03/07/18 不当労働行為審査制度の在り方に関する研究会(第22回)議事録 不当労働行為審査制度の在り方に関する研究会(第22回)議事録 1 日時 平成15年7月18日(金) 14:00〜16:00 2 場所 専用第16会議室(厚生労働省13階) 3 出席者 (1) 委員(五十音順、にじゅうまるは座長) (1)岩村正彦(東京大学大学院法学政治学研究科教授) (2)小幡純子(上智大学法学部教授) (3)菊池信男(弁護士) (4)毛塚勝利(専修大学法学部教授) にじゅうまる(5)諏訪康雄(法政大学社会学部教授) (6)村中孝史(京都大学大学院法学研究科教授) (7)山川隆一(筑波大学社会科学系教授) (2)行政 青木審議官、熊谷労政担当参事官、田中調査官、 山嵜中労委事務局審査第一課長、松本参事官補佐 しろまる それでは定刻を過ぎたので、ただいまから、不当労働行為審査制度の在り方に関す る研究会の第22回会合を開催する。本日は都合により伊藤委員が欠席である。なお、菊 池委員と小幡委員が遅れて出席するとのことである。 本日は、前回に引き続き、報告書の取りまとめに向けた議論をお願いしたい。まず、前 回お諮りしたように、今回の資料についても報告書の取りまとめまでの間は非公表とし たいがよろしいだろうか。 (了承) それでは、前回の議論を踏まえ修正した資料を事務局が用意したので、説明をお願い する。 (事務局説明) しろまる それでは、今回直した部分を中心に説明していただいたが、これを踏まえて更に議 論を継続していきたいと思う。いつもと同じに第1から議論を行いたいと思う。「第1 はじめに」の部分はいかがだろうか。ここは司法制度との関係を書いておこうという ことであった。では、「第2 不当労働行為審査制度の現状」のところで緊急命令のと ころを付け加えたがどうか。特に異論がないようであれば、では次に、「第3 問題点 」、ここに関してはワーディングの点も含めて修正が少なからずあったが、いかがであ ろうか。 しろまる 前回出てないので議論をフォローしていないのだが、事件処理というのは審査手 続、審査体制と言葉を換えて、ここでは審査というものに焦点を当てて問題点を指摘す ると整理していると言われたのだが、他方で和解まで入ると事件処理ということか。 しろまる 前回の指摘は事件処理のところで、審査手続というと命令まで入らないような言葉 ではないかということを言われたので、いずれにしても事件処理という言葉を整理する というのが前回の宿題であった。審査手続というと労働委員会であれば調査、審問、命 令、最後出るところまでを審査手続と認識しているので、あえて言葉を分けるとする と、今度新たに和解を位置づけることになれば、これが審査手続に入ることも素直であ るとは思うのだが、あえて二つの言葉を使ってみたということである。 しろまる とすると8ページのところで、ここでは例えば上の、「制度の見直し」のすぐ上の ところになると、「平均処理期間」いう言葉が出てきてここではそのあとは「事件処理 」というふうに整理されている。そうするとこれは和解を含めて処理を迅速化すること になるのかと思う。それと、今回変わったところ(1)のイについては、ここは「審査 を計画的に進める」と書いてあるのだが、ロのすぐ上になると、「事件処理期間の目安 」ということになっていて、さっきの用語の定義からすると、事件処理となると和解ま でを含むのかということになる。さらに、和解についても10ページのところでは「事件 処理手続としての和解の活用」となっている。そこでは「成立する見通しを的確に立て た上、和解を試みる期間を設定し」となっている。とすると、8ページと10ページの関 係が一体どうなのか。8ページは目安となっていて、10ページについて具体的な事件の 期間ということなのか。どう考えたら良いのか。言葉を整理したのは良いのだが、その 結果わかりにくくなったような気がする。特に繰り返しになるが、8ページのイの「ま た」の段落になると「迅速な審査を促すため」となっているが、しかし、事件処理期間 となっている。ちょっと先ほどのような定義で整理しているとなると、やや不整合にな っているかと思う。話が飛んだが。 しろまる それはワーディングの件であるので次回までに...。 しろまる しかし、ワーディングというよりは実体にも関わることである。 しろまる 私の印象では、8ページの方は、問題として事件処理計画を、和解を含めて全体 の、当該不当労働行為事件処理全体を迅速化するために和解を含めた審査期間を設ける わけである。全体の紛争処理についての目安を立てた上で、和解についても目安を決め るということであろう。 しろまる しかし、実際を考えると、和解の期間までを含めて全体の事件処理期間を考えると いうのは無理ではないか。 しろまる 一般の民事訴訟処理期間でも和解も含めて全部ということだろう。