官庁施設の基本的性能基準
(令和6年改定)
平成 25 年3月 29 日国営整第 197 号
国営設第 134 号
最終改定 令和6年3月 25 日国営整第 207 号
国営設第 184 号
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この基準は、国土交通省官庁営繕部及び地方整備局等営繕部が官庁施設の営繕を実施
するための基準として制定したものです。
利用にあたっては、 国土交通省ホームページのリンク・著作権・免責事項に関する利
用ルール (http://www.mlit.go.jp/link.html) をご確認ください。
国土交通省大臣官房官庁営繕部
官庁施設の基本的性能基準(令和6年改定)
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官庁施設の基本的性能基準
第1編 総則
第1章 目的
この基準は、
「国家機関の建築物及びその附帯施設の位置、規模及び構造に関する基準」
(平成6年
12月15日建設省告示第2379号)に基づき国家機関の建築物及びその附帯施設(以下「官庁施
設」という。
)の営繕等を行うに当たり、官庁施設の性能の水準並びに技術的事項及び検証方法を定
め、官庁施設として有すべき性能を確保することを目的とする。
第2章 用語の定義
この基準における次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
1.主要構造部 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第五号に規定する主要構造部を
いう。
2.耐火構造 建築基準法第2条第七号に規定する耐火構造をいう。
3.建築物の周囲において発生する通常の火災 建築基準法第2条第九号の二に規定する当該建築
物の周囲において発生する通常の火災をいう。
4.屋内において発生する通常の火災 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第107
条に規定する通常の火災をいう。
5.屋内において発生が予測される火災 建築基準法第2条第九号の二に規定する屋内において発
生が予測される火災をいう。
6.特定防火設備 建築基準法施行令第112条第1項に規定する特定防火設備をいう。7.密集市街地 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律
(平成9年法律第49号)
第2条第一号に規定する密集市街地をいう。
8.不燃材料 建築基準法第2条第九号に規定する不燃材料をいう。
9.準不燃材料 建築基準法施行令第1条第五号に規定する準不燃材料をいう。
10.活動拠点室 災害応急対策活動を行う拠点となる室をいう。
11.活動支援室 活動拠点室の機能を確保するために必要な室をいう。
12.活動通路 活動拠点室の機能を確保するために必要な通路をいう。
13.活動上重要な設備室 活動拠点室の機能を確保する上で重要な設備室をいう。
14.発生頻度の低い水害 想定最大規模降雨による河川氾濫及び内水氾濫、想定し得る最大規模
の高潮による氾濫、発生頻度は極めて低いものの発生すれば甚大な被害をもたらす最大クラスの
津波による災害をいう。
15.比較的発生頻度の高い水害 河川整備の計画降雨による河川氾濫、既往最大降雨等による内
水氾濫、既往最大規模等の高潮による氾濫、最大クラスの津波に比べて発生頻度が高く津波高は
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低いものの大きな被害をもたらす津波による災害その他水害をいう。
16.稀に発生する暴風 建築基準法施行令第87条、第82条の4又は第129条の2の3に規
定する風圧力を生ずる風をいう。
17.稀に発生する積雪 建築基準法施行令第86条に規定する積雪荷重を生ずる積雪をいう。
18.常時荷重 固定荷重、積載荷重、土圧、水圧及びその他の荷重(車輌等の移動荷重、機器類
の運転荷重、温度荷重等)をいう。
第3章 基本的考え方
1.基本的性能
官庁施設として有すべき主要な性能を官庁施設の基本的性能とし、その項目及び官庁施設又はその
室等の分類に応じた性能の水準を定める。
なお、この基準に定めのない性能の項目又は官庁施設若しくはその室等の分類に応じた性能の水準
については、関係法令等によるほか、必要に応じて別途設定するものとする。
2.技術的事項
官庁施設の基本的性能の各項目について定める性能の水準を有する官庁施設の営繕等を行うため
に必要な技術的事項を定める。
なお、この基準に定めのない技術的事項については、関係法令等によるほか、必要に応じて別途設
定するものとする。
3.検証方法
官庁施設の計画が、技術的事項を満たしているかどうかを検証するための方法を定める。
なお、この基準に定めのない検証方法については、関係法令等によるほか、必要に応じて別途設定
するものとする。
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第2編 官庁施設の基本的性能の項目
官庁施設の基本的性能の項目は、別表に掲げるものとする。
別表 官庁施設の基本的性能の項目
社会性 地域性 地域性
景観性 景観性
環境保全性 環境負荷低減性 長寿命
適正使用・適正処理
エコマテリアル
省エネルギー・省資源
周辺環境保全性 地域生態系保全
周辺環境配慮
安全性 防災性 耐震
対火災
対浸水
対津波
耐風
耐雪・耐寒
対落雷
常時荷重
機能維持性 機能維持性
防犯性 防犯性
機能性 利便性 移動
操作
ユニバーサルデザイン ユニバーサルデザイン
室内環境性 音環境
光環境
熱環境
空気環境
衛生環境
振動
情報化対応性 情報化対応性
経済性 耐用性 耐久性
フレキシビリティ
保全性 作業性
更新性
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第3編 官庁施設の基本的性能、技術的事項及び検証方法
第1章 社会性に関する性能
1-1 地域性に関する性能
1-1-1 地域性に関する性能
【基本的性能】
次表のとおり、各分類の対象とする施設に応じて、施設が立地する地域の歴史、文化及び風土の特
性とともに、地域の活性化等地域社会への貢献について配慮したものとなるよう、性能の水準を確保
する。
分類 I II
対象とする施設 特性の豊かな地域に立地する施設、
地域との連携が特に求められる施設
又は歴史的価値のある施設
分類Iに該当しない施設
性能の水準 地域の特性とともに、地域の活性化
等地域社会への貢献について配慮さ
れている。
地域の特性について配慮されてい
る。
【技術的事項】
地域性に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる該当する分類の技術的事項を満たすもの
とする。
分類 I II
1. 歴史、
文化及び風土へ
の配慮
形態、材料、構工法等について、地域の歴史、文化及び風土の特性に配慮
されている。
2. 特性の豊かな歴史及
び文化の尊重
1特性の豊かな地域に立地する施設
においては、当該地域の歴史及び
文化を尊重している。
2歴史的価値のある施設の保存・再
生においては、当該施設の歴史的
価値を尊重している。-3.地域との連携 地域との連携が特に求められる施設
においては、周辺の施設等との連続
性の確保、機能の補完等の連携が図
られている。
地域との連携に配慮されている。
4.地域活性化への貢献 地域との連携が特に求められる施設
においては、地域の核として賑わい
を創出している。-5.関連計画等との整合 都市計画その他関連する地域の計画、協定等との整合が図られている。
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【検証方法】
分類Iについては、地方公共団体、施設利用者、地域住民等による評価をもとに、技術的事項を満
たしていることを設計図書の確認等により検証する。
分類IIについては、技術的事項を満たしていることを設計図書の確認等により検証する。
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1-2 景観性に関する性能
1-2-1 景観性に関する性能
【基本的性能】
次表のとおり、各分類の対象とする施設に応じて、施設が立地する地域の歴史、文化及び風土の特
性を考慮しつつ、周辺環境との調和を図り、良好な景観の形成について配慮したものとなるよう、性
能の水準を確保する。
分類 I II
対象とする施設 特性の豊かな地域に立地する施設、
地域との連携が特に求められる施設等分類Iに該当しない施設
性能の水準 地域の特性を考慮しつつ、周辺環境
との調和が図られ、良好な景観の形
成について配慮されている。
周辺環境との調和が図られ、良好な
景観の形成について配慮されてい
る。
【技術的事項】
景観性に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる該当する分類の技術的事項を満たすもの
とする。
分類 I II
1. 歴史、
文化及び風土へ
の配慮
施設の外観及び外部空間並びにこれらを形成する材料、
構工法等について、
周辺環境との調和が図られている。
2.歴史的まちなみの保
存・再生
特性の豊かな地域に立地する施設に
おいては、まちなみの持つ歴史及び
文化を尊重している。-3.周辺の自然環境への配慮周辺の自然環境との調和が図られている。
4.周辺の都市環境への配慮地域との連携が特に求められる施設
においては、周辺の都市環境との調
和を図るとともに、周辺の施設等と
の連携を図りつつ良好な都市景観の
形成に貢献している。
周辺の都市環境との調和が図られて
いる。
5.関連計画等との整合 1景観法(平成16年法律第110
号)に基づく景観計画の区域内に
立地する施設においては、当該計
画との整合が図られている。
2都市計画その他関連する地域の計
画、協定等との整合が図られてい
る。
都市計画その他関連する地域の計
画、
協定等との整合が図られている。
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【検証方法】
分類Iについては、地方公共団体、施設利用者、地域住民等による評価をもとに、技術的事項を満
たしていることを設計図書の確認等により検証する。
分類IIについては、技術的事項を満たしていることを設計図書の確認等により検証する。
第2章 環境保全性に関する性能
環境保全性に関する性能については、長寿命、適正使用・適正処理、エコマテリアル及び省エネル
ギー・省資源により構成される環境負荷低減性並びに地域生態系保全及び周辺環境配慮により構成さ
れる周辺環境保全性により構成することとし、その性能の水準等については別に定める。
