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宇宙開発利用部会(第85回) 議事録

1.日時

令和6年4月9日(火曜日) 13時00分〜15時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. X線分光撮像衛星(XRISM)の定常運用移行について
  2. 高感度太陽紫外線分光観測衛星(SOLAR-C)プロジェクト移行審査の結果について
  3. 宇宙戦略基金 実施方針(案)について

4.出席者

委員

部会長 村山 裕三
部会長代理 田中 明子
臨時委員 秋山 文野
臨時委員 笠原 次郎
臨時委員 金井 宣茂
臨時委員 木村 真一
臨時委員 芝井 広
臨時委員 白井 恭一
臨時委員 鈴木 健吾
臨時委員 鶴岡 路人
臨時委員 松岡 彩子
臨時委員 村松 加奈子
臨時委員 山崎 直子
臨時委員 山室 真澄
臨時委員 米澤 千夏

文部科学省

研究開発局長 千原 由幸
大臣官房審議官(研究開発局担当) 永井 雅規
研究開発局宇宙開発利用課企画官 竹上 直也
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 池田 宗太郎
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 木元 健一
研究開発局宇宙開発利用課 宇宙科学専門官 豆佐 哲治
研究開発局宇宙開発利用課課長補佐 橋本 郁也
研究開発局宇宙開発利用課宇宙利用推進室室長補佐 館下 博昭

(内閣府)
宇宙開発戦略推進事務局 参事官補佐 吉元 拓郎

(説明者)
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
理事/宇宙科学研究所所長 國中 均
宇宙科学研究所X線分光撮像衛星(XRISM)プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 渡辺 伸
宇宙科学研究所高感度太陽紫外線分光観測衛星プロジェクトチーム プロジェクトマネージャ 清水 敏文
宇宙科学研究所高感度太陽紫外線分光観測衛星プロジェクトチーム サブマネージャ 加藤 秀樹

5.議事録

【村山部会長】 それでは定刻になりましたので、第85回の宇宙開発利用部会を開催いたします。今回も前回同様、オンラインでの開催となっております。委員の皆様にはご多忙のところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。まずは事務局から本日の会議に関する事務連絡をお願いいたします。

【竹上企画官(事務局)】 事務局の宇宙開発利用課、企画官の竹上でございます。本日もよろしくお願いいたします。本日宇宙開発利用部会の16名の委員のうち14名に出席いただいております。次に、本日の資料ですが議事次第に記載の通りです。オンライン状況について、音声が繋がらない等の問題がございましたら、事務局へメールか電話等でご連絡ください。事務局からの連絡は以上でございます。

【村山部会長】 どうもありがとうございます。本日の議題は3件あります。前半は科学衛星関連の案件2件、後半は宇宙戦略基金に関する文部科学省の実施方針案についての議論です。
それでは早速議題の方に移りたいと思います。最初の議題はX線分光撮像衛星XRISMの定常運用移行についてです。昨年9月にH2ロケット47号機で小型月着陸実証機SLIMとともに打ち上げられたXRISMは、本年1月に初観測画像、いわゆるファーストライト画像を公開した後、初期機能確認運用を進め、2月に定常運用への移行を果たしております。本日はXRISMのこれまでの運用と今後期待される結果についてのご説明をいただきます。それではJAXA宇宙科学研究所の國中所長、渡辺プロジェクトマネージャ資料のご説明をお願いいたします。

【國中理事(JAXA)】 よろしくお願いします。15分説明、10分質疑と聞いておりますので時間厳守で説明させていただきます。プロジェクトマネージャの渡辺伸准教授から報告させます。

【渡辺プロジェクトマネージャ(JAXA)】 宇宙科学研究所、XRISMプロジェクトチームのプロジェクトマネージャをこの4月から務めております、渡辺です。よろしくお願いします。
では次のページお願いします。経緯を示しております。2023年9月7日にSLIMとの相乗りで打ち上げその後初期運用、初期機能確認を開始しました。それと、年明けて1月5日軟X線分光装置(Resolve)、軟X線撮像装置(Xtend)のファーストライト画像を公開しました。それから2月8日に初期機能確認運用を完了して定常運用に移行しました。その中で目標を上回る分光性能を達成しました。初期性能検証を受けて世界中の研究者からの観測提案に基づく観測を開始します。
次お願いします。ここではXRISM衛星の概要を示しております。2台のX線望遠鏡XMAが先端の方にあり5.6mの焦点の上にX線分光装置Resolveと軟X線撮像装置Xtendを配置しています。5.6mの焦点距離が必要なためこのように長尺の衛星となっております。
次のページをお願いします。軟X線分光装置Resolveですけども、マイクロカロリメータという原理の検出器になります。X線光子一つ一つ、1個1個のエネルギーを素子の温度上昇として高精度に測定するものになります。そのためにマイナス273.1°C、温度で50ミリケルビンに冷却して分解能の分布を実現します。日米欧の共同開発で日本側はデュワと多段の冷凍機、オンボードデータ処理、それから全体インテグレーションを担当しております。
次お願いします。もう一つの装置は軟X線撮像装置Xtendですが、こちらはX線のCCDカメラで純国産となっております。X線望遠鏡としては史上最大の38分角四方、満月が収まる視野を一度に観測可能という特徴を持ちます。
次お願いします。9月7日に打ち上げを行いました。その後初期運用を実施しております。この写真は打ち上げ日の太陽電池パドル展開時の宇宙研相模原の管制室の様子になります。衛星システムメーカー、運用業者、JAXAメンバーもXRISMプロジェクトメンバーだけでなくて他部署からの応援メンバーも含めて初期運用を実施してきました。9月7日の打ち上げから約1ヶ月間、バス系の初期機能確認運用を実施しております。実施した項目はここにリストした通りですけども、特にASTRO-Hから設計変更したところは念入りに確認を実施して運用を行ってまいりました。
次のページをお願いします。このスライドではXRISMのASTRO-Hからの変更点をまとめております。ハードウェアではスタートラッカSTTの台数を増やしてSTTによる姿勢更新を確実にかけるようにしております。それから視野の広い太陽センサーを採用して、姿勢異常判定に使用するという変更も行っております。設計面では故障検知・分離・再構成機能、FDIRと呼んでいますが、これの強化を行っております。スラスター噴射の際の異常を検知したら噴射を止める機能というのを付加しております。また姿勢制御系だけではなくて、衛星システムレベルでも日照時の発生電力をモニターして、姿勢異常を検知するという機能も付加しております。運用面ではまず各種センサー、特にSTTですけども、まずはこれらのセンサーの機能性能を確認した後、動作モードを変更し、FDIRを有効にするという手順を徹底して運用してきました。また衛星シミュレータを導入して運用手順の検証訓練に使用してきました。打ち上げのクリティカル運用に関しては衛星シミュレータを用いて、何度もリハーサルを実施して本番に臨むという体制で行っております。それから衛星初期機能確認運用の計画は打ち上げ前に事前に策定して検証項目を網羅的に抜け漏れないようにして実際の運用に臨んでおります。また衛星自動監視システムというのを新たに導入して、異常を見落とさない仕組みを構築してきております。
次お願いします。1ヶ月のバス系の機能確認後、ミッション機器衛星システム全体の機能性能確認を実施しております。Resolveですけども、検出部をマイナス273.1度、50ミリケルビンに冷却してX線を検出できるような状態にしております。この50ミリケルビンですけども、宇宙空間で人類が作り出した最も低い温度になります。この安定した冷却性能もあって、5eVよりも優れた分光性能を出しています。左の図はキャリブレーションソースのスペクトルになります。要求性能は7eVの分解能のところ、それを上回る5eVよりもより良い分光性能を確認しております。Xtendに関しては動作を確認させ、これも冷凍機で前の110°Cに冷却して、X線を検出できるパラメータ設定を実施しております。地上で試験していたときと変わらない性能を確認して健全性を確認しております。それから中心軸較正、指向精度評価に関してはまず観測天体が検出器の中央に入るようにアライメント調整を行いました。その後指向の精度の評価を行っております。高精度の姿勢制御、それから姿勢決定プロセス、それから低熱歪の構造設計のおかげで、要求指向精度を達成しております。これはASTRO-Hの頃から宇宙研で、理工一体で進めてきた熱歪やアライメントに関する研究開発の成果と言えると考えています。それから加えて時刻精度の検証もX線パルサー(天体)を用いて実施し要求精度1ミリ秒よりもより良い時刻決定精度を確認しています。
なお1月5日のファーストライトの際にも報告したのですけれども、Resolveの保護膜については所定の運用を実施したのですが開けられておりません。現在も開いてない状態なのですが、これからお見せするように画期的な観測データが取得できているということで、開放の運用のやり方の検討を継続しつつも、まずは観測運用を行うこととしております。
次お願いします。ここではResolveの保護膜について補足説明しております。X線望遠鏡と検出器の間、ResolveのX線入射部にこの保護膜があって、250ミクロン厚のベリリウム膜となっています。1.8keV以上のX線であれば透過することも可能ですけども、それ以下のエネルギーでは遮られてしまうということになっております。本来は打ち上げ後開放して0.39keVまで観測帯域を広げる設計でしたが、その開放が現在のところ行われていないという状況です。
次お願いします。ファーストライトです。1月5日にファーストライトとしてXtendによるX線イメージ、左のものとResolveによるX線スペクトル、右のものを公開しております。
次お願いします。これらのファーストライトの概要については、ここに示してある通りです。X線イメージに関しては銀河団のAbell2319のデータになります。それから、X線スペクトルの方は超新星残骸N132Dになるということになります。
次お願いします。XRISMの観測機器の特徴を再度提示します。Resolve・Xtendどちらも撮像して同時に分光できるものですけども、Xtendは満月を収める広い視野。それからResolveはかつてない分光性能の6keVのエネルギーに対して5eVというエネルギー分解能を特徴に持ちます。
次お願いします。ファーストライト天体の一つ目、Abell2319ですけどこれは銀河団の中でも衝突銀河団と呼ばれる天体になります。ダークマターの重力によって銀河団の衝突合体が広がるその現場をX線だと観測できるというものになります。こういうことで銀河団はX線観測の重要な研究テーマの一つになっております。
次お願いします。これを、衝突銀河団を観測中心軸確認運用において観測してこのようなイメージを撮ることができています。Xtendの広い視野で衝突銀河団の外縁部まで構造を明確に捉えることができております。
次お願いします。ファーストライト天体の二つ目というのは星の最後の超新星爆発の残骸になります。これを見ることで宇宙の化学的進化、宇宙の元素はどうやって作られてきたのかということに迫ろうというのが研究テーマになります。
次お願いします。Resolveで撮ったN132DのX線スペクトルをここに示します。併せて先代の「すざく」衛星のスペクトルをあわせて示しております。「すざく」衛星に限らずこれまでの超新星残骸のX線観測ではこの程度のエネルギー分解能が限界だったのですけれども、Resolveではこのように圧倒的なエネルギー分解能を得て、元素の種類、量、温度、速度に対する圧倒的な感度を出せることを確認しております。
次お願いします。また3月4日にはファーストライト以降の初期科学観測データの例を公開しております。これはResolveで取得したペルセウス座銀河団のX線スペクトルになります。これはASTRO-H、ひとみ衛星でもこのペルセウス座銀河団を試験観測しておりますけども、XRISMでもResolveにより精細なスペクトル観測データを得ることができております。
次お願いします。これはXtendで取得した超新星残骸SN1006のX線イメージになります西暦1006年、平安時代もちょうど藤原道長とか紫式部が活躍する時代に爆発した超新星の残骸で、約1,000年かけて見かけ上満月とほぼ同じ大きさになっている天体になります。Xtendの広い視野とイメージング能力を示したものとして今回公開しております。
次お願いします。このスライドではXRISMのミッション目標をまとめております。銀河団、超新星残骸、上の二つのところは今日これまで紹介してきた通りになります。三つ目時空の果て、コンパクト天体、ブラックホールや中性子星のことですけれども周りのプラズマ構造については今日あまり触れておりませんが、これまでのところで驚くべき観測結果も得られており、今後に期待していただきたいなと思っております。四つ目のところは、マイクロカロリメータという画期的な装置で新しい観測手法で観測して世界の天文台と協調して宇宙物理を進めるという目標を掲げております。XRISMの特徴である広視野と輝線感度で様々な宇宙の謎に挑んでいきます。
次お願いします。今後になります。現在初期運用完了して、初期運用段階のうち初期性能確認観測を実施中になります。これはXRISMの特徴を生かして約50の天体を観測しております。日米欧200人余りの、打ち上げ前からの検討に参加する研究者が実施して、観測の解析等を実施しております。その後8月ぐらいから観測提案に基づくゲスト観測を実施していきます。観測提案の公募は先週4月4日にJAXA・NASA・ESAで締め切られて、現在それぞれ選考のプロセスに入っているところです。定常運用段階としては打ち上げ後3年でその後、後期運用段階に移行していく予定となっております。
次お願いします。ここには参加機関をまとめております。以上になります。

