BIM/CIM 事例集 ver.1
港湾編
(令和6年度改訂版)
令和6年7月
国土交通省 港湾局
「BIM/CIM 事例集 港湾編 ver.1」は、国土交通省港湾局において
平成 30 年度〜令和元年度に実施(実作業に着手)した BIM/CIM 活用
業務・工事の効果や課題を取りまとめたものです。
今回の改訂は、事例集のさらなる利用を目的として、記載事例を
令和5年度からの BIM/CIM 原則適用における <義務項目・推奨項目>
の活用目的別に分類するとともに、
現時点で使用されている用語に修正
したものです。
【目 次】
1.関係者間での情報連携
CASE 01 3 次元モデルの対外説明への活用(セル式岸壁)---------------------- 1
CASE 02 3 次元モデルの対外説明への活用(土留め:自立矢板)---------------- 3
2. 3 次元モデルによる数量・工事費・工期の算出
CASE 03 土工数量算出に 3 次元モデルを活用(重力式岸壁) ------------------- 5
CASE 04 3 次元モデルと数量算出結果の整合照査に活用1(桟橋)-------------- 7
CASE 05 3 次元モデルと数量算出結果の整合照査に活用2(重力式岸壁)-------- 9
3. 3 次元モデルによる効果的な照査の実施
CASE 06 取り合いの確認に活用1(桟橋) ----------------------------------- 11
CASE 07 取り合いの確認に活用2(桟橋) ----------------------------------- 13
CASE 08 鉄筋干渉確認による品質の向上1(矢板式岸壁) --------------------- 15
CASE 09 鉄筋干渉確認による品質の向上2(矢板式岸壁) --------------------- 17
CASE 10 鉄筋干渉確認による品質の向上3(桟橋) --------------------------- 19
CASE 11 鉄筋干渉確認による品質の向上4(臨港道路) ----------------------- 21
CASE 12 取り合いの確認と鉄筋干渉確認に活用(臨港道路) ------------------- 23
CASE 13 支障物件との施工干渉確認に活用(臨港道路) ----------------------- 25
CASE 14 狭隘部における溶接作業の可否判断に活用(桟橋) ------------------- 27
4.施工段階での 3 次元モデルの効果的な活用
CASE 15 施工計画の可視化に活用(土留め:自立矢板) ----------------------- 29
CASE 16 施工手順の確認に活用1(桟橋) ----------------------------------- 31
CASE 17 施工手順の確認に活用2(臨港道路) ------------------------------- 33
CASE 18 施工手順・施工方法の確認に活用(桟橋撤去) ----------------------- 35
CASE 19 施工計画照査と騒音・振動の周辺影響照査に活用(矢板式岸壁) ------- 37
CASE 20 計画工程の確認や鋼管杭の仮置計画に活用(控え工(鋼管杭)打設) ----- 39
CASE 21 施工方法・施工手順の検討や安全性向上に活用(桟橋) --------------- 41
- 1 -
CASE 01 3 次元モデルの対外説明への活用(セル式岸壁)
【事業情報】
業務名 横浜港新本牧地区港湾施設細部設計
発注者 関東地方整備局 京浜港湾事務所
受注者 日本海洋コンサルタント株式会社
工期 令和元年 6 月 6 日〜令和 2 年 3 月 27 日
工種 細部設計
構造形式 置きセル式係船岸
3 次元モデル詳細度 200
属性付与方法 外部参照
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
- しろまる
Civil3D
しろまる
Civil3D
- しろまる
Civil3D
- しろまる
Navisworks
【取組目的・活用内容】
横浜港新本牧地区の置きセル式係船岸の細部設計を対象に、3 次元モデルを作成した。
目的は、施工計画の可視化、設計品質の向上、各種協議のおける合意形成時間の短縮と判断の迅速化で
ある。
3 次元形状データに対し属性情報の付与、施工段階での効果的な活用、2 次元図面との数量の確認など
を行い、対外説明用の資料として活用した。
【効果】
・発注者の対外説明用としての活用が見込まれる。
・従来の 2 次元図面と異なり、3 次元モデルで表現するため可視化の効果が大きく、専門家でなくとも
理解しやすい形になっている。一つの統合モデルから関連する資料を外部リンクで確認できるため、
協議時などに必要な資料を速やかに確認できる。
【課題】
・対外説明用資料として大きな活用効果があるが、現時点では参考例が少なく、属性の入力方法など確
立されていない点が多々あることが 3 次元モデル作成上の課題である。
<推奨項目:視覚化による効果(施工ステップの確認)>
- 2 -
【作成 3 次元モデル等】
図-1.1 属性の外部リンク
図-1.2 施工手順を示す統合モデル
図面上に配置したボタンをクリック
することで、外部リンクした
属性情報にアクセス可能
- 3 -
CASE 02 3 次元モデルの対外説明への活用(土留め:自立矢板)
【事業情報】
業務名 横浜港大黒地区岸壁(-12m)取付部細部設計他業務
発注者 関東地方整備局 京浜港湾事務所
受注者 日本海洋コンサルタント株式会社
工期 令和元年 7 月 10 日〜令和 2 年 2 月 28 日
工種 細部設計
構造形式 土留め(自立矢板)
3 次元モデル詳細度 200
属性付与方法 外部参照
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
- -((注記)) - - しろまる
