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学校の取組例

青森県六ケ所村立南小学校

自律した学習者を育てるための低学年からの丁寧な指導

【初等教育資料 令和6年8月号記事】(文責:校長 木村智)
本校の教育目標は、「自ら問いを立てる自律した学習者をめざして かしこく やさしく たくましく」である。では、「自律した学習者」を育てるためにはどうすればよいか。
これは、大人が子供に自転車の乗り方を教えるのとよく似ている。まず大人は、自転車に乗りながらポイントを説明し、子供に乗ってみるよう促す。乗り始めはしっかり支えるが、挑戦を繰り返しながら徐々に手を放し、子供の横や前から励ますようになる。子供は転倒を繰り返しながらも、やがて一人で自転車を乗りこなせるようになる。このように、教師は、一緒にやって見せ、まねさせ、できるようになるまで伴走し、自然と子供が主体的に学んでいく姿を目指すことが大事なのではないだろうか。今回は、低学年からの丁寧な指導を中心に1人1台端末を文房具として使いこなすための指導を例に紹介する。
(令和6年8月8日掲載)
-学習支援ソフトを使い始めるときの指導
-ホワイトボードソフトの活用
-クラウドを活用した授業で子供主体の学習へ
-教師がクラウド活用の便利さを実感すること

学習支援ソフトを使い始めるときの指導

低学年で学習支援ソフトを使い始めるときは、実物投影機を活用し、教師の画面を電子黒板に投影することで、子供が端末の操作についてより理解しやすいようにする。子供は、電子黒板と自分の画面を確認しながら、教師と同じ操作をすればよいので、安心して端末を操作できる。教師は子供の様子が見えるので、うまくいかない子供がいるときは手順を戻して指導し直すこともできる。丁寧な指導を数回繰り返すと、子供は自分一人で操作ができるようになっていく。教師は、操作を習得した子供をほめ、困っている子供の支援に回る。ほめられた子供は、主体的に他の子供の支援に当たりはじめる。学級経営の観点からも、こうしたやりとりはよい効果をもたらしている。
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実物投影機を使ってタブレット端末を一緒に操作

ホワイトボードソフトの活用

学習支援ソフトと同様に、ホワイトボードソフトも低学年から活用している。本校では、カメラ機能を併用しながらホワイトボードソフトの指導を行っている。低学年では、主に紙のワークシートで作業した内容をカメラで撮影し、ホワイトボードソフトに貼り付けクラウド上で意見を共有する工夫をしている。
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ワークシートをカメラで撮影しホワイトボードソフトに貼り付ける
自分の作業したものが、写真を通してクラウド上で共有されているので、他の子供の意見をそれぞれじっくり読み比べることが、紙のままよりも容易にできるようにった。感想や意見は、Yチャートに入力し、次時の活動へつなげていく。
ソフトウェアキーボードや音声入力、画像の貼り付けを活用すれば、キーボードでの文字入力が十分身に付いていない子供も学習が可能である。
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ソフトウェアキーボードで感想や意見を入力
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書き込んだYチャート

クラウドを活用した授業で子供主体の学習へ

今年度、本校では「六ヶ所村版情報活用能力育成の段階表」を基に、「南小学校情報教育項目毎一覧表」を作成し、学校全体で計画的に情報活用能力の育成を進めている。6年間を見通した計画を作成し実施することは、クラウドを活用した授業で子供主体の学習を進める上で、重要なことである。
授業でクラウドを活用するよさは、子供も教師も学習の過程がリアルタイムで可視化されることである。子供は、学習活動の中で自分のこれまでの姿と今の自分の姿を比較し変容を自覚する。また、他者の考え方を参照することで、粘り強く取り組み、自己の学習に向かう態度を調整できるようになっていく。そこに向かうための最初の指導が、丁寧であることが大事だと考える。

教師がクラウド活用の便利さを実感すること

ここまで述べてきたことの前提として、教師が前向きにクラウド活用に取り組んでいることがある。
教師がクラウド活用の便利さを実感するためには、校務でクラウド活用を日常化することが一番の早道だ。本校では、今年度から校務のクラウド化を本格的に進めている。それによって、苦手な教師も徐々にクラウド活用の便利さに気付き、例えば今では職員間の連絡等でもチャット機能を活用できるよう変化してきている。
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教師用ポータルサイト


GIGA StuDX推進チームより
発達の段階に応じた丁寧な指導の具体的な工夫として、カメラ機能とホワイトボードソフトを合わせて活用するなど簡単な操作でできるICTの活用により、低学年からクラウドを活用した授業が行われています。クラウドを活用しながら意見を交流する素地を徐々に養う実践が報告されています。
また、学習の基盤となる資質・能力の1つである、「情報活用能力」を学校全体で計画的に育成する取組が報告されています。6年間を見通した一覧表を作成し、どのような情報活用能力をいつ身に付けるとよいかを「見える化」することで、教師間による足並みをそろえた指導につながっています。
こうした実践を参考にしながら、各地域においても実態に応じて、子供の主体性や自己決定を尊重した授業づくりに1人1台端末とクラウド環境を有効に活用していただきたいと思います。

(監修:GIGA StuDX推進チーム)

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