官庁営繕事業における BIM 活用ガイドライン
(令和6年改定)
平成26年3月19日 国営施第15号
最終改定 令和6年3月21日 国営施第23号
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このガイドラインは、国土交通省官庁営繕部及び地方整備局等営繕部が官庁施設の営繕
を実施するための資料として作成したものです。
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国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課施設評価室 1官庁営繕事業における BIM 活用ガイドライン
1. 目的
「官庁営繕事業における BIM 活用ガイドライン」
(以下「本ガイドライン」という。
)は、
官庁営繕事業における BIM データの作成及び利用(以下「BIM 活用」という。
)の目的、考え
方、活用方法等を示すことにより、官庁営繕事業における円滑かつ効率的な BIM 活用に資す
ることを目的とする。
2. 本ガイドラインの構成
「4.官庁営繕事業における BIM 活用の考え方」に官庁営繕事業における BIM 活用の目
的、考え方等を示し、これに従い BIM 活用を行うに際しての BIM 活用の方法の例を「5.設
計段階における BIM 活用例」、「6.施工段階における BIM 活用例」及び「7.維持管理に向
けた資料等の作成における BIM 活用例」に示す。
3. 用語の定義
(1) BIM (Building Information Modelling)
コンピュータ上に作成した主に3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・
部材の仕様・性能、仕上げ等、建築物の属性情報を併せ持つ建物情報モデルを構築する
ものをいう。
(2) BIM モデル
コンピュータ上に作成した3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・部材
の仕様・性能、仕上げ等の建築物の属性情報を併せ持つ建物情報モデルをいう。
(3) BIM データ
BIM モデルに加え、BIM 上での2次元による加筆(以下「2次元加筆」という。
)も含
めた全体の情報をいう。
(4) BIM ソフトウェア
総合(令和6年国土交通省告示8号別添一第1項第一号ロ(1)及び第二号ロ(1)に規定
する「設計の種類」における「総合」をいう。以下同じ。)、構造、電気設備、機械設備
等の分野の BIM モデルを作成するためのソフトウェアをいう。
(5) オリジナルファイル
ソフトウェア固有の形式で保存された編集が可能なファイルをいう。
(6) 詳細度
BIM モデルの活用の目的に応じた BIM モデルを構成する BIM の部品(以下「オブジェ
クト」という。
)の形状情報及び属性情報の詳細度合いをいう。
(7) 干渉チェック
柱、梁、天井、ダクト、配管等の建築物を構成する部材(以下「建物部材」という。)等の重なり(干渉)を確認することをいう。 2(8) 空間オブジェクト
床、壁、天井、仮想の区切り等に囲まれた3次元のオブジェクトをいう。
(9) EIR(Employer’s Information Requirements)
(発注者情報要件)
特定の設計業務又は工事において、発注者が示す BIM 活用に関する要件をいう。
(10) BEP(BIM Execution Plan)
(BIM 実行計画書)
特定の設計業務又は工事において、受注者が作成する BIM 活用に関する実行計画書を
いう。
4. 官庁営繕事業における BIM 活用の考え方
4.1 BIM 活用の目的
設計業務及び工事の品質の確保及び事業の円滑化を図り、
これらを通じて生産性の向上に
資することを目的として BIM 活用を推進する。
また、設計段階又は施工段階において作成した BIM データが、維持管理段階における BIM
活用につながるものとなるよう知見の蓄積を図る。
4.2 BIM 活用の考え方
(1) 設計業務及び工事の品質の確保及び事業の円滑化に資する BIM 活用の項目を、発注者
