意 見 書
宮 田 桂 子
「「性犯罪に関する刑事法検討会」取りまとめ報告書(案)」(以下(案)
という)について、以下のとおり意見を申し上げます。短時間の作業であった
ため、書体やインデント等が揃っておりませんことなど、形式の問題あること
や、若干表現が練れていないとをお詫びします。1(案)を読んであらためて思ったのは、本検討会では、現行の177条、
178条に問題があれば修正するという方向性が定まっており、各国の性犯
罪立法のように、保護法益の議論から、あるべき条文を考え、基本的な類型、
加重すべき類型、そしてそれぞれの法定刑を検討するという抜本的な改正に
ついての検討がなされなかったということである。「同意なき性交」の立法
がなされた国では、広く軽い基本的構成要件があり、それを加重する形での
構成要件がおかれているところ、わが国ではそのような対応をすべきかどう
なのか、という根本的な議論はされなかった。果たしてそれでよかったのか、
という感想を持った。
この感想は、全体を読んでの感想であり、この(案)の具体的な記載につ
いての指摘ではないが、そのような感想が出されたということは議事録に止
めて欲しい。2(1) 修正を求める点(付加)
(イ)1(5頁)について、文章の後に、「そして、議論をするに際しては、
判決書などの具体的な判断に関する十分な情報の公開とそれに基づく議論
でなければ意味がない。」という一文を附加して欲しい。
修正を求める理由
当職の指摘は、わが国おいては、不起訴事案についての詳細な事案の共有や
判決の公開、とくに自白事件についての公開がされていないことで議論が混
乱し、少なくとも認識の共有をみていない可能性があり、強制性交にかかる
約2000件の判決全文を開示すべきであるという点、即ち上記改訂案にお
ける「情報の公開」という点が主眼だった。この点は今後の非常に大きな課
題と考えるので、明記して欲しい。
(2)修正を求める点(文章表現)
(イ)6のあとのまとめの文章(6頁下から8行目〜5行目)の末尾に「〜
検討する必要があるという点では、
概ね異論はなかった。」とあるものを
「検
討する必要があるという意見が多く述べられた(ないし 多数を占めた)。」
という程度の表現にして欲しい。
修正を求める理由
少なくとも金杉委員と当職は、現行法で解釈を共有する等すれば十分に対応
可能という意見を述べていたのであり、要件が必要であるという意見に与し
ていたわけではないのだから、少なくとも、我々が異なる意見であることが
読み取れる文章にして欲しい。
(3)修正を求める点
(エ)「○しろまる列挙する手段・状態」の冒頭の文章(8頁1行目〜3行目)で「〜
これに特に異論はなかった。」とされているが、「検討する必要があるとい
う意見が多く述べられた(ないし 多数を占めた)。」という程度の表現に
して欲しい。
修正を求める理由
上記(2)と同様、少なくとも、金杉委員と当職は、現行法で解釈を共有する等
すれば十分に対応可能という意見を述べていたのであり、要件が必要である
という意見に与していたわけではないのだから、少なくとも、我々が異なる
意見であることが読み取れる文章にして欲しい。
(4)修正を求める点
同「○しろまる手段・状態を列挙する場合の規定の在り方」の冒頭の文章(9頁8行
目〜18行目)について
・1の後に
「包括的な要件を設けること自体には、
おおむね異論はなかった。」というものを「検討する必要があるという意見が多く述べられた(ないし
多数を占めた)。」という程度の表現にする
または
・「といった意見が述べられた。包括的な要件を設ける場合については、例
えば」
として欲しい。
修正を求める理由
現状での処罰の間隙の問題はないというのは金杉委員も共通であるし、当職
は、処罰範囲の外延を示すための例示列挙や包括的な要件の策定について
は、性犯罪の否認事件が間接事実立証になる以上は効果が大きいとはいえ
ず、立法も困難だという趣旨の意見を述べた。例示列挙や包括的要件につい
の議論は、改正の必要があると考えている方のご議論であり、当職(金杉委
員もそうだと思う)は重ねて改正の必要がないことを明示的に述べていない
にすぎない(意見の趣旨からは反対が読み取っていただけるものと考えるの
で、「異論はなかった」というということに対しては、上記(2)、(3)と同様に
非常に抵抗があり、少なくとも、我々が異なる意見であることが読み取れる
