-1-社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会第5回物流小委員会及び
交通政策審議会交通体系分科会物流部会第3回物流サービス小委員会合同会議
平成27年7月23日
【谷口物流政策課企画官】 皆様、おはようございます。定刻より少し前でございます
が、皆様おそろいでございますので、ただいまから第5回物流小委員会及び第3回物流サ
ービス小委員会の合同会議を開催いたします。
委員の皆様方には、大変お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうござ
います。本日の小委員会は、事務局からの説明の後、中間取りまとめに向けた論点整理案
についての意見交換を予定しております。
まず、お手元の資料を確認させていただきます。本日の資料は、議事次第の次の紙、配
付資料一覧に列挙してあるとおりでございます。もし、配付漏れ等がございましたら、挙
手にてお知らせいただきたいと思います。
また、
両部会の運営規則によりまして、
この合同会議につきましては、
原則として議事、
議事録の公開をすることとなっており、議事録は委員の皆様のご確認をいただいた後に、
会議資料とともにホームページで公開することとなっております。
なお、本日は物流小委員会の委員総数5名中2名、物流サービス小委員会の委員総数5
名中5名がご出席され、定足数を満たしておりますので、ご報告いたします。また、本日
の会議場のマイクでございますけれども、お手元の右下のトークボタンを押してから発言
を始めていただきまして、発言が終了しましたらトークボタンを押して、マイクを切って
いただくようにお願いいたします。
報道関係の皆様におかれましては、事前にお知らせしておりますとおり、これより先は
カメラ撮影についてはご遠慮いただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、この後の進行につきましては苦瀬委員長にお願いいたします。よろしくお願
いいたします。
【苦瀬委員長】 それでは、
議事に入りたいと思います。
最初に事務局から議事の1番、
地域における物流の事例と課題(報告)についてご説明があるようでございますので、よ
ろしくお願いいたします。
【木村物流政策課企画室長】 企画室長、木村でございます。資料1をご覧ください。 -2-「地域における物流の事例と課題」ということで、事務局のほうで幾つか事例を見てきた
中で、少し特徴的な事例をピックアップしてご説明させていただきたいと思います。
まず、今回、説明する事例は2事例でございます。1ページ目をおめくりください。福
岡の天神の共同輸配送の話、これは都市内物流の主な話ですね。こちらについては結構、
立ち上げ時とか、いろいろ話題になったんですけれども、実はその後のフォローというの
があまり見られなかったので、先日、私、行ってまいりまして、いろいろイエローバード
さんとお話をしてきましたので、その状況をお話しさせていただきたいと思います。2つ
目が、これは過疎物流ですけれども、高知県の仁淀川町というところで、早明浦ダムのほ
うの山の中にありまして、こちらについて、生活支援サービスを始めたんですけれども、
なかなか想定より低いねという話をさせていただきたいと思っております。
まず1つ目、イエローバードの事例でございます。3ページ目をおめくりください。事
業の概要なんですけれども、左側の地図をご覧いただきたいと思うんですけれども、福岡
市の天神という一番の繁華街の1丁目から5丁目のエリアを、
イエローバードという会社、
天神地区共同輸送株式会社が共同の配送をしている、まとめて配送するという仕組みをつ
くっていると。その集配のセンターが7キロぐらい離れたところの、福岡港のほうにござ
いまして、こちらで各社さんの荷物を一元化して集めた上で、天神までトラックを出して
いるということでございます。現状、株主32社、うち銀行3社でトラック運送事業者が
29社ということになっております。社員数は29名、車両数22台、主に2トン車でや
っておられると。配達回数は1日3回ということでございます。一番、朝の便、8時半セ
ンター発、10時センター発、終わると午後の便、2時半センター発ということで、これ
が終わると今度は集荷に回るというたてつけになっております。取扱貨物につきましては
一般雑貨ということですけれども、いわゆるクール、冷蔵庫が必要なものは取り扱ってい
ないという状況になっている。取扱手数料につきましては、先日、吉祥寺のコラボデリバ
リーさんの説明がありましたが、基本的に同じような発想でして、取扱個数に単価を掛け
るということですけれども、大きいものとか重いものについては別料金ということでござ
いまして、単価については先日のコラボさんよりはちょっと高めでございます。
4ページ目でございます。沿革です。教科書的になりますけれどもご容赦ください。ま
ず、そもそもこの話が始まったのは昭和53年からということでございまして、地下鉄工
事で交通規制が始まって渋滞がかなり激しくなったということで、県のトラック協会主導
で検討しまして、何十社かあるうちの2社に作業会社を集約して、まず配送業務を実施し -3-たということでございます。ただ、その後ですけれども、若干実績が落ちまして、これじ
ゃいかんということで第2期ですけれども、今まで配送だけだったものを集荷も取り入れ
たと、これが62年でございます。それで若干持ち直したんですけれども、やっぱりどん
どん減ってきたということもありまして、第3期、平成6年ですけれども、作業単価を大
分上げたということもございまして、うまくいかなくなってきたということで、平成4年
ごろから協議会、運輸局と整備局と県、県警、市、商工会、商店街、県のトラック協会な
どで協議会をつくりまして議論をしたということでございまして、その結果として6年に
この会社、天神共同輸送株式会社ができたと。これは全員、総意の上で設立することにな
ったということでございます。これとあわせまして交通規制、駐車規制のほうも県警や市
のほうでされているという状況でございます。
5ページをおめくりください。
これの事業の効果などなんですけれども、
まず3.事業に
よる社会的効果ということで、実はこの事業が6年に始まった以降、ちょっといろいろ見
たんですけれども、具体的な効果というのはフォローアップされている感はなく、平成4
年、事業が始まる前ですけれども、家田教授ほかのマクロ集配輸送計画モデルの一つのケ
ーススタディとして、平成4年の天神一丁目、二丁目の輸送実績に基づいて試算されたも
のがあるということでございます。数字はご覧のとおりですけれども、大体、トラックの
台数は3分の2ぐらい減っているとか、トラックの停車回数もかなり減っていると、4分
の3ぐらいになっている。停車時間はそのかわり倍ぐらいになっているということが、一
応、試算として挙げられているところでございます。
実際の実績なんですけれども、4.でございます。第1期、第2期、第3期と前ページの
ものにあわせて区切りを入れましたけれども、下の緑色の棒グラフが参加事業者数という
ことでございます。これは、後で会社のほうにも何回か確認をしたんですけれども、途中
から計算方法が変わっている可能性もありまして、現行、26年度で32社、参加事業者
になっているんですけれども、どうもお話を伺うとこの半分ぐらいしか、今実際は荷物を
出していないという実態でございます。それで、第3期というのがこの共配の会社、イエ
ローバードさんが行ってやっているものなんですけれども、この赤い折れ線グラフが取扱
個数ですけれども、やはりどんどん減ってきております。その要因ですけれども、次の5.
にも出てきますけれども、平成19年度末でヤマト運輸さんが抜け、平成23年度の途中
で、いわゆる昔のペリカン便、日本通運さんが抜け、平成25年の9月までで佐川さんが
抜けという状況になっておりまして、実態は荷物の個数ベースでいきますと、今はほとん -4-ど西濃さんと福山通運さん主体になっているという状況でございます。
ということでございまして、会社のほうにもインタビューを申し込んで面談をさせてい
ただいたんですけれども、6ページ目でございます。現在の課題ということで整理させて
いただきました。まず1つ目でございますけれども、先ほど申し上げたとおり立ち上げ時
は皆さん合意してやっていただいて、荷物を出していただいたんですけれども、やっぱり
どんどん抜けていく、くしの歯が欠けるように抜けていくということでございます。その
理由というのはいろいろあります。1つは、イエローバードさんはクール便の扱いがない
んですけれども、クール便の伸びが多いというところはあって、ニーズに合っていないと
いう部分も若干あるのかもしれません。あと、時間指定がかなり、2時間おきに細かくな
ったんですけれども、共配センターを経由すると結局、数時間リードタイムが延びるもの
ですから時間指定に間に合わないとか、1日3回しか配達をしないので、時間指定の枠に
はまらないとか、あと、ヤマトさんとか佐川さんとかもそうなんですけれども、ハンディ
ターミナルでお客様に引き渡すところまで一応、荷物追跡をするんですけれども、現状の
イエローバードのシステムですと、イエローバードに引き渡した段階で配完になってしま
うという問題があって、一方、イエローバードさんもそれを設備投資するだけのニーズが
あるのかというと、30社分のやつを処理するというのもなかなか難しいと。こういうこ
とでして、近年、大手宅配事業者さんの離脱が大分進んできているということでございま
す。
2つ目がこのエリアの再開発、大きいものから小さいものまで含めて若干見られるよう
ですけれども、再開発をしたビルというのはタテ持ち事業者がどうしても入るということ
で、大手の運送事業者さん、タテ持ち事業者さんが入りますと。そうするとイエローバー
ドさんに頼まなくても、直接ビルに持っていってまとめておろせば20分ぐらいでおろせ
るので、そうするとわざわざイエローバードさんにお金を払って頼む必要もないと、こう
いうことが出てくるということでございます。そのほかにも、タテ持ちプラス場外集約と
いうところで、天神より外で荷物を集約してタテ持ちをするというのは、タテ持ち事業者
さんが一括で行う場合がありまして、こうなってくるとますます出番がなくなっていくと
いうことで、ビルごと離脱していくという実態が実はありまして、イエローバードさんが
取り扱うというのがだんだん減ってきているという事情もあるということをお話しいただ
きました。
イエローバードさんとしても、みずから管内物流事業者として入ろうと思って、いろい -5-ろ努力はされるようなんですけれども、やはりデベロッパーさんの契約というのが東京の
本社同士で行われてしまって、なかなか地元のイエローバードさんが入る余地がないとい
う実態のようでした。
次が、天神地区の協議会の活性化ということでございます。こちらについてですけれど
も、地元自治体、福岡市とか商工会議所につきましては、初めは渋滞も大変ですしという
ことで主導していただいたんですけれども、実は平成14年をもってこの協議会は開催さ
れておりません。ということで、実は事後、起こっている1)とか2)のような事態とい
うのは、全く地域で共有されていないということがあります。特に福岡は支店が多い町で
すけれども、そういうところは立ち上げ時の支店長などが東京に転勤になってしまうと、
そこでいきなりばたっと引き継ぎが行われなくなる、
そういうこともあるようです。
ただ、
これじゃいけないということで、地域貢献をするということで、トラックの配送の合間に
清掃活動などもされているようなんですけれども、やはり同社としては自治体の出資も仰
いで、ぜひ地域のインフラとしてそれを使ってほしいという色をちょっと濃くしていきた
いと、こういうことが必要だと思っておられて、いろいろと市のほうにも働きかけはして
いるということを言っておられました。
いずれにしても、もともと始まったときの枠組み、協議会なるものが、既に実際上は存