第3章 安全性に関する性能
3-1 防災性に関する性能
防災性に関する性能については、耐震、対火災、対浸水、対津波、耐風、耐雪・耐寒、対落雷及び
常時荷重により構成することとし、その性能の水準等を定める。
3-1-1 耐震に関する性能
耐震に関する性能の水準等については、別に定める。
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3-1-2 対火災に関する性能
対火災に関する性能については、火災に対して、人命に加え、財産・情報の安全の確保が図られる
よう、耐火、初期火災の拡大防止及び火災時の避難安全確保について性能の水準等を定める。
1)耐火に関する性能
【基本的性能】
次表のとおり、各分類の対象とする室等に応じて、火災による建築物の倒壊に加え、重要な財産・
情報の損傷等の防止が図られるよう、性能の水準を確保する。
分類 I II III IV
対象とする室等 特に重要な財産・情報を保管
する室
重要な財産・情
報を保管する室危険物を貯蔵
又は使用する
室、
火気を使用
する室、
設備関
係諸室等
分類I、II及
びIIIに該当し
ない室等
性能の水準 対象とする室以外で発生した
火災による財産・情報の損失
又は滅失及び損傷、き損又は
劣化の防止が図られている。
対象とする室
以外で発生し
た火災による
財産・情報の損
失又は滅失の
防止が図られ
ている。
火災による建
築物の倒壊に
至る主要構造
部の損傷及び
対象とする室
の内外の間で
の延焼の防止
が図られてい
る。
火災による建
築物の倒壊に
至る主要構造
部の損傷及び
隣接する防火
区画への延焼
の防止が図ら
れている。
備考)
密集市街地等に立地する施設については、必要に応じて、市街地火災に対する延焼の防止を考慮し
た性能の水準を別途設定する。
【技術的事項】
耐火に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる該当する分類の技術的事項を満たすものと
する。
分類 I II・III IV
1.主要構造部の
耐火性
建築基準法(昭和25年法律第201号)の関連規定を満たしている。2.屋外に
面する
壁等(1)壁
1次のいずれかの要件を満た
している。
イ)耐火構造である。
ロ)建築基準法第2条第九号の
二イ(2)の政令で定める技
術的基準に適合している。
次のいずれかの要件を満たして
いる。
イ)耐火構造である。
ロ)建築基準法第2条第九号の
二イ(2)の政令で定める技術
的基準に適合している。
建築基準法の
関連規定に適
合している。
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2建築物の周囲において発生
する通常の火災による火熱
が1時間(非耐力壁である
外壁の延焼のおそれのある
部分以外の部分にあっては
30 分)加えられた場合に、
対象とする室の壁の仕上げ
面の温度が収容物に影響を
与えないものとなってい
る。(2)開口部
開口部が設けられていない。 火災の延焼に対して、防火上有
効な措置が講じられている。
建築基準法の
関連規定に適
合している。3.防火区画(1)
床 又 は壁次のいずれかの要件を満たす
床又は壁により区画されてい
る。
イ)耐火構造であり、かつ、屋
内において発生する通常
の火災による加熱が2時
間加えられた場合に、対象
とする室の床、壁又は天井
の仕上げ面の温度が収容
物に影響を与えないもの
となっている。
ロ)建築基準法第2条第九号の
二イ(2)の政令で定める技
術的基準に適合し、かつ、
屋内において発生が予測
される火災による火熱が
加えられた場合に、当該火
災が終了するまで対象と
する室の床、壁又は天井の
仕上げ面の温度が収容物
に影響を与えないものと
なっている。
次のいずれかの要件を満たす床
又は壁により区画されている。
イ)耐火構造である。
ロ)建築基準法第2条第九号の
二イ(2)の政令で定める技術
的基準に適合している。
建築基準法の
関連規定に適
合している。(2)開口部
1必要最小限の出入口以外に
開口部が設けられていな
い。
2開口部の建具は、次の要件
1開口部の建具は、次の要件を
満たしている。
イ)特定防火設備である。
ロ)常時閉鎖若しくは作動した
建築基準法の
関連規定に適
合している。
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を満たしている。
イ)特定防火設備である。
ロ)常時閉鎖又は作動した状態
にある。
ハ)遮煙性能を有する。
ニ)屋内において発生する通常
の火災による加熱が2時
間加えられた場合に、又は
屋内において発生が予測
される火災による火熱が
加えられた場合に当該火
災が終了するまで、対象と
する室内側の温度が収容
物に影響を与えないもの
となっている。
状態にある、
又は煙が発生し
た場合に自動的に閉鎖若し
くは作動をするものである。
ハ)遮煙性能を有する。
2特定防火設備の二重化、開口
部から収容物等までの距離の
確保等により開口部に面して
保管される収容物の温度の上
昇の低減が図られている。
備考)
密集市街地等に立地する施設について、市街地火災に対する延焼の防止を考慮する場合は、対象
とする室等の屋外に面する壁等について必要となる技術的事項を別途設定する。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、計算・解析その他の技術的検討によるほか、設計図書の確認等
により検証する。
なお、分類Iの対象とする室の床、壁若しくは天井の仕上げ面又は建具面の温度については、計算
により又は実験データから求め、これが収容物に影響を与える温度以下であることを確認する。
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2)初期火災の拡大防止に関する性能
【基本的性能】
次表のとおり、各分類の対象とする室等に応じて、出火しにくい配慮とともに、初期火災の段階で
の消火により、収容物等への被害を最小限にとどめることができるよう、性能の水準を確保する。
分類 I II
対象とする室等 重要な財産・情報を保管する室 分類Iに該当しない室等
性能の水準 出火しにくいよう配慮されているとと
もに、
初期火災の段階での消火が可能と
なっており、
重要な財産・情報への被害
を最小限にとどめることができる。
出火しにくいよう配慮されているとと
もに、
初期火災の段階での消火が可能と
なっている。
【技術的事項】
初期火災の拡大防止に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる該当する分類の技術的事項
を満たすものとする。
分類 I II
1.内部仕上げの
不燃化
原則として、
壁及び天井の室内に面する
部分の仕上げに、
不燃材料が使用されて
いる。
原則として、
壁及び天井の室内に面する
部分の仕上げに、
準不燃材料が使用され
ている。
ただし、
次に掲げる場合その他の燃え拡
がりの抑制がされている場合の木材の
仕上げについては、この限りではない。
1壁の下部の室内に面する部分の仕上
げに木材が使用されており、
それ以外
の壁及び天井の室内に面する部分の
仕上げ並びにそれらの下地に燃え拡
がりの抑制効果の高い材料が使用さ
れている場合。
2出火による火熱により木材が着火す
るおそれのない高さの壁及び天井の
室内に面する部分の仕上げに木材が
使用されており、
それ以外の壁及び天
井の室内に面する部分の仕上げに準
不燃材料が使用され、
かつ、
対象とす
る室等が次に掲げる要件を満たす場
合。
イ) 発熱量密度が低い用途の室等であ
ること。
ロ) 設備機器等の発熱により木材が着
火するおそれのないよう有効な措置
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が講じられていること。
ハ) 出火による高温の煙層により木材
が着火するおそれのないよう有効な
排煙設備が設けられていること。
ニ) 隣接する室等からの延焼の防止が
図られていること。
3壁の室内に面する部分の仕上げに木
材が使用されており、
天井の室内に面
する部分の仕上げに準不燃材料が使
用され、
かつ、
室内に初期消火効果の
高い設備が設置されている場合。
2.消火設備の設置収容物に応じた適切な方式の消火設備
が設置されている。
1消防法(昭和23年法律第186号)
等の関係法令に従い、
必要な消火設備
が設置されている。
2消火設備の方式は、
収容物等に応じた
適切なものとなっている。
3.消火による水
損への対策
隣接室の消火のために使用した水等が
対象とする室に浸入しないよう対策が
講じられている。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、消火方式等に係る技術的検討によるほか、設計図書の確認等に
より検証する。
なお、分類IIの対象とする室等について、技術的事項のただし書きによる場合においては、消火方
式等に係る技術的検討、設計図書の確認等に加え、必要に応じ計算・解析その他の技術的検討により
検証する。
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3)火災時の避難安全確保に関する性能
【基本的性能】
次表のとおり、
各分類の対象とする施設に応じて、
施設利用者の安全な避難の確保が図られるよう、
性能の水準を確保する。
分類 I II
対象とする施設 不特定かつ多数の人が利用する施設 分類Iに該当しない施設
性能の水準 高齢者、
障害者等を含めた不特定かつ多
数の利用者の安全な避難の確保が図ら
れている。
施設の職員等特定の利用者の安全な避
難の確保が図られている。
備考)
高齢者、障害者等の利用が極めて多く、これを考慮した避難の確保が必要となる場合は、別途水準
を設定する。
【技術的事項】
火災時の避難安全確保に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる該当する分類の技術的事
項を満たすものとする。
分類 I II
1.避難経路の確保1建築基準法及び消防法の関連規定に
適合している。
2水平移動に係る避難経路は、高齢者、
障害者等の移動の円滑化が図られた
ものとなっている。
建築基準法及び消防法の関連規定に適
合している。
2. 車 いす 使用 者
等が一時避難す
る場所の設置
1避難に当たり垂直移動が必要となる
場合については、
想定される救助の方
法等により必要に応じて、
車いす使用
者等が救助者の到着まで一時避難す
る場所が設けられている。
なお、
次に
該当する場合は、
原則としてこれが設
けられている。
イ)高さ31mを超える等施設の規模が
大きい場合
ロ)不特定かつ多数の人が利用する室等