文章にして欲しい。
(5)修正を求める点(付加)
同「○しろまる手段・状態を列挙する場合の規定の在り方」 の末尾(10頁)に当
職が述べた「11どのように手段・状況を列挙するにせよ、構成要件該当行為
と、それに対する適切な処罰を科すための法定刑とは不可分であり、法定刑
の議論との結びつきがないままの議論では一見同じ議論にみえても、全く異
なる結果を試行している可能性があり、この点の議論が不十分ではなかった
か」という意見を附加していただきたい。
修正を求める理由
当職は、比較法的にみて、「同意なき性交」の罪の法定刑は非常に軽く、下
限5年の行為は凶器使用等の非常に危険なものとされていること等を指摘
しており、構成要件の罪となる行為と法定刑の不可分性については繰り返し
述べていたつもりである。意見として明示しないとすれば、少なくとも、処
罰範囲と法定刑との関連性については、十分議論が果たされなかったことに
ついての記載が必要と考える。
(6)修正を求める点
(3)ア(ア)「そのような特性に応じた対処が必要であることについては、
異論がなかった。その上で」の次に、「現行の特別法の問題も含め」と明示
していただきたい。
修正を求める理由
当職は、一定年齢未満の者の保護については、児童福祉法や児童ポルノ法等
の存在があること等を指摘しており(おそらく(案)14頁4)、金杉委員
も同様(さらに15頁14も指摘している)の意見であったと思われ、刑法の
構成要件の議論のみが論じられたというまとめには疑問がある。
(7)修正を求める点
(3)ア(イ)「○しろまる新たな罰則を設けることの要否・当否」のまとめの文章
(14頁2行目〜5行目)について「認識が共有された。」ということで止
まっているが、「ただし、178条の柔軟な解釈が可能であり、そこで対応
できない行為については、児童福祉法等の特別法や条例などで処罰可能なの
だから、刑法改正による対応を考える必要性がないという意見もあった。」
というように文章の付加をお願いしたい。
修正を求める理由
金杉委員や当職は、新たな罰則を作らなくても178条の解釈での対応が可
能であるし、児童福祉法、児童ポルノ法、青少年保護育成条例などの特別法
や条例の十分な活用や改正等を指摘していたのであり、刑法改正の議論とす
べきではないとしていたので、その点を明示して欲しい。
(8)修正を求める点
(3)ア(ウ)12の後の文章(16頁15行目)について「これに対する
異論はなかった。」という点について
・「ただし、178条の柔軟な解釈が可能であり、そこで対応できない行為に
ついては障害者虐待法制の充実等によるべきで、刑法改正による対応を考え
る必要はないという意見もあった。」
・「これに対しては概ね異論はなかった」
として欲しい
修正を求める理由
上記(6)(7)と同様、金杉委員や当職は、178条の解釈での対応が可能であ
るし、障害者虐待法制の充実等のほうが重要で刑法改正の議論とすべきでは
ないとしていたので、その点が明らかになるようにして欲しい。
(9)修正を求める点
(4)(エ)2(27頁下から3行目〜1行目)を「2子どもの性被害につ
いては、子どもが性被害を認識できないことで被害申告ができないことも多
いので、性教育をすることが非常に重要だし、被害を見つけ出すための地域
や行政の連携をし、一刻も早く被害を見つけ出す努力が必要だ 3子どもの
性加害を含めた性的問題行動には、子どもが十分な性教育を受けていないほ
か、問題行動の原因が虐待等の被害にある場合も大きく、教育や支援が必要
である。今般の少年法改正によって、177条、178条は原則逆送になっ
てしまうことも考えておくべきだ。」
修正の理由
「性的問題行動」ということで、上記修正案3だけでも構わないのだが、教
育の問題については被害者のみか、加害者についても同様に存している。当
職はいずれの問題も指摘しているので指摘した。
(10) 修正を求める点
(4)(ウ)(27頁6行目)「その上で、この中間年齢層の者を被害者とする罰
則の在り方については」について、「その上で、この中間年齢層の者を被害
者とする罰則の在り方については、児童福祉法、児童ポルノ法等の特別法に
よるべきものという意見も出された一方」として欲しい。
修正の理由
上記(6)と同様、当職は、一定年齢未満の者の保護については、児童福祉法や
児童ポルノ法等の存在があること等を指摘しており(おそらく(案)14頁
