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今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討会 (第9回)議事録

1.日時

令和6年7月24日(水曜日)10時00分〜12時00分

2.場所

文部科学省 WEB会議と対面による会議を組み合わせた方式(傍聴はYouTube Live上のみ)

3.議題

  1. 中間整理案について
  2. 意見交換について

4.議事録

【無藤座長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、今後の幼児教育の教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討会第9回を開催いたします。
本日は御多忙の中、御出席いただきまして、ありがとうございました。
お気づきかどうか分かりませんが、今日からハイブリッドという形で、私は文部科学省の会議室にいて、委員の方が6名ぐらいここにいらっしゃるかな。それで、オンラインが10名ぐらいという組合せなんですけど、やり方としては今までと同じようにやりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の会議の資料などにつきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】 今、無藤座長からもお話ありましたとおり、本会議は、ウェブ会議と対面による会議を組み合わせたハイブリッド方式にて開催をさせていただきます。
会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言以外も含め、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。委員の皆様には御不便をおかけすることもあるかと存じますが、御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
また、本日は傍聴の御希望をいただいた報道関係者と一般の方向けに、本検討会の模様をYouTube Liveにて配信をしております。加えて、報道関係者の方々から撮影及び録音の申出を頂戴しており、これを許可しておりますので、あらかじめ御承知おきください。
本日の会議資料については、議事次第にございますとおり、資料1、2と参考資料1、2となっております。
また、事務局に異動がありましたので、事務局より御挨拶をさせていただければと思います。
【日向審議官】 失礼します。7月11日付で、初等中等教育局担当審議官を拝命いたしました日向と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【無藤座長】 ありがとうございました。
それでは、早速ですけれども、議題に入りたいと思います。本日ですけれども、前回の議論を踏まえまして、中間整理案について、修正等を行ってまいりました。その案について、さらに意見交換を行ってまいりたいと思います。また、現在、主に小学校以降の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方についての検討を行う有識者検討会も別途開催されていると聞いております。そして、その有識者検討会に秋田座長代理から中間整理案の内容等についての御報告をいただいてございます。そのことについても事務局より御報告いただければ幸いです。
それでは、事務局より資料の説明をお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】 それでは、資料1を御準備いただければと思います。本日の資料は前回お示しをした中間整理案からの変更箇所について、黄色のマーカーをつけております。本日は、この黄色のマーカー部分を中心に御説明をさせていただきますので、順次御確認をお願いいたします。
早速ですが、資料の2ページを御覧ください。「はじめに」のところで、現在、求められていることとして、「児童の権利に関する条約及びこども基本法を踏まえ、子供の権利利益の擁護を図り、その最善の利益を実現できるよう教育に取り組むこと」を追記いたしました。
また、資料3ページになりますが、ここでの幼児教育が乳幼児教育から含むということを明確化するために文言を追加し、また、全ての子供が対象であることがより明らかになるよう、「様々な理由で就園していない幼児もいることに留意することが必要である」ということを記載しております。
また、資料5ページになります。幼児教育は一人一人に応じるということが大切ですが、友達と関わることも重要であることから、幼児が友達と十分に関わることという記載を追記しております。また、家庭環境や生活経験のほかにも、入園までの幼児教育施設の利用状況に違いがあることや、一番下の丸になりますが、文章をより充実するという観点から「教育的な意図を持って計画的に構成された環境の下で」ということで、文言を追加いたしました。
さらに次、7ページになります。ここでも上から3つ目の丸、そして4つ目の丸を追加いたしております。1つ上の丸のところで、数や量、形などの感覚と算数のことについて記載をしておりますが、数量だけでなく、言語についても幼児教育において、どのような活動を重視しているのかが分かるよう記述を追加いたしました。また、脚注の20番におきまして、幼稚園教諭や保育教諭の絵本や読み聞かせに係る内容の研修の実施率についても記載をしております。
また、4つ目の丸のところでは、小学校以降も自発的な活動としての遊びを通して培われた学び方、心を動かし、自ら試し、考えながら、実感を持ってこそ資質能力が育まれるということが重要であるということを記載しております。
さらに、一番下の丸のところでは、いわゆる非認知能力の育成に関してですが、ネガティブな事例だけではなく、ポジティブな事例として、「試行錯誤しながら自分の力で行うことの充実感を味わうとともに」ということも追加をしたところであります。
さらに、次の8ページのところにつきましては、文脈上、場所の移動をした変更ということになります。
さらに、9ページのところになりますけれども、ページの黄色マーカーにつきましては、幼児期の発達の特性や幼児期にふさわしい教育の在り方について、保護者や地域に対する一層の普及啓発に取り組んでいくことが必要であるというところで、「その際、保護者については、妊娠期や子供が乳幼児の頃から普及啓発を行い、幼児教育施設を選択する際には、幼児教育についての必要な知識や情報が得られるようにすることが重要である」ということを記載したものです。
次に、10ページになります。10ページの(4)のところでは、もともと分析のところで、幼児を分析的にということで書いておりましたが、分析的に評価することは必ずしも不適切なことではないということで、「安易に」という文言に変更をしております。
また、(5)の幼児理解に基づいた評価につきましては、より一般的な人にも分かりやすくなるよう、一つ丸を追加しております。「幼児教育施設における評価は、定量的に優越を決めたり、ランクづけたりする成績表のようなものではない」こと、また、「幼児の姿がどのように変容しているかを捉えながら、そのような姿が生み出されてきた様々な状況について適切かどうかを検討し、教育をよりよいものに改善するための手がかりを求めることが評価である」ということを記載いたしました。
また、次に、11ページになります。ICTの活用のところになります。ここにつきましては、ICTを活用した取組については、より一般的に行われている事例に変えたほうがいいという御意見もありましたので、「不思議に思ったことをタブレット端末で調べてみたり、鳥や虫などの生き物の鳴き声を再生してみたり」という文言に変更いたしました。
また、下のところになりますが、「幼児教育の『環境を通して行う教育』の環境にはデジタル環境が含まれることを明確化するとともに」、また、「デジタル環境の整備について検討することが重要である」と文章を修正しております。
次に、12ページを御覧いただければと思います。上から3つ目の丸になりますが、ここで言う特別な配慮を必要とする幼児につきましては、脚注の28番で、「障害のある幼児だけではなく、障害がある可能性のある幼児も含む」ということを明確化いたしました。また、文章を充実する観点から、「教育的な意図を持って適切に環境を構成することにより」という文言を追加したというところでございます。
さらに、13ページのところを御覧いただければと思います。もともと日本語の指導という表現をしておりましたが、現場での受け止めを考慮し、「遊びや生活の中で日本語に親しむことができるように配慮する」ということで変更いたしました。
また、(3)の預かり保育のところにつきましては、もともと幼稚園のみ記載しておりましたが、認定こども園でも行われているということで、「幼稚園等」とし、また、認定こども園についても追加をしたところでございます。
さらに、14ページのところになります。ここにつきましては、「幼稚園においては、預かり保育を担当する者の多くが非正規職員であったり、教育活動を外部委託する幼稚園もあったりするため、教育課程に基づく活動との関連を図ることが課題になっている」こと、「また、預かり保育を受けない幼児が友達と、友達と共に作り上げる遊びや生活から参加できなくなってしまうことがあることにも留意が必要である」ということを追加しているところです。
次に、15ページを御覧ください。一番下の丸のところを御覧いただければと思います。地域における幼児教育施設の役割として、新たに一つの丸を追加いたしました。「幼児と小中高生、高齢者をはじめとする地域の人々と日常的に交流する場をつくったり、幼児教育施設が地域の企業、商店街、農家、図書館などの文化施設などと交流したりすることは、幼児が幼児教育施設以外の場所で様々な人やものと出会って関わる機会を生み出すほか、幼児教育施設を拠点として、様々な施設、団体、人々がつながりをつくることにより町全体が活性化し、幼児や保護者もとより、地域住民のウェルビーイング向上につながっていくことが期待される」ということを追加しているところです。
次に、3番の幼児教育と小学校教育との円滑な接続のところになります。ここにつきましては、まず、架け橋プログラムについては後述をしておりましたので、ここで記載がなかったんですけれども、やはりここの段落のところでも入れたほうがいいだろうということで、「『幼保小の架け橋プログラム』を推進しているところである」ということを入れております。また、小学校だけではなくて、幼児教育側のことについても記載を充実したほうがいいという御意見がありまして、小学校だけではなく、「幼児教育施設においては、前述のとおり、小学校教育との接続を意識した実践が行われるようになってきたところである」ということを追加しております。
