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ライフサイエンス委員会(第112回)議事録

1.日時

令和6年2月16日(金曜日)14時00分〜15時56分

2.場所

WEB会議

3.出席者

委員

宮園主査、畠主査代理、有田委員、大津委員、大曲委員、岡田委員、加藤委員、金倉委員、金田委員、鎌谷委員、木下委員、澤田委員、鹿野委員、杉本委員、鈴木委員、辻委員、豊島委員、西田委員、坂内委員、宮田委員、山本委員

文部科学省

釜井ライフサイエンス課長、廣瀨ライフサイエンス課課長補佐、中川原生命科学専門官、小野ゲノム研究企画調整官、横井研究振興戦略官付専門官

4.議事録

【廣瀨ライフサイエンス課課長補佐】 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第112回ライフサイエンス委員会を開会いたします。
本日は、Web会議システムによる開催とさせていただいております。本審議会は、報道関係者と一般の方にも傍聴いただいております。
上村委員、熊ノ郷委員、桜井委員、武部委員より御欠席の連絡をいただいており、鈴木委員からは遅れての御出席、辻委員及び澤田委員からは途中での御退出と承っておりますが、出席委員数が総委員数25名の過半数13名に達しており、定足数を満たしていることを御報告いたします。
会議の円滑な運営のため、ZoomによるWeb会議システムで御参加いただいております皆様にお願いしたいことがございます。委員の先生方、傍聴の皆様におかれましては、表示名は、本名、日本語表記、フルネームとしていただきますよう、お願いします。傍聴の皆様は、表示名冒頭に「傍聴」と御入力ください。傍聴の皆様におかれては、マイクとビデオを常にオフにしてください。委員の先生方におかれましては、回線への負担軽減のため、通常はマイクとビデオをオフにしていただき、御発言を希望する場合はビデオをオンにしてください。また、発言される際のみマイクをオンにしてくださいますよう、お願いいたします。発言が終わられましたら、両方を再度オフにしてください。その他、システムの不備等が発生しましたら、随時お知らせいただきますよう、よろしくお願いいたします。Web会議システムの音声が切れてしまった場合には、事務局より事前にいただいておりますお電話番号に御連絡させていただきます。表示名や音声・映像については、事務局により操作させていただく場合がありますこと、御承知おきください。御不便をおかけすることがあるかもしれませんが、何とぞ御理解いただけますと幸いでございます。
それでは、以降の進行は宮園主査にお願いいたします。
【宮園主査】 どうもありがとうございました。
それでは、本日の議事と配付資料について、事務局から確認をお願いいたします。
【廣瀨ライフサイエンス課課長補佐】 議事次第を御覧ください。本日の議題は、3点でございます。
議題(1)は、これまでの議論の論点整理マル2です。前回のライフサイエンス委員会にて配付した論点整理につきまして、前回の委員会における御発表・御議論等を踏まえ、事務局にて更新しております。更新版を御説明し、御議論いただきます。
議題(2)は、研究開発課題の評価についてです。研究開発課題1件の事後評価及び2件の中間評価の結果の案について、事務局よりお示しし、御議論いただきます。
議題(3)は、ライフサイエンスデータベースの在り方についてです。ライフサイエンスデータベースの在り方について、今後の方向性の案を事務局よりお示しし、御議論いただきます。
配付資料は、議事次第に記載されているとおりです。前回の委員会で御議論いただいた大学発医療系スタートアッププログラムの基本的な考え方につきましては、最終版を参考資料として配付しております。委員の皆様には、事前にメールにてお送りさせていただいております。資料番号は議事に対応しております。不足等ございましたら、議事の途中でも構いませんので、事務局にお声がけください。
事務局からの説明は、以上でございます。
【宮園主査】 どうもありがとうございました。
それでは、これより議題に入ります。一つ目の議題は、これまでの議論の論点整理マル2です。まずは事務局より御説明をいただきまして、その後、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。
では、事務局から、お願いいたします。
【廣瀨ライフサイエンス課課長補佐】 事務局でございます。資料1-1から1-3まで、関連する資料がございますが、資料1-3を中心に御説明させていただければと思います。こちら、色をつけている部分が前回からの更新点でございまして、青字のほうは前回の御議論等を踏まえまして追記したものでございます。緑字のほうは、前回から場所の変更ですとか記載の統合等を行ったもので、内容的には変わってない部分でございます。内容が変わった部分のみ、御説明させていただければというふうに思います。
まず、「今後のライフサイエンス研究とは?」という部分でございます。こちら、以前のバージョンでは、Curiosity、Methodology、Missionごとに述べた部分と、「今後の潮流」と書いてある部分があったのですけども、やや、重複感といいますか、同じようなことを2回述べている部分も多少ございましたので、そこを統合させていただいたのが緑字部分でございます。青字の部分が今回追記した部分でございまして、まず、先日の議論を踏まえまして、多彩なバックグラウンドというところに「人文・社会科学」もしっかり含むということを書かせていただいています。
また、Curiosityの部分に入りますけれども、先日の倉永先生のプレゼンですとか、その後の議論等を踏まえまして、新しい研究領域を生み、将来的な研究力向上につながる研究の多様性というものが重要でありまして、その源泉は個人の知的好奇心であるということを一言書かせていただいております。また、前回の議論を踏まえて追記した要素といたしまして、生命の進化という観点、生命の進化につきましては、生命とは何か、ヒトとは何かに関わる根幹であるということを一言入れさせていただいております。また、その次の青字の部分ですけども、生命現象を徹底的に観測・観察し、網羅的に明らかにする、「枚挙」という言葉も出ておりましたけれども、そういったことから新たな発見が生まれるという観点もCuriosityの一環として重要であるといったことを一言、追記しております。
また、Methodologyのところも、分野融合のところにつきまして、倫理・哲学等の人文・社会科学が重要であると、そういった観点もはっきり書かせていただいています。緑字部分は、統合した部分でございますので、前回と要素としては変わってはいない部分です。
「具体的な対応方策」の箇所に移りまして、基礎研究力のところでございますけども、こちら、前回の倉永先生の御説明等を踏まえまして、挑戦的・探査的・萌芽的な基礎研究といったものが多様性の源泉であり、将来的な科学技術の発展の源であると、まず、冒頭に書かせていただいています。また、もともと、視野の長い、数十年先を見据えた研究という要素はあったんですけども、成果が出るまでに長い期間を要するという観点が重要であるということが前回の議論で出ましたので、そこをもう少し書き足させていただいています。
また、前回の議論の中で、特に医学系についてですけども、研究者の流動性という観点が出たかと思います。今、異分野連携が求められている中で、多様な職場で多様な他者と接する経験が重要であり、そのために流動性を向上させるべきであると、そういった要素を一言入れさせていただいております。また、メンターに関する御発言もいただいたかと思っておりまして、こちら、異分野との連携や出口を意識した研究を推進する上でも、メンターによる支援は有益ではないかと一言書かせていただいております。また、こちらも倉永先生のプレゼンの中であったかと思うんですけども、大学院生の活用といった観点も重要かというふうに思っております。その際、ただ活用するというだけではなくて、経済的支援ですとか待遇の改善、また、結婚、出産等、ライフイベントとの両立支援といった観点も重要であるということも出たかと思いますので、そちらも入れさせていただいております。
また、もともとあった「高等教育・初中教育政策とつながりを持って」という部分でありますけども、そこに関連する御発言としまして、リベラルアーツ教育やダブルディグリーなど、大学教育の段階で分野横断的な人材を育成する取組も重要であると、そういった御議論もいただいたかと思いまして、非常に重要な観点だと思いますので、そちらも入れさせていただいております。
また、データに関するところに関しまして、Disruptiveな研究が必要だということを前半部分で申し上げていますけども、その際にもデータシェアリングというのが重要であると、そういった御発言も出たかと思いますので、入れさせていただいております。
また、研究の実用化支援のところのスタートアップの部分に関しまして、我が国はスタートアップの育成において遅れていると、そういった御発言があったかと思いますので、そこも一言加えさせていただいております。
また、研究費に関しても幾つか御意見いただいたというふうに思っておりまして、挑戦的・探索的・萌芽的なボトムアップの研究への支援が重要であると、そういった御意見が多く出たかというふうに思います。また、競争的資金等の採択率を上げることが多様な研究の支援に重要だということも、御指摘いただいたかと思います。また、財団等による民間の研究費支援においても、こういった多様な研究を拾い上げるという観点が重要であるということも御指摘いただいたと思いますので、そちらも追記させていただいております。
こちら、今、説明いたしましたけども、青字の部分の追記に関しては、以上でございます。こちらにつきましては、本日、御議論いただきまして、また、今後とも様々な御議論いただく中で、ライフサイエンス委員会としての意見として今後とも更新していきまして、今後、取りまとめていくですとか、また、「健康・医療戦略」や「バイオ戦略」といったほかの文書にも盛り込んでいただくよう調整するですとか、そういったことをしていきたいというふうに思っております。
今後、そういった外へ向けて説明していくということも事務局のほうであるかということで、説明しやすいような、ポンチ絵といいますか、概要資料というものも作成しております。中身に関しては既に前回・今回で御説明した内容でございますけども、こういった資料もお作りしているということを御報告させていただければというふうに思います。
事務局からの説明は、以上でございます。
【宮園主査】 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの文科省からの説明ですけれども、質疑応答に入りたいと思います。発表に関する御質問、御意見がございましたら、ぜひ積極的にお願いいたします。挙手をして、よろしくお願いします。
それでは、金田委員、加藤委員の順でお願いいたします。
【金田委員】 私、前回出てなかったので、もし議論されていたら結構なんですけれども、Curiosity、Methodology、Missionと、宮園先生はそういうふうに素案を作られておられて、私、これは非常にすばらしいと思って共感していたところなんですが、Methodologyのところで一つ大事だと思うのは、今後、非侵襲の方法で、例えば、光工学であるとか、電磁場とか、音波とか、そういうものを駆使して、組織丸ごととか、個体全体とか、そういうことの計測というのはすごく大事だと思うんですね。それを盛り込めるのなら入れていただきたいのと、そのときにやはり重要なのは計測技術と情報科学の融合だと思っていますので、例えば、ここに書いてあるものですとWetとDryがうまく融合するような方向性が望ましいというふうに思いますので、もしそういうことが議論されてないのでしたら、入れていただければありがたいかと思っております。
以上です。
【宮園主査】 どうもありがとうございます。今、大変貴重な御意見をいただきまして、その辺もぜひ付け加えるように検討したいと思います。どうもありがとうございました。
では、続きまして、加藤委員、お願いいたします。
【加藤委員】 4ページのところで「人材育成とヒューマンリソース確保の両面から、大学院生の活用は重要であり」というふうに書いてあったのですけれども、この大学院生の活用というのは、例えば、ティーチングアシスタントとして教育に参加してもらい、しっかり経済的支援するとか、そんなような意味でよろしかったでしょうか。その意味合いが十分に分からなかったものですから。
【宮園主査】 事務局、いかがでしたっけ?
