1薬物事犯者の再犯防止対策の在り方に関する検討会
中間取りまとめ
1 はじめに
近年,刑法犯を中心に,犯罪の認知件数は減少の一途をたどっているが,覚醒剤取
締法違反による検挙者数は,依然として高い水準で推移しており,新たに刑務所に入
所する者の約3割が覚醒剤取締法違反者である。加えて,大麻取締法違反による検挙
者数は,若年層を中心に急増しており,薬物事犯者の再犯防止対策は,我が国にとっ
て大きな課題の一つである。
薬物事犯者は,犯罪をした者等であると同時に,薬物依存症の患者である場合もあ
るため,
その再犯を防止するためには,
薬物を使用しないよう指導するだけではなく,
薬物依存症は適切な治療・支援により回復することができる病気であるという認識を
持たせ,薬物依存症からの回復に向けた治療・支援を継続的に受けさせることが必要
である。
こうした現状と課題を踏まえ,再犯防止推進計画においては,薬物事犯者の再犯の
防止等において効果的な方策について検討を行うこととされた。
そこで,法務省及び厚生労働省は,平成31年2月,それぞれの関係部局の課長級
職員を構成員とする
「薬物事犯者の再犯防止対策の在り方に関する検討会」
(以下
「検
討会」という。
)を設置し,薬物事犯者の再犯防止対策の現状・課題等を整理すると
ともに,それらの課題解決に向けた取組の方向性等について検討を行ってきた。
本報告書は,
現段階における検討状況及び今後の検討の方向性を中間的に取りまと
めたものである。
2 薬物事犯者に対する指導・支援の取組
現在,
薬物事犯者の再犯防止のために法務省及び厚生労働省において実施している
取組の概要は,以下のとおりである。
(1) 矯正施設における取組
・刑事施設における薬物依存離脱指導の実施
・少年院における薬物非行防止指導の実施
・令和元年度からは,刑事施設収容中から,出所後も社会内で継続が可能となるプ
ログラムを受講させ,依存症回復施設に帰住等させる体制を構築する「女子依存
症回復支援モデル事業」を開始
(2) 保護観察所等における取組
・保護観察所における薬物再乱用防止プログラムの実施
・薬物依存に関する専門的な処遇の充実強化を目的とした薬物処遇ユニットの設置 2
・薬物処遇重点実施更生保護施設における精神保健福祉士や公認心理師等の専門
的資格を持った専門スタッフによる処遇の実施
・令和元年度からは,一部の更生保護施設における薬物中間処遇の試行を開始
(3) 矯正施設及び保護観察所が連携した取組
・矯正施設から保護観察所に処遇情報を引き継ぐ体制の整備
・矯正施設職員及び保護観察官を対象とした薬物依存対策研修の実施
(4) 厚生労働省における取組
・依存症対策全国拠点機関による依存症治療の指導者養成研修の実施
・依存症に関する普及啓発事業及び依存症民間団体支援事業の実施
・薬物事犯により検挙され執行猶予判決が見込まれる者,裁判の結果,保護観察の
付かない執行猶予判決を受けた者等に対する再乱用防止支援の実施
・平成30年度診療報酬改定において,薬物依存症についても精神科専門療法の対
象疾患に含まれることを明確化するとともに,
「疾患別等専門プログラム加算」
を新設
(5) 法務省及び厚生労働省が連携した取組
・保護観察所と地方公共団体や精神保健福祉センター等の関係機関の間で,平成2
7年に策定した
「薬物依存のある刑務所出所者等の支援に関する地域連携ガイド
ライン」に基づき,地域における支援体制を構築
3 ヒアリング結果
検討会においては,薬物事犯者に対する再犯防止対策の実態把握を目的として,実
務者及び有識者へのヒアリングを実施した。その結果概要は別添のとおりである。
4 現状の課題と検討の方向性
ヒアリング結果等を踏まえ,以下の(1)から(7)に論点を整理し,論点ごとに現状の課
題とその対応方針(案)を中間的に取りまとめた。
(1) 刑の一部執行猶予者を始めとした刑事施設出所者等に対する支援の在り方
しろまる 薬物事犯により刑の一部につき執行猶予となった者等への指導や支援に当た
っての課題等を整理し,その課題解決に向けた方策等について検討する。
ア 現状の課題
・刑事施設から更生保護官署に対する薬物依存離脱指導に関する情報の引継ぎ