【村山部会長】 どうも、ありがとうございました。本件は報告事項ですけれども、ただいまの説明についてご意見ご質問がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。まず芝井委員、お手が挙がっております。お願いします。

【芝井委員】 芝井です。XRISMについて今のご報告に触れられなかったことにコメントさせていただきたいと思います。このResolve、マイクロカロリメータは元々2000年に打ち上げられたASTRO-Eの主力装置として日本とアメリカの共同で開発されたものであったのですが、これはX線望遠鏡とその焦点のセンサーを先ほど発表ありましたように極低温、絶対零度に冷却する装置でした。この冷却を日本が担当したわけです。宇宙の遠方を研究するためにはこういうセンサーの極低温冷却って極めて重要で、この技術は日本が最先端を走っていたわけです。ただ2000年の2月の打ち上げはM5ロケットの打ち上げが不成功だったので、それで終わったということです。
次に2006年にもう1回再挑戦ということで、ASTRO-E2が打ち上げられたのですが、今度はこの冷却システム自身の問題でやっぱり不成功になりました。2016年にはもう一度3本目のトライとして、ASTRO-Hの主力装置として打ち上げたのですが今度衛星運用のミスで、もうご記憶の方も多いと思いますが不成功になりました。実はXRISMにこの装置を積んだのは実は4回目の挑戦になるわけですね。例えば報告の16ページを見ていただくと、結局この装置は宇宙に存在する元素をプラズマ診断と呼んでいるような手法で、どんな元素がどんな状態でどんな電離状態でどの程度の量になっているかを克明に測定できるわけで、宇宙の研究にとってどれぐらい価値があるかを想像していただけると思います。この24年の間も学術的な価値の重要性がますます高くなって研究の進展には不可欠の装置であるということが、国際的にもずっと認識されていたわけで、4度も挑戦したわけです、アメリカも日本も。このように世代を超えて研究者はもちろん、その研究機関も一丸となっていわばこのレガシーを引き継いできたと思います。私は直接の当事者ではなくて傍でウォッチしていたわけですが、日本の極低温技術の価値を認めて継続してきたJAXA宇宙科学研究所の見識とご判断に大変敬意を表したいと思います。
このことは日本の宇宙開発の大方針を考える際にも、手本の一つとなると思います。これからの参考になると思います。当事者ではないですが、大変嬉しく思っております。どうもありがとうございました。以上です。

【村山部会長】 はい、貴重なコメントどうもありがとうございます。歴史的な経緯を含めて追加的にご説明いただきました。他はいかがでしょうか。それではありがとうございました。それでは次の説明に移りたいと思います。どうもありがとうございました。
二つ目の議題ですけれども高感度太陽紫外線分光観測衛星SOLAR-Cプロジェクト移行審査の結果についてです。1980年代から続く日本の太陽観測の実績を受け継ぎ、次世代の太陽観測を担う衛星として、SOLAR-CがJAXAにおいて新たにプロジェクト化される予定です。本日はJAXAが実施したSOLAR-Cのプロジェクト移行審査の結果についてご報告をいただき、本部会でその内容を確認したいと思います。それでは再びJAXA宇宙科学研究所の國中所長、SOLAR-Cプロジェクトの清水プロジェクトマネージャ、資料の説明をお願いいたします。

【國中理事(JAXA)】 SOLAR-Cは3月1日にプロジェクト化をしました。そこまでの事情をプロジェクトマネージャの清水教授からご紹介させていただきます。清水さんお願いします。