【廣瀨ライフサイエンス課課長補佐】 事務局のほうから、一言、御説明させていただければというふうに思います。表現が分かりにくかったとしたら大変恐縮ですけども、こちらはもともと倉永先生の御説明から取り入れた部分でございまして、基本的には研究に参加していただくといったことをまずは想定しておりまして、もちろん教育に対する貢献も非常に重要だと思うのですが、研究の際のヒューマンリソースの確保、また、その後、研究者となっていくためのキャリアパスの観点、人材育成の観点から、研究をしていく際に大学院生の方にも、一定の役割を果たしていただく、貢献していただくといったことが一つ重要じゃないかということを意味して書かせていただいております。
【加藤委員】 大学院生は基本的には学生であるので、「活用」という言い方でいいのかというのが少し心配になった次第です。何か、うまい言い方があればなというふうに思いました。
以上です。
【釜井ライフサイエンス課長】 文科省のライフサイエンス課長の釜井でございます。加藤委員、大変貴重な御指摘いただきまして、ありがとうございました。
おっしゃるとおりのところでございます。倉永先生のほうからのインプットとしては、こういうふうなことを定性的にちょっと検討してはということだったと思うんですけれども、他方で、ライフサイエンス委員会とは別のところではあるのですが、今、高等教育局におきまして、いわゆる医学教育とか大学における教育の在り方のようなものも併せて検討しているところでございますので、それと相まった形で我々研究振興局のほうとしても研究力という意味で相乗効果が図れないかということで、具体策のほうを今、同時並行で検討している最中でございます。そういった中で、どこまで何ができるんだと。他方で、責任関係とか、あと、医学研究のほうでやった際にはどこまで本当にできるんだということも責任関係とかであると思いますので、そこは、明確化のプロセスの中で、こうした文言についてもきちっとした形で修正もしくは明確化のほうを図っていければと思っております。
【加藤委員】 どうもありがとうございます。
【宮園主査】 どうもありがとうございました。
それでは、有田委員、お願いいたします。
【有田委員】 遺伝研の有田です。このサマリーは、今までの意見が全て入っていて、コンパクトにまとまっていると思うんですけれども、これらの論点または議論というのはこれから、例えば、ホワイトペーパーみたいな形で、文書の形で公開されるのでしょうか。もしもそういう文書にするとなると冒頭のところにエグゼクティブサマリーというのができるわけですけども、そこの中に何を書き込むかというところをこれから絞り込んでいく過程が難しいと感じました。
以上です。
【宮園主査】 今の質問ですが、事務局から、いかがでしょうか。
【廣瀨ライフサイエンス課課長補佐】 事務局のほうから、お答え申します。ありがとうございます。おっしゃるとおり、今の段階では相当、コンパクトさには気をつけつつも、多くの意見を盛り込んだものであるかというふうに思います。こちら、今、この時点では、2月、3月の時点で取りまとめるということまでは予定しておりませんけども、今後、夏ですとか、第12期ライフサイエンス委員会の終了時期を迎えていくのに向けまして、一定の取りまとめというものはしていければなというふうには思っております。その際、絞り込んでいく、もしくはポイントを明確にしていくということが悩みどころであるということはおっしゃるとおりかというふうに思っておりまして、中身の具体化と併せまして、主査とも相談しながら、どのように取りまとめるかというのを考えていきたいというふうに思います。分かりやすく示すということ、それから、具体的に対応策というものをしっかり示していくということ、また、その一方で重要な点を漏らさないということで、なかなか事務局として案をつくっていくのは難しいということは承知しておりまして、そちらは、今後また、数か月、半年ぐらいのスパンで考えていきたいというふうに思っております。ありがとうございます。
【宮園主査】 どうもありがとうございます。
今、事務局からも説明ありましたが、非常に貴重な御意見をいただいておりますので、こちらは、また皆様と相談しながら、どういうふうに発信していくか、改めて検討させていただければと思います。有田委員、どうもありがとうございました。
それでは、西田委員、お願いいたします。
【西田委員】 加藤委員が指摘したことと、あと、山本委員が書かれていることと、全く繰り返しなんですけれども、やはり「活用」という言葉は非常に不適切で、絶対使うべきではないというふうに強く思いますので、大学院生は道具でもありませんし、活用するというのは経営者が誰かを雇って活用するというような感じになるので、非常に不適切だと思うので、絶対に変更すべきだと思います。皆さんがおっしゃっていることと同じですが、繰り返しですけども、以上です。
【宮園主査】 どうもありがとうございました。
事務局、よろしくお願いいたします。
では、辻委員、お願いいたします。
【辻委員】 辻です。今の「活用」のところですけれども、私もこれは使わないほうがいいと思います。例えば、「役割」のほうがまだいいのかなと。
もう1点、同じく人材のところで「女性及び若手研究者を増やすため」というところでアンコンシャスバイアスの話が出ているのですけれども、日本は人口が減り、研究者の数も減っていく局面にありますので、女性が増えることはいっそう重要だと思います。多様性の点からも、女性研究者を増やすことをここでもしっかり書き込んだほうがいいのではないかと思っております。
以上です。
【宮園主査】 辻委員、どうもありがとうございました。女性の研究者、ダイバーシティーということでも、どのように増やすかというのはいろんなところで議論となっておりますけれども、この点についてもしっかりと書き込んでいくように、また検討したいと思います。ありがとうございました。
それでは、畠委員、お願いいたします。
【畠主査代理】 ありがとうございます。全体的にすごくよくまとまっていると思いますが、前回出ておりませんでしたので、1点だけ。
3ページの人材育成のところでございます。「若い有能な研究者がより早い段階で独立できるような制度」というふうに書かれてございます。その後で「独立直後のスタートアップ支援」と書いていますので、ここで言います「独立」という言葉は、いわゆるスタートアップをつくってという話かもしれません。産業育成という観点から言うとこれはいいと思いますが、全般的な人材育成の中で、「独立」という言葉の定義ですね。もちろん、自立してアカデミア等でしっかり研究するというのは大変重要だと思いますが、一方でやみくもにスタートアップのほうに移っていくことを早い段階で推進することがいいのかどうかということもありますので、内容は当然ながら、自立してしっかりスタートアップをつくるようなことも推進する、さらに言わば後方支援が要るということは分かりますけれども、総じて、「より早い段階で独立できる」ということに誤解が生じる可能性がありますので、大変細かいことで恐縮ですが、御指摘させていただきます。
以上でございます。
【宮園主査】 どうもありがとうございました。この点は、事務局と相談させていただければと思います。確かに、早いからいいということよりは、独立してしっかりと自走できるようなということを書くつもりが「より早い」という形になりましたが、これはまた検討させていただきます。ありがとうございました。
【畠主査代理】 よろしくお願いします。
【宮園主査】 ほかはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
ライフサイエンス委員会で、非常に貴重なプレゼンテーション、皆様の意見、たくさんいただきまして、先ほど事務局からも話がありましたとおり、これをどういうふうに発信していくかということについては、検討をさせていただいた上でということになりますが、本当にたくさん貴重な意見をいただきまして、ありがとうございました。また、機会を見て皆様からの御意見を聞きながら、いい形でまとめていくようにしたいと思います。
事務局から、何か追加はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
【釜井ライフサイエンス課長】 宮園先生、ありがとうございます。ライフサイエンス課長の釜井ですけれども、若干補足のほうをいたしますが、今年というのは非常に大事な年だと、ライフサイエンスに関しても非常に大事な年だというふうに、文科省としては考えております。といいますのも、来年は、皆様も御承知のとおり、第3期の「健康・医療戦略」というのが変わっていく時期でございまして、健康・医療の専門調査会のほうでは検討のほうをし始めていると状況でございます。加えて、内閣府におきましても、「バイオ戦略」というのを今まで立てていたんですけど、その改定の時期が来ているということでございます。次の第7期の「科学技術・イノベーション基本計画」というのも、2年後に改定のがあるということなんですね。おかげさまで、今、ライフサイエンス委員会においてこのような議論をしているところでございますので、私ども文科省としましては、内閣府等と協力しながら、できるだけこの議論がそうした政府全体としての閣議決定とか全体の方針のほうに結びついていくように既に努力はしているところでございまして、予見はできませんけれども、一定程度、そういったものが取り込まれるというな状況にはなってきていると思います。
繰り返しなんですけれども、せっかく大変すばらしい議論のほうをしてくださっていると思いますので、我々事務局のほうとしては、そういったものが少しでも政府全体の戦略というか方針のほうに反映できるように努力していくということと、あとは、来年の概算要求におきましても必要なところが反映できていくように努力していきたいと思います。その上で、エグゼクティブサマリーとか、文書化するということにつきましては、宮園主査、各委員の先生方のほうの意向も踏まえまして、前向きに検討のほうをしていければと思っております。
補足は、以上でございます。
【宮園主査】 どうもありがとうございました。
有田委員、どうぞ。
【有田委員】 ホワイトペーパー等で出していただけるというか、考えていただけるのは非常にありがたいんですけれども、現在のサマリーというのは、基礎科学をやっているライフサイエンス系の人の意見であって、多分にボトムアップ型なんですね。ですから、一つ一つ正しいですし、どれを取っても、それはやるべきだということが並んでいるんですけども、それが全部できるはずがないというのが現状なわけです。ですから、政府の方針として出す上では、例えば、地球規模課題とか、日本は超高齢化になってどういう問題に苦しむのかといったことをまずはリストアップして、そこにつなげるためにバックキャストでこれらをどうアレンジするかというところが一番重要なので、そのアレンジの仕方こそがホワイトペーパーの骨子になると思うんですよ。ですから、これと同時に、日本が取り組まなきゃいけないゴールというのを同じような形でブレインストーミングで出して、それらの間のコネクションをつけるというところが、このライフサイエンス委員会で一番やるべきことだと思います。
以上です。
【宮園主査】 どうもありがとうございました。
今、有田委員からの御指摘もありましたので、こちらも事務局とまた相談しながら進めていきたいと思います。ありがとうございました。
そのほか、よろしいでしょうか。
それでは、時間の関係もありますので、本日の議論はここまでとさせていただきます。
続きまして、議題(2)、研究開発課題の評価についてに移ります。評価対象は3件になります。課題ごとに、まず事務局から説明をしてもらいまして、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。