の在り方についての検討が必要。
・刑事施設等入所中から保護観察を経て地域移行に至るまでの継続的かつ長期
的な指導・支援を更に充実させることが必要。
・保護観察所から地域の精神科医療機関につなぐための医学的知見(アセスメ 3ント能力)が一般的な保護観察官に不足しており,治療の必要性,緊急性等
について的確に認識できない場合がある。
イ 対応方針
・刑事施設から更生保護官署に引き継がれている薬物依存離脱指導の情報の
量・質について,更生保護官署側のニーズや保護観察終了後の地域支援との
連携の観点から適切かといった点についての検討を行う。
【法務省】
・刑事施設及び保護観察所において一貫した指導を実施するとともに,保護観
察終了後も地域社会の中で引き続き適切な支援を受けることができるよう,
保護観察所において,地域の保健医療機関や民間団体等との連携の強化を図
る。
【法務省】
・保護観察所におけるアセスメントの際に,医学的知見も十分踏まえたアセス
メントができるよう,地域の精神科医療機関の協力を得て支援体制を整える。
【法務省】
(2) 起訴猶予者等に対する支援の在り方
しろまる 厚生労働省が薬物依存の問題を抱える起訴猶予者等を対象にプログラム等を
実施している「薬物乱用者に対する再乱用防止対策事業」について,その課題等
を整理し,課題解決に向けた方策等について検討する。
ア 現状の課題
・麻薬取締部で検挙した者を主な対象としているため,支援事例が少ない。
・持続的な支援を行うためには,対象者のニーズや対象者を取り巻く環境を踏
まえ,地域の医療機関,行政機関,民間団体等の適切な関係機関に引き継ぐ
必要があるが,麻薬取締部と関係機関との連携が十分であるとは言い難い。
・各麻薬取締部における支援体制や取組状況に差が生じている。
イ 対応方針
・法務省や警察庁等の関係機関と連携し,
支援対象者の拡充に努める。
【厚生労
働省】
・麻薬取締部において,地域の医療機関,行政機関,民間団体等の関係機関と
活動内容等の共有を進めるなどし,連携強化を図る。
【厚生労働省】
・麻薬取締部内で,対象者の支援に関する,職員向けの研修や勉強会を充実さ
せる。
【厚生労働省】
しろまる 薬物事犯により起訴猶予や保護観察の付かない単純執行猶予等となった者も
対象の一部として行っている「入口支援」の課題等を整理し,課題解決に向けた
方策等について検討する。
ア 現状の課題 4・対象者の課題や問題性等を踏まえた適切なアセスメントが必ずしも実施さ
れていないなどの事情から,
対象者が適切な福祉等関係機関につながりにく
い。
・入口支援の実施に当たっては,関係機関が,それぞれ行う支援等について相
互に理解した上で,対象者に関する情報を早期に共有して,治療・支援等へ
の動機付けの段階から連携して取り組むことが求められているところ,
刑事
司法関係機関及び福祉等関係機関の職員において,
それぞれの役割や取組に
ついての相互理解が十分かつ正確であるとは言い難い状況にある。
・保護観察所における入口支援においては,検察庁から候補者の連絡を受けて
から対象者が起訴猶予等となり身柄が釈放されるまでの限られた期間中に
アセスメントや動機付けを行う必要があり,
薬物依存の問題を十分認識して
いない者については支援につながりにくいため,
薬物事犯者に対する支援事
例が非常に少ない。
・薬物事犯者を対象とした入口支援の在り方について,国と地方公共団体の連
携方策を検討する必要がある。
イ 対応方針
・刑事司法関係機関及び福祉関係機関等において,対象者の課題や問題性等を
踏まえた適切なアセスメント・調整等を遺漏無く実施する。
【法務省】
・法務省関係機関,保健医療機関や民間団体等の担当者間で定期的に協議を行
うなどして認識の共有等を図り,地域において関係機関が一体となって取り
組めるような体制を構築するとともに,それを全国的に実施するための法務
省・厚生労働省の緊密な連携を図る。
【法務省,厚生労働省】
・地域再犯防止推進モデル事業((注記))において,薬物事犯者を対象として実施
された入口支援の取組についての効果検証等を踏まえ,国と地方公共団体が