だから、審査が 始まったら分けられないのだから、和解に関して中では期間を設定しようということで あろう。 しろまる そうなるとちょっと...。仮にそういう理解に立つとすると審査の迅速化の中にこの 事件処理期間というものが入ってしまうところが整合するのか。 しろまる 「審査期間の目安」で端的に良い気がするのだが、そうすると狭すぎるのか。なん となく私の頭には、前回の議論はあまりわからないのであるが、審査と和解というと、 和解を含めて審査をやってしまっていたので平均審査期間が長くなってしまうので、和 解の部分を取ってしまえば和解期日という考え方をすれば違ってくるという考えが残っ ていて...。 しろまる それは今も残っているが、整理してもらって、次回までに再整理ということで確認 をしていただく。読んだ人が混乱しないように読めるようにするということであるか ら、我々としては和解を含めて全体の総枠で審査期間が短くなる。その中で審査に関し ても一定の目標を立てて今よりも短くすることをするし、和解に関してもだらだら和解 ではなくて、ある一定の目標を立てる。そうすることによって全体の事件処理を短くす るということである。そういうことを皆で話し合ったわけである。そういう気持ちで書 かれていると思うが、言葉をはしょったりワーディングを変えたりすると、一括変換で はないが、ちょっと落ち着きが悪いところが出てきたのだと思うので、事務的に整理し てもらえば良いと思う。 しろまる 事件処理というのは中身を言っているわけだが、手続の名前としては、「審査」と いうものにして初めから終わりまで全部入ってしまうので、用語の数はなるべく少なく して単純に整理ができる方が良いと思う。お任せするが。 しろまる 確かに和解だけ、審査から除いて別の概念で整理することが本当にわかりやすいの かという疑念を若干持っていて、最初から最後までを審査手続と言ってしまう言葉で定 義した方がわかりやすいのではないかという気もしている。しかし、そうすると先ほど の和解が入ったものと入らないものを慎重に言葉を使いながら議論しないといけないの だが、審査手続以外に事件処理手続という言葉を作った方が良いかどうかというところ はいかがか。全体は審査手続ということで良いか。 しろまる 条文には審査と書いてある。審査手続の中でやっているのだから、審査手続に和解 を含めて良いと思う。 しろまる そのあたりで整理するということで、言葉は良いか。 しろまる では整理してもらって、次回に読んでみて落ち着きが悪いようであればまた考える と言うことで。では、それ以外のところで、3ページの一番下の「第3 問題点」の指 摘をいただいているが、よろしくお願いする。 しろまる 緊急命令の議論が入っているが、先ほど紹介があったが、却下された場合、そうい う具体的な中身の指摘は特になくても緊急命令の問題点は指摘できるのか。事件が少な いというだけでなくて、在り方の問題の議論は。緊急命令の出し方などの議論はなされ ていないのか。 しろまる 緊急命令はここであまり議論をしてしないで来てしまったので、前回ネバートゥー レイトという精神で問題点を指摘しようと言うことになったのだが、緊急命令が認容さ れないという問題が一点ある。それとは別に仮に認容される場合でもすごく遅いわけで ある。本来仮処分的には早く出なければいけない。これが制度本来の趣旨から外れるの ではないかということを議論した。ではどうして遅いのかと言うと取消率が高いという ことがある。裁判所もなかなか確信を持つまでは緊急命令を出すのは難しいだろう。そ んなふうに忖度すると結局は命令の質を上げるという、そこの問題に帰着するのではな いか。しかし、緊急命令の点について本来の趣旨とずれている点をきちんと指摘してお いて、なんとかしないといけないことを書いておくべきだと前回はなった。 しろまる それはわかるのであるが、若干気になったのは5ページの一番下の「また」のとこ ろの書きぶりだが、下から2行目の一番最後のところで、「一審判決と同日に発せられ ることが少なくなく」という評価である。ただ、今日の資料2を見てみると中労委につ いてはそう言える気がするが、初審に関してはどうなのか。むしろ初審については逆な のではないか。確かに中労委はそうなのであるが、データから見ると、一審判決と同日 に認容した例を見るとその方が少ないのである。そこが気になる。あるいは初審、再審 査を合計するとそうでもないのか。それであれば、「少なくなく」という評価でも良い のか。 しろまる 地労委のことがあったので多いとは書けなくて、二重否定にしてある。 しろまる 平成4年から平成13年まで採るというのが一つと、平成11年から平成13年まで採る というのがあって、ここ直近のところでみると大体この記述の通りであるので、「最近 では」と入れる方が良いかもしれない。「近年では」とか。