まず、先端的バイオ創薬等基盤技術開発事業の事後評価結果の案について、事務局から説明をお願いいたします。
なお、金田委員と宮田委員におかれましては、この事業の利害関係者に当たりますので、私の許可を得て事実関係についてお答えいただく場合を除きまして、審議に関する御発言はお控えいただくよう、お願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、事務局、お願いいたします。
【中川原生命科学専門官】 ライフサイエンス課の中川原と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、「先端的バイオ創薬等基盤技術開発事業」の事後評価(案)につきまして、説明をさせていただきます。まず、2ページ目を御覧いただきますと、こちらに本事業の概要をまとめてございます。具体の中身は後ほどポンチ絵のほうで御覧いただきたいと思いますが、4ポツ目、予算の変遷というところで5年間の各年度の予算と総額をまとめてございます。大体、1年間13億から15億円程度の規模で本事業のほうを実施してきてございます。
続きまして、4ページ目を御覧いただきますと、先端バイオの事業概要をまとめてございます。まず、背景・課題のところを御覧いただきますと、バイオ医薬品は、世界の医薬品売上げ上位100品目のうち45品目を占めている中、日本発は僅か2品目であると。我が国の国際競争力を確保するためには、アカデミアの優れた技術シーズを用いて革新的な基盤技術を開発し、企業における創薬につなげていくことが必要と、こういった背景で本事業のほうを行っております。
どのようなスキームで行ってきたかということで、右側を御覧いただきますと、大型・複合型研究課題を5課題、個別要素型の研究課題が御覧の課題数、さらに、知財戦略等を推進する支援班と、こういった形で事業のほうを推進してございます。
対象のほうですけれども、左側、要素技術は、五つの柱が立ってございますが、御覧のとおりの対象としまして、要素技術の開発等を行ってきてございます。
少し飛びまして、7ページ目、事後評価票のところを御覧いただければと思います。1ページ目は、上位施策との関係等々をまとめてございます。
次のページ、8ページ目、こちらから評価結果ということでまとめてございます。(1)課題の達成状況というところで、マル1のところは先ほどポンチ絵で御覧いただきました事業の概要を入れております。マル2のところを御覧いただきますと、研究開発課題の進捗ということで、最終年度である本年度は、全26課題の研究開発課題を実施しております。内訳は、御覧の4ポツのとおりになっております。本事業のKPIとして設定した目標値ですけれども、この事業で開発しました基盤的な技術を企業導出する、研究開発課題の13課題以上を達成するということを目標に、5年間実施してございます。令和5年12月現在の実績としましては、13課題の企業導出を達成してございまして、目標値はしっかり達成されているという状況でございます。
次の9ページ目のところは、各課題別の企業導出件数等をまとめております。(2)から各観点の再評価ということで、必要性、有効性、効率性、三つの観点で評価結果をまとめております。
まず、必要性のところですけれども、評価項目としまして、科学的・技術的意義、社会的・経済的意義というような評価項目を立てております。こちらのバイオ医薬につきましては、政策的には第6期の「科学技術・イノベーション基本計画」や「健康・医療戦略」などで、新たなモダリティの創出等々に取り組むというようなことが書かれております。また、アカデミアにおいて民間企業では取り組むことが困難な不確実性というリスクに向き合った研究開発を推進していく必要があるということで、この事業に取り組んできていたところです。また、この事業を通じまして、独自の技術の育成が行われ、数多くの論文等が発表され、企業導出も行われてございます。
以上のような観点から、「本事業の「必要性」は高かったと評価できる。」ということでまとめております。
続きまして、有効性ですけれども、三つの評価項目を入れております。優れた基盤技術の企業への導出、新しい知の創出への貢献、人材の育成ということで、まず、企業への導出のところは、冒頭申し上げましたとおり目標の13課題を導出しており、その内訳としましては、表の下の1段落目に書いてありますが、抗体40件、核酸5件等々、こういった内訳で企業導出のほうが達成されております。また、新しい知の創出のところとしましては、特許の出願数、論文発表数を挙げておりますが、特許数につきましては99件、論文発表としては775件ということで、これらの数は、前身事業であります「革新的バイオ医薬品創出基盤技術開発事業」、こちらは26課題程度を実施してきた事業ですけれども、その実績を大きく上回る数となっております。
続いて、11ページ目のところに人材育成の記述を入れております。萌芽的な研究開発課題というものを採択しまして、次世代の基盤技術を創出できるような人材の裾野の拡大というものを行っております。また、支援班という仕組みを取り入れまして、安全性試験の早期実施の助言とか、技術の優位性を実証する研究対象の提案等を行いまして、企業導出を念頭に研究成果を社会に還元する取組の人材の育成に貢献したということでまとめております。
以下は、導出の内訳を少し詳しく書いたデータになっております。
それから、12ページ目を御覧いただきますと、表5のところには、経年別で、特許の出願数、論文発表数等をまとめてございます。また、大型・複合型研究課題、個別要素技術課題における具体の成果例ということで、三つほど挙げさせていただいております。一つ目は、アンチセンス核酸の毒性を低減させたといった成果を生み出したということで記載させていただいております。
13ページ目、最後のところですけれども、以上のところから、「本事業の「有効性」は高かったと評価できる。」という形でまとめさせていただいております。
続きまして、効率性のところですけれども、評価項目としましては、計画・実施体制の妥当性、目標・達成管理の向上方策の妥当性、こういった観点で評価項目を設けてございます。この表の下のところの記述を御覧いただきますと、本事業では、PS/POのリーダーシップの下、マイルストーン管理、知財戦略、導出戦略、こういった取組を行う支援班が設置されております。このPS/POと支援班が協力しまして、毎月、原則2回、PS/PO会議というものを開いておりまして、支援班から各研究開発課題の進捗が共有され、知財戦略、導出戦略等が検討され、問題がある場合には課題への指導・助言というものを行っております。また、支援班の取組としまして、6行目辺りに書いておりますが、研究開発課題ごとに最適な導出のタイミングを見極め、導出先の企業を探して交渉したと。こういったような取組を行ったほか、2行下ぐらいに書いておりますけれども、この支援班におきましては、基盤技術に関連する周辺特許や技術動向、こういったものを調査いたしまして報告書にまとめて、課題代表ですとかPS/PO等に周知したと。こういった取組も行っております。それから、14ページの最終段落のところには、事業間連携ということで、令和2年度から「難治性疾患実用化研究事業」といった他事業との連携によって共同研究も実施してきたという状況でございます。
以上の取組を踏まえまして、15ページ目にございますけれども、「本事業の「効率性」は高かったと評価できる。」ということでまとめております。
それから、(2)のところは、上位施策への貢献状況ということで、「科学技術・イノベーション基本計画」「健康・医療戦略」等々との関係でも、「目標の達成に大きく貢献した。」ということでまとめさせていただいております。
それから、中間評価の指摘事項でございますけれども、まず一つは、指摘事項のところに、全体の成果創出への貢献の観点から、PS/PO、研究開発課題実施者等、連携を引き続き意識することが重要だということと、産学連携やAMED事業内外の連携については、効率的な実施に留意すべきというような御指摘をいただいております。対応状況のところにつきましては、先ほど御説明させていただいたとおり、PS/POと支援班とが毎月会議を開催しているということと、それから、支援班の取組としまして、研究代表者と定期的に頻回に面談するといったようなところで事業内の共有・連携も行ってきてございます。他事業との連携等々におきましては、AMED-FLuXの取組を活用したり、あるいは、令和4年度と5年度につきましては、調整費を活用した橋渡し等の事業との連携、こういった形で指摘に対応しているところでございます。
(4)総合評価といたしまして、以上、必要性、有効性、効率性は高いと評価しておりまして、全体としても優れているという形でまとめさせていただいております。
それから、最後、(5)の今後の展望のところですけれども、こちらは、昨年8月に本委員会で事前評価をしていただきましたが、本事業、先端バイオの取組と成果を踏まえまして、構築した基盤技術をより強化すべく、「スマートバイオ創薬等研究支援事業」を開始する予定となっております。文科省におけるバイオ医薬品等に係る事業としましては、これで三つ目の事業となり、採択課題につきましては臨床試験まで移行させるというようなところで、今、進めようとしているところでございます。また、政策的な関連性のところでも、2段落目の4行目辺りに書いてありますが、新資本主義の2023におきまして、高機能バイオ医薬品の創薬を強化するというようなところが記されております。こういったものを踏まえまして、先端バイオの次期事業、スマートバイオ事業におきましては、モダリティ・要素技術の開発ですとか、疾患研究も絡めた技術開発、こういったものを取り組みまして、さらにステージアップを目指すというところになっております。それから、四つ目の段落のところですけれども、臨床試験への移行を目指すということで、早期からの企業連携を大きく求めるというような制度設計にもなってございます。最終段落におきましては、若手研究者枠というものも設定してございまして、若手研究者を育成して、バイオ医薬品の創出に向けた、さらなる推進ができればということで、次期の展望としてまとめさせていただいております。
以上、事務局からの説明です。
【宮園主査】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明内容につきまして、御質問やコメントがありましたら、お願いいたします。
いかがでしょうか。
大津先生、よろしくお願いいたします。
【大津委員】 ありがとうございました。一応、2点質問したいのですが、1点目は、抗体医薬が40件ということで、非常にすごいなと思ったんですけども、実際、これを医薬品として開発していくとなると、今の抗体医薬、企業がADC等を含めて物すごくたくさん開発しているので、一つでいろんな知財を組み合わせないと難しいのかなと思うのですが、その辺に関して、例えば、導出した後の、実際、開発された技術というのがどのように活用されていたのかということの評価があったのかということが1点と、もう1点は、最後に今後の展望でお話しされた、次期の事業では企業との連携というのが強く求められる、まさにそのとおりだと思うんですけれども、実際、この公募をする際にどういった形で条件付け等をされるのかということに関して、また、ベンチャーの資金獲得をどのようにサポートしていくかに関して、御教示いただけるとありがたく思います。
【宮園主査】 事務局、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
