国際法務人材として
活躍する法務省職員
▹国際機関勤務
▹JICA長期派遣専門家
▹海外における調査研究
▹在外公館勤務
▹海外出張・国際会議出席
...など!
▹留学
▹省内国際関係部門勤務
発行:法務省大臣官房国際課(令和5年10月)
採用情報は
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法務省職員
国際法務人材活躍の場
• 国際機関勤務/在外公館勤務
...各国にある日本大使館や、国連関連機
関等で働くチャンス!
• JICA長期派遣専門家
...主に開発途上国で長期間・地域密着型
の立法・法制度整備を支援!
• 留学、海外における調査・研究
...職務に関連する研究に従事!
海外での勤務
日本から海外へ
• 省内国際関係部門での勤務
...海外出張・国際会議出席、海外実務家
との連携等、法務行政に関する国際業
務に従事!日本の法務省の立場や知見
を世界に発信!
相手に対する誠意やリスペクトをもって粘り強く接することが重要です!
在ベトナム大使館 井倉 美那子 二等書記官
・検察事務官
・東京地方検察庁、法務総合研究所、大臣官房国際課等を経て、現職
●くろまるこれまで経験した国際関連業務内容
法制度整備支援をしている法務総合研究所国際協力部で初めて法務省の国際関連業務に携わりました。国際協力部では、ミャンマーやベ
トナム、インドネシア、東ティモールといった国々を担当し、主に日本で行う研修の調整や受入対応を行っていました。研修は法務省だけ
でなく、テーマに合わせて、裁判所、弁護士、他省庁、時には民間会社の協力が不可欠です。研修員や講師とのディスカッション、司法関
連機関等への見学などを通じて日本の法制度の仕組みや運用、自国の法制度の実情や課題を理解し、今後の制度設計に役立ててもらってい
ました。
また、官房国際課では、2021年に開催された国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)に携わり、その後、同じ国際課で主に法
制度整備支援の政策関係を行う係で再び法制度整備支援関係に携わりました。
●くろまる国際機関等で勤務する際に必要とされるスキルやマインド
在外公館で働いていても、国家公務員ですので、日本国民全体の奉仕者であり、日本の国益を考えるというところは、日本にいる頃と何
ら変わりはありません。ただ、言語や文化、社会的背景の違う国の方々の考えを理解したり、交渉したりするためには、相手に対する誠意
やリスペクトをもって粘り強く接することが必要だと感じています。
●くろまる法務省勤務を経験して国際機関等へ勤務するメリット
大使館では、自分が唯一その省の担当者となりますので、法務省関連の仕事はすべて行うことになります。法務省の仕事は、民事、刑事
法分野のほか、矯正や保護分野、さらには出入国や在留管理と多岐に渡っています。すべての分野の知識を身につけるのはなかなか難しい
ですが、省内でできるだけ多くの仕事に携わり、その分野の知識はもちろん、省内の人脈などを築くことも重要だと思います。
●くろまる在外勤務での思い出
ベトナムは南北に長く、地域によって様々な顔を見せてくれます。山岳地域では森の中や田畑の間を縫ってトレッキングをしたり、海沿
いの地域ではほとんど誰もいない青い海のビーチでのんびりしたりと退屈になる暇がありません。ちょうどコロナ禍も収束に向かっている
時期に赴任したので、休みの日を利用して、いろんな地域に行き、様々なベトナムを感じています。
●くろまる一言
法務省はドメスティックな省だという印象が強いですが、国際的な仕事はどの部署にもあります。もし海外で働くことに興味を持ってい
るのであれば、日本国内の制度や法律などの知識を身につけた上で、そうした国内の国際関係業務に携わりながらチャンスを伺い、世界に
飛び出してください!
海外から日本を見てみると新鮮なことばかりでした!
