国土交通省 政策ベンチャー2030
中間報告
平成30年3月29日
未来シナリオ
〜タブー視されてきた
難題にチャレンジ!〜
・人口減少と正面から向き合う
1 「消耗戦による衰退」から「戦略的な撤退」へ
2 「国際観光による外国人との交流促進」から「定住外国人増加への備え」へ
・リスク社会を生き抜く
3 「"絶対安全"信仰」から「脱"絶対安全"」へ
・技術革新を手段として社会構造を進化させる
4 「デジタルな孤立」から「デジタルによる連帯」へ
5 「(不完全な)見えざる手」から「技術による全体最適」へ
・多様な個人の生き方を支え、社会に活かす
6 「組織における肩書き」から「個人としての信用」へ
・行政を変える
7 「後追いの政策」から「アジャイル開発する政策」へ
人口減少と正面から向き合う
1「消耗戦による衰退」から「戦略的な撤退」へ
政策ベンチャー2030人口増加時代からのパラダイム・シフト。希望的観測によらない
撤退戦略に基づき、都市機能の集約、インフラの選択と集中を
推進。持続可能な"引き締まった"国土構造への転換により、日
本全体でより賢く成長し、世界のモデルとなる豊かな社会を実現。
年度 推計結果
2013年 約3.6兆円
2023年 約4.3〜5.1兆円
2033年 約4.6〜5.5兆円
表:将来の社会資本維持管
理・更新費の推計結果
<問題意識>
しろまるなぜ必要なのか:
・人口減少が見込まれているにもかかわらず利用者が少ないインフラを維持するなど、非効率な公共サービスに国の財源が
投入されているケースも多いのではないか?
・補助金や交付税の存在により、地方財政における受益と負担の関係が住民の目から見えづらくなっているのではないか?
しろまる何が実現されるのか:
・受益と負担をバランスさせ、持続可能な見通しを確立。これにより、各地域において、地方公共団体や民間セクターが共
に未来に向けた投資を積極的に行うことが可能に。
・撤退ラインの内側では、インフラ、学校、医療施設等への投資強化とともに、AIやロボット等「未来型」技術を活用した
豊かな暮らしを実現。撤退ラインの外側では、インフラ、公共交通等の公共公益サービスを住民自らが負担。
・コンパクト化された都市を陸海空の頑強な幹線ネットワークで結ぶ、"引き締まった"国土構造へと転換。
しろまるその際考慮すべき事項として、例えば・・・:
・撤退ライン内外の土地・住宅について、今後の管理や利活用のあり方を再整理していく必要があるのではないか?
・誰がどのように撤退基準を決めるのか?撤退ラインの外側から内側に移りたい人々に手を差し伸べるべきではないか?
・自動運転車の普及により高齢者が過疎地で生活し続けることが可能となるなど、テクノロジーの進展により「撤退」の必
要性はなくなるとの考え方もあり得るが、政策担当者としては、手堅く見積もる必要があるのではないか?
2「国際観光による外国人との交流促進」から「定住外国人増加への備え」へ
外国から一時的に日本を訪れる旅行客のみならず、
日本に語学留学等をする短期の滞在者や、職を得て
日本に定住する外国人及びその子弟が激増。日本
社会の多様性が高まり、地域活性化や国際競争力
強化の人的基盤に。
(参考) 東京23区の新成人 8人に1人が外国人だった
(2018年1月12日 日経ビジネスONLINE)
人口減少と正面から向き合う 政策ベンチャー2030<問題意識>
しろまる2018年現在、既に日本には多くの外国人が居住し、多くの分野で外国人労働者に依存している状況:
・ある民間研究機関の分析によれば、2016年に日本の総人口は約16万人減少。
・その内訳は、日本人が約31万人減少、外国人が約15万人増加。(みずほ総研・平成29年7月リポート)
→この現実をまずは直視する必要。今後、日本社会は外国人なしでやっていけるのか?
しろまる外国人の日本社会への包摂について、社会全体で議論していくための準備を始める必要:
・留学や仕事等で日本に滞在する外国人が、そのまま住み続けたいと思えるような国づくりを目指すべきなのではないか?
・そうした中から、日本に定住することを選択した外国人について、労働力として使い捨てにするのではなく、その子弟も
含め、日本社会に包摂していく方途を考えるべきなのではないか?
→現に外国人が多数居住している自治体では、コミュニティの円滑な運営のためにどのようなことを行い、またどのよう
な問題が発生しているか?
今後、定住外国人を日本社会に包摂していく上で必要な施策として、どのようなことが考えられるか? 多様な文化が
受け入れられるような地域づくりのため、どのような施策が必要か?
リスク社会を生き抜く 政策ベンチャー20303「"絶対安全"信仰」から「脱"絶対安全"」へ
近年の災害等の経験により、「絶対安全」はなく、安全の不
確実性を認知した日本人は、新たな技術の進展に伴って
生じるリスクも含め、科学者/市民/政策決定者らがそれ
ぞれの立場で、リスクの度合いを自ら判断・選択するように。 出典)フィクションドキュメンタ
リー「荒川氾濫」(国土交通省 荒川下
流河川事務所/NHK)
<リスクの特性に応じた脱"絶対安全"の方向性>
しろまるイノベーション : リスクとのトレードオフの側面
例)ドローン・自動運転の本格的な社会実装に際し、日常生活への新しいリスクが発生することを受け入れる必要
しろまる自然災害 : 「防災」--→「減災」・・・・・・→「受け流す」?「うまく付き合う」??