【清水プロジェクトマネージャ(JAXA)】 それでは清水よりSOLAR-Cプロジェクト移行審査の結果についてご報告いたします。次のページをお願いします。次のページは本資料の位置づけとなっております。次のページをお願いします。次のページは目次となります。次のページお願いします。
まず研究背景ですけれども、ご存知のように私達にとって最も身近な天体が太陽です。地球の生命を育む母なる存在でもあります。一方で太陽表面では太陽フレアと呼ばれる爆発現象が頻繁に起きておりまして、これは私達の生活に大きな悪影響を及ぼす可能性があるということで、新聞等にも度々取り上げられる存在となっております。また今朝北米で皆既日食がありましたが、皆既日食ではあの外層大気コロナが観測されますが、このコロナは100万度以上の超高温に加熱された状態で、そこから太陽風と呼ばれる超音速のガスが流出しているというものです。すなわち私達地球はそのコロナからの太陽風を受けながら存在しているということで、私達の生活に密接に関わっている天体であります。一方でなぜこのような現象が起こるかということについては未だ解明できていないということがあります。
次のページお願いします。それからさらにタイムスケールを広めに見てあげると、太陽の表面での活動現象は約11年で変化しておりまして、それに伴ってフレア、オーロラの発生も変動しているということが知られています。一方で1650年頃から50年ほど観測されたことがあるのですけれども、その一見不変な存在だと思われている太陽が私達の理解からは想像し得ないような変動も起こすということがわかっています。1650年頃の現象は地球の気候との関連性も指摘されているというものになっております。ということで太陽の活動のメカニズムを知るということができると、現在の生活に役立つだけではなくて、過去の太陽の姿を知って、また将来の太陽はどうなるかという予測もすることができるということが期待されるわけです。
次のページをお願いします。日本は今まで「ひのとり」「ようこう」「ひので」という太陽観測衛星を実現してきておりまして、これらの三つの太陽観測衛星によって発展・進展した太陽大気、フレアの理解に基づいて今回のSOLAR-Cのミッションが定義されております。
次のページをお願いします。それから世界における位置づけですけども、まず一つ目、高分解能太陽観測というものにおいて、2020年代に推進すべき太陽プラズマ研究は高い分解能の観測であるということが世界の研究者の検討によって報告書が宇宙機関に提出されております。その中で優先度が高い観測装置として3種類示されておりますが、そのうちの最も重要度が高い高解像度コロナ、遷移層分光装置をJAXAとして実現しようということとなっております。それからそれ以外の装置については、NASAの衛星それからアメリカのハワイの山の上に作られた4メーターの望遠鏡で対応するということで、この三つの観測装置群が戦略的に観測連携をして進めていくというような流れとなっております。
次のページお願いします。それから太陽と太陽圏の関係ですけども、近年Parker Solar Probe、Bepi-Colombo/Mio、それからソーラーオービターと呼ばれる探査機が、水星軌道より太陽側の領域を探査するというような時代に入ってきました。このような太陽圏の探査と、太陽表面を直接的に結びつけることができる情報というのがSOLAR-Cで提供できるというふうに考えられておりまして、期待が高まっているという状況です。
次のページをお願いします。次の太陽観測衛星SOLAR-Cですけども、私達の暮らしに密接に関わる太陽を理解するために、これまでにない高性能の観測を実現しようと。ミッションの目指すものですけども、太陽大気やフレアがどのように生じるか理解を深めて、太陽が地球や太陽系に及ぼす影響を解明することを進めます。それによって太陽系や生命の起源にも迫ることができるというふうに考えられているわけです。それから、日本は宇宙望遠鏡による高い分解能の太陽観測の実現実績において強みを持ちますが、その日本が主導する形でアメリカ・ヨーロッパの国際協力を得る形で世界初になる性能を持つ紫外線の望遠鏡を実現させるというミッションとなります。期待されるアウトカムとしては、SOLAR-Cによって太陽の理解が進むことで、宇宙天気予報の高度化や物理学の知識拡大にも貢献します。さらには過去、将来の太陽活動の推測において、例えば生命誕生当時の太陽地球環境の理解も可能になってくるという期待がございます。
次のページをお願いします。次のページにはミッションの目的・意義が書いてありますが、宇宙にいかに高温プラズマが作られて、太陽がいかに地球や惑星に影響を及ぼしているかを探求するミッションです。今までの研究は「ひので」等の観測によって、太陽のプラズマ大気は定常的な成分と突発的な成分から成っていると。それから太陽表面における上空の大気に対するエネルギーの入力の様子がわかってきました。フレアに代表されるエネルギーの解放の振る舞いも明らかになってきました。一方で、その振る舞いが起きる仕組み、その背景にある基礎物理過程は残念ながらまだ謎のままになっていて、ブラックボックスの状態で扱われているというのが現状となっています。
次のページをお願いします。そこでSOLAR-Cはブラックボックスの物理過程の理解を進めたいということで、その理解のためにはエネルギーが注入されて散逸する間でエネルギーや物質がどのように輸送されて、さらにはその散逸の現場で物理量の変化が診断できる観測というものを行います。これがここに掲げた目標1、目標2のテーマを追求する上で極めて大事であると考えられているわけです。
次のページをお願いします。SOLAR-Cでは、今お話した科学課題1個目、太陽大気の形成の過程、それから科学課題二つ目、太陽フレアの発生のメカニズムを解き明かそうとしますが、これは宇宙天気予報に貢献しますし、また、太陽の大気で起きる基礎物理過程の理解を進めるということは、物理学の知識拡大にも貢献するということになります。それから現在の太陽を理解するということがSOLAR-Cの目的ですけども、その応用としては過去の太陽や太陽・地球環境の理解ということにも貢献することができます。40億年ほど前に生命が地球で誕生しましたが、その頃の太陽は今より70%の明るさしかなかったと言われています。そこでいかに太陽、生命が発生したかということは非常に大事なテーマであります。一方将来の太陽についても大事で、長期変動的に太陽の活動がどう起きているか。それから極端的な巨大フレアが起きるかどうかというようなことは、今後の宇宙開発のリスク等にも関係する話題で、極めて重要な話題となります。
次のページをお願いします。次のページからは今説明したアウトカムが1ページごとに書かれております。高温プラズマが満たされた宇宙の生成。次のページをお願いします。次は地球や惑星にどう影響しているかというアウトカムです。それから次のページをお願いします。次のページは、40億年前に地球にどう生命が誕生したかということが説明されております。
次のページをお願いします。次のページには、SOLAR-Cから得られるアウトカムというものが五つ説明してあります。最初の四つについては今ご説明したサイエンスに関するアウトカムとなります。それから五つ目は工学的なアウトカムとなります。
次のページお願いします。次のページにはSOLAR-Cが設定した成功基準、それぞれ科学目標1、次のページには科学目標2が説明されております。次のページお願いします。この設定した科学目標ですけども、SOLAR-Cのプロジェクトは、これまでにない高い性能の観測を実現するSOLAR-C衛星を軌道に実現させて、観測データを宇宙科学の研究コミュニティに提供するということをミッションとしております。プロジェクトの成功評価については、成功基準において定義された質・量を有する科学データを取得する観測、それからデータ公開を持ってアウトプットの目標を設定して行うということで、前ページの成功基準はアウトプットの目標で設定しています。一方アウトカムについては、研究コミュニティで探求されて成果が生まれてくるということで、これをアウトカムとして評価をします。アウトカムの評価については論文を出して、世界のコミュニティで吟味されるためには5年10年のタイムスケールがかかるのですけれども、打ち上げ後2年4ヶ月でシーズが出てくると期待されておりまして、これを考慮いたしましてミッション終了審査時に評価できる指標としてショートタイムタームのアウトカム目標ということも明示させていただいております。
次のページをお願いします。次のページからはSOLAR-Cの概要です。まず衛星システムですが、衛星システム企業が開発する衛星バスに観測装置サブシステムEUVSTを搭載します。このEUVSTは日本が開発する望遠鏡ですが、そこにアメリカ・ヨーロッパの機関が提供するハードウェアを搭載して、それから海外機関についてはミッションデータ受信支援等でも参加いたす予定です。SOLAR-Cは太陽同期極軌道に投入されまして、投入はイプシロンSロケットを使用いたします。ミッション期間は2年4ヶ月を予定しております。
次のページをお願いします。この用いる衛星バスですけども、「ひさき」で開発された小型科学衛星標準衛星バスをベースとしまして、SOLAR-Cが必要とする性能を持つ衛星バスとして開発いたします。SOLAR-Cで獲得される新しい技術、開発体制、それから蓄積されてきている小型衛星技術についてはさらにその先の将来計画に応用されるということになります。したがいまして、SOLAR-Cに続く2030年代の各種ミッションを高性能な小型衛星で実現して科学成果を創出していくということは、SOLAR-Cのアウトカム目標の5番目として設定されているものとなります。
次のページお願いします。観測装置サブシステムEUV分光望遠鏡・EUVSTですが、これはミッションの科学目標達成に有効である三つの能力を同時に実現する、世界で初めて実現させる観測を実現するというものです。一つ目は温度範囲が3桁以上にわたる広い範囲をシームレスにカバーする性能。それから高い分解能、高い時間分解能を実現させる。そういう状況のもとで物理量を診断する能力を持つというものであります。
次のページをお願いします。特に高い空間分解能については、「ひので」で太陽の表面付近を詳しく観測するということを日本で実現しましたが、その性能を上空に広がるコロナまで広く展開させるということが、SOLAR-Cで初めて実現できることになります。コロナで起きる太陽フレア等、コロナの加熱等について理解が進むと期待されます。
次にお願いします。次は実施体制ですが、宇宙科学研究所にSOLAR-Cプロジェクトを設置いたしました。SOLAR-Cのプロジェクトチームは、観測装置の開発としては国立天文台、それから国際的な協力機関との間で協力をして作り上げます。メーカーにつきましては衛星システムの開発は日本電気、望遠鏡の開発は三菱電機と契約をいたして開発をしていくということになっております。それから得られたデータについては、サイエンスセンターを名古屋大学との協力で運営して、コミュニティに提供していくという計画となっております。次のページをお願いします。
次のページには資金計画およびスケジュールが記載されております。打ち上げは2028年度を予定しています。それから次のページをお願いします。リスク識別ですけども、リスクの管理計画に基づいてリスクを識別してきておりまして、今主要なリスクとしては現在開発中のイプシロンSロケットとのインタフェ-スに関してリスクを挙げています。それについて露見しないように処置状況を対応してきているというようなこととなっております。
最後のスライドですけども、プロジェクト移行審査のまとめとして、2月にプロジェクト実行フェーズの移行可否について確認いたしました。それからこの審査に先立ちまして、国民に向けたプロジェクトの意義価値の説明について、外部評価委員からの評価も受けまして、その内容も反映させていただいたということとなっております。審査項目としてはお見せしたようなリストになっておりまして、この内容の審査をした結果、プロジェクト実行段階への移行は妥当と判断いたしております。以上となります。

【村山部会長】 どうもありがとうございます。この案件は審議事項となりますが、ただいまのご説明についてご意見ご質問がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。鈴木委員お願いいたします。

【鈴木委員】 鈴木でございます。先のご報告と合わせて、宇宙の真理に迫れるような素晴らしい内容で、すごい感銘を受けています。XRISMの皆様においては、まさにすごい宇宙の真理に、到達できるような鉄に関連する計測ができるということで、分光装置や撮像装置に工夫があることが理解できました。今回のSOLAR-Cに関して望遠鏡については三菱電機さんが一定取りまとめられていると思うのですけれども、そういう計測装置における工夫、JAXAや日本の強みみたいなものがあれば少しご説明いただければと思います。よろしくお願いします。