在しない状況になっておりますので、今後どうしていくのかというのは課題だと思ってい
ます。ということで、この事例、いろいろ成功事例としても挙げられますけれども、やっ
ぱりその後のフォローというのが少ないのかなと思っていまして、下の箱に課題として書
かせていただきますけれども、やはりこういったものを1回、皆さんの総意でつくってい
ったということであれば、地域のインフラとしてこの共配システム発足後も、引き続き継
続して地域の関係者が共同して、これを維持活用していくための枠組みをつくっていく必
要があるんじゃないかということが課題だと思っております。
2つ目の事例、今度は過疎の事例でございます。7ページ目以降です。事例が2つあり
ますけど、
この仁淀川町について比較するために大豊町というのを少し出しておりますが、
メインの説明は仁淀川町でございます。
8ページ目でございます。仁淀川町、地図をつけましたけれども、ちょうど四国の真ん
中辺よりもちょっと西にある、山の中にある町でございます。過疎が進んでいる町でござ
います。2.沿革の2つ目の「しろまる」ですが、移動販売も2台ぐらい、たしか出ているんです
けれども、山間部において道が狭くて、車が家まで着かないケースが結構あって、そうす -6-ると米とか、特にペットフードが強調されていて、たくさん買うと重いものですから、こ
ういったものが実は移動販売ですぐそこまで来るんだけれども、それを家まで持っていけ
ないという悩みがあるということを言っておられました。ヤマト運輸さんのほうから提案
を受けまして、地元商工会のほうでヤマトさんが支援しますよ、お届けしますよという申
し出があったのでそれを検討した結果、いろいろ可能性を検討した上でヤマトさんと連携
することで事業として成立させることになったということでございます。
その次の「しろまる」ですけれども、ただ、その際に商店とか利用者とか行政がみんな集まっ
て議論をすると、やっぱり誰が幾ら払うのかというので、なかなか話がまとまらないとい
うこともあって、まずは始めてみるということで、商工会と行政を中心に議論を進めたと
いうことでございまして、そのときの運賃の負担が下の表の形になっております。購入代
金が増えるほど、利用者の配達手数料が減っていく、こういうたてつけになっているとい
うことでございます。
一方、
JAさんでも商品代金の振込手数料も減免するということで、
地元の企業としても支援をしているということでございまして、昨年9月にサービスが開
始されております。
9ページ目をご覧ください。3.が仁淀川町のスキームなんですけれども、仮に1,00
0円のものを買うとすると宅配料金が400円ということで、それを商店に払って、ヤマ
ト運輸さんはこの1,000円と宅配手数料から振込手数料を引いた分を商店にお渡しす
るということになります。4.実績・課題ということで利用実績なんですけれども、開始し
て1カ月の利用実績をとったんですけれども、10件でございます。当初見込みは実は右
に書いてあるとおり、月400個でした。
実はこの隣に大豊町という、全く同じスキームをやっているところがあって、こちらに
ついては宅配手数料が1,000円以上買うと一律150円と。
11ページに大豊のスキー
ムをつけておりますけれども、3.ですけれども、注文1,000円以上で宅配手数料、6
支払のところで150円、一律150円という形でやっているのと比較して、簡単に言う
と宅配手数料が高いということです。大豊町のほうだと月100件ということで、大体1
0分の1ぐらいの利用実績しかないということでございます。人口などを比較していただ
いてもそんなに大きく変わるようなところではございませんので、むしろ大豊町のほうが
人口は少ない、こういう実態でございます。
なぜかということを課題として書かせていただいておりますけれども、実績・課題の2
つ目の「しろまる」です。商工会において、実はサービス開始前には全くニーズ調査等は行って -7-おりませんで、商工会と行政とヤマトさんだけでお話を進めていったという実態がござい
まして、やはり地域住民の意見を十分に取り入れていないという反省はされておられると
いうことでして、今後、利用者へのアンケートは開始1カ月でやられたそうなんですけれ
ども、使っていない方も含めた住民の方のご意見も、やはりいろいろ伺わなければいけな
いだろうなということで、それをもとにサービス改善を今後、行っていきたいということ
を話しておられました。
ということで、トライアンドエラーで、別にこの事例が悪いというわけではないんです
けれども、やはり下の箱で書いてあるとおり、地域住民が利用しやすいサービスというの
は、地域住民の声をサービスの設計の段階から、供給者側の論理ではなくて利用者の声も
十分反映されるように、協議会等の場で検討するということが、よりこのサービスを使っ
ていただく、ニーズに合うようにしてもらうためにも必要なのではないかということで、
課題として書かせていただきました。
私からの説明は以上でございます。
【苦瀬委員長】 ありがとうございました。ただいまのご説明につきまして、何かご質
問、ご意見ございましたらお願いいたします。いかがでございましょうか。
【兵藤委員長代理】 最初の事例のイエローバードなんですが、私ももう20年ぐらい
前、これをちょっと調べて、その当時は先進的なすばらしい試みということで評価されて
いたのに大変残念なんですが、要は、この統計だけではわからないんですけれども、発足
した当時はこの沿革にも書いてあったとおり、非常にこの地区、渋滞で困っていた、だか
らこういったことが動機づけになったと思うんですが、さて、今現在この地域というのは
荷さばきの駐停車で困っていたり、そういったことはあるのかないのか。おそらくはそう
いった問題があまり顕在化しなくなってきたので、それでかえってイエローバードの存在
意義がだんだん低下している。大手の宅配もやはり中心市街地だと、トラックを使わない
物流にシフトしていますから、そういった影響もあるのかなと思うんですが、今現在この
あたり、何かそういった問題が既に発生しづらい、ある程度解決されているとか、そうい
った状況については何か情報をお持ちでしょうか。何かありましたら教えていただきたい
と思います。
【苦瀬委員長】 いかがでしょう。どうぞ。
【木村物流政策課企画室長】 渋滞につきましては全くなくなったわけではなく、ご案
内のとおりですけれども、ただ駐車規制自体、かなり厳しくなっていますし、貨物専用の -8-パーキングメーターもものすごい数、ついたんですね。どこかに書きましたけれども、7
1基ということで環境は整備されてきているのかなという感じはしました、見た感じ。た
だ、やっぱりトラックが1台いなくなるとすぐに入ってくる、場所の取り合いに結構なっ
ている感は、朝の10時過ぎに行ったんですけれども、ちょっと感じました。あと、今、
別途この地区の中で交通戦略みたいなものの議論をされているようでして、その中では歩
きやすい町にしていこうという話はされていて、そういう中でトラックはどうするのかと
いう議論がされているのは、少し拝見させていただきました。
あと、今先生おっしゃられましたけれども、6ページ目に書いてあるんですけど、基本
的にヤマトさんとか佐川さんは最近、台車でやっているんですけれども、これはまさにそ
この中で撮った写真でして、必ずしもセンターがあるというわけではなくて、トラックで
来て台車で行っているというパターンのようでして、だからこそトラックが減っていると
いうことではないのかもしれないなと、台車を使うからという感じは受けました。
すみません、お答えになっていないかもしれませんが、以上でございます。
【苦瀬委員長】 ほかにいかがでございましょう。
はい、どうぞ。
【大串委員】 今の兵藤先生の質問とちょっと似ているところがあるんですけれども、
この会社の存在意義というもの、そもそもは非常に交通混雑があって、地元のニーズがあ
ったから発足してうまくいっていたと。ところが交通事情が改善していって、再開発など
でタテ持ちが主流になってきて、パーキングメーターがどんどんついて、逆にイエローバ
ードさんの営業妨害じゃないですけれども、直接、主流の3社が中に入って荷さばきをし
たほうが効率的な状況をつくり出している現状もあるわけですね。通常、まちづくりとし
てみれば、そういう配送業者の人が入れないように、特定のイエローバードさんにしか荷
さばきの場所を貸さないとか、何かそういう条件をつけて優先的に誘導していくという政
策と絡めていかないと、片方で物流のいろんな業者の方たちが、お金さえ払えば使えるよ
うな便利な専用のパーキングが増えていく反面、交通渋滞も解消されたとなると、今後の
見通しとしてはどうなのかなと。つまり、どういうふうに持っていきたいと考えていらっ
しゃるのかなというお考えを伺いたいというのが1点です。
次の第2の事例なんですけれども、もしかして、わかりませんけれども、住民の方たち
の年齢構成などの関係で、例えば需要が少ないところはまだ自分で運転していろんなお買
い物等ができる住民がいらっしゃって、でも四、五年、10年たつと一気に持ってきても -9-らう形に頼まないといけないような年齢構成の住民になっていらっしゃる可能性はないの
かなと。もうちょっと言うと、今、住民の需要が多いというところは、料金的なインセン
ティブで利用されているだけではなくて、もしかしたら年齢がかなり高くなっていらっし
ゃって、自力で物資の調達をするよりも、こういった仕組みのほうを利用されているとい
うようなことはないでしょうかということの確認をお願いします。
【苦瀬委員長】 はい、どうぞお願いします。
【木村物流政策課企画室長】 ありがとうございました。まず1つ目のイエローバード
さんの事例なんですけれども、どちらが、全体最適でいいのか、もういっそのこと個別に
運んだほうが消費者のニーズにも合うし、
いいということなのかという、
その議論は逆に、
ここにも一応、課題として書かせていただきましたけれども、これをどうするのかという
のを地域で話し合っていただかないといけないと思うんですね。タテ持ちというのは、こ
れは見ていて思うんですけれども、そのビル自体としては個別最適はかなり図られると思
うんです。ただ、地域として本当にそれでいいのかという話というのは別途あると思って
いまして、全てがタテ持ちを行っているビルばかりでは当然ないわけで、だからこそこれ
だけトラックが、まだ引き続きいるわけですね。そういったときにビル個別では、単体で
は最適化されるんですけれども、地域としてそれで、今まで使っていたお客さんがいなく
なって、共配のシステム自体がだんだん値上げをしていかなきゃいけなくなっていくとい
うことの繰り返しになっていくと、地域全体としてトラックを減らすという取組をどうす
るのかという、また別途の課題はあると思っております。
どうしていきたいのかということを、実は今、そういう意味で話し合う場というのが、
この枠組みが平成14年から動いていないということですので、どうしていきたいのかと
いうのは、私もそれを聞くチャンスがなかったものですから、会社としては先ほどご説明
したとおり、6ページの3)にありますとおり、むしろ公共のほうでもう少しきちんと、
地域全体の意思を統一してほしいということを言っておられました。あと、イエローバー
ドさん自体もパーキングメーターについては、自分だけが使えるようにしてくれとか、そ
ういう話は、ご要望はあるようです。
2つ目ですけれども、年齢構成につきましては一応、基礎データでつけておりますけれ
ども、仁淀川町も大豊町も高齢化率はさほど変わっておりません。約6割ぐらいのところ
でございます。ただ、訪問して思ったのは、若干、仁淀川町のほうが商店はまだ多いかな
という感じはありました。あと、移動販売車が若干こちらのほうが、地元の会社がやって
-10-
いる移動販売車があると、仁淀川町はですね。そういうことはあるようです。ただ、先ほ