【中川原生命科学専門官】 導出法につきましては、基本的には各大学での知財部等で管理していただいているところになっております。導出後の評価につきましては、御承知のとおり、企業に出した後は実態を評価するところはなかなか難しい課題もございまして、今後、導出したものがさらに技術開発が進んでいくかというところは、次期の事業でもしっかり取り組んでいかなければいけないと考えております。ですので、二つ目の質問にも連携してきますけれども、企業との連携を求めますということで、一つ考えておりますのは、例えば、企業からの研究費を受けるとか、あるいは研究員を派遣いただくとか、そういったところが企業との連携の評価の観点になろうかと思いますが、そこは、事業がスタートしまして、具体的に制度設計を進められればと思っております。
また、ベンチャーへの支援ですけれども、次のスマートバイオにつきましても、支援班は同様に公募を行う形になっております。新たに、支援班の機能といたしましても、ベンチャーの設立を目指すような先生への設立支援というものも想定してございますので、そういった形で対応をできればというふうに考えてございます。
【大津委員】 ありがとうございました。
【宮園主査】 どうもありがとうございました。
そのほかにございますでしょうか。
宮田委員、どうぞ。
【宮田委員】 私、PSですけれども、ちょっと補足説明をよろしいでしょうか。
【宮園主査】 お願いいたします。
【宮田委員】 今の大津先生の御質問に対してですが、課題の担当の先生方は本当に一生懸命やってくれて情報開示していただけますが、導出先の企業さんから情報を取るのは大変難しいです。我々も導出したものがその後どうなっているのかというのは非常に気になっていまして、むしろそれがしっかりしないと実用化につながらないということで、次回のスマートバイオでは、導出という目標から、もうちょっと実践的なところに目標を書いたのもそんな理由です。ですので、先方の企業からの情報開示をもう少ししっかりと取れるような枠組みが実践的な展開をする上で本当に重要だなあということを感じました。
それから、2点目の企業ですが、今までは大手製薬企業に企業という形で出すことを主体としておりましたが、バイオ医薬品、総じてアーリーな段階が多いということで、なかなか難しい状況です。ですので、次回の企業というのは、例えば、VCさんであるとか、あるいは自らスタートアップをつくった企業、また、例えば核酸であれば、核酸の要素技術を必要としている既存のベンチャー、こういった、必ずしもいわゆる大手製薬企業ではない、様々なバイオ医薬品を取り巻く支援も含めた産業体全体を企業として、そういったところとのネットワークをどうやって深い掘りできるかというのがポイントになってくると思っております。
以上です。
【大津委員】 ありがとうございました。大変よく理解できました。宮田先生、ありがとうございました。
【宮園主査】 どうもありがとうございました。
金田先生、どうぞよろしくお願いします。
【金田委員】 私はPOですので、発言してもよろしいでしょうか。ちょっと、宮田先生のことに追加をさせていただきます。
【宮園主査】 じゃあ、金田先生、POですが、よろしくお願いいたします。
【金田委員】 大津先生が御指摘のように、抗体はすごく多いんです。これは東北大の先生がすごく頑張っておられるのですが、私どもとしては、その多くは診断薬として企業に導出されているということで、それは導出としてはいいのですけれども、そこがちょっと懸念になっておりました。ただ、その中で、つい2日前にAMEDからいただいた情報では、その抗体がCAR-Tに応用されて、それが治験に入っているということを聞きまして、そのような形で医療に応用されているという情報がありますので、臨床応用が進んでいるものもあるというふうに判断いただければと思っております。
以上です。
【宮園主査】 どうもありがとうございました。
【大津委員】 ありがとうございました。
【宮園主査】 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、どうもありがとうございました。先端的バイオ創薬等基盤技術開発事業の事後評価の案につきましては、本日の意見を踏まえまして、これで研究計画・評価分科会に図っていただくことになると思います。そちらのほうで決定されることとなると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
それでは、次に、新興・再興感染症研究基盤創生事業の中間評価結果の案につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
なお、大曲委員、岡田委員におかれましては、この事業の利害関係者に当たりますので、恐縮ですが、私の許可を得て事実関係についてお答えいただく場合を除いて、審議に関する御発言はお控えいただくよう、お願いいたします。
それでは、よろしくお願いいたします。
【横井研究振興戦略官付専門官】 ありがとうございます。新興・再興感染症研究基盤創生事業を担当しております、研究振興戦略官付でございます。当事業の中間評価結果(案)について、御説明いたします。資料2-2を御覧ください。
本事業は、ライフサイエンス分野研究開発プランの疾患基礎研究プログラムに位置づけられておりまして、「健康・医療戦略」等に基づき、研究開発を行っているところでございます。
6ページを御覧ください。本事業は、令和2年度から開始しまして、令和8年度までの事業の予定となっております。海外及び国内の感染症研究拠点等の研究基盤を強化・充実させるとともに、これらの拠点と国内外の大学・研究機関をつなぐ感染症研究ネットワークを展開し、我が国における新興・再興感染症制御に資するような基礎的研究の推進と研究活動を通じた人材育成の推進を目的としております。
まず初めに、事業内容及び進捗状況について、説明いたします。左上、海外拠点研究領域におきましては、海外に整備した研究拠点に国内の大学・研究機関等に所属する研究者が常駐いたしまして、現地の大学や研究機関等と協力して共同研究を実施しております。事業開始以降、12課題を採択し、海外に拠点を設け、現地のカウンターパートとの共同研究を実施しているところです。事業開始以降、コロナ禍におきましては、海外拠点の常駐研究者が一時的に日本に引揚げをすることを余儀なくされているときもございましたが、その場合におきましても、オンラインなども活用しつつ、拠点現地雇用の研究者や現地の共同研究者と密な連絡を取りながら、研究を推進してまいりました。
左下、長崎大学のBSL4拠点形成研究におきましては、長崎大学BSL4施設を中核とした研究基盤を整備しております。BSL4施設の活用のための人材育成や関連研究を実施しているところでございます。
次に、右上、海外拠点活用研究領域につきましては、海外研究拠点で得られる検体や臨床情報などを活用した研究を促進しています。これまで40課題を支援してきているところでございます。感染症の発生・流行のメカニズム解析、感染症制御の研究、複数拠点にまたがるような伝播様式の解析など、多岐にわたる研究において成果を上げています。
最後に、右下、多分野融合研究領域におきましては、生物学を中心としたような狭義の感染症研究にとどまらず、臨床医学、工学、計算科学、AIなど、多くの分野と融合した研究を目指す基礎的研究を推進しています。これまで65課題支援してきまして、幅広い感染症を対象とした基礎的研究と人材育成に貢献してまいりました。
続きまして、評価(案)について、御説明いたします。24ページをお願いいたします。
まず、必要性についてです。新興・再興感染症や国外において多数の患者が発生することが見られる感染症におきまして、現地でなくては得られない情報や検体へのアクセス、現地のカウンターパートと協力して研究することで得られる科学的成果及び国際的な交流や人材育成、これらは我が国における感染症対策においても必須であると考えます。特に各海外拠点は我が国の国際貢献において大きな財産となりつつあると、高く評価します。新たなパンデミックへの備えとして、平時にこそ、感染症基礎研究の継続と、海外研究拠点を活用した感染症関連情報の収集、各国の関係者との信頼性の構築、BSL4施設を用いた取組を実施することの意義は高く、国費を投じる意義は十分にあると評価できると、そのように考えております。
続きまして、有効性についてです。海外拠点研究領域においては、整備をしている各海外研究拠点が我が国の感染症研究にとって貴重な財産となっております。日本国内ではアクセスできない感染症の情報、検体、病原体等の解析結果や、現地のカウンターパートとの共同研究における成果、これらは我が国における感染症対策にも十分に貢献し得る、大きな意義を有するものと高く評価できます。BSL4拠点形成研究においては、長崎大学のBSL4施設を用いた研究や取組は国としても大変重要であり、着実な教育・訓練などを進めていることは評価できます。海外拠点活用研究領域及び多分野融合研究領域におきましては、次世代の感染症研究を担う研究者の育成、多分野の研究者との連携に基づく幅広い基礎研究を推進しておりまして、研究者の裾野を広げるという観点や、我が国の感染症研究の推進を考える上でも非常に意義が大きいと、そのように考えております。
最後に、効率性について、27ページを御覧ください。本事業では、日本国内の一研究施設における研究では得ることのできない質の高い研究成果が得られており、全領域の研究課題の研究目標は、現地における感染症の状況や研究のトレンドなどが適切に反映されています。これらは、PS/POの助言の下、AMEDのマネジメントにおいて適切な運営が行なわれていることと評価できると、そのように考えております。
以上によりまして、本事業の必要性、有効性、効率性、全てにおきましていずれも高く評価でき、本事業は継続すべきであると考えております。
加えて、本事業を継続するに当たり、さらなる成果の期待を込めまして、2点、指摘事項を付すことを考えております。29ページを御覧ください。
まず、1点目です。海外拠点研究領域は、本事業の主軸であり、ほかの研究領域の研究遂行の根幹にも関わるものとなっております。現在、11か所の海外拠点全てで12課題が整備されておりますが、本研究の研究期間、一部は令和6年度までとなっているものがございます。現在の体制に意義があることから、海外研究拠点の研究期間を、本事業の期間と同等となるよう、令和8年度まで延長すべきであると言い切っていただくことを記載しております。
2点目です。本事業では、各課題において質の高い研究成果が得られております。我が国として感染症研究をさらに推進するために、各領域を超えた研究課題間、また、AMEDのほかの事業などと連携を促進することにより、より効果的かつ革新的な研究を実施することはどうかと考えております。また、新型コロナウイルスのパンデミックなどもございまして、本事業は感染症有事における対応への貢献も期待されているものになっております。本事業は、そもそも研究者の自由な発想に基づいた基礎的な研究を行なうことを目的としているところではございますが、行政的に重要度の高い戦略的な研究においても、目的・目標を定めて実施することにより、さらに我が国の感染症研究に貢献できるのではないかと考えました。つきましては、本事業の目的である、幅広い基礎的研究と人材層の確保の推進にも資するような戦略的研究を実施するスキームを追加することを検討することを提案するということはいかがでしょうか。
そのような期待を込めまして、指摘事項を2点、提案させていただきました。
説明は、以上となります。どうぞよろしくお願いいたします。
【宮園主査】 どうもありがとうございました。
ただいまの説明内容について、皆様から御質問やコメントがありましたら、お願いいたします。