また、一番下のパラのところですが、全国的に見ると幼保小の接続の取組はいまだ不十分であることの理由としては、「3要領・指針や小学校学習指導要領などが施行してから間もなく、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により幼保小の連携・接続の取組を中断せざるを得なくなったことや、地域の教育に関する基本方針・基本計画等に幼保小の連携接続が位置付けられていない場合がある」といったことも追加をいたしました。
そして、次の17ページのところになります。ここも、幼児教育側のことを少し記載充実させるという観点から、幼児教育施設側の課題として、「幼児教育施設において、小学校の教科等の学習を子供の主体的な活動から離れて一方的に指導することなどは、子供の興味・関心の芽を摘むばかりでなく、子供が小学校の教科等で学習する楽しみを奪うことにつながるのではないかとの指摘もある」ということを記載しています。
こうした状況も踏まえまして、「幼児教育と小学校教育との円滑な接続を図るに当たっては、まずは幼児教育施設と小学校の両者が連携の意識を持ち、教育実践を見合い、相互の共通理解を図ることが重要である」こと。「その上で、幼児教育施設においては、小学校以降の教育を見通しながら、幼児に直接的・具体的な豊かな体験を通して小学校以降の生活や学習の基盤となる資質・能力を育成されるようにすること」が大事であることを記載しております。
次のパラにつきましては、場所の移動によるものです。
そして、小学校以降の教育につきましては、「現在、『令和の日本型学校教育』の実現を目指して、『個別最適な学び』と『協働的な学び』を一体的に充実し、主体的・対話的で深い学びの実現の観点から授業改善につなげていくことが求められている」ことを追加しております。
以下の丸につきましては、もともとあった文章の場所移動になりますが、「こうした小学校以降で進められている教育の方向性は、幼児教育の環境を通した教育の考え方とつながっていると考えられ、小学校においても、環境とした教育を参考に取り入れていくことは有効であると考えられる」ということを記載しております。
そして、一番下のパラのところになりますが、小学校においても環境を通した教育の理念に立つことは散見されたけど厳しかった事情があったということで、それがデジタル学習基盤により大きく可能性が広がっていることが伝わるよう、文言を追加いたしました。
そして、次に19ページの(2)のところを御覧いただければと思います。ここにつきましては、もともと国公立幼稚園等の役割というタイトル、内容になっておりましたけれども、全ての幼児教育施設が重要な役割を担っていること、国公立幼稚園だけではなく、幼児教育施設が少子化の中で何をするべきか検討すべきという御意見を踏まえまして、今後の幼児教育施設の在り方と見出しを変更し、内容を追加しております。
一番下の丸を御覧いただければと思いますけれども、「幼児教育施設は幼児教育を行うだけではなく、前述のとおり、保護者の子育てに対する相談や情報提供、保護者同士の交流の場となるとともに、地域の社会資源や人的資源をつなぐ交流の場として、地域の活性化や地域住民のウェルビーイングの向上においても重要な役割を果たしている」こと、国におきましては、「全ての子供に格差なく質の高い幼児教育を保障する観点や、幼児教育施設が地域社会の維持・発展にとって重要なインフラであるという観点から、地域において幼児教育施設の規模や期待する役割など、在り方について検討を進めることができるように、調査研究を行い、その結果を共有するなど支援していくことが必要である」としています。
以下につきましては、これまでありました公立幼稚園附属幼稚園についての記載になりますけれども、それぞれ役割を追加しておりまして、公立幼稚園の役割としては、上から3つ目の丸で、地域の子供の実態に基づく実践経験を実施することや、丸5にありますとおり、日々の教育活動について地域に発信する役割ということを追記しております。
また、21ページの附属幼稚園の役割のところでは、附属幼稚園における公開保育や県内の公立園との交流人事、指導資料の開発を通じて普及を図ってきたことなども追加をしているところです。
そして、21ページのところでは「幼児教育センター」の文言の前に、「設置者や施設類型を問わず、教育活動への指導・助言の役割を担う」ということを明記いたしました。
次に、23ページのところを御覧いただければと思います。効果的な研修の一つとして、往還を繰り返す研修のことを追記しております。また、実践事例のエピソードを持ち寄って、対話することを重視した研修を行うことで研修の質を高めていくことが期待されることを追記したところでございます。
また、一番下のところからは、研修コーディネーター等が研修の企画実施を行うに当たっては、教育委員会や幼児教育センター、幼児教育アドバイザーなどから助言を得つつ、地域や園の課題や実情に応じたテーマを取り上げるなど、効果的な研修となるようにすることが重要であることも記載をしたところです。そしてまた、第三者評価だけではなく、評価につきましては、幼児教育施設間のピア評価につきましても追加をしたところになります。
また、幼保小の架け橋プログラムの推進のところでは、教育委員会が中心となること、また、24ページのEBPMの推進のところでは、諸外国の施策やOECDにおける幼児教育の議論など、海外の動向についても調査研究を行い、その状況や成果を把握した上で、我が国における検討に生かすことが重要であるということを追加したところでございます。
そして、最後に、7月10日に開催をされました別の会議、今後の教育課程学習指導要領及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会において、秋田座長代理より中間整理案や委員からの御意見につきまして、特に幼児教育と小学校教育の接続を中心に御報告をいただきまして、委員から御意見をいただきましたので、御紹介をさせていただきたいと思います。
まず、1つ目の御意見としては、環境を通して行う教育など、小学校が幼児教育から学ぶべきものがたくさんある。また、一方で、幼児教育側が小学校教育から学ぶべき内容というのも少なくないはずであると。キャッチボールのように互いにキャッチし合って、互いの良さというものを取り入れながら相互に充実を図っていくということが望ましいという御意見。また、小学校の校長先生がいかに幼児教育と継続性を持った上で、一人一人の子供が本当に自分の良さや可能性を認識しながら学べる環境をつくっていけるのか考えていただき、共有ができる場を持っていくことが必要ではないかといった御意見。
また、資料から問いを見いだすことはできるけれども、読み取ったことを基に図や文章にまとめることができない子供につきましては、抽出をして知識として蓄積はできるけれども、自分の中で再構築する機会がないのだと思う。自分の中で再構築、そしゃくすることについては、小さな失敗を繰り返して試行錯誤していく環境を通した教育というものによってこそ培われるのだということを、まとめを拝見し、さらに重要なものとして受け止めさせていただいたといった御意見。
そしてまた、1人1台コンピューターが入ったことや、個別最適で協働的な学びというメッセージから非常に学習が個別化、個性化することが行いやすくなって、実際にやっている学校が行ってきた。環境として非常にその子の思いや願いがかないやすいようなものをたくさん置いたり、コンピューターの中で学習材を提供したり、幼児教育で環境で学ぶという大事な部分が小学校のほうにもかなり浸透し始めている中で、幼保小でこの話を上手につなげていくときに、個別最適な学びと協働的な学び、ICTの話というのは非常に親和性が高いのではないかといった御意見がありました。
最後に、デジタル環境の中にどっぷりつかっている、そのような中で生まれ育っている子供たちに、幼児期の段階、あるいは小学校低学年に応じて、デジタルICTについてどういうスタンスで対応していくのか、突き詰めていくべき課題があるのではないかといった御意見をいただきました。
より詳しい内容につきましては、有識者検討会の議事録につきまして、後日文科省ホームページで掲載される予定でおりますので、適宜御確認をいただけますと幸いです。
事務局からの説明は以上となります。
【無藤座長】 ありがとうございました。
それでは、残りの時間を使って意見交換を行ってまいりたいと思います。今、御報告のありました中間整理案ですけれど、3章からなっておりますので、2回に分けて意見交換を行いたいと思います。まず、今日の前半については、1章及び2章について意見交換、そしてそれが済んでから第3章についての意見交換としたいと存じますので、お願いいたします。
いつものように、御発言を希望される方は、今は対面で目の前にいらっしゃいますけれど、その委員の皆様も含めて、手を挙げるボタン、いつものボタンを押してください。そして、私のほうに挙手された方から名前と顔が出るはずなので、押していただいた方を順に指名させていただきたいと思います。そして指名された方はいつものようにミュートを解除して御発言いただいて、終わりましたら手を下げるボタンを押して、挙手を取り下げるということでよろしくお願いいたします。
それでは、そのようなことで、まず、1章と2章の部分について、非常に細かい文の指摘ならページとか挙げていただけるとありがたいですが、あるいは全体に関わってでも、加えるべきこととか、いかがですか。秋田委員が挙手ですね。お願いします。
【秋田座長代理】 ありがとうございます。大変ここまで丁寧におまとめをいただき、黄色い部分も入れていただいたことは感謝申し上げたいと思います。
まず、私は1章、2章というところの章タイトルの件です。2章が3要領指針に基づく教育活動の成果と課題の検証等となっているんですけれども、「検証等」というのが妥当かと、成果と課題は議論しましたが、それを検証している文章になっているかというところは、この文章だけでは、これをもって検証と呼べないのではないかと思います。むしろ「成果と課題」までで止めたほうがよろしいのではないかと、大変細かいことではございますが考えたというところが第一点でございます。いいでしょうか。
それから続きまして、2ページ目に、こども基本法のことを入れていただいて、子供の利益の最善の利益を擁護とか図るように、教育に取り組むということは書かれているんですけれども、一方で、子供、幼児を子供の権利の主体として、社会参画を促すとか社会参画を認めていく、また、子供自身が子供の権利を学ぶことの必要性ということを、この最初に書くか、あるいはどこに書くかは別としても、入れていただくことが、こども基本法の理念というものに大人が取り組むだけではなくて、子供自身がそこに参画するということが基本の理念でございますので、その内容も入れていただくとよろしいのではないかと思ったというところになります。