ど先生もおっしゃられたように、10年たつとどうなるかという点につきましては、先ほ
ど申し上げたように高齢化率はそんなに変わらないという実態はあります。
以上でございます。
【苦瀬委員長】 ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。
はい、どうぞ。
【圓川委員】 天神の例で、ちょっと逆の見方をしますと、イエローバードさん、最初
はよかったんだけれども、いろいろ環境変化があるわけですね。クール宅急便が増えまし
た、あるいはもっと細かい頻度の輸送、あるいはいろんな再開発のビルが出てきたと。そ
のときに、ただ単に同じような事業のやり方でやっていたら、やっぱりこういうふうにな
ってしまうと思うんですね。ですから、私自身、素人で大変恐縮なんですけれども、そう
いった企画提案能力といいますか、環境変化に対してですね、こういったものも持ってい
かないと、やっぱりどんどん環境は変化しているわけですから、逆に言いますとそういっ
た新しいニーズが増えたら、ビジネスはチャンスだというふうなやり方でやっていかない
と、こういった結果になってしまうのかなと。皆さん、全体最適ですよと建前だけ言うの
ではついていかないんじゃないかなと、こういった感想を持ったんですが、いかがでしょ
うか。
【苦瀬委員長】 どうぞ。
【木村物流政策課企画室長】 一応、私もこの6ページ目の5.の1)で書いたとおり、
いろんなサービスが新しく出てきて、各大手の事業者さんは特にサービスの、そこで差別
化をしてお客さんをとっていくというところで、こういう共配というものとの、そういう
意味ではマッチングがうまくいかない部分が出てくると思っています。ただ、このイエロ
ーバードさんは、実はヤマトさんも佐川さんも、旧ペリカンさんの日本通運さんも出資さ
れておられます。株主として意見を言う機会は確かにありますが、さっき言ったように各
社が経営戦略としてそういうサービスの差別化を図るということと、みんながそれを使え
るようになってしまうということのバランスは、なかなか確かにとりづらいのかなと、そ
こも私の感想ですけれども、そういうことだとは思っています。
あと思ったのは、どうしてもドライバーさん中心の会社になってしまっていて、そうい
う企画的な機能というのが極めて薄いふうには、事務所を訪問して思いました。なので、
だからこそここに書かせていただいたとおり、皆さんで1回話し合ってみる、株主さん以
-11-
外も含めてですね、そういう機会というのは、もしこれをやめるにしても続けるにしても
必要なのではないかと感じました。
【圓川委員】 広範な話になると思うんですけれども、私、去年ASEANでの物流輸
送の競争力のテーマで委員会をやらせていただいたんですけれども、やっぱり海外で言わ
れるのは、日本の物流は質は高いけれども、逆に企画提案力になると非常に、欧米に比べ
ると弱いというふうに言われているので、そういった視点も少し考えて、ただ単に共同配
送、もちろんそれは建前はいいんだけれども、それだけではこの例のようにどこかで齟齬
が生じてなかなかうまくいかないという例はたくさんあるわけですね。ただ、やっぱり事
業を担う方自身の方の企画提案能力の育成、こういった視点も少し入れておいたほうがい
いんじゃないかなと思いました。ありがとうございました。
【苦瀬委員長】 ありがとうございました。ほかに。
はい、どうぞ。
【野尻委員】 これはご質問というわけじゃないんですが、私も前からこの天神の例は
関心を持って見ておりましたし、さらには新宿の摩天楼とか、埼玉の新都心とか、いろん
な意味で事業者が共同的に物流に取り組むというのは関心を持って見ていたんですが、ど
うもいずれもあまり芳しくないという話を聞いております。しかし、今後の我が国の物流
の施策、政策を考えると、やはりこうした共同化の芽というのはどこかに残しておきたい
なという、個人的な感想を持っております。逆にこういう、環境変化に対応していけなか
ったような共同化事業について、何が問題だったかというのはどこかで整理しておいたほ
うがいいと思います。
【苦瀬委員長】 ありがとうございました。
はい、どうぞ。
【矢野委員】 2番目の過疎地域のほうですが、私も高知県のほうを幾つか回らせてい
ただいて、地域によって商店の宅配で対応しているパターン、それから移動販売で対応し
ているパターン、あるいは買い物代行で対応している、いろいろなパターンがあって、そ
れがなぜそうなったかというのは、どうも私自身もはっきりわからないところがあるんで
すが、当然、人口分布あるいは高齢化状況、あるいは道路等の状況、あるいは店の集積と
か、いろんなので決まっているんですが、いずれにせよ、やはりその地域ごとの微妙な差
異で、どのサービスが一番そこに適しているかというのが変わってくるという状況かなと
思いました。そういう意味では、いかに住民ニーズにきちんと合わせたサービス、単純に
-12-
宅配便事業者がやるパターンだけじゃなくて、いろんな多様な方法の中で一番適したもの
をやっていくと、この辺が重要かなと思いましたし、ただ、現実に今の段階ではこれがい
いけど、10年後はどうかというのはやっぱり相当違うところがあるかと、その辺はニー
ズに合わせて変化させていくと、この辺も視点としては重要かなと思いました。
【苦瀬委員長】 意見ということでよろしいですか。ありがとうございました。
はい、どうぞ。
【大串委員】 私、福岡に長く住んでいましたので、天神は結構愛着もあるんですけれ
ども、やはり新天町あたりの商店街の小さなところと、大きいタテ持ちのビル、その間の
細い路地のところが今のパーキングのところになっているのかなと思います。
住んでいて、
この町はどうしてこんなにトラックがいっぱい停まっているんだろうと、確かに思ってい
ました。通学に関しても通勤に関しても、行き来するときに行きにくいということもあり
ますし、そういった意味では今回の物流サービス委員会ですけれども、欲しいところに欲
しいものをタイムリーに届けるというだけの物流サービス委員会ではなくて、それが美し
い町並みに貢献するという視点もぜひ入れていただきたいと。例えば、先ほどの全体最適
とか、そういった効率の面、全体の効率の話から一歩抜けて、町並みとして、商店街とし
て少なくともある時間帯、昼間の時間帯はどうあるべきかと。つまり、トラックがどーっ
と停まっていて歩きにくい、通行者にそういった道を提供している町並みでいいのかとい
うことの視点を、御課としてすごく強く意識として持っていますので、そういったところ
の欧米並みといいましょうか、
欧米以上にいい町並みにしていきましょうというところを、
1つ大きく強調していただきたいなと。で、含めまして、それぞれ今、先生方がおっしゃ
っていますけれども、場面場面に応じてニーズが違っていき、それに向けてサービスも変
わっていかなきゃいけませんので、どういった場合にどういったサービスが適しているの
かという、これまでの知見がもしわかるような冊子等ができましたら、地域のほうに配っ
ていただいたりして、そういった意味でのデータベースのバックアップというような貢献
をしていただければと思います。
すみません、以上です。
【苦瀬委員長】 ありがとうございました。よろしいですか。
私も、別に質問じゃないんですけど意見、先生方と似たような話になっちゃうんですけ
ど、多分、共同配送、1つ目には共同化というのの歴史的な変遷というのを1回、勉強し
なきゃいけない、これは皆さん方というよりも私というか、こちら側に座っている人の責
-13-
任かもしれないんですけど、それはきちんとやらなきゃいけないのかなというふうに、ち
ょっと振り返ってみました。共同化では、効果といった場合にセンターから配送するとき
のトンキロが減るという議論はよくあるんですけど、実はセンターが遠いと、センターま
で行くトンキロは必ず増えているという議論があって、その辺も実は共同化したから全部
うまくいっているかどうかというのは、ちょっとチェックしなきゃいけないというのは、
私はいつも思っています。
それから、歴史的には平面の話があって、タテ持ちが出てきて、次第にエリアマネジメ
ントみたいな議論をせざるを得ないのかなという気がどうしてもしているわけです。そう
なると3つ目に、例えば路上の議論だけで、路上のパーキングメーターをどうするかとい
う議論だけで果たして済むんだろうかという気がちょっといたします。例えば銀座と丸の
内を比べれば、似たような台数のトラックが何万台と来ているわけですが、それでも見え
るところと見えないところがあると。どうやって収容するか、そういうエリアマネジメン
トをしなきゃいけないのかとか、あと、天神の場合は私はあの地下街で、地下街の駐車場
から横に穴をあけて、天神のコアビルに配送車を持っていっているという、あれは道路下
の空間の利用と荷さばきと建物側と、セットしてつくっているわけで、そういう工夫があ
るわけですから、いずれそういう、建物とか駐車場とか大きなビルがそういう周辺のこと
もリカバリーできたとするならば、何かの形でボーナスを上げるか何かして、うまく処理
するといいのかなと思ったりはしているんですけど、そういうことも含めて我々も勉強し
なきゃいけないのかなと感じた次第でございます。
ほかにいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは意見が出尽くしたということで、次の議事の2番目
にいきたいと思います。2番目は、今後の物流政策の基本的な方向等について(中間取り
まとめ)に向けた論点整理案についてに移りたいと思います。
まず、事務局よりご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【島田物流政策課長】 それではお手元の資料2に基づいてご説明させていただきます。
今後、8月末にこの小委員会の親の部会を開かせていただいて、中間取りまとめといった
形で公表させていただきたいと思っておりますが、それに向けまして、これまでの小委員
会、あるいは第1回部会で出たご議論を踏まえて論点を整理させていただきました。
4月30日に合同部会を開催いたしました際に、検討の視点という紙でご説明申し上げ
たところでございますけれども、この1ページ目の1から8に書いてある8つの視点でご
-14-
議論いただきたいということをお願いしたところでございますが、本小委員会については
4と5、大都市の活力を物流面からさらに高める観点から、どのような施策を講じるべき
か、5の過疎地等における持続可能な物流ネットワークの構築に向けて、どのような施策
を講じるべきか、この2点についてご議論いただいておるところでございます。今回まで
の小委員会での検討を踏まえて、以下に書いてございますような論点整理を、とりあえず
させていただきました。今後、現在、実は各業界団体等にもご意見を聴取している最中で
ございまして、そういったもの、あるいは今後のご議論も踏まえて論点全体を整理しなが
ら議論を進めていきたいと考えておるところでございます。
2ページ目以降、現時点での整理の案でございます。大都市の活力を物流面からさらに
高める観点で、どのような施策を講じるべきかというところでございます。今ほど、小委
員長からもお話がございましたけれども、都市内の物流のマネジメントという関係では、
例えば共同配送、あるいは荷さばき施設の共用化といった取組を、物流に関するエリアマ
ネジメントという観点で促進すべきではないかという論点がまず1つあるのではないか。
それに加えて、タテ持ちの関係でございますけれども、論点4-2、物流に配慮した建築
物の設計あるいは運用といった視点も必要ではないかと。建物の設計というハード面と、
その後の運用という点でのソフト面一体での物流の最適化ということが必要ではないか。
あるいは、そういった建物の設計段階、工事段階での物流事業者の参画といったことも必
要なのではないか。
さらには、
高層ビル等における館内物流の最適化に向けた様々な取組、
そしてそれに必要な費用についてどのような負担関係にするのかといったことについて、