が BIM 活用を指定する項目(以下「指定項目」という。
)又は推奨する項目(以下「推奨
項目」という。
)として設定する。推奨項目における BIM 活用は、受注者の判断により実
施するものとする。
(2) 指定項目又は推奨項目とする項目は、各事業の特性、各項目の BIM 活用の普及状況等
に応じて設定する。
(3) 指定項目又は推奨項目のいずれにも該当しない項目(以下「その他の項目」という。)についても、受注者の判断による BIM 活用を可能とする。また、その他の項目として受
注者が行った BIM 活用の内容、効果等を把握し蓄積して、指定項目又は推奨項目の設定
等の参考とする。
(4) 設計業務の指定項目において作成し成果品として提出を受けた BIM データ(以下「設
計 BIM データ」という。
)の中に、実施設計図書の作成に用いたものがある場合は、施工
段階において当該設計 BIM データを参考として活用可能とすることを検討する。
4.3 設計業務及び工事における BIM 活用に係る条件明示
(1) 発注者は、発注図書の一部として EIR を提示するものとし、EIR に指定項目又は推奨項
目について明示する。なお、施工段階において参考として活用可能な設計 BIM データが
ある場合は、当該設計 BIM データの貸与が可能である旨を工事の EIR に明示する。
(2) 設計業務又は工事の受注者は、発注者が提示する EIR に基づき BEP を作成し、これに
基づき BIM 活用を行う。なお、BEP には次に掲げる項目を掲載する。 31 指定項目
2 推奨項目のうち、受注者が BIM 活用を行うもの
3 その他の項目で、受注者が BIM 活用を行うもの
5.設計段階における BIM 活用例
設計図書の作成に向けて作成する BIM データを利用し、設計過程における設計条件と設
計内容の整合性の確認、
設計内容の検証及び説明等に BIM を活用することを想定し、
BIM 活
用の例を示す。
なお、BIM 活用の例は、BIM ソフトウェア単体で実施できることのほか、BIM ソフトウェ
アのアドインプログラム、又は BIM ソフトウェア以外のソフトウェアを用いて実施するも
のを含めて記載している。
(6.及び7.において同じ。)5.1 設計条件等と設計図書の整合性の確認
5.1.1 設計条件と設計内容の整合性の確認
(1) 概要
主に基本設計段階に、設計条件に係る情報の共有、設計条件と設計内容の整合性の効率
的な確認、発注者等(発注者及び施設管理者をいう。以下同じ。
)へのその確認状況の説明
のため、BIM データを提示する。
(2) BIM 活用の方法
BIM モデルの各室等の空間オブジェクトの属性情報に、各室等を使用する官署名、防犯
性等の性能の水準、積載荷重、設備に関する諸元情報、空調方式等の設計条件を入力し、
BIM ソフトウェア上で設計条件を表示しながら設計内容との整合性を確認する。
また、設計条件に応じた色分け分類に係る設定を併せて入力し、設計条件と設計内容の
整合性を確認するとともに、発注者等への説明等に用いる色分け図を作成し、発注者等へ
提示する。
図1 色分け図の例 45.1.2 建築物の高さ制限等の確認
(1) 概要
主に基本設計段階に、建築物の高さに係る法令上の諸条件と設計内容の整合性の効率的
な確認のため、BIM モデルの情報を利用してシミュレーションを行う。
(2) BIM 活用の方法
シミュレーション用のアドインプログラムやソフトウェアにおいて、BIM モデルの敷地
及び建築物に係る情報を読み込むとともに、高さ制限、日影規制等の法令上の諸条件を入
力し、建築物のボリューム、建築可能な高さの範囲等を可視化して、設計内容が法令上の
諸条件を満たしているか確認する。
図2 建築可能な高さの範囲を可視化した例
5.1.3 防火区画等の確認
(1) 概要
主に基本設計段階に、防火区画等に係る法令上の諸条件と設計内容の整合性の効率的な
確認のため、BIM データを活用する。
(2) BIM 活用の方法
BIM モデルの壁、建具等のオブジェクトの属性情報に、防火区画の構造方法等の法令上
の適用事項を入力するとともに、空間オブジェクトの属性情報に、内装制限等の法令上の