が、職員では車いす使用者等の救助
が困難な階に設置されている場合
2一時避難する場所は、
次に掲げる要件
を満たしている。
イ)避難経路上又は避難経路に隣接した
場所にあるとともに、救助者の到達
及び一時避難する人の外部への救出- 官庁施設の基本的性能基準(令和6年改定)
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が可能となっている。
ロ)耐火構造の床、壁若しくは遮煙性能
を有する特定防火設備により区画さ
れた屋内の場所、又は屋外のバルコ
ニー等に設けられている。
ハ)屋外のバルコニー等に設けられる一
時避難する場所にあっては、屋内に
面する壁は耐火構造であり、屋内か
らの出入口には遮煙性能を有する特
定防火設備が設けられている。
ニ)一時避難する場所に面する外壁に開
口部が設けられている場合は、火災
の延焼に対して防火上有効な措置が
講じられている。
ホ)壁等からの輻射熱の影響が考慮され
ている。
ヘ)煙を有効に排出することができる。
ト)車いす使用者等が一時避難している
ことが分かるように配慮されてい
る。
チ)想定される一時避難する人の数を考
慮するとともに、避難動線の妨げと
ならないように配慮されている。
3.排煙設備 建築基準法及び消防法の関連規定に適合している。
4.警報設備及び
誘導灯設備
建築基準法及び消防法の関連規定に適合している。
備考)
1.高齢者、障害者等の利用が極めて多く、これを考慮した避難の確保が必要となる場合は、別途必
要となる技術的事項を設定する。
2.特に高齢者、障害者等の避難を考慮した誘導装置を設置する場合等については、別途必要となる
技術的事項を設定する。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、計算・解析その他の技術的検討によるほか、設計図書の確認等
により検証する。
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3-1-3 対浸水に関する性能
【基本的性能】
次表のとおり、各分類の対象とする室等に応じて、水害(ただし、津波による災害を除く。
)に対
して、人命の安全の確保に加え、災害応急対策活動等に必要な機能の維持が図られるよう、性能の水
準を確保する。
分類 I II
対象とする室等 水害発生時に災害応急対策活動のため
に機能の維持が必要な室等
分類Iに該当しない室等
性能の水準 発生頻度の低い水害に対して、
人命の安
全の確保が図られており、
かつ、
災害応
急対策活動等を円滑に行う上で支障と
なる浸水の防止が図られている。
発生頻度の低い水害に対して、
人命の安
全の確保が図られており、
かつ、
比較的
発生頻度の高い水害に対して、
水害後の
速やかな業務再開が可能となるよう一
定の浸水の防止が図られている。
備考)
1.発生頻度の低い水害に対して、高台等に避難場所を確保することが困難であり、施設に一時的な
避難場所を設ける必要がある場合は、別途性能の水準を設定する。
2.発生頻度の低い水害に対して、重要な財産・情報等を浸水のおそれのない別の場所に保管するこ
とができず、施設に保管する必要がある場合は、別途性能の水準を設定する。
【技術的事項】
対浸水に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる該当する分類の技術的事項を満たすもの
とする。
分類 I II
1. 発生頻度の低
い水害に対する
防御
発生頻度の低い水害に対して、1によ
り、
やむを得ない場合は2により、
浸水
を防止する措置が講じられている。
1対象とする室等が、
想定される水位よ
り高い位置にある階に配置されてい
る。
2想定される水位より低い位置にある
階に対象とする室等が配置されてい
る場合は、
当該室等への浸水を防止す- 官庁施設の基本的性能基準(令和6年改定)
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る措置
(下水道等からの逆流の防止を
含む。
)が講じられているとともに、
必要に応じて、
当該室等へ侵入した水
を排出可能な措置が講じられている。
2. 発生頻度の低
い水害に対する
設備機能の確保
発生頻度の低い水害に対して、
対象とす
る室等において、
維持することが必要と
なる電力、通信・情報、給水、排水等の
機能が、
浸水により損なわれることがな
いよう、
接続する配線、
配管等を含めて
措置が講じられている。-3.比較的発生頻
度の高い水害に
対する防御
- 比較的発生頻度の高い水害に対して、1又は2の措置が講じられている。
1建築物内への浸水を防止するための
水防設備(防水板、防水扉等)の設置
等の措置が講じられている。
2対象とする室等及び当該室等の設備
の配置が、
建築物内への浸水が発生し
た場合の機能の復旧を考慮されたも
のとなっている。
4.避難の確保 各室等から安全な場所へ避難できるよう、経路が確保されているとともに、必要
に応じて、誘導が可能な放送設備等が設置されている。
5.感電防止及び
危険物対策
1感電防止のための措置が講じられている。
2危険物の流出を防止する措置が講じられている。
備考)
1.分類IIの対象とする室等における、比較的発生頻度の高い水害を上回る規模の水害に対する防御
については、上表中 3.を参考に必要となる技術的事項を別途設定する。
2.発生頻度の低い水害に対して、高台等に避難場所を確保することが困難であり、施設に一時的な
避難場所を設ける必要がある場合は、一時的な避難場所となる室等について必要となる技術的事項
を別途設定する。
3.発生頻度の低い水害に対して、重要な財産・情報等を浸水のおそれのない別の場所に保管するこ
とができず、施設に保管する必要がある場合は、重要な財産・情報等を保管する室について必要と
なる技術的事項を別途設定する。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、設計図書の確認等により検証する。
なお、発生頻度の低い水害及び比較的発生頻度の高い水害において想定される水位については、ハ
ザードマップ、浸水想定区域図、過去の浸水の記録等をもとに設定する。
官庁施設の基本的性能基準(令和6年改定)
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3-1-4 対津波に関する性能
【基本的性能】
対津波に関する性能の水準等については、別に定める。
3-1-5 耐風に関する性能
耐風に関する性能については、暴風に対して、人命の安全に加え、施設の機能の確保が図られるよ
う、構造体、建築非構造部材及び建築設備について性能の水準等を定める。
1)構造体の耐風に関する性能
【基本的性能】
次表のとおり、各分類の対象とする施設に応じて、暴風に対して、構造体の安全性の確保が図られ
るよう、性能の水準を確保する。
分類 I II III
対象とする施設 災害応急対策活動に必要
な施設、危険物を貯蔵若
しくは使用する施設又は
重要な財産・情報を保管
する施設のうち特に重要
なもの
災害応急対策活動に必要
な施設、危険物を貯蔵若
しくは使用する施設又は
重要な財産・情報を保管
する施設
分類I及びIIに該当しな
い施設
性能の水準 稀に発生する暴風に比
べ、遭遇する可能性が十
分低い暴風に対して、人
命の安全に加えて機能の
確保が図られている。
稀に発生する暴風に比
べ、遭遇する可能性が低
い暴風対して、人命の安
全に加えて機能の確保が
図られている。
稀に発生する暴風に対し
て、人命の安全に加えて
機能の確保が図られてい
る。
備考)
施設の重要性を考慮し、更に遭遇する可能性が低い暴風に対する安全性を確保する必要がある場合
は、別途性能の水準を設定する。
【技術的事項】
構造体の耐風に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる該当する分類の技術的事項を満た
すものとする。
分類 I II III
1.風圧力に対す
る安全性の確保
建築基準法施行令第87
条に規定される風圧力の
1.3倍の風圧力に対し
て、構造耐力上安全であ
る。
建築基準法施行令第87
条に規定される風圧力の
1.15倍の風圧力に対
して、構造耐力上安全で
ある。
建築基準法施行令第87
条に規定される風圧力に
対して、構造耐力上安全
である。
官庁施設の基本的性能基準(令和6年改定)
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2.風による振動
に対する安全性
の確保
風方向振動、風直交方向振動、捩れ振動、渦励振及び空力不安定振動に対して構
造耐力上安全である。
備考)
更に遭遇する可能性が低い暴風に対する安全性を確保する必要がある場合は、風圧力の割り増し等
を行った技術的事項を別途設定する。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、構造計算によるほか、設計図書の確認等により検証する。
なお、振動に対する安全性については、風方向振動、風直交方向振動、捩れ振動、渦励振及び空力
不安定振動の影響を無視できない場合に検証する。
2)建築非構造部材の耐風に関する性能
【基本的性能】
次表のとおり、各分類の対象とする施設に応じて、暴風に対して、建築非構造部材の安全性の確保が
図られるよう、性能の水準を確保する。
分類 I II III
対象とする施設 災害応急対策活動に必要
な施設、危険物を貯蔵若
しくは使用する施設又は
重要な財産・情報を保管
する施設のうち特に重要
なもの
災害応急対策活動に必要
な施設、危険物を貯蔵若
しくは使用する施設又は
重要な財産・情報を保管
する施設
分類I及びIIに該当しな
い施設
性能の水準 稀に発生する暴風に比
べ、遭遇する可能性が十
分低い暴風に対して、人
命の安全に加えて十分な
機能の確保が図られてい
る。
稀に発生する暴風に比
べ、遭遇する可能性が低
い暴風に対して、人命の
安全に加えて機能の確保
が図られている。
稀に発生する暴風に対し
て、人命の安全に加えて
機能の確保が図られてい
る。
備考)
施設の重要性を考慮し、更に遭遇する可能性が低い暴風に対する安全性を確保する必要がある場合
は、別途性能の水準を設定する。
官庁施設の基本的性能基準(令和6年改定)
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【技術的事項】
建築非構造部材の耐風に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる該当する分類の技術的事
項を満たすものとする。
分類 I II III
1.風圧力に対す
る安全性の確保
建築基準法施行令第82
条の4に規定される風圧
力の1.3倍の風圧力に
