外国法事務弁護士制度に係る検討会
報 告 書
平成28年7月5日
外国法事務弁護士制度に係る検討会
〈目 次〉
第1 はじめに ・・・・ 1
1 検討会の経緯
2 検討会の概要
第2 職務経験要件 ・・・・ 1
1 前提
2 検討会における議論の概要
3 職務経験要件の具体的内容
4 小括
第3 B法人制度について ・・・・ 4
1 B法人制度導入の必要性について
2 B法人制度に対する懸念について
3 懸念に対する議論
4 その他
5 小括
資料 ・・・・ 7
第1 はじめに
1 検討会の経緯
外国法事務弁護士制度については,これまでも,国内外の要望等
を踏まえつつ,その制度の在り方について議論されてきたところで
あるが,外国法事務弁護士制度に係る検討会(以下「本検討会」と
いう。
)は,
「規制改革実施計画」
(平成26年6月24日閣議決定)
において,
「増加する国際的な法的需要等を踏まえ,外国法事務弁護
士制度に関し,諸外国の制度の状況を勘案しつつ,承認についての
職務経験要件の基準等について,外国法事務弁護士の参画を得て,
外国法事務弁護士制度に係る検討会を設置する。
」とされたことを受
け,法務省及び日本弁護士連合会が設置したものである。
また,本検討会では,
「国家戦略特区における追加の規制改革事項
等について」
(平成26年10月10日国家戦略特別区域諮問会議決
定)における外国法事務弁護士制度に関する指摘についても,検討
対象とした。
2 検討会の概要
本検討会は職務経験要件といわゆるB法人(以下「B法人」とい
う。注1)制度の創設について検討を行った。
本報告書は,本検討会での議論の結果を明らかにするとともに,
今後の外国法事務弁護士制度の在り方につき,その方向性を示すも
のである。
なお,外国法事務弁護士制度に関する措置については,特区に限
定せず,全国一律に講ずべきとの結論に至った。
(注1)弁護士及び外国法事務弁護士が社員となり日本法及び外国法に関する法
律事務を行うことを目的とする法人
第2 職務経験要件
1 前提
職務経験要件は,外国法事務弁護士の能力・資質・倫理の水準を
制度的に担保することにより,外国法事務弁護士の資格の信頼性を
判断する知識や経験に乏しい依頼者を保護するとともに,ひいては
我が国の法秩序を維持することを目的として設けられたものである。
外国法事務弁護士の職務が外国法に関する法律事務に限られている
とはいえ,法律事務であることに照らせば,外国法事務弁護士の能
力等の水準が確保されなければ,不可逆的な損失を依頼者に与え,
ひいては我が国の法秩序を乱すことにもなりかねない。また,弁護1士の資格取得課程が各国で区々となっている状況下において,外国
法事務弁護士の能力等の水準を確保するためには,普遍性のある一
律の基準を設定する必要があり,実際に諸外国でも職務経験要件が
採用されているという実情もある。
このような考え方に基づき,職務経験要件は,外国弁護士による
法律事務の取扱いに関する特別措置法(以下「外弁法」という。)制定当時から維持されてきた。
2 検討会における議論の概要
以上のような現行法の考え方を前提としつつ,本検討会では,職
務経験要件について,1外国法事務弁護士の能力・資質・倫理の担
保の在り方,21の手段として,職務経験要件を課す制度に合理性
が認められるか,また,3職務経験要件の内容として現行の職務経
験要件は合理的か,といった各点についてそれぞれ検討を行った。
前記1及び2について,一部の委員からは,資格取得直後の外国
弁護士が,原資格国ではプ口フェッションとして原資格国法に関す
る法律事務を取り扱うことができるにもかかわらず,同じ原資格国
法に関する法律事務を日本において提供できないのは不合理であり,
我が国が社会経済の複雑多様化や国際化に適切に対応するためにも,
職務経験要件は直ちに撤廃すべきであるとの意見が出された。
しかし,外国法事務弁護士になろうとする者の原資格国の司法制
度や法曹養成制度の在り方は様々であり,前記1記載の理由に照ら
せば,依頼者保護のためには,何らかの制度的担保があることが望
ましく,また,現時点で制度的担保を直ちに不要とするだけの立法
事実の積み重ねがあるとまではいえないことから,本検討会として
は,外国法事務弁護士としての能力・資質・倫理を担保する措置を
維持するのが現段階では相当であるとの結論に至った。