連携した薬物事犯者を対象とした入口支援の在り方について検討する。
【法
務省】
(注記) 国・地方公共団体の協働による地域における効果的な再犯防止対策の在
り方について調査するため,平成30年度から令和2年度までの間,一部
の地方公共団体において,1地域の実態調査と支援策の策定,2モデル事
業の実施,3事業の効果検証・地方再犯防止推進計画の充実といった一連
の取組を地域再犯防止推進モデル事業として実施した。
(3) 刑事司法手続を離れた薬物依存症者に対する息の長い支援の在り方
しろまる 法務省関係機関から地域支援につなぐ際の課題等を整理し,
動機付けの在り方,
コーディネーターの配置も含め,
その課題解決に向けた方策等について検討する。 5ア 現状の課題
・専門医療機関や相談拠点機関,自助グループ等の整備状況は都道府県ごとに
格差があり,十分に体制が整っていない地域もある。
・地域に利用可能な社会資源があっても,薬物依存からの回復に対する動機付
けが高まらず,支援につながろうとする対象者は少ない。
・薬物依存症者に対し,国と地方公共団体とが連携して「息の長い」支援に取
り組むための体制整備が不十分である。
イ 対応方針
・更生保護官署にコーディネーターを配置するなどして,地方公共団体の福祉
部局等とも連携しながら,地域の医療機関,薬物依存症リハビリ施設等に関
する情報を収集し,適切な支援につなぐための調整を積極的に行うことによ
り,利用可能な社会資源の開拓と活用に努める。
【法務省】
・保護観察対象者を関係機関や民間団体の支援につなげるための保護観察官や
保護司による調整や指導を積極的に行うほか,家族等に対しても助言を行う
ことにより,本人の動機付けを高める関わりを促す。
【法務省】
・薬物依存症者への支援に取り組む地方公共団体に対する,国として可能な支
援の在り方を検討する。
【法務省】
しろまる 地域支援につなげるに際して,
法務省関係機関が保有する薬物事犯者に係る情
報を,
治療等を実施する保健医療機関や民間団体等と共有する方法の在り方につ
いて検討する。
ア 現状の課題
・刑事施設及び少年院において,社会内における治療及び援助等を行う関係機
関等の実情への理解や連携方策に関する知見を更に深めるとともに,関係機
関等との確実な情報共有を徹底していく必要がある。
・保護観察終了後の地域支援で活用することを意識して,関係機関に引き継ぐ
べき情報の内容を整理する必要がある。
・矯正施設で保有している医療情報は保護観察所には提供されるが,社会内の
医療機関に直接引き継がれる仕組みがなく,医師同士が情報の引継ぎや協議
を行う仕組みが整っていない。
・地域において,治療等を実施する保健医療機関や民間団体等が,犯罪をした
者等の支援を実施するに当たり,矯正施設や更生保護官署が保有する情報を
必要とする機会が多くなっているところ,個人情報の取扱いなどについて整
理する必要がある。
イ 対応方針
・刑事施設及び少年院において,社会内における治療及び援助等を行う関係機 6関等の実情やニーズ等の把握並びに適切な情報共有の在り方について検討
するとともに,薬物依存離脱指導・薬物非行防止指導の実施状況等必要な情
報を関係機関等に引き継ぐなどし,処遇情報の共有を図る。
【法務省】
・対象者の生活環境や心身の状況等の関係機関に提供すべき必要な情報につい
て,あらかじめ保護観察所と関係機関との間で確認しておくとともに,必要
に応じてケア会議を開催するなどして情報の引継ぎを適切に行う。
【法務省】
・保護観察所の生活環境調整において,医療的措置の必要性が高いと認められ
る生活環境調整対象者について,矯正施設入所中から医療機関を確保し,釈
放後の円滑な連携につなぐ仕組みを検討する。
【法務省】
・矯正施設及び更生保護官署と治療等を実施する保健医療機関や民間団体等と
の情報共有の在り方について検討する。
【法務省】
(4) 地域社会において継続的な治療・支援をするための体制整備
しろまる 地域における薬物依存症に関する課題を共有し,
協働してその課題に対応する
ために,法務省関係機関,保健医療機関,民間団体等による地域支援ネットワー