近年と言うと平成4年から になってしまうかもしれないので、「最近」ではと言う方がよいか。 しろまる ここ直近で見るとパーフェクトな記述である。 しろまる 問題点のところでは原則として3年で見ていたのだが、初審5件、再審査6件であ って、数が少なかったのでこれで傾向を判断するのはいかがなものかということがあっ て、3ページのところは10年分のデータで書いてはいるのであるが、先ほど指摘があっ たように、近年のだけを見ると、最近は一審判決と同日の方が増えているようにも、こ うやって表示すると見えてしまう。 しろまる しかし、結構ここをどう評価するかというのは、何というか、この提言の説得力に 関わるような気がする。 しろまる 平成4年から平成13年の初審、再審査を併せた38件の決定件数のうち認容、却下を 合わせて20件が一審判決と同日であり、再審査命令については22件中14件がそうであ る。ということになれば、特に中労委は高いという言い方ができなくもない。 しろまる できなくもない。 しろまる これは同日でなくても、日が迫っているというのもあるのか。 しろまる それはあるのであるが、どこで線を引いたら良いのかという問題になる。線の引き ようがなくて同日だけにした。 しろまる 後でという非常に変わったものもある。同日だけで拾うとミスリーディングになる かもしれない。口頭弁論終結後に出てほとんど変わらないというものもあった。 しろまる 後でというものもあるのか。 しろまる 一審言渡し時以降というのが、あったように思うが。 しろまる 1件ある。亮正会高津中央病院事件である。 しろまる 判決は言渡しをするが、命令は郵送その他の送達の方法で告知する。そうすると判 決と同日に正本を取りに来るように連絡するとか、発送しても翌日以降取りに来るとか 到達することになる。裁判の成立と効力の発生は、告知の日である。判決の言渡しと同 日付けで決定しても、告知の日は少しずれるということはあり得る。 しろまる 全く感覚的に言えば、仮執行宣言に近いと言うことであろうか、判決のときに出る から、裁判所の頭の中では、なんとなく緊急命令を仮執行宣言と近づけているのでは。 しろまる 例えば、3ページの同日に発せられているということに加えて、一審判決後もある し近接した日もあると書くか。 しろまる 3ページのところで、地労委と中労委の合計で見ると最近はこういう傾向が見て取 れるというようなものを付け加えると、そうすると「少なくなく」という評価も導ける かという気がする。 しろまる 同様の件数だから一緒にした方が良いと思う。それ以外のものも遅れているものが 目立つというように付け加えても良い。 しろまる それでは、少し、そこは再整理をお願いしたい。 しろまる 一審判決と同日の方に却下等の決定件数を加えるということだろうか。それは遅く ても良いのではないか。 しろまる 却下であれば遅くて良いのか。なるほどそうすると...。難しい。本当に近年の傾向 である。 しろまる では、事実の問題であるから、確認してもらうことにする。それではそれ以外の点 でお願いする。第3の部分はよろしいか。 しろまる 総論的なことになるかもしれないが、4ページの「審査の遅延」の原因のところに (1)から(5)があるが、その中の(5)が「事務局職員の多くは、ローテーション人事のた め3年程度で異動するため」とある。専門的な知識経験というのは、ここにあるよう に、審査の遅延との関係でいうと、迅速な事件処理に必要な専門的知識経験ということ なのか。「不服率・取消率の高さ」のところでも同じようなことが書かれているが。 しろまる 重複している。そこがちょっと気になっていた。 しろまる もう一つ、その下の「判決は17.3月」とあるのは「判決で終了した事件は」という ことであろう。 しろまる 若干、ローテーション人事自体で事件の処理が遅延してしまう。 しろまる 途中で担当が変わってしまう。 しろまる 慣れではなくて。 しろまる (5)は同じ人なら不慣れなうちは遅くて、慣れてくると速くなるはずである。他の セクションから労働委員会という特殊な仕事に来るから不慣れだということであろう。 専門的な知識・経験というのは中身の質の問題だから、ここは必要な知識経験と書いた 方が自然ではないか。ローテーションと絡めて行くと、これは、3年での異動が悪いと いうことになるが、公務員の執務体制の在り方から言うと、非常に特殊な、間口の狭い ところに出来る人をずっと貼り付けておくような人事をしていたら良い人が来なくな る。大きい組織の中の専門的なセクションというのはどこでもそうである。そこだけの ことを考えると専門性が強調されて長期専従という話になってしまうが、それが良いか というと問題ではないか。ローテーション人事を崩した方が良いかいう指摘はどうか。 