4)、金杉委員も同様(さらに15頁14も指摘している)の意見であったと
思われ、刑法の構成要件の議論のみが論じられたというまとめには疑問があ
る。
(11) 修正を求める点
(5)(イ)5(30頁6行目)について、指のみが指摘されているが、「指や
舌で」「指や舌を挿入する犯意の有無」と明示して欲しい。
修正の理由
当職は、むしろ現実の事件で大きく問題になりそうなのは舌であると考えて
いる。
(12)修正を求める点
(6)アの6の後のまとめの文章(33頁6〜7行目)について、「いずれの場
合についても、重く罰すべき必要性があることには異論がなかった。」とい
う表現を「いずれの場合についても、重く罰すべき例が多いことについては
異論がなかった。」とする。
修正の理由
当職は、必要があれば現在でも重く罰されている、という程度の意見しか述
べていないし、集団の例では、見張りなどの関与の程度が軽い者もあり、執
行猶予の必要性があるという意見も述べたのだから、常に重く罰する必要が
あるというコンセンサスが得られたというように読める文章には違和感があ
る。
(13)修正を求める点(付加)
(6)イについて2(35頁15〜22行目)の後に、当職が述べた以下の意見
を附加して欲しい。「3現在の177条、178条の解釈は非常に幅広いも
のとなっていることは今回の検討会でも共有された認識であり、そのような
解釈を前提とすれば、両条の法定刑は下限3年を維持してもよかったはずで
ある。」を付加して欲しい。
修正の理由
当職の述べた意見でこの点が遺漏している。なお、付加する場所については
上記以外でも構わない。
(14)修正を求める点
(7)ア315行目「刑事弁護の立場からすると」を削除し、「また、離婚
調停等で」として欲しい。
修正の理由
当職は刑事弁護をした事件の例としてこの問題を述べていないので、不正確
と考えた。また、離婚調停だけで利用されるわけではなく、離婚協議や裁判、
親権をめぐる調停や審判、面会交流等の調停や審判でも悪用されることがあ
る以上、「また、離婚調停等で」とするのが妥当であると考える。
(15)修正を求める点
(8)ア(イ)の
・末尾(40頁1行目)の後に「述べられた一方で、5今後の法改正如何によっ
ては、性交に同意があったことを示すために撮影をする必要に迫られる場合
もあり得るのではないかという指摘があった。」
または
・(案)の1の前に上記5の「今後の法改正如何によっては、性交に同意があ
ったことを示すために撮影をする必要に迫られる場合もあり得るのではない
かという指摘があった」という一文を置く。
修正の理由
金杉委員が述べた、性交に関する規定が大きく広がった場合に、加害者が同
意の存在を示すために、性交の経緯や性交を撮影する場合が生じ得ることを
指摘していた点が脱落している。この点は、刑事弁護をする立場として当職
も危惧するところであり、同委員が述べたので述べなかったところである。
(16)修正を求める点(付加)
同(イ)の末尾(40頁1行目)「などとして、処罰規定を設けるべきとす
る意見が多くべられた」に「一方、行政処分や民事扶助等の刑罰によらない
対応をまず考えるきであるという意見も述べられた」を付加する。
修正の理由
当職は、刑罰によるべきかどうかについての疑問も提示した。刑法の謙抑性
は根本原理であることを考えれば、かような意見が出たことも明示すべきと
考える。
(17)修正を求める点(付加)
同(エ)19(42頁下から13行目〜10行目)の後に、「20画像のインタ
ーネット掲示は最も被害者がダメージを受ける行為であるが、電磁的な捜査
の問題など、未解決の問題があるものの、公然と掲示された場合には、刑法
のわいせつ物頒布罪(175条)(や名誉毀損(230条)※(注記)ここは当職で
はなかった可能性があるので括弧に入れた)での処罰が可能である。」と付
加する。
修正の理由
被害者団体等から、盗撮画像の流通等の問題が指摘されているところ、当職
は上記のような形で対応が可能であることについての発言をしており、検討
会でその点の検討に遺漏がないことを示すべきではないか。
(18)修正を求める点
(8)イ(ウ)(44頁)について、1の後の、「これに対する異論はなかった。」
の後に、「異論はなかったが、2デバイスからデータを消去する際には、他
のソフトやデータの破壊の危険があり、所持者に思いがけない損害が生じ得
