1様式第九(第4条関係)
新事業活動に関する規制について規定する法律及び法律に基づく命令の規定に関する照会書
令和3年11月9日
内閣総理大臣 岸田 文雄 殿
法務大臣 古川 禎久 殿
財務大臣 鈴木 俊一 殿
経済産業大臣 萩生田 光一 殿
住 所 東京都千代田区大手町一丁目6番1号
大手町ビルヂング
名 称 ContractS 株式会社
代表者の氏名 代表取締役 笹原 健太
産業競争力強化法第7条第1項の規定に基づき、実施しようとする新事業活動及びこれに関連
する事業活動に関する規制について規定する法律及び法律に基づく命令の規定の解釈並びに当該
新事業活動及びこれに関連する事業活動に対する当該規定の適用の有無について、確認を求めま
す。記1. 新事業活動及びこれに関連する事業活動の目標
当社は、CLM(契約ライフサイクルマネジメント)システムの提供を通じて、契約領域の
DX を推進している企業です。当社のサービスは、電子締結のみならず、契約書の作成、レ
ビュー、承認、締結、管理を 1 つのプラットフォーム上で完結できるソフトウェアを提供す
ることにより、従来の電子契約サービスと差別化を図っています。これにより、契約業務
の効率性・生産性の向上、さらには契約コンプライアンスの推進による収益性の向上とい
う価値をユーザーに提供することを目指しています。
ところで、国が当事者となる契約書について電磁的記録を利用するには、契約事務取扱
規則で定められた一定の要件を満たす必要があります。当該要件を満たすには、電子署名
法上の「電子署名」の要件を充足する措置を講ずる必要があり、これが国を当事者とした
契約書を電子契約の形式で行う場合のハードルとなっています。
当社では、CLM(契約ライフサイクルマネジメント)の一環として、電子締結サービス
(以下「本サービス」という)を提供していますが、本サービスを「電子署名」に該当す
る仕様に変更することにより、国が当事者となる契約を本サービスで締結可能としたいと
考えています。
2. 新事業活動及びこれに関連する事業活動により生産性の向上又は新たな需要の獲得が見込
まれる理由
「新たな役務の開発又は提供」及び「役務の新たな提供の方式の導入」に該当します。
本サービスが電子署名法上の「電子署名」の要件を満たすことにより、国が当事者となる
契約についても本サービスが利用可能となります。これにより、国が当事者となる契約に
関し、他のサービスと連携することなく、電子締結も含めた電子契約の作成、承認、締結
及び管理という一連の契約業務を本サービス上で完結することが可能となり、本サービス2のユーザーの業務効率や生産性の向上、さらには契約コンプライアンスの強化が見込まれ
ます。
【需要獲得見込み】
本サービスを利用した契約の年間締結件数 1,000 件
3. 新事業活動及びこれに関連する事業活動の内容
(1) 事業実施主体
本サービス提供事業者:当社
本サービス利用者:本サービスユーザー
(2) 事業概要
契約の電子締結を希望する者は、本サービスを以下の流れに沿って利用することで、電子
契約を締結することができます。
<事業の流れ>
<関係当事者概要図>
<契約前の準備>
1 ワークスペース及び管理者アカウントの作成
本サービスの利用を希望する企業(以下「ユーザー企業」といいます。)は、本
サービス利用規約に同意の上、当社に対して本サービス利用申込書を提出します。
当社は、本サービス利用申込書に従い、ユーザー企業用の管理画面(以下「ワーク3スペース」といいます。)を作成し、ユーザー企業の管理者のメールアドレスを確
認して、管理者のアカウントを作成します。
2 管理者による登録ユーザーのアカウント作成
管理者は、以下の何れかの方法により、ユーザー企業の社員(以下「登録ユーザ
ー」といいます。)のアカウントを作成します。
方 法 説 明
a メールアドレス・
パスワード
・ 管理者は、登録ユーザーとなる社員のメールアドレスを確認し
て、本サービスに登録します。この際、ログインIDとして、メー
ルアドレスを利用するか、一意の番号(例:社員番号など)を設
定するかを選択できます。
・ 登録ユーザーとなる社員のメールアドレス宛に、本サービスから
アカウント作成用URLが記載されたメールが送信されます。
・ 登録ユーザーとなる社員は、上記URLより本サービスにアクセス
し、パスワード設定と利用規約への同意が完了すると、アカウン
トが作成されます。
b ユーザープロビジ
ョニング
【概要】
ユーザー企業が、SCIM2.0規格(注1)に準拠したIDプロバイダー(例:
Microsoft Azure Active Directory等)を利用している場合には、ユー
ザープロビジョニング(注2)を利用することにより、IDプロバイダーに
登録されたユーザー情報をそのまま使用して本サービスのアカウント