【清水プロジェクトマネージャ(JAXA)】 ありがとうございます。日本におきましては一つ前の、今まだ軌道上で運用している「ひので」衛星というものがございます。今から18年前に開発して打ち上げた衛星で、そこに載っている望遠鏡、口径50センチある中型の望遠鏡です。太陽観測においては世界で一番空間分解能を有した望遠鏡となっておりまして、現在も観測を続けております。SOLAR-Cに搭載される望遠鏡については、同じ開発メーカーが担当して、「ひので」の実現した技術、それからその後獲得した新しい技術を用いて開発しますと。今回紫外線を観測するということで、「ひので」のときは可視光だったのですけれども、波長が短い波長帯で同様に高い分解能を日本の技術で実現していくという計画となっております。

【鈴木委員】 わかりました。ありがとうございます。

【村山部会長】 それでは続きまして松岡委員お願いいたします。

【松岡委員】 松岡です。「ようこう」「ひので」等、これまで大変価値の高い成果を出されました太陽観測衛星の後継機ということで大変楽しみにしております。ご説明ありがとうございました。
細かいことになるのですけれども、プロジェクトの目標設定、研究背景、7ページと8ページについて少しご質問したいと思います。このページでは、今回提案されているSOLAR-Cと、他の国際的なプロジェクトとの協働についてご説明されたかと思っています。他のプロジェクトの中にはこれからできていくもの、打ち上がっていくものもありますし、あるいはもう既に打ち上がって観測されているものとして、挙げられたBepiColombo、SOLAR-Orbiter、Parker Solar Probeなどがあると思います。8ページ目の下のところでは、SOLAR-Cを、既に打ち上げられたものと物理的に結びつけることを可能とする、というご説明をされていますが、例えばBepiColomboは水星に到着した後、残念ながら運用期間には限りがある。またParker Solar ProbeやSOLAR-Orbiterがいつまで観測可能なのか、正確な数字は存じ上げないのですが、それぞれ既に2018年、2020年に上がっているので、もし同時観測を目指されているのであれば、後ろに何かのリミットはあるのではないかというように想像もいたしますが、そのことについてどのようにお考えか。また、同時観測に制約があるのであれば、このSOLAR-Cをいつまでに上げないといけないかについて少しご説明いただければと思います。よろしくお願いします。

【清水プロジェクトマネージャ(JAXA)】 どうもありがとうございます。今ご指摘のようにParker Solar Probe、それからBepiColomboにつきましては2025年頃から数年観測されるという計画となっています。SOLAR-Cと太陽圏との関係性は今後の太陽観測と地球惑星との関係を知るためには非常に大事なテーマであると太陽研究側は考えているという状況がございます。特にSOLAR-Cが上がる時代については、この中のParker Solar Probe、BepiColomboは残念ながらもしかしたらという望みしかないですけども、一方でこれからNASAが打ち上げるPUNCHは、5太陽半径より外側の部分を観測します。それから右下にあるソーラーオービターについては2020年に打ち上げられまして、今徐々に観測を開始した状況になっておりまして、2030年代に入るフェーズまで観測が予定されているというような状況となっています。太陽圏探査と太陽観測をリンクさせるということは2020年代の後半からSOLAR-Cが立ち上がってくるとより物理的に接続ができるような環境ができてくるかなと考えております。
それから打ち上げの年度ですけども、太陽研究の観点からできるだけ早く打ち上げたいというのがございます。2028年度の打ち上げということで、プロジェクト化をして、今確実に2028年度に打ち上げるということで計画を進めていくことを予定しております。太陽は11年の周期で活動が増減するということがございまして、今太陽極大期に向かっている最中です。今極大期は2025から26年頃にピークになると予想されておりまして、それ以降1年ほど遅れた形で太陽フレア活動も徐々に下がっていくと考えられております。ちょうどその太陽活動が下降する時にSOLAR-Cを打ち上げることになります。「ひので」も同じように下降期に打ち上げたミッションですけれども、下降期に打ち上げるということで少しでもダイナミックな大きなフレアをキャプチャーする可能性を得るためには、今設定した2028年度は確実にキープする形で開発を進めていきたいというふうに考えております。

【松岡委員】 太陽活動のサイクルと絡めて丁寧にお答えいただいてありがとうございました。太陽に近い領域のその場観測が最近このように非常に可能になってきて、それとのシナジーはすごく期待されるところだと思いますので、それを応援したいという意味で質問させていただきました。どうもありがとうございます。

【清水プロジェクトマネージャ(JAXA)】 ありがとうございます。

【村山部会長】 どうもありがとうございます。他の方いかがでしょうか。ご質問いいでしょうか。それではご審議どうもありがとうございました。
それでは宇宙開発利用部会として資料85-2について、特に27ページに今映っているページですね。これに記載されたJAXAの審査結果に同意するものとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。ご異論ないでしょうか。ご異論がないようですので、決定とさせていただきます。ありがとうございました。どうもご説明ありがとうございます。
それでは次の議題に移りたいと思います。本日最後の議題は、宇宙戦略基金実施方針案についてです。前回の宇宙開発利用部会においては、公開パートで宇宙技術戦略案の内容と宇宙戦略基金の検討スケジュールなどを委員の皆様に確認いただいた後、非公開パートにおいて、宇宙戦略基金に関する文部科学省分の具体的な技術開発テーマ案について、一つずつ委員の皆様に確認と意見交換を行っていただきました。本日は各技術開発テーマ案について、実施方針案の形で資料化いただいていますので、委員の皆様には改めてのご確認とご助言をいただきたいと考えております。それでは文部科学省より資料の説明をお願いいたします。