しろまる 法務部門が少しずつ充実していくとすれば、要するに、全員でなくても良いがそう いう裁量の余地はあるだろう。 しろまる こういうときの解決の仕方は核になる人は何かしらのやり方でやっていくことだ が、こういうふうに言ってしまうと全部これがいけないというふうに見えてしまう。指 摘した問題点は、解決すべきことだけを挙げるべきであろう。 しろまる 動かなくてもキャリアを積めるような人事をつくってくれというのもある。 しろまる ただ、そこは今日の話から外れてしまうが、言ったような問題点もあるのも事実 で、法律なら法律の、広い意味の法務の枠の中で動かしてくれれば良いが。 しろまる 法務は今後の出世はできないだろうが、それでも明らかに法務部採用はやってい る。一番上にはなれないが良いと言う、そういう者は増えてくる。 しろまる ロースクールがたくさんできれば法曹が増えれば、やがて...。 しろまる ここはある程度問題があることは確かなので、「ローテーション人事のため」とあ って、「ため」「ため」と重なるが、「3年程度で異動し、迅速な事件処理に必要な」 と...。 しろまる 「異動することなどから」とするのはどうか。解決策は研修の強化に結びついてい るわけである。 しろまる 初任者研修で、労働委員会に移ってきたときにわっとやるしかないから。 しろまる 裁判所の場合は3年くらいで異動しても専門的な知識が一定程度身に付くと言う面 はあるので。 しろまる 実際上は、現場からすると、とどまった場合に出世できないという不安が解決すれ ばもっと力を入れても良いということもあるのだろう。 しろまる では、ここは少し言葉を補うということにしてもらいたい。他にいかがか。 しろまる 11ページの「公益委員の任命要件」であるが、「見直しの方向」で書いているのだ が、3のところで、「第3 問題点」のところでこれに対応するようなものがない。 しろまる 見直しのところで突然出てきている。指摘の通りである。直しておいてほしい。 しろまる もう一点、和解のところで6ページのところであるが、2のところの4行目の「し かしながら」の文章であるが、「自主的解決」がされるという書き方であるが、これは 10ページに書いてある和解の意義として、「長期的な労使関係の安定への寄与」の関係 のことが出てくるが、6ページのところではむしろ和解の意義付けとして、侵害防止と いう、要するに労働組合と労働者の利益保護制度だから、ある意味処分に任せてという ことだろうが、これに加えてもう少し積極的なことを入れた方が後ろとつじつまが合う のかと思うのだがどうか。 しろまる それはしかし、6ページのところはもともと和解はいけないという考え方に対し て、それは許容できるということをまず論拠として、そこを押さえた上で、その次の段 落で「実際には」と言って、その最後に「長期的な労使関係の安定への寄与の点から評 価されている」という評価が入っているので、そこで実際的な見地からの評価がされて いる。前段は理論的なところで、和解は不当労働行為でも考えられると言っておいて、 二段目がメリットというところになっている。それが最後の10ページのところにつなが っていく。つまり「労使関係の安定に寄与していることを考慮すれば」というのが10ペ ージの書きぶりであるから、そうすると6ページの「実際には」というところの段落と はかみ合っているということになるだろう。 しろまる それでは前の方は良いとして、公益委員の任命のところに入っていきたいと思う。 しろまる 「実際には」を「実際に」の方が良いのではないか。「実際には」であるとニュア ンスが少し気にかかるのだが。 しろまる ここはなくて良い。そうである。 しろまる 5ページの法律のところ、法律は通ったのであるから、書き方が気になるのである が。 しろまる 法が通って次に実際に施行させることが行われると言うことで良いのではないか。 しろまる これは好みの問題かもしれないが、6ページの一番上のところの、罰金の額の所で あるが、3行目から4行目にかけて、「10万円(作為義務の不履行につき1日につき10 万円)と」、のところであるが、ここがちょっと飛んでいる気がして、「10万円となっ ているが、この上限額は、救済命令額が定められた昭和24年以来変わっていない」と。 そういうふうにした方が良いのではないかと思う。 しろまる これは修文である。他に問題点、気づいた点があれば指摘してほしい。とりわけ問 題解決の4との関係でつじつまがあっていないと奇異な感じを与えるので。では3のと ころはまた気づいた点があればかえって指摘していただきたい。ではいつもと同じよう に、「第4 見直しの方向」、7ページ以下について意見をいただきたい。 しろまる またワーディングの問題であるが、8ページのところで「3 制度の見直し」の上 のところで、4行目、5行目の最後から「平均処理期間を半減する」というところが出 てきているが、これはさっきの審査か事件処理かという話との関係でもう一度、ここを 含めて整理してほしい。