を作成することすることが可能
【手順】
・ 管理者は、社員情報(氏名、メールアドレス等)をIDプロバイダ
ーに登録した上で、当該社員に対してユーザー名と自動生成され
たパスワードを共有します。管理者が、ユーザープロビジョニン
グの利用を当社に申請し、当社が有効化します。管理者が、IDプ
ロバイダーと本サービスを連携させます。これにより、IDプロバ
イダーに登録されている社員情報(氏名、メールアドレス)を利
用して、本サービス上で社員のアカウントが自動的に作成されま
す。
・ 作成された社員のメールアドレス宛に、本サービスからメールア
ドレス認証用URLが記載されたメールが送信されます。
・ 社員が、上記URLにアクセスすることで、本人確認と利用規約へ
の同意が完了となります。
・ なお、ユーザープロビジョニングを利用する場合におけるログイ
ン方法は、SSO(シングル・サインオン)(下記3c)を利用する
ことになります。
(注1) SCIM(System for Cross-domain Identity Management)と
は、ユーザープロビジョニングの自動化を可能にするオープ
ン標準規格です。
(注2) IDプロバイダー上でのユーザー追加・変更・削除を検出し、
クラウドサービスのユーザー情報に自動反映する機能です。43 登録ユーザーによる本サービスへのログイン
登録ユーザーは、以下の何れかの方法により、本サービスにログインします。
方 法 説 明
a メールアドレス・
パスワード
登録ユーザーは、ログインページにアクセスし、自身のメールアドレ
スと自ら設定したパスワードを入力してログインします。
b ログインID・パス
ワード
登録ユーザーは、ログインページにアクセスし、上記2aで管理者に
より指定された一意の番号(ログインID)と自ら設定したパスワード
を入力してログインします。
c SSO(シングル・サ
インオン)
【概要】
ユーザー企業が、SAML2.0規格(注)を利用した外部のIDプロバイダー
(Google Workspace、Okta、 Microsoft Azure Active Directory等)
を利用している場合には、これを利用したログインを利用することが
できます。
【手順】
・ 管理者が、当社に依頼して、ユーザー企業のワークスペースの
SAML認証機能を有効化します。
・ 管理者が、ユーザー企業が利用しているIDプロバイダーと本サー
ビスを連携させます。
・ 登録ユーザーは、IDプロバイダーに登録されている自身のメール
アドレスとパスワードを利用して、ログインします。
(注) SAML(Security Assertion Markup Language)とは、異なる
インターネットドメイン間でユーザー認証を行うための
XML をベースにした標準規格です。
<契約締結のフロー>
4 契約書の電子ファイルをアップロードする
ユーザー企業が国との契約の電子締結を希望する場合は、登録ユーザーが、本サ
ービスにログインした上で、契約書のWordファイルまたはPDFファイルをアップロ
ードします。
5 締結依頼ユーザーが、締結担当者の情報を入力し、締結依頼を行う
締結依頼を発行する登録ユーザー(以下「締結依頼ユーザー」といいます。)
は、締結フローの発行画面において、締結担当者となる登録ユーザー(以下「締結
担当ユーザー」といいます。)の情報を入力し、締結依頼の発行方法を選択しま
す。なお、締結依頼ユーザーは、自身を締結担当ユーザーとして指定することも可
能です。また、締結依頼ユーザーは、国の締結担当者(以下「ゲストユーザー」と
いい、締結担当ユーザーとあわせて、以下「締結担当者」といいます。)の情報を
入力し、締結依頼の発行方法を選択します。
締結担当者(締結依頼ユーザーが自身を締結担当者として指定した場合を含みま
す。以下同じです。)の情報の入力方法は、以下の2通りがあります。
方 法 説 明5a 登録ユーザーの中
から選択して登録
締結担当ユーザーを指定する場合には、締結依頼ユーザーが、本サー
ビスに登録された締結担当ユーザーの情報(氏名、メールアドレス
等)を利用して、情報を入力します。
b ゲストユーザーの
情報を入力して登録ゲストユーザーを指定する場合には、締結依頼ユーザーが、ゲストユ
ーザーの情報(氏名、メールアドレス等)を入力します。
締結依頼の発行方法は、以下の2通りがあります。
方 法 説 明
a メール締結 本サービスから送信される締結依頼メールより締結依頼する方法で
す。具体的には、締結依頼ユーザーが、締結依頼ボタンを押すと、上
記で入力された締結担当者のメールアドレス宛に、本サービスから自
動的に締結依頼メールが送信されます。締結依頼メールには、締結用
画面にアクセスするためのURL(以下「締結用URL」といいます。)が
記載されています。