指摘事項の2点については、この委員会で何らかの、提言といいますか、助言といいますか、そういったことも必要であるということでしょうか。事務局から、お願いいたします。
【横井研究振興戦略官付専門官】 ありがとうございます。指摘事項、事務局としてはこの2点でいかがかと考えております。これに御賛同いただければ幸いでございます。
【宮園主査】 分かりました。
それでは、皆様から御意見をお聞きしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
いかがでしょうか。
それでは、有田委員、お願いいたします。
【有田委員】 遺伝研の有田です。最後の指摘事項は、有田も両方とも賛成で、ぜひそのとおりに進めていただければと思います。自分自身はDDBJをやっているので、自分の立場も開示した上で申し上げたいのですけれども、こういう感染症のデータというのは、データを残しておくことが非常に重要なんです。アーカイビングしておくことが非常に重要です。例えば、コレラが蔓延したときのヨーロッパのデータが今でもデータとして残っているから、感染症の研究者はオランダに留学してそれを学ぶみたいなことが今までも行なわれてきたわけです。それが新型コロナウイルスのときにも役に立って、感染症対策が取れる。ですから、この事業もぜひ、各国・海外に出ていって得たデータというのを保存して、誰もがアクセスできるような形で今後の役に立てるアーカイブをつくっていただけるよう、お願いしたいです。
以上です。
【宮園主査】 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、澤田委員、お願いいたします。
【澤田委員】 澤田でございます。私も、戦略的なスキームも含めまして両案ともに賛成ですが、先ほど有田先生が言われましたように、臨床のデータが非常に重要になってまいりますし、戦略を立てていく上で、どの国でどのような感染症が現在拡大しつつあるのかということを把握していくことも重要になってきますので、そういうことを研究しておられるチームと連携をして、戦略的なテーマをどのように設定していくかというのを同時に考えていっていただけるとありがたいと考えております。
【宮園主査】 どうもありがとうございます。
それでは、坂内委員、お願いいたします。
【坂内委員】 坂内でございます。今回採択されている研究を拝見しまして、いろんな国のいろんな研究で基礎的なところから疫学的なところまで大変広くて、すばらしいプロジェクトだと拝見いたしました。
そこで、興味がある点なのですが、これらの研究というのは現地でやるわけなので、多分、現地の法律に基づいてやっていらっしゃると思います。せっかくなので、現地の法律の下で研究がやりやすかったのか、やりにくかったのかとか、こういうところが日本よりもよかったというところをぜひ聞きたいところでございます。といいますのも、我が国、新型コロナウイルスが流行しまして、それから基礎研究とかの立ち上がりが大変遅かったという問題点がございました。なので、これからパンデミックになってすぐ対応していく上では、国内の制度、例えば大臣承認実験とか、その辺をスピードアップしていくとかいうことなんかの制度、もちろん研究の内容もなんですけれども、それを支える制度というのもつくっていく必要があるというふうに考えますので、海外の拠点にいらっしゃる先生方にはぜひ、よかった点、また、ここは変えてほしいという点なんかを我が国にフィードバックしていただければと思いました。
【宮園主査】 どうもありがとうございます。
事務局、現時点ではまだ、そういった海外のシステムといいますか、そういった制度の情報は、特にはないでしょうか。
【横井研究振興戦略官付専門官】 御意見いただき、ありがとうございます。申し訳ございません。今、こちらで御紹介できるような情報を持ち合わせてはいない状況ではございますが、政府の危機管理体制の強化も見据えまして、モニタリングを強化するということを現在行なっているところでございます。そうしまして、本年度、ネットワークコア拠点としまして、NCGM(国立国際医療研究センター)を採択したところでございます。このネットワークコア拠点、これから活躍いただきまして、各拠点をつなぐような取組であったり、各拠点の情報を収集するようなことであったり、これらをやっていただくことを考えております。この事業の取組は、国の危機管理体制を考えているような内閣危機管理統括庁などにも情報は提供していこうと考えておりますので、それらと協力しながら進めていければと考えております。
【宮園主査】 ありがとうございました。
もしよろしければ、大曲委員はネットワークコア拠点に参画しておられますが、何か情報を御存じでしょうか。もし御存じでしたら、お願いいたします。
【大曲委員】 先生、ありがとうございます。現状、各拠点の先生方に、御挨拶も兼ねてヒアリングをしているところであります。その中で、また、これからお付き合いをしていく中で、実際に政府機関との付き合いの仕方、研究の仕方、あるいは、検体の移譲とか、持ち出し、ほかの情報も含めてという形で、どうやってこられたのか、言い方を変えれば、どういうバリアがあったのかといったところを見ていくということになろうかと思います。非常に重要な点だと思います。そういう意味では、知見はこれから集積していくところであります。恐らくそれらの知見は、うまく共有されるべきだろうと、ほかの先生方と共有されるべきだろうと、私は思っています。それによって、外国で研究を行なうことがかなり促進されるだろうと思っています。それが1件あります。
ただ、これまでの聞き取りの中での感触を聞きますと、僕より大先輩の先生方でも、まずは、現地の研究者との関係づくりに、あるいは政府機関との関係づくりに非常に時間をかけていらっしゃる。その中で、いろいろと研究が推進できるようになった面も多々あると。一方で、特に検体関連はそうなんですが、研究者レベルでは片がつかないような問題もありますので、それらも明らかにしていって、その上で、解決すべきところは適切なところにお願いをしていくということも必要かと思っております。
以上です。
【宮園主査】 どうもありがとうございました。
どうぞ。
【釜井ライフサイエンス課長】 文科省の釜井からなんですけど、この事業に直接的に関連というわけではないのですが、国内の感染症研究も含めて、円滑にやっていく、迅速にやっていくという観点が重要だというふうにかねがね考えておりまして、文科省におきましても、生命倫理・安全対策室におきまして各種指針の運用のほうをやっているところでございます。当然、各省庁と連携しながらやっておりますけれども、指針の運用とか、そういったところも含めて、どういうことが研究の振興にとってより有意義なものになるかという点を不断に検討している最中でございますので、そこはしかるべきタイミングで、状況に変化があるようでしたら、御報告をできるようにしたいというふうに思っております。
【宮園主査】 どうもありがとうございました。
そのほか、ございますでしょうか。二つの指摘事項、要望がありましたけれども、これまでのところ、委員の皆様から特に反対の意見はなく、お二人の先生からはぜひ進めてほしいということでございましたので、この委員会としてもそのような形で進めていくということで、皆様、よろしいでしょうか。
特に御反対はありませんでしたら、そのようにさせていただきます。大変貴重な意見をいただきまして、ありがとうございました。この新興・再興感染症研究基盤創生事業の中間評価結果(案)につきましては、以上のことを取りまとめました上で、今後、本案を研究計画・評価分科会にお諮りして、決定することとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
なお、さらに御意見などがおありの場合は、後ほど時間を設けますので、その際にお願いいたします。
それでは、次に、ゲノム医療実現バイオバンク利活用プログラム(B-cure)の中間評価の案につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
なお、岡田委員、加藤委員、鎌谷委員、木下委員におかれましては、この事業の利害関係者に当たりますので、私の許可を得て事実関係についてお答えいただく場合を除いて、審議に関する御発言はお控えいただくよう、お願いいたします。よろしくお願いいたします。
【小野ゲノム研究企画調整官】 ありがとうございます。ライフサイエンス課でゲノムの担当をしております、小野と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、資料2-3を御覧いただければと思います。5ページを御覧ください。この事業は、ゲノム医療実現バイオバンク利活用プログラムということで、R3年度から実施しておりまして、今年、3年目の事業となります。概要を申し上げますと、我が国のバイオバンクを維持・発展させるとともに、日本人における疾患関連遺伝子の同定や多因子疾患の発症リスクの予測や個別化医療の実現を目指す研究開発を実施しているものになります。大きく分けると、四つの柱になっております。まずは、一般住民のコホート・バイオバンクである東北メディカル・メガバンク(ToMMo)計画、また、疾患を対象としたバイオバンクであるゲノム研究バイオバンク(BBJ)、これらも含めて複数のバイオバンクの連携をさせて利活用をするためのゲノム研究プラットフォーム利活用システムの開発、また、多因子疾患の発症や、重症化予測、予防法開発を目指して、疾患の解析や技術開発を促進する、GRIFINと呼ばれる公募型の研究開発の事業、さらに、バンクが保有する試料の解析を進めるゲノム・オミックス解析という、四つの柱になっております。
続きまして、中間評価票の案を御覧いただければと思います。この事業、3年目ということですけれども、この評価票の中では事業を順調に進めていただいているというふうに記載をしております。バイオバンクの運営・高度化はもちろんですし、多数の研究成果を出していただいているというふうに記載をしております。
また、この事業、立ち上げのときから大きく議論いただいているというふうに認識しておりますが、利活用というところが大きなポイントというふうになっていると考えております。利活用に関しても、ToMMo、BBJ、ともに、それぞれの試料やデータを使った論文というものがToMMoやBBJ以外の研究者の方たちからもたくさん出ておりますし、また、産学連携も進んでおりまして、産の支出で解析をするといったようなことも進んでいるというふうに認識しております。
また、先ほど少し御説明をしたのですけれども、ゲノム研究プラットフォーム利活用システムということで、バイオバンクの利活用を進めるために複数のバイオバンクが加入するネットワークを構築しまして、試料ですとかデータの有無を一元的に検索することができる、バイオバンク横断検索システムの運用も始めております。
こういった進捗があるところなんですけれども、今後の課題というところで、また、今後の方向性というところで記載させていただいているのですが、15ページを御覧いただければと思うのですけれども、データ・試料の利活用というのはさらに進めるべきではないかと。また、国費を使っているというところもありますので、バイオバンクの運営は効率的・効果的にやるべきではないかというのを、今、今後の方向性というところで記載をしております。
以上を踏まえまして、改めて必要性や有効性というものを再評価しております。必要性に関しましては、個別化医療の実現への期待というのは、当然、引き続きあるものというふうに思っておりますし、政府の戦略や計画といったところにもきちんと書き込まれております。また、先ほども御説明いたしましたが、多くの科学的成果も出されているというところで、必要性というのは引き続きあるのではないかというふうに、案を記載しております。