関係者間での調整が必要なのではないかといったようなことを、論点4-2として掲げて
ございます。
それからもう一つ、大都市での大きな課題といたしまして、最近、宅配の貨物が極めて
増えておる、
それに伴って再配達の数も増えてございます。
この再配達の削減という観点、
これは特に労働力不足という、物流部門での最近の非常に大きな課題の解決策の一つにも
なるのではないかということでございまして、具体的には受取方法の多様化なり、消費者
への通知の仕方といった関係者の連携の上での共同の取組を進めるべきではないかという
ことでございます。これについては現在、別途検討会を設けておりまして、検討中でござ
います。こういった都市内物流の視点のほかに何らか、先ほど委員から美しい町というお
話が出ましたけれども、町の魅力を高めるという観点からも、どのような視点が必要であ
ろうかということについてもご意見を頂戴したいと思います。
-15-
それから2つ目に、鉄道による貨物輸送の関係でございます。これもJR貨物さん以外
にも、例えば前回の委員会でもご紹介申し上げましたが、京福電鉄の京都の嵐山線におい
て、路面電車でありますけれども、四条大宮から嵐山に向けて貨物の宅配利用といったよ
うなものが現在、行われております。こういったことも都市部におけるトラックドライバ
ー不足という観点、あるいは地球温暖化対策の観点からさらに促進していくことが必要で
はないだろうか。こういった様々な地域における、特に都市内の物流については様々な関
係者の合意形成、あるいはその実行といったようなことが必要でございますが、それを円
滑に行うための施策をどのように講じるべきかということについてご議論いただきたいと
思います。
続きまして4ページでございますが、2つのテーマのうちのもう一つのほう、過疎地物
流の関係でございます。これにつきましても、地域を支える持続可能な物流施設のあり方
に関する検討会といったものを別途行っておりましたが、それの報告書で指摘された内容
も踏まえて、さらに深掘りをさせていただきたいと思っております。具体的には地方創生
ということでも出てきております、小さな拠点といったものを核とした新たな輸送システ
ムの構築という視点が必要なのではないかと。ここを核とした貨物輸送の共同化、あるい
は生活支援サービスといった他のサービスとの複合化といったような、新たな輸送システ
ムの構築を促進するべきではないかという点。
それに加えて論点5-2でありますが、既存の公共交通を活用した貨客混載、あるいは
自家用自動車を活用した有償の貨物運送といったようなことを考えてはどうか。例えば離
島なり過疎地といった条件不利地域に関しては、こういったことを可能とする制度上の措
置をどのように講じるべきであろうかということでございまして、下のアとイに書いてご
ざいますけれども、例えばバスや鉄道の輸送力を活用した貨物輸送といったようなことが
あり得るのではないか。それからイのほうでございますが、現在、地域公共交通活性化再
生法という法律において既に入っているスキームでございますけれども、地方公共団体が
地域公共交通網形成計画に即した地域の、例えば路線バスの路線再編計画といったような
ものを作成いたしまして、国土交通大臣の認定を受けた場合は、その認定計画に記載され
た公共交通の再編事業に係る自家用有償旅客運送を行う人については、少量の貨物輸送が
可能になるという制度は既にございます。こういった計画の策定されていない地域におい
ても、物流ネットワークとしてどのように活用しながら維持、確保していくのかというふ
うな観点が1つあるのかなと。例えば、下のほうにちょっと書いてございますけれども、
-16-
一定の条件不利地域における宅配サービスとして、幾つかの商品なりに限定した上で、既
存のトラック事業者の事業運営を妨げないといった条件を満たした場合に、自家用自動車
等を活用した有償での貨物の運送を認めるというような施策はあり得るのではないかとい
うことを書かせていただいております。それ以外に、こういった過疎物流におけるネット
ワークの構築に向けてどのような視点を追加で考えるべきかということについてもご議論
いただければと思います。
それから、こういった過疎地域における物流ネットワークの構築、新しい輸送システム
の構築に当たっては、当然ながら多くの関係者の合意形成ということが非常に重要になっ
てまいります。特にこの場合、自治体との連携というのが非常に重要ではないかと考えて
いるところでございまして、そういった自治体あるいはその他の地域の関係者から成る協
議会の設立といったことが必要なのではないか。その際に当然ながら、様々な知識を有し
た人材の育成といったようなものも、あわせて講じていくことが必要なのではないかとい
うことでございます。こういった関係者の合意形成、あるいは合意事項を実際に円滑に実
行するための施策といったようなものを、どのような形で講じていくことが必要であろう
かということでございます。このような形で現在、論点の整理をさせていただいたところ
でございまして、最後に6ページでございますけれども、その他、今の整理にうまくおさ
まり切れないその他の論点でございます。
例えばAに書いてございますが、消費者に非常に身近な問題として物流が最近出てきて
おりますが、そういったことを理解していただくにはどのような取組が必要であろうか。
あるいは教育の場といったところでどのように取り扱っていただくことが適切であろうか
ということでございます。そのほか、多様な主体間の連携の促進について、どういった手
法が、あるいは進め方が考えられるであろうか、さらに部会等でもご意見が出ておりまし
たが、トラック輸送の安全性という観点、あるいは最近出てきました超小型モビリティの
活用といった観点、様々ほかにも視点があるのではないかということでございますので、
ここに掲げさせていただいております。
以上でございます。
【苦瀬委員長】 ありがとうございました。それでは今の論点整理案についてご意見を
いただきたいと思います。どなたからでも結構でございますが、ご意見ございましたら挙
手をお願いいたします。よろしくお願いします。
はい、どうぞ。
-17-
【兵藤委員長代理】 これは情報提供ですけれども、さっき大串先生からお話がありま
した、まちづくりの観点から見た物流の対策ということで、これは10年前、苦瀬先生が
委員長をされていたときに最初につくられた、東京都市圏の物資流動調査の中で、まちづ
くりから見た端末物流のいろんな政策、それから調査の手引をつくっていますので、また
今回、この秋ぐらいにそれを改正したものを公表する予定でございます。一応それは基礎
自治体向けに、端末物流の対策として何をするべきか、そのためにどんな調査をすればい
いかという、そんな内容になっていますので、何かの参考になればと思います。これは情
報提供でございます。
【苦瀬委員長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
はい、どうぞ。
【矢野委員】 この間、私もエリアマネジメントという言葉を使って、それがここに反
映されているのかと思うんです。エリアマネジメントを考えるとき、その地域の価値をい
かに高めていくかと、この辺が原点になり、そこでエリア全体でどうやってマネジメント
していくかというところなんですが、きっとそのときにいつも問題になるのが、1つは誰
が、エリアマネジメントになるその主体の問題、それから地域ルールをどうやってつくる
か、この問題。それから地域をどの範囲にするか、その辺がきっといつも問題になるのか
なと思います。主体の話はこちらにも、地域の関係者のというところで入っていると思う
んですが、地域ルールというのがなかなか難しいところで、先ほどの天神もそうだと思う
んですが、地域全体として何かルールがつくってあれば、それにのっとってそれが継続的
に行われる。ところがそれがないと、なかなかそれが継続的に行われない。じゃ、物流に
関して地域ルール的なものをどうやってつくっていくか、この辺が1つ問題になるのかな
と思います。
それから同時に、地域のエリアというのもやはりエリアマネジメントをやるときには、
どうしても開発地域が主体になって、そこで周辺地域をどこまで巻き込むか、ここが常に
議論になるわけですね。物流のことを考えると、やはり周辺地域も巻き込むというところ
がとても重要なんだけれども、そうすると先ほどみたいに、開発の地域の中はどこかの特
定の事業者に委託してしまって、
それ以外のところだけがとり残されるみたいな話になる、
その辺がやはり地域のエリアの広さをどういうふうに設定するか、より広域に設定してい
くと、
その辺もうまくエリアマネジメントの中で組み込んでいければいいと思うんですが、
なかなか私自身も、じゃ地域ルールをどうやってつくるか、今までそういう事例はきっと
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ないと思いますので、その辺をもう少し踏み込めればなというふうに思いました。
【苦瀬委員長】 ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。
どうぞ。
【野尻委員】 大都市の活力を物流面から、4のほうですが、本当に困っているのだろ
うか、そこにいる人たちは誰がどういうふうに困っているのか。確かに都市は美しいほう
がいいし、トラックは見えないほうがいいんだろうと思うんですけれども、関係者の調整
とか、
自治体が中心になって何か円滑にものを進めるといっても、
どうも進んでいないと。
そう考えると、
今のような議論、
効率性とかあるいはコストの問題とかで言ってしまうと、
なかなかそれを調整するのは、現実には非常に難しいんだろうと思います。
20年前、30年前にパリなんかに行きますと、昼間トラックはパリの市街地は走れな
い、したがって物流は全部夜ですね。ターミナルから足のついたコンテナを都市内に運ん
でおいて、そこから持ち出す、あるいは本当に早朝に食料品の配達なんかをやるというよ
うな、我々から見るととんでもなく不便な生活を、でも美しさを保つためには必要なんだ
みたいなことを見ましてびっくりした経験があります。ただし、現在どうなっているのか
はよくわかりません。それからアメリカでも、ニューヨークとかシカゴとかでは、これは
馬車の時代からですけれども、人が歩く歩道にシュートといいますか、建物の中、地下に
貨物を落とすというようなものがかつてはありまして、最近はちょっとわかりませんけれ
ども、そういう意味では都市の景観、あるいは住民の住みやすさ、あるいはその他の利便
性を考えて、物流というのは結構、粗末にと言ったらあれですけれども、ちょっと引っ込
んでいてよねという扱いを受けたような印象を、かつて持っていました。
今、こういう都市内の物流について、物流の位置づけ、我々は物流は大切で、物流がな
くなると都市生活もできないでしょうと、だから物流が円滑化したほうがいいんですよと
いうふうに、私自身ももちろんそう主張しているんですけれども、その説得力が、調整と
いうときにどの程度のウェートを持っているのかというのが若干疑問に思っています。
最後の6ページのところで、教育ですね、その他の検討をすべき点でa、身近な問題と
して理解してもらう、ここの努力というのをこれに合わせてといいますか、その前提でな
いとどうも空回りしてしまうなという印象を受けました。やはりそれぞれ皆さん、総論で
は非常にすばらしいことをおっしゃるんですが、じゃ、どこがどういうふうに、こういう
言葉が適切かどうかわかりませんが、犠牲になってといいますか、マイナスの分を負担し
て全体として最適値を求めるのかという議論になると、ちょっと進まなくなってしまって
-19-
いるという印象を受けております。したがって、都市の物流、本当に困っている部分をも
う一度基本的に洗い直して、そしてこうした、ここに書いてあることに説得力をつけるよ
うな話が必要かなというふうに、印象として思っております。