そして,能力・資質・倫理を担保する手段としては,原資格国で
懲戒処分等を受けずに一定期間法曹資格に基づく業務を行っていた
という事実は,少なくともその間は能力・資質のみならず倫理的に
も弁護士として欠けるところがなかったことを示すものとして意味
があることや,諸外国でも同様の制度を採る国が多いこと,他に適
切な代替措置が見当たらないことなどの理由から,職務経験要件を
課すことには一応の合理性が認められるとの結論に至った。
3 職務経験要件の具体的内容
本検討会では,職務経験要件の具体的内容(前記3)について,
一部の委員からは,外国法事務弁護士になろうとする者に対して32年の職務経験期間という職務経験要件を課している現行法は,3年
という期間が諸外国の例に照らして短い方であり,かつ,日本にお
ける労務提供期間のうち1年を職務経験期間に算入できることから
すれば,これを維持することに合理性があるとの意見が出された。
その一方で,我が国が社会経済の複雑多様化・国際化に適切に対
応し,アジアのビジネスセンターとなるためにも,日本での活動を
希望する有能な外国弁護士を積極的に日本に受け入れて健全な競争
市場の構築を目指すべきとの意見も出された。
これらの意見を踏まえ,本検討会では,現行の職務経験要件を何
らかの形で緩和する可能性を検討することとし,具体的にどのよう
に緩和するかについて議論を重ねたが,その際には,職務経験期間
と日本における労務提供期間をどのように考えるかについて様々な
意見が出された。
一部の委員からは,
○しろまる 現行法の下では,日本以外の国で2年の職務経験を積むことが
必要であり,日本で労務提供をした後に一時帰国しなければなら
なくなることから,意欲に富んだ若い外国弁護士が早くから日本
でキャリアを積むことができなくなるばかりか,事務所の側にと
っても負担が大きい。そこで,かような外国弁護士が日本を離れ
なくても済むようにするか,日本を離れなければならないとして
もその期間は最長でも1年にとどめるべきである
○しろまる 外国法事務弁護士としての資格を取得した後,日本で法律事務
に従事するのであるから,日本で経験を積むことが当該外国法事
務弁護士の提供する法律サービスの向上という点では望ましい面
もあり,現行法に比して日本における労務提供期間をより長く職
務経験期間に算入し得るようにすべきである
といった意見が出された。
その一方で,
○しろまる そもそも,原資格国における職務経験と日本における労務提供
は,内容としても違いがあるうえに,職務経験要件は,原資格国
で懲戒処分等を受けずに一定期間法曹資格に基づき業務を行って
いたという事実をもってその間は能力・資質のみならず倫理的に
も弁護士として欠けるところがなかったことを示すものとされて
いることからすれば,原資格国における法曹資格に基づく職務と
日本における資格に基づかない労務提供の違いは本質的なもので
ある3○しろまる 職務経験要件の枠組みの中で,例外的に労務提供期間の算入を
認めている制度趣旨に照らせば,職務経験期間の半分を超えて労
務提供期間の算入を認めるべきではない
との意見も出された。
以上のような議論を踏まえ,本検討会としては,職務経験要件の
具体的な緩和策として,おおむね
○しろまる 職務経験期間については現行の3年を維持し,労務提供期間を
2年まで算入し得ることとする
○しろまる 職務経験期間を2年とし,労務提供期間を1年まで算入し得る
こととする
といった二つの緩和策が考えられるとの結論に至った。
4 小括
以上を踏まえ,本検討会としては,関係機関に対し,諸外国の制
度の状況を勘案しつつ職務経験要件の緩和に向けた前向きな検討を
進めるよう要望する。
第3 B法人制度について
1 B法人制度導入の必要性について
B法人制度については,平成21年に取りまとめられた外国弁護
士制度研究会の最終報告において提言された同制度創設の必要性が
今日でもなお通用することに加えて,B法人が従たる事務所を設置
し,日本全国で日本法及び外国法に関するワンストップ法律サービ
スを提供することにより,ユーザーの利便性が高まるだけでなく,
中小企業の海外進出といった潜在的な需要の掘り起こしにもつなが
るとの指摘が本検討会においてなされた。
2 B法人制度に対する懸念について
B法人制度については,平成21年,外国弁護士制度研究会にお