クの構築の在り方や各機関の役割について検討する。
ア 現状の課題
・薬物依存のある刑務所出所者等の支援に関する地域支援ガイドラインに基づ
き連携を進めているところであるものの,各機関それぞれの役割や取組につ
いての相互理解が必ずしも十分ではない。
・現状として,地方における再犯防止の取組に関する進捗は,地域によって差
が生じているところ,特に薬物依存に対応した取組については地域差が大き
い。
イ 対応方針
・関係機関間の連絡会議を定期的に開催すること等を通じて,相互の取組に関
する理解を深めるとともに,各地域の実情等を踏まえた効果的な連携の方策
について検討する。
【法務省】
・地域再犯防止推進モデル事業の成果も踏まえ,地方における薬物依存に対応
した再犯防止の取組の普及方法等について検討する。
【法務省】
しろまる 併存する精神障害の治療又は支援,
認知行動療法に基づくプログラムその他の
専門的援助,当事者同士のミーティング,簡易薬物検出検査,家族支援など,地
域において個々のニーズや問題性に応じた多様な支援メニューを確保するため
の体制整備の在り方について検討する。
ア 現状の課題
・専門医療機関や相談拠点機関,自助グループ等の整備状況は都道府県ごとに 7格差があり,十分に体制が整っていない地域もある。
・薬物依存症者の支援に関する政策として,認知行動療法以外の治療法が想定
されておらず,当事者の多様なニーズに対応する治療法の選択肢を検討する
必要がある。
・103施設ある更生保護施設のうち25施設を薬物処遇重点実施更生保護
施設に指定し,
公認心理師等の専門的資格を持った専門スタッフを配置して,
薬物依存からの回復に重点を置いた専門的な処遇を実施しているところ,これらの施設における受入人員の拡充及び処遇内容の充実が必要である。
・薬物依存症リハビリ施設のように薬物事犯者を積極的に受け入れる体制が確
保されている自立準備ホームの一層の確保と連携の強化が必要である。
イ 対応方針
・更生保護官署において,地方公共団体の福祉部局等とも連携しながら,地域
の医療機関等に対して入院又は通院による治療・支援への協力を依頼するこ
とにより,
利用可能な社会資源の開拓と連携体制の強化に努める。
【法務省】
・トラウマ治療や条件反射制御法等,幅広く薬物依存症者の回復に役立つと思
われる治療法及び対応可能な医療機関等の実情を把握し,
連携体制を整える。
【法務省】
・薬物処遇重点実施更生保護施設が対象者の受皿としてより一層活用されるよ
う,更生保護施設職員に向けた薬物依存回復に係る取組に関する情報提供や
研修等の充実を図る。
【法務省】
・保護観察所において,地方公共団体や民間団体等と緊密に連携しながら,薬
物事犯者を積極的に受け入れる自立準備ホームの開拓と連携強化に取り組
む。
【法務省】
(5) 民間団体に対する活動支援の充実
しろまる 地域理解の促進など,
民間団体が地域で効果的な活動を展開するための課題等
を整理し,その課題解決に向けた国としての支援策について検討する。
ア 現状の課題
・103施設ある更生保護施設のうち25施設を薬物処遇重点実施更生保護
施設に指定し,
公認心理師等の専門的資格を持った専門スタッフを配置して,
薬物依存からの回復に重点を置いた専門的な処遇を実施しているところ,これらの施設における受入人員の拡充及び処遇内容の充実が必要である。
・薬物依存症リハビリ施設のように薬物事犯者を積極的に受け入れる体制が確
保されている自立準備ホームの一層の確保と連携の強化が必要である。
・就労と薬物依存回復支援を両立しようとする場合,プログラムの参加等につ
いて勤務先からの理解を得ることが必ずしも容易でないなど,特に薬物依存 8症者の受入れが可能な協力雇用主の理解の促進と協力を得るための取組が
必要である。
イ 対応方針
・薬物処遇重点実施更生保護施設が対象者の受皿としてより一層活用されるよ
う,更生保護施設職員に向けた薬物依存回復に係る取組に関する情報提供や
研修等の充実を図る。
【法務省】
・保護観察所において,地方公共団体や民間団体等と緊密に連携しながら,薬
物事犯者を積極的に受け入れる自立準備ホームの開拓と連携強化に取り組