るので、この点についての危惧がないようにして欲しいとの意見が出され
た。」と明示して欲しい。
修正の理由
没収や消去と財産権の問題について、加害者の財産権が保護されることはお
かしいという意見が検討会で出されているところ、性的画像の財産性という
よりは、その他の財産の破壊等の問題が生じるので議論の対象たり得ること
を明らかにしておくべきと考えた。
(19)修正を求める点
(8)イ(エ)4の後に「といった意見が述べられた一方で」とあるが、こ
の点を削除する。
修正の理由
同(エ)4(45頁)は当職の意見と思われるが、検討に際して、裁判所で
の手続きでは問題があるので捜査機関が行うべきであるという意見までは出
ていなかったと考える。
(20)修正を求める点
同(オ)(46頁)の最後に「さらに、画像の転々流通等の問題については、
電子捜査の整備等の前提問題についての検討も不可欠である。」と付加する。
修正の理由
当職は、データの流通等の問題については、現在の捜査権限の問題などの障
壁もあるという意見を述べた。上記(15)と同じ趣旨で、その点を非常に問
題と考えている人たちに対して、検討会でその点に関する検討に遺漏がない
ことを示すべきであり、根本的問題の解決が必要であることを明示しておく
べきではないか。
(21)修正を求める点
2(1)(イ)の末尾(48頁)に「意見が述べられた一方、6幼い被害者の事
件は、起きたばかりの事件であっても対応が困難なのであり、時間が経過し
たものについては処分困難な案件が圧倒的に多く、象徴的な意味しか持ち得
ない。むしろ、子どもが被害に遭わないよう、また、被害が起きたらすぐ申
告できるようにするための性教育の充実や早期発見こそが重要である。」と
付加して欲しい。
修正を求める理由
当職のこの点の意見が遺漏している。末尾ではなく、1の前でも結構である
が、共有すべき問題点と考える。
(22)修正を求める点
同ウ 4(48頁下から15行目〜12行目)については、4は「公訴時効
の趣旨の一つは法的安定性であり、訴追される側の利益も考えなければなら
ない。」とし、5を「性犯罪の多くの事件で重大な役割を果たす被害者供述
について、記憶の減退、変容が生じる可能性は高く、その信用性に重大な問
題が生じることがある」とする。
修正を求める理由
被害者の記憶の減退や消滅の問題と、その他の証拠の問題は分けるべきであ
る。分けたほうがより趣旨が明確になるのではないかと考える。
(23)修正を求める点
同5(48頁下から11行目〜4行目)については、「5被害者が長時間経
過後に被害と認識した場合、そもそも性行為があったかどうかの証拠が散逸
し、客観的な証拠が残っていない場合が多く、仮に残っていたとしても、証
拠の保管や鑑定における問題や犯人の画像等の識別の問題が生じた場合に、
時間の経過により鑑定人が出廷できないなど鑑定書を証拠とできない事態が
生じ得るし、もちろん、被疑者・被告人の側でも反証のための適切な証拠が
確保できないことが考えられるうえ、同意の有無やその誤信について争う場
合に、被害者との関係性や当時の被害者の態度、周囲から二人がどのように
見えたかといった反証のための有利な証拠が散逸していることが考えられ、
さらには、アリバイのための証拠も散逸してしまっていることもあり得るか
ら、公訴時効の完成を遅らせることについては慎重であるべきである。」と
して欲しい。
修正の理由
当職は、DNAやビデオといった客観証拠が残っていた場合であっても、鑑
定が証拠として法廷に出せない場合があることも指摘している。単に反証の
問題ではない。
(23)修正を求める点
同5の後に、「といった意見も述べられたが、これに対しては」(48頁下
から3行目)とまとめてある点について、「といった意見も述べられたが、
一方で」あるいは「といった意見が述べられた。この点については」等とす
べきである。
修正を求める理由
整理の仕方に起案者の意思が入っているものと考える。45は金杉委員、当
職の意見と思われるところ、6は小西委員の発言と考えられるが、当職は、
6の小西委員の意見の後に4の趣旨を発言しており、あたかも、当職の意見
を否定する形で6の意見が出たようにまとめることは問題と考える。両論併
記であることが明確なるようにして欲しい。
(24)修正を求める点
(2)イ6(54頁下から4行目〜2行目)について、「弁護士会では、弁護士