いて,外国法事務弁護士法人(以下「A法人」という。注2)と併
せて創設すべきであると提言されたが,その導入については,同研
究会の最終報告の前後を通じて
○しろまる B法人の設立を認めると,外国法事務弁護士である社員が,社
員又は使用人である弁護士を介して日本法に関する法律事務を取
り扱うおそれがある
○しろまる 外国法共同事業と比較して個々の法律事務の処理に関する意思
決定を誰が行っているかが外部から見えにくいため,外国法事務
弁護士による権限外の法律事務の取扱いを外部から確認すること4がより困難となる
といった懸念が示されていた。
本検討会は,B法人に関するこれらの懸念などに関し,各関係団
体からヒアリング等を行って意見を求めたところ,日本弁理士会から○しろまる B法人内部の意思決定や行為を外部から監視することは困難で
あり,B法人の設立を認めることにより,外国法事務弁護士が法
人制度を利用して権限外の業務に不当に関与する懸念は依然とし
て払拭されていない
○しろまる 意図せぬ技術情報流出が起こり得る
○しろまる B法人制度が導入されると,外国法共同事業の場合と比べてよ
り外部から見え難くなり,また,B法人の導入と職務経験要件の
緩和によって,海外の大手法律事務所による職務経験の浅い外国
法事務弁護士の日本への大量参入が容易になるため,不当関与や
意図せぬ技術情報流出の懸念が,外国法共同事業の場合と比べて
桁違いに増加することが予想される
といった懸念が示された。
(注2)外国法事務弁護士が社員となり外国法に関する法律事務を行うことを目
的とする法人
3 懸念に対する議論
本検討会は,先述した懸念について議論したが,従来から示され
ていた二つの懸念については,外国法共同事業,弁護士を雇用する
外国法事務弁護士あるいはA法人といった他の業態と比較して,B
法人という業態をとることでその危険性が高まるとは考えられない
ことから,不当関与のおそれや意思決定の見えにくさといった懸念
は,現行のA法人制度あるいは外国法共同事業に課せられている規
制(懲戒や刑罰)と同様の規制を設けることで,十分抑止すること
ができるとの意見が大勢を占めた。
また,日本弁理士会の懸念については,1外国法事務弁護士又は
外国法事務弁護士であった者
(以下
「外国法事務弁護士等」
という。)には守秘義務が課せられており,B法人においても,外国法事務弁
護士等が技術情報を漏えいし,それが守秘義務違反であると認めら
れた場合には刑事罰が科される,2B法人においても,外国法事務
弁護士等が日本国特許庁への出願代理等の弁理士業務を業として行
った場合には弁理士法上の刑事罰が科される,3B法人においても,
外国法事務弁護士等が不正な利益を得るなどの目的で,クライアン5ト等から知り得た営業秘密を開示し,それが不正競争防止法の営業
秘密侵害罪に当たると認められた場合には刑事罰が科されるなど,
現行法の下でも外国法事務弁護士による技術情報漏えいを抑止する
ための措置が現状でも講じられている,との意見が出されるなど,
本検討会において共感を得るには至らなかった。
さらに,B法人導入に際しては,特許業務法人や大手特許事務所
(個人事務所)に対して現在特許庁が実施している担当弁理士を明
確にする運用についてB法人が特許出願代理を行う際にも適用する
ことなどにより,外部からも当該特許出願代理に係るB法人内の担
当弁護士を確認できるようにすることが考えられるほか,B法人に
所属する外国法事務弁護士が技術情報流出などの法令に違反する行
為等に及んだ場合には日本弁護士連合会及び弁護士会が適切に懲戒
処分等を行うことで当該懸念への対応が可能であり,また,A法人
及びB法人に対する指導・監督の実効性を確保するため,必要に応
じた措置を講じていくこと等も考えられる。
4 その他
現在運営されている外国法共同事業からB法人への移行をスムー
ズにするための方策や,既存の弁護士法人やA法人との組織変更・
合併といった組織再編の在り方等,その制度設計に当たって更なる
課題も示された。これらの課題については,A法人や外国法共同事
業の運用状況や実態を踏まえつつ検討すべきである。
5 小括
以上を踏まえ,本検討会としては,B法人制度を創設すべきこと
を前提とし,関係機関に対しては,B法人制度に対して示された懸