また事件処理の迅速化という言葉が出てきているが、用語の問 題であるのでお任せする。平仄の合うような形でお願いしたい。 しろまる 9ページの緊急命令について付け加えたところであるが、制度の趣旨に沿った決定 が行われることが望まれるというところで、決定というのは裁判所の決定だと思うの が、裁判所にちゃんとやってもらいたいという要望だけで良いのかどうか。あまり検討 する時間がなかったので難しいところであるが、少なくともそのための措置については 今後更に検討する必要があるくらいのことは書いておいた方が良いのではないか。 しろまる 私もそう思う。望まれるというのではちょっと弱くて、本当に「望まれる」という 意味にとどまってしまう。 しろまる 異論がなければ。指摘したもののどうしたら良いかと考えると上手い決め手がなか ったものであるから、こういう形でお茶がにごった感じになってしまった。9ページの ハの二段落目である。「このほか」というところ。ここに挿入したのである。 しろまる 先ほど質問したことにも関わるのだが、ここの場で、一般の取消訴訟における命令 の判断と、緊急命令でやったときの裁判所の判断枠組みについての議論をしなかったの か。同じと考えていたのかもしれないが、労働法学は二つに分けてそれぞれ問題点を指 摘してきたわけであるが、そこのカバーはしなくて良いのか。さっき座長の方から問題 点としては同じであるとあったが、制度の仕組みとしての設定は本来違ったはずであ る。 しろまる そこを検討し出すと大変になる。例えば、必要性審査だけをして適法性審査をしな いという学説もあったが、そこまで言うのは難しい。要件の設定の仕方をどうするかと 言うことも検討課題に含まれるということにならざるを得ないと考えるが...。 しろまる 9ページの「制度の趣旨に沿った決定」というところで、「決定」というのを「運 用」にすることではどうか。 しろまる ここではつめた議論をしていないので、今の話か、先ほどの話のどちらかの選択か という気がするので、そこは座長と事務局で検討していただければと思う。 しろまる お任せする。 しろまる 了解した。緊急命令の部分は他に何かあるだろうか。このあたりは良いだろうか。 ではそれ以外の点で指摘していただきたい。 しろまる 私は前回も言ったのであるが、12ページの証拠提出制限のところで、「提出を制限 する措置を講ずる方向で検討する」というふうに書くと、講ずることの方向性は決まっ ていて、そこをどういうふうなやりかたをするかということだけが検討課題みたいであ るが、これはいろいろと大きな問題がある。裁判を受ける権利との関係や、審理の実態 との関係で、そう簡単な話ではないと思う。「講ずることを検討する」としてはどうか と感じるが。 しろまる 確か、前回言っていたのは基本的な提出制限ということで、要件の絞り方が問題と なるという感じがした。そうであれば、そういう前提のもとに方向性を出して良いかと 感じたが、そこは議論があるだろう。 しろまる 他の委員はいかがか。 しろまる 労働委員会の提出命令を受けたにもかかわらず証拠を提出しなかった場合にという ことである。そうするとその前段に提出命令をどうするかというところと関わるので ...。 しろまる 提出命令は9ページの方で総会付議ではなくて公益委員合議によりできるようにし たらどうかと言っている。もし、こっちが先に実現すれば、そうすると結構証拠を出せ と言われても出さないのが、それでもなくならないかもしれないが、比較的なくなると すれば、その場合こちらはどうなるのかという気がしている。今は両方駄目だというと 現状であるから。先にこっちが実現すれば良いのかもしれないが、これはできにくい。 しろまる ただ、提出制限をかけるかどうかとの関係で言うと、第一段階として提出命令の制 度が変わっても、そもそも提出命令が妥当かどうかということが、まず最初に問題とな る。 しろまる この辺もあまり具体的につめるかどうかというと難しい。つまり、文書提出命令と 同じようなものとして仕組むと、それに対する異議の申立てにより、かえって時間がか かるということになる。 しろまる これは文書提出命令をかけるとなると、これは公権力の行使であるから、これをど こかでとめるということをやはり考えないといけないというふうになって...。 しろまる 今の総会付議は何もないのか。 しろまる 今はそういう問題はない。今まで誰も考えていない。 しろまる 命令がないのであるから問題が起きていないのだろう。 しろまる あれば起きたであろう。今度制度を変えたら起きるから何らかの対応が必要にな る。 しろまる 命令だということになれば独立した行政処分になるだろう。 しろまる 立証過程の中での話だから、別に出さなかったときには不利益判断をされても当然 だろう。 