法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会22第8回会議配布資料
補足的検討課題2
(第1-2 刑法第176条後段及び
第177条後段に規定する年齢を引き
上げること)
第1-2 刑法第176条後段及び第177条後段に規定する年齢を引き上げることA案
16歳未満の者に対し、性交等をした者は、5年以上の有期懲役に処するも
のとする。
B-1案
16歳未満の者に対し、性交等をした者は、5年以上の有期懲役に処するも
のとし、13歳以上16歳未満の者に対し、性交等をした場合のうち、一定の
場合については、処罰から除外する。
B-2案
16歳未満の者に対し、性交等をした者(13歳以上16歳未満に対してし
た者については一定の場合に限る )は、5年以上の有期懲役に処するものと。する。
〔補足的検討課題〕
1 客体となる者の年齢(以下「対象年齢」という )を引き上げる理論的根拠。○しろまる 現行法上、対象年齢の者に対して性交等をすれば、強制性交等罪を構成し
て処罰するとされている理由をどのように考えるか。
・ 性的行為をするかどうかに関する能力を欠くため、性的自由・性的自己
決定権を侵害する
・ 健全な育成を害する
○しろまる 現行法上の処罰理由を踏まえ、対象年齢を引き上げる理論的根拠は何か。
・ 性的行為をするかどうかに関する能力として、
1 行為の性的な意味を認識する能力
2 行為が自己に及ぼす影響を理解する能力
3 性的行為に向けた相手方からの働きかけに的確に対処する能力
を要し、これらの能力を一律に欠く年齢を対象年齢とする
・ 健全な育成を害する年齢を対象年齢とする
2 対象年齢を引き上げた場合に、一部を処罰対象から除外し又は処罰対象を限
定することの要否及びその根拠
16歳未満の者 + 性交等 = 強制性交等罪A案○しろまる 婚姻に至った者の実態(配布資料23参照)を踏まえてもなお、対象
年齢の者との性交等を一律に強制性交等罪とする理論的根拠は何か。
○しろまる 対象年齢の者は、一律に(例外なく)性的行為をするかどうかに関す
る能力を欠くとして対象年齢を引き上げるとすると、その者が強制性交
等に及んだ場合(配布資料24参照 、刑事責任(故意や責任能力)に)影響を及ぼさないか。
16歳未満の者 + 性交等 = 強制性交等罪B案○しろまる 処罰対象から除外すべき実態があるか。その実態がありながら、一律
に強制性交等罪の客体となる年齢を引き上げる理由は何か。
○しろまる 性的行為をするかどうかに関する能力を一律に欠く年齢であることを
理由として対象年齢を引き上げつつ、処罰対象の除外・限定をする理論
的根拠は何か。対象年齢の者との性交等であるのに法益侵害はないとい
えるのか。
○しろまる 除外・限定をする要件は、形式要件(例えば年齢差や行為者の年齢な
ど)とするか、実質要件(例えば相手方の脆弱性に乗じていないなど)
とするか。それぞれの理論的根拠は何か。