あかれんが 2023年 第80号 《連 載 記 事》
法務人権大臣表彰の様子(令和4年8月)-24-う
法 務 省 で 働 く ひ と ・ し ご と 紹 介 V o l .1 6
〜 技 術 企 画 室 長 補 佐 〜
あかれんが 2023年 第 80号 《連 載 記 事 》-25-職 名 : 技 術 企 画 室 長 補 佐
氏 名 : 磯 野 宏 敬
採 用 年 : 平 成 1 4 年
所 属 : 法 務 省 大 臣 官 房 施 設 課 技 術 企 画 室
法 務 省 大 臣 官 房 施 設 課 の 業 務 の う ち 、 主 に 、 1 法 務 省 所 管 施 設 の 整 備 及 び 2
国 際 協 力 に 関 す る業 務 に携 わっています 。1については、当 課 設 計 部 門 において刑
務 所 等 の矯 正 施 設 や官 署 施 設 の整 備 計 画 を策 定 し、その計 画 を基 に、実 施 設 計 業
務 や 工 事 を 外 部 委 託 し て 施 設 の 整 備 を 行 う の で す が 、 私 は 、 そ の 契 約 手 続 に お い
て 、 入 札 参 加 業 者 の 参 加 資 格 要 件 等 の 審 査 及 び そ の と り ま と め な ど を 担 っ て い ま
す。
2については、我 が国 が理 事 国 を務 めているアジア矯 正 建 築 会 議 ( ACCFA※(注記))や
当 課 が 参 加 す る各 種 国 際 会 議 関 連 業 務 の 事 務 局 を 担 っていま す。また、建 設 技 術
の 指 導 等 を 目 的 と し た 諸 外 国 へ の 職 員 派 遣 や 研 修 生 を 招 い て の 技 術 指 導 等 も 行
っ て お り、 過 去 に は 、 タイ 王 国 に 職 員 を 派 遣 し 、 少 年 矯 正 施 設 建 設 に 貢 献 し た 例 も
あります。
※(注記) A s i an C on f er en c e of C o r re c t i o n a l F a c i li t i e s , A r c h i te c t s an d P l a n n er s
ア ジ ア 諸 国 の 矯 正 建 築 分 野 の 技 術 向 上 の た め 、 技 術 面 に 関 す る 議 論 や 情 報 共 有 を 行 う こ
とを 目 的 とし て 、 平 成 2 4 年 か ら 計 8 回 開 催 さ れ て おり 、 タ イ 王 国 ・ マ レ ー シ ア・ カン ボ ジ ア
王 国 ・ イ ン ド ネ シ ア 共 和 国 ・ 大 韓 民 国 ・ I C R C ( 赤 十 字 国 際 委 員 会 ) 等 多 く の 国 や 機 関 が 参
加 し て い る 。
Q1 技 術 企 画 室 長 補 佐 ってどんな仕 事 ?A1:あかれんが 2023年 第 80号 《連 載 記 事 》-26-Q2 最 近 のトピックスは?
当 課 の入 札 案 件 においては、入 札 価 格 以 外 に技 術 力 等 の要 素 を含 めて総 合 的 に
判 断 す る 方 式 ( 総 合 評 価 落 札 方 式 ) の 適 用 案 件 を 多 く 取 り 扱 っ て い ま す が 、 令 和 4
年 度 に おい ても 本 方 式 の 運 用 要 領 の 改 訂 を 行 い、 よ り 品 質 の 高 い 施 設 整 備 の 実 現
のために事 務 の改 善 を図 っています。
国 際 協 力 関 係 につい ては、令 和 5 年 度 に 第 9回 アジ ア矯 正 建 築 会 議 をタイ 王 国 に
て実 施 予 定 であり、他 の理 事 国 とともにその開 催 準 備 を進 めています。A2:入 札 参 加 業 者 の参 加 資 格 の有 無 や技 術 力 等 に対 す る評 価 等 を 行 うということは、
間 違 った判 断 をすれば業 者 の方 々に不 利 益 をもたらすことになります。そのような事 を
防 ぐ ために、 担 当 内 で の情 報 共 有 ・ ダブルチ ェック はも ちろん、第 三 者 的 な 視 点 でもチ
ェック し、 間 違 い を 未 然 に 防 ぎます 。こ れら の 作 業 は 慎 重 を 期 す も ので あ り、 入 札 の 公
正 性 を確 保 する観 点 からも、やりがいとともに重 責 を感 じます。
Q3 技 術 企 画 室 長 補 佐 のやりがいって何 ?A3:私 自 身 、国 際 協 力 関 係 の業 務 に携 わった経 験 がほとんどない中 、着 任 の1か月 後 に
開 催 さ れる 国 際 会 議 の 関 連 行 事 への 参 加 が 予 定 さ れ てい るとい う 事 態 に 直 面 しま し
た。経 験 無 し・時 間 無 しの中 、プレ ゼン資 料 の翻 訳 を手 伝 っても らうなど周 囲 の方 々か
ら サ ポ ー トし て い た だ き な がら 、 スケジ ュ ー ル 調 整 、 必 要 な 資 料 等 の 準 備 、 海 外 と の 連
絡 調 整 等 の段 取 りを急 ピッチで行 い、なんとか滞 りなく行 事 に参 加 することができまし
た。
窮 地 に追 い込 まれた時 や問 題 が発 生 した時 に、その解 決 のためにどのように筋 道 を
立 てていくかという思 考 を持 つことや、多 く の仲 間 と良 い 関 係 性 を築 いておくことは、
あらゆる場 面 で有 用 であると改 めて感 じました。
そういった経 験 は、仕 事 においても私 生 活 においても、今 も生 きています。
Q4 心 に残 っているエピソードがあれば教 えてください。A4:関 係 者 で情 報 共 有 〜カンファレンスの様 子 〜
事 務 室 にて 〜国 際 協 力 関 連 資 料 と
あかれんが 2023年 第 80号 《連 載 記 事 》-27-