また、有効性という観点からも、次世代医療の実現に必要な人材育成、各プログラムで様々な取組をしていただいていますけれども、そういったものも進んでいますし、また、社会実装に向けた取組ということで、例えば、コホート参加者に対して遺伝情報や疾患リスクの情報を回付して、それによる影響といったものについて調査を行なうといった活動ですとか、研究成果を基にしたベンチャーの設立ですとか、実際に検診の項目に入れるといったようなことですとか、そういったことも進んでおりますので、有効性もあるというふうに、今、この案ではしております。
また、効率性の観点でも、AMEDにおきまして、PD、PS、POによる評価とか進捗の管理の体制が構築されておりますし、この事業の担当のPSの先生方に集まっていただいて、事業全体の方針ですとか、連携すべきことはないかとか、そういったものをB-cure連絡会という形で議論をしていただいて、それを上に反映するといったような形のこともしておりますので、効率性もあるというふうに記載させていただいております。
最後、20ページですけれども、以上を踏まえまして、この事業は継続すべきであると評価できるというふうに、今、案を書かせていただいております。ですが、指摘事項ということで、今、案を書かせていただいているんですけれども、バイオバンクの利活用というのはここでゴールではないと思いますので、引き続き、どんどん進めていってくださいと。また、効果的・効率的なバイオバンクの運営も必要であるといった指摘を今記載させていただいているところになります。
説明としては、以上です。
【宮園主査】 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明内容について、御質問やコメントがありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
いかがでしょうか。
それでは、有田委員、お願いいたします。
【有田委員】 遺伝研の有田です。自分もDDBJと日本人ゲノムのJGAもやっているので利害関係者なんですけども、ゲノムを使った医療というのは、今後、当たり前になることが確実視されていますし、継続は当然のこと賛成です。そして、指摘事項である利用が思うように進まないというのもそのとおりですので、ぜひ、今後、臨床のお医者さんがゲノムの情報を自由に使えるような形に進む方向で進めていただけたらと考えています。個人ゲノムが入ってくると、プライバシーとか、いろいろ問題は出てくるとは思うんですけれども、これは国民全員にうまくメリットを宣伝することによって必ず理解が得られることなんです。1人1人が自分のゲノムを理解するということは非常に重要で、クオリティー・オブ・ライフを上げることに必須の事項になりますので、それを踏まえた上で方向を決めていただきたく、お願いいたします。
【宮園主査】 どうもありがとうございます。
そのほか、御意見ございますでしょうか。
それでは、畠委員、お願いいたします。
【畠主査代理】 御説明、ありがとうございます。大変重要な事業でありまして、継続については、私も特に異論のあるところではございません。
それを前提としまして、1点、指摘事項について、基本的な御質問をしたいと思います。これ、基本的には「アカデミアの先生方のみならず、医療機関者や製薬・健康関連企業等、幅広い層」ということでありますが、どうしても、こういった情報の産業利用というところでいろんな抵抗感が、産業利用という観点からの抵抗感がある可能性があるというふうに思っております。そういう観点から、今回の事業において、産業利用における何らかのハードルが内在しているのかどうかという点、運用上で何か問題があるのかという辺りを御質問できればと思いますが、いかがでしょうか。
【宮園主査】 事務局、いかがでしょうか。
【小野ゲノム研究企画調整官】 ありがとうございます。産業利用によるハードルという観点からいたしますと、きちんとICを取って産業利用もできるという形になっているのであれば、すごく大きなハードルがあるかというと、現段階では大きくないのかなというふうには思っているのですけれども、申し訳ありません、もし畠委員のほうで懸念点等あれば、ぜひ御指摘いただければというふうに思います。
【畠主査代理】 ありがとうございます。我々もよく、ヒト細胞の産業利用等々の場合、アカデミアの間でいろんな議論がなされるところには、情報提供者、特に大きな問題はないとしていますけども、どうしても産業利用となると若干の懸念が生じやすいというのは一般論として私も思っておりますので、今回、この課題の改善に向けた指摘事項の中で記載する際に、内在するそういった、いわゆる産業利用上の問題があれば、少し伺っておきたかったと、そういう根拠でございます。
【小野ゲノム研究企画調整官】 ありがとうございます。そういう意味では、きちんと産業利用も想定したという形で事業設計をしていくのが重要かなというふうに思っております。ですので、当然、引き続き、そのようにしていきたいと思いますし、産業界の方にも使っていただきやすいようなバンクの運営とか構造といったものも重要かというふうに思っておりますので、そういった方向でぜひ進めていきたいというふうに思います。
【畠主査代理】 ありがとうございます。よく分かりました。
【宮園主査】 どうもありがとうございました。
有田委員、どうぞ。
【有田委員】 データの利活用に関しては、ファンディングエージェンシーが公開しなさいというふうに規制をかけないと、なかなか公開されないんです。研究者の人たちに、できれば公開してくださいというような立場では絶対に公開にならない。ですから、文科省がはっきり、文科省のお金が入ったものは、個人情報であれば制限公開、個人情報が入らないのであれば公開をしなさい、そうしないと支援しませんというふうに言い切っていただきたいです。
以上です。
【小野ゲノム研究企画調整官】 御指摘、ありがとうございます。今、B-cureの事業の中では、ゲノム・オミックス解析の事業は公募要領にはっきりと制限公開以上でやるようにというふうに記載をして、公募をして、実際、実施している事業になっております。そういった取組をどんどん広げていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【有田委員】 よろしくお願いします。
【宮園主査】 どうもありがとうございます。
そのほか、ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
どうもありがとうございます。特に追加でございませんでしたら、ゲノム医療実現バイオバンク利活用プログラム(B-cure)の中間評価の案につきましては、皆様の御意見を確認した上で、今後、本案を研究計画・評価分科会にお諮りして、決定していくという方向で進めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、最後の議題に移りたいと思います。議題は、ライフサイエンスデータベースの在り方についてです。まず、事務局から資料について説明いただきまして、その後、委員の皆様からの御意見をいただきたいと思います。
では、事務局から、よろしくお願いいたします。
【中川原生命科学専門官】 資料のほうは御覧いただいていますでしょうか。
それでは、ライフサイエンスデータベースの在り方についてということで、資料の説明をさせていただきます。
まず、1ページ目ですけれども、こちら、現在、JSTのほうで行なっております、ライフサイエンスデータベース統合推進事業の経緯を少し簡単にまとめてございます。今、JSTのほうで本事業を進めていただいておりますけど、その経緯といたしまして、平成21年に当時の総合科学技術会議のほうで記載の報告書がまとめられまして、統合データベースセンターの整備を行なうということが書かれてございます。その当時、データベースセンターに求められた機能ということで、点線で囲っているような、データベース統合に必要な調査ですとか、統合に必要な標準化等々、こういった取組を求めていたところです。もう一度、報告書のほうが平成25年にまとめられまして、総合科学技術会議ライフイノベーション戦略協議懇談会におきまして、引き続き、JSTのNBDCでこういった統合推進事業を継続するということが了承されているということで、現在に至っている状況でございます。
今回、ライフサイエンスデータベースの在り方について検討させていただく契機としまして、下の段落にまとめてございます。令和2年度のJSTにおける業務実績評価で「ライフサイエンスデータベース統合推進事業については、NBDC発足から10年を迎えたことから、ポータルサイト運用、データベース統合、基盤技術開発の各取組に関する今後の進め方について、これまでの成果や課題を踏まえて検討することを求めたい。」という評価がされているのと、本委員会で御議論いただいております今後のライフサイエンス研究の在り方についての御議論、それから、「バイオ戦略」の見直し等々、こういった政策的な動向も踏まえまして、ライフサイエンスデータベースの在り方について、今後の方向性を検討するという形で、契機をまとめてございます。
続きまして、JSTで行なっておりますNBDC事業における主な成果ということでまとめておりますのが、2ページ目、3ページ目になっております。大きく3本柱で事業のほうを展開してございまして、一つは、マル1、統合化推進プログラムということで、大学とか研究所のほうでデータベースを作成する際の作成経費等をファンディングするといったような事業を展開していただいております。そのファンディングによって現在運営されているデータベースの代表例をまとめたものが、真ん中の表になってございます。左側のPDBjから、ChIPP-Atlas等々、こういった日本を代表するデータベースの運営経費等々の支援に充てられているという形になっております。表におきましては、各データベースの概要ですとか、登録件数、利用状況等々、こういったものが一覧でまとめてございます。この表の下にも書いておりますけれども、例えばの事例といたしまして、PDBjを活用した例といたしまして、製薬会社が本データベースのタンパク質構造情報を用いて新型コロナウイルス感染症の新規経口治療薬の開発に至ったというようなところで成果例を記載しております。詳しい状況につきましては、参考資料のほうにデータのほうを入れさせていただいております。
それから、マル2の2本目の取組ですけれども、ポータルサイトの構築、各種データベースサービス提供というものがございます。こちらも、データベースカタログ、データベース横断検索、アーカイブ、RDFポータル、TogoVar、ヒトデータベースといった、各種のポータルサイトの構築、データベースのサービス提供のほうを行なっております。データベースカタログといたしましては、生命科学系のデータベースの概要ですとか、そのURL等々を一覧にまとめたもの、そして、そのカタログに掲載されているデータベースの一部を横断検索できるようなサービスというようなものも、本事業で展開をしているところでございます。