念の解消にも配慮しながら,スムーズな組織変更を可能にするなど
の残された課題について十分な検討を進めることを要望する。6〈資 料 目 録〉
別添1 検討会の構成員 ・・・・ 9
別添2 検討会の開催状況 ・・・・11
別添3 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法
改正の経過 ・・・・13
別添4 外国法事務弁護士の登録状況内訳 ・・・・15
別添5 外国法事務弁護士の登録数の推移 ・・・・16
別添6 外国法共同事業による提携関係の状況・外国法事務弁護士
による弁護士等の雇用状況 ・・・・17
別添7 弁護士等が雇用している外国弁護士の数(資格取得国別)
・・・・18
別添8 主要国における外国弁護士受入制度の概要 ・・・・1978
検討会の構成員
※(注記) 敬称略,五十音順
※(注記) 役職等は就任時のものを記載
座 長 松 下 淳 一 (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
委 員 出 井 直 樹 (弁護士,第1回から第9回まで)
同 大 村 雅 彦 (中央大学法務研究科教授)
同 岡 田 春 夫 (弁護士)
同 加 藤 裕 子 (三菱商事法務部企画法務チーム課長)
同 亀 井 正 博 (富士通法務・コンプライアンス・知的財産
本部副本部長)
同 ケン・レブラン (外国法事務弁護士)
同 上 妻 英一郎 (弁護士)
同 﨑 村 令 子 (外国法事務弁護士)
同 陳 天 華 (外国法事務弁護士)
同 中 西 康 (京都大学大学院法学研究科教授)
同 柳 志 郎 (弁護士,第10回から第12回まで)
(オブザーバー)
外務省経済局国際貿易課サービス貿易室
内閣府地方創生推進事務局
(事務局)
[法務省(大臣官房司法法制部)]
萩 本 修(部長)
村 田 昌 平(審査監督課長)
中 島 行 雄(官房付,第1回から第6回まで)
松 本 朗(官房付,第7回から第12回まで)
見 市 香 織(部付,第5回から第12回まで)
遠藤 圭一郎(部付,第1回から第9回まで)
伊 賀 和 幸(部付,第10回から第12回まで)
[日本弁護士連合会]
兼 川 真 紀(事務次長,第1回から第6回まで)
別添19道 あ ゆ み(事務次長,第7回から第12回まで)
片 山 達(外国弁護士及び国際法律事務委員会副委員長)
蔵 元 左 近(国際室嘱託弁護士,第1回から第9回まで)
田 中 佐 知 子(国際室嘱託弁護士,第10回から第12回まで)10検討会の開催状況
※(注記) 役職等はヒアリング時のものを記載
第1回(平成27年3月13日)
○しろまる 委員の紹介
○しろまる 会議の運営についての説明
○しろまる 検討事項及びスケジュールについての説明
○しろまる 外国法事務弁護士制度の現状等についての説明
○しろまる 意見交換
第2回(同年4月23日)
○しろまる 諸外国における外国法事務弁護士制度について委員及び事務局(日弁連)
からの説明
第3回(同年5月20日)
○しろまる 職務経験要件についてのヒアリング
・ エリック・セドラック氏(外国法事務弁護士協会共同会長,在日米国商
工会議所副会頭)
・ 別府理佳子氏(欧州ビジネス協会法律サービス委員会委員長)
・ 阿部泰久氏(日本経済団体連合会常務理事)
・ 三宅 弘氏(日本弁護士連合会副会長)
第4回(同年6月26日)
○しろまる 職務経験要件についての意見交換
第5回(同年7月22日)
○しろまる 職務経験要件についての意見交換
第6回(同年9月18日)
○しろまる B法人制度についての説明
○しろまる B法人制度についてのヒアリング
・ エリック・セドラック氏(外国法事務弁護士協会共同会長,在日米国商
工会議所副会頭)
・ 別府理佳子氏(欧州ビジネス協会法律サービス委員会委員長)
別添211第7回(同年11月26日)
○しろまる B法人制度についてのヒアリング
・ 洞雞敏夫氏(ホワイト&ケース外国法事務弁護士事務所 弁護士)
・ ブライアン・G・ストラーン氏(ホワイト&ケース外国法事務弁護士事
務所 外国法事務弁護士)
・ 根津宏行氏(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 弁護士)
・ バニー・L・ディクソン氏(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 外