む。
【法務省】
・薬物依存症者を受け入れている協力雇用主との連携及び支援の在り方を検討
する。
【法務省】
(6) 支援者の育成の在り方
しろまる 法務省関係機関,保健医療機関,民間団体等における支援者の育成に当たって
の課題等を整理し,その課題解決に向けた方策等について検討する。
ア 現状の課題
・刑事施設及び少年院において,薬物依存離脱指導・薬物非行防止指導の指導
者を計画的に育成し,指導の質の更なる向上を図る必要がある。
・薬物依存症の問題や関係機関等の取組について正しく理解した上で,対象者
への指導や関係機関等との調整に当たることのできる保護観察官の育成を行
う必要がある。
イ 対応方針
・刑事施設及び少年院において,薬物依存離脱指導・薬物非行防止指導の指導
者に必要な知識・スキルを整理し,計画的に育成することにより,指導の質
の更なる向上を図る。
【法務省】
・薬物依存のある保護観察対象者の処遇に当たる保護観察官を対象として,そ
の専門性向上を図るための研修やスーパーバイズ((注記))を実施する。
【法務
省】
(注記) 薬物事犯者に対する処遇の実施に当たり,薬物事犯のメカニズムや薬物再
乱用防止プログラムの趣旨等について理解が深い専門家から助言等を受け
ること。
(7) その他
しろまる 海外において薬物依存症からの効果的な回復措置として実施されている各種
拘禁刑に代わる措置も参考にしつつ,矯正施設や保護観察所,保健医療機関,民 9間団体等において,新たな薬物対策を試行的に実施することについて検討する。
ア 現状の課題
・諸外国における知見等も踏まえ,より一層効果的な薬物事犯者処遇を行うた
めの方策を検討する必要がある。
・刑事施設において,令和元年度から5箇年計画で試行している,札幌刑務支
所「女子依存症回復支援センター」における「女子依存症回復支援モデル」
を着実に実施する必要がある。
イ 対応方針
・薬物処遇に関する国内外の知見等を幅広く把握した上で,新たな薬物対策を
試行的に実施すること等について所要の検討を行う。
【法務省】
・刑事施設において,
「女子依存症回復支援モデル」の効果を適切に検証し,そ
の後の事業継続等について検討する。
【法務省】
しろまる その他,薬物事犯者に対する再犯防止対策に関し,現行制度とその運用,実態
等を勘案しつつ,必要に応じて,その充実や見直し等について検討する。
ア 現状の課題
・保護観察所で実施している簡易薬物検出検査は,
保護観察対象者の自発的意
思に基づく運用形態から始まり,現状では,薬物再乱用防止プログラムの一
部として,
同プログラムの実施期間を通じて受講対象者に義務付ける運用形
態が主流となっているが,
「関係機関の連携によるシームレスな支援」の実
現を目指す地域連携ガイドラインの基本方針等も踏まえて,
改めて同検査に
求める効果と,実務上又は制度上の課題等を整理し,その在り方について検
討する必要がある。
イ 対応方針
・簡易薬物検出検査の実施状況等を調査し,同検査の在り方について改めて検
討する。
【法務省】
5 今後の検討の方向性
本「中間取りまとめ」においては,我が国における薬物事犯者の再犯の防止等につ
いて,有識者や実務家からの意見等を踏まえて,現状の課題と課題への対応方針の案
を整理した。
今後,本「中間取りまとめ」を踏まえ,引き続き,法務省及び厚生労働省において
緊密に連携しながら,
薬物事犯者の再犯の防止等において効果的な方策について更に
検討を進め,令和3年度中を目途として,検討会としての検討結果の取りまとめを行
うこととする。
なお,令和3年1月には,大麻事犯の増加等を踏まえ,厚生労働省において,大麻 10規制の在り方を含めた薬物関連法制の在り方や,再乱用防止対策(依存症対策)を始
めとした薬物関連施策のあり方について検討することを目的として,
「大麻等の薬物
対策のあり方検討会」による検討が開始されたことから,今後の検討に当たっては,
同検討会の動向等も踏まえて進めることとする。

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