法務省・出入国在留管理庁・公安審査委員会・公安調査庁特定事業主行動計画
(アット・ホウムプラン)
〜男女がともに活躍し,活力ある社会を実現するために〜
平 成 2 8 年 3 月 3 1 日
法 務 大 臣
公安審査委員会委員長 決定
公 安 調 査 庁 長 官
改正 平成31. 4. 1
「法務省職員の行動宣言」
私たち法務省で働く全ての者は,法秩序の維持や国民の権利擁護を通じて国民生活
の基盤を守り,国民生活の安全・安心を実現する重要な使命を担い,これまでも一丸とな
って,使命を果たそうと努力してきました。
急速な少子高齢化・人口減少社会に直面する我が国において,今後,私たちに求めら
れることは,上記使命に加え,長時間勤務の是正等による働き方改革を一層強力に進
め,性別,年齢,役職等を問わず,全ての職員が,職場,家庭,地域社会等において,そ
の能力と個性を十分に発揮することであり,それにより,最終的には,国民の需要の多様
化,社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することです。
私たちは,法務省職員という立場のみならず,国家公務員,そして,我が国の社会の
一員として,この計画に基づく取組が,成長戦略の中核であるとともに,社会全体で最優
先に取り組むべき最重要課題であることを強く認識し,職員一人ひとりが,「自分事」とし
て捉え,相互支援意識を共有し,その時々のライフステージに応じた職場,家庭,地域社
会等における自らの役割や責任を果たした上で,日々前進しながら,総員でこの計画に
取り組むことを宣言します。
目 次
第1部 取組内容等
第1章 総論
第1 目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
第2 構成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
第3 計画期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
第4 基本的考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
第2章 取組内容及び数値目標
第1 職員のワークライフバランス推進のための取組内容及び数値目標・・・・・・・5
1 長時間勤務の是正等の男女全ての職員の働き方改革・・・・・・・・・・・・・・・5
2 男女全ての職員が家事・育児・介護等をしながら活躍できる
職場環境の整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
第2 女性の職業生活における活躍推進のための取組内容及び数値目標・・・・・17
1 女性の採用の拡大・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
2 女性の登用目標達成に向けた計画的育成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
3 女性職員のキャリア形成支援,意欲向上・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
第3 次世代育成支援の推進のための取組内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
第4 パイロットアクション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
第3章 推進体制等
第1 計画の推進,点検,評価及び見直しのための体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
第2 女性の職業選択に資する情報の公表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
第3 職員に対する情報の提供・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
第4 職員からの相談への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
第5 職員に対する研修・啓発の実施・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
第4章 その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
第2部 経緯,状況把握及び分析等
第1章 関連する法律等の趣旨
第1 男女共同参画社会基本法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
第2 閣議決定,政府の重点方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
第3 女性活躍推進法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
第4 取組指針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
第5 次世代育成推進法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
第2章 状況把握及び分析
第1 基本的事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
第2 職員のワークライフバランス及び次世代育成支援関係の状況把握
及び分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
第3 女性の職業生活における活躍関係の状況把握及び分析・・・・・・・・・・・・・・33
第3章 状況把握及び分析資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37
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第1部 取組内容等
第1章 総論
第1 目的
この計画は,女性の職業生活における活躍,職員の仕事と生活の調和(以下
「ワークライフバランス」という。)及び次世代育成支援の推進のために,以下の
行動計画等を一体的に策定し,法務省,出入国在留管理庁,公安審査委員会
及び公安調査庁(以下「法務省」という。)の各組織が有する特殊性を踏まえつ
つ,総合的かつ計画的な取組を推進することを目的とする。
1 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64
号。以下「女性活躍推進法」という。)第15条第1項に基づき,女性の職業生活
における活躍の推進に関する法律に基づく特定事業主行動計画の策定等に係
る内閣府令(平成27年内閣府令第61号。以下「内閣府令」という。)で定めると
ころにより,事業主行動計画策定指針(平成27年内閣官房,内閣府,総務省,
厚生労働省告示第1号)に即して各府省が策定する特定事業主行動計画
2 採用昇任等基本方針(平成26年6月24日閣議決定,平成27年12月25日
一部変更)及び「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための
取組指針」(平成26年10月17日女性職員活躍・ワークライフバランス推進協
議会決定,平成28年1月28日一部改正。以下「取組指針」という。)に基づき
改正する各府省等における「女性職員活躍と職員のワークライフバランスの推
進のための取組計画」(以下「取組計画」という。)
3 次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号。以下「次世代育成推
進法という。)第19条第1項の規定に基づき,行動計画策定指針(平成26年内
閣府,国家公安委員会,文部科学省,厚生労働省,農林水産省,経済産業省,
国土交通省,環境省告示第1号。以下,「次世代育成行動計画策定指針」とい
う。)に即して各府省等が策定する特定事業主行動計画
第2 構成
この計画は,第1部「取組内容等」及び第2部「経緯,状況把握及び分析等」か
ら構成している。
第3 計画期間
平成28年4月1日から平成33年3月31日までとする。
第4 基本的考え方
1 目指す社会
女性活躍推進法が制定されるに至った経緯,目的等については,第2部第1
章のとおりであるが,この計画は,女性の職業生活における活躍に係る取組の
みを推進するものではなく,長時間勤務の是正等の働き方改革による職業生活
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及び家庭生活における男女間格差を是正すること等を通じて,男女が自らの意
思に基づき,その個性と能力を十分に発揮し,男女が互いに責任を分かち合い
ながら職業生活及び家庭生活における役割を果たし,また,地域社会への貢献
や自己啓発等,あらゆる分野において活躍できるための取組を一体的に推進す
るものである。
この計画を推進することにより,職業生活,家庭生活その他の社会生活との
調和が図られ,男女がともに働きやすい社会が実現し,ひいては,本格的な少
子高齢化・人口減少社会を迎える我が国において,生産性が高く持続的に成長
・発展する豊かで活力あふれる社会を実現することが可能となる。
私たち法務省職員は,法務行政に携わる一員としてのみならず,我が国社会
の一員として,この施策が,成長戦略の中核でもあり,社会全体で最優先に取り
組むべき最重要課題であること,また,この施策により実現しようとしている社会
を明確に意識した上で,この計画を着実に推進していく必要がある。
2 取組の柱
女性の職業生活における活躍,つまり,女性が仕事と育児・介護等の二者択
一を迫られることなく働き続け,職場においてその能力を十分に発揮するために
は,その前提として,男女を通じた働き方改革や家庭生活との両立による全職
員のワークライフバランスの推進が不可欠となる。
また,女性の活躍及び全職員のワークライフバランスの推進は,次世代育成
支援にもつながるものである。
この計画においては,以下の項目を柱として,第2章において,その取組内容
及び数値目標を定める。
(1) 職員のワークライフバランス推進のための取組
ア 長時間勤務の是正等の男女全ての職員の働き方改革
イ 男女全ての職員が家事・育児・介護等をしながら活躍できる職場環境の整備(2) 女性の職業生活における活躍推進のための取組
ア 女性の採用の拡大
イ 女性の登用目標達成に向けた計画的育成
ウ 女性職員のキャリア形成支援,意欲向上
(3) 次世代育成支援推進のための取組
3 意義・メリット等
各職場において,この計画に基づく取組を推進するに当たっては,以下の意
義・メリット等があることを職員一人ひとりが認識することが効果的である。
特に,以下の(1)から(4)は,4点が一体的に作用して初めてその相乗効果を
発揮するものであるため,この計画が目指す社会を実現するためには,いずれ
の視点も欠くことはできないものである。
(1) 女性の職業生活における活躍の意義・メリット【女性が主体】
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女性が職業生活において活躍することにより,国の政策立案・方針決定・実
施等の過程において,女性の視点,価値観,創意工夫等が加わり,よりきめ細
やかな国民ニーズの把握や,多様で柔軟な発想・意思決定が促され,政策等
の質と行政サービスの向上に資することとなる。
また,意欲,能力,知識及び経験等を蓄積した女性の出産・育児・介護等に
よる離職を防ぎ,継続就業,キャリア形成,登用が促進されることは,優秀な人
材の確保という点で,組織運営・人事管理上も大きな意義,メリットがある。
(2) 男性の家庭生活における活躍の意義・メリット【男性が主体】
職業生活と家庭生活の両方を営むに当たって,一方の家庭生活において,
男性の十分な役割分担が得られなければ,女性の負担は高まらざるを得ず,
結果として女性が職場において活躍することが困難になる。そのため,男性が
家事・育児・介護等の家庭生活における役割を果たすこと,つまり,男性の家庭
生活における活躍は,女性の職業生活における活躍を推進する上で必要不可
欠となる。
これは,当該男性職員の配偶者が法務省職員又は他府省・民間企業等に勤
務する職員であれば,法務省又は他府省・民間企業等における当該女性の活
躍を推進することとなり,また,配偶者が専業主婦である場合でも,当該女性の
意思に基づく将来的な就労可能性による活躍が期待される。また,配偶者の就
業の有無にかかわらず,男性職員が仕事のみならず家庭生活における役割を
十分に果たすことができる職場環境は,当該職場に勤務する女性職員にとって
も魅力的な職場であり,今後の自身のキャリア形成や結婚,出産,育児,介護
等のライフイベント等を考える上で,仕事と家庭の両立を動機付けるきっかけと
なるとともに,組織としても女性職員の継続就業,育成,登用が図られるなど,
極めて重要かつ大きな効果が期待される。
加えて,男性が家事・育児・介護等の家庭生活における多様な経験を得るこ
とは,効率的な時間管理能力,柔軟性,コミュニケーション能力,人材育成力,
組織運営力等の向上や,多様な価値観の醸成等を通じて職務における視野を
広げるなど,男性の職業生活におけるキャリア形成にも有用であるばかりでな
く,長時間勤務の是正や業務の効率化等の働き方改革を必然的に促すものと
なり,組織としても大きな効果が期待される。
さらに,育児については,男性の関与度合いが増すことにより,育児に伴う喜
びを男性がこれまで以上に実感することができるとともに,家族の関係も一層
深まり,次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ,育成される社会の形成に
も資することとなる点でも大きなメリットがある。
(3) 全職員の働き方改革によるワークライフバランス実現の意義・メリット
【全職員が主体】
性別,年齢,役職等を問わず全ての職員が長時間勤務の是正等の働き方改
革を通じて,自身のワークライフバランスを実現していくことは,上記(1)及び
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(2)を進める上での前提となるものであり,1職員一人ひとりにとっては,職場
・家庭・地域・社会生活等における充実感・意欲・能力等の向上が,組織にとっ
ては,業務効率化,時間当たりの生産性の向上及び人材の確保・定着が,2
国民に対しては,行政サービスの質の維持・向上が図られ,3社会全体で見れ