国法事務弁護士)
・ 粕川敏夫氏(日本弁理士会副会長)
・ 塩野谷英城氏(日本弁理士会副会長)
第8回(同年12月15日)
○しろまる B法人制度についての意見交換
第9回(平成28年2月2日)
○しろまる 「外国法事務弁護士制度に係る検討会取りまとめ骨子(案)
」についての
意見交換
第10回(同年4月5日)
○しろまる B法人制度についてのヒアリング
・ 阿部泰久氏(日本経済団体連合会常務理事)
・ 久慈直登氏(日本知的財産協会専務理事)
○しろまる 職務経験要件及びB法人制度についての意見交換
第11回(同年6月10日)
○しろまる 「外国法事務弁護士制度に係る検討会取りまとめ骨子(案)
」についての
意見交換
第12回(同年7月5日)
○しろまる 最終取りまとめ12外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法改正の経過
昭和61年 5月 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(外弁
法)成立(昭和62年4月施行)
○しろまる 法務大臣の承認の要件として相互主義,職務経験要件(資格
取得国における5年以上の職務経験期間)等を規定
○しろまる 外国法事務弁護士と弁護士の共同事業は禁止
平成 4年 9月 外国弁護士問題研究会(第一次外弁研)設置
法務省・日弁連が,外国弁護士受入制度等の調査・研究・検討
を目的として設置
平成 5年 9月 第一次外弁研が提言
○しろまる 一定の共同事業の許容
○しろまる 外国法事務弁護士単独による弁護士雇用の禁止は維持しつつ,
弁護士と外国法事務弁護士との共同事務所における弁護士の雇
用の許容
○しろまる 職務経験要件の緩和(労務提供期間の算入の許容) 等
平成 6年 6月 外弁法一部改正(平成7年1月施行)
○しろまる 相互主義の緩和(WTO協定加盟国の弁護士には相互主義を
適用しない)
○しろまる 弁護士と外国法事務弁護士との特定共同事業の許容
○しろまる 職務経験要件の緩和(5年の職務経験期間に,日本における
労務提供期間を2年まで算入し得るとするもの) 等
平成 8年 3月 規制緩和推進計画改定(閣議決定)
雇用禁止,職務経験要件及び第三国法取扱禁止につき,平成8
年度中に見直しについての検討に着手すること等
6月 外弁法一部改正(同年9月施行)
国際仲裁手続における代理の自由化
12月 外国弁護士問題研究会(第二次外弁研)設置
平成 9年 3月 規制緩和推進計画再改定(閣議決定)
雇用,職務経験要件及び第三国法取扱いにつき,平成9年度中
に見直しについての検討の結論を得て,これを踏まえ,同年度中
に所要の法改正措置を講ずる。
10月 第二次外弁研が提言
○しろまる 職務経験要件の緩和(職務経験期間を5年から3年に短縮し,
日本における労務提供期間を1年まで算入し得るとするもの)
○しろまる 第三国法取扱いの許容(有資格者等による助言が条件)
○しろまる 特定共同事業の目的の制限の緩和(渉外的要素を有する法律
事務については,訴訟事務等に至るまで提供することを許容)
別添313平成10年 5月 外弁法一部改正(同年8月施行)
職務経験要件の緩和(職務経験期間を3年とし,日本における
労務提供期間を1年まで算入し得るとするもの)等
平成11年12月 規制改革委員会第二次見解提出
雇用禁止の廃止,特定共同事業の目的に関する規制を見直すな
ど所要の措置を検討すべきである。
平成13年 3月 規制改革推進3か年計画(閣議決定)
特定共同事業の目的に関する規制を見直すなど所要の措置を検
討する。
平成15年 7月 外弁法一部改正(平成16年4月一部施行,同17年4月完全
施行)
○しろまる 外国法事務弁護士による弁護士の雇用禁止規定の削除
○しろまる 弁護士等と外国法共同事業を営む外国法事務弁護士が権限逸
脱行為を行うことの防止措置 等
平成19年 6月 規制改革推進のための3か年計画(閣議決定)
外国法事務弁護士事務所の法人化について検討を行い,結論を
得る。
平成20年 5月 外国弁護士制度研究会設置
平成21年12月 外国弁護士制度研究会が提言
○しろまる A法人(外国法事務弁護士が社員となり外国法に関する法律
事務を行うことを目的とする法人)制度の導入