続きまして、3点目です。2章のところの1が豊かな体験で、2番が自発的な活動としての遊びというところです。ここにつきましても、大変適切に書き加えていただいたと思っています。一方で、こども家庭庁のほうでは、子供の育ちの100か月ビジョンというのをつくっておりまして、その中では、豊かな遊びと体験ということを述べていまして、そこでは安心と挑戦の循環ということを大変大事に書いてございます。
ところが、ここの遊びのところを見ますと、そこにおいて遊びから創意工夫をしていくためには安心とか愛着が重要だということが、幼児期においても並行して、その理念を酌み取って書いておくということが重要なのではないかと考えます。当たり前といえば当たり前ですし、こども家庭庁で書いているからいいのではないかという御意見もあるかもしれないんですけれども、そこを書き加えるということがあったほうが両方の統一感が取れるのではないかと思いました。
また、最後に、同じ7ページでございますが、最後の下のところで、「さらに幼児期は遊びの中で試行錯誤しながら、自分の力で行うことの充実感を味わうとともに」ということが書かれているんですが、自分の力で行うことの充実感と同時に、「仲間とともに協力し合い、支え合いながら行った達成感」というものも入れていただくほうが、自力でやるということだけではなくてよろしいのではないかと思ったので、大変細かな点でございますけれども、このような字句の加筆をお願いできたらありがたいと思った次第です。
細かい点で申し訳ございません。以上です。
【無藤座長】 ありがとうございます。検証というのは確かに言われてみると、ことさらの検証をしていないので、直したいと思います。
それから、子供は権利主体として社会参画する存在だということは、そのつもりでつくっていても、確かに文章としてそこまで踏み込んでいないようですので、加えたいと思います。
それから、100か月ビジョンのあたりの安心と挑戦というのを、その表現でそのまま入れるのか、幼稚園教育要領と整合的な表現にするかは検討させていただきますけれど、いずれにしても、安心とか、幼稚園教育要領だと信頼関係という言い方かもしれませんが、含めるのと、挑戦というのは結局、ここでは遊びを通して試行錯誤して云々というあたりで砕いてありますが、整理したいと思います。
そして、自分の力とともに仲間と協力していくという在り方は当然ですので、文言をそこも工夫したいと思います。ありがとうございました。
それでは、若山委員、お願いします。
【若山委員】 お願いします。1点、全体的な計画とかカリキュラムということに関するところが追加できないのかなと思ったことをお話しさせていただきたいと思うんですが、御存じのとおり、今、教育要領とか教育保育要領では、全体的な計画とカリキュラムマネジメントという用語が使われていて、保育所保育指針のほうでは、全体的な計画という用語が使われるようになったのと同時に、解説のほうでは改善に向けた取組をしていきましょうという方向性が示されているところだと思います。
私が関わる範囲の中でも、保育所の方々も全体的な計画の見直しというのを結構積極的にされていて、そのための園外とか園内の研修というのも十分に行われてきた、この6年、7年だったかなと思っております。なんですが、今回の中間まとめは、指導計画の作成に関する言葉は1度出てくると思うんですけれど、全体的な計画とか教育課程に関することというのが、記述もほとんど出てこない。預かり保育のところで1回出てくるんですけども、それは教育課程の内容について触れたところではないので、ほとんどないというか、ないかなと思って読んでいます。
3要領指針の中で扱われ方が違うというところで、難しいところだろうと理解はしているんですけれども、指針の解説のほうには、ややカリキュラムを改善していくということを方向づけた記載というものもあると思うので、中間まとめの中にカリキュラム改善に関する話というのが少しでも出てこないのかな、難しいのかなと思って読ませていただいたので、質問も含めてなんですけれど、発言させていただきました。
以上です。
【無藤座長】 ありがとうございます。3要領指針で微妙に用語が違うので、統一用語というのをどうするかはありますけれど、いずれにしても、例えば指導計画とか全体的な計画というのは共通ですから、その辺りを子供の実態に合わせながら改善を進めるという理念も共通だと思いますので、何とか工夫して入れてみたいと思います。ありがとうございました。
それと、尾上委員と大豆生田委員が先に退室と伺っていますから、まず、尾上委員からお願いします。
【尾上委員】 すみません、御指名ありがとうございます。前回、体調不良で欠席、急遽いたしまして、申し訳ございませんでした。この後、近畿地区の教研大会が控えておりますので、中座させていただきますことをお許しください。
それで、一応先月の26日に、文科省様のほうに中間取りまとめに対する幾つかの意見書を出させていただきまして、今日、御提案のいろいろな修正、加筆等について、原則私どもの意見書を網羅していただきましたことを、まず、冒頭に厚く御礼を申し上げます。
これをまとめたものを来月からヒアリングが始まるとお聞きしております。一般段階では、内容によっては専門的な用語が多かったりとかという部分もまだ少しは残っているのかと思いますので、ヒアリングの段階で、私たちも丁寧に説明できる点はという勉強はしていかなくちゃいけないなと思っております。
特別な配慮を必要とする幼児の指導についても、幾つか適切な環境とか、個別的なというようなこともお願いしておりましたが、そこもしっかりと挿入、書き入れていただきましたことも御礼申し上げます。
また、ICTに関しましても、なかなか幼児教育の現場は、小学校以上の1人端末1台支給という環境でもないし、また、リアルな体験と疑似体験という非常に悩ましいところもあって、まだまだ私たち幼児教育の現場では経験不足、勉強不足の点もありますので、ここら辺の書きぶりも、しっかりと丁寧に書いていただいて、所期の目的を間違えないような運用の仕方等も配慮していかなくちゃいけないのかなと思っております。
大変すみませんけど、雑駁で恐縮なんですが、まずは要するに、お礼を今日は申し上げたいということで発言させていただきました。ありがとうございます。
【無藤座長】 ありがとうございました。既にいろいろと御意見を団体としていただいておりますので、できる限りそれは既に反映しているんですが、8月のヒアリングで、改めて、例えば私立幼稚園団体からもヒアリングさせていただくので、ぜひその折に、またお願いしたいと思います。
御指摘のように、委員がみんな本当の意味で専門家なので、つい分かってしまって話しているところがあるので、いろいろな用語についても、必要に応じて、例えば注記を入れるとか、それから、先ほど御指摘ありましたけど、3要領・指針で共通の用語と微妙に違うところがあるんですが、それについても各担当の御意見を入れながら調整したいと思います。ありがとうございました。
それでは、大豆生田委員、お願いします。
【大豆生田委員】 よろしくお願いします。前回を受けて、丁寧な修正ありがとうございます。何点かありますので、お話ししていきます。
まず、1点目ですけれども、「はじめに」のところに、持続可能な社会の作り手のことが書かれているんですけれども、そのことが本文の中でどういうふうにつながるのかということがより明確になったほうが良いのではないかなと思っています。幼稚園教育要領の前文のところです。そのときに、今、先ほど秋田委員がお話しされたように、こども基本法のところと絡んで、子供の社会的な参画ということとの関連の中で入れるのも一つだろうかなと思いながら、さっき秋田先生のお話を伺っていましたけれども、どちらにしても、とても重要な持続可能な社会の作り手の基礎を培うということとのつながりの中で、幼児教育の重要性みたいなことが語られるということが必要ではないかというのが、改めて全体読ませていただいての1点目です。
それから、2点目ですけれども、ごめんなさい、前回私は途中退室してしまったので、議論になっていたらごめんなさい。ここで多分、工夫をいただいて、先生という表記をしていただいている、御苦労をされてそういう表記なんだと思うんですけれども、改めてこの文言は先生で良いのかどうかということなんですが、私たちはふだん、それは幼稚園教諭、保育士等を含めて保育者と呼んでいますけれども、もし保育者という表記ができるのであれば、皆さん共通なのかなと思ったり、あるいはむしろ、教諭、保育士等がよいのかということも含めて、その辺りのところということをどういうふうに考えたらいいのかというのが2点目です。
それから、3点目に関してですけれども、これも先ほど秋田委員がおっしゃられたことと重なりますけれども、遊びのところで、安心と調整の循環というニュアンスとして、どこかで重ねられないかという、さっき無藤先生がおっしゃられたことが、この中でどういうふうに重ねられるかということだと思いますけれども、これが秋田先生おっしゃられたことと同じです。3点目です。
それから、4点目ですけれども、地域のところも、あそこも丁寧に加筆していただいてありがとうございました。それで、あそこの中で書かれていることの一つが、子供自身が地域との体験不足ということが書かれていることと、それから地域のいろいろな人たち、商店街とかの地域の方にとってもメリットがあるという点を強調してくださったこと、とても重要だと思っています。それに、多分あのニュアンスでもう既に書かれているというようにも理解できるんですけれども、改めて幼稚園教育要領の中でも書かれている、地域ということは子供の学びの資源として重要なんだということを改めて明記いただいてもよいのかなとも思いました。
それから、5点目ですけれども、ICTのところで、最後に留意点として、直接的、具体的な体験が重要なのでという文脈がありましたけれども、そこの中で、実際、ついつい子供が関心を持ったからすぐICTという出し方って結構今後生まれてくるかな、図鑑や絵本をどうすぐに出すかという話とかなり共通するんですけれど、子供が実際触れて、関わる時間がものすごく重要だと思っていて、出せば良いのではないというところが、子供たちの直接的体験、興味関心がどう充実する、延長線上に道具としてICTが活用されるかというニュアンスであったりだとか、あるいは、直接的、具体的な体験に道具を使うことがむしろ直接的、具体的体験に戻ってくるんだというあたりのニュアンスのことが大事なのではないかなと思っていて、もしそこの辺りのところが加筆できるのであればということで、御意見させていただきました。ありがとうございます。以上です。
【無藤座長】 ありがとうございました。5つほどおっしゃっていただいたと思いますけれど、最初の持続可能な社会の作り手に子供がなっていくわけで、そのときに幼児教育がその基礎を培う働きをするんだということをもっと明確にしたほうがいいということで、私もそう思っております。
2番目の先生という表記は繰り返し問題になっているわけでありまして、委員側の多くの方は先生という表記に抵抗を感じているというのが正直なところなんですが、これは文科省、こども家庭庁の方々で調整可能ならしていただくしかないということであろうと思います。何となく素人が見ても、ちょっと違和感があるなというのが正直な気持ちです。