ば,少子高齢化・人口減少局面にある我が国の活力や経済成長,長期的な持
続可能性の向上をもたらすものであり,「三方よし」のメリットがある。
また,職員一人ひとりが,常に「自分事」として,その職責を全うし,公務の質
を高めつつも,業務体制や職場環境をより一層改善していくための知恵をお互
いに出し合い,各職場において,風通しの良い建設的な議論を通じて,様々な
課題解決のための自発的な検討や取組が進められることが極めて重要であ
る。
(4) 幹部職員・管理職員によるリーダーシップ・マネジメントの重要性【幹部職員
・管理職員が主体】
女性の職業生活における活躍,男性の家庭生活における活躍,そして,全
職員のワークライフバランスを各職場において実際に推進するためには,まず
は,「男性=仕事,女性=家庭」という固定的な性別役割分担意識・価値観,長
時間勤務や働き方に関するこれまでの慣行・職場風土を抜本的に変える必要
があり,そのためには,各職場の幹部職員(審議官級以上(地方機関等を含
む。)以下同じ。)や管理職員(課室長級(地方機関等を含む。)以下同じ。)が,
率先垂範しながら,強力なリーダーシップを発揮し,全職員に対して,取組の意
義,必要性等を踏まえた組織としての方針や具体的取組内容等について,明
確かつ強力なメッセージを継続的に発信・指示することが不可欠である。
また,本格的な少子高齢・人口減少社会により,今後は,育児のみならず介
護により,性別,年齢,役職等問わず,時間制約を有する職員が増えることが
見込まれる一方で,限られた人員体制の下でも,複雑・高度化する行政課題に
適切に対応することが公務部門には求められている。
各職場の幹部職員・管理職員は,今後は,多様な人材(ダイバーシティ)を生
かし,「時間制約のある職員」を前提とした組織運営,人事管理(ダイバーシティ
マネジメント)を行わなければならず,そのためには,画一的・単一的・機械的な
マネジメントではなく,男女問わず,職員一人ひとりの意欲,能力,職責,個性,
育児・介護等の各種事情の状況及びその変化を随時把握し,各職場内におけ
るきめ細かな双方向のコミュニケーションや意識共有等を図りながら,業務の
進め方を見直したり,業務を適正に配分すること等により,全職員の意欲と能
力を最大限に引き出す個別対応型の高度なマネジメント能力が一層求められ
る。
なお,民間企業等でも多く取り入れられている「イクボス」宣言(※(注記)1)は,公務
部門における幹部職員・管理職員にも活用できる有効な取組の一つである。
※(注記)1「イクボス」とは,NPO法人ファザーリング・ジャパンによる定義で,職場で
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共に働く部下のワークライフバランスを考え,その人のキャリアと人生を応
援しながら,組織の業績も結果を出しつつ,自らも仕事と私生活を楽しむこ
とが出来る上司(経営者・管理職)であり,イクボス10箇条に賛同する多数
の民間企業がイクボス宣言を行い,職員のワークライフバランス,組織マネ
ジメントを行っている。
(5) 「隗より始めよ」【国家公務員が率先垂範】
「女性の活躍」とは,一人ひとりの女性が,個性と能力を十分に発揮できるこ
とであり,特に公務部門での女性の活躍は,我が国の政策方針決定過程への
女性の参画拡大という重要な意義を有するものである。
また,男女問わず,多様な人材を活かすダイバーシティマネジメントは,公務
部門に対するニーズのきめ細かい把握や新しい発想を生み出すことなどを通じ
て,政策の質と公務部門におけるサービスを向上させる。
特定事業主における取組は,民間企業等の一般事業主も注目しており,「隗
より始めよ」との観点から,公務員法制上の平等取扱原則及び成績主義の原
則や当省の特性等に留意しつつ,公務部門として一般事業主を率先垂範でき
るよう,社会全体の最重要課題に積極かつ果敢に取り組む姿勢・方針を明確に
示す必要がある。
第2章 取組内容及び数値目標
第1 職員のワークライフバランス推進のための取組内容及び数値目標
1 長時間勤務の是正等の男女全ての職員の働き方改革
長時間勤務を前提とした働き方は,女性が家事・育児・介護等の家庭生活を
営みつつ,職業生活において評価され活躍することを困難にするものであり,結
果として,女性職員に職業生活か家庭生活かの二者択一を迫る大きな原因とな
っている。
また,長時間勤務は,その職場における女性職員の活躍の大きな障壁となる
だけでなく,男性職員の家庭生活における活躍を困難にすることとなり,ひいて
は,当該男性職員の配偶者である女性の活躍の障壁ともなり得るものとなる。
さらに,家庭生活のみならず,ボランティアやクラブ活動等の地域・社会生活
への参画,余暇における趣味,能力開発,健康づくり等を楽しむことによる職員
の豊かな生活の実現をも困難にするものとなる。
今後は,採用比率が増加している女性職員だけではなく,共働き世帯の増加
や高齢化に伴う介護施設の不足等により,男性職員も含め,育児や介護を担う
時間制約のある職員が増加していくことが見込まれる。こうした状況下において
は,時間制約のある職員の各事情に配慮した個別対応のみでは,もはや限界が
きており,女性の就業継続・登用,男女の育児等に支障となるだけでなく,組織と
しての円滑な運営や持続,ひいては,行政サービスの低下等による国民生活へ
の支障をも生じさせる事態を招くこととなる。
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そのような事態に陥らないようにするためには,時間に制約のある職員に対
する個別対応のみならず,組織全体として,長時間勤務の是正等の抜本的かつ
総合的な対策を講じ,全ての職員がその能力を十分に発揮できるよう,職場環
境を整備する必要がある。
男女を通じて長時間勤務を是正するためには,これまでの価値観・意識を大
きく改革するとともに,業務の効率化等による抜本的な仕事の改革,働く時間と
場所の柔軟化及び人事評価への適切な反映等,男女全ての職員による働き方
改革を進める必要がある。
(1) 価値観・意識の改革に関する取組
育児や介護等の事情により時間制約のある職員がいることを前提とした業
務運営の必要性を認識し,時間当たりの生産性を重視するなど,これまでの職
員の価値観・意識を抜本的に変えるため,以下のとおり取り組む。
ア 幹部職員による明確かつ継続的な働きかけ
幹部職員は,管理職員を始めとする全職員に対し,組織の生産性・持続可
能性を高める観点から,長時間勤務を当たり前とせずに時間制約のある職
員がいることを前提とする業務体制の構築・運営の必要性,時間当たりの生
産性の重視,業務改善の余地は常にあること,職員一人ひとりが当事者意
識・コスト意識を持つことの重要性,働き方改革に向けた取組の人事評価へ
の反映等について,明確で具体的なメッセージを継続的に発信し(直接の指
示,メッセージ送信など),働き方に関するこれまでの価値観・意識を抜本的
に変える。
イ 超過勤務縮減等に向けた意識啓発等
(ア) 幹部職員は,強力なリーダーシップを発揮して,組織全体として超過勤
務縮減等に徹底的に取り組む姿勢・方針・具体的取組内容等を全職員に
対して明示・指示するとともに,自らが率先垂範する。
(イ) 管理職員は,部下職員の勤務状況を随時把握し,コスト意識を持った計
画的・効率的な業務遂行について日頃から継続的に指導等することによ
り,超過勤務縮減等に関する部下職員の意識啓発を図る。
(2) 職場における仕事改革に関する取組
職場ごとに業務の質や量,勤務体制等は大きく異なり,また,それぞれの職
場の職員が主体的・自発的に自らの職場環境の改善策を考えることが実効性
のある取組や職場風土づくりにつながるため,以下のとおり,各職場の実情等
を踏まえた職場ごとの改革に取り組む。
ア 業務改革に関する取組
(ア) 幹部職員又は管理職員は,業務の効率化や職場環境の改善等につい
て,定期的又は随時に部下職員から意見を聴取する,又は,職員からの
自由な提案や各職員層を集めた座談会等の検討体制を整備するなどによ
り,部下職員が当事者意識を持つよう働き掛け,職場ごとに,業務の効率
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化や職場環境の改善策を議論・策定・実施し,事後的に評価して更なる改
善につなげるPDCAサイクル(※(注記)2)が構築されるようにする。
※(注記)2「PDCAサイクル」とは,業務プロセスの管理手法で,計画(plan),実
行(do),評価(check),改善(act)という4段階の過程を繰り返し行うこ
とで,継続的に業務プロセスを改善していくことをいう。
(イ) 職員は,業務は常に改善の余地があるとの認識を持つ。また,時間当た
りの生産性を高めるために業務改善を推進するなどのコスト意識を持つ。
(ウ) 管理職員は,業務の必要性等を吟味し,形式的業務について抜本的に
見直す。
(エ) 管理職員は,部下職員の業務量を把握し,適正な業務分配に取り組む。
イ 超過勤務の縮減,休暇の取得促進等
(ア) 幹部職員は,各組織が有する特殊性を踏まえつつ,必要に応じて,各職
場・各部署の業務や職員の超過勤務の状況等を勘案し,例えば,各職場・
部署等の単位で超過勤務縮減のための数値目標を設定するなど,各職場
の実情に応じた効果的な取組を実施する。
(イ) 管理職員は,部下職員の超過勤務の必要性の事前確認を徹底するとと
もに,超過勤務時間が多い職員については,その原因及び対応策を検討
し,必要に応じて幹部職員の指示を受けた上で,適正な業務分配を行うな
ど,組織的に対応する。また,超過勤務の縮減に向けた取組と成果を職員
の人事評価に適切に反映させる。
(ウ) 管理職員は,毎週水曜日の全府省一斉定時退庁日の他に,職員ごとに
設定させる定時退庁日(マイ定時退庁日)の実施などにより,部下職員の
超過勤務の縮減に取り組む。
なお,本省,法務総合研究所(研究部,研究事務部門,国際連合研修協
力部,国際協力部及び国際事務部門を除く。),出入国在留管理庁,公安
審査委員会及び公安調査庁においては,毎週水曜日の全府省一斉定時
退庁日には,業務に支障がある場合を除いて,遅くとも20時までの庁舎
の消灯に努める。
(エ) 省内における会議,打合せ等については,実施回数,時間及び出席人
数を必要最小限にする,到達目標・所要時間等のルールを開始時に定め
る,会議資料を簡素化・事前配付するなどの工夫により,その効率的な運
営に努める。
(ォ) フレックスタイム制,早出遅出勤務等により,各職員の勤務する形態・時
間は多様化することとなるが,いかなる勤務形態・時間であっても,職員が
長時間勤務をせずに早期退庁しやすい職場環境を構築する必要性がある
ことから,会議については,原則として17時15分以降には行わないことと
し,やむを得ず17時15分以降に行う場合であっても,18時15分までに
は終了させるようにする。ただし,緊急性がある場合,又は,出席者の都
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合等により上記時間制約では会議の実施に支障が生じる場合はこの限り
ではない。
また,作業・調査依頼及び各種協議についても,緊急性がある場合を除
き,原則として,17時15分以降の依頼及び超過勤務を前提とした短期間
の締切設定は行わない。
(カ) 幹部職員又は管理職員は,一定期間ごとの休暇予定表等により,部下
職員の年次休暇取得予定及び取得実績を随時把握し,取得実績が低い
職員に対しては,必要に応じて業務体制の見直し等の指示をした上で,年
次休暇の取得を個別に働き掛ける。また,部下職員の休暇予定表につい
ては,業務予定も含め,各部署等の職員間で情報共有して「見える化」し,
職員が互いに年次休暇を取得しやすい雰囲気を醸成する。
(キ) 幹部職員又は管理職員は,年次休暇の取得日数に関する下記の数値
目標を達成するために,上記(カ)の取組の他,公務員生活の節目,家族等
の記念日,子どもの行事参加,自身のリフレッシュ等のための年次休暇
(連続休暇,時間休暇を含む)の取得を部下職員に対して奨励するなど,
各職場の実情,特殊性,職員のニーズ等に応じた効果的な取組を積極的
に実施する。
【平成32年までの数値目標】
年次休暇の取得日数の目標 年間15日以上
ウ 調整業務等(法令等協議関係業務,国会関係業務,予算関係業務,機構・
定員関係業務等)による超過勤務の縮減
法令等協議関係業務,国会関係業務,査定・審査業務,調査等業務につ
いて,次の取組を実施することにより,徹底した超過勤務の縮減を図る。
(ア) 協議ルールの厳格化・徹底
法令協議,それ以外の府省間協議(政府としての重要方針や複数の府
省にまたがる計画等の政策調整に係るもの)及び省内協議(府省間協議
に基づく省内協議は除く。)(以下「協議」という。)について,次のルールの
徹底を図る。
a 協議を行うときは,協議を行う以前の段階から,協議先との情報交換
を密に行い,全体のスケジュールについても共有するとともに,その進
行管理を徹底する。
b 協議を行うに当たっては,協議開始から48時間以上後に質問提出期
限(コメント等の期限を含む。)を設定,質問提出期限から48時間以上
後に意見提出期限を設定することとし,それより短い期限を設定する協
議は原則として行わない。また,特に,協議先府省で大臣の判断を得る
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必要があるような案件等については,その判断のプロセスも考慮し,適
切な期限を設定する。
c 再質問,再意見等の協議においても,協議先が勤務時間外に作業せ
ざるを得ないような協議(夕方に協議し翌朝提出期限,時間外に待機を
求める等)は原則として行わない。
d やむを得ず協議先に時間外の待機を求める場合には,協議先の部局
を明確にした上で,事前に協議スケジュールを共有するなど,協議先の
超過勤務が極力最小限となるよう努める。
e 大臣官房秘書課等は,この協議ルールについて,適宜,実施状況を点
検する。
(イ) 国会関係業務の合理化・効率化
国会関係業務については,政府部内において,答弁資料作成業務等の
合理化・効率化に取り組むことが重要であり,府省間・省内で相互に合理化
・効率化に資する取組を共有しつつ,府省間・省内協議の迅速化や資料作
成プロセスの合理化等による答弁準備作業の効率化,必要最小限の部局・
人員での対応や幹部職員等との連絡方法の効率化等による体制の合理化
等を促進する。
(ウ) 査定,審査業務等の簡素化・効率化の推進
査定,審査業務を行う部署からのヒアリングに関しては,勤務時間内に
行うことを原則とする。資料の作成依頼については,最小限にとどめるとと