しろまる しかし、そうすると、更にこのあとで証拠が出せないという強い効力があるわけで あるから、かなり話が違ってくるのである。 しろまる 更にダブルでかかる。 しろまる 労働委員会で出さなくて、裁判所で出せば良いという対応が取られたときには...。 しろまる そこはあるのである。30条で。 しろまる 少なくともこれまでの議論は、労働委員会で出なかった証拠が裁判で出てきて取り 消されるということを抜本退治して、最終的に出てこないなら出てこないでも、言い方 は悪いかもしれないが、それを問題にはしていない。 しろまる それとうがった見方をして言えば、すったもんだという形をとって一番最後に出し た方が裁判所できくわけである。 しろまる きくというのはどういうことか。 しろまる 最終段階で出した方が有利になる。国民生活金融公庫事件がそうであったと聞いて いる。 しろまる いわゆる隠し玉論である。 しろまる それは中身次第で、出るまでのプロセスは全然関係ないだろう。 しろまる しかし、裁判所の文書提出命令を特に発しないのは、命令を発すると抗告審に行っ てその間事件の進行が止まるので、なるべく説得して任意に出させるようにしている が、それも全く出さないとバックに何らかの権限があるからだと思う。とすると、出す インセンティブのようなものを考えた方が良いのではないか。 しろまる ないよりは裏打ちがあった方が、出るように働くであろうが、ただ、それがあった からといって出さないということがなくなるというわけではないだろう。 しろまる ただ、あとで出すアンフェアなことを考えれば。 しろまる 検討項目で挙げること自体は良いであろう。 しろまる 「方向で」という結論が出ているような書き方になっているが、そんなに簡単に決 定できることではないということで、もう少し軽い言い方にした方が良いということで あるか。 しろまる 「講ずる方向で」というのは裁判を受ける権利との議論になったときに、どのよう な理屈で通していくのかということを考えると、難しい問題である。 しろまる 「講ずることを」ということだろう。ことが続くが、修文して。方向を「こと」に した方が良い。他の委員はいかがだろうか。こう書いたからといって方向が否定された わけではないし。安易に取れると思ったわけではない。中立的な言葉である。事務局は いかがか。 しろまる 他のところとの整理であるが、「することが適当である」が一番強い書き方として いる。そこまでの書き方をするのは、今ほどの議論の中で、新証拠の提出制限のところ でするのは、いかがなものかと思う。ただ、この研究会の議論をふまえると、やるかや らないかを検討するのではなく、やる方向で検討してもできないこともあるわけである が、検討の姿勢というかスタンスを明確にした方が良いのではないか。ただ、やると書 ききってしまうには課題には難しすぎるということで、適当であるではなくて、「方向 で検討する」ということを間に挟んでいる。「こと」と言ってしまうとかなりスタンス がぼやけてしまうという懸念があのである。できるかできないかは検討してみたいとわ からないということである。 しろまる 「方向で検討する」ということの中に含まれているということか しろまる 確かに、つめるといろいろと問題があるのだろうが、やっぱり労働委員会の審査を 実のあるものとするため何をするのかと言うときに、これもないのかという感じもす る。計画審理も今のままでやろうと思えばできることで、制度改正みたいな方向で何か 入れておかないと、目に見えるものがないとインパクトが足らない。ここは、むしろ、 方向で検討するとして積極的に検討するという方が、やると言うふうに決まっていると は思わないが、せっかくの機会だからそれくらいの書き方くらいが良いと思う。 しろまる 私は十分述べたのであとはお任せることにする。 しろまる 大変悩ましいのであるが、検討して事務局とつめさせていただくことにする。次回 までに。それ以外にいかがか。 しろまる 細かい所であるが、10ページのところで、ちょうど真ん中のところで、「その際、 和解が調う」とはこの字で良いのか、というのが一つと。これは前回入ったので経緯が わからないが、「成立する見通しを的確に立てた上で」と言われると、実際には和解は やれないという気がするのであるが。これは無理だと言う気がするが。 しろまる 試みるのであるから。 しろまる 「的確に」と言われると和解でできるのかと思う。 しろまる だらだら和解というか逃げ腰和解というか、命令覚悟の和解というか、そういうも のではなくしてという意味である。そういう姿勢を出そうと言う意見があって書かれた ものであるで。確かに。 しろまる 成立する見通しが的確にあるかというと、ちょっとそれは...。 しろまる これは、「成立する」を取ってそれで逆にして、「的確に見通しを立てた上で」で いかがか。 