それから、3番目ですけれど、遊びのところで安心と挑戦というものを、その文言はそのままなのか、いろいろ変えるか等をして、それがはっきり分かるようにしたいと思います。
4番目は、地域はまた学びの資源でもあるというのは、例えば10の姿の一つにも入れてあるんですけれど、もっと押し出したいと思います。学びの資源という場合には、地域にある商店街、その他という場とともに、人々なんですけど。
それから、ICTが体験の充実にまさに寄与するような意味での一つのツールだということが誤解なく伝わるようにしたいと思います。ありがとうございました。
それでは、あとの方は順次、指名させていただくということで、いいでしょうか。田中委員、お願いします。
【田中委員】 失礼いたします。私のほうも随分書き込んでいただいたことに、まずは感謝を申し上げたいなと思っております。
その中で、前半の部分では1点だけなんですけれども、10ページの幼児期の終わりまでに育ってほしい姿について記述いただいているところの3つ目、課題が示されているところです。ここで、例えばですけれども、物を大切にするとか、限りある資源を大切にしようとする姿のように、10の姿には示しきれていない姿もあるんですけれども、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿のみで、幼児期の終わり頃の子供の姿が表せるものではないということは、要領の改訂の際に説明されていたと思います。
ただ、このことの認識が十分でない状況も見られていて、例えば、項目として10の姿を活用することはされているんですけれど、各園独自の遊びや生活を通した具体の姿を言語化しようとされていないというようなことが見られていて、10の姿に含まれていることが見えないけれども、重要な子供の姿を見過ごしてしまうというようなことがあります。こんなことも課題の中に盛り込めないかなということを感じました。
以上です。
【無藤座長】 ありがとうございます。10の姿の捉え方として要領、指針に書いてある一番上の一文、二文ですけど、だけで理解するきらいがなくもないので、実は、その背後には資質能力と保育内容、5領域のかなり細かい記述を踏まえているので、資質能力及び保育内容に戻して、より具体的に捉える窓口的に書いてあるつもりなので、そういう意味でも、子供の具体的な姿に戻すということと、それから幼児期の終わりの姿が10個で尽くされているというつもりで書いているわけではなくて、主なところという意味ですので、その辺も誤解がないようにしたいと思います。ありがとうございました。
それでは、坂﨑委員、お願いいたします。
【坂﨑委員】 坂﨑でございます。よろしくお願いいたします。
7ページの自発的な活動としての遊びの場面、また、9ページの普及啓発につきましては、追加をしてくださいまして、ありがとうございます。
12ページの、特に障害のあるなしということと、特に今回大事だと思いましたのは、教育的な意図を持ってというのがとても大事だと思いました。どうしても、ここの部分が安全安心というのはもちろん第一義なわけですけれど、就学前の教育の中でどういうふうに教育的な意図を持って特別な支援に当たるのかというのは、これから大きな課題だと思いますので、その点が書かれたことは大きなことだなと思います。
意見としては、15ページの地域における幼児教育施設の役割のことについて少しお話をさせてください。基本的には、共生社会がこれから望まれている中で、特に今までも今後も、現在の家庭状況というのが、一人っ子、いわゆる兄弟がいないとか、そうすると、園で行う保育が主であることは、クラスの活動ばかりではなくて、縦割り活動みたいなものについても重要性を増すわけです。特に、先ほど大豆生田先生も話しましたけれども、多世代共生というところから考えていくと、意識的に地域から学ぶとか違う世代の人たちとどう関わっていくかというのは、いわゆる子供の友達と遊ぶという次の段階からだと思いますけれども、幼児教育施設の役割ということだけではなくて、幼児自身がたくさんの世代から学んでいくというのは、これからの最も大きな一つの関わりではないかなと思います。
子供たちが関わる社会が就学前段階で、小学生の段階までにあまりにも少なくなってきているというのが今の大きな課題だと思いますので、それであれば、幼児教育施設がどういうふうに地域と関わっていくのか、また、子供たちがどう学んでいくのかというのは、これから検討されるところではないかなと思います。
以上です。
【無藤座長】 ありがとうございました。特に2番目におっしゃっていただいた地域、また、家庭の状況を考えたときに、例えば多世代、あるいは世代を超えた様々な職業の人とか、いろいろ立場の人、いろいろな家庭の人とのつながりをどう図るかというのは、幼児教育において、コロナという状況があって、一度そういう試みが断ち切られてしまったところもありますので、改めて、かなり意識的に構築していく必要が多分あると思います。
幼児教育と小学校の接続も、ある意味ではその一つではあるけれど、それだけではない。地域にはいろいろな家庭、人々がいるというところを要領、指針に一応、10の中の姿の中にも入れてあると言えば入れてあるんですが、強調としては弱いかもしれませんので、その辺をしっかり考えて書き入れたいと思います。ありがとうございました。
それでは、鍋田委員、お願いします。
【鍋田委員】 よろしくお願いします。度々欠席しているものですから、途中途中、伺っていない話があったりしていますが、とてもまとまっていて、私も勉強になりました。ありがとうございます。
16ページからの幼児教育と小学校との円滑な接続の辺りですが、ここで、17ページにいきますと、いじめのことですとか不登校対策の観点からもというところが出てきます。この辺りから下にずっと行きますと、接続のところで、子供が、就学したときに園での活動が生かされるような授業を構築していくのが大事だというような、そういう説明がなされていると思います。就学したときに子供が授業に向き合えないというところが原因でいじめや不登校につながっていくというような印象を持たれなければいいなと思いました。 そして、18ページにいきますと、丸2つ目においては、「子供は生まれながらにして自ら学びを展開していく力を有しているという考えを基に」という文章がありますけれども、この辺りをたくさん入れていただいてよかったなと思うのですが、現状を考えていく中で、生まれながらにして自ら学びを展開していく力というのは、子供は放っておいて育つものではなくて、0歳児から関わっている施設からの視点からしますと、乳幼児時期の、この時期の愛着関係ですとか安心、それから、いろいろなことに向き合っていくための人との信頼関係の基盤というものがとても大事なんだ、そこがなければ、自ら学びを展開する力に向かっていけないのではないかという思いを日々持っておりますので、その辺りをぜひ強調していただければありがたいなというところがあります。
乳幼児と関わる施設としては、そういった環境づくりというのが、今は地域の中でできづらいというところで、保育園や幼稚園、認定こども園の中でしっかりしていく必要があるんだということを言っていただくことで、私たちの励みになるなと思いました。
そのほか、保護者への啓発ですとかそういったところを入れていただいたのは大変ありがたいと思いました。以上です。
【無藤座長】 ありがとうございます。幼小接続のところで、いじめ不登校への対応というところも触れているのは、何より多くの、ほとんどの園、幼稚園、保育園、子供園で子供たちが楽しい充実した経験をしていることが小学校で急に、言うなれば硬い学習という枠で、楽しさ、充実感が消えはしないかという危惧を持って入れた文言ですので、そういう意味で、小学校こそ学びの充実、学びのわくわく感を可能にするという方向で、いじめ、不登校というものにつながらないようにという願いですから、それが分かるようにしたいと思います。
それから、2番目の生まれながらにしてというのはおっしゃるとおりのつもりで書いているんですが、子供たちは乳児期から、生まれながらにして周りの環境から学ぶ力を持っている。同時に、それが引き出され、現実化していくためには、親しい、例えば親との愛着的な関係での安心感によって支えられてこそであると。それが発達研究の基本線だと思うので、それが分かるように書きたいと思います。ありがとうございました。
それでは、次に、岸野委員お願いします。
【岸野委員】 ありがとうございます。失礼します。事務局の皆様におかれましては、本当に前回出た様々な多角的な意見を丁寧に入れ込んでいただいたことに、私も感謝申し上げたいと思います。修正案について、2点、意見申し上げたいと思います。
1つは、先ほど大豆生田委員からも指摘があり、また、無藤座長からも調整をいただくようにおっしゃっていただきましたので重なりますが、強調する意味で、「先生」という表記について、私もやはり違和感を持っていますので、ぜひとも修正をお願いしたいということを申し添えておきたいと思います。アイデアとして、例えば保育士、保育教諭、幼稚園教諭等と列挙するとか、あるいはこれらを含むことを注にして、例えば保育専門職とか専門職としての保育者とか、何かしらニュートラルな表現ができるといいのではないかと思います。
2つ目は、17ページの一番下の丸に関わってです。幼小のところなんですが、幼小の相互理解と同時に、幼児教育施設同士の相互理解ということも大変重要だと思いますので、「その上で」の後のところあたりに、「幼児教育施設においては、設置者や設置類型を超えて互いに学び合い、教育の質の向上を図る」といったことも入れられるといいのではないかと思いました。
また、「小学校以降の教育を見通しながら」とか、「小学校以降の生活や学習の基盤となる資質能力が育成されるようにする」というところですけれども、全体を通して丁寧に読めば全く問題ないんですけれども、切り取られたときに、準備教育とか前倒し的な誤解を招かないかということが少しだけ気になりました。
もう一つの委員会のほうでも議論にあったような、幼児教育側が小学校教育に学ぶというときに、幼児教育側は、「小学校以降の学びと育ちとのつながりを理解する」ということとか、あるいは「小学校以降が主体的、対話的で深い学びの実現に向けて改革が進みつつあるということを踏まえる」といったことが重要ではないかと思いますので、そういったところが入るといいのではないかと思いました。以上です。
【無藤座長】 ありがとうございます。既に出たことに加えて、幼児教育施設同士の連携、学び合いは当然重要だと思います。また、幼児教育は小学校教育に学ぶということを大いに必要なんですけれど、それが小学校教育の言わば伝統的な、固定的な在り方をイメージして準備ということではないと。小学校教育自体が今、変わりつつあるということをしっかり書き入れながら、その趣旨を伝えたいと思います。ありがとうございました。
では、古賀委員、お願いしたいと思います。