Civil3D
- しろまる
Navisworks
(注記)過年度業務のモデルを流用
【取組目的・活用内容】
横浜港大黒地区の岸壁(-12m)取付部における土留め(自立矢板)の細部設計を対象に、3 次元モデルを
作成した。
目的は、施工計画の可視化、設計品質の向上、各種協議のおける合意形成時間の短縮と判断の迅速化で
ある。
3 次元形状データに対し属性情報の付与、浚渫土量の精査などを行い、対外説明用の資料として活用し
た。
【効果】
・発注者の対外説明用としての活用が見込まれる。
・従来の 2 次元図面と異なり、3 次元モデルで表現するため可視化の効果が大きく、専門家でなくとも
理解しやすい形になっている。
【課題】
・対外説明用資料として大きな活用効果があるが、現時点では参考例が少なく属性の入力方法など確立
されていない点が多々あることが 3 次元モデル作成上の課題である。
<義務項目:視覚化による効果(特定部の確認(2 次元図面の確認補助)
)>
- 4 -
【作成 3 次元モデル等】
図-2.1 属性の外部リンク
図-2.2 浚渫前後の統合モデル
図面上のボタンクリックで
外部リンクした属性情報に
アクセス
くろまるボタンをクリック:
【属性情報】竣工図(詳細図、一般図等)へのリンク
くろまるボタンをクリック:
【属性情報】設計資料(当初設計資料)へのリンク
くろまるボタンをクリック:
【属性情報】調査資料(土質調査報告書、調査報告書)へのリンク
土留部浚渫前の統合モデル 土留部浚渫後の統合モデル
- 5 -
CASE 03 土工数量算出に 3 次元モデルを活用(重力式岸壁)
【事業情報】
業務名 横浜港本牧地区岸壁(-7.5m)基本設計
発注者 関東地方整備局 横浜港湾空港技術調査事務所
受注者 株式会社日本港湾コンサルタント
工期 令和元年 9 月 3 日〜令和 2 年 3 月 13 日
工種 基本設計
構造形式 重力式係船岸(ケーソン式)
3 次元モデル詳細度 200
属性付与方法 直接付与、外部参照
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
- しろまる
Civil3D
しろまる
Civil3D
- しろまる
Civil3D
- しろまる
InfraWorks
【取組目的・活用内容】
横浜港本牧 CD 突堤間の岸壁(-7.5m)の基本設計を対象に、3 次元モデルを作成した。
目的は、設計品質向上、各種協議のおける合意形成時間の短縮と判断の迅速化であり、今後の業務を円
滑に進めることが期待される。
Civil3D で作成したソリッドの体積と深浅測量より 3 次元化した海底地盤との差を求め、数量計算に活
用した。
【効果】
・従来の数量計算方式(平均断面法)よりも高精度
・3 次元化することでイメージの伝達が迅速化
・現状は数量の確認に留まっているが、今後の基準や要領の見直しにより 3 次元モデルからの数量算出
がスタンダードになることが期待される。
【課題】・3次元モデルの書き出しプログラムが土木に特化していない。
今後のソフトの機能向上や拡充に期待。
・3D 部材の公式フォーマット化を希望。
・基本設計における 3 次元モデル作成の標準的手法(ルール、取り決め)を定めてほしい。
<推奨項目:省力化・省人化(概算数量算出)>
- 6 -
【作成 3 次元モデル等】
図-3.1 3 次元モデルからの数量算出状況
3D モデル化した鉱さいの体積と深浅測量より
3D モデル化した海底地盤との差を求め、
数量計算に活用
図-3.2 3 次元形状データ(本体工)への属性付与 図-3.3 統合モデル
- 7 -
CASE 04 3 次元モデルと数量算出結果の整合照査に活用1
(桟橋)
【事業情報】
業務名 名古屋港飛島ふ頭東地区岸壁(-15m)細部設計
発注者 中部地方整備局 名古屋港湾事務所
受注者 株式会社ニュージェック
工期 平成 31 年 4 月 10 日〜令和 2 年 2 月 20 日
工種 細部設計
構造形式 直杭式横桟橋
3 次元モデル詳細度 300(構造物)、200(その他)
属性付与方法 外部参照
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
- しろまる
Revit
しろまる
Civil3D
- しろまる
Revit
- しろまる
Navisworks
【取組目的・活用内容】
名古屋港飛島ふ頭東地区の岸壁(-15m)の細部設計を対象に、3 次元モデルを作成した。
新設岸壁の 3 次元モデルを作成し、上部工の段階施工や鋼管杭施工手順等の工程計画の可視化に活用す
ること、また、箱抜き位置をモデル化し、各部材や他施設との干渉を確認するなど設計エラーの防止に
役立てることを目的とした。
【効果】
・上部工(受梁)において、クレーン係留装置用の箱抜きや、ケーブルトレンチなどを全てモデル化して
いる。このため、コンクリート打設ロットごとの数量を瞬時に表示させることが可能である。
・3 次元モデルの数量は、その照査用参考値とした。双方の数量は「ほぼ合致」することを確認してお
り、工事において、箱抜き位置の変更や追加が生じても、施工数量の算定を効率的に行うことが可能
である。
【課題】
・成果品は 2 次元図面および表計算ソフトを用いて数量計算を行った結果を採用し、3 次元モデルの数
量は、その照査用参考値として取り扱った。3 次元モデルから直接数量を取得する方法を数量計算結
果として採用するには土木工事数量算出要領等の規定を改定する必要がある。
<推奨項目:省力化・省人化(概算数量算出)>
- 8 -
【作成 3 次元モデル等】
図-4.1 上部工数量の比較
- 9 -
CASE 05 3 次元モデルと数量算出結果の整合照査に活用2
(重力式岸壁)
【事業情報】
業務名 福山港細部設計等業務(その 3)
発注者 中国地方整備局 広島港湾・空港整備事務所
受注者 いであ株式会社
工期 令和元年 8 月 9 日〜令和 2 年 3 月 23 日
工種 細部設計
構造形式 重力式係船岸(L 型ブロック式)
3 次元モデル詳細度 200