に対する研修を行っており、事件に関する主張が理解しやすいものであるこ
と、尋問に関する必要性や相当性、侮辱的な質問などの規則が定める不適切
な質問をしてはならないこと等が新入会員等に対する研修で教えられること
があるところ、日弁連が主導した研修内容の充実や、研修受講を国選弁護登
録の要件化することなどが、現在、検討を進められており、このような研修
内容によって、性犯罪についても弁護人が適切な行動をとり得るものと考え
る。」と修正して欲しい。
修正を求める理由
金杉委員及び当職の意見の要約として不正確である。現在、研修の受講を国
選登録、登録更新の要件化することは現在検討中であり、被害者対応プロパ
ーの研修の検討がされているようにも読める点も不正確と考える。
(25)修正を求める点
(3)ア3(55 頁)について、「憲法第37条第2項の証人審問権は刑事弁護に
おいて重要な権利であり」は、「憲法第37条第2項の証人審問権は刑事弁
護において譲れない権利であり」とすべきである。
修正を求める理由
上記の修正後の表現は、当職の該当部分の発言が記録された議事録(第11
回会議)及び意見要旨集(第14回会議資料)の文言に合わせたものである。
(26)修正すべき点
(3)ア4(55 頁)について、「司法面接的手法による聴取結果を記録した録音
・録画記録媒体が証拠として採用された件数が非常に少ない現状で、特別な
証拠能力を認める規定を設けることは時期尚早である」は、「司法面接的手
法による聴取結果を記録した録音・録画記録媒体が証拠として採用された件
数が非常に少ない現状で、特別な証拠能力を今認めることは妥当でなく、少
なくとももっとエビデンスをそろえる必要がある。」とすべきである。
修正の理由
上記修正後の表現は、当職の該当部分の発言が記録された議事録(第11回
会議)の文言に合わせたものである。
(27)修正を求める点
(3)イ(56 頁)について、a、bの 2 つが検討されたというまとめ方には異議
がある。全く新しい規定を作るというcのパターンも挙げるべきと考える。
修正を求める理由
イの中の6の意見は、全く新しい規定によって司法面接が証拠能力を与えら
れることも検討されるべきだというものであったはずであり、まとめ方が極
めて恣意的である。
(28)修正を求める点
同5について「規定 a については、諸外国の法制にも例が少なく」の諸外国
の法制についての言及の前に
「憲法 37 条 2 項で証人審問権が保障されており」
という一言を入れるべきである。また、「ことなども踏まえて検討すべきで
ある。」という部分は削除すべきである。
修正を求める理由
憲法の問題ついては、当職も他の委員も言及しいたものと考える。また、こ
こは a、b いずれに対しても批判があった、ということでまとめられるべきで
あって(当職や他の委員もそういう趣旨の発言をしていたはずである)「検
討をすべきである」というまとめ方は異議がある。
(29)修正を求める点
同8について、「司法面接に関して、採用されるべきプロトコル、聴取者の
プロトコルの取得に関する要件を定め、それに従った面接がなされなければ
ならない。」とすべきではないか。
修正を求める理由
当職は、司法面接ではプロトコルが重要であること、聴取者がプロトコルを
学ぶこと、プロトコルに従っていない場合にはその信用性が揺らぐこと等を
発言したところ、「一定のルール」という言葉では、ルールという言葉が多
義的であり、もし当職の意見の要約であるとすれば不正確と考える。
(30)修正を求める点
「第4 おわりに」について「性犯罪がその被害者に対し深甚な苦痛を与え
るとに思いを致し、」を「性犯罪がその被害者に対し深甚な苦痛を与えると
に思いを致すともに、冤罪を生まないための視点を忘れることなく」として
欲しい。
修正を求める理由
弁護している立場からは、性犯罪ついて、被害者供述が安易に信用性を認め
られていること、急激に宣告刑が重くなっているという印象を否めない。性
犯罪の冤罪は、受刑中のいじめの対象となること、出所後の住居の確保や就
業が他の犯罪と比べてもとくに困難あること等からも絶対に防ぐ必要があ
る。冤罪を作らないという視点は絶対にどこかに入れて欲しい(何のために
後藤貞人のヒアリングしていただいたか、ということである)。
なお、文案については、当職の考えを過不足無く書くことを旨としたので適
切な要約をしていただくことについてはやぶさかではない。