もに,超過勤務を前提とするような依頼(夕方に依頼し翌朝提出期限等)は
原則として行わないものとし,適切な作業期間を設けるものとする。
(エ) 調査等の必要性の吟味,効率的実施の徹底
複数の府省,省内,地方機関等を対象とする調査や照会で相当の作業量
を伴うもの(以下「調査等」という。)を行うときは,その必要性について十分
な吟味を行った上で,行政目的に照らし真に必要なものに限定し,計画的
かつ効率的な実施を徹底する。また,調査等の対象となる府省,省内,地
方機関等が勤務時間外に作業せざるを得ないような作業依頼(夕方に依頼
し翌日期限等)は原則として行わないものとし,適切な作業期間を設けるも
のとする。
(オ) 他府省,省内,地方機関等の業務を増やしていないか点検等
所管する業務について,他府省,省内,地方機関等の職員の業務を不
必要に増やしていないか,また,その結果として,霞が関全体,法務省全
体の長時間労働につながっていないかという観点で,日頃から業務の点
検を行う。また,公印・契印の省略等,府省間,省内における文書のやり
取りの合理化を図る。
エ 法案等作成業務の合理化の推進
法律案,政省令及び告示等(以下「法案等」という。)担当者の育成や法案
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作成体制の整備,内閣法制局における法令審査作業の合理化,ICTにより
法案等関係資料の作成・チェック等を支援する「法制執務業務支援システ
ム」(仮称・平成27年度までに総務省において開発(一部法案等について試
行開始))の活用などにより,法案等作成業務について,その正確性を確保
しつつ,以下の取組を行う。
(ア) 法案等担当者の育成や法案等作成体制の整備
a 適切な人事ローテーションを行う等を通じて法案等担当者の計画的な
育成を行う。
b 法案等作成作業を,特定職員に対し,短期間に集中させない。
・ 平時からの法令確認など作業準備・法令研修の実施を行う。
・ 合理的な作業スケジュールを設定する。
・ 作業量に応じた人的体制やダブルチェック体制を整備する。
・ 幹部職員が作業過程において適切な関与を行う。
(イ) ICTの活用・法令審査事務の合理化
a 「法制執務業務支援システム」の開発に合わせて,法令所管府省等に
よる認証を行うなど正確性を確保した法令データベースを整備する。
b 「法制執務業務支援システム」の開発・運用開始前にも,ICTの活用・
法令審査事務の合理化を順次進める。
・ 法案等作成作業の一元的管理その他審査・チェック機能の強化を図
りつつ,作業の省力化・平準化のために有効と判断する場合には,個
々の事案の特性に応じた資料の簡素化,資料の提出時期や方法等に
ついて,担当の内閣法制局参事官と協議し,その合理化を図る。
・ 「国家公務員の労働時間短縮対策について」(平成4年人事管理運営
協議会決定)III2(1)4)(法令審査の平準化)を励行する。
(3) 働く時間と場所の柔軟化に関する取組
ア テレワークの推進
(ア) 平成32年度までに,業務の性質上,テレワークの実施が不可能な業務
を除き,テレワークが勤務形態の一つとして定着し,必要な者が必要な時
に当該勤務を本格的に活用できるようにする。
(イ) 「世界最先端IT国家創造宣言」(平成27年6月30日閣議決定)に基づき
策定されたロードマップも踏まえ,テレワークに係る取組を推進するととも
に,計画的に取組の拡大を図る。
(ウ) 職場から端末等を持ち帰らずとも,多要素での認証機能など様々な情報
セキュリティ対策がとられた自宅パソコン等から職場内のシステムにアク
セスできる政府共通プラットフォーム外部接続環境提供サービスの活用の
促進を図るなど,システム・技術面からのセキュリティが確保されたテレワ
ーク環境を整備する。
イ 勤務時間の柔軟化に関する取組
- 11 -
(ア) 早出遅出勤務の活用促進
早出遅出勤務の規程の周知とともに,業務の繁閑,職員の勤務状況や
体調,ワークライフバランスの事情等に応じて早出遅出勤務を効果的に活
用するなど,弾力的な勤務時間の割振りについての理解促進や職場の雰
囲気の醸成に一層努める。
(イ) フレックスタイム制の拡充
平成28年4月から原則として全ての職員を対象に拡充されるフレックス
タイム制について,適切な公務運営の確保に配慮しつつ,円滑な実施を図
る。また,希望する職員には可能な限り適用するよう努め,特に育児や介
護を行う職員からの希望については,できる限り希望どおり対応できるよう
にするなど配慮する。
(4) 人事評価への反映
人事評価マニュアルを踏まえ,長時間勤務の是正,時間当たりの生産性を
重視した効率的な業務運営,働き方改革,ワークライフバランス実現に資する
取組等について適切に人事評価へ反映する。
特に,幹部職員及び管理職員については,この計画を踏まえた各職場にお
ける具体的取組に関する目標を設定するなどにより,この計画の趣旨・目的や
時代に即した合理的かつ効率的な行政を実現するためにとられた行動等が適
切に評価されるようにする。また,幹部職員又は管理職員は,部下職員に対し
ても,必要に応じて,この計画に基づく具体的取組に関する目標を設定すること
等,方針,指示等を出す。
(5) 民間企業等が主催する講演会等への職員の派遣等
人事担当部局は,コスト意識を持った適切な勤務時間管理の手法等の参考
となる民間企業等が主催する講演会等への職員の派遣,自庁において外部の
専門講師を招いた講演会の実施等を積極的に検討する。
2 男女全ての職員が家事・育児・介護等をしながら活躍できる職場環境の整備
男女問わず,家事・育児・介護等の家庭責任を十分に果たしつつ,職場にお
いてもその能力を十分に発揮して活躍していくためには,仕事と家庭の両立支
援に関する各種制度の導入・周知だけではなく,職員が気兼ねなく安心して利用
しやすい職場風土が醸成されており,実際に制度を利用できる人員・業務体制
が整い,かつ,利用した後のフォローアップやキャリア形成を可能とする人事管
理が構築されているなど,職場環境が整備されている必要がある。
このため,これまで不十分であった男性の家庭生活における活躍に特に重点
を置いた上で,以下のとおり,仕事と家庭の両立の重要性・必要性に関する全職
員の意識改革を進め,仕事と家庭の両立支援制度等の利用を促進するほか,
男女問わず職員の状況に応じたきめ細かい対応や配慮を行うことにより,全て
の職員が活躍できる職場環境を整備する。
- 12 -
(1) 男性の家庭生活における活躍推進
職業生活と家庭生活の両方を営むに当たって,一方の家庭生活において,
男性の十分な分担が得られなければ,女性の負担は高まらざるを得ず,結果
として女性が職場において活躍することが困難となる点については,第1章第
4の3(2)において前述したとおりであるが,総務省の「社会生活基本調査」
(平成23年)によると,6歳未満の子供がいる女性の一日の家事関連時間は
7時間41分であるのに対して,男性は1時間7分であるなど,家事・育児・介
護等の家庭責任の多くを女性が担っている現状が伺える。
また,厚生労働省「第12回21世紀成年者縦断調査(平成14年成年者)」
(平成25年)によると,夫が平日の家事・育児を行わない場合の妻の継続就
業率が52.6%であるのに対し,夫が平日の家事・育児を4時間以上担う場
合の妻の継続就業率69.6%に達しているなど,配偶者である男性の家事・
育児への関与度合いが,女性の継続就業に大きな影響を与えており,これら
の調査結果からも,女性の職業生活における活躍のためには,男性の家庭生
活における活躍が必要不可欠であると言える。
さらに,男性の家庭生活における活躍により,男性自身のキャリア形成,円
滑な組織運営,次世代育成支援等の多くのメリットがあることは,第1章第4の
3(2)のとおりである。
このため,男性が家族の一員として家庭生活における役割を「当然かつ十
分に」果たせるよう,男性の家庭生活における活躍の重要性・必要性に係る
全職員の徹底した意識改革,雰囲気の醸成,実際に男性が各種両立支援制
度を気兼ねなく利用できる職場環境の整備について,以下の取組を行う。
ア 男性の家庭生活における活躍に係る意識改革,雰囲気の醸成及び体制
整備
(ア) 幹部職員は,各種両立支援制度の周知のみならず,男性職員が家事・
育児・介護等の家庭生活における役割を果たすことの重要性及び必要性
について,対象となる男性職員のみならず,性別・年齢・役職問わず,当該
職場に所属する全職員に対して,強力なリーダーシップの下,明確なメッ
セージを継続的に発出することにより,全職員の意識改革を確実に行う。
また,対象となる男性職員が家庭生活における役割を果たすための各種
両立支援制度を実際に利用できる職場の雰囲気を醸成する。
(イ) 男性職員による仕事と家庭の両立支援制度の利用促進を図る上では,
特に管理職員の制度に対する理解が重要であることから,幹部職員は,
管理職員に対する意識啓発,利用促進のための取組に関する指示等,必
要な対応を行う。
(ウ) 男性職員について,育児等に係る状況(出産予定日,配偶者の状況,保
育の状況等)や両立支援制度の利用についての意向を記入するための育
児シートにより,管理職員や人事担当部局がきめ細かく男性職員の状況
- 13 -
を把握し,面談による詳細な意向確認や不安払拭のための助言等を随時
行いながら,業務進捗状況の把握,取得希望時期の調整,業務支援体制
や業務分担変更の必要性の検討,関係する周囲の職員との意見交換等,
男性職員が各種制度を実際に利用できるため体制を整備する。
イ 男性職員による育児休業,各種休暇等の取得の推進
男性職員に対する両立支援制度の確実な周知とともに,上記アに掲げる
幹部職員,管理職員及び人事担当部局による取組により,男性職員による
両立支援制度の活用を図る。
特に,男性職員の育児休業,配偶者出産休暇及び育児参加休暇について
は,第4次男女共同参画基本計画(平成27年12月25日閣議決定,以下
「第4次計画」という。)及び取組指針において定められた政府全体の目標を
踏まえ,以下のとおり数値目標を設定し,管理職員又は人事担当部局は,そ
の都度,対象となる男性職員に対して,個別に働き掛けるとともに,必要に応
じて業務体制を見直すなどして,強力に取得促進を図る。
このうち,配偶者出産休暇及び育児参加休暇は特別休暇であり,経済的
な影響を伴う育児休業よりも格段に取得が容易な制度であり,産前産後の
配偶者の身体的・精神的負担を大きく軽減するとともに,出生後の貴重かつ
大変な時期における父親として育児経験が僅かながらも得られるものであ
り,その後の育児休業取得や積極的な育児・家事参加へのきっかけにもなる
ことから,対象となる男性職員全員が数値目標に掲げる日数を確実に取得
するよう,管理職員,人事担当部局は,上述の必要な対応をとる。
また,育児・家事は,主に乳児期に取得する育児休業,配偶者出産休暇
及び育児参加休暇のように,特定の期間に限られたものではなく,その後の
幼児期及び就学期以降の相当期間継続し,その間,毎日誰かが確実に行わ
なければならないものである。
そのため,男性職員が家庭生活において活躍する場面・方法は,乳児期
における育児休業,配偶者出産休暇及び育児参加休暇の取得にとどまら
ず,むしろ,その後相当期間継続する幼児期及び就学期において日々必須
となる子の送迎,食事・弁当作り,入浴,遊び,寝かしつけ,洗濯・掃除・片付
け等の膨大かつ雑多な家事,更には,予定外又は突発的に発生する子の傷
病時の通院・看護,学級閉鎖時の家庭保育,園・学校行事・PTA活動への参
加等も対応できなければ,特に共働き世帯においては,家庭生活における役
割を十分に果たしているとは言えない。これまでは女性が当然のようにその
大部分を担ってきた家庭生活における役割について,各家庭において,配偶
者の就業状況やお互いの意向等を踏まえつつ,その分担について話し合っ
た上で,男性職員が担うこととなった役割は十分に果たせるよう,男性職員も
育児時間,子の看護休暇,休憩時間の短縮特例,育児を行うための早出遅
出勤務等,それぞれのニーズに応じた各種制度の利用を検討し,管理職員
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や人事担当部局等に相談しながら,積極的に取得する必要がある。
【平成32年度までの数値目標】
男性職員の育児休業取得率 13パーセント
※(注記) 政府全体の目標値 13パーセント
配偶者出産休暇及び育児参加休暇の
合計5日以上の取得率 100パーセント
※(注記) 政府全体の目標値 100パーセント
(2) 育児,介護をしながら活躍できる職場へ
男女問わず職員が仕事と家庭の両立を図るためには,制度を利用しやす
い環境の整備はもとより,職員の状況に応じた柔軟な対応を行うことにより,
育児・介護等の時間制約のある職員でも活躍できるような職場とするため,以
下の取組を行う。
ア 両立支援制度の利用と育児休業復帰後の支援
(ア) 全ての職員が両立支援制度について,いつでも必要な情報が得られる
環境を整え,職員全体の認知度を向上させる。
(イ) 育児に伴う負担が,幼児期のみならず小学校入学後においても大きなも
のとなっており,女性のみならず,男性も父親として当然に育児の役割を
果たす必要があること,また,介護については,誰もが直面し得るものであ
り,見通しが立たず,身体的・精神的・経済的負担が多く,職員個人や家
族内で悩み等を抱え込みやすい性質のものであること等について,各種
研修,座談会等の機会を利用し,職場内における全職員の理解を深める
とともに,組織的かつ中長期的な視点に立った「お互い様」意識の啓発に
より,「相互支援」の循環・継承の重要性が共有されるような働きかけを行
う。
(ウ) 幹部職員は,管理職員等への両立支援制度に対する理解を醸成し,育
児や介護などの時間制約がある職員が両立支援制度を活用することに対
する心理的負担の軽減,両立支援制度を活用する職員を支援する周囲の
職員の不公平感の解消・緩和に努める。また,制度を利用する職員の業
務情報の共有等により,両立支援制度を利用する職員をサポートしやす
い環境を整備する。
(エ) 男女ともに育児等に係る状況(出産予定日,配偶者の状況,保育の状況
等)や両立支援制度の利用についての意向を記入するための育児シート
により,管理職員や人事担当部局がきめ細かく職員の意向,状況を把握
し,個別に利用できる制度の説明を行うなど,両立支援制度の周知を徹底
し,制度利用や働き方等に関する助言をする。
- 15 -
また,夫婦ともに当省職員であるときは,両名に,両立支援制度に関す
る同一内容の研修等を受講させるよう努める。
(オ) 人事担当部局は,育児休業や育児短時間勤務等の両立支援制度を利
用したことのみにより昇任・昇格に不利益とならないようにするなど,能力・