【竹上企画官(文部科学省)】 宇宙開発利用課の竹上です。それではお手元資料85-3-1、2、3、4、あと参考資料を使いながら、まず、3-1については、これは前回の非公開審議でも一度ご説明をしておりますが、公開の場は初めてということなので、意義・価値を含めてこちらを使って説明しつつ、本体の3-2には基本的には3-2と同じ内容を抽出したものが3-3になりますので、この資料を使って、テーマごとに、特に前回の非公開の審議から変更した箇所を中心に説明をして、その後3-4に前回の委員からのご意見をまとめたものがございます。これも政府側からの回答も含めて改めてご紹介という形で事務局の方からまとめて説明させていただきまして、まとめてご質問等いただければと考えております。
それではまず資料85-3-1、文科省のテーマ案一覧でございます。こちら、本日時点ではまだテーマ案でございますけれども、こうしたものを令和5年度補正予算、JAXAに造成された宇宙戦略基金文部科学省分1,500億円の活用候補として考えております。今後10年で取り組むべき技術開発のうち、宇宙分野での計画や資金ニーズが顕在化しており、速やかに支援に着手すべき技術開発の内容を、当面の事業実施に必要となる支援期間等と合わせて技術開発テーマとして設定したもの。これが実施方針になります。
中身としては、2枚目以降で詳細説明しますが、衛星等分野で3テーマ合計350億円。右に行きまして探査等の分野、地球低軌道利用に3テーマ・275億円。月面開発関係で3テーマ・295億円。また、火星探査関係で1テーマ・100億円。また左の中段戻っていただきまして、輸送関係、こちら2テーマ・275億円。あと最後に分野共通として1テーマ・110億円とした配分を考えております。また最後、このほか、というところですけども、この補正予算の内訳1,500億円の使い方として、各技術開発テーマの加速や事業間の連携に向けた共通環境整備費として50億円。また本基金事業の管理費、JAXAの利用分ですけども、こちらに40億円。これらを含むということでこちらの実施方針に記載させていただいています。
2ページ目以降、各テーマ概要をご説明できればと思います。まず衛星等でございますけれども、衛星観測の商業化や、それを支える技術の高度化は、非常に国際競争が激化をしております。こうした中で、我が国の強みとなる技術を生かした事業創出、そして革新的な将来技術の獲得に向けた技術開発に重点的に取り組む必要がございます。
まず一つ目、高分解能・高頻度な光学衛星観測システムでございます。前回の宇宙開発利用部会で官民連携による光学観測事業構想、こちらを文部科学省の方からご説明し、そして委員の先生方にご確認いただきました。この構想の内容のうち、一つ目の柱に当たる、民間主導の光学衛星コンステレーションを構築、開発実証する民間事業者を支援するという取組でございます。衛星関連市場の獲得、および防災・減災等の社会的ニーズへの対応を目指して、高頻度な三次元観測を可能とする高精細な小型光学衛星観測システムの技術開発実証を進めるということで、支援規模としては1件、コンステレーションの打上げ費用も含めて、280億円を上限とし、支援期間、最長5年ということで、スピーディーにコンステレーションの構築を進めるという構想となっております。
また二つ目、高出力レーザの宇宙適用による革新的衛星ライダー技術でございます。こちらも同様に、前回の宇宙開発利用部会で報告させていただいた光学事業構想、こちらの三つ目の柱にございました、大学や研究開発機関等における革新的なライダー技術の宇宙転用を促進する取組を、宇宙戦略基金を用いて加速させたいと考えております。最先端の観測技術である衛星ライダーの革新には、長寿命化、広範囲化等が課題でございますけれども、これに向けてコア技術となる高出力レーザの小型化や宇宙適用に関わる技術開発を進めるということです。支援規模を1件で25億円程度、支援期間は6年程度を予定しています。
また三つ目、高精度衛星編隊飛行技術でございます。フォーメーションフライト技術とも呼ばれますけれども、衛星分野、また科学探査分野において非常に重要な基盤技術でございます。単一衛星や従来のコンステレーションでは成し得なかった衛星システムに対する高度な要求を実現し、様々な分野でブレークスルーを生み出すことが期待される編隊飛行技術を用いた事業構想やミッションを推進するということで、事業者から様々な提案を募集しまして、その中から採択された構想やミッションを推進することを予定しております。3件で45億円程度ということですので、1件当たり15億円程度、支援期間、これは構想・ミッションによると思いますけれども、最大で7年程度を予定しております。
次に下段です。探査等分野の中から、まずは地球低軌道利用パートをご説明します。ご案内の通り、2030年以降、商業宇宙ステーションが予定されていますけれども、このポストISS時代において、我が国がそこの市場をしっかりと獲得していくことが非常に重要でございます。このため、我が国の民間事業者が戦略的に関連市場へ参入して市場を獲得していくための技術開発、これに3テーマ取り組んでいくということでテーマを設定しております。
まず一つ目が、国際競争力と自立・自在性を有する物資補給システムに係る技術でございます。ポストISSでの商業物資補給市場の獲得を目指して、近傍通信、あるいはドッキング検証等において、自立・自在性を有する我が国独自の物資補給システム構築に向けた技術開発を進めるということで、近傍通信を含む補給システムとドッキング検証システム、この2件で155億円程度、期間は5年程度ということを予定しております。
また二つ目、低軌道自律飛行型モジュールシステム技術でございます。先ほどはポストISSへの物資補給システムでございましたけれども、こちらは実験等を行うモジュールシステムでございます、ポストISSでの微小重力環境実験等、有人活動の場に係る市場獲得に向けて、多様な利用ニーズに対応できる自律飛行型モジュールの実現に必要な基本システムを開発するということで、1件300億円程度、5年程度を予定しています。
また次は、実験室で使う技術として、低軌道汎用実験システム技術でございます。ポストISSでの関連市場の獲得および地球低軌道利用による継続的な実験成果の創出を目指したライフサイエンス系の取組中心です。効率的で高頻度な実験を可能とする汎用実験システムの実現に向けた自動化・自律化・遠隔化等の技術開発を進めるということで、こちらは1件25億円程度を予定しています。
次に3ページに進んでいただきまして、こちらは月面開発・火星探査に係る案件でございます。こちらもご案内の通り、アルテミス計画を皮切りにインフラ構築、そして将来的な産業創出への期待が月面開発において非常に高まっておりますので、ここに関わる重要技術と、火星圏以遠の深宇宙探査に加え複数の応用先が見込まれる革新的な技術の開発に、今回重点的に取り組む予定としております。
まず一つ目が月測位システム技術でございます。これからの月面活動におきまして、やはり月測位インフラの実現が非常に重要なものになってきますので、そこへの貢献を見据え、我が国が有する地球上の高精度衛星測位システム受信技術、GNSS受信技術と呼ばれるものですけれども、これを発展させて月測位システムの主要サービスシステムの技術開発を進めるということで、こちら1件50億円程度、最長4年程度ということを予定しております。
次に電源関係でございます。ご存知のとおり、月については、2週間おきに昼夜が交代するわけで、電源系をいかに確保するかということが月面活動を加速していく上で科学・産業問わず非常に重要な課題となっております。そのために二つテーマを立てておりますけれども、一つが再生型燃料電池システムでございます。高密度・大容量な蓄電システムの月面での実用化を目指して、燃料電池技術と水電解技術を発展させた再生型燃料電池システムの開発と地上実証をやるということで、2件で230億円程度、最長4年程度ということを予定しております。
また、もう少し要素技術段階のものでございますけれども、半永久電源システムに係る要素技術ということで、月面の過酷な環境でも燃料補給やメンテナンスが不要であり、長期間にわたって使用可能な半永久電源、今回アメリシウムというラジオアイソトープを活用して、その崩壊熱を熱変換する仕組みを使って電源システムに使っていくという要素技術を開発するテーマで、こちらは1件で15億円程度、最長4年程度ということで、まずは基礎研究段階をやっていくということでテーマ設定しております。
一番右側は、こちら火星探査関係ですけれども、大気突入・風力減速に係る低コスト要素技術でございます。基本計画にも掲げておりますけれども、国際的な枠組みにおいては、我が国がやはり有利なポジションをしっかりとっていく必要があります。そうした中で、火星着陸技術の自立性確保に向けて、我が国が強みとする軽量・低コストの大気突入システム、今回エアロシェルの要素技術開発をテーマとして設定します。こちらを開発するとともに、この技術を活用して、地球低軌道から地上への物資輸送を行う際の基礎技術にもしていくということで、1件100億円程度、最長6年程度で予定をしております。
最後一番下、輸送分野でございます。こちらも非常に重要でございます。今後増加が見込まれる多様な打上げ需要に対応するために、宇宙輸送システムの低コスト化、そして高頻度化等に向けた技術開発に重点的に取り組むとしております。まず一つ目が宇宙輸送機の革新的な軽量・高性能化およびコスト低減技術でございます。基幹ロケットや今後の次期基幹ロケット、あるいは民間のロケット、そして往還型含めて新たな形態での輸送システム、こうしたものいずれも、やはりロケットの機体質量、そして構造体部品の製造期間・コストの低減が非常に重要な共通課題でございます。これを目指して複合材であるとか金属3D積層技術の適用と活用拡大に向けた基盤技術開発をするということで3件、複合材で1件、3Dプリンタで2件ですけれども、合計120億円程度、最大支援期間5年程度ということを予定しております。
また真ん中、将来輸送に向けた地上系基盤技術でございます。基金の基本的考え方、先日内閣府で決定されましたが、こちらに記載があります、2030年代前半までにロケットの打上げ能力を年間30件程度確保することなどの打上げ高頻度化に向けては、ロケットの開発のみならず地上系の技術開発、こちらも重要でございます。再使用を始めとする革新的な機能付加を伴う地上系システムに係る基盤技術を民間主導で開発するということで、支援規模としては再使用型に係るものと地上系システムに係るものを2件あわせて155億円程度ということで、最長5年程度を予定しています。
最後に分野共通でございます。ここまではいわゆるテーマ設定型の提案となっておりますけれども、裾野の拡大をしていくためのボトムアップ型の提案も非常に重要であるということで、宇宙分野の裾野拡大やJAXAを超える技術革新に向けた取組を分野横断的に推進するための枠組みも今回設けさせていただいております。スペーストランスフォーメーション研究開発拠点、SX研究開発拠点という名称で立てておりますけれども、大学等の研究者等を中核とした体制により、特色ある技術や分野、これは我々宇宙技術戦略に記載された技術や分野を想定しておりますが、ここにおいて革新的な成果の創出、そしてその実装のための組織的な研究開発を推進し、拠点としての発展と非宇宙分野からの参画も含めた人材の裾野拡大を目指すということで、牽引型という、いわゆる研究力で牽引していく型と、共用型という設備の共用を中心に発展していってもらう型、この二つの型を合わせて5件で110億円程度、最長8年程度の枠組みを用意しまして、これまでJAXAを中心に宇宙分野クラスターが発展しましたけれども、それを超える様々なクラスターを戦略的に形成していきたいという目的を持ったものでございます。
全体像の説明は以上でございます。次に85-3-2、実施方針については構成だけ簡単にご説明します。こちらが、本日ご審議いただいた後に、今後文科省と内閣府で正式に決定を行う文書そのものでございます。構成としては、まず前文という形で、テーマ決定・配分理由に関する記述が、今ご説明したような内容が1ページ目、2ページ目、3ページ目まで記載しております。4ページ目からは先ほどご説明した13テーマそれぞれについて、一点こちらには、先ほどの1枚目の最後に書いていた共通環境整備については詳細な記載をしておりませんけれども、13テーマごとに背景・目的、2ポツ目でテーマの目標、3ポツ目で技術開発実施内容、4ポツ目以降で技術開発実施体制、そして支援の方法、審査・評価の観点、技術開発マネジメントということで、まとめたものを整理しておりまして、これが基本的には今後JAXAで実施予定の公募要領に原則転記されるものとなります。
今日は、こちらの本文ではなく、次の85-3-3のポンチ絵の方が分かりやすいと思いますので、こちらの方で説明させていただければと思います。本文とほぼ記載されている内容は同一です。例えば5ポツの自己負担の考え方や、7ポツの技術開発マネジメント、これが本文では更に詳細に書いているのですけれども、意義・価値であるとか目標、取組、この辺はほぼ同一の記述になっております。ポンチ絵の方には線表等をつけています。意義・価値、背景、目的等は先ほどの説明とオーバーラップする部分がございますので、本日は、前回資料からの変更点を中心にご説明できればと思います。
また、この資料を説明する前に、一点補足説明をさせていただければと思います。支援類型として、支援の枠組みのところでBとかCとか書かれているところがありますが、これは基本的に、基金の基本的考え方という文書、今日参考資料として用意をしていますけど、そこに記述がありますが、TRLの高さ等でそれぞれ支援類型ABCとなっています。支援類型Bとなっているものが基本的にTRLが5から7、いわゆる実証フェーズと言われているもの。Cと書かれているものがTRL4以下に当たるものです。これが基本的には、各テーマの支援方法が補助なのか委託なのかを考えるときのベースになり、また、例えば補助の場合であれば、事業者の規模等、あとは市場の成熟度に応じて補助率等がこの類型によって設定をされるものとなります。特にBの補助となっているようなものについては、何らかの民間負担のあり方を入れることが基本であり、今基本指針については並行して政府内調整しているので、今日は出せていないですけれども、今後基本方針を調整していく中で、テーマごとの民間負担のあり方は個別に設定をしていきますので、ご理解いただければと思います。
まず、今回この概要ポンチ絵の見直しを行うときに全体的に直したところとしてはスケジュールです。例えば、前回の非公開審議で説明した際には、全てのテーマで2024年度の頭から線を引いていましたが、既に2024年度に入っておりまして、おそらく本年度の中ごろから支援が開始できるだろうということで、2024年度の真ん中あたりから、いずれの矢印も記載するように修正をしています。それに伴って支援終了予定年度やステージゲート、これらは色々なテーマで動いております。こちらは後ほど説明します。また、評価の観点等のところで、「全体方針に加えて」といったような記載がありますけれども、こちらの全体方針というのは先ほどご説明した今後策定する基本方針のことで、例えば横串的に評価はこういう枠組みでやるといったようなことを今後文書化していく予定でございます。そのサマライズ的なものは既に基本的考え方の文書に載っておりますけれども、そのことであるということで全体を読むときにご理解をいただければと思います。