それから、3本目の柱といたしまして、データベース統合化のための各種基盤技術の開発を行なっております。まず一つ目は、データベース間のデータを統合化して、異なるデータベースから関連情報を検索できるような仕組みというもので技術開発を行なってきております。イメージといたしましては、この資料の真ん中に描いております、左側はデータベースごとのデータの状況を表しておりますが、RDFという登録データを記述する様式を活用することで、右側にあります各データベースのデータ間を整理・関連付けられるというような仕組みを取れる形になっております。こちらのRDFにつきましては、この資料の上から二つ目にございますとおり、関連データを検索するために共通化できるデータ形式ということで、国際標準化されているものでございます。そのため、フォーマットの共通化、データ統合に適しているというような特徴がございます。こういったものを活用して、各種データの関連付けの検索ができるような仕組みを取ってございます。それから、この基盤技術の開発といたしまして、幾つかのアプリケーションの開発も行なっております。一つの事例といたしまして、日本人ゲノムのバリアント情報を搭載いたしましたTogoVar、こういったものを開発してございます。こちらが、3本目の柱の主な取組となってございます。
こういった取組を10年以上展開してきたわけですけれども、二つ目、ライフサイエンスデータベースにおける課題ということで、現状を振り返ると次の課題があるんじゃないかということで、三つ挙げさせていただいております。こちらの課題を挙げるに当たりましては、データベースの関係の先生方といろいろ意見交換等をさせていただきまして、それらを取りまとめたものでございます。
まず一つ目が、データベースの安定的な維持・管理という課題です。こちらは、書いてございますとおり、JSTのNBDCではファンディングを行なっておりますけれども、そのファンディングが途絶えてしまいますと、せっかく国際的にも著名なデータベースが財源不足等の理由によって運営ができなくなる可能性がございます。こういったデータベースが安定的に運営できないと日本の国際的なプレゼンスの低下にもつながる可能性があるということで、この研究基盤を維持・管理できる体制・方策を築くのが必要だということで、課題に挙げさせていただいております。一方でということで、新しい分野のデータベースもいろいろ出てきておりますが、そちらにつきましては、研究コミュニティのニーズに応じて発展するものなので競争的な環境での支援が望ましいのではないかということで、課題に入れさせていただいています。
それから、二つ目、データベースの統合化ということで、先ほど主な成果の3本柱のところで御案内させていただきました、データを整理・統合するためのRDF化というものを推進してきておりますが、現在、これはまだ開発段階の途上にあるということで、幾つかの課題が存在してございます。特に、課題の大きなものといたしまして、複雑につながったデータを利用するためのインターフェースで、RDFデータはSPARQL言語というものを利用する必要があるということで、ライフサイエンス研究者の中には、なかなか活用しにくいというようなお声も伺っております。また、現在におきましてAI技術の発達もしておりますので、新たなデータベース統合検索技術を開発いたしまして、研究者の先生方がよりこの統合的なデータを活用できる仕組みを構築することが必要ではないかというようなことを考えてございます。また、今後のライフサイエンスの研究動向を考慮いたしますと、核酸、タンパク質、代謝等々、こういった各階層のデータを整理・関連付けて検索・解析できるツールというのが必要かというところで、課題の中に入れてございます。
それから、三つは人材育成のところです。こちらは、アカデミアにおけるキャリアパスの未確立や任期付雇用等によりまして、民間企業へ人材が流出している状況です。データベースの開発・維持・管理やキュレーションを担うような研究者の人材が不足しているということで、バイオインフォマティクス研究者の人材育成が必要だという形で、課題の三つ目に入れさせていただいています。
こうした課題を踏まえまして、今後の方向性といこうとでまとめておりますのが、5ページ目になります。一つ目は、統合化推進プログラムによるデータベースの継続的支援ということで記しております。先ほど課題のところで説明させていただいたとおり、このファンディングは非常に重要な役割を果たしているということで、継続的な支援が必要だという形で書かせていただいております。支援に当たりましては、データベースの種類、それから、ライフサイエンスにおける分野、開発段階、データベースには、萌芽期から、伸びていく時期、安定期といった時期があると思いますので、それぞれの段階に応じたファンディングというのが必要ではないかという形でまとめさせていただいています。
二つ目は、データベースの一元的管理ということで、特に、いわゆる一次データベースは、論文投稿時に必要となるデータを受理・登録等を行い、また、国際連携も取れており、データのアーカイブ機能を有するといった性質を持ってございますので、こういった一次データベースを継続的かつ安定的に維持・管理する、そういった体制が必須というふうに書いております。これを実施するために、運用コスト、人件費等の観点で、国によるデータベースの一元的管理や財政的支援の在り方をライフサイエンス基盤として検討することが必要ではないかということが二つ目です。
三つ目は、データベース高度化の基盤技術開発ということで、二つに分けてございます。一つは、検索インターフェースに係る技術開発ということで、先ほど、AI技術も発達しているというところで、AIを活用しましたデータベースの統合的検索技術を進めていく必要があるのではないかと。また、統合的な技術を改善しまして、その開発した技術ですとか、こんな研究に使えるんだというところを発信・普及していくというような取組も必要ではないかということで、マル1に入れてございます。
それから、マル2ですけれども、データベースを関連付けて検索するような仕組みにつきましては、データの形式のID・用語の統一化ですとか、メタデータ整備、データ形式の統一化などが必要だと。あと、AIを活用した検索技術を向上させるためには、AIが勉強する学習データの充実も必要だということで記載しております。この学習データ(知識グラフ)の充実化に当たりましては、人力だけではなく、論文情報から研究データの取得まで、自動化による知識グラフの充実というものも必要ではないかという形でまとめさせていただいています。
四つ目のバイオインフォマティクス人材の育成というところで、基本はライフサイエンス研究者をベースにし、このライフサイエンスの研究者がAIを含んだ情報科学系のデータ技術を活用できるような人材の育成というのが重要ではないかという形でまとめさせていただいております。
資料の後半はNBDCで行なっている事業のポンチ絵と、先ほど申し上げました統合化推進プログラムの成果例という形で入れさせていただいております。
本日は、こちらの3ポツの今後の方向性につきまして、こういった形で、今後、データベースの具体的な制度化に向けて進めてよろしいか、その方向性につきまして御審議をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
【宮園主査】 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明内容につきまして、御質問やコメントがありましたら、お願いいたします。よろしくお願いいたします。
いかがでしょうか。
それでは、木下委員、杉本委員の順でお願いいたします。
【木下委員】 御説明、ありがとうございました。総論としては、これまでの取組をまとめつつ、今後の方向性ということで、いいのかなあというふうに思いました。ただ、言葉とか、あるいは進め方の点で、コメントと御質問を幾つかさせてください。
まず、質問というか、コメントに近いのかな? 今後の方向性(案)の(2)のデータベースの一元的管理のところで「一元的管理」という言葉があるんですね。一次データベースをこれだけ明確に書いていただいて、そのサポートをしようという心意気の、その下の文章はとてもいいと思うんですけども、一元的管理というと、先ほど、ゲノムとか、タンパク質とか、代謝等、いろんな整合性を持って扱わないといけないデータにもかかわらず、それを一元的というのはちょっと矛盾しているような気がするので、例えば、「安定的な管理」とか、言葉をちょっと工夫されたらいいんじゃないかなあという、単なる「てにをは」が気になったレベルのお話がまず1点。
それと、(3)の統合データの充実化というところでこのことが書かれていることは全然いいと思うんですけれども、利活用ということは、先ほどB-cureの中間評価のところでもちらっとありましたが、利活用を進めていこうと思うときに、データの利用方針が明確に書かれてないことがあるんですね。その辺りもぜひ、ライフサイエンスデータベースとして、単なる基準というか、ルールというか、そういう慣習みたいなのことをうまく議論しながら制度化していただけるといいのかなと思います。具体的には、クリエイティブ・コモンズとか、国際的なライセンス基準がありますので、そのどれを適用するかということを必ず付与するようにとかいうことを何らかの制度化を伴ってやっていくようなことを後押ししていただけるといいんじゃないかなあというふうに思いました。
あと、人材育成に関して、課題のところの最後の文章は何だかなあというのを改めて思いました。というのは、10年前から人材育成が急務ということをずっと言い続けているんですね。それをまたこのタイミングで出すのか。急務なんですけども、そろそろ、どうにかする具体的な方策みたいなことまで踏み込んだ議論ができるといいなあと思っています。別に答えを持っているわけではないですけど、そろそろ、いいかげんに具体化しないと、急務、急務と言い続けて早15年ぐらいだと思いますから、そういう時代ですので、ぜひこの辺、書きぶりと具体化というのをしていただきたくて、気になりました。
それを踏まえて、最後にもう一言だけ。今後の方向性、総論としてはいいことが大分書かれていていいと思うんですけども、具体的にいつまでに何をやるのかということがちょっと欠けているなあというふうに思いました。そろそろ、机の上で議論しているだけじゃなく、具体的な、要するに誰がいつまでに何をやるんだということをロードマップに落とすレベルで議論を具体化していって、実装というところまで議論を煮詰めていただくといいんじゃないかなあというふうに思いながら聞いておりました。
以上です。
【宮園主査】 どうもありがとうございます。
事務局から、何かありますでしょうか。
【中川原生命科学専門官】 木下先生、いろいろとアドバイスいただきまして、ありがとうございます。「一元的管理」は、確かに少し誤解を招くような表現になっているかと思いますので、今、例えば、「安定的管理」という御提案がありましたが、そこにつきましては表現を検討させていただきたいと思います。
人材育成につきましては、全く先生の御指摘どおりでして、過去のいろいろな報告書を読んでも、ずっと人材育成は盛り込まれているところです。具体的にどういう形で人材を育成していくのかというところは、今後、しっかり詰めていかなければいけないと考えてございますので、こちらのほうも、具体的な方策につきましては、また検討をしまして、御相談をさせていただければと考えてございます。
最後のロードマップ的なところも必要じゃないかということは、全く御指摘のとおりだと思っておりまして、今回はこういった方向性をお示しするところまでまとめさせていただきましたけれども、今後、それぞれの項目で、何をどうやってやるのか、いつまでにやるのかというのは非常に重要な視点だと考えておりますので、そこは検討をしてまいりたいと考えております。