属性付与方法 属性付与無し
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
- しろまる
Civil3D
- - しろまる
Civil3D
- しろまる
Civil3D
【取組目的・活用内容】
福山港の重力式係船岸の細部設計を対象に、3 次元モデルを作成した。
目的は建設生産プロセス全体での 3 次元モデルの活用による課題解決及び業務効率化を図ることであ
る。
『港湾請負工事積算基準』
『3次元データを用いた港湾工事数量算出要領(各工種編)
』をふまえ、3 次
元モデルよりソフトウェアの機能を用いて工事数量を算出し、想定する施工順序や区割り等と連動する
形で数量が算出できるように施工ステップに沿った 3 次元モデルを作成した。また、3 次元モデルと数
量算出結果の整合照査を行った。
【効果】
・基本的に、3 次元モデルより算出した数量は、他工種との干渉を排除した正確な体積を計上できるた
め、2 次元図面による算出より高精度であると考えられる。
【課題】
・BIM/CIM に取り組むに当たって、以下の課題が考えられる。
ガイドラインの内容習熟が課題。通常の業務とは別の人員配置が必要。設計業務がある程度決定して
からの作業開始となる。
<推奨項目:省力化・省人化(概算数量算出)>
- 10 -
【作成 3 次元モデル等】
図-5.1 3 次元モデル全体図
図-5.2 地形・構造物の数量算出
- 11 -
CASE 06 取り合いの確認に活用1(桟橋)
【事業情報】
業務名 東京港中央防波堤外側地区岸壁(-16m)(耐震)支持力検討業務
発注者 関東地方整備局 横浜港湾空港技術調査事務所
受注者 株式会社エコー
工期 令和元年 7 月 10 日〜令和 2 年 3 月 30 日
工種 基本設計
構造形式 ジャケット式桟橋
3 次元モデル詳細度 300(構造物)、200(その他)
属性付与方法 外部参照
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
- しろまる
Civil3D
しろまる
Civil3D
- しろまる
Civil3D
- しろまる
Navisworks
【取組目的・活用内容】
東京港中央防波堤外側地区の岸壁(-16m)における基本設計を対象に、3 次元モデルを作成した。
対象施設の他、隣接する既設護岸の一部もモデル化し、隣接する施設との取合いの検討に活用した。
目的は、設計品質の向上、各種協議における合意形成時間の短縮と判断の迅速化である。
【効果】
・隣接する既設護岸との取合いを視覚的(3 次元的)に確認ができるため、設計品質の向上に寄与した。
・構造が視覚的に理解しやすいため、若手技術者の育成にも寄与した。
【課題】
・基本設計時点で作成した 3 次元モデルを、どのように活用していくかが、現状不明瞭である。3 次元
モデルを作成するにあたっては、特記仕様書などに明確な目的を記載すべきと思われる。
<義務項目:視覚化による効果(2 次元図面の理解補助)>
- 12 -
【作成 3 次元モデル等】
図-6.1 隣接施設との接続部分のモデル化
- 13 -
CASE 07 取り合いの確認に活用2(桟橋)
【事業情報】
業務名 福山港細部設計等業務
発注者 中国地方整備局 広島港湾・空港整備事務所
受注者 日本海洋コンサルタント株式会社
工期 令和元年 7 月 12 日〜令和 2 年 3 月 19 日
工種 細部設計
構造形式 ジャケット式桟橋
3 次元モデル詳細度 300
属性付与方法 外部参照
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
- - - - しろまる
Civil3D- -【取組目的・活用内容】
福山港の桟橋における細部設計を対象に、3 次元モデルを作成した。
ICT の全面的な活用を図ることを目的とし、属性情報付与、施工段階を見据えた 3 次元形状データの構
築、受発注者間での 3 次元モデルの共有を行う BIM/CIM 活用業務である。
【効果】
・桟橋と背後護岸の取合いを視覚的(3 次元的)に確認ができ構造詳細を理解しやすい。
・構造が視覚的に理解しやすいため、若手技術者の育成にも寄与した。
【課題】
・属性情報の付与に時間がかかっているため、業務簡素化を図るための統一したフォーマットを作成い
ただきたい。また属性情報を付与する一連の流れやソフトの操作方法について学べる講習会を開催し
てほしい。
<義務項目:視覚化による効果(2 次元図面の理解補助)>
- 14 -
【作成 3 次元モデル等】
図-7.1 既設部分との接続部分のモデル化
- 15 -
CASE 08 鉄筋干渉確認による品質の向上1(矢板式岸壁)
【事業情報】
業務名 平成 30 年度 清水港日の出岸壁(-12m)(改良)詳細構造検討業務
発注者 中部地方整備局 清水港湾事務所
受注者 パシフィックコンサルタンツ株式会社
工期 平成 30 年 8 月 1 日〜平成 31 年 3 月 25 日
工種 詳細設計
構造形式 矢板式係船岸(鋼管矢板式)
3 次元モデル詳細度 400(構造物:上部工、控頂部工)、300(構造物:その他)、
200(地形、地質・土質、広域地形)
属性付与方法 直接付与
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
- しろまる
Civil3D
しろまる
Civil3D
- しろまる
Civil3D
しろまる
Civil3D
しろまる
InfraWorks
【取組目的・活用内容】
清水港日の出岸壁(-12m)における詳細設計を対象に、3 次元モデルを作成した。
ICT の全面的な活用を図ることを目的とし、上部工(係船柱基礎含む)及び控頂部工の過密配筋部の検証
に 3 次元モデルを活用した。
【効果】
・3 次元化することで若手技術者でも干渉チェックを実施できた。
・3 次元化することでベテラン技術者と若手技術者とで同じ目線で配筋図を確認することができ、技術
的なコミュニケーションに役立った。
【課題】