対して、構造耐力上安全
である。
建築基準法施行令第82
条の4に規定される風圧
力の1.15倍の風圧力
に対して、構造耐力上安
全である。
建築基準法施行令第82
条の4に規定される風圧
力に対して、構造耐力上
安全である。
2.風による振動
に対する安全性
の確保
風方向振動、風直交方向振動、捩れ振動、渦励振及び空力不安定振動に対して構
造耐力上安全である。
備考)
更に遭遇する可能性が低い暴風に対する安全性を確保する必要がある場合は、風圧力の割り増し等
を行った技術的事項を別途設定する。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、構造計算によるほか、設計図書の確認等により検証する。
なお、振動に対する安全性については、風方向振動、風直交方向振動、捩れ振動、渦励振及び空力
不安定振動の影響を無視できない場合に検証する。
3)建築設備の耐風に関する性能
【基本的性能】
次表のとおり、各分類の対象とする施設に応じて、暴風に対して、建築設備の安全性の確保が図ら
れるよう、性能の水準を確保する。
分類 I II III
対象とする施設 災害応急対策活動に必要
な施設、危険物を貯蔵若
しくは使用する施設又は
重要な財産・情報を保管
する施設のうち特に重要
なもの
災害応急対策活動に必要
な施設、危険物を貯蔵若
しくは使用する施設又は
重要な財産・情報を保管
する施設
分類I及びIIに該当しな
い施設
性能の水準 稀に発生する暴風に比
べ、遭遇する可能性が十
分低い暴風に対して、人
命の安全に加えて十分な
機能の確保が図られてい
る。
稀に発生する暴風に比
べ、遭遇する可能性が低
い暴風に対して、人命の
安全に加えて機能の確保
が図られている。
稀に発生する暴風に対し
て、人命の安全に加えて
機能の確保が図られてい
る。
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備考)
施設の重要性を考慮し、更に遭遇する可能性が低い暴風に対する安全性を確保する必要がある場合
は、別途性能の水準を設定する。
【技術的事項】
建築設備の耐風に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる該当する分類の技術的事項を満
たすものとする。
分類 I II III
1.風圧力に対す
る安全性の確保
1災害応急対策活動上必
要な機器等は、建築基
準法施行令第129条
の2の3に規定される
風圧力の1.3倍の風
圧力に対して、構造耐
力上安全である。
2その他の機器等は、建
築基準法施行令第12
9条の2の3に規定さ
れる風圧力に対して、
構 造 耐 力 上 安 全 で あ
る。
1災害応急対策活動上必
要な機器等は、建築基
準法施行令第129条
の2の3に規定される
風圧力の1.15倍の
風圧力に対して、構造
耐力上安全である。
2その他の機器等は、建
築基準法施行令第12
9条の2の3に規定さ
れる風圧力に対して、
構 造 耐 力 上 安 全 で あ
る。
建築基準法施行令第12
9条の2の3に規定され
る風圧力に対して、構造
耐力上安全である。
2.風による振動
に対する安全性
の確保
風方向振動、風直交方向振動、捩れ振動、渦励振及び空力不安定振動に対して構
造耐力上安全である。
備考)
更に遭遇する可能性が低い暴風に対する安全性を確保する必要がある場合は、風圧力の割り増し等
を行った技術的事項を別途設定する。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、構造計算によるほか、設計図書の確認等により検証する。
なお、振動に対する安全性については、風方向振動、風直交方向振動、捩れ振動、渦励振及び空力
不安定振動の影響を無視できない場合に検証する。
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3-1-6 耐雪・耐寒に関する性能
耐雪・耐寒に関する性能については、
積雪及び寒冷気候に対して、
施設の安全性を確保できるよう、
構造体並びに外部空間、建築物の形状、仕上げ等及び建築設備について性能の水準等を定める。
1) 構造体の耐雪・耐寒に関する性能
【基本的性能】
構造体に、稀に発生する積雪により使用上の支障が生じず、地盤凍結により損傷が生じないことを
性能の水準とし、これを確保する。
【技術的事項】
構造体の耐雪・耐寒に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる技術的事項を満たすものと
する。
1.積雪荷重に対
する安全性の確保建築基準法施行令第86条に規定される積雪荷重に対して、構造耐力上安全であ
る。
2.地盤凍結に対
する措置
地盤凍結の影響を受ける可能性のある構造体について、凍結深度より深い根入れ
深さの確保、その下の地盤の凍上の防止等地盤凍結に対する有効な措置が講じら
れている。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、積雪荷重に対する安全性に係る構造計算によるほか、設計図書
の確認等により検証する。
なお、地盤凍結に対する措置に係る凍結深度については、過去の実績、観測データ等をもとに設定
する。
2) 外部空間、建築物の形状、仕上げ等及び建築設備の耐雪・耐寒に関する性能
【基本的性能】
積雪、雪害、凍結又は凍害の影響を受ける地域に立地する施設について、積雪、雪害、凍結又は凍
害に対して、外部空間、建築物の形状、仕上げ等及び建築設備に係る安全性及び機能の確保が図られ
ていることを性能の水準とし、これを確保する。
【技術的事項】
外部空間、
建築物の形状、
仕上げ等及び建築設備の耐雪・耐寒に関する性能の水準を確保するため、
次表に掲げる技術的事項を満たすものとする。
1. 外 部 空 間
の 安 全 性 の
確保等
(1)通路等 積雪、路面凍結等に対して、歩行者等及び自動車の通行に当たっての
安全の確保が図られている。
(2)建物周り等 歩行者等又は自動車、隣地、損傷のおそれのある工作物等に、氷雪が
落下しないよう対策が講じられている。
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(3)外構 地盤凍結により損傷が生じないよう凍上抑制等の対策が講じられて
いる。
2. 建 築 物 の
形状、仕上げ
等 に 係 る 対策(1)屋根、パラ
ペット等
1積雪、
凍結等により防水機能が損なわれないよう対策が講じられて
いる。
2傾斜部等は、
雪が堆積若しくは自然落下しにくい形状とする等の配
慮がなされ、又は融雪対策等が講じられている。
3端部等は、凍結等により損傷が生じないよう対策が講じられてい
る。
(2)建具等 外部の建具等は、
雪が堆積しにくい形状とする等の配慮がなされてい
る。
(3)仕上げ材料 耐凍害性が確保されている。
3. 建 築 設 備
に係る対策
(1)機器 設置環境に応じた寒冷地対策が講じられている。
(2)配管 屋外配管又は凍結のおそれのある屋内配管について、
凍結防止対策が
講じられている。
(3)地中埋設物 地盤凍結の影響を受けない対策が講じられている。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、設計図書の確認等により検証する。
なお、材料の耐凍害性については、必要に応じて凍結融解試験のデータ等をもとに技術的検討を行
う。
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3-1-7 対落雷に関する性能
【基本的性能】
次表のとおり、各分類の対象とする施設に応じて、落雷に対して、人命の安全に加え、施設及び施
設内の通信・情報機器の機能の確保が図られるよう、性能の水準を確保する。
分類 I II III
対象とする施設 停止が許されない重要な
通信・情報処理装置が設
置される施設等
施設自体の保護が必要な
施設等
分類I及びIIに該当しな
い施設
性能の水準 落雷に対して、人命の安
全に加えて、施設及び施
設内のすべての通信・情
報機器の機能の確保が図
られている。
落雷に対して、人命の安
全に加えて、施設及び施
設内の重要な通信・情報
機器の機能の確保が図ら
れている。
施設外への落雷に対し
て、施設の主要な機能の
確保が図られている。
【技術的事項】
対落雷に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる該当する分類の技術的事項を満たすもの
とする。
分類 I II III
1.施設の保護 想定される雷から施設が保護され、
被害の低減が図ら
れている。-2.通信・情報機器
の保護
1重要な通信・情報機器
への雷サージの侵入に
対する防護対策が講じ
られている。
2落雷時における施設内
の電位差の発生が抑制
されている。
重要な通信・情報機器へ
の雷サージの侵入に対す
る防護対策が講じられて
いる。-3.電力・通信引込
線における対策
引込口において電力・通信引込線からの雷サージの侵入を防止する対策が講じら
れている。
【検証方法】
建築基準法等の関係法令に基づくとともにその他の必要な措置が講じられており、技術的事項を満
たしていることを、計算・解析その他の技術的検討によるほか、設計図書の確認等により検証する。
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3-1-8 常時荷重に関する性能
【基本的性能】
常時荷重により構造体に使用上の支障が生じないことを性能の水準とし、これを確保する。
【技術的事項】
常時荷重に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる技術的事項を満たすものとする。
1.構造体の損傷
又は変形の防止
1常時荷重により、構造体に使用上の支障となる、損傷が生じないよう強度が確
保されているとともに、変形が生じないよう剛性が確保されている。
2構造体の変形により、
建築非構造部材又は建築設備に使用上の支障が生じない。
2.構造体の移動又
は転倒の防止
土圧により構造体の移動又は転倒が生じない。
3.構造体の浮き上
がりの防止
水圧により構造体の浮き上りが生じない。
【検証方法】
実況に応じた固定荷重、積載荷重、土圧、水圧及びその他の荷重(車輌等の移動荷重、機器類の運
転荷重、温度荷重等)を設定し、技術的事項を満たしていることを、構造計算によるほか、設計図書
の確認等により検証する。
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3-2 機能維持性に関する性能
3-2-1 機能維持性に関する性能
【基本的性能】
次表のとおり、各分類の対象とする施設に応じて、通常時において機能が確保されているほか、地