○しろまる B法人(弁護士及び外国法事務弁護士が社員となり日本法及
び外国法に関する法律事務を行うことを目的とする法人)制度
の導入
平成26年 4月 外弁法一部改正(平成28年3月施行)
A法人の制度化
6月 規制改革実施計画(閣議決定)
職務経験要件の基準等について外国法事務弁護士の参画を得て,
外国法事務弁護士に係る検討会(仮称)を設置する(平成26年
度措置)。
10月 国家戦略特区における追加の規制改革事項等について(平成2
6年10月10日国家戦略特別区域諮問会議決定)
外国での弁護士資格取得者の国内での活動を推進する方策につ
いて,改正法案施行後半年以内を目途として早急に検討を行い,
その結果に基づき必要な措置を講ずる。
平成27年 3月 外国法事務弁護士制度に係る検討会の設置14■しかく外国法事務弁護士の登録状況内訳■しかく(2015 年 4 月 1 日現在)
※(注記) 2016 年 4 月 1 日から,名称を「横浜弁護士会」から
「神奈川県弁護士会」に変更している。
【弁護士会別人数】
(計 380 人)
第 二 東 京 159
第 一 東 京 117
東 京 71
大 阪 12
愛 知 県 6
横 浜※(注記) 3
福 岡 県 3
岐 阜 県 2
兵 庫 県 2
沖 縄 2
岩 手 1
茨 城 県 1
静 岡 県 1
【国籍別内訳】 (計 385 人)
アメリカ合衆国 137
日 本 国 73
連合王国(イギリス) 44
中 華 人 民 共 和国 33
オ ー ス ト ラ リア 28
カ ナ ダ 18
ドイツ連邦共和国 9
フランス共和国 6
イ ン ド 5
ブラジル連邦共和国 5
シンガポール共和国 3
ニュージーランド 3
アイルランド 3
ス イ ス 連 邦 2
フィリピン共和国 2
台 湾 2
オランダ王国 1
ポーランド共和国 1
イタリア共和国 1
ブルガリア共和国 1
大 韓 民 国 1
ス ペ イ ン 1
ネパール連邦民主共和国 1
サ モ ア 独 立 国 1
パラグアイ共和国 1
ギリシャ共和国 1
スウェーデン王国 1
ベルギー王国 1
【原資格国別内訳】
(計 381 人)
アメリカ合衆国 計 213
連合王国(イギリス) 67
中華人民共和国 33
オーストラリア 計 20
カナダ 計 9
ドイツ連邦共和国 6
フランス共和国 6
ブラジル連邦共和国 5
香港 4
インド 4
フィリピン共和国 2
ニュージーランド 2
スイス連邦 2
シンガポール共和国 2
イタリア共和国 1
大韓民国 1
スペイン 1
ネパール連邦民主共和国 1
台湾 1
パラグアイ共和国 1
弁護士会別人数
原資格国別内訳
国籍別内訳
(注1)データは弁護士白書 2015 年版から抜粋。
(注2)国籍については,二重国籍を取得している場合があり,その延べ人数となっている。
(注3)原資格国については,同一人物が複数の国の資格を有している場合があり,その延べ人数となっている。
(注4)本表の国名は,原則,外国法事務弁護士名簿に記載の名称で表記している。
別添415■しかく外国法事務弁護士の登録数の推移■しかく
〔※(注記)弁護士白書 2015 年版から抜粋〕
別添516■しかく外国法共同事業による提携関係の状況■しかく19232830303437403638400510152025303540450100200300400500600700800900平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年
外国法事務弁護士数
弁護士数
外国法共同事業数
(外国法共同事業数)
(人数)
平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年
外国法事務弁護士数 99 109 116 116 124 148 155 154 125 133 137
弁護士数 312 536 688 755 839 822 730 728 677 727 767
外国法共同事業数 19 23 28 30 30 34 37 40 36 38 40
(注1)データは弁護士白書の統計数値に基づく。
(注2)「外国法事務弁護士数」とは,共同事業を営む外国法事務弁護士の人数と,共同事業を営む弁護士・弁護士法人又は外国法事務弁護士に雇用されている外国法事務弁護士の人数の合計である。