それでは1テーマずつ変更内容を中心にご説明させていただければと思います。まずは、宇宙輸送機の革新的な軽量・高性能化及びコスト低減技術でございます。こちらは前回示したものとほぼ同一のものでございます。テーマの目標のところで、支援期間は最大5年としていますが、終了年度は2028年度と、目標年度をはっきりさせているというところが、変更箇所の1点目です。あと2ページ目に移っていただきまして、支援のスキームのところで、テーマごとに複合素材の案件に関しては40億円程度、また、3D積層に関して二つのアプローチを示していますけれども、50億円と30億円という2種類の金額があるということを詳細に示しております。ステージゲートの時期を元々2027年度の間ぐらいに置いていたのですけども、どこで見るべきかという議論を改めて行いまして、半年程度前倒しをして2026年度の最後に置かせていただいております。
次に、将来輸送に向けた地上系基盤技術でございます。こちらもテーマ目標として、同じく2028年度を目標年度に設定したということと、4ページ目、こちらも支援総額として、再使用機体の回収系に関する技術開発を取りまとめる企業等に50億円程度、また、打上げ高頻度化等を実現する地上系の基盤技術開発を取りまとめる企業等に105億円程度という詳細を記載させていただいております。また、ステージゲートも同じく時期を見直しまして、2026年度末と先ほどと同じような時期に前倒ししております。
次に5ページ目、高分解能・高頻度な光学衛星観測システムでございます。こちらにつきましては、テーマの目標の部分について、二つのポツで書いていたものを精査して三つに書き分けているというところが一点目でございます。また、6ページ目に行っていただきまして、期間は元々6年と記載していたのですが、スピーディーにやっていく必要があるということで見直しまして、5年程度ということにしています。あと先ほど説明したように、これは補助でやっていくということです。さらに、評価の観点の一番下、前回の部会でもご指摘をいただきましたが、この事業を通じて民間主導で開発した観測システムから生み出されるデータについては、災害発生時の緊急観測や、学術研究利用にも一定活用できる必要があることから、公募要領においてこの枠組みを含めた社会的ニーズへの対応要件をしっかりと定めていきますということを宣言させていただいております。スケジュールも、ステージゲート時期含めて少しリバイスをしてございます。
次に7ページ目、高出力レーザの宇宙適用による革新的衛星ライダー技術です。7ページ目は特段大きな変更はなく、8ページ目で、こちらのスケジュール、冒頭言いました開始時期の変更に伴い、少しだけ後ろ倒しをしている状況でございます。
次に9ページ、高精度衛星編隊飛行技術でございます。こちらは、アカデミア中心に様々な方々が参画いただけるようなものであるということがわかりやすくなるように、テーマの目標の部分に例示がありますが、前回はこういう開発をするように、というふうに読めてしまっていたのですが、あくまでも例示でございますので、それがわかるように修正を図っております。これはあくまでも例示でございます。ここに記載したもの以外にも、様々な革新的・野心的な提案が出てくることを期待したいと考えております。また10ページ目、支援の枠組みでございます。これは元々委託の予定でございましたが、やはりTRLが高くなるようなことが、技術開発の進捗状況に応じてあると思いますので、米印に記載しておりますけれども、今後ステージゲートにおいて市場成熟度が高いというような場合は、適切な支援方策の検討を行った結果として、その支援の形態を委託から補助に切り替えるということもありうるというような追記を行っているところでございます。
次に地球低軌道の方に移りますけれども、11ページです。こちらの背景・目的について、記述のブラッシュアップをしているところでございます。やはりサービスに入っていくこと、市場を取っていくことが大事だということが、前回資料の背景・目的では十分書けていなかったので、市場の獲得というところ、サービスにしていくことが重要だということを強調して書かせていただいております。また、12ページ目ですけれども、支援のスキームのところで、こちらも技術ごとの支援額の詳細を125億円、30億円という形で書かせていただいております。また、技術開発推進体制や評価の観点、このあたりが、前回資料ではAもBも一緒に記載されていたのですけれども、違う観点で評価、あるいは体制を組んでいく必要があるということで、引き続き同じような記載の場所もあるのですが、AとBとで書き分けているところでございます。研究開発スケジュールについては、少しだけ修正しており、基本的に5年間のものは2024年度の中盤から2029年度の中盤までという形で直しております。
次に13ページ、モジュールシステム技術でございます。こちらも修正の趣旨はほぼ同じで、背景・目的の中段ぐらいに、こちらも地球低軌道利用サービス市場の獲得を促進するために市場競争力の高いモジュールをやっていくということで、こちらもサービスにしていくことの重要性を、改めて背景・目的において記述しているところでございます。また14ページですけれども、ここもスケジュールのところで、同じように2029年度の真ん中まで矢印を伸ばしているということでございます。
あと、15ページ、低軌道汎用実験システムでございますけれども、背景・目的のところです。ここの三つ目の段落の「中でも」というところで、前回、ライフサイエンス分野だけでなくマテリアル分野も重要ではないかというご指摘があった中で、今回ライフサイエンス系を優先してやる意義・価値を、補足追記しているところでございます。また16ページですけれども、こちらの評価の観点で追記している点として、4行目ですが、この技術の共通的な活用に貢献する計画であるかということ、やはり基盤技術としての重要性、ここをしっかりと評価していく必要があるということで追記しております。ステージゲートのところの評価の観点については、前回よりも詳細化しているということと、スケジュールも同様に、2029年度半ばまで伸ばしているということでございます。
次に17ページ、月測位システム技術でございます。こちらの背景・目的について、構成自体変わるものではないですけれども、全体的に記載を充実しております。また最後、「また」以降ですが、「獲得した本技術によって我が国の民間企業による将来の月測位ビジネスへの参入を促進する」と、こうした視点が前回なかったので追記をしているところです。18ページ目は、スケジュールのみ、4年の取組ということで、28年度半ばまで線を引いているところです。
また、19ページ、再生型燃料電池システムでございます。これも、背景・目的の下から3行目に、「共通的な基盤技術となる再生型燃料電池技術」であるということや、テーマの目標の最後の2行で、「開発した技術を月面産業に参入する意欲を持つ我が国の民間企業における共通基盤とする」というような、この技術開発を様々な民間事業者の共通基盤にするということの重要性を追記しているところでございます。次に20ページに行っていただきまして、燃料電池システムということで、こちら1件あたり115億円。前回資料では、1件230億円と、2件分足し合わせた数字を書いていたのですけども、1件あたりは115億円程度ということでございます。ここは委託・補助のうちから、適切な支援のあり方を、現在このテーマに関しては政府内で調整中でございますが、支援の枠組みBということで委託または補助でやっていくということを予定しております。また技術開発推進体制についても、共通基盤的な技術ということで、月面産業への参入を検討する我が国の民間企業ニーズを踏まえつつ、という追記をしているところでございます。
次に21ページ目でございます。半永久電源システムに係る要素技術でございますけれども、この背景・目的についても、記述を全体的に精査・充実しているところでございます。国内入手可能なアメリシウムを利用して、我が国が保有している世界最高性能の半導体による熱電変換技術を活用していくというような記載を強調しているところです。次の22ページ目については、技術開発推進体制の記述のブラッシュアップを行っているところでございます。
次に23ページ目、火星関係でございます。こちらも背景・目的について、全体的に記述のブラッシュアップを行っております。技術開発実施内容が、あっさりとした記述だったので、2027年度までに何をやるとか、2030年度までに何をやるのかという記述の詳細化を行っております。また、24ページの支援のスキームでございますけれども、こちら先ほども同じような取組があったと思いますが、原則委託ではございますが、TRLが高いところまでやるものも含まれる可能性があるため、今後ステージゲートで市場成熟度等を踏まえ再度検討して、その後の支援の形で補助とすることもあり得るというような追記をしております。また、研究開発スケジュールのところで、地球低軌道からの再突入システムの開発をまずは進め、ステージゲートで評価した後、軌道上実証はその後ろのフェーズでやり、これを火星大気圏突入システムとしての開発・地上検証と並行して進めていくという流れになりますが、前回資料では軌道上実証の話が抜けていたのでスケジュールに追記をしております。
最後に25ページで、SX研究開発拠点でございます。こちらも、特に二つ目の「こうした中」といったような段落の追記を含めて、全体的に記述を充実しています。また、26ページ目ですけれども、技術開発推進体制あるいはその後の評価の観点のところで、牽引型、共用型、前回は一緒に出していたのですけれども、それぞれの類型で、やはり体制あるいは見るべき観点は異なりますので、今回書き分けているところでございます。スケジュールに関しても、8年ということで、開始が少し遅れたことで2032年度まで線を引き、ステージゲートの時期も見直しているところです。
最後に、先ほどご説明したように、共通環境整備に関しては、実施方針本文の前文に記載しておりますが、概要資料の方はつけておりません。また、順番については、各省全部取りまとめたときに、輸送、衛星、探査の順番で掲載するということで、その関係で、資料85-3-1のテーマ一覧とは一部順番が入れ替わっているところでございます。
次に簡単に、前回の第84回宇宙開発利用部会での主な委員コメントをご紹介できればと思います。前回は非公開パートで御意見いただき、その後に書面でもご意見をいただいております。そこでいただいたコメントについて、委員の方々には既に個別にご回答しているところでございますけれども、改めてご紹介できればと思います。
まず総論でございます。開発がうまくいかなかった場合のリスクマネジメント・透明性の確保、情報公開等に関して今後どのような形で行われていくのかという質問について、今回の宇宙戦略基金は、いわゆる競争的資金制度の一環として取り組むものでございますので、当然にして中間評価やステージゲートを設けていますし、色々な場面で評価を行っていきます。こうしたことを通じて、通常の補助金制度と同様に、外に情報を示していきます。また、宇宙政策委員会でも年一回、状況報告をするということでございます。さらに、文部科学省のテーマに関しては、この宇宙開発利用部会でも同じように報告をしていく、あるいは今後のテーマの検討も、次のテーマが立つということになればこの部会で審議いただくことになろうかと思いますので、そうした形で情報公開等進めていく予定としております。
次に、衛星分野では軌道上サービスのテーマが含まれていないがその理由如何ということでございますが、デブリ対策技術をはじめとする軌道上サービスは非常に重要なもので、技術戦略にも重要と書かれておりますけれども、既にご案内の通り、昨年、SBIR基金という取組が始まっております。そこでテーマとしては民間ロケットの開発に350億円、あるいはデブリ対策技術の開発に206億円という形で、他にも様々な外部資金がありますが、SBIR基金についてはある意味一年先行して開始をしている中で、宇宙戦略基金についてはそうした状況も加味して、今期特に早急に取り組まなければいけない新しいテーマということで選んだものでございます。経済対策の方では今後10年間で1兆円を目指すと記載されておりますので、デブリ対策技術については、そうした中で引き続き検討していく形だと思っております。
また、宇宙戦略基金の運用においては機動性も重要であり、チェックポイントを設け、支援テーマの増減も含めて随時軌道修正していくことが望まれるという御意見でございますが、これもステージゲートを設けますし、当然ながら研究テーマごとに公募要領に具体的にどう進めていくかということを、本日の実施方針を踏まえて記載をしていって、マネジメント、あるいは評価を通して行っていくことを予定しております。
次に輸送関係でございます。金属3D積層技術については不具合対応を含めた技術検証を実施できる開発体制をいかに作れるかが非常に重要であると、ごもっともなご指摘をいただいております。これも実施方針のところで記載しておりますけれども、評価の視点あるいは採択の視点というところで、品質をどうやって確保していくか、これをしっかりと見ていくということを記載させていただいております。
また、地上系の関係で、一段再使用技術を用いることで例えば燃料が余分に必要になり打上げ能力が下がる等の懸念もあるが、こうした要素をどの程度踏まえた上でテーマ設定しているのかというご質問もございました。再使用のメリット・デメリットは政府としてもしっかり認識をしています。そうした中で、2年前に文科省が取りまとめた将来輸送のロードマップであるとか、今般の宇宙技術戦略でも、再使用技術を我が国として持っておくべきであり、非常に重要な技術であるということが書かれていることも踏まえて、これに取り組んでいくということでテーマ設定させていただいているところです。
次に、高分解能・高頻度な光学衛星観測システムでございます。国際競争力あるビジネス利用と従来は官が担ってきた災害発生時の緊急観測等の防災・減災等の社会的ニーズの対応の双方を進めるにあたって、データポリシーをどう設定していくかというご質問でございます。これは先ほどご説明しましたように、公募要領においてしっかりと詳細化していきたいということを実施方針に書かせていただきましたので、そういった形で対応していきたいと考えています。非常に重要な御指摘だと考えております。
また、高精度衛星編隊飛行技術について、大学・アカデミアがしっかりと参加できるスキームとしていただきたいという御指摘があり、その通りでございます。ボトムアップで色々な提案を受け付けることができるよう、今回の実施方針でも、記載を例示にするなど工夫させていただきました。
また、低軌道自律飛行型モジュールシステム技術に対しては、モジュールシステム全体で採択1件というのは粒度が大きくないか、もう少し粒度の小さな支援の枠組みがあると良いではないか。低軌道汎用実験システムについては、ライフサイエンス以外の実験装置開発、例えばマテリアルサイエンス実験装置への支援をどうしていくのかという御指摘がございました。ご指摘のように、色々とやるべき技術がある中で、重要度の観点から今回実施する対象を絞っております。今後引き続き検討を進めていきつつ、今回対象を絞った背景・目的については先ほどご説明したように実施方針の中で加筆して、しっかりと説明責任を果たしていけるように工夫を図ったところでございます。以上が前回の非公開の審議でのやり取りの概要でございます。
最後に参考1、これは基本的考え方でございまして、今後、基本方針として進化させていく予定でございます。内閣府宇宙政策委員会でご議論いただく予定で、本日は基本的考え方の資料のみとなっておりますが、ご容赦いただければと思います。目標や支援類型に関する記述等がございますのでご参照いただければと思います。また、参考2、3は、宇宙技術戦略が確定版として3月28日に宇宙政策委員会で決定されておりますので、これも添付しております。参考4はスケジュールです。こちらも前回示した資料と同じものでございますけれども、実施方針については、本日いただいた意見も踏まえて修正を行うとともに、政府内での調整プロセスを経て、今後開催予定の宇宙政策委員会でその修正版を確認いただいた上で、役所として正式決定する予定としております。手続き自体は、前回の非公開審議での説明から変更はございません。事務局からの説明は以上でございます。