震以外の要因によりライフラインが途絶した場合等においても必要な国家機関としての機能を維持
するために要する機能が確保されるよう、性能の水準を確保する。
分類 I II
対象とする施設 活動拠点室その他継続的な国家機関と
しての機能の維持が必要な室を有する
施設
分類Iに該当しない施設
性能の水準 ライフラインが途絶した場合等におい
ても、相当期間にわたり必要な国家機
関としての機能を維持するために要す
る機能が確保されている。
ライフラインが途絶した場合等におい
ては、一時的に機能を維持できなくな
るが、ライフラインの回復等に伴い、
所要の機能を速やかに復旧できる。
備考)
地震によりライフラインが途絶した場合の機能の維持については、耐震に関する性能による。
【技術的事項】
機能維持性に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる該当する分類の技術的事項を満たす
ものとする。
分類 I II
1.電力供給機能
の確保
商用電源の途絶時又は施設内での電力
供給に係る事故の発生時においても、
相当期間にわたり必要な国家機関とし
ての機能を維持するために要する電力
供給機能が確保されている。
商用電源の回復に伴い、電力供給機能が
速やかに復旧できる。
2.通信・情報機能
の確保
公衆通信網の途絶時又は停電時におい
ても、相当期間にわたり必要な国家機
関としての機能を維持するために要す
る通信・情報機能が確保されている。
公衆通信網の回復に伴い、通信・情報機
能が速やかに復旧できる。
3.給水機能の確保上水道の途絶時においても、相当期間
にわたり必要な国家機関としての機能
を維持するために要する給水機能が確
保されている。
上水道の回復に伴い、給水機能が速やか
に復旧できる。
4.排水機能の確保下水道の途絶時においても、相当期間
にわたり必要な国家機関としての機能
を維持するために要する排水機能が確
保されている。
下水道の回復に伴い、排水機能が速やか
に復旧できる。
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5.空調機能の確保ライフラインの途絶時においても、相
当期間にわたり必要な国家機関として
の機能を維持するために要する空調機
能が確保されている。
ライフラインの回復に伴い、空調機能が
速やかに復旧できる。
6.備蓄スペース
の確保
必要に応じて、ライフラインの途絶時
においても、相当期間にわたり必要な
国家機関としての機能を維持するため
に要する非常用の食料、飲料水、医薬
品及び生活物資を備蓄できるスペース
が確保されている。-【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、各機能の維持に係る設備容量の計算によるほか、設計図書の確
認等により検証する。
3-3 防犯に関する性能
防犯に関する性能の水準等については、別に定める。
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第4章 機能性に関する性能
4-1 利便性に関する性能
利便性に関する性能については、移動及び操作により構成することとし、その性能の水準等を定め
る。
4-1-1 移動に関する性能
【基本的性能】
用途、目的、利用状況等に応じた移動空間及び搬送設備が確保されており、人の移動、物の搬送等
が円滑かつ安全に行えることを性能の水準とし、これを確保する。
【技術的事項】
移動に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる技術的事項を満たすものとする。
1. 動 線 計画(1)異種動線
の交差回避
1歩行者等と自動車の動線は、
できる限り交差しないよう配慮されている。
2施設の実状に応じて、施設利用者とサービスの動線、来庁者と職員の動
線等異なる種類の動線が分離されている。
(2)動線の短縮各種の動線が、できる限り遠回りとならないものとなっている。
2.スペース、寸法等の確保玄関、廊下、階段、傾斜路等は、利用者数、利用方法等に応じたスペース、
寸法等が確保されている。
3.昇降機設備 エレベーター、小荷物専用昇降機及びエスカレーターは、施設の用途及び
規模、利用者数、搬送対象物等に応じて、適切な搬送能力(定員、台数、
速度等)が確保されているほか、構造、運転操作方式、速度制御方式等が
適切な仕様となっている。
4.車路及び駐車場 1車路の幅員、傾斜部の勾配、駐車スペースの寸法等の各部構造が、関係
法令に適合している。
2自動車が円滑に回転できるよう、自動車の回転軌跡に応じたスペースが
確保されている。
3機械式駐車装置については、駐車形式、駐車台数等が、適切に設定され
ている。
5.安全性の確保 1仕上げ、詳細等における配慮、見通しの確保等により、転倒、転落、衝
突等の事故の防止が図られている。
2通行に支障を及ぼす突出物がない。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、昇降機設備の搬送能力等に係る計算・解析その他の技術的検討
によるほか、設計図書の確認等により検証する。
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4-1-2 操作に関する性能
【基本的性能】
可動部又は操作部の安全性の確保が図られていることを性能の水準とし、これを確保する。
【技術的事項】
操作に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる技術的事項を満たすものとする。
1.可動部の安全性の確保 可動部の動作中に事故が発生しないよう安全性が確保されている。
2.操作部の安全性の確保 1操作に係る安全性が確保されている。
2排煙設備等は、緊急時に容易に操作できるものとなっている。
3操作を行う人が限定される建築設備等の操作部については、
その他
の人による誤操作を防ぐ措置が講じられている。
3.安全性の確保に必要な表示等可動部の動作に当たっての安全性の確保に必要な注意喚起、警告等、
又は安全な操作に必要な情報について、適切に表示等がされている。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、設計図書の確認等により検証する。
4-2 ユニバーサルデザインに関する性能
4-2-1 ユニバーサルデザインに関する性能
ユニバーサルデザインに関する性能の水準等については、別に定める。
官庁施設の基本的性能基準(令和6年改定)
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4-3 室内環境性に関する性能
室内環境性に関する性能については、音環境、光環境、熱環境、空気環境、衛生環境及び振動によ
り構成することとし、その性能の水準等を定める。
4-3-1 音環境に関する性能
【基本的性能】
次表のとおり、各分類の対象とする室等に応じて、必要となる静寂さを確保できるよう、性能の水
準を確保する。
分類 I II III
対象とする室等 上級室、会議室等のうち
特に重要なもの
上級室、会議室等 事務室等
性能の水準 会議、応接等に必要な静
寂さが確保され、かつ、
音声の漏洩が防止されて
おり、さらに、室内が静
寂な時でも周囲の音が気
にならないものとなって
いる。
会議、応接等に必要な静
寂さが確保され、かつ、
音声の漏洩が防止されて
いる。
事務作業等に適した静寂
さが確保されている。
備考)
暗騒音が小さく更なる静寂さが必要となる場合、音響効果が必要となる場合等は、別途性能の水準
を設定する。
【技術的事項】
音環境に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる該当する分類の技術的事項を満たすもの
とする。
分類 I II III1.外部
騒音
への
対策(1)施設の配
置等
騒音源からの距離の確保、遮蔽物の設置等により、外部騒音の影響が低減されてい
る。(2)外壁及び
外部建具
室等の用途及び外部騒音の大きさに応じ、騒音の影響の低減が考慮されたものと
なっている。2.内部
騒音
への
対策(1)室等の配置騒音源からの距離の確保、暗騒音の高い室と低い室を分けたゾーニング等により、他の
室等からの騒音の影響が低減されている。(2)空調機器
から伝搬
する騒音
NC-30〜35 以下となってい
る。
NC-35〜40 以下となってい
る。
NC-40〜45 以下となってい
る。
官庁施設の基本的性能基準(令和6年改定)
- 30 -
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の目標値(3)上階から
の床衝撃
音の目標値1重量床衝撃音が、
JIS A1419-2 に よ る
Li,Fmax,r,H(1)-50 〜 55
以下となっている。
2軽量床衝撃音が、
JIS A1419-2 に よ る
Li,r,L-45〜50 以下とな
っている。
1重量床衝撃音が、
JIS A1419-2 に よ る
Li,Fmax,r,H(1)-55 〜 60
以下となっている。
2軽量床衝撃音が、
JIS A1419-2 に よ る
Li,r,L-50〜55 以下とな
っている。
1重量床衝撃音が、
JIS A1419-2 に よ る
Li,Fmax,r,H(1)-60 〜 65
以下となっている。
2軽量床衝撃音が、
JIS A1419-2 に よ る
Li,r,L-55〜60 以下とな
っている。(4)室内の吸
音性
対象とする室等の用途等に応じて、適切な吸音性が確保されている。(5)騒音源に
係る対策
1低騒音型機器の使用、防振基礎の設置等により、設備機器からの騒音の発生及
び伝搬が抑制されている。
2設備機器から発生する騒音、近接する室等の用途等に応じて、設備室の壁の遮
音性及び吸音性が適切に確保されている。3.音声
漏洩
への
対策(1)壁の遮音
性の目標値JIS A1419-1 による
Rr-55〜60 以上となってい
る。
JIS A1419-1 による
Rr-35〜45 以上となってい
る。-(2)
内部建具
に係る対策位置についての配慮、前
室の設置、JIS A4702 によ
る T-2 以上の遮音性を有
するドアセットの使用等の
組み合わせにより音声の漏
洩が防止されている。
位置についての配慮、前
室の設置、JIS A4702 によ
る T-1〜T-2 以上の遮音性
を有するドアセットの使用
等の組み合わせにより音声
の漏洩が防止されている。-(3)
その他
1天井裏及び二重床下の遮音性が確保されている。
2消音チャンバー等により、ダクトを通じた音声の漏洩が
防止されている。-備考)
1.更なる静寂さが必要となる場合、音響効果が必要となる場合等は、別途必要となる技術的事項を
設定する。