【古賀委員】 ありがとうございます。全体として丁寧におまとめいただきまして、誠にありがとうございます。3点ございます。
まず、1点目、特別な配慮を必要とする幼児への指導につきまして、様々な課題が今後も出てこようかと思いますけれども、現状気がかりなこととしましては、特別な配慮を必要とする幼児を実質的に排除するようなことが生じている幼稚園現場はないかということです。一部の公立園では、七割、八割が特別な配慮を必要とする幼児であるようなケースも出てきています。ほかで受け入れられなかったというようなことを聞くこともございます。全ての子供が良質な保育を、また自分の地域で希望する保育を受けることができるということが重要です。その辺り、子供の権利と絡めてどう踏まえていただくかは分かりませんけれども、気になっているところです。
さらに、2点目として加えさせていただきたいのは、幼稚園等が行う、いわゆる預かり保育についてですけれども、幼稚園等においては、園庭開放やひろば活動から親子登園、こども誰でも通園等の数日の預かりから毎日の預かりといった保護者のニーズと選択に合わせた、緩やかな家庭からの移行が可能な点に特徴があります。その中で、保護者が育つプロセスを丁寧に支える保護者支援を子供の保育と組み合わせて実施していくところが重要かと思います。まさに保護者が自らの子育てを楽しみながら行えるような在り方を選択する、保護者が子育て当事者、主体者として育つということが支えられると、そういった子育て支援がなされていくことも重要かと思いました。
3点目です。岸野さんの指摘と重なるかと思うんですけれども、幼児教育と小学校教育との円滑な接続について書き加えていただいた部分ですけれども、16ページ、下から2つ目の白丸のところで、小学校教育との接続を意識した実践というところが、現場によってはどのように捉えられるか、伝わるかというところを危惧しています。その辺りは17ページのところにも書いてあるのですが、こちらの16ページのところでは、ぜひグッドプラクティスのほうが、より具体的なイメージとして伝わるようなことを追加して書いていただくと、よりこちらの意図が伝わりやすいかと思いました。以上です。
【無藤座長】 ありがとうございます。3点でしたけれど、特別な支援を要するお子さんについて、どの幼稚園、保育園、子供園、公立、国立、私立であろうと、どの園にしても、そういうお子さんが近隣にいるなら受け入れるというのが大原則だと思うんですけれど、その上で、もちろん合理的な配慮が可能な範囲というのがありますので、どうしていくかという具体論が出てまいります。
そういうように考えたときに、一部の園が特別支援のための施設でないにもかかわらず、それが、お子さんが大部分というのは、それ自体がいいか悪いかということではなくて、もしかすると、他の園において特別支援を要するお子さんが必ずしも入りにくいのかもしれません。入りにくいについては、いろいろな事情があるので絶対入れるべきだという指示を出すという種類のことではないと思うので、むしろ行政的な支援が必要だと思いますけれど、その辺もここでどこまで、どういう形で書くかはいろいろ事務方と相談しますけれど、丁寧な書き方をしたいと思います。
2番目の預かり保育をめぐって、預かり保育の働きはいろいろなものがあると思いますけれども、その中の一つに、特に幼稚園などにおいては、保護者が子育てを楽しむとか、子育てをする人間としての有能感を感じられるようになるとか、いろいろそういうねらいを持って、従来も幼稚園教育要領に書き込んできたと思いますので、その辺も分かるようにしたいと思います。
3番目の幼小接続のところは、確かに小学校との接続を意識して、ただ書くだけだと準備教育という誤解もあり得るので、そういう誤解がないように、もっと丁寧な形で書き込みたいと思います。ありがとうございました。
それでは、奈須委員、よろしいでしょうか。
【奈須座長代理】 よろしくお願いいたします。私からは2点というか1点なんですけど、17ページの一番下のところ、今ほど岸野先生、古賀先生がおっしゃったこととつながるんですが、「幼児教育と小学校教育との円滑な接続を図るに当たっては、まずは幼児教育施設と小学校の両者が連携の意識を持ち、教育実践を見合い、相互の共通理解を図る」と、そうなんですけど、今、先生方がおっしゃるとおりで、教育実践を見合う中で、小学校のほうが手はお膝、お口チャック、規律訓練型の実践をしているとしたら、それを見て共通理解を図ってはいけないわけですよね。
小学校はまだまだ難しいと思いますけど、変わろうとしてきているし、それを促すようなことをこちら側から、幼児教育側からも今回、ボールをかなり強く投げるということになりつつあると思いますし、これはとても僕ら小学校側の人間としても望ましいし、ありがたいことだと思っています。そちらがそういうつもりで完全にいるのだという姿勢を出していただいたほうが、小学校のほうを変えていく僕らの立場としても、とってもありがたいということがまず一つです。
もう一つは、小学校側の頑張りということについて幾つも書いてくださっていて、もうそれもとてもありがたいですね。そこに期待し、そういうことを想定して幼児教育側は対応しようとしているんだという、その枠組みがここで表されるということはありがたいんですが、それで小学校側の取組として、18ページの下から4つ目というか、上から2つ目というか、また、小学校以降の教育においては、現在、「令和の日本型学校教育」の実現を目指して、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実し、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善につなげていくことが求められている。そのとおりなんですけど、ここで令和の日本型学校教育というものの重要なポイントは幾つもありますけど、ここでできれば入れてほしいと思うのは、自立した学習者の育成という言葉なんですね。
つまり、個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実というのは何を目指すかというと、一方では主体的・対話的で深い学びという授業の質を言っていますけど、子供の育ちとしては、自立した学習者という言葉があそこに何度も出ています。これは先般のOECD、PISAでもそうでしたけども、OECD、PISA、とっても学力は高いんだけれども、もう一度、コロナのような状況が来てこれを一人で学べるかというと、37か国中34位という、つまり先生に教わって力はつけられているけども、自分で学んで力をつけるということが日本の子供たちは弱いというのが、あそこのやはりとってもはっきりした結果で、これはGIGAスクール構想も含めて、そういうことを何とかしていきたいというのは小中高等学校の動きだと思うんです。
そこで出てきているのが個別最適と協働、もう一つ、多様性への対応ということもありますけど、自立した学び手ということ、学習の自己調整とかメタ認知とかということも言われていますけど、何かそこを入れていただくと、幼児教育というのはまさにそっちなので、子供が主体的に自立的に学びを深めてきているわけですよね。それを現状では小学校でちょっと止めているわけですよね。そうすると、今の小学校の動きとしては、令和の日本型学校教育というところで、例えば現在、令和の日本型学校教育の実現は、令和の日本型学校教育としてでもいいんですが、その自立した学習者の育成を目指して、その手段として個別最適な学びと協働的な学びの一体充実を目指し、一方で、授業の質としては、主体的で対話的で深い学びということなんじゃないかなと。何かその自立した学習者の育成ということが入ると、幼児教育から来た流れをなぜ小学校が受け止めるのか、そこがすごくはっきりする気がして、次の今の方向性は、子供一人一人の興味・関心や一人一人の個性に応じた多様で質の高い学びを引き出す観点から、環境を通した教育にもつながっていると。環境を通した教育に一番つながっているのは、子供が学習者として自立するということだと思うんですよね。
何かその文言を入れていただくことで、今小学校がやろうとしていること、やっていること以上に何を目指してやっているか。その目指しているものこそが実は幼児教育が長年やってきたことを受け入れることだという何か位置づけができるような気がして、すみません、もし可能であればそんなことをお願いできればと思います。
以上です。
【無藤座長】 ありがとうございました。おっしゃるように、自立した学習者の育成という大きな、一番中核となるところをイメージしていけば、幼児教育とのつながりがもっと分かりやすくなるというふうに思いますので、より具体的なところで文言を入れたいと思います。ありがとうございます。
それでは、高橋委員、お願いします。
【高橋委員】 ありがとうございます。修正、ありがとうございました。ちょっと細かなところで大変恐縮ですけれども、ページを追って、お話をしたいと思います。
まず、4ページの上から5行目、真ん中辺です。「生活の中で状況と関連付けて」というところですけれど、生活の中での状況だけでなく、人との関わりや状況と関連づけて身につけていくという表現がよいと思います。
それから、5ページの下から白丸2つ目、「環境を通して行う教育」が、「常に適切なものとなるよう、環境を再構成していくことが必要である」ですが、私たち、柔軟に環境を再構成していますので、このところに柔軟なという表現を入れていただきたいと思います。
また、その下の白丸のところの2行目ですが、試行錯誤をどのように捉えているかということにも関連します。子供たちは、繰り返し夢中になって遊び、うまくいったり失敗したり、いろいろことを試したりして、また繰り返して遊びます。子供の遊びでその過程が重要だと思いますので、文言について御検討いただければと思います。
また、その一番最後の行に、「幼児期においては、遊びを通しての指導を」という箇所の「遊び」について、さらに次のページの「自発的な活動としての遊び」ですが、子供の自発的な活動としての遊びが本来どういうことなのか、ということが書かれた記載が少ないと思います。7ページの「自発的な活動としての遊び」の部分に、黄色部分で加筆されましたが、遊びが小学校の教科学習につながることだけに終始しているような書き方になっており、小学校の準備教育という捉え方になるのではないかと懸念されるところがあります。先ほどの小学校への接続のお話が岸野委員や古賀先生からありましたけれども、この部分に関しては、幼児期にふさわしい生活や遊びの重要性が伝わるような遊びに関する記述をお願いしたいです。
そして、「自発的な活動としての遊び」というタイトルですけれども、記載されている内容との相違が感じられ、疑問に思っております。一方、子供の主体的に遊ぶ姿が見受けられない幼児教育や早期教育などへの懸念などが、芽を摘む、危惧される、誤解を招くといった内容で表現がされていることについては賛同します。