実績に基づく昇任・昇格の判断を行うとともに,その旨を職員に周知する。
(カ) 両立支援制度の利用促進のみに偏るのではなく,職員の育児休業等か
らの円滑な復帰を図り,職員が育児又は介護を行いながらも,その意欲,
能力を十分に発揮し職場でも活躍できるようにするため,管理職員,直属
の上司,人事担当部局等は,各職場内における双方向できめ細かなコミュ
ニケーションを通して,次の取組を行う。
・ 育児休業・介護休業等取得時に,本人の働き方やキャリアプランに関
する意向の確認及び助言を目的とした面談を実施する。
・ 育児休業からの復帰時期・復帰後にも,面談を実施し,働き方やキャリ
アプランに関する職員の意向,育児の状況・変化等を随時確認し,意識
を共有する。また,両立支援制度について説示し,その利用促進を図る。
・ 育児又は介護を担う職員であっても,画一的・機械的・一方的に業務
負荷の軽減や担当業務の変更等をするのではなく,能力があり勤務意欲
が旺盛な職員については,本人との話し合いによる双方向のコミュニケ
ーションを通して,責任ある立場の業務を任せるなど,適正な業務配分,
配置等を行う。
(キ) 人事担当部局は,一定期間以上育児休業を取得する職員の代替要員
には可能な限り常勤職員を配置する。また,産前・産後休暇,育児短時間
勤務,育児時間等の取得実態に応じて措置された定員を積極的に活用す
る。
(ク) 人事評価において評価者,調整者及び実施権者の立場にある職員は,
育児や介護を担うなど時間制約がある職員を支援する周囲の職員の支援
状況(業務負荷等)について,人事評価において適正に評価を実施する。
(ケ) 在職期間が1年以上であるなど一定の要件を満たす非常勤職員につい
ても,育児休業,育児時間,介護休暇等の両立支援制度を利用できること
につき周知を図る。
(コ) 幹部職員,管理職員及び人事担当部局は,転勤に当たり,本人の意向
を把握し,職員の育児,介護等の事情に一層配慮した人事管理に努め
る。
(サ) キャリアパスにおける転勤の在り方(必要性,異動先,タイミングの多様
性確保等)について再検討を行う。※(注記)第2-2-(3)-ウ後掲
(シ) 管理職となるために必要な職務の経験については,出産・育児期等以外
の時期に重要なポストを経験させ,必要な研修の機会を付与するなど,柔
軟な人事管理を行う。※(注記)第2-2-(3)-イ後掲
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(ス) 各職場における業務の管理者(本項目以降において,各取組内容を所
管する業務の管理者のことをいい,以下「管理者」という。)は,育児をして
いる職員に対しては,保育園送迎等に配慮した勤務時間の割振りを行うよ
う努める。
(セ) 管理者は,育児をしている職員が自動車通勤を必要とする場合には,駐
車場の利用について,他の職員より優先させるなどの配慮に努める。
(ソ) 法務総合研究所,矯正研修所及び公安調査庁研修所(以下「研修実施
機関」という。)は,育児をしている職員に対し,研修実施における特例措
置(宿泊の免除,年齢制限の特例等)を検討する。
(タ) 大臣官房人事課は,職員の両立支援に資する新しい人事制度の創設に
向けた制度官庁への働きかけに努める。
イ 育児休業取得中の職員への支援
育児休業取得職員が,長期間職場から離れていることによる執務環境の
変化に対して感じている不安感を緩和するとともに,育児休業後の具体的な
キャリアイメージを持ち,職務への意欲を持って復帰できるようにするため,
必要に応じて職場の情報に触れることのできる環境を整えるとともに,職務
への意欲と職務に必要となる知識や技能等を育児休業取得期間中も維持で
きるようにするなどの支援を行うとの観点から,次の取組を行う。
(ア) 育児休業取得職員に対しては,人事担当部局や所属先の管理職員など
連絡担当者を決め,当該担当職員が,定期的なコミュニケーションやメー
ルマガジンの配信等を行う。
(イ) 人事担当部局又は管理者は,育児休業後の具体的なキャリアデザイン
の形成等を目的に,ロールモデルの経験談や外部講師からの講演を内容
とする,育児休業取得職員等を対象としたセミナー等を実施する。
(ウ) 情報セキュリティ担当部局は,育児休業中の職員に対する上記情報提
供等が可能となるよう必要な支援を行う。
(3) 保育の確保
育児を行う職員のための保育の確保については,待機児童解消を進め,公
的保育の整備を進めることによる対応が必要であるが,現在の保育状況,勤
務時間の状況,転勤及び緊急時の対応の必要性等に配慮し,以下の取組を
行う。
ア 庁内保育施設の整備,利用促進
(ア) 管理者は,職員のニーズ,居住地域の保育所の待機児童の状況等を踏
まえ,庁内保育施設の整備等について,適切な対応をとる。
(イ) 人事担当部局は,職員の希望に応じて,職場や官舎の周辺等の保育施
設に関する情報を収集し,提供する。
イ 転勤の際の配慮
転勤先の保育所の確保が必要な場合においては,引き続き,可能な限り
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早期に内示を行うなどの配慮を行う。
ウ 育児関連支援サービスの充実
(ア) シッターサービス等の育児関連支援サービスの一層の充実,職員への
情報提供に努める。
(イ) 災害派遣,事案対応等の緊急登庁時等に子供を預けられる体制の確保
等に努める。
第2 女性の職業生活における活躍推進のための取組内容及び数値目標
1 女性の採用の拡大
女性の職業生活における活躍の入口となる女性の採用の拡大は重要であり,
女性の採用について,第4次計画に定める政府全体の目標を踏まえ,以下のと
おり数値目標を設定し,公務に期待される能力を有する多くの優秀な女性を幅
広く採用できるよう,国家公務員採用試験の女性申込者・合格者の拡大に向け
た以下の取組を進める。
【平成32年度までの数値目標】
○しろまる法務省全体の国家公務員採用試験(男女別に実施する試験等を除く。)から
の採用者に占める女性の割合 毎年度30パーセント以上
○しろまる国家公務員採用総合職採用試験からの採用者に占める女性の割合
毎年度30パーセント以上
※(注記) 政府全体の目標
国家公務員採用試験及び国家公務員採用総合職試験からの採用者に占める女性の割合
毎年度30パーセント以上
(1) きめ細かな実効性のある広報活動等の推進
公務に期待される能力を有する多くの優秀な女性を幅広く採用できるよう,
国家公務員採用試験の女性申込者・合格者の拡大に向け,関係府省と広報活
動等において有機的に連携・協力する。広報活動等については,施設見学,イ
ンターンシップの実施,多様な媒体を活用した情報発信の強化及び広報資料
の充実を図るとともに,ターゲット分類ごとにきめ細かく効果的に訴求するよう,
首都圏・各地域,法学部・経済学部及びそれ以外の学部向けなどきめ細やか
な実効性のある戦略的な広報活動を実施する。
(2) 女性職員の中途採用(経験者採用試験等による採用及び選考採用)の拡大
経験者採用試験等の積極的な活用,管理職以上の官職も含めた外部女性
人材の採用・登用に取り組む。
(3) 育児等を理由に国家公務員を中途退職した女性が再度公務において活躍
できるための取組
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人事担当部局は,中途退職者の連絡先の把握及び中途採用情報の提供に
努める。
2 女性の登用目標達成に向けた計画的育成
(1) 女性の登用目標
女性職員の登用については,女性の活躍の進捗状況を示す最も端的な指
標であり,公務部門においては,性別にかかわらない公正な人事評価に基づ
く成績主義,平等取扱原則に基づいた率先した取組が求められている。
また,将来指導的地位に成長していく女性の人材プールを確実に形成する
ため,継続就業のためのワークライフバランス推進等の職場環境の整備のみ
ならず,職域の拡大等による多様な職務機会の付与,能力・意欲向上のため
の研修への参加,キャリアパスイメージの提示やロールモデルの事例・経験
談紹介等を通じた意欲向上,計画的育成,キャリア形成支援等の取組を着実
に進め,「社会のあらゆる分野において,2020年までに指導的地位に女性
が占める割合が,少なくとも30%程度となるよう期待する」との平成15年の
男女共同参画推進本部決定に着実に結びつけていくことが重要である。
女性の登用については,将来指導的地位へ成長していく人材プールに関す
る目標も含め,第4次計画における政府全体の目標を踏まえ,以下のとおり数
値目標を設定し,引き続き,積極的かつ計画的な女性の登用の拡大を進め
る。
【平成32年度末までの数値目標】
○しろまる 指定職相当に占める女性の割合 6パーセント(5パーセント)
○しろまる 本省課室長相当職に占める女性の割合 8パーセント(7パーセント)
○しろまる 地方機関課長・本省課長補佐相当職に占める女性の割合
12パーセント(12パーセント)
○しろまる 本省係長相当職に占める女性の割合 30パーセント(30パーセント)
※(注記) ( )内は第4次計画に定められた政府全体の目標
(2) キャリアパスモデル,ロールモデルの提示
女性職員が自身のキャリアプランをイメージできるよう,キャリアパスモデル
やロールモデルを提示・紹介する。
(3) 人事管理の見直し,柔軟化等
女性職員の登用も,男性職員と同様に,成績主義・平等取扱原則が大前提
となるが,女性職員は,妊娠・出産・育児を経る場合,必然的に男性職員よりも
長い期間職場を離れることとなる点では,職務機会の付与や研修の時期等に
ついて,男性職員とは異なる人事管理上の対応が必要となる場合がある。ま
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た,登用が期待される女性職員に対しても,登用により役職に応じた職責やワ
ークライフバランス実現について,女性職員の自律的な対応が求められること
を,キャリア形成支援等を通じて理解を深めさせる必要がある。
ア 女性の登用の実態やその阻害要因の把握
人事管理を行っている単位ごとに,職員数の男女比と管理職を含む各役
職段階に登用されている者の男女比を比較し,大きな差がある場合にはそ
の理由を把握・分析し,改善に向けて必要な対応を行う。
イ 女性職員の職域拡大,人事管理の柔軟化等を通じた女性職員の計画的
育成
(ア) 女性職員の職域の拡大,様々なキャリアパスモデルの提示及び研修,
個別面談等を通じ,キャリア形成支援を一層積極的に行う。その際,登用
により,役職に応じた職責が増すこと,それにより育児・介護等を含めたこ
れまでの自身のライフスタイルに少なからず変化がもたらされること,その
変化に応じたワークライフバランスを,職責,業務の状況,職場の体制等
を十分に踏まえた上で,自らの意思や判断に基づき実現していくことが求
められること等についても,女性職員の理解を深めさせる。
(イ) 特定の業務に女性職員が多く配置されている,男性職員のみが配置さ
れてきた業務があるなど,職域が固定化していないか確認し,合理的な理
由がある場合を除き,固定化の解消を図る。
(ウ) 男女ともに,極めて優れた能力を有すると認められる職員については,
管理職員への登用も視野に入れつつ,速やかに昇任させる。
(エ) 管理職となるために必要な職務の経験については,出産・育児期等以外
の時期に重要なポストを経験させ,必要な研修の機会を付与するなど,柔
軟な人事管理を行う。
また,育児期に昇任を希望しなかった等の理由により結果として昇任が
遅れている職員についても,意欲及び優れた潜在的な能力を持つ女性職
員に対しては,多様な職務機会の付与や研修等の必要な支援を積極的に
行い,意欲,スキル等を高め,昇任スピードを加速する等のキャッチアップ
を行う。
(オ) 管理職の候補となり得るような女性職員については,個別に育成方針を
立てるなど,当省における女性職員の登用目標の達成に向けた計画的な
育成を図る。その際,特に本府省及び地方機関におけるII・III種試験・一
般職・専門職試験採用の女性職員のうち優秀と見込まれる者については,
必要な職務機会の付与や研修等の支援を通じて積極的な育成に努める。
ウ 転勤の可否が登用に及ぼす影響の排除・縮小
管理職への登用に当たり,転勤や本府省における勤務経験が事実上の要
件とされている場合があり,育児期等に転勤ができない職員の登用の支障と
なっているケースが見られる。
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このため,キャリアパスにおける転勤の在り方(必要性,異動先,タイミン
グの多様性確保等)について再検討を行う。その際,例えば,転勤を所属の
管区内等で行うことや,出産・育児期等を迎える前の若手に転勤等をさせて
必要な職務経験を積ませたり,女性職員本人の希望を踏まえ,出産・育児期
等を越えてから,通常より遅れてでも必要な経験を積ませ,登用に向けた育
成を行うなど,複線的な育成を行うことを検討する。
(4) 管理職員の意識改革
幹部職員は,管理職員に対し,成績主義・平等取扱原則に基づいた意欲と
能力のある女性の登用を図る観点から,従来の固定的な性別役割分担意識・
価値観・職場慣行の改革,柔軟な人事管理及び計画的な育成の必要性,女性
職員のキャリア形成支援等意欲を向上させる取組の重要性等についての明確
なメッセージを継続的に発出するなどして意識改革を図る。
3 女性職員のキャリア形成支援,意欲向上
(1) キャリアパスモデルの提示等による女性職員のキャリア形成支援
ア 女性職員のキャリアイメージ形成支援による意欲向上を図るため,計画期
間末までに,既存の研修等のカリキュラムにキャリアイメージ形成支援に資
する研修・講演会・セミナー等を盛り込むなどして,全官署において,女性職
員が当該研修・講演会・セミナー等を年1回以上受講することができる体制を
整備するとともに,これらの能力向上のための研修・講演会・セミナー等に積
極的に参加させることや,活躍する先輩女性職員が歩んできたキャリアパス
の事例や先輩職員からの経験談等のキャリアパスモデルを紹介すること等
を通じて,若手女性職員の意欲の向上を図る。また,女性職員が出産,育児
等経験後もキャリアアップを目指す意欲を高めるため,若手のうちに公務の
魅力,仕事の面白さを認識できるよう,例えば,多様な職務機会を付与する
等の取組を行う。
イ 組織ごとにロールモデルとなる人材の育成に努めるとともに,様々なロー
ルモデルを紹介するための資料等を企画・作成し,上記アの研修等に活用
する。
ウ 管理職員,直属の上司又は人事担当部局が必要に応じて随時面談を行
い,今後のキャリア形成に関する助言等を行うことにより,女性職員の意欲