・現状としては、2 次元の設計図面を作成した後に 3 次元形状データを作成しているため、作業工程が
厳しい。属性情報の付与は手作業が多いため、付与する項目のルール決めが必要である。
・受発注者間、以後の業務への引継ぎもあることから、使用するソフトウェアはなるべく統一してほし
い。
・業界全体で BIM/CIM に関する技術力を底上げしていく必要がある。調査、設計、施工、維持管理の各
分野での課題を共有する場を設けてほしい。
・使用船舶、重機等の施工機械の 3 次元形状データを新たに作成する場合には、手間が生じるため、3
<推奨項目:視覚化による効果(鉄筋の干渉チェック)>
- 16 -
次元形状データのストックが必要である。付帯設備等も同じである。また、既設施設についても維持
管理業務等で 3 次元形状データを作成してストックしていく必要がある。・今後は調査の段階から 3 次元形状データを作成して設計・施工にデータを引き継いでいく必要がある。
【作成 3 次元モデル等】
図-8.1 統合モデル
図-8.2 配筋の 3 次元モデル
- 17 -
CASE 09 鉄筋干渉確認による品質の向上2(矢板式岸壁)
【事業情報】
業務名 伏木富山港(富山地区)岸壁(-10m)(2 号)(改良)取付部細部設計
発注者 北陸地方整備局 新潟港湾空港技術調査事務所
受注者 株式会社エコー
工期 平成 30 年 11 月 20 日〜平成 31 年 3 月 22 日
工種 細部設計
構造形式 矢板式係船岸(鋼矢板式)
3 次元モデル詳細度 400(構造物:上部工)、300(構造物:その他)、
200(地形、地質・土質)
属性付与方法 外部参照
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
- しろまる
Recap、Civil3D
しろまる
Civil3D
- しろまる
Revit、Civil3D
- しろまる
Navisworks
【取組目的・活用内容】
伏木富山港(富山地区)の岸壁(-10m)における詳細設計を対象に、3 次元モデルを作成した。
目的は、施工計画の可視化、設計品質の向上、各種協議における合意形成時間の短縮と判断の迅速化で
ある。
上部工の 3 次元モデルは詳細度 400 で作成し、鉄筋とその他部材(既設矢板、頭部補強工、係船柱なら
びに係船柱アンカー等)との干渉確認に活用した。
【効果】
・部材の配置が把握しやすくなった。
・干渉個所が自動表示されるため、チェックが容易になり、品質も向上。
・レイヤの表示/非表示により施工手順(イメージ)の可視化が容易に可能。
・異形部材などの特殊形状に対しても、3次元的可視化により合意形成が可能。
【課題】
・設計と施工の責任分岐点が不明瞭(設計、施工どこがどこまで責任を負うのか)。・設計に従事するものとしては、現状、フロントローディングの「負の効果」の方が大きい。成果品と
して 3 次元モデルを納めたとしても、実際は2次元図面も成果品として必要なため、確実な活用が現
<推奨項目:視覚化による効果(鉄筋の干渉チェック)>
- 18 -
状見出せていない。実作業費用と積算の乖離が大きいと感じる。
・各社ソフトウェア間の互換性を高めてほしい。
【作成 3 次元モデル等】
図-9.1 統合モデル
図-9.2 配筋の 3 次元モデル
- 19 -
CASE 10 鉄筋干渉確認による品質の向上3(桟橋)
【事業情報】
業務名 徳山下松港下松地区桟橋(-19m)細部設計
発注者 中国地方整備局 宇部・港湾空港整備事務所
受注者 パシフィックコンサルタンツ株式会社
工期 平成 30 年 5 月 1 日〜令和元年 10 月 31 日
工種 細部設計
構造形式 ジャケット式桟橋
3 次元モデル詳細度 400(構造物:係留施設部(杭・ジャケット・床版))、300(構造物:その他)、
200(地形、地質・土質)
属性付与方法 直接付与、外部参照
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
- しろまる
Civil3D
- - しろまる
Civil3D
- しろまる
InfraWorks
Navisworks
【取組目的・活用内容】
徳山下松港下松地区の岸壁(-19m)における細部設計を対象に、3 次元モデルを作成した。
目的は、関係者機関協議や情報共有、設計案の比較検討、鉄筋干渉確認等である。
上部工(床版)の間詰部のフープ筋とスタッドの過密配筋部の検証に 3 次元モデルを活用した。
【効果】
・立体的なイメージが掴みやすくなった。
・間詰部のフープ筋とスタッドの干渉を確認できた。
【課題】
・鉄筋干渉チェックを実施した際、干渉する鉄筋を容易に把握することができるが、配筋図の枚数が多
い場合、修正作業に膨大な時間を要する。また、実際の現場では曲げることが可能な鉄筋は現場で加
工し干渉を回避していることから、3 次元モデルで配筋チェックを行う際は、現場で曲げ加工できな
い鉄筋径以上に対して配筋チェックを行う等の運用面の指針を定めるなどの対応が必要である。
<推奨項目:視覚化による効果(鉄筋の干渉チェック)>
- 20 -
【作成 3 次元モデル等】
図-10.1 統合モデル
図-10.2 配筋の 3 次元モデル
- 21 -
CASE 11 鉄筋干渉確認による品質の向上4(臨港道路)
【事業情報】
業務名 平成 30 年度 那覇港(新港ふ頭地区)臨港道路(若狭港町線)
詳細設計業務(その 3)
発注者 沖縄総合事務局 那覇港湾・空港整備事務所
受注者 パシフィックコンサルタンツ株式会社
工期 平成 30 年 6 月 30 日〜平成 31 年 3 月 26 日
工種 詳細設計
構造形式 臨港道路(上部工:鋼橋、下部工:RC 橋脚、基礎工:鋼管矢板井筒基礎)
3 次元モデル詳細度 400(構造物:部材輻輳部(P21 付近下部工・付属物間))、300(構造物:その他)、
200(線形、地形、広域地形)
属性付与方法 直接付与
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
しろまる
Civil3D
しろまる