適用事項を入力する。BIM ソフトウェア上で法令上の適用事項を表示しながら設計内容と
の整合性を確認する。
また、防火区画等の法令上の適用事項に応じた色分け分類に係る設定を併せて入力し、
防火区画等に係る法令上の諸条件と設計内容の整合性の確認等に用いる色分け図を作成す
る。
5.2 周辺への影響の検討
(1) 概要
主に基本設計段階に、敷地周辺へのビル風、光害等に係る影響の効率的な検討のため、
BIM モデルの情報を利用してシミュレーションを行う。 5(2) BIM 活用の方法
BIM モデルに、
敷地周辺の建築物、
街路樹等のオブジェクトについても配置し、
シミュレ
ーションに必要となる形状情報及び属性情報を入力する。
シミュレーション用のソフトウェア等において、BIM モデルの敷地及び建築物の情報と
ともに敷地周辺の建築物等に関する情報を読み込み、風速、風向、建設地の緯度経度等の
条件を入力して、敷地周辺への風環境、光害等に係る影響のシミュレーションを行う。
図3 風環境の検討例
5.3 光環境の検討
(1) 概要
主に基本設計段階に、建築物内部の光環境の効率的な検討のため、BIM データを活用し
てシミュレーションを行う。
(2) BIM 活用の方法
BIM モデルに、敷地周辺の建築物、街路樹等のオブジェクトについても配置し、BIM ソフ
トウェア上で、建設地の緯度経度、日時等の条件を入力して、建築物内部の各室等におけ
る自然採光による光環境のシミュレーションを行う。
図4 光環境の検討例
5.4 温熱環境の検討
(1) 概要
主に基本設計段階に、建築物内部の温熱環境の効率的な検討のため、BIM モデルの情報
を利用してシミュレーションを行う。
(2) BIM 活用の方法
BIM モデルに庇等のオブジェクトを配置するとともに、
窓・断熱材等の属性情報に、
断熱
性能等を入力する。 6シミュレーション用のソフトウェア等において、BIM モデルの建築物に係る情報を読み
込み、換気・通風の状況、空気調和設備の機器性能等の条件を入力して、建築物内部の各
室等における温熱環境のシミュレーションを行う。
5.5 建築物の外観及び内観の確認
5.5.1 建築物の外観及び内観の提示
(1) 概要
主に基本設計段階に、発注者等との間における設計内容についての円滑な合意形成のた
め、BIM データを活用して発注者等へ建築物の外観及び内観を提示する。
(2) BIM 活用の方法
必要に応じて BIM モデルに什器等のオブジェクトについても配置し、BIM ソフトウェア
上の3次元ビュー、3次元ビューから作成する動画又は静止画像により、建築物の外観及
び内観を発注者等へ提示する。
なお、設計の進捗段階等を踏まえつつ、仕上げの材質等に関する属性情報の入力を必要
最小限とする、敷地周辺の建築物のオブジェクトはボリュームが分かる程度とする、点景
の配置は不要とするなど、BIM モデルの作成が過度な負担とならないよう留意する。
図5 建築物の外観及び内観の検討例
5.5.2 建築物の完成イメージ図の作成
(1) 概要
実施設計段階に、発注者等へ建築物の完成イメージを示すため、BIM モデルの情報を利
用して完成イメージ図を作成する。
(2) BIM 活用の方法
BIM モデルに、必要に応じて完成イメージ図のために必要となる形状情報及び属性情報
を追加する。
デザイン用のソフトウェア等において、BIM モデルの敷地及び建築物に係る情報を読み
込み、点景及び敷地周辺の建築物の配置等を行い建築物の外観及び内観の完成イメージ図
を作成し、発注者等へ提示する。 7図6 建築物の完成イメージ図の例
5.6 干渉チェック
(1) 概要
実施設計段階に、また必要に応じて基本設計段階に、納まりの検証を効率的かつ確実に
行うため、BIM データを活用して建物部材の干渉チェックを行う。
(2) BIM 活用の方法
総合、構造、設備の各分野の BIM モデルを、1つの BIM モデルに統合する、BIM ビュー
ア等で重ね合わせて表示するなどして、近接する建物部材の位置関係を3次元で可視化し
て干渉チェックを行う。その際、必要に応じて配管保温材、吊り部材、照明器具、天井等
のオブジェクトについても配置するなどし、建物部材間のクリアランス、施工スペース、