の向上を図る。
エ 女性割合が比較的高い非常勤職員については,非常勤職員の制度の趣
旨,勤務の内容に応じた処遇が確保されるよう,引き続き配慮や助言を行
う。
(2) 女性職員が抱える悩みや心配事の相談ができる体制づくり(効果的なメンタ
ー制度の導入やネットワークの形成)
ア メンター制度等の活用
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仕事と家庭の両立や将来のキャリアに悩む女性職員が,同様の境遇を経
験してきた先輩女性職員に気軽に相談できるよう,メンター制度を積極的に
活用する。
イ 人的ネットワーク形成の支援
ロールモデルとなる先輩女性職員が少ない組織においては,女性職員に
適切な相談の機会が確保されるよう,女性職員向けの研修への参加等を通
じ,人的ネットワークの形成を支援する。
第3 次世代育成支援の推進のための取組内容
1 勤務環境の整備に関する事項
下記2及び3に規定するものを除き,本章第1及び第2の取組を次世代育成推進
法の趣旨を踏まえて実施する。
2 公共的施設における雇入れの促進等
母子及び父子並びに寡婦福祉法の規定に基づき,母子家庭の母等の法務省,
出入国在留管理庁,公安審査委員会及び公安調査庁における雇用の促進等を図
る。
3 その他の次世代育成支援対策に関する事項
子育てバリアフリー,子ども・子育てに関する地域貢献活動,子どもと触れ合う機
会の充実等を促す。
(1) 子育てバリアフリー
ア 管理者は,子ども連れの来庁者に配慮したトイレ,ベビーベッド,授乳施
設等の設置に努める。
イ 全職員が,子ども連れの来庁者に対する親切な応接対応等に努める。
(2) 子ども・子育てに関する地域貢献活動
ア 子ども・子育てに関する活動の支援
職員は地域の構成員でもあり,その地域における子育て等に関する活動
に積極的に参加することが期待されているため,管理者は,地域において,
子どもの健全育成,疾患・障害を持つ子どもの支援,子育て家庭の支援等
を行うNPOや地域団体等について,その活動への職員の積極的な参加を
支援する。
イ 子どもの体験活動等の支援
管理者は,子ども多様な体験活動等の機会の充実を図るため,子どもが
参加する地域活動から職場見学,各庁の敷地や施設の利用の申出がなさ
れた場合には,応じるよう努める。また,各種学習会等の講師,ボランティ
アリーダー等として職員の積極的な参加を支援すること等に取り組む。
ウ 子どもを交通事故から守る活動の実施や支援
管理者は,子どもを交通事故から守るため,地域の交通安全活動への職
員の積極的な参加を支援するとともに,公務に関し自動車の運転を行う者
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に対する交通安全教育等の交通安全に必要な措置を実施する。
エ 安全で安心して子どもを育てられる環境の整備
管理者は,子どもを安全な環境で安心して育てることができるよう,地域
住民等の自主防犯活動や少年非行防止,立ち直り支援のための活動等へ
の職員の積極的な参加を支援する。
(3) 子どもと触れ合う機会の拡充
ア 管理者は,保護者でもある職員の子どもと触れ合う機会を充実させ,心
豊かな子どもを育むため,子どもが保護者の働いているところを実際に見る
ことができる職場見学会の実施に努める。
イ 管理者は,レクリエーションを実施する場合,職員の子ども等の家族も参
加できるよう配慮する。
(4) 学習機会の提供等による家庭の教育力の向上
家庭教育に関する学習機会への参加が難しい職員に対し,必要に応じて,
家庭教育等講座等を受講する機会を設けるなどし,家庭教育への理解と参画
を促進するよう努める。
第4 パイロットアクション
この計画における数値目標と現状が大きく乖離し,計画期間末までの達成が困
難と考えられるような指標については,計画期間全体を概観しながら急激な変化に
よるリスクを考慮しつつ,組織ごとに順次展開させていくなどの戦略的なプランニン
グが必須となる。また,計画期間中に各組織特有の問題点等を解消・解決するた
めには,各組織の取組状況等を横断的に把握・分析しつつ,既存の手法や先例に
捕らわれず,果敢に効果的と考えられるあらゆる手法を試行していくスピード感も
重要となる。
そこで以下のとおり,全組織一律の実施は困難と考えられるような目標や手法
等について,モデル部署等を選定し積極果敢に一定期間集中的な取組(以下「パ
イロットアクション」と称する。)を行い,半期に一度,各パイロットアクションのフォロ
ーアップを行い,その成果,課題等を検証した上で,新たなパイロットアクション等
により全組織に展開し,目標達成に取り組む。
1 女性職員が意欲と能力を十分に発揮し,働き続けることができる職場環境の実
現に係る課題解決型パイロットアクション
交替制勤務がある刑務官及び入国警備官については,他の職域と比較して離
職率が高く,これが女性職員の登用拡大の障壁にもなっているため,矯正局にお
いては,平成27年度以降向こう3年間で女性刑務官の離職率を半減させることを
目標とし,その目標達成のための具体的な方策として,平成27年度以降向こう3
年間で女性刑務官を200名増配置するほか,採用広報活動の体系的・効果的な
実施,半開放処遇居室における職員複数配置の実施,幹部職員と一般職員の意
見交換会の実施,矯正局及び矯正管区による効率化の推進・若手職員の面接の
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実施を総合的に行う課題解決型パイロットアクションを実施する(矯正官署のモデ
ル官署において実施)。
また,入国管理局(平成27年度当時)においては,平成27年度以降向こう3年
間で女性入国警備官の離職率を男性入国警備官と同率となるよう執務環境の改
善や採用に向けた広報活動の充実に取り組むことにより,平成27年度以降向こう
3年間で女性入国警備官を30名増配置する課題解決型パイロットアクションを実
施する(入国管理官署(平成27年度当時)のモデル官署において実施)。
2 男性職員の家庭生活における活躍の重要性に係る意識を変容し,男性職員の
育児休業取得や育児参加休暇取得に係る目標を達成するための順次展開型パ
イロットアクション
男性職員の家事・育児・介護等の家庭生活における活躍は女性の職業生活に
おける活躍推進のためにも不可欠であるところ,当省における平成26年度の男性
職員の育児休業取得率は,全体で3.2パーセント,配偶者出産休暇及び育児参
加休暇合計5日以上の取得率は16.0パーセントに過ぎず,育児休業取得率13
パーセント並びに配偶者出産休暇及び育児参加休暇の両休暇合計5日以上の取
得率100パーセントとする数値目標と現状に大きな乖離がある。
そこで,第2章第1の2の(1)の男性職員の家庭生活における活躍推進に係る
各種取組を通じて,まずは特定の官署において男性職員の育児休業,配偶者出産
休暇及び育児参加休暇の取得を促進し,達成状況に応じて他の官署にも順次展
開するパイロットアクションを実施する(全組織のモデル官署において実施)。
3 そのほかのパイロットアクション
上記1及び2のほか,この計画における数値目標と各組織の現状に大きな乖離
がある場合等は,各組織において,効果的な課題解決型パイロットアクション又は
順次展開型パイロットアクションを検討し,積極的に実施する。
第3章 推進体制等
第1 計画の推進,点検,評価及び見直しのための体制
1 この計画の推進,取組の実施状況の点検・評価及び見直しは,法務省女性職
員活躍及びワークライフバランス推進検討会議(平成28年3月31日事務次官決
定。以下「検討会議」という。)において,総合的かつ継続的に行う。
検討会議においては,計画における数値目標の達成状況や,計画に基づく取
組の実施状況の点検・評価を毎年度少なくとも1回実施し,その結果を,女性職員
活躍・ワークライフバランス推進協議会に報告する。併せて,その結果をその後の
取組や計画に反映させる,PDCAサイクルを確立する。
また,パイロットアクションの選定及び進捗状況の把握を行うとともに,必要に
応じて,職員に対するアンケート調査やヒアリング等を実施するなど,各組織・各
職場の実情の的確な把握に努める。
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2 大臣官房人事課は,この計画を総合的かつ継続的に推進するために必要な事
務を行う。
3 大臣官房人事課は,女性活躍推進法第15条第5項に基づく策定又は見直しさ
れた計画及び同法同条第6項に基づく取組実施状況の点検・評価結果について,
法務省ホームページ等により公表する。
4 民事局,刑事局,矯正局,保護局,出入国在留管理庁及び公安調査庁におい
ては,地方機関等に「女性職員活躍及びワークライフバランス推進担当者」を置
き,地方機関等における計画の推進を支援する。
第2 女性の職業選択に資する情報の公表
大臣官房人事課は,女性活躍推進法第17条に基づき,職業生活を営み,又は
営もうとする女性の職業選択に資するよう,女性の職業生活における活躍に関す
る情報を,おおむね1年に1回以上,法務省ホームページにおいて公表する。
第3 職員に対する情報の提供
1 大臣官房人事課は,この計画の推進等に資する情報等を掲載した冊子を作成
する。
2 大臣官房人事課は,法務省ホームページに設けた専用コーナーを活用して,職
員を含め広く国民一般を対象とした情報提供を行う。
3 大臣官房人事課は,管理職員,人事担当部局等を対象とした職員向けの情報
提供及び連絡の場として,法務省情報ネットワークに設けた専用掲示板を活用す
る。
第4 職員からの相談への対応
本省局部課等,法務総合研究所,出入国在留管理庁本庁,公安審査委員会及
び公安調査庁本庁(以下「本省庁」という。)の人事等の管理部門は,女性職員活
躍及びワークライフバランスについての相談を行う窓口を,本省庁及び所管する地
方機関等に設置し,職員からの個別の相談や質問等について適切に対応する。
第5 職員に対する研修・啓発の実施
1 研修実施機関は,それぞれが実施する研修において,この計画の推進に関す
る基本的事項についての講義を実施する。
2 研修実施機関は,管理者に対する研修において,この計画の推進に関する基
本的事項に加え,管理者としての役割の重要性や各種制度を利用しやすい職場環
境の整備のための重点事項についての講義を実施する。
3 各職場において実施する職員向けの研修や意見交換会等において,この計画
の推進に関する基本的事項や当該職場における重点的な取組内容等について,
啓発,意見交換等を実施する。
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第4章 その他
平成31年4月1日以降,本省内部部局から外局となった出入国在留管理庁及び入国
者収容所並びに地方出入国在留管理局においても,この計画により,引き続き各種取組
等を継続することとなる。
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第2部 経緯,状況把握及び分析等
第1章 関連する法律等の趣旨
第1 男女共同参画社会基本法
女性も男性も全ての個人が,互いにその人権を尊重し,喜びも責任も分かち
合いつつ,性別に関わりなく,その個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画
社会の実現を目的として,平成11年に男女共同参画社会基本法(平成11年法
律第78号。以下「基本法」という。)が制定された。
基本法では,第2条において,男女共同参画社会の形成を,「男女が,社会の
対等な構成員として,自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に
参画する機会が確保され,もって男女が均等に政治的,経済的,社会的及び文
化的利益を享受することができ,かつ,共に責任を担うべき社会を形成すること」
と定義した上で,形式的な平等にとどまらない実質的な機会の平等を推進するこ
とが求められており,ポジティブ・アクション(積極的改善措置)(※(注記)3)を含む施策
を講ずる責務が国に課されている。また,基本法では,基本理念の一つとして,
男女共同参画社会の形成は,男女が,社会の対等な構成員として,政策・方針
の立案・決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として行わなければ
ならないことが掲げられている。
以降,基本法に基づき,男女共同参画社会の形成に向けた施策を総合的か
つ計画的に推進するための男女共同参画基本計画の策定及び推進を通じて各
種取組が推進され,平成15年6月20日には,男女共同参画推進本部決定によ
り「社会のあらゆる分野において,2020年までに,指導的地位に女性が占める
割合が,少なくとも30%程度になるよう期待する」との目標が設定され,目標達
成に向けて,様々なポジティブ・アクション等による取組の強化・加速が進められ
てきた。さらに,平成27年12月25日に閣議決定された第4次計画においては,
1女性の活躍推進のためにも男性の働き方・暮らし方の見直しが欠かせないこ
とから,男性中心型労働慣行等を変革し,職場,地域,家庭等あらゆる場面にお
ける施策を充実させる,2あらゆる分野において女性の参画が拡大することは,
社会の多様性と活力を高め我が国経済が力強く発展していく観点や,男女間の
実質的な機会の平等を担保する観点から極めて重要であることから,女性活躍
推進法の着実な施行とともに,更に踏み込んだポジティブ・アクションの実行等を
通じた積極的な女性採用・登用のための取組や,将来指導的地位へ成長してい
く人材の層を厚くするための取組を進めることが重点施策として挙げられてい
る。
※(注記)3「ポジティブ・アクション(積極的改善措置)」とは,男女が,社会の対等な構
成員として,自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する
機会に係る男女間の格差を改善するために必要な範囲において,男女のい
ずれか一方に対し,当該機会を積極的に提供することをいう(基本法第2条第
2項)。男女間において形式的な機会の平等が確保されていても,社会的・経
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済的な格差が現実に存在する場合には,実質的な機会の平等を担保するた
めのポジティブアクションの導入が必要となる。
第2 閣議決定,政府の重点方針
女性の活躍については,上記のとおり,基本法や男女共同参画基本計画を通
じて各種取組が推進されていく中で,15歳から64歳までの女性の就業率が平