2.外部騒音が特に大きく、外壁及び外部建具の遮音性を確保する必要がある場合は、外部騒音値及
び対象とする室等の騒音許容値、外壁及び外部建具の遮音性等について、別途必要となる技術的事
項を設定する。
【検証方法】
技術的事項を満たすことを、計算・解析によるほか、設計図書の確認等により検証する。
重量床衝撃音については、インピーダンス法、有限要素解析法等の方法のうち、当該施設の条件に
官庁施設の基本的性能基準(令和6年改定)
- 31 -
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適したものを選択して検証する。
軽量床衝撃音又は壁若しくは内部建具の遮音性については、関連する部材等の仕様に対応する等級
を確認する。
なお、床衝撃音については、分類Iの場合又は分類II・IIIのうち特に大きな騒音源その他技術的事
項に示す目標に対する阻害要因が想定される場合に検証する。
官庁施設の基本的性能基準(令和6年改定)
- 32 -
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4-3-2 光環境に関する性能
【基本的性能】
次表のとおり、各分類の対象とする室等に応じて、必要となる光環境を確保できるよう、性能の水
準を確保する。
分類 I II III
対象とする室等 講演又はプレゼンテーシ
ョンを行う室等
事務作業を行う室等 分類I及びIIに該当しな
い室等
性能の水準 室等の用途、利用者の活
動内容等に応じた適切な
光環境が確保されている
とともに、特に室の機能
に合わせた光の演出がで
きる機能が確保されてい
る。
室等の用途、利用者の活
動内容等に応じた適切な
光環境が確保されている
とともに、特に目の疲労
を防ぎ、能率良く作業す
るための視環境が確保さ
れている。
室等の用途、利用者の活
動内容等に応じた適切な
光環境が確保されてい
る。
【技術的事項】
光環境に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる該当する分類の技術的事項を満たすもの
とする。
分類 I II III
1.照度の確保 室等の用途、利用者の活
動内容等に応じた照度が
確保できる。
1室等の用途、利用者の
活動内容等に応じた照
度が確保できる。
2照度分布は、照明均斉
度を考慮し、適切に確
保されている。
室等の用途、利用者の活
動内容等に応じた照度が
確保できる。
2.照明のグレア
規制
グレアによる不快感を受けないよう、
室等の用途等に
応じて、グレア規制が行われている。
室等の用途等に応じて、
必要なグレア規制が行わ
れている。
3.照明の光源の
光色及び演色性
室等の用途、利用者の活動内容等に応じたものとなっている。
4.照明の意匠性 照明器具の配光、デザイン及び配置が、室等の用途に応じたものとなっている。
5.照明の制御 利用者の活動内容に応じ
て、光の演出を考慮した
必要なゾーニング、調光
等を行えるものとなって
いる。
室等の用途に応じて、省
エネルギーを考慮したゾ
ーニング、調光等を行え
るものとなっている。
室等の用途に応じて、ゾ
ーニング、調光等を行え
るものとなっている。
6.自然採光 室等の用途に応じて、適切に開口部の面積及び位置が設定されているとともに、
快適性、演出効果等を適宜考慮した自然光が取り入れられている。
官庁施設の基本的性能基準(令和6年改定)
- 33 -
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【検証方法】
技術的要件を満たしていることを、計算・解析その他の技術的検討によるほか設計図書の確認等に
より検証する。
官庁施設の基本的性能基準(令和6年改定)
- 34 -
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4-3-3 熱環境に関する性能
【基本的性能】
次表のとおり、各分類の対象とする室等に応じて、必要となる熱環境を確保できるよう、性能の水
準を確保する。
分類 I II III
対象とする室等 来客等による利用者数の
大幅な変化又は不定期な
利用が予想される室等
事務作業を行う室等 熱環境の確保が必要な設
備関係諸室、通信・情報
機器室、倉庫等
性能の水準 事務作業等に適している
とともに、負荷変動応答
性に優れ、個別に制御可
能な熱環境が確保されて
いる。
事務作業等に適した熱環
境が確保されている。
機器等の機能維持、収容
物の状態維持等に適した
熱環境が確保されてい
る。
【技術的事項】
熱環境に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる該当する分類の技術的事項を満たすもの
とする。
分類 I II III
1.温湿度の設定 1乾球温度で冷房時26〜28°C、暖房時19〜2
2°Cが確保でき、相対湿度の目標値が冷房時40〜
60%、暖房時40〜50%となっている。
2温度分布が室内各部において均一となるよう配慮
されている。
設置される機器、収容物
等に適した温湿度が確保
できる。
2.気流の設定 1気流速度は、0.5m/s以下となっている。
2吹出口等は、冷風又は温風を均一に拡散し、ドラフ
ト感を与えない配置となっている。
設置される機器、収容物
等に適した気流速度及び
吹出口等の配置となって
いる。
3.熱負荷の取得
の低減
1方位、周辺環境等を考慮した建築物の形状及び配
置・平面計画により、屋外から受ける熱負荷の低減
が図られている。
2壁、開口部等の断熱性及び気密性を確保するととも
に開口部の大きさ等に配慮し、屋外又は隣接室から
受ける熱負荷の低減が図られている。
1施設全体でのバランス
を考慮しつつ、方位、
周辺環境等を考慮した
建築物の形状及び配
置・平面計画により、
屋外から受ける熱負荷
の低減に配慮されてい
る。
2壁、開口部等の断熱性
及び気密性を確保する
とともに開口部の大き
さ等に配慮し、屋外又
官庁施設の基本的性能基準(令和6年改定)
- 35 -
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は隣接室から受ける熱
負荷の低減が図られて
いる。
4.空調システム
の制御
1空調のゾーニングは、熱負荷の傾向、
室等の使用
条件、
空調条件等を考慮
したものとなっており、
機能性及び経済性の向
上が図られている。
2気温、
気候等の屋外条件
及び利用者数、使用時
間、
作業内容等の室等の
利用形態の変化等に対
応でき、
室等ごとに個別
に制御できるシステム
となっている。
1空調のゾーニングは、
熱負荷の傾向、室等の
使用条件、空調条件等
を考慮したものとなっ
ており、機能性及び経
済性の向上が図られて
いる。
2気温、気候等の屋外条
件及び利用者数、使用
時間、作業内容等の室
等の利用形態の変化等
に対応でき、系統等で
一括して制御できるシ
ステムとなっている。
設置される機器、収容物
等に適した制御が可能な
システムとなっている。
5.熱負荷の発生
抑制等
1照明、空調等の設備機器は、発熱量の少ないものとすることにより、熱負荷の
発生が抑制されている。
2機器等の使用により局所的に発生する熱負荷は、局所空調・換気により、でき
る限り発生源の近傍で処理され、周囲に与える影響が低減されている。
6.結露の抑制 室内の温湿度及び壁等の断熱性を考慮することにより、室内に発生する表面結露
及び内部結露が抑制されている。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、計算・解析その他の技術的検討によるほか、設計図書の確認等
により検証する。
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- 36 -
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4-3-4 空気環境に関する性能
【基本的性能】
次表のとおり、各分類の対象とする室等に応じて、必要となる空気環境を確保できるよう、性能の
水準を確保する。
分類 I II
対象とする室等 事務作業を行う室等 空気環境の確保が必要な設備関係諸
室、通信・情報機器室、倉庫等、又は
燃焼ガス若しくは排気ガスの発生する
室等
性能の水準 事務作業等に適した空気環境が確保され
ている。
機器等の機能維持、収容物の状態維持
等に適した空気環境が確保されてい
る。
【技術的事項】
空気環境に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる該当する分類の技術的事項を満たすも
のとする。
分類 I II
1.換気量の設定 1快適で効率的に作業を行うために必
要な新鮮空気が確保されている。
2換気量は、二酸化炭素(CO2)につ
いて確保すべき空気清浄度及び労働
強度別二酸化炭素(CO2)発生量を
考慮して、原則として30m3
/(h・
人)以上となっている。
1室等の用途、利用状況等に応じた新
鮮空気が確保されている。
2換気量は、二酸化炭素(CO2)
、一
酸化炭素(CO)
、浮遊粉塵量(SPM)、
有毒ガス等の換気を必要とする
要因に応じた量となっている。
2.換気方式の選定1換気方式は、室等の用途、位置、床面積等に応じたものとなっている。
2外気取入口は、周辺環境、建築物の配置及び平面計画を考慮して、必要な空気
清浄度の確保に要する外気を導入できる大きさ、位置等となっている。
3. 空 気
清 浄 度
の確保
(1)空気
清浄度
快適で効率的に作業を行えるよう、次に
掲げる空気清浄度が確保されている。
イ)二酸化炭素(CO2)濃度:
1000ppm以下
ロ)一酸化炭素(CO)濃度:
6ppm以下
ハ)浮遊粉塵量(SPM):0.15mg/m3
以下
ニ)ホルムアルデヒド量:
0.1mg/m3
以下
室等の用途、利用状況等に応じた空気
清浄度が確保されている。
(2)空気
汚 染 物
内装材、保温材等の材料の適切な選択に
より、ホルムアルデヒド、揮発性有機化
喫煙、燃焼等により局所的に発生する
空気汚染物質は、発生源の近傍で処理
官庁施設の基本的性能基準(令和6年改定)
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質 の 発
生 抑 制
及 び 処理合物(VOC)等の空気汚染物質の発生
が抑制されている。
され、その影響が周囲に拡散しないも
のとなっている。
4 空気バランスの
確保
室等の内外の空気の圧力バランスを考慮して、適切な給気風量及び排気風量が確
保されている。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、計算・解析その他の技術的検討によるほか、設計図書の確認等
により検証する。