【村山部会長】 非常に丁寧なご説明どうもありがとうございました。ただいまの説明についてご意見ご質問がありましたらお願いいたします。前回も議論いたしましたし、かなりメールベースでもいろんな質問が出たと聞きますけど。それでは笠原委員お願いいたします。

【笠原委員】 ありがとうございます。名古屋大学笠原です。ご説明どうもありがとうございました。本日SOLAR-CやXRISMの発表の後に今回の宇宙戦略基金のご発表いただいて、非常に繋がりがあると思いながら聞かせていただきました。XRISMやSOLAR-C、20年30年、さらにもっと長い歴史を持ちながら、非常に日本の得意とする技術を、世界に誇る技術を伸ばして、実際に軌道で今運用されていたり、これからの打ち上げる技術だということで非常に応援したい、これからも本当に国を挙げて応援したいプロジェクトだなと思っております。
ただもう一つ気になりますのは、そういう世界に誇るものは世界各国といろんな協調をしているとともに、システムも複雑になって、いろんなインタフェースを持って難しいことを何とか限られた予算で進めていらっしゃるというのを改めて理解しました。それに対して今回の宇宙戦略基金、非常に広いフィールドをこれから活発に展開していくということで非常に大きな期待を持っているのですが、これだけの規模のものに対して、本当に全体のコミュニティをまとめたり、しっかりウォッチしていったり育てていく人の姿が見えるような形が心配にはなっています。
つまりやはり深くて難しいことをチャレンジしていくわけですので、かなりの時間とそれから誠心誠意取り組んでいく責任を持った人の集団という形で、今後この基金というのはどんどん発展していくものだというふうな理解を改めてしております。そういう意味でどういう育て方をしていくのか。これまでJAXAさんを中心としてそういうレガシーがすごくあると思いますいろんな国と繋がったりいろんな研究者と繋がったり、いろんな技術を育ててきた。育てる環境というのもとても重要だと思うのですけど、それも今まで持ってきたそういうレガシーと、これからいよいよチャレンジしていく世界とのマッチングというか整合性というか、そういうところがとても重要でありながら、心配になっているところです。ご質問させていただこうかなと思いました。以上が質問でございます。宜しくお願いいたします。

【竹上企画官(事務局)】 笠原委員、ありがとうございます。今いただいたご指摘はごもっともで、今回初めて宇宙戦略基金という仕組みを作ったのですけれども、それだけではなくて、関係府省で宇宙技術戦略の策定といったことを、これまでにない取組として始めております。輸送・衛星・探査等の分野で、広く産学官のコミュニティが議論をしながら、勝ち筋を見つけるようなこともその中で議論をしていますし、今後もやっていきます。その議論の中で、例えばどこをJAXAが中心でやっていくべきなのか、あるいは、民間・大学を主体にやるべきはどこなのか、特に外に知識や技術があるものや、民間主体であれば外に事業化の意思があるところを見極めて、そうしたものは基金も使ってやっていくということで、技術戦略を作りながら今後ローリングもやっていくことになりますので、そこでしっかりとした議論をやっていくことが重要かと思います。なお、基金でやるものに関しては、JAXAに今後、新しく支援の仕組みを作っていただく予定です。競争的資金を執行するとともに、宇宙技術は非常に難しいものなので、伴走支援できるような体制について、構築に向けた検討を今進めていただいているところでございます。今回、この基金という予算だけができたのではなくて、文科省以外も含めた関係府省でそうした大きな仕組みを作って、ただ言うほど簡単なものではないことは我々も理解はしておりますが、この大きな新しく作ったメカニズムというかシステムを、関係者、現場の方々、そしてJAXA関係部署で、一緒に回していきながら改良していくことが大事かと思っています。