次に、9ページの保護者についてというところ、書き加えていただいてありがとうございました。理解推進のところ、非常に大事だと思っております。そして、ここの理解推進のところですけれども、非常にSNS、情報が発達しているにもかかわらず、幼児教育のシステムが複雑過ぎて、何をどう選んでいいか分からないという地域の保護者の方のお声をよく聞きます。幼稚園なの、保育園なの、保育所なの、認定こども園、幼保連携型、幼稚園型という幼児教育の在り方について、何がよくて、何をどういうふうに選んでいいのかが分からないといった声があります。園の説明会にいらした保護者の方が、やっとスタンダードな公的な教育に出会えたと、ぽそっとおっしゃっていました。日本の幼児教育のシステムの複雑さが選択を分かりにくくしている現状があるのではないかと思われます。再度になりますが、幼児の主体的な遊びの重要性について、社会への理解推進については大事ですので書き加えていただいて、ありがとうございました。
預かり保育のところですけれども、14ページの「また、預かり保育を受けない幼児が、友達と共に〜」という黄色の加筆いただいた点ですけれども、ここの2行について意味がよく分からないです。預かり保育を利用する幼児もいれば、預かり保育を利用しない幼児もいる、利用しない幼児は地域で友達と十分遊ぶこともできる機会があるなど、利用していない幼児がいてもよいので、この書き方は、すみませんが、よく分かりませんでした。申し訳ございません。
16ページに参ります。「幼児教育と小学校教育との円滑な接続」ですけれども、一番下から2行目の「地方自治体の強いリーダーシップ」というところがございますが、これは具体的にはどういう意味なのか、明記したほうがいいと思っております。
次に幼稚園における満3歳児以上の幼児の接続というところもそうですが、地方自治体がどういう役割をしていくのか、教育委員会がどういう役割を具体的に担っていくのか、というところは文部科学省が積極的に呼びかけていただきたいですし、具体的に書いていただきたいと思います。
また、18ページと19ページの上のところに、「環境を通した教育」と「環境を通して行う教育」という2つの文言があり、小学校教育と幼児教育とを書き分けているのか、意味の違いを書き分けているのかどういうふうに理解していったらいいのかと思ったところです。
以上でございます。
【無藤座長】 丁寧に読んでいただいてありがとうございます。基本的にはこういうふうにしたほうがという御意見を生かしたいと思いますし、それから、遊び側の義務教育的なものでないことをもっと分かりやすくしたいと思います。また、預かり保育のところとか自治体のリーダーシップのところも誤解ないようにもう少し書き込んで、場合によっては御相談をさせていただくかもしれませんが、ありがとうございました。
それでは、鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】 よろしくお願いいたします。丁寧に修正をかけていただきまして、ありがとうございました。
私は3ページの一番最初の、「幼児教育の重要性」のところに「基本的生活習慣」という言葉を入れていただいたので、わくわくと思ったんですが、その後何も出てこないなというところで一言だけお願いがあります。実は調査をすると年齢を問わず、実は幼児教育施設に入ることで、子供たちの生活リズムというのが整えられていきます。
なので、基本的生活習慣というのは、実は幼児教育施設支えてくれる場所であり、きっかけとなるところだと思っておりますので、日中の生活、遊びを通してその生活の充実が、実はその生活リズムをつくっていく。ひいては、接続とは直接関係しませんが、以前、学力・学習状況調査の専門家会議のところでも、やっぱり基本的生活習慣がいい子というのは学力が高いとなっておりますので、そういうような先になって伸びていく、そういうところを支えていくというところがあるのではないかと思います。15ページの「地域における幼児教育施設の役割」の中にでも、やはりぜひ子供たちが初めて幼児教育施設に入ることによって、生活が整っていくというところを加えていただけるとうれしいし、もう一つ、預かり保育で長時間利用の幼児にとって心身の負担云々というのもそうですが、同時に地域の中で、やっぱり育つ子供なんだということを幼児教育施設がアピールをしていく。
どうしても朝早く来てちょっと夕方遅くまでいるとなると、地域の中に見えないところがありますので、ぜひ、幼児教育施設こそがアピールをして、地域の中で育つ子供というようなことを出していただけるとうれしいなと思っております。
以上です。
【無藤座長】 ありがとうございました。生活習慣のことはまさにいろんな調査で御指摘のこと、特に睡眠とか早寝早起きですけれど、出てきますので、入れたいと思います。地域の中でということは当然のことですけれど、それが今、地域の中で見えなくなっていることについても工夫したいと思います。ありがとうございました。
それでは、河合委員、お願いします。
【河合委員】 ありがとうございます。お願いいたします。丁寧な御修正ありがとうございました。私から細かいことを入れて4点、お話をさせてください。
1点目ですが、高橋委員の御指摘と重なるんですけれども、7ページのところで、やはり自発的な活動としての遊びの大切さを改めて押さえていただけたらと思いました。それまでのところにもあちこちで大事さが書いてあるのですが、ここでもう一声入れていただくと大変よろしいかと思いました。
次は、大変細かい点なんですが、同じく7ページの注のところに、遊びが全ての教科等につながっているんだということをお知らせする意味で、幼児教育及び小学校教育関係者向けの参考資料のところに、全ての教科等に関する資料が作成、掲載されていますので、そうしたことを案内することで、特定の教科等のつながりだけではないんだよということを改めてお伝えできたらいいなと考えました。
3点目ですが、こちらは特別な配慮が必要なお子さんのところに書いていただいているところです。12ページになるかと思うんですけれども、こちらの3点目、どこに書くのが一番いいか分からないんですが、一人一人の発達に応じるとか、幼児教育と基本は同じということは踏まえた上で、従来から幼児教育で保育者の皆さんが一人一人のよさや特徴が生かされた集団を形成するとか、その中で子供同士が育ち合っていくということを大事にしてきています。このことは多分共生社会の原体験として子供たちに伝わっていくのではないかと思いますので、その辺りをどこかに入れていただけたらありがたく思いました。
そして、4点目です。同じくこの項目のところですが、専門家との協働のところで、ぜひ今申し上げた集団の教育ですとか一人一人に応じたというところは、幼児教育の専門性になるので、障害などの専門性と、それから幼児教育の専門性を出し合いながら専門家が協働して、保育、教育活動を行っていくというところがより一歩出せたらありがたいなと考えました。
以上です。よろしくお願いいたします。大変失礼しました。
【無藤座長】 ありがとうございました。それぞれ遊びの部分とか一人一人のよさ、育ち合いの問題はより詳しくしたいと思います。また、参考資料を入れたらどうかという御指摘ありがとうございました。さらに専門家としてという部分で、特に幼児教育施設においては幼児教育の専門家とともに、例えば発達障害の専門家が連携協力していくということがしばしばありますので、それについても言及したいと思います。ありがとうございました。
それでは、佐藤委員、よろしいでしょうか。
【佐藤委員】 よろしくお願いいたします。取りまとめのほう、ありがとうございました。たくさん小学校という言葉が出てくるので、身の引き締まる思いをしているところです。
幼児教育は本当に小学校の学習の基盤を築いていただいていて、遊びを通じて数や量、言葉や表現力、社会情動的スキルや非認知能力を育んでいただいたその幼稚園の園児たちを、小学校としては、そういった連携の意識をしっかりと持って受け止めて育てていくということが必要だなというふうに感じています。
また、これから小学校自体がこの学びのスタイルというものをもう一度、見詰め直していかなきゃならないというときに、まさに楽しさというか、面白さというか、そういった持っているのは、幼児教育の中で動く子供たち、そして活躍される先生たちのみとりというか、そういったものからは非常に感じるところが多いものですから、これを書かれたことが小学校にしっかりと広がっていくことが必要かなというふうに思います。その上で1点、質問をさせてください。
今、幼児教育の教育課程は非常に重たい部分を私たちは議論をさせていただいていると思うんですけれども、これは何かこの文章だけじゃなくて、リーフレットのような形で広がっていくのかと。その中でもし幼小の連携がこういうふうだといいですよというようなものとか、本当に必要なんだと、これからの学校教育も含めて全体として必要なんだというところを何か大きくアピールしていく必要があるんじゃないかなと思っているんですが、その辺りはいかがなのかなと思っています。
先日もちょっとお話しさせていただいたんですが、私の学校では小学校校内研究として、カリキュラムマネジメントということを通して、子供たちが輝いていく学びを創造しようと。割と教科を絞らずフリースタイルでいろいろ創造していくということを中心にやっているんですが、近隣の幼稚園の先生方に研究授業を見に来てくださいという形で、毎回8名とか10名とかという形で来ていただいていて、あと3回の研究授業にも来ていただくと。
その活動を通して、私としては、幼稚園の先生方に学びは先があってつながっているんだというような保育者としての喜びを感じていただきたいのと、小学校の教員の(音飛び)というか、意見をいただきながら、ああ、その視点が大事なんだなということをお互い交流できる場を今つくっているところです。
これが私は果たしてこの連携の事例としてよい事例なのかどうかちょっと分からないんですけれども、かなり先生方は、幼稚園、保育者の方々は非常に何か涙を流されるような、園で遊んでいた子が言っていたりとかするものですから、こんなふうに立派になるんだなみたいなところを含めて、いろいろ活躍を見ていただいてお声をいただいているので、私としてはちょっといいじゃないかなというふうに思っているところなんですが、そういった活動事例みたいなものを含めて、これからリーフレットみたいなもので発信していく御予定があるのかどうか、教えていただきたいなと思っています。
以上です。
【無藤座長】 幼児教育と小学校教育の具体的なつながりを図る試みが、いわゆる架け橋のところでも進んできましたけれど、その辺り、発信ということについていかがでしょうか。
【横田幼児教育企画官】 佐藤先生、御質問ありがとうございます。まず、グッドプラクティス取組例につきましては、今、幼保小の架け橋プログラム事業というものを別事業でやっているんですけれども、そちらについては文部科学省のほうで、今、3年中2年目が終わったところでも、いろいろと取組事例もホームページで掲載をしておりますので、3年目は最終年度で、年度末にはより具体的な詳細な情報も提供していけるかと思いますので、その辺りも、参考になる資料かなと今思っております。