しろまる それならば良いだろう。 しろまる 今のところで和解を進めることが出来るようにする、長期化しないようにする。労 働委員会の方が主体的に和解をさせて、当事者はそんなことはしたくないのに無理やり させられていることもあるのかというような。だから、もっと当事者の希望だとか、そ ういうような言葉が入った方が良いだろう。 しろまる それが成立する見通しの中にきっと入っていたのだろうが、「成立する」を取って しまったので、見通しというのが労働委員会側が持つ見通しだけととられるとまずいと いうことであろう。それではそこは全体の文章を調整したいと思う。 しろまる 見通しと言うのは、これは和解が出来ない事案だと言う場合に和解に無理に持って いくのを避けるという意味も含まれるだろう。その他、これも表現の問題になるが、12 ページの最後の2行であるが、新証拠の提出制限はともかくとして、司法制度改革審議 会で挙げられた3つの論点が2行で終わるというのは簡単に過ぎるので、「今般の審査 手続」の前に、「司法制度改革審議会における問題意識を踏まえて」と、つまり問題点 があることは十分理解しているとして、そして「踏まえて」が続くので、審査手続、審 査体制の改善とセットで考えていくべきであることを示してはどうか。「改善状況等に 照らしつつ」ということは、改善が上手くいけば問題が一部解決される、または解決し ようという流れになるであろうということである。そのようなことを表現してはどう か。 しろまる 確認であるが、「今般」の前に何と書いたら良いか。 しろまる 「司法制度改革審議会における問題意識を踏まえて」ではどうか。 しろまる その後は「改善状況等に照らしつつ」と入れたら良いか。照らしつつのところは鑑 みという方が良いかどうかとか、そのようなところは検討させてもらって。重要な指摘 であった。他によろしくお願いする。 しろまる 11ページの「公益委員の任命」のところに、「法律実務家」と書いてあるが、これ はどういう議論であったのか。 しろまる 公益委員に労使関係に係る経験を有するものが少ないというのが、ちょっと不自然 ではないかと。おかしくないか。もう一つは、一見「法律実務家」と言うのはどちらか の側だと見られてしまって、労働関係をやっている人は、その結果同じく公益委員には 選任しづらくなっている。こういう状況はせっかくの人的資源を上手く活用できていな い、エキスパートの確保と言う点から上手く行っていない。これは任命の、誰か一人で も反対すれば任命できないと言う状況の中では、大変難しいということであった。 しろまる それはよくわかっているのであるが、ただ、当然ぽんと法律実務家はと出てくるの で気になる...。 しろまる これでは労働法学者が入らないことになるのか。 しろまる それでは両方並列的に書いておくか。 しろまる これは法律実務家というのを取ってしまっても良いのではないか。 しろまる 具体的には弁護士を指しているのであろう。 しろまる 法律専門家にするか。 しろまる 実務法曹とか。 しろまる 労働法の先生が、この要件のせいで、弁護士の方と同じ問題を持っている。 しろまる これはかねてから指摘されていることである。 しろまる しかし、であるとすると、「労使いずれかの側で」ということになると弁護士のこ とを指しているようである。とするとこの文脈では抜けてしまっているのだろう。 しろまる これはどうだろうか。「労使いずれかの立場で専門的知識を蓄積してきたもの」と いう言い方はどうか。 しろまる そうすると、労働組合とかも入ってしまう。私も考えていたが。 しろまる 法律を入れないといけないのか。 しろまる 今、前提となっているが、労働法の先生を入れる必要があるかどうかということを 決めた方が良いのではないか。 しろまる ただ、最近は労働法の先生が入り始めているから、それはあまり気にしなくても良 いのではないか。 しろまる それでも少ない。 しろまる ここは書きづらい面がある。 しろまる 書きづらい。私が念頭にあるのは弁護士である。 しろまる 熟達した専門知識がある方が利害相反関係にない中でできれば随分違うだろうとい うこともあるだろう。合議もあるのであるから。 しろまる こうしたらどうだろう。「現状では、労使いずれかの側で労使関係に関わる経験を 蓄積した専門性を有する実務法曹を任命できない懸念がある」と。あまり変わらないの であるが、どうか。 しろまる 「等」をいれる。 しろまる 「実務法曹等」でも良い。労使いずれかの側で労使関係に関わる経験を蓄積した専 門性を有する実務法曹等を任命できない しろまる 特定のものを出さないといけないのだろうか。考え方としては、こういう現状では 公益委員の適格者を必ずしも任命できないことに鑑み、であるとか、そういうことであ るので、というのでは駄目であろうか。 