以上です。
【苦瀬委員長】 ありがとうございます。
【圓川委員】 すみません、私は全く素人なので、今、矢野委員、それから野尻委員が
言われたことと関連すると思うんですけれども、やっぱり共同物流は昔からいろいろあり
まして、総論賛成、各論でエゴが出てきてなかなかうまくいかないというのを繰り返して
いたんですけれども、エリアマネジメントと書いてありまして、私はよくこの言葉は知ら
ないんですけれども、例えば論点4-2のbに書いてあるような、本当に建物を建てる段
階で物流事業者が入っていっていろんな提案をして、そこにうまく共同物流を絡ませると
いうこと、こういうことは一番源流でそういうことをやらないと、後から、建ってからや
るとなかなかやっぱりうまくいかない。それこそ総論で、後なかなか各論が進まないとい
う。一番、建物を建てるところからやる、参画と助言と書いてあるんですけれども、ここ
をもう少し掘り下げた提案ができるといいのになというふうに思うんですが、何かいい例
がないんですかね。
私は前回、休んだんですけれども、資料を読みますと佐川さんの例ですか、いわゆるビ
ル全体をワンストップサービス化している、そういったワンストップサービスとか、事業
収益を担保できるような枠組みで、共同物流をそこの段階で絡ませていかないとなかなか
うまくいかないので、やはり共同物流、これは矢野先生、エリアマネジメントでいいんで
すかね、その段階からやるようなことをやっていかないと、今野尻先生がおっしゃったよ
うに総論賛成で、後で環境変化についていけないというようなことになってしまうので、
この辺のところをもう少し、参画と助言じゃなくてもう少しとっかかりのあるようなキー
ワードが入るのがいいのかなというふうな感想を持ちました。
以上でございます。
【苦瀬委員長】 ありがとうございました。
どうぞ。
【大串委員】 ありがとうございます。私は2つ、大きく方向性が違うものが必要だな
と思いました。1つは都市、もう一つは田舎という、非常に物流が満ち足りて、逆に物流
でごった返して、トラックがわんさか来ているようなエリア、バスとかでもそうだと思う
-20-
んですけれども、それと全くそういった物流が少なくて、物資の供給が政策として考えら
れなければいけないエリアというのがあって、その二極を考えたときに、都市のほうには
少し、負のインセンティブといったら名前が悪いんですけれども、少し不便になってもら
うと。今、それぞれ個が自分の最適なところで物流を回していこうとするので、町並みに
非常に負荷をかけてしまっているので、負のインセンティブをつける、つまり例えば昼間
の時間帯の荷さばきパーキングエリアはすごく割高にして、夜の時間帯を極めて低い金額
にして、夜にやってもらうようなインセンティブ誘導だったりとか、先ほど町中の話を野
尻先生も言われていましたけれども、エリアでこの区間はこの時間帯は入れないとか、で
も入れないとか、あまり過激にやってしまうといろんなひどい局面もあるでしょうから、
少しずつパーキングの値段を変えて、大きく夜に誘導してみようかとか、何か窓口を設け
るようなところで補助金を使えるようにしようかとか、ちょっと何が効果的なのかわかり
ませんけれども、そこの町並みをよくしようとする物流のところに協力してくれるような
ところには、正のインセンティブ、そうじゃないところには負のインセンティブをしっか
りつけて、まずは政策的な側面から住民の意識改革を促していくと。その中で住民にとっ
て、やっぱり今のやり方では結果的に合理的ではないですよねという合意を得て、自分た
ちの意思で最適なものに変えていっていただくという2段階が都市の中では必要で、田舎
のほうは本当に、極めて便利さをつくり出していかなきゃいけないんですけど、かなりタ
イムスパンによって成功できるビジネスモデルが変わっていく可能性があると思いますの
で、そのあたりのところを少しフォローしていきますよというような施策展開をこれから
見通せればなというふうに思いました。
以上です。
【苦瀬委員長】 ありがとうございました。いかがでしょうか。
いろいろ、今は4に大分、意見が集中していますが、私も4に関して、それが終わった
ら5の議論もしていただきたいと思います。私自身は、いろんなことを思うんですが、物
流を勉強している身だと、昔、勉強を始めたころは結構肩身が狭くて、何でそんなことを
やるのとよくおしかりを受けたことがあるんですが、公共のためになるのというようなこ
とを、よく言われたことがあるんですが、私自身はいろいろ調べてみると、そんなことは
ないでしょうといつも思っていました。江戸時代からずっと今、調べているんですが、そ
もそも交通も、レジャー交通があったり通勤通学交通があったわけじゃないですから、多
くの交通というのは、
やっぱり基本的には産業利用と軍事利用だったように思うんですね。
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たまたま通勤通学が多くなって、
人の交通がすごく目立つようになったわけでありますが、
だからといって物の交通が要らないわけではないというのは、私の感じでございます。
現実に、例えば大きなビルを調べたり、大きなデパートを見たりしますと、オフィスビ
ルでさえ100人来たら1台のトラックというのが私の直感なんですね。
具体的に言うと、
例えば丸の内のあたりに建っているビルというのは、1つのビルが平日、6万人ぐらい出
入りしますから、600台から700台ぐらい来ているわけですね、トラックが。乗用車
のほうが全然少ないわけであります。でもそれほど目立たない。だから、実は町の中で物
がないと大変なんだと、我々はいつも言っているんですが、なかなかそこが通じないと思
うんですね。というのはどうしてかというと、水道と同じで目立たないように、目立たな
いように水道管を張れば張るほど、蛇口を開けたときに感謝してくれないということがあ
るんですね。これがちょっと寂しい思いをしていまして、だからそこはちょっとつらいと
ころだなというふうに思っているところであります。
それから、確かにとめてしまうという手も、不便にするという手もあるんですけど、そ
ういう意見もあっていいと思うんですが、例えば本当に今の日本の消費者とか都市の市民
の人たちの生活の中で、とめていいんだろうかというのがすごく気になります。例えば、
最近僕はヨーロッパをちゃんと調べていないのでわからないんですけど、コンビニエンス
ストアがあるわけじゃなくて、サンドイッチを買うときにはパン屋さんがサンドイッチを
その場でつくるような世界なわけですね。日本ではコンビニエンスストアで平均9台か1
0台、いつもうろうろして運んで、すぐのものを食べると。宅配便は2時間おきに時間指
定で来ると、こういう生活を前提にしておいて、じゃ、午後は全部だめよとか、昼間全部
だめよといったときに、果たしてもつのかというと、ちょっともたないんじゃないかなと
いう気がするわけですね。やっぱり生活のスタイルがここまで来ると、何かうまい調整を
しなきゃいけないのかなというふうに、常日ごろから思っているわけであります。
そういう意味で、ソフトのほうがそういっちゃったならば、少しはハード側でいろんな
工夫をしてあげるしかないのかなと。それも全部が全部、何でもかんでもやりましょうと
いうのはちょっとやり過ぎだと思うんですが、そんなようなことを気にしています。
それからもう1個、気がついた意見なんですが、論点4-3の宅配便の再配達なんです
けど、これでちょっと思い出したんですが、昭和49年、大分昔ですが、私の記憶では運
輸政策審議会の貨物輸送小委員会というのがあって、そこで確か、オレンジ色のこれより
も小さいぐらいの薄いレポートが出ていると思うんですが、その中に商業地域にはトラッ
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クストップとか、工業地域にはトラックターミナルとかと書いてあったと思うんですが、
その中に、私は今でも、非常に言葉がおもしろかったので覚えているんですが、住宅地に
貨物だったか、荷物だったかの共同授受施設と書いてあったと思うんですが、そうですよ
ね。そんなのありましたよね。そういう施設、つまり住宅地でも荷物を受け取れるように
しなきゃいけませんよと、
こういう議論があったような気がするんですね。
おそらく、
今、
大都市の大きなビルという議論になっているわけですが、実は住宅地でもいずれ、そうい
う荷物がいっぱい来ているわけですから、そういうことも要るのかなと、それが論点4-
3の思想に含まれているのかなというふうに、ちょっと感じたということでございます。
以上、ちょっととりとめのない意見でございました。 はい、どうぞ。
【羽尾物流審議官】 いろいろご指摘いただいた点で、現在の状況とか、ご参考までに
お話をさせていただきたいと思います。既に第1回、第2回の小委員会でもヒアリングな
どもしていますので、一部繰り返しにはなるんですが、1つ、やはり先ほど都心部、大都
市圏での物流のあり方について、野尻先生のほうからも本当にどう困っているのか、誰が
困っているのかというご指摘をいただきました。
実はこれはおそらく、とても困る部分については現在もいろんな関係者の方が努力をさ
れていて、とても困るような状況は避けているというのがまず事実なので、そこでまず見
えない、うまくいっていると思っているというのはあると思います。前回、佐川急便など
がスカイツリーの、ソラマチのところでいわゆる一括して仕事を受託していました。前回
の説明にもあったように、ああいう今の佐川のやり方をやらないで放っておいたら、毎日
スカイツリーの周りに800台以上のトラックが流入すると。そのトラックの内容を見れ
ば、おそらくトラックの中に3割、4割しか荷物を積まずに入っていくやつもいると。そ
れが積もり積もって800台を、佐川急便はその近くのもう少しすいている有明とか、そ
ういった場所に流入施設のセンターをつくって、そこで一旦トラックを集めて、そして混
載などをしてソラマチに持っていくと。こういう状況をして370台ほど数を減らして、
400台あまりのトラックの流入で済むようにしていると。
その結果、ソラマチに入るお客さん、お客さんというのはスカイツリーに上りたくて、
あるいはソラマチで買い物をしたくて来るお客さんの乗用車の渋滞、乗用車がトラックに
紛れて渋滞に巻き込まれるということを避けていると、こういう状況がある。それを、例
えば森ビルだとか六本木ヒルズだとか、そういうところでいろんな事業者が努力してされ
ていると。その結果、放っておいたら大変な状況になるのを何とかカバーしているという
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状況なんですが、今日の議論でもありますが、それを今は建物単位、そしてそこに入る事
業者がやっているということなんですが、そこをこれから大事な視点で、今日もご指摘が
あったのは、建物が何個も建つような地域があります。それをまとめてどうしていくか。
それはまさに先ほどの美しいまちづくりでもあり、エリアのマネジメントとしてどうする
かと、こういうところがあります。そこはまだ、それを全部一括して1事業者がやればで
きるのかもしれませんが、それぞれ違ってきた場合にどうするんだという課題が残ってい
るんだと思います。
そしてその場合、先ほどの福岡天神の事例も、それほどでかい建物ではありませんが、
同じように地域にたくさんのトラックが入ってくるのをどう整理するかと。
そこは先ほど、
まさにエリアマネジメントという言葉の中で、主体とルールと地域の範囲というご指摘も
いただきました。特に、主体がいろんな人が入ってくる、そこには利害がおそらく違うん
だと思います。物流のことを、スムーズに流れることを第一に考えている方と、それから
物流はなければいい、あるいは少なくてもいいと考えている人、利害が違う人が入ってき
て、当座は協議会をして何とかやるんですが、時がたつにつれて利害が表面化してくる、