【釜井ライフサイエンス課長】 木下委員、ライフサイエンス課長の釜井でございます。一番最後に御指摘いただいた時間軸のところにつきましては、非常に重要な視点だと思うんですね。他方で、様々な関係者が非常に多いものでございますから、信頼感を得つつ前向き進めていくためには、一定の調整の時間というのは必要だと考えております。この委員会のほうでお諮りするのが適切かというのはありますけれども、時間軸を持って進めていくべきという点につきましては、文科省としても十分認識のほうを共有しているところでございますので、引き続き、よろしくお願いします。
【木下委員】 ありがとうございます。本当に釜井課長がおっしゃるとおりだと思っていて、その際、調整が必要なところは、調整が必要であるということを明確にすればいいんだと思うんですね。それをぼんやりと一緒くたに議論して、進んでいるような、進んでないようなところをこの5年10年やってしまっているような気がしますので、ぜひ、いつまでにということを明確にできるといいなあと思っております。
以上です。
【宮園主査】 どうもありがとうございます。
それでは、杉本委員、お願いいたします。
【杉本委員】 杉本です。先ほどの方向性と課題という点でコメントなんですけれども、私は文科省の「ナショナルバイオリソースプロジェクト」のほうも委員を務めておりまして、今、バイオリソースのほうも、40ぐらいですか、動いていますが、結構小さなコミュニティが多くて、せっかくゲノムのシーケンスなどをいろいろしても、それをデータベースとして、ほかの研究者が使えるような形で、国際的に見えるような形で公開するというところがうまくいってないバイオリソースが結構あるというふうに思っております。そういうところで必要なデータベースというのは、すごく高度なものではなくて、ゲノム情報をちゃんと公開できる、それがアップデートできるというシンプルなものだと思うんですけれども、それも小さいコミュニティでバイオリソースも少人数でやっていると全然追いついていないという状況ですので、ライフサイエンスDBの支援というのとバイオリソースのほうもうまく組み合わさって、ベースの支援ということでつながるといいかなと感じました。
以上です。
【宮園主査】 どうもありがとうございます。
それでは、続きまして、大津委員、お願いいたします。
【大津委員】 ありがとうございます。私は臨床側にいるので常々思っているんですが、このデータベース、悉皆性があるところでゼネラルに見ていくというのは非常に大事だと思うんですけれども、今、いろんな解析技術ですね。ゲノムだけではなくて、最近では、スペーシャルトランスクリプトームであるとか、プロテオームの解析も急速に進歩している。そういう中で、もう少し機動力と出口戦略、先ほど、B-cureでしたっけ? 利活用がなかなか進まないという話もされていましたけども、ある程度、出口戦略、創薬の話をやるのか、個別化の話をやるのか、あるいは予防をやるのか、それぞれによってデータベースのつくり方と検体の解析法というのも物すごい変わりますし、それから、解析技術がどんどん進歩しているので、古いデータを残す意味があるのかというのが、今、現実のところかなあと思っています。そこで特にキーになるのは、臨床のデータがどれだけしっかりしているかで、例えば製薬とか診断薬企業の反応というのは物すごい変わりますので、数を集めるのも大事ですけれども、出口を明確にして機動力のあるようなデータをいち早く日本の基礎研究者に提供できるようにしていくことがこれから非常に重要なのではないかと考えておりますので、ぜひ御検討いただけるとありがたく思います。
【宮園主査】 ありがとうございます。
事務局から、何かありますでしょうか。
【中川原生命科学専門官】 今、先生から頂戴した御指摘につきましては、今後の事業展開を検討する上で参考にさせていただきたいと思います。
【宮園主査】 どうもありがとうございます。
それでは、山本委員、お願いいたします。
【山本委員】 私は、バイオインフォマティクス人材の育成のところでちょっと意見を言わせていただこうと思います。今さら育成と言っているのかという御指摘もそうなんですけども、今は育成するだけでは全然駄目で、要は育成した後の待遇ですね。待遇の面で、今、アカデミック機関は、国内の企業、民間に完全に負けておりますし、同じアカデミック機関でも、アメリカにも完全に負けています。多分、中国にも負けていると思います。実際、実例として、これは統計家ですけれども、私の同僚だった非常に優れた統計家が現実にアメリカに出ていって、アメリカのアカデミックで教授として働いていますが、アメリカに行ったとたんに給料が2倍になったと言っていました。今、アメリカで家も買っています。
もう1人の例というのも、やはり非常に優秀な統計家ですが、独立しました。独立したとたんに、多分、独立して1年目ぐらいに、うちで働いていたときの給与を超えたというふうに聞いています。優秀な人ほど、民間からの誘い、海外からの誘い、それから、個人業種としてやっても十分にペイするというぐらいの、要は、別にアカデミックだけではなくて、働くところは幾らでもあるので、育成しただけでは全く駄目で、育成したら、いいほうから全部取られていくという状況がもう既に現実としてあるということを考えて動いていく必要があると思います。
以上でございます。
【宮園主査】 どうもありがとうございます。
事務局から、今の山本委員からのコメントに、何かありますでしょうか。日本のアカデミアの給料については、今、いろんなところで議論されているところでありますが。
【釜井ライフサイエンス課長】 ライフ課長の釜井ですけれども、山本先生、貴重な意見、ありがとうございました。人材のところにつきましては、この事業もございますけれど、全体として考えていく必要があるというふうに考えてございます。例えば、AIの人材の関係なんですけれども、昨今、例えば、GAFAとかの海外の雇用で言うと、最初からAIの人材というのはそれこそ物すごい待遇で海外のほうはやってきているということですね。量的に待遇面のほうで比肩するというのは日本のシステムではなかなか難しいんですけれども、昨年の政府全体の議論で言うと、そういうAIの関係の人材の待遇について少しでも上乗せすることによって、研究のほうの魅力と相まって引きつけられるんじゃないかみたいな議論も全体としてしていたというのもございますので、そういった意味では、今、高等局とも連携しながら検討のほうはしていきますが、人材育成に当たっての待遇面というのはしっかり検討の俎上に入れて考えていければというふうに考えております。
【山本委員】 アカデミアの中に囲い込むことだけを考えずに、それこそコンサルティンググループとして独立していただいた上で委託するとか。アメリカはそういうふうに統計家の専門集団が民間のコンサルティンググループをつくって、その上でNIHの研究に、専属じゃないですけど、優先してコンサルするみたいな、そういう人たちも出てきているみたいですので、バイオインフォマティクスの人たちを日本のアカデミアの中に取り込むということだけでは解決しないんじゃないかなという気もちょっとしていますので、幅広に考えていただければと思います。
【釜井ライフサイエンス課長】 山本先生、ありがとうございます。医療系の人材も含めまして、これからの人材の在り方につきましては、頭脳循環性のほうをしっかり考えていくというのは重要だと思います。今いただいた御指摘で産業界との連携というのも、私のほうも、ほかの省庁のほうからもそういうふうな話とかはされておりますので、そういったところについては前向きに検討のほうをしていければと思います。
【宮園主査】 どうもありがとうございます。
それでは、坂内委員、お願いいたします。
【坂内委員】 ありがとうございます。今回、このライフサイエンスデータベースを運営されているのは、JSTに設置されているナショナルバイオサイエンスデータベースセンターという理解でよろしいでしょうか。
【中川原生命科学専門官】 そのとおりです。
【坂内委員】 ありがとうございます。こちらのセンターというのは、どういう方たちがふだん運営していらっしゃるのですか。研究者が委託されてやっているのか、それとも専属の方がいらっしゃるのか。
【中川原生命科学専門官】 現在は専属のJSTの職員がいらっしゃいまして、あと、研究員の方も一部いらっしゃいますけども、専属の職員の方が中心になっています。
【坂内委員】 ありがとうございます。いろいろお話を伺っていて懸念していることは、日本の中で大変使われている、製薬会社が使っているとか、因子が発見されたとかいうのでいいと思うのですが、もう一方で懸念することは、国際的なデータベースとして、諸外国のものと相互利用可能というか、使いやすいものになっているかどうかというのをちょっと心配しております。というのも、ここにはないデータベースなんですけれども、今、バイオイメージングデータのデータベースをつくろうとしている人たちは、国際会議なんかで現在進行形で国際的に統一しようというようなことを考えながらデータベースをつくっているということです。ここにあるデータは割と配列情報とかが多いような気もするので大丈夫なのかもしれませんが、国際的な動向というのは常にこれを運営されている方が考えていかれるべきではないかなというふうに思いました。国内からの利活用だけでなく、もし国益に反さないのであれば、国外の方にも利用していただくほうが国際的なプレゼンスも上がるのではないかと思います。
【中川原生命科学専門官】 ありがとうございます。各国とのデータベースを介しての連携というのは非常に重要な視点だと思っておりまして、一つ、現在でも取り組んでいるものとしましては、RDFという形式を用いることで他国の大きなデータベースとの連携も取れてきているところでございます。今、先生から御指摘いただいた点はしっかり踏まえまして、今後の運営に活用させていただきたいと思います。ありがとうございます。
【宮園主査】 どうもありがとうございます。
そのほか、特に御意見がございませんでしたら、今日の議論はここまでとさせていただきます。
中川原専門官から、何かございますでしょうか。
【中川原生命科学専門官】 先生方、本当に貴重な御意見、ありがとうございました。先生方の御意見を踏まえまして、今後も、ライフサイエンスデータベースの在り方を、より発展的に、また、安定的にできるように努めてまいりたいと思いますので、引き続き、御指導等のほど、よろしくお願いいたします。
【宮園主査】 どうもありがとうございました。
本日予定しておりました議事は以上ですけれども、皆様方から追加で御意見・御質問がありましたら、よろしくお願いいたします。
よろしいでしょうか。ほかに御意見等ございませんでしたら、本日のライフサイエンス委員会については、ここまでとさせていただきます。
では、事務局から連絡事項をお願いいたします。
【廣瀨ライフサイエンス課課長補佐】 本日は、大変活発な御議論、誠にありがとうございました。議事録につきましては、事務局作成の案を委員の皆様にお諮りし、主査の御確認を経た後、弊省ホームページにて公開いたします。
次回のライフサイエンス委員会は、3月18日、月曜日、16時からを予定しております。
事務局からは、以上でございます。
【宮園主査】 どうもありがとうございました。
今日も皆様から非常に大変活発な御意見をいただきまして、ありがとうございました。この後、今日いただきました御意見を含めてまとめまして、今後のライフサイエンス委員会の活動にも反映させていただければと思っております。
それでは、これで今日のライフサイエンス委員会は閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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研究振興局ライフサイエンス課

(研究振興局ライフサイエンス課)

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