【笠原委員】 ありがとうございます。よくわかりました。今後もまたあの改善しながらどんどんどんどんいい形になっていくそういうふうに理解しました。どうもご説明本当どうもありがとうございます。

【村山部会長】 どうもありがとうございます。続きまして、秋山委員お願いいたします。

【秋山委員】 秋山です。よろしくお願いいたします。特に宇宙戦略基金の衛星の分野それから、あと火星探査等の宇宙実証の予定といいますか、検討されているものについて関連してくるところで、宇宙実証の機会ですとか、打ち上げ機会の創出というところで、基幹ロケット側の対応についてお伺いしたいと思います。
衛星コンステレーションないしフォーメーションフライトというようなことになってくると、ロケット側の方でも複数衛星の搭載機構といいますか、ライドシェアミッションのようなことが必要になると思います。あと宇宙実証の機会創出ということもあって、そのあたり基幹ロケットの側、それからそうした機械に民間ロケットを活用していくことについては何か方向性あるのかというところ。ステージゲート、早いものですと2026年ぐらいにステージゲートを予定されている計画もあるということですので、どのように足並みを揃えて打ち上げ側の対応、この支援と一緒にやっていくのかというあたり、教えていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

【竹上企画官(事務局)】 ありがとうございます。そこもまさに重要な観点でございます。この基金全体の投資成果を、いかにエコシステムとしてしっかりと回していくかというところかと思います。基本的考え方のところでも、ロケットの活用のあり方というふうに確か記載をされていると思います。どうした形で、今おっしゃったような基幹ロケットの活用を進めていくか。我々としても当然、この宇宙戦略基金で開発を支援する衛星については、できる限り国内から打ち上げたいと思っています。そうしたことを、可能な範囲で、基金の仕組みとして入れていきたいと思っています。国内打上げには、当然基幹ロケットも含みますし、いまSBIR基金で支援しているような民間ロケットも含みます。
ただ一方で、基幹ロケットが当面は政府衛星で埋まっていたりとか、コンステレーションで複数衛星打ち上げるようなことに対して、基幹ロケット側の取組が間に合ってない場合や、あるいは今回文科省以外の取組を含めて様々な衛星コンステレーションを開発したときに、その時点でロケットの供給が追いつかないこともありますので、そうした状況に柔軟に対応しながら、事業者のスピードを緩めては本末転倒なので、事業者の打上げスケジュールに可能な限り合わせる形で、最大限国の打ち上げるロケットを活用していくことを、ここは今仕組みとして具体的にお示しできないですけれども、政府内、あるいはJAXAとともに今検討している状況です。内閣府から補足はありますか。

【吉元補佐(内閣府)】 よろしいですか。宇宙基本計画の方でも、民間のロケットそれから政府の基幹ロケットをどんどん活用していくことを位置づけていますので、なるべく国内ってところ優先しながら。ただいろいろな事情もあるので今竹上企画官がおっしゃったような形で基本方針の方にもそうしたことも記載していきたいなというふうに思っています。以上です。

【村山部会長】 ありがとうございます。続きまして山崎委員お願いいたします。

【山崎委員】 山崎です。これまで取りまとめてくださいまして、ありがとうございます。質問は2点ですけれども、一点目ステージゲートを設けてくださっていますが、これを実施する側の具体的な体制を教えてください。2点目が大体のものがTRLで4から5、期間として5年からプラスアルファ数年ぐらいの範囲で設けてくださっています。プロトタイプですとか地上実証というところの範囲が多いですけれども、具体的な宇宙実証への道筋、あるいはビジネス化への道筋をどのように考えて選択をされるのか。その後の出口を本当に宇宙技術として成熟させるための繋がりはどのように考えていらっしゃるか、教えてください。以上です。

【竹上企画官(事務局)】 ありがとうございます。JAXA側でステージゲートを実施するための、評価あるいは審査側の体制は、まさに今テーマごとに構築中です。1個1個のテーマで個別の体制を作るわけではなくて、おそらく領域ごと、輸送や衛星といった領域ごとに作っていくことになると思うのですけど、そうした体制作りを今進めているところです。
あとおっしゃる通り、宇宙実証が含まれているものもありますが、特に支援期間が短いものについては、成果を5年で実証するという取組もあれば、まずは要素技術開発段階だけやって、その後は順次検討というものもございます。今回1,500億円の中で、今すぐに着手すべきテーマとして、国が投資することを決意したということでのテーマ配分、あるいはTRLの目標設定になっていますが、当然その先も見極めつつ、今後必要あればその後の宇宙実証に取り組み、これはどういう形で支援していくかはテーマによって様々だと思いますが、当然ながら、その先も成果を出すために、市場に繋げていくとか、技術を確立していく、国際的プレゼンスを発揮していく、といった目標達成のためにはその先の宇宙実証がないと成り立たないテーマもあるのはお察しの通りです。そこは、今後の予算を見極めながらやっていくというお答えになってしまいますが、よろしかったですか。

【山崎委員】 山崎です。承知いたしました。技術戦略の議論でもやはりいかにローリングをして常にアップデートしていくということが大切という議論がありましたのでぜひこちらでも同様にお願いできればと思います。ありがとうございます。

【村山部会長】 ありがとうございました。他のご質問いかがでしょうか。米澤委員お願いいたします。

【米澤委員】 どうもありがとうございます、米澤です。非常にいろいろ検討されているなという印象を持ちました。気になってお聞きしたいのは、例えば私は地球観測を専門にしており、民間の競争力は素晴らしいと感じています。ただ、公共性がある内容が含まれることが気になり、例えばビジネスにならないようなところはデータを取ってもらえなくなるなどの可能性も考えられると思っているところです。そのようなことが他の項目・分野でもあるのではないかなと思い、公共性がある部分をこの基金の中でコントロール、マネジメントされるのかを少し疑問に思ったのでお尋ねさせていただきます。

【竹上企画官(事務局)】 ありがとうございます。今回特に民間主導ということで、おっしゃる通り公共性を担保しないといけないところは何らかの工夫をしていかないといけないと思っています。先ほど説明したように、例えば光学のコンステレーションであれば、民間主体でやられる取組でございますので、そこはやはり公募の申請要件あるいは補助要件で、一定のデータをしっかりとそうした公共用として出していくということなどを、公募要件のところで設定をしていくというのが基本的なところかと思います。民間企業と政府のある意味約束みたいなところになりますので、最初のところでしっかりと設定していくことが大事なのかなというふうに思っています。もちろん、民間主導では難しく、公的価値の方をどうしても担保したいのであれば、これは基金ではなくて、JAXAのプロジェクト、あるいは政府が何らか予算を出す形でやっていく仕分け方をしていくのかなというふうに考えております。

【米澤委員】 わかりました。どうもありがとうございます。

【村山部会長】 他はいかがでしょうかでしょうか。それでは私の方から一つコメントですけれども、これだけ多くのプロジェクトが同時に出発して育てていくのはおそらく宇宙分野では初めての経験だと思います。個々のプロジェクトマネジメントも大切ですけれども、やっぱり笠原委員もご指摘のように全体像を見る姿勢が必要だと思います。しばらくして立ち止まって全体像を見て一体どこがどういうふうに発展していてどうなのかと、そういう全体のピクチャーを見ていただいて、より資金を投入するところとか、その辺を柔軟に考えていただくことも必要かなと思います。そういう個々のプロジェクトのマネジメントと全体のマネジメントこれをうまくバランスさせて、ミックスさせてやっていただければというふうに思います。他はいかがでしょうか。いいでしょうか。ありがとうございます。
本日委員の皆様からいただいたご助言やご意見は、文部科学省における実施方針の策定に向けた調整や公募に向けた更なる検討の中でしっかりと生かしていきたいと思います。文部科学省から補足説明がありましたらお願いいたします。

【竹上企画官(事務局)】 いただいた意見も踏まえて、今後政府内で引き続き文章の精査等を行った上で、今後の宇宙政策委員会に持っていって、関係府省で決定をしていきたいと考えております。ありがとうございます。

【村山部会長】 了解いたしました。それでは宇宙戦略基金の文部科学省分のテーマについては、本部会で引き続きフォローしていければと思います。それと本日の議事はこれで終了となります。最後に事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。

【竹上企画官(事務局)】 会議資料と議事録の公開について申し上げます。本日の会議資料はすでに文科省ホームページに掲載させていただいております。また議事録につきましては委員の皆様にご確認いただいた後、ホームページに掲載させていただきます。最後に次回部会ですが、今月下旬の開催を予定しております。委員の皆様には別途ご連絡いたします。事務連絡は以上です。

【村山部会長】 どうもありがとうございました。以上をもちまして本日は閉会といたします。本日、長時間にわたり誠にありがとうございました。それでは失礼いたします。

【各位】 ありがとうございました。

―― 了 ――

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