「労使いずれかの側で」と言うのは、弁護士 はどちらかの代理人になる場合でも、単なる雇われ弁護士ではなくて、弁護士としての 専門的な見識でやるという考え方だから、いずれかの側と言うのは問題である。 しろまる もっと弱めると、「労使関係に関する専門性を有する法律専門家を任命できない懸 念がある」。 しろまる 法律家と言わないで、「者を任命できない」とか言うことはできないか。 しろまる 法律家なら両方入る。弁護士も、裁判官も。 しろまる 今のままでもおかしくないと思うが。 しろまる ここはすぐにこれという決定が出ないようなので、事務局との間でやりとりをして 次回までに確定したい。今のように指摘していただけるとありがたいので、今更なんて 懸念をあまり持たずに、出していただきたい。そもそも論に戻るとなるときついのであ るが。 しろまる 今のところであるが、「公益委員の一部の常勤化」の3行目のところで、「争点・ 証拠の整理や事実認定が十分かつ的確に行われているとは言い難いこと」と入ってい る。 しろまる ない場合もあることとするべきだろうか。 しろまる 非常勤で業務量にということもあるが、事件処理に慣れるまでに時間がかかる。 しろまる ここは問題点指摘でもまずいのであるが。対策の理由付けであるから、もう少し工 夫してみる。 しろまる 「とは言い難い」と言うと、一般にそうであるととられそうなので、やはり「場合 がある」というふうにしてはどうか。 しろまる ここは逆に委員の方からとんでもないという声があがるであろうか。 しろまる 常勤にすればなんとかなるのかというと疑問であろう。 しろまる これは委員会によって違うかもしれないが、日程調整が困難であると言うことに加 えて、結審後の命令書の作成期間が長くなると言うのも非常勤であることが一因であろ う。とすると命令書の作成に時間がかかりがちであることは、非常勤ゆえの問題の一つ の理由になるのではないかと思う。 しろまる 非常勤の日程が取れないということが、例えばある案についての相談がある場合で も、いつ会って相談するかと言うことになると、その間に3日や1週間くらいあっとい う間に飛んでいって、次の総会のとか公益委員会議のときにとなると、すぐに2週間く らい経ってしまう。一つ一つは小さいのであるが起案の作業でこういう作業が仮に10回 あれば10週や20週が空転する。もし常勤であれば今日見たら明日か明後日となる場合も あるわけで、場合によっては即断即決もありうることを考えると、この時間差はすごく 大きいといつも感じる。 しろまる 今の意見を入れた方が良い気がする。 しろまる 次の段落の2行目、「稼動時間数」というのは、執務時間数ぐらいの方が良い。 しろまる 同じように、次回が最終回であるので、小さいと思われるところでも指摘していた だきたい。 しろまる 先ほどの公益委員の任命要件が具体的にどういう方向があるかということは具体的 には検討しなくても良いか。 しろまる ここでの議論では今のような労使の各側全員の一人一人の承認というやり方は行き 過ぎであろうということである。ただそこから各側の半分と言うのか3分の2で良いと 言うのは、我々が指摘するのは難しいのではないかというのがここでの議論である。し かし、少なくとも現在のように全員が判を押すという形はいくら何でも。一人でもNOと 言えば、逆の形の独裁ともなりかねない。 しろまる 「現状では」から2行下の「労使関係に関する」に続けてはいけないか。 しろまる 私も最終的にはそのような感じがするのであるが。 しろまる そういうことも含めて検討したい。 しろまる 1点だけ気になったのであるが、11ページのすぐ後のところで。「より適任なもの を」、というと今は適任じゃないように読めてしまう。比較級をつけられると。 しろまる そういう意味にとられるということで。 しろまる 前の文章に入れてもどちらでも良いかと思うが、「広範囲な候補者中から」という ようにするなど、要は候補者の幅が広くなるということであろう。 しろまる よりは「より広範囲な」ということであろう。よろしいだろうか。特になければこ のあたりで終わりにしたい。最後の最後の所まで貴重な時間をいただきましてありがと うございました。今日指摘していただいたところは事務局と相談させていただいて、次 回に最終報告案を議論したいと思う。事務局には資料を修正していただいて再度、最後 のつめをお願いしたい。その上で報告書を取りまとめるという考えである。次回7月25 日(金)であるが、825会議室を予定している。よろしくお願いする。 以上 照会先 政策統括官付労政担当参事官室 法規第二係 岩崎、先崎 TEL 03(5253)1111(内線7752,7753)、03(3502)6734(直通)

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