b URL締結 締結依頼ユーザーが自ら、本サービス上で生成された締結用URL
を、締結担当者にメール等で共有して締結依頼する方法です。具体的
には、締結依頼ユーザーが、締結依頼ボタンを押すと、締結用URLが
発行され、本サービス上で表示されます。この際、締結依頼ユーザー
は、締結用URLにアクセスするためのパスコードを設定できます。締
結依頼ユーザーは、締結担当者に対して当該URL(及びパスコード)
をメール送信するなどの方法により共有します。締結担当者は、締結
画面にアクセスするに当たって、以下の流れに沿って、メールアドレ
スの所有確認が要求される点が異なります。
・ 締結担当者は、締結用URLにアクセスし、自身のメールアドレス
を入力します。
・ 入力が完了すると、当該メールアドレス宛に本サービスから認
証コードが届きます。
・ 締結担当者が本サービス上で認証コードを入力することにより
メールアドレスの所有確認が完了し、締結画面へのアクセスが
可能となります。
以下の表は、依頼方法ごとの仕様の差異をまとめたものです。
メール締結 URL締結
締結用URLの共有方法 締結依頼ユーザーが本サービス
に入力した締結担当者のメール
アドレス宛に、本サービスから
締結依頼メールが自動送信される締結依頼ユーザーが締結担当者に
メール等により共有
締結用URLへのアクセス
用パスコード設定
不可 可能
本サービス上での締結
担当者のメールアドレ
スの所有確認
不要 必要
締結済み契約書ファイ
ルの閲覧・印刷
可能(締結完了メール記載の閲
覧用URLにアクセスする)
可能(締結完了メール記載の閲覧
用URLにアクセスする)66 本サービス上での最終版PDFファイルの生成及び書類IDの発行
締結依頼ユーザーが締結依頼を発行すると、本サービス上で、最終版のPDFファ
イル(以下「最終版PDFファイル」といいます。)が生成されます。これと同時
に、本サービス上で一意となるUUID 4フォーマットの書類IDが発行され、最終版PDF
ファイルの各ページに埋め込まれます。また、当該書類IDは締結証明書にも記載さ
れます。
7 各締結担当者による契約締結の意思表示と電子署名の付与
締結用URLを受け取った締結担当者は、本サービス上の締結画面で最終版PDFファ
イルを確認した後、締結ボタンをクリックすることにより、契約締結の意思表示を
行います。
各締結担当者が本サービス上にて契約締結の意思表示を行う度に、締結担当者ご
とに本サービスで一意となる締結者IDが発行されます。また、各当事者の手書きサ
イン又は印影が反映された意思表示時点における最終版PDFファイルに対し、自動
的に当社名義の公開鍵暗号方式(RSA-2048bit)による暗号化措置が施されます。
弊社による暗号化措置は、契約当事者の締結担当者の指示に基づき、当該契約当
事者による意思表示が確認された後、意思表示の対象となった意思表示時点におけ
る最終版PDFファイルについて、当該契約当事者を代行して一回実施します。これ
らの一連の暗号化措置は、各契約当事者による意思表示の度に繰り返し実施されま
す。
締結担当者が最終版PDFファイルに対して意思表示を完了してから、契約書ファ
イルに暗号化措置が施されるまでの間、最終版PDFファイルにアクセスできるのは
締結依頼ユーザー及び締結担当者のみであり、当社がその内容・過程に介在する余
地はありません。また、締結担当者も、最終版PDFファイルへの手書きサイン若し
くは印影の付与、又は契約締結の意思表示以外は、本サービス上で最終版PDFファ
イルの内容・過程に介在する余地はありません。
最終締結者の締結の意思表示に伴い施される暗号化措置は、長期署名の標準規格
(PAdES-LTV方式)に対応しており、一般財団法人日本データ通信協会が認定した
事業者によるタイムスタンプが埋め込まれています。
8 本サービス上での締結証明書の発行
67と同時に、当社は、本サービス上で、以下の情報を記載した締結証明書を発
行します。締結担当者は、締結証明書をダウンロードすることができます。
・ 上記6で発行された書類ID
・ 上記7で発行された各締結担当者の締結者ID
・ 各締結担当者のメールアドレス
・ 各締結担当者が本サービス上で契約締結の意思表示を行った時刻
<契約締結後>
9 締結後の契約書ファイルの閲覧及び印刷
最終締結者が締結行為を完了すると、本サービスから各締結担当者宛に締結完了
メールが配信されます。7締結依頼ユーザーは、締結済みの最終版PDFファイル及び締結証明書を、本サー
ビスにログインすることによりいつでも閲覧・印刷できます。
ゲストユーザーは、締結完了メールに記載されたURLにアクセスすることによ
り、いつでも最終版PDFファイルを閲覧・印刷できます。
Acrobat Readerを利用して最終版PDFファイルの署名パネルを確認することによ
