3次元データを用いた港湾工事数量算出要領
(海上地盤改良工:床掘工・置換工編)
(令和 3 年 4 月版)
令和3年3月
国土交通省 港湾局
目 次
第 1 章 総則 ........................................................ 1
1.1 目的 .................................................................... 1
1.2 適用範囲 ................................................................ 1
1.3 用語の解説 .............................................................. 1
第 2 章 床掘工・置換工 数量算出要領 ................................. 3
2.1 数量算出項目 ............................................................ 3
2.1.1 床掘工 .............................................................. 3
2.1.2 置換工 .............................................................. 3
2.2 数量区分 ................................................................ 4
2.2.1 床掘工 .............................................................. 4
2.2.2 置換工 .............................................................. 6
2.3 数量算出方法 ............................................................ 7
2.4 電子成果品の作成規定.................................................... 10 1第 1 章 総則
1.1 目的
1.2 適用範囲
1.3 用語の解説
【マルチビーム】
マルチビームとは、ナロー(細かい)マルチ(複数の)ビームによる測深が名前の由来で
あるナローマルチビームシステムを略した表現のことである。
【マルチビームを用いた出来形管理】
マルチビームを用いて深浅測量を実施し、
3次元の海底形状を取得することで、
出来形や
数量を面的に把握、算出する管理手法である。
【3次元設計データ】
3次元設計データとは、法線(平面線形、縦断線形)
、縦断図、横断図および利用する座
標系情報など設計図書に規定されている工事目的物の形状とともに、それらを TIN などの
面データで出力したものである。
【TIN データ】
TIN(不等辺三角網)とは、Triangulated Irregular Network の略。TIN は、地形や出来
形形状などの表面形状を3次元座標の変化点標高データで補間する最も一般的なデジタル
データ構造である。TIN は、多くの点を3次元上の直線で繋いで三角形を構築するものであ
る。TIN は、構造物を形成する表面形状の3次元座標の変化点で構成される。
本要領は、
海上地盤改良工事
(床掘および置換工事)
における工事数量
(床掘土量(純土量)
、置換材投入量)算出の簡素化を目的として、マルチビームによる深浅測量等に
より取得された3次元データを用いた床掘土量、置換材投入量の算出方法をとりまと
めたものである。
本要領は、海上地盤改良工事(床掘および置換工事)における工事数量を、3次元デ
ータを用いて算出する場合に適用する。
本要領で使用する用語を以下に解説する。 2【計測点群データ(ポイントファイル)】マルチビーム測量で計測した水深を示す3次元座標値の点群データ。点群処理ソフトウ
ェアなどでのデータ処理前のポイントのデータである。
【出来形評価用点群データ(ポイントファイル)】マルチビーム測量で計測した計測点群データから不要な点を削除し、さらに出来形管理
基準を満たす点密度に調整したポイントデータである。専ら出来形の評価と出来形管理資
料に供する。
【数量算出用点群データ(ポイントファイル)】マルチビーム測量で計測した計測点群データから不要な点を削除し、さらに数量算出基準