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- 38 -
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4-3-5 衛生環境に関する性能
【基本的性能】
人の健康等に悪影響を与えない衛生環境が確保されていることを性能の水準とし、これを確保する。
【技術的事項】
衛生環境に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる技術的事項を満たすものとする。
1.給水・給湯設備
(上水)
1水質は、水道法(昭和32年法律第177号)等の関係法令に適合するものと
なっている。
2水量、水圧及び水温は、用途に応じた適切なものとなっている。
2.給水設備(排水
再利用水、
雨水利
用水及び井水)
1排水再利用水、雨水利用水及び井水の水質は、建築物における衛生的環境の確
保に関する法律(昭和45年法律第20号)等の関係法令に適合し、用途に応
じた適切なものとなっている。
2水量及び水圧は、用途に応じた適切なものとなっている。
3.排水設備(下水)1適切な排水方式、貯留及び廃棄により、室内への汚染が防止されている。
2必要に応じて水処理を行うことにより、排水の水質は、下水道法(昭和33年
法律第79号)等の関係法令に適合するものとなっている。
4.空調設備(空調
用水)
1適切な水処理システムが備えられている。
2水量及び水圧は、用途に応じた適切なものとなっている。
5.衛生器具設備 1衛生器具の個数は、
施設の用途、
利用状況等に応じた適切なものとなっている。
2衛生器具の形式等は、用途、利用方法等に応じた適切なものとなっている。
6.ごみ処理 1ごみの種類及び発生量に応じて、収集、貯留、処理、搬出等が可能なスペース
が確保されている。
2必要に応じて、ごみ処理設備が設置されている。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、計算・解析その他の技術的検討によるほか、設計図書の確認等
により検証する。
官庁施設の基本的性能基準(令和6年改定)
- 39 -
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4-3-6 振動に関する性能
振動に関する性能については、
地震以外の要因による振動により心理的又は生理的な不快感を与
えることの無いよう、人の動作又は設備による振動、交通による振動及び風による振動について性
能の水準等を定める。
1)人の動作又は設備による振動に関する性能
【基本的性能】
居室等について、人の動作又は設備による振動を感じやすい条件下において、心理的又は生理的
に不快となる振動が生じないことを性能の水準とし、これを確保する。
【技術的事項】
人の動作又は設備による振動に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる技術的事項を満た
すものとする。
1.応答加速度の
目標値
床用途上、日常的な振動発生源になると想定される加振条件下で、床の応答加速
度が、
「建築物の振動に関する居住性能評価指針」
(日本建築学会環境基準
AIJES-V001-2004。以下、
「居住性能評価指針」という。
)の鉛直振動に関する性能
評価曲線 V-70〜90 以下となっている。
2.室の配置 振動源からの距離の確保等により、振動の影響が低減されている。
3.振動源における
対策
振動の低減が図られた機器の使用、防振基礎の設置、床の剛性の確保又は浮き床
の設置等により、機器から発生する振動の伝搬が抑制されている。
備考)
対象とする室等における活動内容等を考慮し、更に応答加速度を小さくする必要がある場合等につ
いては、別途必要となる技術的事項を設定する。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、計算・解析によるほか、設計図書の確認等により検証する。
なお、応答加速度については、特に大きな振動源、特に振動しやすい床の構造等目標に対する阻害
要因が想定される場合に検証する。
2)交通による振動に関する性能
【基本的性能】
居室等について、交通による振動を感じやすい条件下において、心理的又は生理的に不快となる
振動が生じないことを性能の水準とし、これを確保する。
【技術的事項】
交通による振動に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる技術的事項を満たすものとする。
応答加速度の目
標値
交通による振動の影響が最も大きくなると想定される加振条件下で、床の鉛直振
動及び水平振動の応答加速度が、居住性能評価指針の鉛直振動に関する評価曲線
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- 40 -
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V-70〜90 以下、交通による水平振動に関する性能評価曲線 H-70〜90 以下となっ
ている。
備考)
対象とする室等における活動内容等を考慮し、更に応答加速度を小さくする必要がある場合等につ
いては、別途必要となる技術的事項を設定する。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、計算・解析によるほか、設計図書の確認等により検証する。
なお、近隣に鉄道、幹線道路等の振動源がある場合等に、鉛直振動及び水平振動のうち、交通によ
る振動の影響を受けやすいものについて検証する。
3)風による振動に関する性能
【基本的性能】
風による振動を感じやすい条件下において、心理的又は生理的に不快となる振動が生じないことを
性能の水準とし、これを確保する。
【技術的事項】
風による振動に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる技術的事項を満たすものとする。
応答加速度の目
標値
再現期間1年の風による床の最大応答加速度が、居住性能評価指針の風による水
平振動に関する性能評価曲線 H-70〜90 以下となっている。
備考)
対象とする施設における活動内容等を考慮し、更に応答加速度を小さくする必要がある場合等につ
いては、別途必要となる技術的事項を設定する。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、計算・解析によるほか、設計図書の確認等により検証する。
なお、超高層建築物等風により振動しやすい建築物の場合に検証する。
官庁施設の基本的性能基準(令和6年改定)
- 41 -
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4-4 情報化対応性に関する性能
4-4-1 情報化対応性に関する性能
情報化対応性に関する性能については、国家機関としての機能を確保するために必要となる通信・
情報システムを構築できるよう、情報処理機能及び情報交流機能について性能の水準等を定める。
1) 情報処理機能に係る情報化対応性に関する性能
【基本的性能】
次表のとおり、各分類の対象とする室等に応じて、情報処理に必要となる通信・情報システムを構
築できるよう、性能の水準を確保する。
分類 I II III
対象とする室等 重要な又は大容量の通
信・情報処理装置を収容
する室等
1人当たり 1 台程度の端
末機が導入される事務室等分類I及びIIに該当しな
い事務室等
性能の水準 大容量の情報を処理でき
る通信・情報処理装置を
設置し、通信・情報シス
テムを構築することがで
きる。
通信・情報システムを構
築することができる。
端末機を設置することが
できる。
【技術的事項】
情報処理機能に係る情報化対応性に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる該当する分類
の技術的事項を満たすものとする。
分類 I II III
1.設置
スペー
スに係
る対応
(1) 設 置
ス ペ ー
ス 及 び
配 線 ス
ペース
高度かつ大規模な通信・
情報システムを構築でき
るよう、安全性及び保全
性を有する専用の通信・
情報処理装置の設置スペ
ース及び配線スペースが
確保されている。
通信・情報システムを構
築できるよう、端末機そ
の他の通信・情報処理装
置を機能的に配置できる
スペース及び配線スペー
スが確保されている。
端末機の設置に対応でき
るよう、配線について配
慮されている。
(2) 水 損
対策
水系の配管が通過してお
らず、床及び壁の防水性
の確保等必要な対策が講
じられている。-2.電源の確保等 電源設備は、高度かつ大
規模な通信・情報システ
ムが確実に機能するため
に要する十分な容量を有
電源設備は、通信・情報
システムが確実に機能す
るために要する十分な容
量を有し、操作性、保守
電源設備は、設置される
端末機が確実に機能する
ために要する十分な容量
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- 42 -
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し、操作性、保守性及び
安全性が確保されてい
る。
性及び安全性が確保され
ている。
を有している。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、設計図書の確認等により検証する。
2) 情報交流機能に係る情報化対応性に関する性能
【基本的性能】
次表のとおり、各分類の対象とする施設に応じて、利用者との情報交流のための通信・情報システ
ムを構築できるよう、性能の水準を確保する。
分類 I II
対象とする施設 窓口業務のある施設等のうち特に利
用者との情報交換を要するもの
窓口業務のある施設等のうち特に利用者
への情報表示を要するもの
性能の水準 利用者と多様な手段で情報交換でき
る通信・情報システムが設置できる。
利用者へ情報提供できる通信・情報システ
ムが設置できる。
【技術的事項】
情報交流機能に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる該当する分類の技術的事項を満た
すものとする。
分類 I II
1.設置スペース
に係る対応
利用者が利用しやすく、かつ、分かり
やすい場所に、端末機、情報表示装置
等を設置するためのスペースが確保
されており、
必要に応じてその場所に
案内する表示が設置されている。
利用者が確認しやすい場所に、
情報表示装
置を設置するためのスペースが確保され
ている。
2.建築
設備
(1) 通
信・情報
シ ス テム端末機、
情報表示装置等が設置されて
おり、
外部との接続についても考慮さ