あるいは環境の変化の中で、そこから離脱して自分でやりますというところができてくる
と。
でも、今のこの仕組みの中で、それを無理やり入っていろという法制度もありませんの
で、そこはやはり納得ずく、あるいはそれを縛るようなスキームなのかというところが来
るんだと思う。そのときに私どももこれから、先ほどそういう場での参画と助言とか、そ
ういう言葉だけにしていますが、そういうスキームというか枠組み、例えばその協議会に
きちんと入って参加すれば、こういうメリットがあるんだというような枠組みとか、ある
いは逆にそこに入ってメリットを享受するなら、入ってきた人はみんなこういうふうに拘
束されると、こういうものがあって実際に機能するような形、それがあれば理想なんです
が、今の仕組みの中でどこまでみんなを拘束するような形ができるのかというのは課題だ
と思います。
その意味で大串先生がまさにおっしゃったように、インセンティブをつけながらこの時
間帯はだめですよとか、そういうのを制度として決めるのではなくて、おそらく枠組みを
決めて、枠組みの中で納得ずくでやっていたら、そういう制約があってそこでみんながう
まくいきますねと、こういうのをどういうふうに形成していくのかなというのが1つの課
題であり、私どももまだこれを、方向が出せていないという部分ではないかと思います。
-24-
あと、
加えてそのときに大事なのはまさに理解、
物流に対しての理解なんだと思います。
おそらく私どももコンビニに行って物を買いますが、あそこに一体一日何回トラックが来
ているんだというのはわからないで買っています。ただ、わかるのは例えばバスに乗って
いたり、乗用車に乗っていて行きたいところがあるのに、コンビニの前にトラックがとま
っていて、結局そこで渋滞が起きている、邪魔だなというふうに思うという意味でわかる
だけなんですが、実はコンビニであなたがおにぎりを買うときにスムーズに買えているの
は、トラックがそうやって何度も何度も行っているからなんだという理解が必要でありま
す。ところがその理解という意味では、基本的には物流というのは見えないことがいいと
いうことでずっとやってきていますから、基本的にみんなわかっていない。
例えば学校教育でも、ほとんどそういうことは教えていないんです。小学校の教科書な
どを見てみると、物流というのは産業を支える物流ですということは出てきて、例えば港
で船というのは出てくるんですが、宅配で毎日荷物が運ばれています、コンビニに運ばれ
ています、そういうのはほとんど小学生には教えてはいない。こういった課題もあります
から、そういったことはさっきの論点でもちょっと書いていますように、そこも含めて理
解をしていくことが、地域の物流という観点でも役立つ場面が出てくるのではないかと思
っています。ちょっとそこは遠い話ではありますが、今日ご議論いただいた点について、
私どもの問題意識というのはそういうところでございますし、先ほど申したようにエリア
として、あるいは建物としての物流を都心部でどう見ていくかというのは、これからどう
いうふうに進めていくかというのを、いろんな、福岡の例なども見ながらきちんと考えて
いかないといけないなと思っております。
【苦瀬委員長】 はい、どうぞ。
【大串委員】 ありがとうございました。例えば、先ほどからおっしゃっているような
コンビニの配送のこともそうなんですけれども、やっぱり業者の方たちは、特にお店をや
っている、セブンさんとかもそうだと思うんですけれども、いろんな自由競争の中で配送
をどんどんやっていった結果、自分たちの自前のものを持ってそこで集約して、店舗ごと
にトラックをつけたほうが効率的だというふうになっているわけで、その前提としては物
流に公的な規制が何もないと、そういった場合には自分たちの利便性の中での個別最適と
いいましょうか、それを見出していかれるんだと思います。その中でもし、何かエリアマ
ネジメントの網がかかっていまして、先ほどのインセンティブで、例えば夜間配送が非常
に安く済むんだというような駐車規制などがしかれると、その中での最適というのがやは
-25-
り図られるんだと思うんですね。その規制を公のほうで、法律なり条例なり何なりでかけ
ていってエリアマネジメントをしていくほうがいいのか、それを合意形成によって地域の
中で決められたルールで最適を模索するのがいいのかというところの判断が、一つ政策担
当者として覚悟も含めてなんですけれども、なされないといけないかなというのは、今、
話をお聞きして思いました。ありがとうございました。
【苦瀬委員長】 今のご議論に関しては私も思うことがあって、商店街の中でトラック
が入るときにどうしようか、だからどかそう、排除しろ、規制しろ、こうやるんですが、
大体そうやるとあまりうまくいかないんですよね。そうじゃなくて、そういうときに意見
を求められていつも申し上げているのは、来てほしくない車でもここに来ざるを得ないか
ら来ているので、来てほしくない車に対して、そっちに行くと便利だよと言ったら、何も
規制しなくてもそっちに行っちゃうということがあるわけで、それは規制して排除すると
いうのではなくて、誘導して導いてあげるという方法もあるんだろうと思うんですね。そ
の両方のバランスをうまくとっていけるといいなというのが、私はいつも思っています。
それから、今の議論で思い出してもう一つ申し上げたかったのは、どこかでも言ってい
ると思いますけれども、ロンドンにレッドルートという道がありまして、これは日本では
駐停車禁止道路と必ず訳されるわけでありますが、赤く塗ってあるんですが、その道、い
ろんな区間があるんですけれども、その中の幾つかの区間の中に、パーキングではなくて
ストッピング、停車をしていい区間というのがあるわけですが、それも必ず車いすの方3
時間と、
貨物の荷おろし20分ということであって、
乗用車は停めないんですね。
つまり、
逆に言うと荷物というのは、私は学生に言っているのは赤ちゃんと同じだと、自分で歩け
ないし話すこともできないし、洋服を着ることもできない。だからこそ丁寧に扱わなきゃ
いけないんだというわけなんですが、日本の場合は路上で停まるのは乗用車のほうが多い
という、ここにヨーロッパとの感覚の違いというのが大きいんじゃないかというふうに、
私は思っております。その感覚でいっちゃうと、やっぱりトラックは遠くまで行って規制
して、排除して、向こうから台車で持ってきなさいと、こういう議論になっちゃうと、実
はなかなか実効性が乏しくなるのかなというのが私の思っているところです。
以上、私の意見です。ほかにいかがですか。
はい、どうぞ。
【大串委員】 物流の国際競争力の関係で、港の混雑とかの話がよく話題になると思う
んですけれども、1つ、言いたいことを言う前に質問したいんですけれども、トラックが
-26-
行列をつくると、あの行列の順番に入館手続だったりというのが粛々と行われると、だか
らこそずらっと長い行列をつくって順番を待って、粛々と物が運ばれているということな
んでしょうか。ちょっとそのあたり、1点教えてください。
【島田物流政策課長】 例えば大井埠頭のコンテナヤードの前面でのトラックの行列の
話だと思いますけれども、
朝8時半から夕方4時半までの間にゲートに並んでいただいて、
その順番でコンテナの積みおろしをヤード内でやれるというふうな形になっております。
【大串委員】 例えば割増、2倍払うのでファストトラックとか、そういった施策は可
能なんでしょうか。
【島田物流政策課長】 現時点ではそういったことをやっておりませんが、要はファス
トトラックにしてしまうと、
今度はそれ以外のところがますます混雑をするということで、
要はキャパシティが相当いっぱい状態の中で回しているということでございますので、あ
る人を早くしてある人を遅くするということが解決策になるのかどうかというと、そこら
辺はもうちょっと議論が必要かなと思います。
【大串委員】 どの程度の需要量がそこにあるのかというのはちょっとわからないんで
すけれども、最近、空港とかでもVIP搭乗口とかを別途設けて、すぐに通れるような通
路を設けることで国際的な富裕層の方たちにスムーズに入国してもらおうという取組が行
われていますよね。同じように非常に高額な料金を払ってでも、そこをすっと通すことが
非常に有益な業界、業種もあるでしょうし、私はもう一つ心配しているのはトラガールの
話で、
トイレがないところに長時間長い列を作って並ぶというところで非常に嫌がられて、
人がいてもそちらのほうに人材をふり向けられないということがありますので、
いろんな、
もう少し柔軟な施策によって、
お金をちょっと高く頂戴するんだけど並ばなくていい路線、
もしくは少ししか並ばなくていい路線をつくりましたよと、そこをまず活用してみてくだ
さいとか、全体最悪になるというか、みんなが同じように並び続ける、時間をかけるとい
う時間的な平等の配分ではなくて、もう少し工夫することによっていろんな人材が生かせ
るような方向性もぜひ、ハード的にできるかというのはちょっとあれですけれども、お考
えいただけたらと思います。
【苦瀬委員長】 ありがとうございました。
はい、どうぞ。
【矢野委員】 それに若干関連するんですが、今コンテナのほうは私も詳しくはわから
ないんですが、実際、物流施設などで待ち行列が多く発生している、手待ち時間が多く発
-27-
生しているという問題のときに、やっぱり事前に何時に着くといった、そういう事前出荷
情報などがきちんと伝わっていない、それで結局、ある時間に集中してしまって待ち行列
が発生する。あるいは手積み、手おろしとか、そういう問題も同時に関係するんですが、
その辺の議論というのが、どこでやっているのかちょっとわからないんですが、今、非常
に都市中心部の話、住宅地、それから過疎地のところはやっているんだけれども、それ以
外の地域で物流施設がいっぱい立地しているところでも、やっぱり待ち行列がいろいろ発
生している問題はあるわけです。そしてそれは、荷役等が非常に効率悪くされていて、も
しもう少し情報化とかがきちんと進み、情報がきちんと伝わったらもう少し計画的にでき
るとか、そこが若干、効率が悪くなっている部分があるので、その辺の議論というのはど
こか、実際、一部企業だと事前出荷情報がきちんと伝わっていて、優先的にそちらをどん
どん入れていって、そこのところはすぐにおろして、すぐ出ていくというようなことをや
っている企業も結構あるわけですね。その辺をもう少しうまく使えないかなと思うんです
が。
【苦瀬委員長】 いかがでしょうか。何かお答えはありますか。ご意見でも。
【島田物流政策課長】 例えば物流施設の前での荷待ちにつきましては、もう一つの物
流体系小委員会のほうで、荷待ちの解消といったような論点で掲げさせていただいており
ます。現に幾つかの物流事業者さんのほうで、そういった予約システムといったものを導
入されている企業さんもいらっしゃって、幾つか取組は始まっているようでございますの
で、そのあたりがどう横展開していけるのか、それをどう行政のほうで支援できるのかと
いうのは、今後の検討課題ではないかと思っております。
【苦瀬委員長】 はい、どうぞ。
【野尻委員】 手待ち時間については、自動車局のほうでパートナーシップ会議のほう
で鋭意進めております。きっとこれからいい方向に進んでいくと思います。
【苦瀬委員長】 ちょっとそれに関連して、それには労基法とか下請法は関係あるんで
すか。
【野尻委員】 どういうふうにお答えしたらいいでしょうか、ついこの間までパートナ
ーシップ会議だったんですが、現在は「トラック輸送における取引環境・労働時間改善委
員会」になっております。今後予定されている労働基準法の改正に対応するものとご理解
ください。下請法は直接的には関係ないと思います。
【苦瀬委員長】 そうですか。ありがとうございます。
-28-
【圓川委員】 この問題は、私はずっと関税審議会で、あるいは東京税関でやってきま
した。そしてどうしてColinsの話をされないんですか。国交省の立場から言うと。最近で