を満たす点密度に調整したポイントデータである。専ら数量(土量)の算出と数量算出資料
に供する。
【数量計測データ(TIN ファイル))】
数量算出用点群データを用いて、不等辺三角網の面の集合体としての面を構築したデー
タのことで、数量算出に利用する。 3第 2 章 床掘工・置換工 数量算出要領
2.1 数量算出項目
2.1.1 床掘工
(1) 純土量
純土量とは、設計図の現地盤高と計画床掘深度より求まる土量をいう。
2.1.2 置換工
(1) 投入量
投入量は、置換材投入後の計画地盤高より求まる純数量を対象とする。
工事数量として、
床掘土量、
置換材投入量のそれぞれについて算出する。
各数量の算
出根拠は、以下のとおりである。 42.2 数量区分
2.2.1 床掘工
(1) 異なる作業船、機械を使用する場合
異なる種類の作業船、機械を使用する場合は、使用する作業船、機械の種類ごとに純土量
を算出する。
(2) 土質、N値
土質およびN値が異なる地層における土質、N値別土量の算定は、原則として以下によ
る。
1 土質、N値区分は、各土質調査箇所間の 1/2 まで適用する。
2 適用区域内における土質、N値区分の深度は等深とする。
土質、N値区分は、原則として以下による。
3 土質分類別にN値の範囲でN値を区分する。
4 各N値区分の深度は、標準貫入試験深度差の 1/2 とする。
図- 2.1 土質、N値区分
(3) 床掘区域と浚渫区域が接している場合
係留施設の床掘区域と水域施設の浚渫区域が接しており、これを同時に施工する場合の床
掘の算出区分は、係留施設の法線から背後の部分および前面の施工水深以深の部分とし、床
掘は、図- 2.2 に示す部分とする。
床掘工の純土量は、以下の区分により算出する。
なお、置換工については、純数量を求めるもので数量区分はない。 5<計画水深が異なり計画面積の一部が重複する場合>
図- 2.2 床掘の算出区分
【参考】
予算費目が異なり同時に施工する場合は、図- 2.3、図- 2.4 のとおり算出する。
(複数工事が同時に施工され競合する場合)
1 他の事業の区域と平面で接している場合は、境界線により区分して算出する。
A:床掘区域、B:浚渫区域
<同一水深の場合>
図- 2.3 同一水深の場合の算出区分
<水深の異なる場合>
図- 2.4 水深の異なる場合の算出区分 6(4) 砕岩床掘における余砕厚
岩盤の砕岩量は、純砕岩量に余砕量を加算して算出する。岩砕後の床掘土量は、
「2.1.1
(1)純土量」を適用する。
表- 2.1 砕岩床掘における余砕厚
区分 余砕厚 摘要
岩盤 0.3m
(出典)
「港湾土木請負工事積算基準 令和 2 年度改訂版」
図- 2.5 砕岩床掘における余砕厚の概念図
2.2.2 置換工
置換工については、置換材の純数量を求めるものである。
なお、置換材の純数量を算出にあたっては、以下を考慮する。
(1) 数量計算の非控除
純数量を算出するにあたり、以下の示す内容のものは純数量から控除はしない。
表- 2.2 数量計算の非控除
種別 細別 内容 控除しないもの
置換工 置換材 置換砂
外径 0.5m 未満の管類およびこれに相当するもの。
杭類(コンクリート杭、鋼杭、木杭、鋼矢板等)
(出典)
「港湾土木請負工事積算基準 令和 2 年度改訂版」 72.3 数量算出方法
(1) 3次元 CAD または GIS ソフト等を用いた数量計算方法
3次元データを用いた床掘工・置換工の数量計算は、マルチビーム測深で取得された3次
元点群データのうち、1.0m 平面格子内のデータの中央値を抽出して作成された TIN により求
める方法を標準とする。
ただし、TIN により求める方法以外の方法により土量計算を行う場合や、マルチビーム測
深で正しく水深を捉えられず、標準の点密度の取得が困難な場合には、監督職員と対応を協
議する。
1 TIN 分割等を用いて求積する方法
3次元設計データや深浅測量(起工測量)結果から、それぞれの面データとして TIN か
らなる面データを作成したうえで、
施工水深値にて施工水深面を設定し、
各 TIN の水平投
影面積と、TIN を構成する各点から施工水深面までの高低差の平均(平均高低差)を乗じ
た体積を総和する。
図- 2.6 TIN 分割等を用いて求積する方法の概念図
2 プリズモイダル法
3次元設計データや深浅測量(起工測量)
、出来形測量結果等からそれぞれの面データ
として TIN からなる面データを作成し、面データのポイントの位置を互いの面データに
投影する。
次に各面データから、本来の自身が持つポイントと相手のポイントを合わせたポイン