り、暗号化措置の内容及びタイムスタンプを確認できるとともに、署名パネルの
「署名の詳細」欄を確認することにより、全ての締結担当者の氏名・メールアドレ
ス・署名時刻を確認できます。署名パネルのイメージは別紙4の通りです。
(3) 事業活動を実施する場所
オンライン上での提供
4. 新事業活動及びこれに関連する事業活動の実施時期
2021 年 11 月頃
5. 解釈及び適用の有無の確認を求める規制について規定する法律及び法律に基づく命令の規定(1) 電子署名及び認証業務に関する法律 (電子署名法)
(定義)
第二条 この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その
他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機
による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報に
ついて行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものである
こと。
二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものである
こと。
2 (略)
3 (略)
(2) 会計法
第四十九条の二 この法律又はこの法律に基づく命令の規定により作成することとされて
いる書類等(書類、計算書その他文字、図形その他の人の知覚によつて認識することがで
きる情報が記載された紙その他の有体物をいう。次項及び次条において同じ。)について
は、当該書類等に記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他
人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機に
よる情報処理の用に供されるものとして財務大臣が定めるものをいう。同項及び同条第一
項において同じ。)の作成をもつて、当該書類等の作成に代えることができる。この場合
において、当該電磁的記録は、当該書類等とみなす。
2 前項の規定により書類等が電磁的記録で作成されている場合の記名押印については、
記名押印に代えて氏名又は名称を明らかにする措置であつて財務大臣が定める措置をとら
なければならない。8(3) 契約事務取扱規則
(電磁的記録により作成する書類等の指定)
第二十八条 次の各号に掲げる書類等の作成については、次項に規定する方法による法第
四十九条の二第一項に規定する財務大臣が定める当該書類等に記載すべき事項を記録した
電磁的記録により作成することができる。
一 契約書
二 請書その他これに準ずる書面
三 検査調書
四 第二十三条第一項に規定する書面
五 見積書
2 前項各号に掲げる書類等の作成に代わる電磁的記録の作成は、各省各庁の使用に係る
電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と契約の相手方の使用に係る電子計算機と
を電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用して当該書類等に記載すべき事項を記
録する方法により作成するものとする。
3 第一項第一号の規定により契約書が電磁的記録で作成されている場合の記名押印に代
わるものであつて法第四十九条の二第二項に規定する財務大臣が定める措置は、電子署名
(電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項の電子署
名をいう。)とする。
6. 具体的な確認事項並びに規制について規定する法律及び法律に基づく命令の規定の解釈及
び当該規定の適用の有無についての見解
(1) 確認事項
1 本照会書 3(2)記載の本サービスが、電子署名法 2 条 1 項に規定する「電子署名」
の要件を充足し、これを引用する契約事務取扱規則 28 条 3 項に基づき、国が当事
者となる契約書についても利用可能であることを確認したいと考えています。
2 本照会書 3(2)記載の本サービスにおいて契約書等の電子データをクラウドサー
バーにアップロードし、それぞれの締結担当者が本サービスにログインして双方
の契約締結業務を実施する仕組みが、契約事務取扱規則 28 条 2 項に規定する方法
による「電磁的記録の作成」に該当し、契約書、請書その他これに準ずる書面、
検査調書、見積書等の作成に代わる電磁的記録の作成として、利用可能であるこ
とを確認したいと考えています。
(2) 確認事項に対する当社の考え
<確認事項1について>
電子署名法 2 条 1 項は、「電子署名」の要件として、電磁的記録に記録することができる
情報について行われる措置であること、措置を行った者の作成に係るものであることを示
