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学校の取組例

大分県玖珠町立塚脇小学校

1人1台端末で変わる(変える)学校の風景
〜まずは校務DXから〜

【初等教育資料 令和6年9月号記事】(文責:校長 平原一幸)
「紙かデジタルか?」どの学校でも一度は議論になったことだろう。「わざわざデジタルにしなくても――」。そのような声をよそに、何十枚もある職員会議の資料をPDFにして配布した。「これからはデジタルの時代だから」と、紙をデジタルに置き換えたことに満足していた頃の私の話である。
県の指定を受けた研究発表会では、「デジタルにする意味は?」「もっと効果的な活用は?」といった声をいただいた。求められているのは、デジタル化ではなくDXだということは分かっている。ただ、何十年とかけて培ってきた教師の「経験的価値観」を変えるのは、そう容易ではなかった。
それでも見えてきたことはある。「やってみないと分からない」ということだ。まずは紙をデジタルに置き換えるだけでもよい。とにかくやってみることだ。そうすると、「もっとこんなことができるのではないか」といった発想を抱く教職員が必ず出てくるのである。 1人1台端末が配布されて4年。本校も、少しずつ学校の風景が変わりはじめた。その変化は、教師の価値観の変化を生み、これまでのやり方を根本から変えている。そんな本校の取組について、校務DXを中心にお伝えする。
(令和6年9月10日掲載)
-教職員のアイデアから生まれる
-おわりに

教職員のアイデアから生まれる

クラウド環境の活用。これは、教職員の考え方を大きく変えるきっかけになった。「クラウドを使えばこんなことができるのではないか」。そのような声を現実のものにしてきたのが、本校の校務DXである。

1塚脇サイト

朝、教職員は教職員用端末を開き、塚脇サイトを通して本日の連絡事項を確認する。もちろん、教室で確認する教師もいる。職員朝会をもつ必要はない。資料や連絡事項をいつでも、どこでも、簡単に確認できる。この取組により、教職員にとって端末は必須のツールになった。
教室で朝の連絡事項を確認している様子

2会議資料の変化

本校の会議資料は、クラウド上にある関係資料をリンクとして張ることで1、2ページにまとめている。会議中に内容の訂正や付け加えがあった場合は、共同編集機能を使ってその場で訂正したり書き加えたりしている。これにより、常に最新の内容を全員で即時共有でき、資料も容易に取り出せるようになった。
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会議資料は、リンクを張ることで数ページにまとめている

3お知らせ塚脇くん

学校には、毎日たくさんの文書が届く。事務職員は、受付、印刷、回議、担当者への配付、保存等、一切を請け負う。時には、教頭がこの業務を行うこともある。この状況を改善できないかと考えられたのが「お知らせ塚脇くん」である。受付文書は全て電子化され、決裁者はクラウド上で文書確認を行い、チェックマークを入れる。決裁が遅れると、チャットで催促のお知らせが届く。締切があるものは、期日3日前と当日に「確認のお知らせ」が届く仕組みだ。決裁が終わると、その文書は担当者のチャットに送られる。多忙な教師の状況を知っている事務職員が作ったからこそのシステムであり、そこには作成者の思いやりと工夫が感じられる。

その他、保護者連絡の電子化、各種アンケート集約とデータ処理の自動化、学級ごとの週案から全校日課表自動作成、校内チャットを活用した情報共有、カレンダー機能を活用した面談予約、情報共有シート等、クラウドを活用した校務のDXを積極的に進めている。新しいものに慣れることは必要だが、本校の校務DXは、大半が本校教職員のアイデアから生み出されたものであり、働き方改革につながっている。

おわりに

今年度、6年生全児童が、「修学旅行サイト」を作成した。玖珠町教育委員会主催のジュニアICTリーダーに参加した子供たちが中心となって作成方法を伝授し、事前に調べた内容や、現地での学び、振り返り、思い出の写真などをまとめた。このサイトをクラウドの機能によって保護者にも公開して共有することで、修学旅行に関わる活動や子供の様子等を保護者に見てもらうことができ、好評であった。
このように、校務DXが進むとともに、クラウド環境を子供が活用した実践が少しずつ広がっている。多くの教師が「まずはやってみる」という意識をもち、いろいろな実践に挑戦している。
さらに、研究主任を中心とした組織的な校内研修も進められている。ベテランと若手の意見を合わせながら、クラウド活用を意識した研究は進んでいる。
本校の教育目標は「学びを生活にいかす子の育成」である。その実現に向けて、更なる授業・研修・校務のDXに挑んでいきたい。
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クラウドを使って学び合っている様子

GIGA StuDX推進チームより
クラウド環境を校務で活用することから、教職員の意識が変容し、働き方が改善されています。
スタートを切る段階では管理職による明確な方針のもと、「とにかくやってみる」ことから始まり、教職員からの新しい発想や工夫・改善の気付きが生かされ、次第に自分たちで変えていこうと教師の意識が変化していった経緯が見て取れます。校務をサポートするアプリ等の外部サービスを利用するだけでなく、汎用的なクラウドツールを活用して教職員のアイデアを形にすることで校務のDXを進めている点は、他校の参考になる取組と考えられます。
また、校務以外の場面での活用に着目すると、子供が作成したサイトを情報や内容に留意しつつ、クラウドで保護者にも共有することは、保護者の理解や子供の主体性を高めることにもつながると考えられます。1人1台端末とクラウド環境を生かした取組が今後も広がることが期待されます。

(監修:GIGA StuDX推進チーム)

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