AutoCAD
- - しろまる
AutoCAD
しろまる
Infraworks
しろまる
Navisworks
【取組目的・活用内容】
那覇港(新港ふ頭地区)の臨港道路における詳細設計を対象に、3 次元モデルを作成した。
旅客バース・航路視点に対する理解度向上用資料作成、3D 施工図で施工計画の情報共有円滑化、景観検
討、属性情報を付与し施工や維持管理の情報引継ぎ、部材輻輳部における鉄筋の干渉チェックについて
等に 3 次元モデルを活用した。
【効果】
・支承まわりの部材輻輳部における橋脚配筋と支承アンカーの干渉を確認できた。
・2 次元図面では漏れがちな部材輻輳部の干渉チェックを確実に実施できた。
【課題】
・3 次元モデルと設計計算ソフト間の連携を推進する必要がある。
・配筋等の 3 次元化には現状多くの時間と人工が必要であるため、設計計算と連動させることによる省
力化・自動化もしくは、配筋のモデル化範囲の限定化など、生産性向上のための方策や要領を定める
必要がある。
<推奨項目:視覚化による効果(鉄筋の干渉チェック)>
- 22 -
【作成 3 次元モデル等】
図-11.1 統合モデル
図-11.2 配筋の 3 次元モデル
- 23 -
CASE 12 取り合いの確認と鉄筋干渉確認に活用(臨港道路)
【事業情報】
業務名 平成 30 年度 那覇港(新港ふ頭地区)臨港道路(若狭港町線)詳細設計業務
発注者 沖縄総合事務局 那覇港湾・空港整備事務所
受注者 八千代エンジニヤリング株式会社
工期 平成 30 年 6 月 30 日〜平成 31 年 3 月 26 日
工種 詳細設計
構造形式 臨港道路(上部工:PC 橋、下部工:RC 橋脚、基礎工:場所打ち杭・鋼管矢板基礎)3 次元モデル詳細度 400(構造物:上部工天端部(部材輻輳部))、300(構造物:橋梁上部工および下部
基礎工)、200(土工形状、既設構造物)、100(線形)、地図情報レベル 5000(地形)
属性付与方法 直接付与
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
しろまる
Civil3D
しろまる
Civil3D
- - しろまる
Civil3D
Revit
- しろまる
InfraWorks
Navisworks
【取組目的・活用内容】
那覇港(新港ふ頭地区)の臨港道路における詳細設計を対象に、3 次元モデルを作成した。
ICT の全面的活用を目的として、
BIM/CIM を導入し、
関係者間協議や情報共有、
フロントローディングを
実施(鉄筋干渉確認)等について 3 次元モデルを活用する。特に、橋脚天端配筋と支障アンカー干渉チ
ェック(鉄筋干渉確認)と橋脚基礎工と既設護岸等の取り合い確認を実施した。
【効果】
・鉄筋干渉確認と取り合いの確認により、施工の確実性が向上した。
・施工ステップ説明資料を作成することで施工計画の共有が効率化した。
【課題】
・設計段階にて BIM/CIM を活用する際、将来的の施工時や維持管理に活用することまで視野に入れた方
針や作成モデルのレベル設定が、初期段階であることから確定しづらいことが課題と考えられる。・属性の直接付与は閲覧修正可能なソフトが限定されるため、
モデル対象箇所にエクセルを外部参照し、
閲覧、修正が可能な形が良いのではないか。
<推奨項目:視覚化による効果(鉄筋の干渉チェック)>
- 24 -
【作成 3 次元モデル等】
図-12.1 鉄筋の干渉チェック
図-12.2 取合いの確認
上部工と橋脚の取り合い
橋脚基礎と護岸の取り合い
- 25 -
CASE 13 支障物件との施工干渉確認に活用(臨港道路)
【事業情報】
業務名 岩国港臨港道路基本設計等業務
発注者 中国地方整備局 宇部・港湾空港整備事務所
受注者 日本工営株式会社
工期 平成 30 年 7 月 20 日〜平成 31 年 3 月 27 日
工種 基本設計
構造形式 臨港道路(高架橋、上部工:鋼箱、下部工:RC 橋脚)
3 次元モデル詳細度 200(構造物)、100(線形)、指定無し(広域地形)
属性付与方法 直接付与
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
しろまる
AutoCAD
Click3D
- - - しろまる
AutoCAD
Click3D
しろまる
AutoCAD
Click3D
しろまる
(施工計画モデル)
Navisworks
【取組目的・活用内容】
岩国港臨港道路における基本設計を対象に、3 次元モデルを作成した。
施工計画可視化、設計品質向上、各種協議における合意形成時間の短縮と判断の迅速化が目的である。
支障物件との施工干渉の確認として、架空線とクレーンブームの干渉チェックやクレーン配置検討に活
用した。
【効果】
・状況を目視で把握でき、発注者や第三者への説明資料としても効果的であった。
・従来の二次元図面では把握しづらい 3 次元的な干渉が容易にチェック可能。
【課題】
・構造物、施工計画モデルは、全自動で作成できるソフトウェアがないため、作成に人工を要する。
・完成形状、施工計画における 3 次元モデル作成の全自動化ができるようなソフトウェアを開発してほ
しい。
<推奨項目:視覚化による効果(視認性の確認)>
- 26 -
【作成 3 次元モデル等】
図-13.1 施工干渉確認
- 27 -
CASE 14 狭隘部における溶接作業の可否判断に活用(桟橋)
【事業情報】
業務名 横浜港本牧地区岸壁(-16m)(耐震)細部設計
発注者 関東地方整備局 京浜港湾事務所
受注者 株式会社日本港湾コンサルタント
工期 平成 31 年 4 月 4 日〜令和 2 年 2 月 28 日
工種 細部設計
構造形式 ジャケット式桟橋
3 次元モデル詳細度 400(構造物:上部工)、300(構造物:その他)、200(地形、地質・土質)
属性付与方法 直接付与、外部参照
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
しろまる
Civil3D
しろまる
Civil3D
GEORAMA