(注3)「弁護士数」とは,共同事業を営む弁護士の人数と,共同事業を営む弁護士・弁護士法人又は外国法事務弁護士に雇用されている弁護士の人数の合計である。
■しかく外国法事務弁護士による弁護士等の雇用状況■しかく(2015 年 4 月 1 日現在)
事務所No 事務所全体人数(人) 雇用者数(人) 被雇用弁護士数(人) 被雇用外弁数(人)
1 4 1 2 1
2 4 1 2 1
3 8 5 1 2
4 14 1 13 0
5 4 1 0 3
6 3 1 2 0
7 2 1 1 0
8 2 1 0 1
9 10 1 0 9
10 2 1 1 0
11 7 4 0 3
12 6 1 0 5
13 2 1 1 0
14 1 1 0 0
15 29 2 25 2
(注) 登録取消しをしている者,事務所を変更していることが明らかな者については,雇用終了届出が出ていない場合であっても,雇用が終了した者と
みなして集計した。
〔※(注記)弁護士白書 2015 年版から抜粋〕
別添617■しかく弁護士等が雇用している外国弁護士の数(資格取得国別)■しかく(2015 年 4 月 1 日現在)
(単位:人)
アメリカ合衆国 15 35 43 48 26 34 20 28 24 18 291
連合王国(イギリス) 11 6 22 27 14 18 20 32 9 12 171
オーストラリア 6 4 11 10 4 3 7 18 6 9 78
中華人民共和国 2 3 3 5 2 6 2 5 3 4 35
ドイツ連邦共和国 1 4 1 1 1 2 1 11
ニュージーランド 2 2 3 1 1 1 10
シンガポール共和国 1 1 1 4 3 10
フィリピン共和国 1 1 1 2 1 1 1 8
インド 1 2 4 7
香港 1 1 1 1 1 1 6
カナダ 1 2 1 1 5
台湾 1 1 1 1 4
ブルガリア連邦共和国 3 3
ブラジル連邦共和国 1 2 3
大韓民国 1 1 2
ロシア 1 1 2
イタリア共和国 1 1 2
マレーシア 1 1
メキシコ合衆国 1 1
ジャマイカ 1 1
インドネシア共和国 1 1
アイルランド 1 1
フランス共和国 1 1
ベトナム社会主義共和国 1 1
雇用総数 36 52 91 99 49 68 55 93 57 55 6552009年度2010年度2011年度2014年度2008年度2005年度2006年度
雇用届出
総数2007年度
資格取得国2012年度2013年度
〔※(注記)弁護士白書 2015 年版から抜粋〕
(注)1.「弁護士等」とは,弁護士,弁護士法人,特別会員,外国法事務弁護士,外国法事務弁護士法人及び準会員をいう。
2. 雇用人数は,2015 年4月1日までにあった雇用届出について,雇用年月日を基準として集計した。雇用終了の届出については集計してい
ないので,雇用届出総数は,2015 年4月1日現在の雇用数とは一致しない。
3. 同一人物が複数の国の資格を有する場合があるため,その延べ人数とした。
4. 雇用届出総数には,2005 年度より前の雇用届出数は含まれていない。
別添718外国弁護士受入制度
職務経験要件
あり
(期間)
国外で3年(直近要件なし)
日本における労務提供期間1年を算入可
22州
なし
28州
及び
コロンビア特別区
あり
(期間)
申請直前5年中3年(ニューヨーク州,ミシガン州,テキ
サス州)
申請直前6年中4年(カリフォルニア州,オハイオ州)
申請直前7年中5年(フロリダ州,アラスカ州等)
申請直前5年中5年(ルイジアナ州,マサチューセッツ州等)訴訟関連・一部の国内不動産・相続
関連の法律業務以外は弁護士でなく
ても取扱いが可能。登録や承認によ
る受入制度はない。
あり
(期間)
国外で2年
事務所の代表者は,国外で3年
あり
不要
フランス共和国
なし
(ただし,特別な試験によりフルライセンスを与える制度あり。)
ドイツ連邦共和国
※(注記) 第3次外国弁護士制度研究会資料(2008年6月)を元にIBA
Global
RegulationandTradeinLegal
Services
Report2014に基づき一部を更新。
※(注記) インドネシア共和国・マレーシア・フィリピン共和国には日本と同程度の外国弁護士受入制度はない。(2013年9月時点)
主要国における外国弁護士受入制度の概要
日本
米国
連合王国
中華人民共和国
別添819