・矯正局(総合職)
・栃木刑務所、保護局更生保護振興課、警察庁国際捜査管理官室、大臣官房国際課、矯正局
国際受刑者移送係等を経て、現職
●くろまる国際関連業務に関わった動機・きっかけ
海外旅行が好きだったこともあり、入省時から国際業務や留学に漠然とした関心を持っていました。警察庁国際捜査管理官室に出向し、
続いて官房国際課にて勤務する機会をいただいたことは国際業務に関わる大きな契機となりました。これらの部署では様々な国の制度を学
ぶことができて視野が広がりました。また、海外勤務経験のある職員が多く在籍しており、皆さん「大変だった!」と言いつつも、楽しそ
うに赴任時の経験を話してくださったことも海外赴任に踏み出す勇気をくれました。
●くろまる国際機関等と日本での働き方との相違
実際にUNODCバンコク事務所で働いてみて感じた大きな違いは、国際機関は、担当者の裁量が大きいということです。そのため担当
者の仕事のスタイルが案件の進め方や進捗に大きく影響します。(比較すると、日本の官公庁は「組織間」で仕事をしており、担当者によ
り案件の進め方等に大きな違いはないという印象です)。
●くろまるこれまで経験した国際関連業務内容
UNODCバンコク事務所では、東南アジア太洋州地域の各国の刑務所の過剰収容対策や職員の処遇能力向上に向けたプロジェクトに取
り組んでいます。具体的には、国際会議やワークショップ等を開催して各国の好事例の共有や今後の改善方策について関係機関がともに検
討する機会を提供したり、人権規範や国連準則に即した刑務所運営及び犯罪者処遇ができるように各国職員を対象とした訪日研修や現地研
修を実施したりしています。官房国際課では、京都コングレス開催準備、表敬訪問対応、条約や決議案等の内容確認に関する総合調整など、
非常に幅広く経験させていただきました。
●くろまる国際機関等で勤務する際に必要とされるスキルやマインド
私自身、自分の未熟さを日々痛感しておりますが、まずは英語と専門性だと思います。同僚やカウンターパートは、一定の分野で博士号
を有する、数十年のキャリアを有する等、非常に専門性が高く、彼らと議論するために私も日々勉強の毎日です。英語は「もっとできれ
ば!」と一日百回は思います。あと、時差や海外出張に負けない体力も意外と大事(笑)。
●くろまる語学習得方法
自分でもオンライン英会話を習ったりしていましたが、官房国際課で日々の業務上の必要に迫られて学んだもののほうが役に立っていま
す。特に、官房国際課職員を対象としたパブリックスピーキング研修は公的かつ国際の分野に専門性を有する講師から実践的な指導を受け
られたので大変役立ちました。「英語がもっとできればこの仕事はもっと楽しい」と思うことも多く、赴任後も引き続き勉強中です。
●くろまる法務省勤務を経験して国際機関等へ勤務するメリット
実務家としての専門性が身につき、またカウンターパートからの信頼を得やすいと思います。私の場合は基本的なカウンターパートはそ
の国の刑務・保護当局です。国連職員の視察、というと身構えてしまうカウンターパートも少なくありませんが、自身に国連一加盟国の法
務省職員(特に刑務官)としての勤務経験があることでカウンターパートと率直に議論できる面があります。また、支援内容をカウンター
パートとともに考えていく際にも、その実現可能性や実際に必要なステップを具体的に検討・提案するために、法務省や刑務所で実務家と
して勤務した経験が大変役に立っています。
UNODCバンコク事務所 岡南 明希 オフィサー
国際交渉に近道なし
・検事
・東京地方検察庁、福島地方検察庁いわき支部、行政官長期在外研究員(英国)、刑事局国
際課、在ウィーン国際機関日本政府代表部等を経て、現職
私は、検事に任官後、行政官長期在外研究員として英国に2年留学し、2017年に刑事局国際課(現・国際刑事管
理官室)に配属されたことを契機に、在ウィーン国際機関日本政府代表部一等書記官(2018〜2021年)、官房
国際課付(2021年〜現在)として国際業務に携わってきました。幼少期を米国で過ごし、いつか語学と法的素養を
活かして司法分野の発展に貢献したいと考えていた私にとって、こうしたキャリアを歩めていることを幸せに感じてい
ます。
これまで従事した国際業務は多岐にわたりますが、印象深かったものとして、ウィーン日本政府代表部勤務中に、2
021年3月に京都で開催された第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)があります。私は、会合の成
果文書であり、刑事司法分野における国際社会の重要な指針となる「京都宣言」の起草・交渉に従事させていただきま
した。もう1つは、2023年7月に我が国が司法外交閣僚フォーラムとして主催した、日ASEAN特別法務大臣会
合、G7司法大臣会合及びASEAN・G7法務大臣特別対話という3つの閣僚級会合です。ここでは、会合のテー
マ・議題選定、成果文書となる日ASEAN法務大臣共同声明やG7司法大臣共同宣言の起草・交渉、会合後に展開す
るレガシー構想等を担当させていただきました。こうした会議の成果は、法の支配を国際社会に推進する司法外交を進
める上で重要な一歩であると確信しています。また、国際会議に参加するため、世界中を飛び回ってきました(コロナ
以降はオンライン会議も増えました。)。
こうした国際業務に従事する中で強く感じるのは、「交渉に近道なし」ということです。どんなに(日本視点で)精