- しろまる
Civil3D
- しろまる
InfraWorks
SketchUp
【取組目的・活用内容】
横浜港本牧地区の岸壁(-16m)における細部設計を対象に、3 次元モデルを作成した。
施工計画可視化、設計品質向上、各種協議における合意形成時間の短縮と判断の迅速化が目的である。
上部工において過密配筋部の検証、地盤と杭の根入長の確認、既設構造物等現地制約が厳しい狭隘な施
工条件での干渉評価、溶接作業可否判断に 3 次元モデルを活用した。
【効果】
・作業員が溶接棒を持った状態を 3 次元モデルで再現し、施工の可否の判定を行った。検討の結果、十
分なスペースを確保しつつ、所定の溶接場所を溶接できることを確認できた。
・経験の少ない若手技術者でも構造をイメージしやすく育成に寄与。理解の速度が向上した。
【課題】
・知識技術のばらつきがあり、ソフトオペレーション以外の知識も要する。それらを均一化する必要が
ある。
・発注者が属性をどう閲覧するか(ビューア、ソフト)、事前確認しそれに準じた付与が求められる。
・部材、船舶、陸上機械、付帯工等の 3 次元形状データを公式フォーマット化してほしい(メーカー指定
にならず各種検討に使用できるもの)。
<義務項目:視覚化による効果(特定部の確認(2 次元図面の確認補助)
)>
- 28 -
【作成 3 次元モデル等】
図-14.1 統合モデル
図-14.2 杭頭シムプレート部 溶接状況
- 29 -
CASE 15 施工計画の可視化に活用(土留め:自立矢板)
【事業情報】
業務名 横浜港大黒ふ頭地区岸壁(-12m)取付部基本設計
発注者 関東地方整備局 横浜港湾空港技術調査事務所
受注者 中央復建コンサルタンツ株式会社
工期 平成 30 年 9 月 11 日〜平成 31 年 3 月 8 日
工種 基本設計
構造形式 土留め(自立矢板)、既設ケーソン、矢板式等
3 次元モデル詳細度 200
属性付与方法 外部参照
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
- しろまる
Civil3D
しろまる
Civil3D
- しろまる
Civil3D
- しろまる
Navisworks
【取組目的・活用内容】
横浜港大黒ふ頭地区の岸壁(-12m)における基本設計を対象に、3 次元モデルを作成した。
目的は、施工計画の可視化、設計品質の向上、各種協議における合意形成時間の短縮と判断の迅速化で
ある。
改良断面に対し、施工ステップの各段階における時間軸を付与した 3 次元モデルを作成し、施工に関す
る一連のフローを動画で確認した。
【効果】
・受発注者間でイメージが共有でき、合意形成時間の短縮と判断の迅速化に寄与した。
・動画として書きだすことで、専用のソフトや高性能な端末がなくても 3 次元モデルの施工ステップを
確認してもらうことが可能である。発注者から関係者や地元住民へ説明する際の資料としての活用が
期待できる。
【課題】
・計測年度の異なる海底地形サーフェスを重ね合わせると、境界に段差が生じる。
・歩掛等の整備が重要。発注者・受注者とも BIM/CIM に対する理解の深度化が必要。
<推奨項目:視覚化による効果(施工ステップの確認)>
- 30 -
【作成 3 次元モデル等】
図-15.1 施工ステップ図
図-15.2 測量実施年度の異なる海底地盤の重ね合わせ結果
海底地盤面は、取付部側と標準の深浅測量データ
をつなぎ合わせて作成(赤点線が境界)。
深浅測量が実施された年度は、取付部側が平 29 年
度、標準部側が平成 27 年度で、境界部の高さに相
違があるため岸壁前面で段差が発生。
- 31 -
CASE 16 施工手順の確認に活用1(桟橋)
【事業情報】
業務名 平成 30 年度 横浜港本牧地区岸壁構造検討業務
発注者 関東地方整備局 横浜港湾空港技術調査事務所
受注者 株式会社日本港湾コンサルタント
工期 平成 30 年 7 月 31 日〜平成 31 年 3 月 20 日
工種 基本設計
構造形式 ジャケット式桟橋
3 次元モデル詳細度 400(構造物:防舷材、係船柱、電気防食)、300(構造物:杭、ジャケット)、
200(地形、地質・土質)
属性付与方法 直接付与、外部参照
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
- しろまる
Civil3D
しろまる
Civil3D
- しろまる
Civil3D
- しろまる
InfraWorks
【取組目的・活用内容】
横浜港本牧地区の岸壁における基本設計を対象に、3 次元モデルを作成した。
目的は、施工計画の可視化、設計品質の向上、各種協議における合意形成時間の短縮と判断の迅速化で
ある。
施工手順に矛盾が無いかの確認を行った。また、施工後のイメージの可視化したものをプレゼン用資料
として活用した。
【効果】
・3 次元化することで、イメージの伝達が迅速化した。
・3 次元化することで、施工手順に矛盾が無いことを確認できた。
【課題】
・BIM/CIM 普及のためには、技術者育成・教育等、人員の確保と養成が必要になる。発注機関による講
習会等の開催を希望する。
・不必要な範囲まで 3 次元モデルで表現されている場合があり、生産性向上と矛盾しないよう、3 次元
モデル化を行う際には注意が必要。
・必要に応じて閲覧用データの別途準備が必要。発受注者間で互換性のあるソフトウェアの準備など環
境を整える必要がある。
<推奨項目:視覚化による効果(施工ステップの確認)>
- 32 -
・部材、船舶、陸上機械、付帯工等の 3 次元モデルの公式フォーマット化(メーカーに特化せず使用でき
るもの)をしてほしい。
【作成 3 次元モデル等】
図-16.1 施工ステップ図
- 33 -
CASE 17 施工手順の確認に活用2(臨港道路)
【事業情報】
業務名 平成 30 年度 那覇港(新港ふ頭地区)臨港道路(若狭港町線)
詳細設計業務(その2)
発注者 沖縄総合事務局 那覇港湾・空港整備事務所
受注者 大日本コンサルタント株式会社
工期 平成 30 年 6 月 30 日〜平成 31 年 3 月 26 日