は、東京都が待機所をつくりましたという話があるんですが、渋滞のためにですね。でも
リードタイムは減らないわけですね。これもやっぱりいろんな合意形成で、ずっとうまく
いかないわけですね。その中でColinsというシステムができ、ターミナルの混雑状況が見
えます、あるいはトラッキングシステムがありますと。でも、これも必ずしもうまく使わ
れていない。この辺の問題もやっぱり合意形成もですが、海外でやっているような逆にも
っと規制でどんとやるようなことも考える必要があるのではないか、と思います。要する
に混雑するのは、全部見込みでどんどん走っている、じゃ予約システムを入れればいいじ
ゃないかと。これもなかなか入らない。だからこの辺の問題も、共同物流の問題と同じよ
うな、総論では皆さん納得するんだけれども、実際の実行の場面になると、やっぱり荷物
を早くとりに行かなければいけない、通関が切れたかどうかわからないのに、見込みで走
っていくと、そこで大渋滞を起こしてしまうという悪循環をずっと繰り返しているわけで
すね。ですから、この辺の問題もやはり今回出てきます共同配送と同じ、合意形成と非常
に関連した話であって個別の問題だけでなくビジネス全体を考える必要がある。1つやっ
ても、例えばターミナルの話も、24時間ヤードをオープンしろという話があるんですけ
れども、混雑解消で。でも実際、ビジネスのほうは土日はほとんど休んでしまう。特殊な
需要があるかもしれないけれども、ドアツードアで考えていないので個別の施策をしても
効果が出ないことが多くある。ビジネス全体の話と絡めないと、個別の現象だけ捉えて議
論しても本当はうまくいかないわけですね。ここは論点4、5ですか、ちょっとここでの
話と違いますが、私自身ずっとこのような問題に関わってきましたので、ちょっと気にな
って余分なことを申し上げました。失礼しました。
【苦瀬委員長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
【羽尾物流審議官】 今、私が先ほどお話しした後、大串先生、苦瀬先生等からご指摘
があった点で補足をさせていただきたいと思います。
まず大串先生のほうから、さっきの制度的なインセンティブの話に関係して、公、つま
り国なり自治体なりが法律なり条例なり、あるいはそういうルールをつくってきちんと制
約をさせて全体最適を追求する道と、もう一つはそこまでやるのではなくて、関係者の合
意に委ねてその地域その地域で可能なものと、その道がありますねという話で、まさにお
っしゃるとおりで、そういう個々の最適ではなくて全体最適というのは大事ではあるんで
-29-
すが、まず今の、これまできた物流についての状況を見れば、基本は事業者の個々の努力
に委ねているのが現状であります。そして、大串先生のおっしゃったような、本当に公に
そういうルール、あるいは制度上の規制をかけていくとなると、おそらくそこについての
理解がないと、遊離したものをつくっても多分、実効性が上がらないんだと思います。果
たして物流に関して、
特に地域内、
都市内での物流に関してそういうところを求めるのが、
国民全体がそこまで望んでいるのかというところは、若干そこまではいっていないのかな
という感じもちょっといたします。
ただ、一方で合意形成に委ねてやっていくのも機能している場合もありますが、機能し
ていないもの、あるいは最初はうまかったけれども、うまくいっていないものもあります
から、そこはちゃんと分析して、機能していないものをまずどういうふうに補充していく
かというのが大事なのではないかと思います。そのときに、まさに先ほどの福岡の天神の
例もそうですが、そういうのも勘案しながら、どういうことをしていくのがいいのかなと
いう観点で、私ども見ていくべきではないかと思いますが、まだそこまで結論を出せては
いないというところで、これからまたいろんなご議論をいただきたいと思います。
それから2つ目、苦瀬先生のほうから建物における物流への配慮、特にそれが建築段階
から大事だというのはおっしゃるとおりでありまして、実は今日、机に置いています参考
資料の2ページに、
「物流の観点からの建築物の課題」ということを書いていますが、これ
は今、苦瀬先生も物流団体連合会の中でこういうものの議論を進めていただいています。
例えばここに書いているのは天井の高さ不足、あるいは駐車スペースの不足、3エレベー
ターの不足、4で動線の段差、運営面の課題とあります。それぞれ高さ不足とか、当然ト
ラックが入れないので路上で待たないといけない、これ自体は改善すればいいんですが、
駐車スペースの問題といっても、実は先ほど100人利用すれば1台のトラックが要るん
だということでありますが、おそらくスカイツリーのところもそうですが、まず事業者の
方、
建設の方はお客さんの駐車スペースを確保しようとしてトラックの分は少ないんです。
ところが実際やってみると、トラックの数のほうをもっととっておかないといけないとい
うので、乗用車分を結局、トラックに充ててやっているという状況がありますから、やは
りこういう、基本的にはもう少しデータを集めながら、建築会社の方にも情報提供してい
くという努力が、私どももそうですし、物流団体としても必要になってくるんじゃないか
と。
その中で運営面の課題という、5にもありますように、これは納品先施設に物流担当の
-30-
窓口が存在しないというのもありますし、加えて事前確認、調整をしていない、それはな
ぜかというと先ほど矢野先生がおっしゃったように、事前に情報をもう少し、一体何時に
来るんだとか、そういうのをきちんと把握してやるというシステムを入れれば入れるほど
うまく回っていく、その意味でここにも書いています、仮に駐車スペースが不足している
場合もちゃんとした予約制度をとって回すとか、そういう意味での建物側と物流側の努力
が必要でありまして、それは先ほど、まさにロンドンでレッドルートがあって、貨物は2
0分可能だというのがあるんですけど、まずはやはり、そういう道路側でのことをやって
いく前に建物側でそういうことをやっていかないと、それでやれることをやって、道路側
でもそういうことをどんどんやらないといけないという、国民の理解を得ていくためにも
そういう順番が必要なのではないかなと思います。
それから、先ほどの港湾の地区もそうですし、大都市の都市内のところもそうなんです
けど、いわゆるトラックが入ってくる、それはやむなく入ってくるんですが、もう少し私
どもとしては、トラックに本当に委ねないといけない貨物なのかというのも研究していか
ないといけないと思います。
先ほど島田課長のほうからも、
これから勉強する論点の中に、
例えば3ページの中にも鉄道の輸送力を活用した貨物輸送の促進、論点4-5というのも
書いています。これはこの参考資料の7ページ、一番最後なんですけれども、さっき島田
課長も口頭で申しましたように、京福電鉄の嵐山を結ぶ路線では、実際にトラックが京都
市内をうろうろするのを少しでも少なくしようということで、京福電鉄の路面電車を使い
ながら、各駅に荷物を落としていって、そこに物流業者が拾いに行っていると。そのこと
によってトラックの量が減るというような取組もあります。こういったものも勘案しなが
ら、そこに入ってくるトラック自体を、別に悪いからどうこうじゃなくて、減らす努力を
していくというのもまた一つ大事であります。
これはさっきの宅配の再配達の問題もそうですが、昔はトラック労働者というのは大き
な、例えば引っ越し荷物、家具の場合は2人行って据え付けたりする、その場合は2人だ
ったんですが、最近は駐車規制も厳しくなっていることもありますから、そうじゃなくて
も都心部で2人で行かないといけない。そうすると労働力不足対策の中で、それでなくて
もそういう問題が起きています。特にマンションなどは、今セキュリティも厳しくなって
いるので一層、とても時間がかかるようになっていて駐車時間が長くなる。そうすると駐
車違反にならないようにもう1人置いておかないといけない、そういう状況にもなってい
ます。その意味でマンションでの荷受けをもっとスムーズにできるようなシステム、こう
-31-
いったものも考えていくことによって、流量を調整しながらやっていくと、こういうこと
も取り組んでいかないといけないかなと思っているところでございます。ちょっと補足を
させていただきました。
【苦瀬委員長】 ありがとうございました。いかがでしょうか、ほかに。
はい、どうぞ。
【圓川委員】 全く違ったことで恐縮なんですが、質問なんですけれども、今までの事
例の中で配送スケジュール、VRPといいますか、どういうルートで回ったら一番距離が
短くて済むかとか、あるいはトラックの台数が少なくて済むか、あるいは時間指定なんか
も入れられるようになっているんですけれども、そういったソフト、スケジューリングを
利用しているところはあったんでしょうか。
【木村物流政策課企画室長】 今、再配達の検討会を別途やっているんですけれども、
この中でいろいろ、事業者さんの方とお話をさせていただいている中で、佐川急便さんは
そういう配送のルートづくりのやつを入れたらしいんです。結局、人で組んだほうが早い
ということになって、戻ってしまったという話は伺ったことがあります。
【圓川委員】 そういう使い方、最適化ソフトですね。もちろんそれだけではだめで、
後で人による調整が必要ですけれども、これを使うと使わないとでかなり大きな差がある
はずなんですよね。さっき、企画提案力がないとひどいことを言いましたけれども、やっ
ぱり欧米系というのは大体、そういう最適化ソフトを使っていますよね。だからそういっ
た視点ももう一つあるのかなと思って参考までに申し上げました。
以上です。
【兵藤委員長代理】 今のに関連してお話ししますと、多分あまりうまく活用できなか
ったというのは、1つの要因が道路の所要時間がうまく読み切れないとか、不確実性があ
りますから、そういう意味ではこれはまさに道路局の出番で、今、話が出ているITSの
2.0ですとか、
そういった交通状況をきちんとモニタリングして、
そしてその情報自体が
一つの交通インフラですから、これをまた物流事業者に使っていただくですとか、そうい
ったことを相互に、インタラクティブにやっていくと今のような最適化ソフト、理論的に
は非常に高度なことをやっているわけで、そういったことをまたさらに生かせるような、
そういうウィン・ウィンの関係を官民で築き上げていただきたいなというコメントでござ
います。
【苦瀬委員長】 関連して、私がお答えするわけじゃないんですけれども、私の知って
-32-
いる範囲では、ちょっと以前の話ですけれども、コンビニさんたちは大体使っていると言
っていましたね、半年に1回は必ずチェックしていると。それで配送を組み直してやって
いるということはよく聞いています。宅配の方とか、それから国際郵便の方たちはやっぱ
りなかなか使えない、要するにそれは行って留守だったらどうするんだ、また戻るとその
途端に急にぽんぽんぽんと外れちゃうとか、担当エリアが決まっているので、そこまでの
システムのドライビングはいつも同じだからということを聞いたことがあります。私も実
際、そういうトラックに乗せていただいて調査したことがあるんですが、これはやっぱり
なかなかとまれない、あそこへ行って、あそこへ行って、あそこへ行ってと話し合ってい
るんだけどとまれないというのを実感したことがあります。
ほか、いかがでございましょうか。鉄道とか、あと5番のほうの過疎地域はいかがでご
ざいましょうか。
はい、どうぞ。
【野尻委員】 ちょっと乱暴な言い方をすれば、大都市のほうはコスト論である程度い
けるのかわかりませんけれども、過疎地はそうはいかないんだろうと思います。より公的
な機関の役割が前面に出てこざるを得ないといいますか、出る必要があるんじゃないかと
私自身は思っています。物流サービスも有限な資源でありますので、その有限な資源をど
ういうふうに活用するかというところに知恵を絞らなくてはいけないんだろうと思ってい
ます。