すためのものであること、改変されていないことが確認できることを要求しています。本
サービスは、以下のとおり、電子署名法 2 条 1 項の「電子署名」の要件を満たしていると考
えています。
(a) 電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置であること(柱書き)
本サービスでは、すべての締結担当者が本サービス上にて契約締結の意思表示を完了す
ると、契約書ファイルが本サービス上で最終的な PDF ファイルに変換され、更に、当該 PDF9ファイルに自動的に当社名義の公開鍵暗号方式(RSA-2048bit)による暗号化がなされます。
そして、当該暗号化に関する情報は、契約書の PDF ファイル上に記録されるため、一連の暗
号化措置は、「電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置」に該当し
ます。
(b) 当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること(1 号)
総務省・法務省・経済産業省が令和 2 年 7 月 17 日付で発出した「利用者の指示に基づき
サービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関する Q&A」は、
サービス提供事業者自身が暗号化措置を行う場合における「当該措置を行った者の作成に
係るものであることを示すためのもの」の解釈について、以下のとおり述べています。
- 電子署名法第2条第1項第1号の「当該措置を行った者」に該当するためには、必ずしも物
理的に当該措置を自ら行うことが必要となるわけではなく、例えば、物理的にはAが当該措
置を行った場合であっても、Bの意思のみに基づき、Aの意思が介在することなく当該措置
が行われたものと認められる場合であれば、「当該措置を行った者」はBであると評価する
ことができるものと考えられる。
- このため、利用者が作成した電子文書について、サービス提供事業者自身の署名鍵により暗
号化を行うこと等によって当該文書の成立の真正性及びその後の非改変性を担保しようとす
るサービスであっても、技術的・機能的に見て、サービス提供事業者の意思が介在する余地
がなく、利用者の意思のみに基づいて機械的に暗号化されたものであることが担保されてい
ると認められる場合であれば、「当該措置を行った者」はサービス提供事業者ではなく、そ
の利用者であると評価し得るものと考えられる。
- そして、上記サービスにおいて、例えば、サービス提供事業者に対して電子文書の送信を行
った利用者やその日時等の情報を付随情報として確認することができるものになっているな
ど、当該電子文書に付された当該情報を含めての全体を1つの措置と捉え直すことよって、
電子文書について行われた当該措置が利用者の意思に基づいていることが明らかになる場合
には,これらを全体として1つの措置と捉え直すことにより、「当該措置を行った者(=当
該利用者)の作成に係るものであることを示すためのものであること」という要件(電子署
名法第2条第1項第1号)を満たすことになるものと考えられる。
すなわち、物理的にはサービス提供事業者自身が行う暗号化措置により文書の成立及び
非改ざん性を担保しようとするサービスであっても、技術的・機能的に見て、サービス提
供事業者の意思が介在する余地がなく、利用者の意思のみに基づいて機械的に暗号化され
たものであることが担保されていれば、当該暗号化措置を行った者はサービス提供事業者
ではなく利用者であると解釈されています。また、「電子文書の送信を行った利用者やそ
の日時等の情報を付随情報として確認することができるものになっている」など、電子文
書について行われた暗号化措置が利用者の意思に基づいて行われていることが明らかな場
合には、当該暗号化措置が「当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すため
のもの」(1号)であると解釈されています。
本サービスにおける暗号化措置は、物理的には弊社が行いますが、締結担当者の指示に
基づきクラウド上で機械的に行われ、弊社の意思が介在する余地がなく、締結担当者の意
思のみに基づいて行われます。すなわち、本サービスにおける暗号化措置は、サイバート
ラスト株式会社が提供する iTrust リモート署名サービスを利用して、最終的な PDF ファイ
ルに対し、署名検証のための証明書(公開鍵)付与することにより行われます。リモート
署名サービスは、証明書の付与が、弊社サーバーとサイバートラスト社のサーバー間の通
信のみで実施されるため、弊社や締結担当者の端末からは隔離された状態で行われます。
また、署名者の端末から弊社サーバー間を含む全ての通信は、TLS 通信の強制により通信の
