次に、様々な船舶のモデルを設定し、そのモデル船舶が、近海基準の満載喫水線まで満載して近海区域を航行したときの海水打ち込み確率と、沿海基準の満載喫水線まで満載して沿海区域を航行したときの海水打ち込み確率を推定しました。そして、限定近海船が限定近海水域を航行したときに、上記海水打ち込み確率と等しくなる様な基準を求めて、それを限定近海船に係る満載喫水線基準としました。
さらに、この限定近海基準で限定近海水域を航行したときに想定される海水の打ち込みによって、船体の強度や、船体の水密について問題が生じないかを検討したところ、現行基準と同等の安全性が担保されていることが確認されました。
2.行程距離について
沿海区域航行船が限定近海船になれば、ほぼ従来通りの積載量を確保したまま直線的な航行が可能となり、消費燃料の節減・運航時間の短縮により運航費の削減が図られると共に、環境負荷の低減にもなります。
例えば千葉・北海道間で約100海里(1海里は1.852キロメートル)、静岡・鹿児島間で約30海里、島根・石川間で約20海里それぞれ行程の短縮となります。
3.積載量について
上記2.のメリットを得るために、沿海区域を超えて各港間を直航しようとすれば、従来では、全近海区域を航行する船舶としての基準が適用され、積載量についての制限を受けていました。今般の満載喫水線規則の改正により、沿海区域を航行する船舶とほぼ同等の積載量を確保したまま、直航航路の選択が可能となります。
また、現存する限定近海船については、限定近海船に関する基準の新設により、積載量の増加が見込まれ、その結果として運送単価の低減が見込まれます。
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