成26年には63.6%(昭和50年48.8%)となり着実に増加してきている一方
で,我が国社会全体の女性の就業状況を見ると,いわゆるM字カーブの状況は
いまだ解消されておらず,育児や介護等を理由に就業を希望しながら求職して
いない女性は303万人に上る状況にある。また,総務省「労働力調査」(平成26
年)によると,育児期の女性に焦点を当てると,第1子出産を機に約6割の女性
が離職するなど,出産・育児を理由に離職する女性は多く,20代後半の女性の
就業率は75.7%であるのに対し,多くの人が出産・育児期を迎える30代の女
性の就業率は68.2%にとどまっており,社会全体で見ると,働く場面において,
女性の力が十分に発揮できているとは言えない状況にある。
こうした状況の中,人口減少社会を迎える我が国が,持続的な成長を実現し,
社会の活力を維持していくためには,「我が国最大の潜在力」である女性の力を
最大限に発揮していくことが不可欠であるとして,女性の活躍が,政府の最重要
政策の一つとして,また,成長戦略の中核として位置づけられることとなった。
具体的には,女性の力は,企業活動,行政,地域社会等の現場に多様な視点
・価値観・創意工夫をもたらすとともに,家庭や地域の価値を大切にしつつ社会
全体の活力につながり得るものとして,「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣
議決定),「日本再興戦略」改訂2014」(平成26年6月24日閣議決定)及び「日
本再興戦略」改訂2015」(平成27年6月30日閣議決定)において「女性の活躍
推進」が中核として盛り込まれ,女性の活躍する場が広がることで,経済社会活
動のあらゆる場に変革が起き,これまでにない形での経済成長の実現が可能と
なるとされた。
また,平成27年6月26日には,すべての女性が輝く社会づくり本部におい
て,これまでの延長にはない新たな発想で,国を挙げた取組として,女性活躍の
取組を加速させるために,「女性活躍加速のための重点方針2015」が決定さ
れ,各分野における政策・方針決定過程への女性参画拡大,社会の課題解決を
主導する女性の育成,女性活躍を支える法制度や生活空間も含めた環境整備
に関する政策について,できるものから速やかに着手し,政府を挙げて強力に推
進していくこととされた。
第3 女性活躍推進法
さらに,上記のような女性の活躍推進の取組を一過性のものに終わらせるこ
となく着実に前進させるべく,一歩踏み込んだ新たな総合的枠組を構築するた
- 28 -
め,平成27年8月に女性活躍推進法が成立した。
女性活躍推進法は,女性活躍の場の提供主体である事業主(国,地方公共
団体及び常時雇用する労働者が301人以上の企業等。以下「事業主」という。)
に対して,女性の活躍に関する状況把握・課題分析をした上で事業主行動計画
を策定・公表し,女性の職業選択に資する情報の公表を義務付けることなどを規
定することにより,女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進し,
基本法に基づくポジティブ・アクションの実効性を高め,男女の実質的な機会の
均等,及び,急速な少子高齢化の進展,国民の需要の多様化・社会経済情勢の
変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することを目指している。
この女性活躍推進法の目的を達成するために,第4条において,女性の活躍
の場の提供主体である事業主は,その責務として,職業生活を営み,又は営もう
とする女性に対し,職業生活に関する機会の積極的な提供及び職業生活と家庭
生活との両立に資する職場環境の整備その他の女性の職業生活における活躍
の推進に関する取組を自ら実施するよう努めることが規定されている。
また,第1条においては,基本法の基本理念にのっとることを明記した上で,
「女性の職業生活における活躍」を「自らの意思によって職業生活を営み,又は
営もうとする女性がその個性と能力を十分に発揮できるようにすること」と定義し
ており,既に働いている女性のみならず,これから働こうとしている女性も含め,
また,常勤職員のみならず非常勤職員を含めた全ての女性職員が,どの役職段
階においても,その個性と能力を十分に発揮できることを目指している。
また,第2条において,以下のとおり基本原則を定めている。
1 女性の職業生活における活躍の推進は,職業生活における活躍に係る
男女間の格差の実情を踏まえ,採用,教育訓練,昇進,職種及び雇用形態
の変更その他の職業生活に関する機会の積極的な提供及びその活用を通
じ,かつ,性別による固定的な役割分担等を反映した職場における慣行が
女性の職業生活における活躍に対して及ぼす影響に配慮して,自らの意思
によって職業生活を営み,又は営もうとする女性が,その個性と能力を十分
に発揮できるようにすることを旨として行う。
2 女性の職業生活における活躍の推進は,家族を構成する男女が,男女の
別を問わず,相互の協力と社会の支援の下に,家庭生活における活動につ
いてその役割を果たしつつ職業生活における活動を行うために必要な環境
の整備等により,男女の職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立
が可能となることを旨として行うこと。
3 女性の職業生活における活躍の推進に当たっては,女性の職業生活と家
庭生活との両立に関し,本人の意思が尊重されるべきこと。
上記の基本原則のうち,1については,固定的な性別役割分担意識を背景
に,家事・育児・介護等の家庭責任の多くを女性が担っていたり,男性を中心とし
た雇用慣行が維持されていることなどにより,男女の間で法律上差別はなくと
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も,実質的には,職業生活における機会の不平等や活躍に係る男女間の格差
が生じていることが考えられ,こうした不平等が解消されるまでの間,ポジティブ
アクションを推進することが望ましいとの認識から規定されたものである。
2については,家庭責任の多くを女性が担っている現状を踏まえ,女性が職業
生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立を図りながら,職業生活において活
躍するためには,男性が家族の一員としての役割を一層果たすことが求めら
れ,男性を含めた働き方の見直しや,職場の幹部職員,管理職員を始めとする
全職員,そして社会全体の意識改革が必要であるとの認識から規定されたもの
である。
また,3については,職業生活と家庭生活との両立に関しても,当然に本人の
意思が尊重されるべきであり,専業主婦等,家庭生活に専念するという選択も尊
重されなければならないことが確認的に規定されたものである。
この計画は,事業主行動計画策定指針に即して策定する法務省における特
定事業主行動計画も含めて一体的に策定している。
第4 取組指針
取組指針は,女性活躍推進法及び第4次計画を踏まえ,「我が国最大の潜在
力」である女性の力を最大限発揮できるようにするため,「まず隗より始めよ」の
観点から,国が率先して女性職員の採用・登用の拡大に積極的に取り組むとと
もに,全職員のワークライフバランスを一体的に推進することにより,全ての職員
が働きやすく,その時々の状況に応じた多様で柔軟な働き方を行いつつ公務を
支えるという仕組みへの転換を図り,男女問わず全ての職員が責任と誇りを持
って生き生きと働けるような環境作りに政府一丸となって取り組んでいくという基
本的な姿勢を明示している。
取組指針に基づき,各府省等は,大臣,事務次官等のリーダーシップの下,
全省的な推進体制を整備し,府省等ごとに取組計画を策定・公表するとともに,
取組状況の定期的なフォローアップを通じて,女性職員の採用・登用の拡大及
び全職員のワークライフバランスを確実に推進していくこととなる。
この計画は,取組指針に基づき,法務省における取組計画の改正も含めて一
体的に策定している。
第5 次世代育成推進法
次世代育成推進法第19条に基づき,各府省等の特定事業主は,次世代育成
行動計画策定指針に即して,次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ,か
つ,育成される社会の形成に資することを目的として,職場及び家庭において子
育ての意義についての理解が深められ,かつ,子育てをする職員が子育てに伴
う喜びを実感しつつ,職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするため
に,各府省等の実情や職員のニーズ等を踏まえた上で,両立支援に関する職場
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環境の整備や働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備等の取組につい
て,特定事業主行動計画(以下「次世代育成行動計画」という。)を策定すること
とされている。
この計画は,法務省における次世代育成行動計画も含めて一体的に策定して
いる。
第2章 状況把握及び分析
第1 基本的事項
女性活躍推進法第15条第3項において,特定事業主は,特定事業主行動計
画を定め,又は変更しようとするときは,内閣府令で定めるところにより,採用し
た職員に占める女性職員の割合,男女の継続勤務年数の差異,勤務時間の状
況,管理的地位にある職員に占める女性職員の割合その他の事務及び事業に
おける女性の職業生活における活躍に関する状況を把握し,女性の職業生活に
おける活躍を推進するために改善すべき事項について分析した上で,その結果
を勘案して,これを定めなければならないと規定されている。
状況把握及び分析に基づく取組内容は,第1部第2章のとおりであるが,その
うち数値目標を設定した項目については,以下のとおり状況把握及び分析を行
った。
第2 職員のワークライフバランス及び次世代育成支援関係の状況把握及び分析
1 職員に対し付与された勤務時間法第17条に規定する年次休暇の日数に対
する職員が取得した年次休暇の日数の割合 (内閣府令第2条第18号に基づ
く任意項目)
(1) 状況把握
平成24年から平成26年の各年における年次休暇の平均取得日数及び
取得率について,資料1のとおり把握した。
(2) 分析
資料1のとおり,年次休暇の平均取得日数は,平成26年は平成25年か
ら微増して10.4日,取得率は52.0パーセントとなっているものの, 改正
前の取組計画における「年間15日以上」という数値目標を達成できていない
ため,引き続き,「年間15日以上」という数値目標を維持し,第1部第2章第
1の1(2)のとおり,各組織の実情や特殊性に応じた効果的な取組を着実に
継続していく必要がある。
2 女性職員であって出産した者の数に対する当該女性職員であって育児休業
をした者の数の割合及び男性職員であって配偶者が出産した者の数に対する
当該男性職員であって育児休業をした者の割合並びに職員の男女別の育児
休業の平均取得期間(内閣府令第2条第6号に基づく必須項目)
(1) 状況把握
- 31 -
育児休業の男女別の取得状況について,以下の項目ごとに,資料2のと
おり把握した。
ア 平成26年度における育児休業取得率【資料2-1】
イ 平成24年度から平成26年度における男性の育児休業取得率の推移
【資料2-2】
ウ 平成26年度における男女別育児休業の平均取得期間【資料2-3】
エ 平成26年度における非常勤職員の育児休業の取得状況【資料2-4】
(2) 分析
アについては,資料2-1のとおり,平成26年度における育児休業取得率
は,女性は98.3パーセントであるが,男性は3.2パーセントとなっており,
女性と比較して男性の育児休業取得率は低い。また,イについて,資料2-
2のとおり,平成24年度から平成26年度の3年間における男性の育児休業
取得率の推移を見ても,大きな変動は見られず,男性の育児休業取得率に
ついては,改正前の取組計画において設定された「13パーセント以上」とい
う数値目標との大きな乖離がある。
ウについては,資料2-3のとおり,女性の育児休業の平均取得期間は,
「12月超24月以下」が40.3パーセント,「24月超」が24.6パーセント,「9
月超12月以下」が22.0パーセントを占めている一方で,男性の育児休業
の平均取得期間は,「1月以下」が35.8パーセント,「1月超3月以下」が3
2.1パーセント,「3月超6月以下」が17.0パーセントを占めており,男性が
育児休業を取得したとしても,取得期間は女性よりも大幅に短い期間となっ
ている。
なお,平成26年度における国家公務員全体の育児休業の取得状況は,
取得率については,女性は98.7パーセント,男性は3.1パーセントとなっ
ており,平均取得期間については,女性は,「12月超24月以下」が34.6パ
ーセント,「9月超12月以下」が25.6パーセント,「24月超」が17.5パーセ
ント,男性は,「1月以下」が50.1パーセント,「1月超3月以下」が22.9パ
ーセント,「3月超6月以下」が11.6パーセントとなっており,当省における
取得状況と大きな差は見られない。
男性と女性の育児休業の取得率及び取得期間の状況には大きな差があ
るが,前述のとおり,女性の職業生活における活躍,全職員のワークライフ
バランス及び次世代育成支援を推進する上で,男性の家庭生活における活
躍は必要不可欠であるため,第4次計画において政府全体の目標として設
定されている「13パーセント」を,この計画における数値目標として設定し,
第1部第2章第1の2(1)のとおり,男性の育児休業取得に関する取組を各
組織において強力かつ果敢に実施していく必要がある。
エについて,資料2-4のとおり,平成26年度における非常勤職員の育児
休業の取得状況を見ると,育児休業の取得要件を満たした者が女性2名い
- 32 -
たが,このうち実際に育児休業を請求したのは1名で,3.3月間の育児休業
を取得した。
3 男性職員であって配偶者が出産した者の数に対する当該男性職員であって
配偶者出産休暇又は育児参加のための休暇を取得した者の数の割合並びに
それぞれの休暇の平均取得日数(内閣府令第2条第7号に基づく必須項目)
(1) 状況把握
配偶者出産休暇及び育児参加休暇の取得状況について,以下の項目ご
とに,資料3のとおり把握した。
ア 平成26年度における配偶者出産休暇及び育児参加休暇の取得率【資料
3-1】
イ 平成24年度から平成26年度における配偶者出産休暇及び育児参加休
暇の取得率の推移【資料3-2】
ウ 平成26年度における配偶者出産休暇及び育児参加休暇の平均取得日