論点5-2で2つほど出していただきましたけれども、特にイについては、有償となる
とどうしても責任とか、事故の対応とかというのがついてくることになりますので、この
辺は制度的にどういうふうに考えるのか整理しなければならないと思います。それから貨
物自動車事業者の皆さんの運営を妨げないとありますが、運営を妨げないのではなくて、
できればうまく共同してできるようなことになればいいのだがなというふうに思っている
ところです。
以上です。
【苦瀬委員長】 ありがとうございました。ほかにご意見、いかがですか。
はい、どうぞ。
【矢野委員】 過疎地域については、人口減少で密度自体が薄くなっている、あるいは
地方部においてはドライバー不足がさらに深刻で、そしてさらに長距離、長時間の輸送を
伴う、そういう意味でますます困難になって、いろいろ言ってみれば難しい面が非常に増
-33-
えている。こういうところは非常にコスト増にきっとくるだろうと。そうすると過疎地に
おける輸送コスト、物流コストが非常に上がっていく、そういう意味では地域間格差が非
常に広がっていく可能性が高いのではないかと思います。この地域間格差に対してどう対
応するのかというのが非常に問題で、もちろんこういう過疎地向けの新たな仕組みづくり
をして、共同化などをして少しでも下げるという観点ももちろん重要なんですが、こうい
う地域間格差に対して、国はどういうふうに考えるか、それを何らかの形で補助とか、そ
ういうのを含めてやることによって地域間格差を縮めるという施策を講じるのか、地域間
格差になってもしようがないねというところにいくのか、その辺がやっぱり根本的な考え
方として決めないといけないのかなというふうに思います。
【苦瀬委員長】 ご意見ですね。ほかに。
では、ご意見を今いただいたということで、それ以外でその他の検討の論点、先ほど教
育の問題もちょっと出てきましたけれども、それから連携の推進で協議会というようなこ
とも議論が出てきました。この資料2の最終ページ、6ページでありますが、この辺で何
か先生方、お話しになりたいことはございますか。
はい、どうぞ。
【野尻委員】 つまらない質問ですが、cのトラック輸送の安全性を高める観点におい
て、どのような取組が考えられるのでしょうか。これについては国交省の中でもいろいろ
な施策が進行中だと思うんですが、安全性を高める観点でどういう局面から取組が必要と
お考えですか。
【島田物流政策課長】 これは一義的には自動車部門のほうでしっかり検討が進んでお
るところでございますので、そこを物流という観点からどのように取り込んでいくのかと
いうことではないかと思っております。例えば中継輸送という形でドライバーの負担をい
かに減らすのかという検討は、
今まさに進んでおりますので、
そういったことを行う場合、
では物流として中継輸送の仕組みをいかにうまく導入していっていただくのか、そのあた
りの我々の役割は何だろうか、そういったこともちょっと念頭にはございます。
【苦瀬委員長】 よろしいですか。ほかにございますか。
はい、どうぞ。
【兵藤委員長代理】 今のcの、安全性を高める観点ということなんですが、これは多
分、交通事故もそうなんですが、よく人と車と道路という3つの観点から交通安全をキー
プするという話がありますけれども、それと同じだと思うんですが、それに加えてやはり
-34-
今、様々な情報技術がありますので、いわゆるセンシング技術ですね。道路から、例えば
貨物の状況を把握するだとか、ないしは車自体にそういったセンシングの装置をつける、
あとは人に関して言うとドライバーの健康状態をセンシングするような、健康機器メーカ
ーがつくっているようなものもあります。そういった先進的な技術も含めて、そして安全
性をどうやって複合的に高められるか、そんな話が議論としてはあると思いますので、ど
うぞご検討いただければと思います。
【苦瀬委員長】 ほかにいかがでございましょうか。
はい、どうぞ。
【羽尾物流審議官】 論点5以降に関しまして、野尻先生及び矢野先生からもご指摘い
ただきました。その前にも大串先生のほうからも、そもそも都市における物流と、こうい
う過疎地における物流とやはり考えるべき観点が違うのではないかと。私どももその意味
で、過疎地における物流というのは、やはり都市と違うのは経済性といいますか、いわゆ
る市場に任せていて本当にうまく回るのかという点が、昨今の高齢化の進展の中で、そし
て人口減少の中で顕著になってきていると。その意味で、いわゆる過疎地における物流に
関しては、事業者の個々の努力に任せているだけではうまく回らないという時代が、だん
だんと来ているんだというふうに捉えています。
その観点からもこの論点や、あるいはまた参考資料を引用して恐縮なんですが、前回ご
報告させていただきましたが、通しの番号で言うと4ページ以降に、過疎地の持続的な物
流ネットワークをどう維持するかというのを検討したものがございます。5ページ、6ペ
ージにその報告の概要をまとめておりますが、やはりその中でもポイントとして、キーワ
ードで1つ言うといわゆる共同、事業者が個々の努力ではなくて、共同でやる取組という
のが都市部以上に必要になってきているのではないかと思います。現に事業者の方々も、
宅配で言えばヤマトさん、佐川さん、日本郵便さんが大きなシェアですが、相当の人口の
少ない地域では、わずか1個1,000円か1,500円の荷物を延々と1時間近くかけて
持っていって、
実はその10分、
15分後に別の会社がまた1個1,000円の荷物を延々
と時間をかけて持っていく、
これははっきり言って事業者にとっても生産性が悪いですし、
その地域にとっても決してベターなことではない。それを一緒に、共同してやっていくと
いうのが1つの取組の方向ではないかと。
それからもう一つは、そういう地域になれば地域に残っている方も、最近若い方も増え
てきたりして、あるいはNPOなどで生活支援のサービス、いろんな取組をしています。
-35-
それから自治体もそういう取組をしていますが、そこに物流業者が一緒にどういうふうに
絡んでいくか。これも前回のヒアリングなどでも、高知県などからもお話がありましたよ
うに、こういった点をどういうふうに取り組んでいくか、その意味でも、それもまた共同
というキーワードで入るものだと思います。
あとは貨客混載、
これもいわゆるバスなどと物流との共同という意味であります。
ただ、
これも言葉では一般化して言えるんですが、多分、地域地域で違う面があると思います。
私ども、実はこれは今年度予算をいただいて、モデル事業というのをやってみて、その成
果も踏まえながら制度化、あるいは運用改善などにつなげていこうと思っているところで
ございます。今年、もしかしたらそういうのを全国で5カ所ほどやってみて、いろんなパ
ターンがあると思うのでそれを一般化しながら、またこのような場でもご報告しながら進
めていくということを考えているところでございます。
その中で実は補助につきまして、先ほど矢野先生からも地域の格差が出ている中で、コ
スト増を賄うための補助をどう考えるんだという話がございました。実はこの報告書、参
考資料の6ページの半分下ぐらいの「その他」というところにありますように、補助金に
過度に依存しない自立したネットワークを目標としつつも、当初の立ち上げ時期において
適宜補助制度の活用が有効ではないかと、こういうご指摘をいただいているところでござ
います。まず、補助に過度に依存していくと、これもまた、これから人口減少の中でその
自治体にとっては不幸なことになるので、補助には過度に依存しないということが大事な
のと、それから回っていくようにするためには、補助するとしてもおそらく基本は当初の
仕組みの立ち上げのときが大事ではないかというふうに思っております。ただ、具体のス
キームとしてこれからどういうふうなことを考えていくかというのは、先ほどのモデル事
業なども勘案しながら考えていかなければいけないのではないかというふうに考えており
ます。
【苦瀬委員長】 ありがとうございました。ほかにいいですか。大体、意見は出尽くし
ましたでしょうか。
はい、どうぞ。
【兵藤委員長代理】 ちょっと確認なんですが、タイトルとしては4も5も、いわゆる
ラストワンマイルの話が中心になっているんですけれども、言葉としては4で大都市の活
力を物流面からさらに高める、そうなるとラストワンマイルだけじゃなくて、当然、首都
圏で言いますと首都圏の物流を支えている、その物流がどこから出ているかというと大体
-36-
二極化して、湾岸地域とあとは圏央道、外環、そういったところから物流が出ているわけ
ですよね。そういった、特に3環状ができたということもあって、道路整備と一体化した
ような大型の物流施設、それが最近の宅配の高度化を支えているわけなんですが、そうい
った郊外部の大都市を支える物流施設、それをまたさらにサポートするような施策として
何が必要なんだろうか。そういった観点が必要かと思うんですが、さてそれがどこに入る
のかというのは、私はちょっとこの1から8を見ていてわからなかったんですが、何かど
こかでもうそういったことが議論されている、ないしは今日の資料の最後の、ほかの検討
すべき視点に入るのか、その位置づけ、もし何かご意見ございましたらご紹介いただきた
いと思います。
【苦瀬委員長】 それに関連して私も、実は私もそのことを気にしていて、大都市の活
力で、兵藤先生も十分お調べになっている、湾岸エリアに相当古い物流施設があって、そ
れを何とか更新していかないと活力、なかなか大変だなと思っているので、多分同じこと
だと思いますが、それが私もちょっと気になりました。
それからもう一つは、資料2の最初のところの6番に、物流施設の機能強化と災害対応
と書いてあるわけですが、もちろん物流施設の災害対応は非常に重要だと思うんですけれ
ども、現実の問題として首都直下が起きたときにそれで間に合うかというと、多分間に合
わないと思うんですよね。そうすると建物側とか商業施設側とか、そういうところでどう
いう備蓄をしておくかとか、備蓄と補給とはどういう関係にあるかとか、そういうことは
どこかでやっておく必要があるのかなということも私は思ったんです。だから1番目の話
は兵藤先生と同じような感想で、2番目は私の追加でございます。もし何かありましたら
お願いします。
【島田物流政策課長】 今ご指摘をいただきました。例えば湾岸地域の物流機能といっ
たものが、大都市との関係で非常に重要である、あるいは圏央道の整備に伴って周辺地域
にかなりいろんな物流施設が出てきている、このあたりにつきましては2、3のほうでご
議論いただこうと思っておりまして、そういった内容の同じような論点整理の紙を今日の
午後、ご説明差し上げようかなと思っているところでございます。
それから災害のところでも、主には物流施設の災害対応ということで今、検討は進めて
おるところでございますけれども、今ご指摘のあったようなものについてもどのような取
り上げ方ができるか、ちょっとまた相談をしたいと思います。
【苦瀬委員長】 ありがとうございます。ほかにご意見ございますでしょうか。よろし
-37-
いでしょうか。
ありがとうございました。それではそろそろ終了の時間が近づいてまいりましたので、
本日いただいた意見を踏まえて、次回の小委員会に向けて部会に提出する中間取りまとめ
に向けた小委員会報告案を作成したいと。そして次回の小委員会でまた皆様方にご議論い
ただきたいと思います。
ということで、今日の議論はここまでにしたいと思います。
議事は(4)のその他になりますけれども、何か事務局のほうからございますでしょう
か。
【谷口物流政策課企画官】 特にございません。
【苦瀬委員長】 それでは、これで閉会でよろしいですか。何かご発言はいいですか。
では、これにて閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
―― 了 ――

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