ブルーカーボン生態系の温室効果ガス インベントリ反映に向けた方針


Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
ブルーカーボン生態系の温室効果ガス
インベントリ反映に向けた方針
港湾局 海洋・環境課
資料2
世界のブルーカーボンの活用に向けた取組の動向
国 名 ブルーカーボンの活用に関する取組
米国
・GHGインベントリでマングローブ、干潟の創出・消失について
算定(吸収量:約1,000万t-CO2/年)1)
英国
・GHGインベントリでケイマン諸島のマングローブの吸収・開発
地への転換等に伴う排出について算定(排出量:約4,000t-
CO2/年)1)
・連邦海洋経済プログラムを通して途上国支援2)
オーストラリア
・GHGインベントリでマングローブ植林、塩性湿地の消失、海草
藻場の消失について算定 (約30万t-CO2/年の吸収)1)
・IPBCへの支援3)
マルタ
・GHGインベントリで湿地再生について算定(吸収量:20t-CO2/
年)1)
インドネシア
・GHGインベントリでマングローブを森林の一部として算定4)
・マングローブ・海草藻場による緩和ポテンシャルに言及4)
中国
・隔年更新報告書においてブルーカーボンを吸収源の増大策と
して言及4)
・GHGインベントリには未反映4)
サウジアラビア
・ブルーカーボンイニシアチブを通じて、ペルシャ湾における調
査を実施4)
・GHGインベントリへの反映は未反映4)
日本(参考)
・「地球温暖化対策推進計画」(2021.10閣議決定)や「経済財
政運営と改革の基本方針2023」(2023.6閣議決定)において
ブルーカーボンの活用の推進について記載
・GHGインベントリでマングローブによる吸収について算定
(吸収量:約2,000t-CO2/年)
しろまる米国、オーストラリア等では、IPCC湿地ガイドラインに基づき温室効果ガスの吸収量を
算定し、自国の温室効果ガス(GHG)インベントリに計上。
しろまるパリ協定の「自国の決定する貢献(NDC)」において、気候変動の緩和・適応の面から、
ブルーカーボンの活用に言及している国も多くある。
パリ協定のNDCで、沿岸浅海域あるいは
ブルーカーボンの活用に言及している国(2016年時点)
パリ協定の「自国の決定する貢献(NDC)」
において、浅海域あるいはブルーカーボン
活用に言及している国
緩和効果 : 28カ国 適応効果 : 59カ国
薄灰色:緩和効果のみに言及 中灰色:適応効果のみに言及
黒色:両効果に言及
1) 港湾空港総合技術センター業務報告書(2023.4)より引用(各国のGHGインベントリ資料(2022,4) の調査結果)
2) Voluntary Commitment (#OceanAction19609)
3) International Partnership for Blue Carbon (IPBC), 2015年に設立された国際組織
4) 港湾空港総合技術センター業務報告書(2023.4)より引用(各国の国別報告書(NC)、各年更新報告書(BUR) の
調査結果)
出典:「ブルーカーボン」(地人書館)1 マングローブ 藻場(海草・海藻) 干潟
2023.4提出のインベントリに計上 CO2吸収量算定手法等を検討中
(早ければ2024.4提出のインベント
リへの計上を目指す)
今後検討
我が国におけるブルーカーボン生態系のGHGインベントリ反映に向けた方針1
【現状】
しろまる 海草藻場のCO2吸収量に関しては、マングローブや塩性湿地と同等にIPCCガイドラインに算定の
方法論が示されているが、海藻藻場は明示されていない。
しろまる 諸外国ではオーストラリアが海草藻場からのCO2排出量(生態系面積の減少分)を算定している
のみで、海藻藻場の算定実績を有する国は存在していない。
〇 我が国では、 独自に海草・海藻を対象に分布面積の算定手法の研究(港湾空港技術研究所)や
吸収係数に係る研究(水産研究・教育機構)等が進んでいるところ。2【今後の方針】
 ブルーカーボン生態系によるCO2吸収量をGHGインベントリに計上することはブルーカーボンの
活用促進につながることから、実現可能なものから速やかにGHGインベントリへの計上を実現す
る方向で取り組むとの方針の下、藻場(海草・海藻)についてCO2吸収量に係る算定手法の検討
を加速する。
我が国におけるブルーカーボン生態系のGHGインベントリ反映に向けた方針2
【海草・海藻を対象とした分布面積の算定手法について】
〇 港湾空港技術研究所において、2段階で海草・海藻の分布面積の算定手法を検討中。
1環境データを活用した全国の海草・海藻の分布推計手法
2ブルーカーボンの高精度データ把握・管理システム(グリーンレーザー等を搭載したド
ローン)を活用した海草・海藻の分布計測手法 (開発期間:2022〜2024年度)
〇 2024.4時点のインベントリには、現段階で報告可能となる見込みがある1の手法を採用。
しろまる 将来的には、2に手法による、より精度が高い計測手法の実用化後、2の手法も活用
し、インベントリの情報をアップデートする。
グリーンレーザーを搭載したみちびき
対応ハイブリッドドローン(試作機)
【第1段階(2024.4時点)】環境データを活用した全国の海草・
海藻の分布推計手法を活用
【第2段階(将来)】ブルーカーボンの高精度データ把握・
管理システムを活用
地形、底質、水温、
クロロフィル濃度、波浪、日射量
環境データ
藻場分布の推定結果(試計算結果)
面積(観測値・推定値)
CO2吸収量の算定
1推計手法
面積(推定値)
現地観測
ブルーカーボンの高精度データ把握・ 管理システム
グリーンレーザーによるケーソン周り
の計測結果(輪島港) (注記)手前が藻場3

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