数【資料3-3】
エ 平成26年度における配偶者出産休暇及び育児参加休暇合計5日以上
の取得率【資料3-4】
(2) 分析
アについては,資料3-1のとおり,平成26年度における配偶者出産休暇
の取得率は,77.6パーセントで比較的高いが,育児参加休暇の取得率は,
33.3パーセントとなっており,育児参加休暇の取得可能期間が「妻の出産
予定日の6週間前(多児妊娠の場合は14週間前)の日から出産の日後8週
間」と比較的長期間であるにもかかわらず,その取得率は低い状況にある。
また,イについて,資料3-2のとおり,配偶者出産休暇及び育児参加休
暇の取得率の3年間における推移を見ると,配偶者出産休暇の取得率には
大きな変動は見られないが,育児参加休暇の取得率については,取得率自
体は低いながらも,3年間では微増している。
ウについては,資料3-3のとおり,配偶者出産休暇及び育児参加休暇を
実際に取得した職員の平均取得日数は,配偶者出産休暇(2日取得可能)
は1.6日で,取得可能日数で除した消化率は80パーセントであるのに対し
て,育児参加休暇(5日取得可能)は2.8日で,その消化率は56パーセント
となっており,両休暇又はいずれかの休暇を実際に取得した職員において
も,配偶者出産休暇よりも育児参加休暇の消化率が低い状況となっている。
エについて,資料3-4のとおり,配偶者出産休暇及び育児参加休暇合計
5日以上の取得率は16.0パーセントとなっており,改正前の取組計画にお
ける「両休暇合計5日以上(の取得率100パーセント)」という数値目標とは
大きな乖離がある。
特に育児参加休暇については,育児参加休暇を取得しなかった理由とし
て,「業務繁忙だったから」だけでなく,「両親が側にいる,里帰りしているか
- 33 -
ら」,「育児は妻一人で十分だから」等の理由により,当該男性職員自身が
「取得する必要性がなかった」と判断している者も少なくなく,男性職員が育
児に参加することの重要性及び必要性について,当事者である男性職員を
含め,上司,同僚,部下職員等の職員の意識改革が十分に進んでいない,
また,男性職員が取得しようと思っても実際に取得できる業務体制や職場風
土が十分に整っていない状況が職場によってはあることが伺える。
前述のとおり,女性の職業生活における活躍,全職員のワークライフバラ
ンス及び次世代育成支援を推進する上で,男性の家庭生活における活躍は
必要不可欠であり,特に,1日又は時間単位で取得可能な配偶者出産休暇
及び育児参加休暇は,業務都合等に応じて柔軟に取得できる特別休暇であ
り,妻の産前産後の心身負担の軽減や,出生後間もない貴重かつ大変な時
期に育児に関与することによる親としての喜びや責任感の実感,その後の育
児・家事参加や育児休業取得等のきっかけともなり得る点で,両休暇の取得
率向上は極めて重要な課題である。
この計画においても,改正前の取組計画における「両休暇合計5日以上
(の取得率100パーセント)」という数値目標を維持し,第1部第2章第1の2
(1)のとおり,男性の両休暇取得のための取組を各組織において,これまで
にないほど強力かつ果敢に実施していく必要がある。
第3 女性の職業生活における活躍関係の状況把握及び分析
1 採用した職員(再採用(職員であった者を選考により再び採用することをいう。)
により採用された者を除く。)に占める女性職員の割合(内閣府令第2条第1号に
基づく必須項目)
(1) 状況把握
採用者に占める女性職員の割合等について,以下の項目ごとに,資料4のとお
り把握した。
ア 平成25年度から平成27年度における一般職の常勤職員の試験採用者に
占める女性割合【資料4-1】
イ 平成25年度から平成27年度における検事任官者に占める女性割合
【資料4-2】
ウ 平成26年度ににおける非常勤職員の任用形態別採用状況・職名別採用状
況【資料4-3(1),(2)】
(2) 分析
アについて,平成25年度から平成27年度における一般職の常勤職員の試験
採用者に占める女性割合は,資料4-1のとおりであり,このうち,総合職試験に
ついては,平成25年度は51.5パーセント,平成26年度は47.1パーセント,平
成27年度は全府省でも最も高い60.0パーセントとなっており,各組織ともに優
秀な女性の採用に積極的かつ継続的に取り組んでいる。また,人間科学区分に
- 34 -
限ると,採用者に占める女性割合はさらに高くなるが,申込者数及び合格者数に
占める女性割合もいずれも5割以上となっており,専門分野の能力等を生かせる
職場として魅力を感じている女性採用志望者が多い状況が伺える。
一般職試験については,平成25年度から平成27年度までの間,大卒程度及
び高卒程度いずれの区分においても,女性割合は30パーセントを超えており,特
に高卒程度の区分については,女性割合が40パーセント前後と高水準を維持し
ている。専門職試験については,男女別試験である刑務官,矯正心理専門職及
び法務教官を除いた区分について見ると,入国警備官の採用者に占める女性割
合は,平成25年度は22.2パーセント,平成26年度は18.5パーセント,平成2
7年度は22.6パーセントで,女性割合はいずれも30パーセントを切っているが,
入国警備官試験の申込者に占める女性割合自体が2割台と,他の採用試験と比
較しても低い割合で推移しており,公安職の業務の特殊性等が女性採用志望者
に影響していることが伺える。女性入国警備官については,女性入国警備官の離
職率を男性入国警備官と同率まで減少させるために,「平成27年の以降向こう3
年間で女性入国警備官を30名増配置する」とのパイロットアクションを実施してお
り,きめ細やかで実効性ある広報活動や執務環境の整備により,女性入国警備
官の採用拡大や職場定着等にも積極的に取り組んでいる。
保護観察官の採用者に占める女性割合は,平成25年度は56.0パーセント,
平成26年度は71.4パーセント,平成27年度は62.5パーセントとなっており,
いずれの年度も極めて高い女性割合となっているが,そもそも,申込者数に占め
る女性割合が5割以上,最終合格者数に占める女性割合も6から7割となってお
り,保護観察官という仕事のやりがいや女性職員の多い職場環境に魅力を感じて
いる女性採用志望者が多い状況が伺える。
刑務官,矯正心理専門職及び法務教官については,男女別に収容している被
収容者数・矯正施設数に応じた男女別の職員数を採用する必要があるため,男
女別試験となっているものの,女性刑務官については,女性刑務官の離職率を半
減させるために,「平成27年度以降向こう3年間で女性刑務官を200人増配置
する」とのパイロットアクションを実施しており,きめ細やかで実効性ある広報活
動,職域の拡大,執務環境の整備等により,女性刑務官の採用拡大や職場定着
等にも積極的に取り組んでいる。
第4次計画においては,政府全体の目標として,国家公務員採用試験からの
採用者に占める女性割合及び国家公務員採用総合職試験からの採用者に占め
る女性割合を,平成32年度まで「毎年度30パーセント以上」と設定しており,当
省においても,同目標を設定し,引き続き,第1部第2章第2の1のとおり,女性の
採用に積極的に取り組んでいく必要がある。
イについて,平成25年度から平成27年度における検事任官者に占める女性
割合は資料4-2のとおりであり,平成25年度は37.8パーセント,平成26年度
は39.2パーセント,平成27年度は32.9パーセントと,3割を大きく超えている。
- 35 -
検事は,司法試験合格者の中から,司法修習や採用面接等を経て任官するとこ
ろ,任官年度の前年度における司法試験合格者に占める女性割合は平成24年
度は25.9パーセント,平成25年度は23.3パーセント,平成26年度は22.5
パーセントで,各年度ともに検事任官者に占める女性割合が司法試験合格者に
占める女性割合よりも高くなっている。
ウについて,平成26年度における非常勤職員の任用形態別状況は,資料4-
3(1)のとおりであり,女性の割合は61.4パーセントである。また,女性の任用
形態別割合は,1週間当たりの勤務時間が常勤職員の4分の3以下の職員(以下
「4分の3以下職員」という。)が70.3パーセント,期間業務職員が29.3パーセ
ントを占めている。なお,男性の任用形態別割合も,4分の3以下職員の割合が7
4.4パーセントと高い割合を占めている。
平成26年度における非常勤職員の職名別採用状況は,資料4-3(2)のとお
りであり,女性は事務補助職員が約70パーセントを占めているのに対して,男性
の事務補助職員の割合は約45パーセントで,技術的補助職員,医療職員,教育
職員等の割合が女性よりも高い特徴がある。
2 管理的地位にある職員に占める女性職員の割合(内閣府令第2条第4号に基
づく必須項目)
(1) 状況把握
管理的地位にある職員に占める女性職員の割合について,以下の項目ごと
に,資料5のとおり把握した。
ア 平成25年度から平成27年度における本省課室長相当職以上に占める一般
職の常勤職員の女性割合【資料5-1】
イ 平成25年度から平成27年度における検事に占める女性割合【資料5-2】
(2) 分析
アについて,管理的地位にある職員とは,一般職の常勤職員については,「本
省課室長相当職以上」の職にある者として整理し,資料5-1のとおり,指定職俸
給表,行政職俸給表(一)7級以上,公安職俸給表(一)8級以上及び公安職俸給
表(二)7級以上の職員数に占める女性割合は,平成25年度は5.0パーセント,
平成26年度は5.9パーセント,平成27年度は5.8パーセントとなっており,第3
次男女共同参画基本計画における平成27年度末までに「5パーセント程度」とい
う政府全体の数値目標は達成しているが,改正前の当省の取組計画における「6
パーセント程度」という数値目標は僅かながら達成していない。
イについて,検事は,職制上の段階がないため,資料5-2のとおり,全ての検
事を管理的地位にある職員として整理しているところ,検事に占める女性割合
は,平成25年度以降上昇し,平成27年度においては22.4パーセントとなって
いる。検事については,第4次計画において,平成32年度末までに「検察官(検
事)に占める女性の割合30パーセント」とする数値目標を掲げていることを踏ま
え,引き続き,継続就業のための環境整備に配慮する取組を進めていく。
- 36 -
3 各役職段階にある職員に占める女性職員の割合(内閣府令第2条第5号に基づ
く必須項目)
(1) 状況把握
一般職の常勤職員のうち,平成25年度から平成27年度における係長相当
職,本省課長補佐相当職,本省課室長相当職及び指定職の各役職段階にある
職員に占める女性職員の割合について,資料6のとおり把握した。なお,対象とす
る俸給表は,指定職俸給表,行政職俸給表(一),公安職俸給表(一)及び公安職
俸給表(二)である。
(2) 分析
資料6のとおり,係長相当職に占める女性割合は,3年間で20パーセント前半
台で微増しており,本省課長補佐相当職に占める女性割合は,平成25年度は
6.8パーセント,平成26年度は7.6パーセント,平成27年度は8.7パーセント
と,3年間で着実にその割合が増加している。また,本省課室長相当職に占める
女性割合は,平成25年度は5.1パーセント,平成26年度は6.1パーセント,平
成27年度は5.8パーセントと3年間で増減しており,指定職に占める女性割合
は,平成25年度及び平成26年度は女性がいなかったが,平成27年度において
は6.3パーセントと高い割合となっている。
各役職段階に占める女性割合については,第4次計画において,平成32年度
末までの数値目標として,「係長相当職(本省)30パーセント」,「地方機関課長・
本省課長補佐相当職12パーセント」,「本省課室長相当職7パーセント」及び「指
定職相当5パーセント」と設定されているため,この計画においては,各組織の実
情等を踏まえた各役職段階の数値目標を設定し,引き続き,法務省全組織にお
いて,成績主義及び平等取扱原則を前提として,第1部第2章第2の2のとおり,
意欲と能力のある女性の登用に積極的かつ計画的に取り組んでいく必要があ
る。
- 37 -
第3章 現状把握及び分析資料
平成24年 平成25年 平成26年
平均取得日数 10.2日 10.1日 10.4日
取得率 51.0% 50.5% 52.0%
(備考)
1.取得率は,平均取得日数を「一の年に付与される日数(20日)」で除した割合
新規取得
可能者数
取得者数 取得率
新規取得
可能者数
取得者数 取得率
1642 53 3.2% 356 350 98.3%
(備考)
2.取得者数とは平成26年度中に新たに育児休業を取得した者の数
※(注記)平成25年度以前に育児休業が取得可能となった職員で,平成26年度に新規取得した者も含まれる
(備考)
1.取得率は,資料3-1と同様の方法により各年度ごとに算出
新規取得
可能者数
取得者数 取得率 平均取得期間
新規取得
可能者数
取得者数 取得率 平均取得期間
0 0 0.0% 0月 2 1 50.0% 3.3月
【資料1 平成24年から平成26年における年次休暇平均取得日数及び取得率】
【資料2-2 平成24年度から平成26年度における男性の育児休業取得率の推移】
【資料2-3 平成26年度における男女別育児休業の平均取得期間】
【資料2-4 平成26年度における非常勤職員の育児休業の取得状況】
【資料2-1 平成26年度における育児休業取得率】
男性 女性
女性
男性
1.取得可能者数とは平成26年度中に新たに育児休業等が取得可能となった者の数
男性の場合:平成26年度中に子が出生した者
女性の場合:産後休暇が終了し,平成26年度中に育児休業等が取得できることとなった者
3.取得率は「平成26年度中に新たに育児休業が取得可能となった職員数」に対する「平成26年度中の新規取得者数」の割合
0.027812895 0.027369826
0.0322777100.010.020.030.040.050.060.070.080.090.10.110.120.130.140.15
平成24年度 平成25年度 平成26年度
全体
目標値 13%
1月以下,
35.8%
1月超3月以
下,32.1%
3月超6月以
下,17.0%
6月超9月以
下,3.8%
9月超12月以
下,5.7%
12月超24月
以下,5.7%
1月超3月以
下1.7%
3月超6月以下,2.9%
6月超9月以下,8.6%
9月超12月
以下,
22.0%
12月超24月
以下,
40.3%
24月超,
24.6%
女性
男性
- 38 -
取得者数 取得率 取得者数 取得率
1,642 1,274 77.6% 546 33.3%
(備考)
1.取得可能者数とは平成26年度中に新たに育児休業等が取得可能となった者(平成26年度中に子が出生した者)の数