維持管理スペース等の適切な確保についても考慮して確認する。
なお、設計段階においては、資機材の具体的な製造所等が確定していないため、建物部
材が納まる見込みを確認する。
(3次元) (2次元)
図7 干渉チェックの検討例
5.7 数量の算出
5.7.1 概算工事費の算出
(1) 概要
基本設計及び実施設計の各段階に、コスト管理のための概算工事費の算出における効率
的な数量算出、精度の向上等のために、BIM データを活用する。
(2) BIM 活用の方法
数量算出の対象となる BIM モデルのオブジェクトに、数量算出に必要となる形状情報及 8び属性情報を入力する。その際、コンクリート躯体のように、複数の部材のオブジェクト
が組み合わされているものについては、概算精度の向上のため、BIM ソフトウェアの包絡
処理、勝ち負け処理等の機能を利用するなどして、部材間の重複や欠落を生じさせないよ
う留意する。
BIM ソフトウェアの集計機能により、
BIM モデルの情報から概算工事費の算出に使用する
室面積、仕上げ面積、資機材の個数・重量等の数量を算出する。
なお、BIM モデルの情報を利用することで数量算出の省力化が図られる機能を搭載した
積算用ソフトウェアを利用する方法もある。その際、IFC(ISO16739-1:2018 の国際規格を
いう。
)ファイルに変換すると包括処理等が無効になる場合があることに留意する。
5.8 設計図書等の作成
5.8.1 基本設計図書等の作成
(1) 概要
設計条件と設計内容の整合性、図面間の整合性等を確保しつつ作成した BIM データを活
用して、基本設計図書等を作成する。
(2) BIM 活用の方法
1 作成する設計図書
基本設計図書のうち、図面に該当する次の設計図書を対象とする。
分野 設計図書
総合 配置図、平面図、立面図及び断面図
2 設計図書の作成
総合分野の BIM モデルについて、必要なオブジェクトを配置し、形状情報及び属性
情報を入力する。
BIM モデルに必要な2次元加筆(図面上に表示したい形状情報及び属性情報をタグ
付け機能等により図面上に表示させることを含む。以下同じ。
)を行い、設計図書を作
成する。
3 その他の成果品の作成
工事費概算書は、5.7.1 を参考に、基本設計図書の作成に用いる BIM データを活用
して概算工事費の算定を行い作成する。
5.8.2 実施設計図書等の作成
(1) 概要
総合、構造、設備の分野間の整合性等を確保しつつ作成した BIM データを活用して、実
施設計図書等を作成する。
(2) BIM 活用の方法
1 作成する設計図書 9実施設計図書のうち、BIM データを用いて合理的に作成できると考えられる次の設
計図書を対象とする。
【一般図等】
分野 設計図書
総合 配置図、平面図、立面図、断面図、面積表及び求積図、仕上表並びに建具表構造 伏図、軸組図及び部材断面リスト図
電気設備 電力設備配線図(幹線)、受変電設備配置図及び配線図並びに発電設備配
置図及び配線図
機械設備 空気調和設備平面図及び給排水衛生設備平面図
【詳細図等】
分野 設計図書
総合 展開図、天井伏図、矩計図、平面詳細図、断面詳細図及び部分詳細図
構造 構造詳細図
電気設備 機器仕様
機械設備 機器表
2 設計図書の作成
総合分野の BIM モデルについて、基本設計図書の作成に用いた BIM データに、更に
必要なオブジェクトを配置し、形状情報及び属性情報を入力するなどして作成する。
構造分野の BIM モデルについて、構造計算に用いた解析モデルの情報を読み込み、
更に必要なオブジェクトを配置し、形状情報及び属性情報を入力するなどして作成す
る。
設備分野の BIM モデルについて、設備機器のほか、干渉チェックの対象とする配管
等のオブジェクトを配置し、必要となる形状情報及び属性情報を入力するなどして作
成する。その際、設備機器の属性情報については、設備計算に用いた機器の性能及び
仕様に関する情報を利用して入力する。
総合、構造、設備の各分野の BIM モデルに必要な2次元加筆を行い、設計図書を作
成する。
なお、総合分野の面積表、仕上表、建具表、電気設備分野の機器仕様、機械設備分
野の機器表は、BIM モデルから必要な情報が自動的に読み込まれる集計表を設定し、