しろまる有事 : 今までも存在していたが、あえて目をつぶって「なかったことに」していたリスク
例)専守防衛に当たって、最低限三大都市圏の地下鉄網・地下街をシェルター化するくらいのことが必要では?
しろまる首都機能 : 地震等で東京が壊滅的な被害を受けた場合の国家機能を維持するという観点から、首
都機能の分散を検討する必要はないか。
技術革新を手段として社会構造を進化させる 政策ベンチャー20304「デジタルな孤立」から「デジタルによる連帯」へ
これまで、ネット空間の発達により、生活が格段に便利になる
一方、リアルな社会への参加から隔絶された人々が存在。ロ
ボットやAI技術が高度化し、逆説的に、人間同士のふれあい
や自然との関係の重要性を社会として認識するように。
<あるべき姿の例>
しろまるモビリティ新時代の到来:
・コスト・苦痛が伴う移動を避けてネット通販へ依存する傾向が高まる中、気軽に利用できる自動運転交通の発達により、
商店街で時間をかけて色々な人と会話しながら買物をする人々が増加。海では自動運航船が一般化し、空では「空飛ぶ
タクシー」の社会実装に向けた知見が蓄積されるなど、陸海空のあらゆる領域で移動手段のイノベーションが進展。
しろまるロボットとの共生:
・仕事や家事労働等の一部をロボットに任せて、自由な外出時間が増加。車いすロボット、音声杖ロボット等により、高
齢者や障がい者の生活も充実。
しろまるVRなど新技術の活用:
・VR((注記))観光を入口とした新たな観光資源の発掘、内面的価値(共感、興奮、感動等)を求めるリアルな体験・コミュ
ニケーションの活性化。((注記)) virtual reality : 仮想現実
5「(不完全な)見えざる手」から「技術による全体最適」へ
各主体のリアルタイムな行動調整や柔軟な価格設定が困難であること等から、市場機構
がポテンシャルを十分に発揮できていない分野が存在。スマートフォン、GPS、AI等の
技術により新たに切り開かれた可能性を生かすため、精緻なプライシングや中央制御によ
る「プラン」を補完的に用いることにより、社会の「全体最適」を実現。
技術革新を手段として社会構造を進化させる 政策ベンチャー2030津波などの大規模災害時に、自家用車で避難し
ようとする被災者が殺到することにより渋滞が
発生。
自動車の乗合い、高齢者等の救助などによって
逃げ遅れゼロを目指す総合的な避難プランの確
実な遂行が望まれる。
カナダ・トロント市は、アルファベット社(グー
グル社の親会社)の子会社と提携して、先端技術
を活用した再開発に取り組んでいる。
交通量に応じて、歩道・車道・自転車道の配分を
変更し、道路に埋め込まれたLEDによって表示する
システムを計画中。
非常時の避難 大都市の交通システム
出典)https://sidewalktoronto.ca/
例えば...
しろまる仕事帰りのジム通いの代わりに水防団活動に参加してト
レーニング
しろまるインフラの日常的点検を退職者等を活用して対応
しろまる事故・災害時に、避難所の提供、物資調達等、必要なモ
ノを必要なタイミングで確保
多様な個人の生き方を支え、社会に活かす 政策ベンチャー20306「組織における肩書き」から「個人としての信用」へ
個人の信用可視化を基盤として、個人の資源を、組織を経由せずとも他者に直接提供でき
る社会に変容。その中で、国・自治体も、個人からその都度資源を調達できるように。
しろまる民間市場では個人の持つ資源のシェアリン
グが浸透、利用者増。
しろまる今後、国・自治体等の公共でも、シェ
アリングによるサービス提供が可能に。
(出典)シェアリングエコノミー協会
7「後追いの政策」から「アジャイル開発する政策」へ
行政を変える 政策ベンチャー2030(注記)アジャイル(俊敏な)開発とは、仕様や設計の変更が当然あるという前提に立ち、初めから厳密な仕様は決めず、おおよその仕様だけで
細かい反復開発を開始し、小単位での「実装→テスト実行」を繰り返し、徐々に開発を進めていく手法
変化が早く、また、世界のどの国も経験したことのない
状況に、「誤りのないことを前提とする政策」が原理的
に存在しえないことが共通認識となり、失敗することを恐
れず、「素早く小さい誤りを重ね、学習し続ける(アジャ
イル)政策」が指向されるように。P DA CD CP A
例)Plan Do Check Act
→ Do Check Adjust Plan
新しい施策に
挑戦したい!
なぜいまやるのか?いまやっている
しろまるしろまるで十分なのではないか?ゴールま
での戦略は?全体費用の積算は?いつ
までやるのか?海外では上手くいって
いるのか?国がやらないといけないの
か?世の中のニーズは十分か?・・・
プランを
再検討します
・・・・・・
少しやってみて、
実際の効果を
検証してみます!
• 他国の成功事例を待つか、
「喫緊の課題」になるまで待
つことを強いられる
• 「世界が初めて出会う課題」
に対処できない
• まず小さくスタートさせ、失敗をも管理
し、ゴールすらもこまめに設定、見直し
しながらアジャイルで進める
• 「世界が初めて出会う課題」に対処可能

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