工種 詳細設計
構造形式 臨港道路(上部工:鋼箱桁、下部工:RC 橋脚、基礎工:場所打ち杭、
鋼管矢板基礎)
3 次元モデル詳細度 400(構造物:部材輻輳部)、300(構造物:上部工、下部工)、
200(線形、地形、土工形状、広域地形)
属性付与方法 外部参照
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
しろまる
Civil3D
しろまる
(土工形状含む)
Civil3D
- - しろまる
Revit
3dsMAX
しろまる
Civil3D
しろまる
Navisworks
【取組目的・活用内容】
那覇港(新港ふ頭地区)臨港道路(若狭港町線)における詳細設計を対象に、3 次元モデルを作成した。
施工段階を見据えた 3 次元モデルの構築として、施工計画の 3 次元可視化を行い、関係機関協議等での
活用を図った。また、施工計画における施工手順の概要把握のため、モデル内に時間属性を付与し、施
工計画に基づいた施工手順の 4D モデルとして作成した。
施工ステップモデル、施工シミュレーション動画を作成し受発注者間の協議時に施工計画の説明資料と
して活用した。
【効果】
・受発注者間でイメージが共有でき、協議の進行を円滑に行うことができた。
・2 次元図面では複数を突き合わせた確認が必要な箇所も 3 次元あるいは動画で示すことで、理解速度
が向上した。
【課題】
・図面作成・数量作成後に属性整理に着手となるので工期的余裕がない。詳細設計後に 2 か月程度のモ
デル作成期間の設定が必要。
<推奨項目:視覚化による効果(施工ステップの確認)>
- 34 -
・技術者の育成に時間と実務経験を要すること、3 次元モデル作成には複数のソフトが必要で 1 つ 1 つ
が高価であることが BIM/CIM 普及の課題として考えられる。
【作成 3 次元モデル等】
図-17.1 施工ステップ図
- 35 -
CASE 18 施工手順・施工方法の確認に活用(桟橋撤去)
【事業情報】
業務名 名古屋港飛島ふ頭東地区岸壁(-15m)桟橋部撤去工実施設計
発注者 中部地方整備局 名古屋港湾事務所
受注者 株式会社ニュージェック
工期 平成 30 年 8 月 7 日〜平成 31 年 1 月 28 日
工種 実施設計
構造形式 直杭式横桟橋
3 次元モデル詳細度 200
属性付与方法 直接付与
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
- しろまる
Civil3D
しろまる
Civil3D
- しろまる
Revit
- しろまる
InfraWorks
【取組目的・活用内容】
名古屋港飛島ふ頭東地区岸壁(-15m)における桟橋部撤去の実施設計を対象に、
3 次元モデルを作成した。
目的は、施工計画の可視化、設計品質の向上、各種協議における合意形成時間の短縮と判断の迅速化で
ある。
施工ステップの設定を行った。受発注者間の打合せ・協議における施工手順、施工方法の説明等に活用
した。
【効果】
・3 次元モデルを使用して施工イメージを作成したことにより、現場状態の確認をしやすくなったこと
から、撤去手順の説明が容易になった。
・視覚的に施工手順や施工方法が示せるため、理解度が上がり、円滑な協議の実施に寄与した。
【課題】
・現状、設計業務の段階では追加作業が必要となり、設計業務そのものの効率化には寄与しない。ただ
し、設計者、施工者、発注者の情報共有や具体の施工計画には有効と考えられる。
・使用するソフトが多く覚える内容が多いこと、3D データを動かせる能力の PC が必要であることが
BIM/CIM 普及の課題となっている。
<推奨項目:視覚化による効果(施工ステップの確認)>
- 36 -
【作成 3 次元モデル等】
図-18.1 各施設の施工ステップ図
- 37 -
CASE 19 施工計画照査と騒音・振動の周辺影響照査に活用
(矢板式岸壁)
【事業情報】
業務名 福山港細部設計等業務(その 2)
発注者 中国地方整備局 広島港湾・空港整備事務所
受注者 株式会社エイト日本技術開発
工期 令和元年 8 月 2 日〜令和 2 年 3 月 18 日
工種 細部設計
構造形式 矢板式係船岸(鋼管矢板式)
3 次元モデル詳細度 400(線形)、300(構造物)、200(地形、広域地形)
属性付与方法 直接付与
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
しろまる
Civil3D
しろまる
Pix4Dmapper
RecapPro
- - しろまる
Revit
しろまる
Civil3D
Revit
InfraWorks
しろまる
Revit
Navisworks
【取組目的・活用内容】
福山港における矢板式係船岸の細部設計を対象に、3 次元モデルを作成した。
ICT の全面的活用を目的として、3 次元モデルを用いた施工計画を実施した。
設計段階において、
計画した施工手順をもとに施工の概略の流れが把握できるよう、
施工計画モデル(統
合モデルにおける施工ステップ)を作成した。
作成したモデルは施工計画の照査、騒音・振動の周辺影響照査にも活用した。
【効果】
・騒音の影響照査など、立体的な検討が円滑に行うことができた。影響範囲が目視で確認できるため、
受発注者間でのイメージ共有がスムーズ。
・周辺影響照査等を 3 次元的に一目で把握できるため、設計段階から施工段階への引き継ぎが正確かつ
スムーズに行われることが期待される。
<推奨項目:視覚化による効果(現場条件の確認・施工ステップの確認)>
- 38 -
【課題】
・IFC 等の共通規格はあるものの、ソフト間の互換性が完全ではないため、設計段階から施工段階への
3 次元モデルの引継ぎに若干懸念がある。
・入力すべき属性情報が入力者ごとに異なっている可能性が高い。ガイドラインなどの整備は進んでい
るものの、まだ不十分であり、構造形式ごとに定義したほうがよい。
【作成 3 次元モデル等】
図-19.1 施工中の周辺影響(騒音、振動)の照査