れた、
利用者との情報交換のための通
信・情報システムが構築できる。
情報表示装置が設置されており、
利用者に
対する情報提供が可能となっている。
(2) 端 末
機等
利用者が使用する端末機等は、高齢者、障害者等にも配慮した操作の容易なもの
となっている。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、設計図書の確認等により検証する。
官庁施設の基本的性能基準(令和6年改定)
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第5章 経済性に関する性能
5-1 耐用性に関する性能
耐用性に関する性能については、長期的な経済性の確保を考慮し、耐久性及びフレキシビリティに
より構成することとし、その性能の水準等を定める。
官庁施設の使用期間については、原則として、65から100年程度を目安として長期的に使用す
ることを目標とする。なお、特に記念性の高い施設等でこれを超えて更に長期的に使用することを目
標とする場合、又はあらかじめ使用期間が限定されている場合については、別途必要となる性能の項
目について、目標とする使用期間に応じた性能の水準等を設定する。
5-1-1 耐久性に関する性能
耐久性に関する性能については、ライフサイクルコストの最適化を図りつつ、適切に修繕、更新等
をしながら、劣化等により安全性を損なうことなく、施設の機能を維持できる合理的な耐久性が確保
されるよう、構造体、建築非構造部材及び建築設備について性能の水準等を定める。
1)構造体の耐久性に関する性能
【基本的性能】
目標とする使用期間を考慮し、適切に構造体及び被覆等の修繕等(ただし、大規模な修繕を除く。)をすることにより、大規模な修繕を行わずに、長期的に構造耐力上必要な性能を確保できるものとな
っていることを性能の水準とし、これを確保する。
【技術的事項】
構造体の耐久性に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる技術的事項を満たすものとする。
材料に係る措置等 特に腐食、腐朽又は摩損のおそれのある部分には、腐食、腐朽若しくは摩損
しにくい材料又は有効なさび止め、防腐若しくは摩損防止のための措置をし
た材料が適切に使用されている。
備考)
施設の立地条件等を考慮し、特別の措置が必要となる場合は、別途必要となる技術的事項を設定す
る。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、設計図書の確認等により検証する。
官庁施設の基本的性能基準(令和6年改定)
- 44 -
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2)建築非構造部材の耐久性に関する性能
【基本的性能】
ライフサイクルコストの最適化が図られるよう、建築資機材の特性、更新周期等を考慮した合理的
な耐久性が確保されていることを性能の水準とし、これを確保する。
【技術的事項】
建築非構造部材の耐久性に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる技術的事項を満たすも
のとする。
1.建築資機材全
般に係る耐久性
想定される使用条件において、容易に損傷しない耐久性が確保されている。
2.外装、屋根・防
水等に係る耐久性1施設の規模及び構造、
これらに応じた更新性等を考慮した耐久性が確保され
ている。
2塩害を受ける可能性のある地域においては、
塩害対策が考慮されたものとな
っている。
3.構内舗装に係
る耐久性
想定される使用条件に応じた耐久性が確保されている。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、設計図書の確認等により検証する。
3)建築設備の耐久性に関する性能
【基本的性能】
ライフサイクルコストの最適化が図られるよう、設備資機材の特性、更新周期等を考慮した合理的
な耐久性が確保されていることを性能の水準とし、これを確保する。
【技術的事項】
建築設備の耐久性に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる技術的事項を満たすものとす
る。
1.設備資機材全
般に係る耐久性
適切な更新周期が想定されており、更新時期まで所要の性能を発揮できる合
理的な耐久性が確保されている。
2.屋外に設置す
る設備資機材に
係る耐久性
塩害を受ける可能性のある地域においては、塩害対策が考慮されたものとな
っている。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、設計図書の確認等により検証する。
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5-1-2 フレキシビリティに関する性能
【基本的性能】
次表のとおり、各分類の対象とする施設に応じて、社会的状況の変化等による施設の用途、機能等
の変更に柔軟に対応できるよう、性能の水準を確保する。
分類 I II
対象とする施設 入居官署の変更等による大幅な施
設若しくは室等の用途等の変更、
又は大幅な執務形態、設備システ
ム等の変更が予想される施設
分類Iに該当しない施設
性能の水準 施設又は室等の用途、執務形態等
の大幅な変更等に柔軟に対応でき
る。
施設又は室等の用途、執務形態等
の軽微な変更等に柔軟に対応でき
る。
【技術的事項】
フレキシビリティに関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる該当する分類の技術的事項を
満たすものとする。
分類 I II
1.建築計画
上の対応
(1)平面計画 室等の中のレイアウト、室等の用
途、間仕切り等の変更を考慮した
平面計画となっている。
室等の中のレイアウト、部分的な
室等の用途等の変更を考慮した平
面計画となっている。
(2)階高の確保予想される施設又は室等の用途の
変更、設備の大幅な増設等を考慮
した適切な階高が確保されてい
る。-(3)床荷重の
設定
予想される施設又は室等の用途の
変更等を考慮した適切な床荷重が
設定されている。-(4)間仕切り壁大幅な間仕切り壁の変更が、容易
にできるものとなっている。
部分的な間仕切り壁の変更が、容
易にできるものとなっている。
(5)配管・配
線・ダクトス
ペ ー ス の 確保予想される設備の変更、増設等を
考慮した配管・配線・ダクトスペ
ースが確保されている。
軽微な設備の変更、増設等を考慮
した配管・配線・ダクトスペース
が確保されている。
2.建築設備 (1)設備シス
テム
予想される施設又は室等の用途、
執務形態の変更等に対応するため
の設備システムの変更、増設等が
可能となっている。
軽微な設備システムの変更、増設
等が可能となっている。
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- 46 -
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(2)設備機器
の配置
室等の中のレイアウト、室等の用
途、間仕切り等の変更を考慮した
設備機器の配置となっている。
室等の中のレイアウト、部分的な
室等の用途等の変更を考慮した設
備機器の配置となっている。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、設計図書の確認等により検証する。
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5-2 保全性に関する性能
保全性に関する性能については、長期的な経済性を確保しつつ、施設の保全を効率的かつ安全に行
えるよう考慮し、作業性及び更新性により構成することとし、その性能の水準等を定める。
5-2-1 作業性に関する性能
【基本的性能】
清掃、点検・保守等の維持管理が、効率的かつ安全に行えることを性能の水準とし、これを確保す
る。
【技術的事項】
作業性に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる技術的事項を満たすものとする。
1.平面計画等(1)作業スペ
ースの確保
清掃、
点検・保守等の作業内容に応じた作業スペースが確保されている。
(2)搬出入経
路の確保
清掃、
点検・保守等の作業に使用する機材等の搬出入のための経路が確
保されている。
(3)配管・配
線・ダクト
スペースの
確保
点検・保守等が容易にできるよう配管・配線・ダクトスペースが確保さ
れている。
2.作業用設備の設置 必要に応じて、清掃、点検・保守等のための作業用設備が設置されてい
る。
3.仕上げ及び詳細 内外装の仕上げ及び詳細は、
汚れにくく、
清掃が容易なよう配慮されて
いるほか、清掃の方法を考慮したものとなっている。
4.建築設備 設備システム及び機器配置は、清掃、点検・保守等が効率的かつ容易に
行えるよう考慮したものとなっている。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、設計図書の確認等により検証する。
官庁施設の基本的性能基準(令和6年改定)
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国土交通省大臣官房官庁営繕部
5-2-2 更新性に関する性能
【基本的性能】
材料、機器等の更新が、経済的かつ容易に行えることを性能の水準とし、これを確保する。
【技術的事項】
更新性に関する性能の水準を確保するため、次表に掲げる技術的事項を満たすものとする。
1.平面計画等(1)作業スペ
ースの確保
更新時の作業内容に応じた作業スペースが確保されている。
(2)搬出入経
路の確保
更新する材料、機器等の搬出入のための経路が確保されている。
(3)配管・配
線・ダクト
スペースの
確保
更新が容易にできるよう配管・配線・ダクトスペースが確保されている。
2.材料、機器等の分離及び
組合せ
更新周期の異なる材料、
機器等は、
道連れ工事が少なく経済的かつ容易
に更新が行えるよう、適切に分離され、組み合わされている。
3.建築設備 機器等の更新周期の同期化、
互換性及び汎用性の確保等により、
経済的
かつ容易な更新が可能となっている。
【検証方法】
技術的事項を満たしていることを、設計図書の確認等により検証する。
附則
1.この基準は、平成25年4月1日から適用し、適用日において現に存する官庁施設については適
用しない。2.「官庁施設の基本的性能基準」
(平成18年3月31日国営整第156号、
国営設第162号)
は、
平成25年3月31日をもって廃止する。

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