また、この提言自体のまとめの普及啓発方法につきましては、また、文科省のホームページ等でもちろん発信していきますし、文科省の講演や研修の場においても発信をしていくんですけれども、また、その最終まとめをまとめるに当たりまして、普及啓発方法につきましても委員の先生方から御意見を頂戴したいなと考えていたところではございました。
以上になります。
【無藤座長】 ありがとうございます。いずれにしてもパンフレットやホームページや、場合によっては報告書、書物、いろんな形で発信していただけると思います。
それでは、汐見委員、お願いします。
【汐見委員】 汐見でございます。この間、前回も体がちょっと調子が、申し訳ない、欠席してしまいまして、大事な会議に出ていけなくて、その間にこういう準備をしていただいて大変感謝しております。
それで私も、きちんと読んで意見を言うべきだったなと思って今反省しているんですけども、本当にいろいろと配慮のいただいた、ある文章をつくってくださったと思っているんですが、2つだけこういうことも追加できないかということだけ申し上げさせていただきます。
体験の大切さ、具体的な体験の大切さということが初めのほうで強調されていて、もうこれはこれから決定的なカテゴリーになっていくんじゃないかと思っているんですが、友達と関わるということも強調されたということで、とても感謝していますけれども、それと関わって、日本の子供、若者たちにどうしてももうちょっとここを育てなきゃいけないという危惧が、私の頭の中にあるんです。それは、この乳幼児期から自分の思いをきちんと言葉にして他者に伝えるという力を意識的に育てていくということなんです。
先生方がたくさんの子供たちを相手にしなきゃいけないということがありますので、一人一人の子供を丁寧に聞いているということはなかなか難しいことはあると思うんですが、しかし、これからの社会というのは、本当の意味での民主主義というのがどんどん問われてくるんですが、民主主義社会というのは、自分の思いをきちんと言葉にして他者に伝えて、そして、他者が何かを言うのをきちんと他者の思いも含めて聞いた上で、何が一致し、何が異なっていくのかということを丁寧に吟味していくということがなければ、実は民主主義社会というのは成り立たないですよね。
それというのは大変面倒な営みなんですけれども、単に一緒に遊ぶということになっちゃうだけだったら、言葉の達者なことを子供が引っ張っていったりなんかするということになってしまうので、どんな子供でも小さいときから、どうしてそう思うの、へぇー、何々ちゃんどう思うのということで聞き続けるということ。
子供の幸せ度調査というのがユニセフでありましたけども、あれで評価の高いオランダとかデンマークはもうその点が徹底しているんです。ベビーカーに乗っている赤ちゃんにもお母さんは、必ずあなたどう思うのと聞いているという、ある本で書いてあって、日本人がびっくりしたということがありますけども、学校でも先生が何か言ったことをちゃんと覚えているかどうかテストするんじゃなくて、子供たちが自分の思いを言い合うということが授業の基本スタイルだそうです。
ですから、私は、日本の社会を本当の政治に対して皆さんが参加しなくなっている、若い人たちが、そういうのをどう克服していくかということも念頭に置きながら、自分の気持ちを言葉にしていくということを丁寧に励ますという、そのことをどこかに一言でもいいのでちょっと入れていただけないかというのが一つのお願いであります。
OECDのキー・コンピテンシーなんかでも相互作用的という言葉がかなり使われているんですが、やっぱりやり取りをしなければ民主主義はつくれないという意識がやっぱりかなりあるような気がいたします。
それから2つ目は、私は保育所にも関わることが多いんですが、保育所の今大きなテーマは保護者支援なんですよね。実は具体的な体験、自然の中でいろいろ虫を取って遊んだとか、落とし穴をつくって遊んだとか、森の中へ行っていろいろ葉っぱを集めて何とかという、そういう自然の中で遊ぶと予期せぬいろんなことと出会うわけですよね。この予期する、いろんなことと出会いながら、それを上手に処理していく力がいわゆる非認知的能力なんですけども、そういう体験が今実は親になっている20代、30代の世代が子供の頃ほとんどもうしなくなっているということが大きな問題になってきているわけです。
これは実は若い保育者も同じような問題抱えていて、私、ぐうたら村というところで、若いその先生方の卵を自然の中で一回体験するというのは、私の友人のコニシ君がいろいろやっていますけれども、例えばちょっと森の中を歩いても、そこにカエルが卵を生んでいったらきゃあと言ってしまって、それをなかなか触れないというのが10人中9人ですよね。そういう世代が実はもう保育者にもなっていますし、実は親にもなっています。
ですから、子供とこういうところで一緒に自然の中で遊ぼうといっても、親自身がやめてちょうだいってなっちゃうということがやっぱり大きなネックになっちゃっているんですよね。私はですから、保護者支援というのは、実は保護者が子供と一緒に自然の中で楽しく遊ぶというようなことができるように応援していくというか、そういうことも含めて、だから、保育参加ということをかなりやっぱりこれから強調していかなきゃいけないという時代になっていると思うんですが、そういう意味で保護者への支援というのが、実は子供と一緒になって自然の中でいろいろ遊ぶ、体験的に遊んでいくということをお母さんたちが喜んでやれるような、そういうふうな力をつけていくというようなことが、実は保護者支援になっていくということが僕はあると思っていまして、幼稚園でも何かそういう、幼稚園大変ですけど、一人の先生がたくさん見なきゃいけないとか条件はやっぱり厳しいと思うんですが、ただ、関わっている幼稚園なんか見ていると、やっぱりもういろんなことは全部保護者に、行事も任せてやっているというところもたくさんあって、そういうことで育っているお母さん方がすごい育ち方をするということも分かっていますので、何か一言、何かそういうことについて書いていただければということがもう一つのお願いです。
以上2点です。
【無藤座長】 ありがとうございました。自分の思いを言葉にして他者に伝え、また、それを聞き続ける関係こそがデモクラシーの基盤だと思いますので、そこをもう少しはっきりさせることと、保護者支援の重要性、言うまでもないんですけれど、そもそももう保護者、親の世代、保育者、若い保育者の世代においての体験の不足を含めて支援を考えることというふうに思いますので、ありがとうございました。
残りの時間で今度は第3章ということです。すみません、司会がゆっくりしてしまって押してきているんですけれど、御意見を伺いたいと思います。残り30分弱ですので、できる限り簡潔に御指摘をいただいて、細かい1ページごとの指摘は別な形でメール等でお送りいただくことをお願いしたいと思っております。
それでは、坂﨑委員からよろしいですか。
【坂﨑委員】 第3章です。20ページに人口減少のことを書いてくださったことはとてもありがたいと思いました。それで、今後ということになっているわけですけれども、人口減少の幼児教育施設の考え方というのは、(1)地方自治体における幼児教育担当部局の在り方と直接関わってくると考えます。 (2)今後の幼児教育施設の在り方ということもありますけれども、現状でここにぶつかっており現実的な話をすると、幼稚園は相当少なくなりましたし、これから先だといわゆる保育所、こども園もということも削減されていくと考えますと、幼児教育施設の在り方そうですけど、そこは地方自治体とか幼児教育施設にどういうふうに関わるかということが一つの観点なので、そこはどうに表記をするのかなと思いました。
もう一つは、幼保小の架け橋プログラム等が書かれている中で、22ページに公開保育が書かれて、23ページに架け橋プログラムには書かれていない。先ほどの第1章、第2章でいわゆる教育実践を見合うということを考えていくと、それは架け橋プログラムのほうにも関わっていることなので、公開保育を幼保小の架け橋プログラムのほうにも入れる必要があるのではないかなと思いました。
以上です。
【無藤座長】 人口減少の問題、深刻ですので、それが幼児教育施設にもちろん直接関わりますけれど、どこまで自治体全体のことに言及するかはともかく触れたいと思います。
それから、公開保育については、架け橋についても今後特に重要になってきますので、つなぎたいと思います。ありがとうございます。
それでは、田中委員、お願いします。
【田中委員】 失礼します。私のほうからは、23ページの幼保小の架け橋プログラムの推進のところに書かれている2つ目の丸です。「教育委員会が中心となり」ということで書き加えていただいています。
実際に、各市町で教育長がこういう取組を主導されるとか、あるいは小学校教育の担当課が熱心だと、取組が進んでいくというような状況もお聞きしています。ただ、教育委員会の中でも、幼児教育の担当課は熱心だけれども、それだけではなかなか進めにくいんだという状況もお聞きします。例えば、小学校教育の担当課は、今は小中接続に関心が寄っていて、幼保小の接続については、まだまだ関心がちょっと薄い状況なんですというお話を伺ったりします。小学校教育の担当課の積極的な姿勢の重要性みたいなものをいま一歩踏み込んで書いていけないかなということを感じました。
以上です。
【無藤座長】 ありがとうございます。確かに架け橋をめぐって、幼児教育側が熱心な地域が非常に多いと思いますが、小学校教育のほうは熱心な地域もあるけれども、必ずしも十分熱意を持っているとは見えないというか、問題としてあまり意識されていないというのか、それが変われば一気に動きますので、何らかの形で触れたいと思います。ありがとうございます。
では、秋田委員、お願いします。
【秋田座長代理】 ありがとうございます。大きくは2点です。
1点目は、今、坂﨑委員や田中委員が言われたところで、「教育委員会が中心となり」ということは入れていただいてよかったんですけれども、今、私はいろんな小学校の先生が、なぜ幼保小連携接続が難しいと思っているのかの個別インタビューをいろいろなところでさせていただいています。その中で語られるのが、子供課とか首長部局に全部幼児教育絡みの所掌が移っているがゆえに難しくなっているというお話を特に小さな市町では伺うところです。
なので、教育委員会が中心となりながら、「首長部局の担当課と連携をし」などをきちっと入れていただくということが、もちろん教育の接続ですので、教育委員会が中心ということは大事なんですけれども、首長部局が本当に大事に入ってくれないとできないんだよということをメッセージとして入れていただくということが大事かと思います。