ト位置により新たな三角網を形成し、この三角網の結節点の位置での高低差に基づき複
合した面データの水深を計算する。面データの各 TIN を構成する点をそれぞれの面デー
タに投影すると各面データに同じ水平位置で水深の異なる点が作成されるので、その作
成された点で再度面データを構築し、三角形水平面積と高低差を乗じた体積を総和する。
3次元データを用いた数量算出は、3次元 CAD または GIS ソフト等を用いた以下の
方式によることを標準とする。 8図- 2.7 プリズモイダル法の概念図
【解 説】
<数量計算の手法>
TIN による数量計算手法には、前述にて規定した1、2の2つの手法があり、これらは数
量計算をする際のモデル形状の違いにより、その手法が異なっており、使い分けることがで
きる。
1 TIN 分割等を用いて求積する方法
TIN モデルとある一定面(平面)との間のボリューム計算を行う場合に用いる手法
である。例えば、現況地形と計画地形(施工水深)との間の数量計算を行うことがで
きる。
2 プリズモイダル法
TIN モデル同士の間のボリューム計算を行う場合に用いる手法である。
例えば、起工測量地形と竣工測量地形との間の数量計算を行うことができる。
なお、ある基準面を設定すれば、1の手法により、起工測量地形と竣工測量地形と
の間の数量計算を行うことも可能である。
(例)起工測量地形⇔竣工測量地形の土量
=(起工測量地形:ある基準面上の土量)-(竣工測量地形:ある基準面上の土量)
注)3次元 CAD または GIS ソフト等で算出困難な形状や、複雑な算出方法を要する場合
は、発注者との協議により、発注図書に合わせた平均断面法による数量計算を行うこ
とができる。
<特殊な現場条件の数量計算手法>
薄層施工や、起伏が多い箇所等の特殊な現場条件において、算出土量と実際の施工数量の
大きく乖離する場合には、数量算出方法について、監督職員と対応を協議する。 9<数量計算結果の表示>
床掘工の数量計算の場合は、
「2.2.1 (2) 土質、N値」に記載のとおり、土質、N値毎に
土量を算出する必要がある。床掘工の数量算出にあたっては、数量算出ソフトウェアを用い
て、土質、N値毎に土量を算出する。
また、置換工の数量計算の場合は、計画高までの投入量を数量算出ソフトウェアを用いて
算出する。
それぞれの算出結果は、以下に示す数量総括表(図表は記載例)として整理することを原
則とするが、使用するソフトウェアの性能等により、これによりがたい場合は、監督職員と
対応を協議する。
しかく数量総括表(床掘工)記載例
土質分類 N値、状態 純土量(m3)
粘土質系土砂 5 未満 999,999.9
5〜10 〃 999,999.9
10〜20 〃 999,999.9
砂質系土砂 10 〃 999,999.9
10〜30 〃 999,999.9
レキ混り土砂 30 〃 999,999.9
30〜50 〃 999,999.9
合 計 - 999,999.9
しかく数量総括表(置換工)記載例
区分 純数量(m3)
置換材投入量 999,999.9
図- 2.8 数量総括表の例 102.4 電子成果品の作成規定
電子成果品の作成規定は、
「3次元データを用いた出来形管理要領(海上地盤改良工:床掘
工・置換工編) (令和 3 年 4 月改定版)」 5.3 電子成果品の作成規定」を参照。 11(参 考)
表- 2.3 数量扱い一覧
工事名称 規格・形状寸法 単位 数量 参考数量
床掘工 計画水深 –しろまる.しろまる
法面勾配 1:しろまる
m2 しろまるしろまる
参考扱い数量
(内 訳)
しろまるしろまるしろまるしろまるm3
しろまるしろまるしろまるしろまるm3
置換工 計画水深 –しろまる.しろまる m2 しろまるしろまる
参考扱い数量
投入量 しろまるしろまるm3
表- 2.4 数量のまとめ表(記入例)
(床掘)
土質 区分 純 土 量(m3) 合 計(m3) 適 用
粘土質土砂 10 未満 567.8 952.8
" 10〜30 未満 5,432.6 6,864.5
砂質土砂30〜50 未満 123.6 123.6
レキ混り土砂 30 未満 9,987.1 11,552.4
合 計 16,111.1 19,493.3
(置換)
区分 純 土 量(m3) 合 計(m3) 適 用
置換材 投入量 16,111.1 19,493.3
合 計 16,111.1 19,493.3
(注記)なお、数量の端数処理は、少数点第一位止めを原則とする
(小数点第二位を四捨五入)。

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