図-19.2 施工計画ステップ図(一部抜粋)
- 39 -
CASE 20 計画工程の確認や鋼管杭の仮置計画に活用
(控え工(鋼管杭)打設)
【事業情報】
業務名 平成 31 年度 清水港日の出岸壁(-12m)改良工事
発注者 中部地方整備局 清水港湾事務所
受注者 東亜建設工業株式会社
工期 令和元年 7 月 8 日〜令和 2 年 5 月 29 日
工種 改良工事
構造形式 矢板式係船岸(改良工事:控え工(鋼管杭)打設)
3 次元モデル詳細度 400(構造物:上部工(配筋含む))、300(構造物:本体工)、200(構造物:付属工、地
形、地質・土質)
属性付与方法 直接付与、外部参照
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
- しろまる
AutoCAD
しろまる
AutoCAD
- しろまる
AutoCAD
BIM/CIM Ark
しろまる
InfraWorks
しろまる
Navisworks
【取組目的・活用内容】
清水港日の出岸壁(-12m)における改良工事を対象に、3 次元モデルを作成した。
施工段階での 3 次元モデルの効果的な活用を目的として、
3 次元モデルに時間軸を与えることで 4D シミ
ュレーションを実施し、計画工程の確認や鋼管杭の仮置計画に活用した。
【効果】
・3 次元モデル上で確認をすることで視認性がよくなり、仮置きする上での既設構造物との干渉検討な
ども容易になった。
・従来の 2 次元図面では把握しづらい 3 次元的な干渉が容易にチェック可能。
【課題】
・設計と施工のスムーズな引継ぎのため、構造物モデルや地形モデルは、建設地点の平面直角座標系を
反映したモデルを作成するようにして欲しい。
・IFC ファイルのフォーマットが確立していない状況が、設計から施工への属性情報引継ぎを困難にし
ていると思われる。
・3D-PDF から切り出した断面は構造物の形状(形状データ)は抽出できるが、寸法や材料・強度などの
<推奨項目:視覚化による効果(施工ステップの確認)>
- 40 -
情報(構造特性)まで抽出ができない。
「3 次元モデル表記標準(案)
」では、形状データと構造特性
の他に、モデル管理情報も合わせた「3DA モデル」を基本としているが、3DA モデルに十分対応できて
いるソフトウェアがないのが現状である。
【作成 3 次元モデル等】
図-20.1 鋼管杭の搬入〜仮置〜打設の 4D シミュレーション
- 41 -
CACE 21 施工方法・施工手順の検討や安全性向上に活用
(桟橋)
【事業情報】
業務名 舞鶴港第 2 ふ頭地区岸壁(-10m)改良等工事
発注者 近畿地方整備局 舞鶴港湾事務所
受注者 東洋建設株式会社
工期 令和元年 8 月 15 日〜令和 2 年 3 月 27 日
工種 改良工事
構造形式 直杭式横桟橋
3 次元モデル詳細度 400(構造物:上部工(表層コンクリート)・本体工・付属工)、300(構造物:上部工
(その他))、200(広域地形)
属性付与方法 直接付与、外部参照
【作成モデルと使用ソフト】
線形モデル 地形モデル 地質・土質モデル 道路モデル 構造物モデル 広域地形モデル 統合モデル
- - しろまる
(更新無し)
- しろまる
Revit
しろまる
Civil3D
しろまる
InfraWorks
Navisworks
【取組目的・活用内容】
舞鶴港第 2 ふ頭地区岸壁(-10m)における細部設計を対象に、3 次元モデルを作成した。
施工計画の検討として、車両通行シミュレーション、構造物撤去工(ワイヤーソーイング)におけるシ
ミュレーション、ラフテレーンクレーンの規格検討、ドルフィン上部コンクリート打設方法の検討、ク
ルーズ船旅客通路設置時の施工検討、施工計画書審査会や港運事業者連絡調整会議での説明資料、潮待
ち作業検討等に活用した。
また、
3 次元モデルと現実空間を重ね合わせて表示させる MR(Mixed Reality:
複合現実)ゴーグルを使用してプレキャスト部材を所定の据付位置に誘導可能か検証した。
安全性に関わる検討として、交通規制検討、可視化による危険予知活動、周辺環境との位置関係を 3 次
元モデル化して安全教育に活用、
VR(Virtual Reality:仮想現実)ゴーグルを用いた安全教育を行った。
【効果】
・工事に関わる調整内容で「経路」や「場所」の説明に 3 次元モデルを使用すると臨場感を伴った説明
となり分かりやすいものにできた。3 次元的に可視化することにより齟齬の発生が防止された。
・潮位変動や干満時の状況を 3 次元モデルによって再現し、作業可能時間の設定および周知を適切に行
うことができた。
・施工方法、施工手順の検討:事前検討による手戻り防止、現場運営の円滑化
・安全性に関わる検討:可視化、VR 化による理解度向上
<推奨項目:視覚化による効果(現場条件の確認)>
- 42 -
【課題】
・MR ゴーグルを使用し表示した 3 次元モデルの位置に梁ブロックを誘導・合図して設置は可能だが、「3次元モデルの表示誤差>据付法線規格値」となっており現状実用的ではない。急な動きにより、空間
認識が途切れたり誤認識することにより 3 次元モデルの表示精度が低下する。デバイスの操作は独特
で慣れが必要である。
・複数ソフトを使いこなす必要があり、導入コストが非常に高額。BIM/CIM 普及を阻害する要因に。
・外部参照方式で属性情報を付与すると、同一ソフトウェアでないと情報を引き継げない。
・直接付与方式で属性情報を付与すると、時間を要するため生産性の向上につながらない。・統合モデルに属性情報を付与するソフトは存在するが高額で、
オリジナルファイル形式に限定される。
・現状は従来方式との併用で二重管理となり現場職員への負担が大きく生産性向上から逆行している部
分がある。一朝一夕にシステムを変革することはできないが、思い切った切替えを望む。
【作成 3 次元モデル等】
図-21.1 VR による安全周知、干満時検討、MR の活用状況

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /