司法制審議会第187回会議配布資料
法制審議会における情報通信機器を
利用した会議への出席について 1論点メモ
1 情報通信機器を利用した法制審議会への出席について
しろまる 情報通信機器を利用して法制審議会を開催し,委員,臨時委員,幹事,関
係官,参考人は情報通信機器を利用して出席することができることとして
はどうか。
<検討に当たり,考慮すべきと思われる事項>
新型コロナ感染症の感染拡大の影響を受け,会場参集による会議の開催を
控えなければならない事態が現実に生じており,今後も同様の事態が生じる
可能性を否定することができないことからすれば,情報通信機器を利用した
法制審議会の開催及び同審議会への出席を認めなければ,会議の開催自体が
困難となる可能性がある。
しろまる 情報通信機器を利用して出席することのできる委員から議長を除くこと
について,どのように考えるか。
<議長について情報通信機器を利用した出席を認める場合に懸念される点>
1 議長が情報通信機器を利用して出席する場合,他の委員の動静や決議
の状況の把握が容易でなく,円滑な議事運営が難しい。
2 司会進行をする議長の通信環境にトラブルが生じた場合,他の委員以
上に議事の運営に支障が生じ得る。
2 情報通信機器を利用した出席を認める要件について
しろまる どのような場合に情報通信機器を利用した出席を認めるか。
しろまる 会場参集による出席を原則とし,情報通信機器を利用した出席を例外的に
認めることとしてはどうか。
しろまる 例外的に認める場合の要件をどのように考えるか。
<情報通信機器を利用した出席を認める理由として,考えられる選択肢>
1 緊急事態宣言下又はそれに準じる状況にある場合
2 健康上の理由から外出を控えるべき場合
3 業務都合により会場参集が困難な場合
4 私的都合により会場参集が困難な場合
5 遠方に居住しているため,会場への参集に時間を要する場合 2<検討に当たり,考慮すべきと思われる事項>
1 情報通信機器を利用した出席を広く認める方が,委員等の出席を得や
すく会議の活性化につながるという側面がある。
2 他方で,法制審議会は,法務大臣の諮問に応じて,民事法,刑事法そ
の他法務に関する基本的な事項を調査審議することを目的とする諮問
機関であり,その活動の実情は実質的な立案作業への参画であって,
委員等相互の十分な意見交換や議論が不可欠である。情報通信機器を
利用した参加は,この点について限界があることは否定できない。
3 情報通信機器を利用して会議に出席する場合であっても,映像や音声
を通じて議事内容を確認したり意見を表明したりすることは可能であ
るが,通信環境の影響等を受けやすく,会議への出席続行が不可能と
なる可能性が否定できない。出席者数は,会議開催や議決の定足数に
影響するところ,
ウェブ会議システム等による出席を広く認める場合,
上記理由から,安定した会議の運営に支障が生じる可能性がある。
3 「出席」とみなす条件について
しろまる 映像と音声がつながっていることを原則とするが,映像が途切れた場合で
あっても,直ちに音声のつながりが確認され,その後も委員が継続して審
議に参加していると認められる場合は「出席」とみなすこととしてはどう
か。
<検討に当たり,考慮すべきと思われる点>
1 音声のみでは,委員等が発言しない限り,議事への参加状況を把握す
ることができない上,発言があっても委員本人の発言等であることが
担保できないため,定足数に疑義が生じる可能性がある。
2 他方で,現在の通信環境やウェブ会議システム等を利用した会議の実
情を踏まえれば,映像が一時的に途切れるケースは珍しくなく,映像
を必須とすると定足数に影響を生じる可能性がある。
3 音声のみでも議事への参加は可能であるにもかかわらず,映像がつな
がらないことのみをもって「退席」扱いとするのは,実情にそぐわな
い。
4 映像が途切れたとしても,直ちに音声のつながりを確認することが
できる場合には,委員が継続して審議に参加していると考えるのが合
理的である。 34 情報通信機器を利用して出席する者の議決権について
しろまる 情報通信機器を利用して出席する者についても,
(音声がつながっていれば)
議決権の行使を認めることとしてはどうか。
<検討に当たり,考慮すべきと思われる事項>
1 法制審議会令7条1項は,
「審議会は,委員及び議事に関係のある臨
時委員の三分の一以上が出席しなければ,会議を開き,議決すること
ができない。
」として,会議の開催及び議決に係る定足数を定めてお
り,出席と議決を一連のものとして捉えていると理解できるところ,
情報通信機器を利用して会議に出席することを認める一方で,
議決へ
の参加を認めないとすれば,
上記のような定足数の定めと整合しない
ように思われる。
2 感染症の拡大等の状況によっては,
情報通信機器を利用した出席によ
らなければ会議の開催自体が困難な事態に陥る可能性も否定できな
いところ,仮に,当該方法による出席者の議決権行使を認めない場合
には,適時適切に議決することが不可能となりかねず,計画的な運営
が困難となる。
3 映像が途切れた場合には,
委員の様子を目視で確認することができず,
委員本人の意思による議決権行使であることが確認しにくいという
問題点はあるが,映像が途切れた後に,第三者が当該委員を威迫して
議決権を行使させる事態が生じることは,通常は考え難い上,こうし
た事態は,議決に際し,当該委員に呼びかけて,その音声を確認する
ことにより,一定程度回避することができる。

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