3.取得率とは「平成26年度中に新たに育児休業等が取得可能となった職員数」に対する「取得者数」の割合
(備考)
平均取得日数 1.6日 2.8日
(備考)
1,642 262 16.0%
(備考)
3.取得率とは「新たに育児休業等が取得可能となった職員数」に対する「取得者数」の割合
2.取得者数とは「平成26年度中に新たに育児休業等が取得可能となった者」のうち,平成26年度に限らず実際
に両休暇を合計5日以上取得した者の数
1.各年度における取得率は,以下の方法により算出
平成24年度:「平成24年度中に新たに育児休業等が取得可能となった職員数」に対する「当該休暇の取得可能期間が
平成24年度中にある職員で同年度中に取得した職員数」の割合
平成25年度:「平成25年度中に新たに育児休業等が取得可能となった職員数」に対する「当該休暇の取得可能期間が
平成25年度中にある職員で同年度中に取得した職員数」の割合
平成26年度:「平成26年度中に新たに育児休業が取得可能となった職員数」に対する「平成26年度中に新たに育児休
業等が取得可能となった者」のうち,平成26年度に限らず実際に取得した者の数割合
【資料3-1 平成26年度における配偶者出産休暇及び育児参加休暇の取得率】
1.平均取得日数は,「平成26年度に新たに育児休業等が取得可能となった職員に係る当該休暇の合計取得日
数」を「平成26年度に新たに育児休業等が取得可能となった職員のうち平成26年度に限らず実際に取得した
者の数」で除した数
【資料3-4 平成26年度における配偶者出産休暇及び育児参加休暇合計5日以上の取得率】
新規取得
可能者数
取得者数 取得率
1.取得可能者数とは平成26年度中に新たに育児休業等が取得可能となった者(平成26年度中に子が出生した
者)の数
【資料3-3 平成26年度における配偶者出産休暇及び育児参加休暇の平均取得日数】
配偶者出産休暇 育児参加休暇
新規取得
可能者数
配偶者出産休暇 育児参加休暇
2.取得者数とは「平成26年度中に新たに育児休業等が取得可能となった者」のうち,平成26年度に限らず実際に取得し
た者の数
【資料3-2 平成24年度から平成26年度における配偶者出産休暇及び育児参加休暇の取得率の推移】
0.300252845 0.305073431 0.33252131500.10.20.30.40.50.60.70.80.91平成24年度 平成25年度 平成26年度
育児参加休暇取得率の推移
0.788242731 0.779706275 0.77588306900.10.20.30.40.50.60.70.80.91平成24年度 平成25年度 平成26年度
配偶者出産休暇取得率の推移
- 39 -
19,286 (6,153) 1,039 (247) 33 (17) 51.5% 16,207 (5,519) 924(214) 34 (16) 47.1% 15,132 (5,220) 1,124 (283) 35 (21) 60.0%
うち人間科学区分 831 (462) 60 (36) 15 (11) 73.3% 677 (391) 58 (36) 14 (7) 50.0% 625 (334) 76 (42) 13 (9) 69.2%
うち事務系区分 16,536 (5,450) 793 (190) 17 (6) 35.3% 15,530 (5,128) 866 (178) 20 (9) 45.0% 14,507 (4,886) 1,048 (241) 22 (12) 54.5%
39,644 (12,416) 2,893 (793) 251 (80) 31.9% 35,840 (11,114) 6,017 (1,722) 564 (188) 33.3% 35,508 (11,178) 6,183 (1,741) 338 (105) 31.1%
7,354 (2,929) 669 (299) 68 (30) 44.1% 9,752 (3,338) 1,715 (623) 196 (77) 39.3% 12,482 (3,777) 1,902(602) 219 (81) 37.0%
46,998 (15,345) 3,562 (1,092) 319 (110) 34.5% 45,592 (14,452) 7,732 (2,345) 760 (265) 34.9% 47,990 (14,955) 8,085 (2,343) 557 (186) 33.4%
8,487 752 429 5,063 1,011 541 4,939 788 423
1,435 211 105 949 232 124 946 254 124
5,147 (1,433) 132 (48) 45 (10) 22.2% 2,311 (529) 54 (7) 27 (5) 18.5% 1,976 (408) 59 (13) 31 (7) 22.6%
123 21 17 147 35 22 152 31 19
165 13 6 214 23 13 214 20 11
1,243 170 101 1,300 156 94 1,249 161 85
443 52 20 453 53 22 388 70 43
405 (225) 45 (28) 25 (14) 56.0% 418 (236) 77 (57) 35 (25) 71.4% 402 (212) 68 (43) 24 (15) 62.5%
748 (155) 20.7% 878 (189) 21.5% 760 (200) 26.3%
70 (24) 34.3% 62 (30) 48.4% 55 (22) 40.0%
1,100 (282) 25.6% 1,672 (470) 28.1% 1,352 (407) 30.1%
422 (151) 35.8% 856 (311) 36.3% 647 (229) 35.4%
(備考)
3.平成27年度における採用者数はいずれの試験区分においても,平成27年4月1日付けで採用された者の数(平成26年度中に採用した者は含まない。)
4.刑務官,矯正心理専門職及び法務教官区分において,Aは男子,Bは女子の試験区分
5.( )内の数字は女性を内数で示したもの
6.総合職試験申込者数及び最終合格者数は,行政,政治・国際,法律及び経済(事務系)並びに人間科学の試験区分に占める数値(平成25年度のみ総数に工学区分(大卒)を含む。)
うち女性 女性の割合 任官者数 うち女性 女性の割合 任官者数 うち女性 女性の割合
31 37.8% 74 29 39.2% 76 25 32.9%
うち女性 女性の割合 合格者数 うち女性 女性の割合 合格者数 うち女性 女性の割合
545 25.9% 2,049 477 23.3% 1,810 408 22.5%
司法試験
合格者
平成24年合格者 平成25年合格者 平成26年合格者
合格者数
2,102
1.平成25年度採用者数
・総合職試験 平成25年4月1日から同月30日までに採用された者の数
・一般職試験及び専門職試験 平成24年度に実施された試験の結果に基づいて作成された採用候補者名簿に記載された者のうち,平成25年4月30日までに採用された者の数
2.平成26年度採用者数
・総合職試験 平成26年4月1日から同月30日までに採用された者の数
・一般職試験及び専門職試験 平成25年度に実施された試験の結果に基づいて作成された採用候補者名簿に記載された者のうち,平成26年4月30日までに採用された者の数
【資料4-2 平成25年度から平成27年度における検事任官者に占める女性の割合】
検事
任官者
平成25年度任官者 平成26年度任官者 平成27年度任官者
任官者数82全体
(男女別試験を除く)
各年度合計
各年度合計(男女別試験を除く)
36.7%
矯正心理専門職B
法務教官A
16.5% 19.0% 33.6%
法務教官B
22.7%
刑務官B
入国警備官
矯正心理専門職A
26.1% 37.1%
専門職試験
刑務官A
19.7% 18.6%
保護観察官
全体
採用者に占める
女性の割合
総合職試験
院卒者・大卒程度
一般職試験
大卒程度
高卒程度
全体
最終合格者数 採用者数
採用者に占める
女性の割合 申込者数 最終合格者数 採用者数
【資料4-1 平成25年度から平成27年度における一般職の常勤職員の試験採用者に占める女性の割合】
試験名・区分
平成25年度 平成26年度 平成27年度
申込者数 最終合格者数 採用者数
採用者に占める
女性の割合 申込者数
20-1-06
- 40 -
(備考)
2.4分の3以下職員とは,一週間当たりの勤務時間が常勤職員の4分の3以下の職員をいう
3.左側円グラフ外上段左右の数値は,平成26年度に採用された男女の非常勤職員数及び平成26年度に採用された非常勤職員総数に対する男女の割合
4.左側円グラフ内の数値は,平成26年度に採用された非常勤職員の任用形態別職員数及び平成26年度に採用された非常勤職員総数に対する各任用形態別の割合
5.右側円グラフの数値は,平成26年度に採用された男女別の非常勤職員総数に対する各任用形態別の割合
(備考)
2.平成26年度に採用された非常勤職員における男性,女性及び全体の各総数に対する職名別の割合
【資料4-3(1) 平成26年度における非常勤職員の任用形態別採用状況】
1.対象職員は,平成26年度(平成26年4月1日から平成27年3月31日までの間)に採用された再任用短時間勤務以外の非常勤職員(委員・顧問・参与等の職にある職員及び給与又は報酬が支給されない
職員を除く)
【資料4-3(2) 平成26年度における非常勤職員の職名別採用状況】
1.対象職員は,平成26年度(平成26年4月1日から平成27年3月31日までの間)に採用された再任用短時間勤務以外の非常勤職員(委員・顧問・参与等の職にある職員及び給与又は報酬が支給されない職員
を除く)
期間業務(男)
636人9.8%3/4以下(男)
1,870人
28.8%
任期付短時間
(男)6人0.1%
期間業務(女)
1,170人
18.0%
3/4以下(女)
2,806人
43.1%
任期付短時間
(女)
15人0.2%期間業務職員 4分の3以下職員 任期付短時間勤務職員
期間業務職員 4分の3以下職員 任期付短時間勤務職員
男性
2,512人
38.6%
女性
3,991人
61.4%
男性
女性
0.600953406
0.695063894
0.451433121
0.009072736
0.001002255
0.021894904
0.085037675
0.083938862
0.086783439
0.045671229
0.064896016
0.015127389
0.078579117
0.038336257
0.142515924
0.050438259
0.035078928
0.074840764
0.061663847
0.061889251
0.061305732
0.068429955
0.019543974
0.146098726
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
全体
女性
男性
事務補助職員 技術的補助職員 技能職員 労務職員 医療職員 教育職員 専門職員 統計調査職員 その他の職員
期間業務
25.3%
3/4以下
74.4%
任期付短時間0.2%男性
期間業務職員 4分の3以下職員 任期付短時間勤務職員
期間業務
29.3%
3/4以下
70.3%
任期付短時間0.4%女性
期間業務職員 4分の3以下職員 任期付短時間勤務職員
【男女別・任用形態別割合】
20-1-06
- 41 -
平成25年度 1,047 52 5.0%
平成26年度 1,061 63 5.9%
平成27年度 1,057 61 5.8%
(備考)
1.「本省課室長相当職以上」とは,行政職俸給表(一)7級相当職以上をいう
総数 うち女性 女性の割合
平成25年度 1847 377 20.4%
平成26年度 1877 402 21.4%
平成27年度 1896 424 22.4%
(備考)
1.各年度末である3月31日現在の状況
総数 うち女性 女性の割合 総数 うち女性 女性の割合 総数 うち女性 女性の割合 総数 うち女性 女性の割合
平成25年度 18,628 3,877 20.8% 5,039 342 6.8% 1,017 52 5.1% 30 0 0.0%
平成26年度 18,478 3,968 21.5% 5,128 388 7.6% 1,027 63 6.1% 34 0 0.0%
18,197 4,018 22.1%
(523) (98) (18.7%)
(備考)
4.「指定職」は指定職俸給表が適用される職員数
6.平成27年度における係長相当職下段( )の数値は本省における係長相当職の職員数
3.各役職段階における数値は,指定職を除き,行政職俸給表(一),公安職俸給表(一)及び公安職俸給表(二)が適用さ
れる職員数であり,「係長相当職」とは行政職俸給表(一)3級及び4級相当職,「本省課長補佐相当職」とは行政職俸給
表(一)5級及び6級相当職,「本省課室長相当職」とは行政職俸給表(一)7級ないし10級相当職をいう
5.各役職段階ごとの基準日は,以下のとおり
平成25年度:係長相当職及び本省課長補佐相当職については平成26年1月15日現在
本省課室長相当職及び指定職については平成25年10月1日現在
平成26年度:係長相当職及び本省課長補佐相当職については平成27年1月15日現在
本省課室長相当職及び指定職については平成26年9月1日現在
平成27年度:いずれの役職段階についても平成27年7月1日現在
5.8% 32 2 6.3%
1.平成25年度及び平成26年度における「本省課室長相当職」及び「指定職」については,人事院・内閣人事局「女性国
家公務員の登用状況フォローアップ」により作成
2.平成27年度については,いずれの役職段階についても人事統計報告に関する政令「常勤職員在職状況統計報告」に
より作成
平成27年度 5,258 455 8.7% 1,025 59
【資料6 平成25年度から平成27年度における一般職の常勤職員各役職段階別の女性割合】
係長相当職 本省課長補佐相当職 本省課室長相当職 指定職
3.各年度,行政職俸給表(一)7級以上,公安職俸給表(一)8級以上,公安職俸給表(二)7級以上及び指定職
俸給表が適用される職員数
【資料5-2 平成25年度から平成27年度における検事に占める女性割合】
検事
【資料5-1 平成25年度から平成27年度における
本省課室長相当職以上に占める一般職の常勤職員の女性割合】
総数 うち女性 女性の割合
2.基準日は,各年度以下のとおり
平成25年度:平成25年10月1日現在
平成26年度:平成26年9月1日現在
平成27年度:平成27年7月1日現在