■しかく実施主体:高知県宿毛市 ■しかくダム活用箇所:堤体 ■しかく所在地:高知県宿毛市
■しかくダム管理者:渡川ダム統合管理事務所 ■しかくダム完成年度:2019(令和元)年
■しかくダム形態:重力式コンクリートダム
クライミングイベントのようす
■しかく取り組みの概要
・宿毛市や商工会における検討会での議論がきっかけとなり、宿毛市長から地域活性化のためにダムを活用し
たクライミング施設整備の提案が、中筋川総合開発工事事務所(現「渡川ダム統合管理事務所」
)に対し
てなされた。
・宿毛市と中筋川総合開発工事事務所(現「渡川ダム統合管理事務所」
)との間で、施設の運営・利用設
備の点検に関する事項や宿毛市が設備(ホールドやアンカー等)を設置することによる安全面について
約 1 ヶ月の事前協議を行った。
・宿毛市から四国地方整備局に占用許可申請を行い、約1ヶ月で占用が許可された。
・令和元年 10 月 27 日にオープニングイベントを実施した。
■しかく取り組みのポイント
1地域活性化のために
「日本初」、「ここでしか体験できない」
という、
ダム堤体へのクライミング設備を整備。
2宿毛市が主体となって、責任を持って安全に関する十分な配慮を行い活用することで、ダム壁面の占用とク
ライミング施設としての活用が許可された。
3四国整備局で、堤体や命綱の支点となる上部支点の構造的な安全性について、詳細な調査を実施した上で、
宿毛市がダム堤体に直接ホールドを埋め込む整備を行った。
クライミング施設全景 2コースを整備
ダム堤体をクライミング施設として活用
横瀬川ダム
クライミング施設
出典:高知県宿毛市提供
〔安全対策〕
・宿毛市では施設利用時に宿毛市職員が同行し、利用にあたっての注意事項や利用規程の説
明・指導及び利用者の安全監視を行う。また、緊急時の連絡体制を定めている。
・利用の中止条件は、雨・風の注意報・警報発令時および震度4以上の地震として宿毛市の占
用申請に記載している。
・宿毛市において安全対策備品を整備している。オートビレイ2基、クライミングハーネス
12 個、クライミングシューズ 48 足、ヘルメット 8 個、マット 2 個、チョークバック 4 個。
・年に 1 回、宿毛市が専門家によるホールド点検(不良部品の取り替え)とオートビレイ装
置の点検(メンテナンスと部品交換)を行う。
■しかく施設対策
〔施設整備〕
・宿毛市がダム下流面の右岸側壁面に、ダム天端から全長8m程度
のコースを並列して2コースを整備した。壁面に設置したホール
ドは耐久性を考慮して自然石製のものとしている。1コース 80
個で 160 個設置し、
ホールド1個に対して固定用のコンクリート
アンカーを一カ所、回転防止用のプラグアンカーを1カ所施工し
ている。
・監査廊の扉には庇をつけず、フラットな壁面としている。
・クライミング中の安全対策としてオートビレイ2基を整備。
・国ではオートビレイ設置のための上部支点を、
ダムの天端に整備。
緊急時の堤体点検のために整備されたものである。
■しかく人・組織
・事業主体は宿毛市で、クライミング施設を整備した。中筋川総合開発工事事務所(現「渡川ダム統合管理
事務所」
)と安全に関する協議を行い、四国地方整備局が占用許可を出している。
・クライミングを実施する際は、宿毛市が同行して安全監視を行っている。・現在は市の直営あるいは観光協会によるツアーが行われている。
今後は民間や観光協会への事業委託も検討。
■しかくしくみ
〔事業スキーム〕
・宿毛市が、フーチング一段目及び上部支点も含めた堤体壁面について自然
石ホールドが埋められている深さまでを占用申請し、ダム管理者から許可
を受け利用している。
・四国地方整備局は施設利用にあたって注意事項や利用規程等を宿毛市職員
が説明・指導及び利用者の安全監視を行うということで占用を許可した。
・現時点では宿毛市は収益事業としていないため、河川空間のオープン化制
度(都市・地域再生等利用区域制度)ではなく、通常の河川敷公園等の公
共施設を占用する場合と同様な河川法の占用プロセスで実施した。
〔運営計画〕
・当面、イベントやツアーなど実施日を設定する形や事前予約により実施。宿毛市職員が同行して、施設管理
や安全管理を行う。施設利用時はダム管理庁舎に連絡し、職員から鍵を預かり、監査廊を通ってクライミン
グ施設のある場所まで移動する。監査廊の鍵はその都度施錠し、外部から人が侵入しないように管理する。
■しかく地域連携方策
・宿毛市としては、現在はクライミング施設単独での利用だが、今後は、サイクリングや海への観光と絡ませ
る等、
クイミング施設も一つの観光ツールとしたいと考えている。
また、
都市部から遠いことを逆手に取り、
宿泊滞在型の効果を期待すべく情報を発信していきたいと考えている。
■しかく取り組みの成果
・日本で初めてのダム堤体を活用したクライミング施設であり、マスコミに多く取り上げられ、宿毛市の名前を
全国に知らせる PR となった。
オートビレイ
四国地方整備局
(ダム管理者)
宿毛市
ダム堤体
壁面の占用
占用
許可
一般的な公共施設の占用許可
の手続きで実施
利用イメージ
出典:高知県宿毛市提供
出典:高知県宿毛市提供