巧かつ正確な論理を展開しても、華々しいステートメントを行っても、それで議論が決着するなんてことは、少なくと
も私は見たことがありません。それもそのはずで、世界各国の見方や考え方は多様であり、利害関係も複雑だからです。
では、何が決め手になるかと言うと、非常に泥臭い話ではありますが、最後は個々の国との信頼関係や熱意だと思いま
す。労を惜しまず、時間をかけて多くの国に我が国の立場を丁寧に説明し、汗をかいて解決策を模索・提案して誠意を
尽くすことで道は必ず拓けると思います。言うは易し、行うは難しですが、被疑者や被害者と真摯に向き合って粘り強
く話を聞く検事としての経験・忍耐力が活かせると実感しています。
法務省大臣官房国際課 入江 暁 検事
国際的なルール形成を主導する
・裁判官
・東京地方裁判所、最高裁判所事務総局、在ニューヨーク国連日本政府代表部、訟務局、大
臣官房国際課等を経て、現職
国連事務局法務部国際商取引法課(UNCITRAL) 髙嶋 卓 リーガルオフィサー
●くろまるその後の国際関係業務
その後、しばらくは、裁判所で裁判官として勤務していましたが、2018年に検事に転換して法務省に出向する機会を得ました。訟務
局国際室と大臣官房国際課を兼務し、訟務局では、韓国との二国間関係が冷え込むきっかけとなった旧朝鮮半島出身労働者問題を巡る日韓
請求権協定に関する法的紛争への戦略策定のほか、フッ化水素等の輸出管理強化に関して韓国が提起したWTO紛争への応訴、福島第一原
発事故の結果として生じたALPS処理水の放出に関する国際法上の問題への対応など日韓関係に関連する法的問題に携わる一方、国際課
では、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)や世界銀行傘下の投資紛争解決国際センター(ICSID)における法的紛争解決を
中心とする国際的なルール形成のプロセスに日本を代表して参加するなどしました。日本は、法の支配といった普遍的価値に基づき国際的
なルール形成を主導していくという方針を一層推し進めるようになっており、ルール形成を最前線で担うとともに、具体的な紛争について
は、そのルールに基づき理を貫徹して解決すべく、日本の一貫した立場に基づき政府方針を策定して対処していくという担当業務に大変や
りがいを感じていました。その間、奇しくも、2018年12月に実施されたUNCITRAL構成国選挙で日本は再選を目指して選挙活
動を展開することとなり、選挙戦略の策定と国連本部での働きかけを実施して日本の当選に貢献したほか、UNCITRAL構成国の数を
60から70に増やすという国連総会決議の採択を主導するなど、かつて国連代表部で勤務した際の経験が活きました。
●くろまる現在の業務について
2022年9月以降、ウィーンに拠点を置き、UNCITRALの事務局機能を担っている、国連事務局法務部国際商取引法課のリーガ
ルオフィサーとして勤務しています。具体的には、日本が提案して採択されたデジタルエコノミーにおける法的紛争解決に関するストック
テイキングプロジェクトのマネージャーとしてその実施に当たっているほか、国際仲裁や調停といった国際的な法的紛争解決に関するルー
ル形成を所管する第2作業部会の作業に関する業務に従事しています。元々、裁判官であることから、法的紛争解決の手続及びその運用に
不備があれば、いかに実体的な規定が整備されていても、適正な紛争解決は実現できないという確たる思いを持っており、法的紛争解決手
続の在り方は日本が主導する法の支配といった普遍的価値の推進のための礎であると認識しています。現在の業務は、国連事務局で、各国
の意思形成を支援するという立場から、これからのルールの在り方につきオプションを検討して提案するというダイナミックな仕事だと感
じています。国際的なルール形成を主導するという意気込みをもって取り組み、活動を条約やモデル法といった具体的な成果として結実さ
せ、日本への貢献にもなればと思っています。
●くろまる国際関係業務に携わるきっかけ
私は、2003年に東京地裁判事補として任官しましたが、その後、2009年〜2011年に外務省へ出向し、ニューヨークの国連本
部で日本を代表するために設置されている国連日本政府代表部で書記官として勤務しました。この時に国連の世界の表も裏も深く知ること
となりました。当時、担当している案件について、国連総会や安全保障理事会を含め様々な機関の会合で日本の立場の表明や決議案の交渉
に当たりました。また、国連総会への参加は全ての加盟国に認められているのですが、安全保障理事会、経済社会理事会、条約体等の国連
の会議体に国又は国の推薦する個人の参加は所与のものではありません。日本又は日本政府が推薦する個人が参加資格を選挙を通じて得ら
れるように、各国に対して支持要請をする選挙活動を展開することも代表部の重要な仕事でした。現国際司法裁判所判事の岩澤雄司氏の市
民的及び政治的権利に関する国際規約の条約体である自由権規約委員会委員への選出に向けた選挙活動を主担当者として担い、同氏の当選
に貢献できたことは今でも誇らしく思っています。国連外交に従事して、日本の世界における立ち位置を肌で感じたほか、国連については、
昨今無力であるなどと批判の多いところですが、軍事力や経済力といった国力とは異なる、理屈や物事の良し悪しといった価値観に基づく
力学も働いており、日本が一層貢献できるフォーラムだと感じました。