暗号化が図られることから、第三者による通信途上のなりすまし、盗聴、改ざんが発生す
ることはありません。さらに、暗号化措置に用いる秘密鍵は、サイバートラスト社の HSM で10厳密に管理され、弊社では保持しえないことから、弊社の運用管理者や開発者がサービス
利用者(署名者)の意図と異なる暗号化を行う等の改ざんを行う事は不可能です。よって、
本サービスにおいて暗号化措置は、締結担当者の指図に基づきクラウド上で機械的に行わ
れ、サービス提供者である弊社の意思が介在する余地がなく、当該措置は、ユーザー企業
及び国により行われているといえます。
また、当該暗号化に関する情報は、暗号化措置に関する情報上記 3(2)7のとおり、PDF リ
ーダーの署名パネルにて、全ての締結担当者の氏名・メールアドレス・署名時刻とともに、
確認することができます。したがって、本サービスで施された暗号化措置は、契約書ファ
イルに付された当該暗号化措置に関する情報を含めての全体を1つの措置と捉え直すこと
によって、当該暗号化措置が利用者の意思に基づいており、「当該措置を行った者」もユ
ーザー企業及び国であるといえます。
(c) 改変されていないことが確認できること(2 号)
上記 2(2)7の通り、PDF 化された最終版 PDF ファイルには、各契約当事者による意思表示
の度に、自動的に当社名義の公開鍵暗号方式(RSA-2048bit)による暗号化措置が施されま
す。また、最終締結者が締結の意思表示を行い、各契約当事者の意思表示が合致した際に
は、認定事業者によるタイムスタンプが合わせて施されます。これにより利用者は、全契
約者の意思表示の合致がある最終版 PDF ファイルについて、改変の有無を確認することがで
きます。
すなわち、上記最終版 PDF ファイルに付される暗号化に関する情報には、最終版 PDF ファ
イルをハッシュ関数で求めたハッシュ値を秘密鍵で処理した暗号文が含まれます。この暗
号文を公開鍵で復号化したハッシュ値が、最終版 PDF ファイルを再度ハッシュ関数でハッシ
ュ値にしたものと合致すれば、最終版 PDF ファイルの改ざんがなされていないことが確認で
きます。一方で、万が一、最終版 PDF ファイルが変更されていると、復号化したハッシュ値
と再度ハッシュ関数でハッシュ値にしたものが合致しないため、改ざんを検知することが
できます。
<確認事項2について>
契約事務取扱規則 28 条 2 項は、同規則 28 条 1 項各号に掲げる書類等の作成に代わる電磁
的記録の作成について、「各省各庁の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同
じ。)と契約の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理
組織を使用して当該書類等に記載すべき事項を記録する方法により作成する」と規定して
います。
本サービスは、契約書等の電子データを本サービス上のクラウドサーバーにアップロー
ドし、それぞれの締結担当者が本サービスにログインして双方の契約締結業務を実施する
ものです。
したがって、本サービスによる電磁的記録の作成は、「各省各庁の使用に係る電子計算
機と契約の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織
を使用して当該書類等に記載すべき事項を記録する方法」といえ、契約事務取扱規則 28 条
2 項の要件を充足します。
7. その他
特になし。
以上11別紙
1. 締結フロー全体のシーケンス図122. 締結フローの各ステップにおける画面イメージ
(1) ファイルのアップロード
(ア) 「契約書作成」>「PDF から作成」または「Word から作成」を押下
(イ) ファイルをアップロード13(ウ) 当事者情報等の契約項目を入力
(2) 締結依頼の発行
(ア) 「締結」を押下14(イ) 「締結方法」として Contract Sign を選択
(ウ) 締結担当者の情報を入力15(エ) 「アカウントから選択する」場合の画面
(オ) 「任意の署名者を入力」する場合の画面16(3) 締結依頼メール
(ア) 締結依頼メール
(イ) 締結依頼メールの内容17(4) 契約書の確認
(ア) 契約書の確認
(イ) 関連書類のアップロード(任意)18(ウ) 印影・サインの選択
(エ) 印影の作成19(オ) 締結前の最終確認
(5) 各締結担当者による契約締結の意思表示と電子署名の付与(7)20(6) 締結完了メールの発行
(ア) 締結完了メールの配信
(イ) 締結依頼メールの内容21(7) 締結済み契約書ファイルの閲覧
(ア) 本サービス上の確認画面22(イ) 最終版 PDF ファイル233. 締結証明書のイメージ244. 電子署名に関するプロパティ25