平 成 3 1 年 4 月 1 9 日
法 務 省 民 事 局
産業競争力強化法第7条第3項の規定に基づく回答により実施が許容
される事業の範囲について
産業競争力強化法第7条第3項の規定に基づき,平成30年8月1
日付けで経済産業大臣からあった確認の求めについての回答は,同月
23日付けでした法務大臣の回答(以下「本件回答」といいます。)のとおりですが,そのポイントは以下のとおりです。
1 確認の求めの要旨
今回の確認の求めの内容は,以下の1及び2をサービス内容とす
る事業が,司法書士でない者が司法書士業務を行うことを禁止する
司法書士法(昭和25年法律第197号)第73条第1項に違反し
ないことの確認を求めるというものです。
1 ウェブサイトにおいて,株式会社の本店移転の登記手続に必
要な書類を洗い出すための質問を用意し,利用者の判断でこれ
に回答させて一義的な結果を表示し,利用者が入力した情報を
自動的に登記関係書類として生成すること
2 その上で,1において生成した書類を代行印刷し,登録免許
税として必要な額の収入印紙を同封し,利用者に送付すること
2 本件回答の要旨
(1) 1のサービスについて
本件回答においては,まず一般論として,事業者が,ウェブ上
に,登記の申請書を作成するのに必要な一定の入力フォームを用
意し,利用者が自己の判断に基づき,その入力フォームに用意さ
れた項目に一定の事項を入力して登記申請書を作成するという登
記申請書の作成支援行為や,その際に一般的な法解釈を踏まえた
Q&Aを用意すること自体は司法書士法違反には該当しないもの
としています。
他方で,個別具体的な事案に応じて入力内容についての相談を
受け,入力内容を具体的に教示する行為については,司法書士法
第3条第1項第5号の事務(同項第1号から第4号までの事務に
ついて相談に応ずること)に該当するおそれがあるとした上で,
商業登記の申請書に添付すべき書面は株式会社の機関設計等に応
じて異なるのが一般的であり,個別具体的な事案に応じて必要と
なる添付書面やその内容について相談を受けることは司法書士法
に違反するおそれがある旨を明らかにしています。
その上で,本件回答は,結論として,本件の「事業は,株式会
社の本店移転の登記」という特定の登記「に必要となる登記申請
書,印鑑届書等を利用者が登記所に提出するためだけに作成する
場合に限定されていること」を前提として確認し,さらに,
「個別
の事案において利用者からの依頼に基づき個別具体的なアドバイ
スをするようなものでない限りにおいて」との条件を付して,本
件の事業は,司法書士法との関係で実施可能であるとしています。
(2) 2のサービスについて
本件回答においては,一般的に,登記申請書について,利用者
からの指示に基づき,利用者が指定する電磁的記録(登記申請書
の電子データ)に記録された内容を印刷して当該利用者に送付す
る行為そのものは,司法書士法第3条第1項第2号に規定する事
務を業として取り扱ったとの評価まではされないものと考えられ
るとし,また,登録免許税を納付するために必要な収入印紙の購
入等については,司法書士法において,司法書士又は司法書士法
人の業務として定めた規定はなく,直ちに司法書士法違反との評
価がされるものではないと考えられるとしています。
3 今回の回答の範囲を超える事業への対応について
本件回答においては,上記2のとおり,本件回答により実施が許
容される事業の範囲は飽くまでも上記の条件を満たす場合に限られ
るものとしています。
したがって,これを満たさない事業の実施については,今回の回
答に含まれるものではありません。

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