BIM モデルと連動させて作成する。
3 その他の成果品の作成
工事費概算書は、5.7.1 を参考に、実施設計図書の作成に用いる BIM モデルの情報
を利用して概算工事費の算定を行い作成する。
透視図は、5.5.2 を参考に、実施設計図書の作成に用いる BIM モデルを利用して作
成する。
次の内容についての設計 BIM データ説明資料を、発注者の実施設計図書の審査、使 10用等に際しての参考として作成する。
・図面表記のうち BIM モデルと連動しない箇所が分かる資料(図面別に BIM モデ
ルと連動しない箇所を列記した資料、BIM モデルとの連動の有無により色分け
した図面、等)
・モデリング・入力ルール
5.8.3 設計図書の図面表記の方法
BIM モデルから設計図書を作成する際に、
「建築工事設計図書作成基準」及び「建築設備
工事設計図書作成基準」に基づく図面表記のうち、BIM ソフトウェア上での作業が著しく
合理的でないものがある場合は、発注者と協議の上、BIM ソフトウェアでの作業上合理的
で、かつ適切に図面内容を伝達できる図面表記の方法について検討する。
6.施工段階における BIM 活用例
設計 BIM データの貸与を受けてこれを利用するほか、施工段階で新たに BIM データを作成
し、施工計画の検討、説明等に BIM を活用することを想定し、BIM 活用の例を示す。
6.1 施工計画等の検討
6.1.1 仮設計画の検討
6.1.1.1 総合仮設計画
(1) 概要
発注者等及び施工関係者の理解の向上を図りつつ、
施工計画等を効率的に検討するため、
BIM データを活用して総合仮設計画の検討を行う。
(2) BIM 活用の方法
BIM モデルに、足場、重機等の仮設、搬入・揚重する大型の資機材等のオブジェクトを配
置する。
BIM ソフトウェア上で3次元ビューを表示し、施工手順を追いながら、敷地内に重機の
動線及び稼働スペース、大型の資機材の搬入経路等が確保されているかの検討を行う。ま
た、BIM ソフトウェア上の3次元ビュー、3次元ビューから作成した動画又は静止画像に
より、発注者等及び施工関係者への説明を行う。
また、BIM ソフトウェアの集計機能を活用して足場等の数量を算出し、調達数量の検討・
管理に活用する。 11図8 総合仮設計画の検討例
6.1.1.2 コンクリート打設計画
(1) 概要
施工計画等を効率的に検討するため、BIM データを活用してコンクリート打設計画の検
討を行う。
(2) BIM 活用の方法
コンクリート躯体に係る BIM モデルを作成し、BIM モデルにおいてコンクリート打設の
工区割りを設定するとともに、BIM ソフトウェアの集計機能によりコンクリートの工区毎
数量を算出し、コンクリート打設計画を検討する。
6.1.2 デジタルモックアップ
6.1.2.1 配筋検討
(1) 概要
発注者及び施工関係者の理解の向上を図りつつ、施工計画等を効率的に検討するため、
BIM データを活用して鉄筋の納まり及び施工手順の検討を行う。
(2) BIM 活用の方法
基礎や柱梁接合部について鉄筋オブジェクトを配置した BIM モデルを作成し、BIM ソフ
トウェア上で3次元ビューを表示し、配筋の納まりの確認及び施工手順の検討を行う。ま
た、BIM ソフトウェア上の3次元ビュー、3次元ビューから作成した動画又は静止画像に
より、発注者及び施工関係者への説明を行う。
図9 柱梁接合部における配筋の検討例 126.1.2.2 内外装、サインの検討
(1) 概要
発注者等及び施工関係者の理解の向上を図りつつ、
施工計画等を効率的に検討するため、
BIM データを活用して、内外装、サイン等の仕上がりのイメージを発注者等及び施工関係
者へ提示する。
(2) BIM 活用の方法
内外装、サイン等の仕上がりの検討に必要なオブジェクトを配置し、形状情報及び属性
情報を入力した BIM モデルを作成する。この BIM モデルにおいて、内外装の色、材質等の
属性情報、サインの設置位置等の設定を変更しながら、BIM ソフトウェア上の3次元ビュ
ーにより、
仕上がりのイメージの比較検討を行う。
また、
BIM ソフトウェア上の3次元ビュ
ー、3次元ビューから作成した動画又は静止画像により、発注者等及び施工関係者への説
明を行う。
図 10 外装の仕上がりの検討例
6.1.2.3 スイッチ類の位置調整
(1) 概要
発注者等及び施工関係者の理解の向上を図りつつ、
施工計画等を効率的に検討するため、
BIM データを活用して、室内のレイアウト等とともにスイッチ類の位置及び大きさを検討
する。
(2) BIM 活用の方法
スイッチ類を設置する室等に係る BIM モデルを作成し、スイッチ類のほか、什器等のオ
ブジェクトを配置する。
BIM ソフトウェア上の3次元ビューにより、室内のレイアウトとともにスイッチ類の設
置位置を確認・検討する。また、BIM ソフトウェア上の3次元ビュー、3次元ビューから作
成した動画又は静止画像により、発注者等及び施工関係者への説明を行う。
6.2 施工図の作成
6.2.1 躯体図の作成 13(1) 概要
施工図の効率的な検討、整合性の確保のため、BIM データを活用して躯体図を作成する
とともに、詳細の納まり等の検討を行う。
(2) BIM 活用の方法
構造の BIM モデルの情報を利用し、又は施工段階で新たに構造の BIM モデルを作成し、
コンクリートの増打ち等の情報を入力し、必要な2次元加筆を行って躯体図を作成する。
また、BIM ソフトウェア上の3次元ビューにより、タイルの割付、建具枠の納まり、型
枠の割付等の検討を行う。
6.3 干渉チェック
(1) 概要
建物部材間の干渉の確認を効率的かつ確実に行うため、BIM データを活用する。
(2) BIM 活用の方法
干渉チェックに必要となる箇所について、施工段階で作成する各分野の BIM モデルを、
1つの BIM モデルに統合する、BIM ビューア等で重ね合わせて表示するなどして、近接す
る建物部材の位置関係を3次元で可視化して干渉チェックを行う。その際、建物部材間の
クリアランス、施工スペース、維持管理スペース等の適切な確保についても考慮して確認
する。
なお、施工段階においては、具体的な製造所等により、建物部材の寸法に変動が生じる
可能性があることに留意しつつ、
建物部材が干渉することなく施工できることを確認する。
図 11 干渉チェックの検討例
7.維持管理に向けた資料等の作成への BIM 活用例
設計段階又は施工段階で作成した BIM データを利用するなどして、維持管理において利用
する図面、資料等を作成することを想定し、BIM 活用の例を示す。
7.1 施設管理者に引渡す図面、資料等の作成
7.1.1 完成図の作成
(1) 概要
設計段階又は施工段階で作成した BIM データを利用するなどして、施設管理者に引き渡 14される完成図を作成する。
(2) BIM 活用の方法
設計 BIM データを利用し、施工段階における変更を反映するなどして、次に掲げる完成
図を作成する。
完成図の種類
配置図、各階平面図、各立面図、断面図及び仕上表
7.1.2 「建築物等の利用に関する説明書」に用いる図の作成
(1) 概要
設計段階又は施工段階で作成した BIM データを利用するなどして、施設管理者に引き渡
される「建築物等の利用に関する説明書」に用いる図を作成する。
(2) BIM 活用の方法
7.1.1 の完成図の作成に用いた BIM データに、積載荷重、耐力壁等に係る属性情報の変
更・追加等を行う。また、各種条件に応じた色分け分類を設定し、色分け図を作成するな
どして、
「建築物等の利用に関する説明書」に用いる図を作成する。
(平面) (3次元)
図 12 「建築物等の利用に関する説明書」に用いる図の例(耐力壁の可視化)
7.2 維持管理に用いる BIM データの作成
(1) 概要
設計段階又は施工段階で作成した BIM データを利用するなどして、
維持管理に用いる BIM
データを作成する。
(2) BIM 活用の方法
7.1.1 で完成図の作成に用いた BIM データを利用するなどして、関係するオブジェクト
の属性情報に、施工段階で確定した各製品の製造所(製造者)名、製品番号(製品の種類
がわかる程度の情報)等の情報を入力し、施設の維持管理に必要な情報を備えた BIM デー
タを作成する。

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