それから22ページ、23ページあたりの研修のところでございます。部科学省並びに教職員支援機構(NITS)では、今回新たに、5月に「新たな研修観の転換」という「豊かな気付きの醸成」という冊子を出してございます。そこでは、参加者が学びの主人公になる研修ということが、要するに学習指導要領で荒瀬先生が学びの主人公は児童生徒だって言ったのと同じように、研修は、委員会や様々なセンターが企画はするんだけれど、主人公は参加者であるということを明確にすべきであり、そこで一番大事にされることは、気づきであるということを明確にした冊子を既にオンライン上でも出しています。
ところが、この幼児教育のところの報告を見ますと、センターが企画するとか、そういうことでいろんなことがやられているという現状は、22ページのところの冒頭にも自治体が主催する研修や、それから幼稚園施設における園内研修の公開保育などが行われているということが書かれているんですけれど、最終的に、そこにおいて研修参加者が主人公となり自分が気づき、考えることができるような研修を目指していくということが書かれないのです。そうしますと、往還型でもうまくいっているところは参加者が、まさに自分事になって考えたり深めているから研修で気づきが多いわけで、型が問題なんじゃなくて、そこにおいてやはりその主人公が参加者だという理念を先ほど奈須委員がやはり、学びの主人公が子供ということを言われましたが、今全体で文部科学省の文章はこのような形でつくられているので、幼児教育でもやっぱり研修の参加者が主体って当たり前のことですけれど、そこをきちんと書き込んでおくことが、体制づくりとしては、もちろんいろんな組織がつくるんですけど、企画にも参加したり、いろんな声を発信していくということが書き込めるといいのではないかと思いました。
以上です。
【無藤座長】 ありがとうございます。まず接続、架け橋について教育委員会とともに首長部局に、特に保育所などの機能が移っている場合が多いので、当然ながら両方が密に協力するということを書き入れたいと思います。それから研修についてはまさに御指摘のとおりで、参加者が与えられる形から、参加者自身が自ら自分たちは何を学ぼうとするかを考えながら学んでいって、かつ例えば自分たちの保育、自分たちの園の保育をどう変えていくかということを考える機会にするという方向が今目指されてきたと思うので、そういう先駆的取組もいろいろあると思いますので、ぜひそれについては触れたいと思います。ありがとうございました。
それでは、大豆生田委員、お願いします。
【大豆生田委員】 私、3点お願いします。1つ目は往還的な研修のことについて入れていただいてありがとうございます。この文章の最後のところに、園内研修を高めるということになっているんですけど、園内研修だけではなくて、その地域全体の保育の質を高めるということにつながるということが往還型研修の一つで、今、秋田先生おっしゃられたことそのとおりで、私は往還型の研修の説明の中で、自分のテーマを自分で決めるということです。何を私がやりたいというふうに考えたかということなので、まさにその点を入れていただけるとつながるなというふうに思いましたということが1つ目です。
2つ目、研修コーディネーターのことですけれども、この点で注釈のところにECEQのことを挙げてくださっているんですけれども、ECEQだけではなくて、あちこちの自治体で今そういう独自の取組を始めているので、ECEQだけがモデルではなくて、多様な取組があるということも注釈で入れていただけるとありがたいです。
3点目ですけれども、先ほどから出ているその公開保育のことなんですけれども、公開保育とかこの往還型もそうなんですけれども、幼保と小が一緒にできるということを入れていただくということが大事なことであると同時に、公開保育のハードルを下げるという言い方が適切な言葉かどうか分かりませんけれども、もっとこれから自分たちの保育を見せ合うということが、もっとその日常的にできるようにしていくことも必要。その準備だとかハードルの高さゆえに、公開保育が広がりにくかったということがあると思いますので、そうした旨もどこかに加えていただけるとよいかなと思いました。
以上3点です。すみません、先に授業補講があるので失礼してしまいます。ありがとうございました。
【無藤座長】 ありがとうございます。最初に研修をテーマ、研修を受ける人たち自身が考えるという方向ですね。2番目は、研修コーディネーターというのは要するにいろんな研修を調整してつくっていく、あるいはサポートする仕事を行政の中でつくったり、民間としてつくったりいろいろという試みが全国に今広がっていると思いますので、それについて触れること。それから3番目は公開保育というのが、伝統的に言うとすごいすばらしい実践をしている園や学校がお手本として見せるというニュアンスがあって、それをする側の負担も高かったと思うんですけれど、そうではなくて優れた保育事業には違いないと思いますけれど、それを見に来る人と一緒にそれを素材にして考える場にしていこうと、そういう方向だと理解しています。
そういう意味では公開保育という言い方がいいかどうかもあれですけど、変わることも今はないんですが、そういう点が分かるようにしたいと思います。ありがとうございます。
では、岸野委員、お願いします。
【岸野委員】 失礼します。1点だけ意見申し上げたいと思います。
先ほどの秋田委員や大豆生田委員からの指摘と重なりますが、具体的なところで、22ページの一番上のところの「効果的な研修の一つとして」というところなんですけれども、「研修で学んだ内容を現場で実践し」というところなんですが、この表現だとやはり研修で学んだ理論とか伝達されたことを現場に適用するというようなニュアンスが強いように思います。
もちろんそういった理論と実践の往還ということは大事ではあるんですけれども、先ほどの議論も踏まえるとやはり実践と省察の往還というところが重要ではないかと思いますので、「研修を通して自分自身の実践や自園での実践を省察し、考えたことや学んだことを現場で実践して」というような表現のほうがいいのではないかなというふうに思いました。
すみません、具体的なところで以上です。
【無藤座長】 ありがとうございました。研修がそのように、現場の実践における省察の機会を広げていくとかつくり出していく。その一つの契機になっていくということを含めての御指摘だと思います。ありがとうございます。
では、古賀委員、お願いします。
【古賀委員】 幼保小の架け橋プログラムに関する連携組織について申し上げたいと思います。もう一歩書き込んでいただけたらということなんですけれども、しっかり取り組んでいる地域については、多様な幼児教育施設が小学校を場に、膝を付き合わせる対話的で協働的な研修を行うことが可能になってきていると思いますけれども、小学校区、地域によっては中学校区での連携組織を教育委員会がある程度、支援的に形成できるように整理して示すというようなことも重要だと思います。もちろん、地域に架け橋期コーディネーターがいることも書かれていて、それも重要なんですけれども、連携先が多いところについては、特に学校現場の先生の業務負担が大きく、今後の働き方改革のさらなる展開ということも言われておりますので、その辺りも見据えて連携・接続主任を学区、学校単位で置くとか、しっかりとその組織間の連携を担っていく人がいる学校内の組織づくりについても検討が必要ではないかと思います。
また、私立を含めた各幼児教育施設においても、窓口となる人が必要になるので、その情報共有も教育委員会が間に入って情報の取りまとめをするなどの工夫が必要になります。京都市では、先進地域だけではなく、全小学校区で架け橋の取組を進める今後の展開のために、先日、全小学校区の幼児教育施設を含めた連絡先窓口リストができて、それが配布されました。これは一つのやり方ではありますけれども、全国の全学区で着実にこの架け橋の取組を展開していくに当たって、各地域に応じた組織的な展開を可能にする連携組織、連携・連絡の工夫の在り方について、教育委員会が中心となりながらしっかりと検討を進めていくことが求められるのではないかと思っております。
以上です。
【無藤座長】 ありがとうございます。連携・接続、架け橋などについては、基本的には教育委員会がある程度責任持ちながら、例えば小学校区とか中学校区を単位として、そこにある全ての幼児教育関連施設と小学校、中学校がつながるという仕組みが恐らく構築されるべきだと思うんですが、御指摘のようにそこで一つネックになるのは、手間の大変さなんですけれど、幼児教育側では、今小学校との接続を図る担当者を置くということについての支援も進んできていますけれど、それを全ての幼稚園、保育園、こども園で可能にすることとともに、小学校側でもそういう役を担う人を置いている地域も実はありますけれども、必ずしも全てではないので、ある程度、要するに規模が大きい校区の場合に例えば一つの校区に10園、20園あるということはざらなので、そこで平等に全ての先生がというわけにもいかない中で、校長、教頭、主任などの役の一つとしてそういうものが必要に恐らくなっていくと。
そこを教育委員会として考え、あるいは文科省が支援することもぜひお願いしたいというふうに思いますので、そこら辺も書き入れたいと思います。あと少しだけ時間あるんですが、ぜひということはございますでしょうか。汐見さん、見えました、汐見委員、お願いします。
【汐見委員】 簡単に言います。22ページのところに、幼児教育センターの設置、幼児教育アドバイザー等の配置、活用とございますが、ここについて一言だけなんですが、私、幾つかのところと関わって、幼児教育センターをつくってアドバイザーを配置するといっても、実際は元どこかの幼稚園の園長とかそういう方がなると、いろんな類型のあれがよく分からないということもあったり、それから、その人の保育観だとか何とかということに対して、言わばちょっと違うその趣旨でやっているところに対してうまく関われないとかいろんな問題があって、私は実はある東京の小さな自治体の中で幼児教育センターをつくるということでその人選を全部頼まれたんですけども、ある大学の教授クラスの人を幼児教育センターに抜てきしました。
幼児教育センターの中心メンバーは、私は大学の教員と同じぐらいの力量のある人でないと無理だというふうに思ったからなんです。その代わり、その人は研究者としても処遇するということで、例えば科研費申請だとかそういうことも全部可能になるというような制度をつくっていただいて、幼児教育センターで研究的活動を営むということも保障してもらったんですよね。
それで今いろんなところを回っていただいて、研究者ですから、自分の考えを押しつけるのはそんな拙速なことはしないでなるほどということで、今、少しずつ少しずつ、いろんなところの研修を協働でやろうということで動いてくださっていまして、やはりそういう自分の研究にもなるような、研究者クラスの人が幼児教育センターのセンター長にいるということが、長期的に見たときにその自治体の幼児教育体制を高めていく上ではとても大事じゃないかと思っています。
ですから、これは一つの例なんですけども、幼児教育センターの人材というものをどういうふうに考えて配置していくかというあたりについて、書きにくいと思うんですけど、何か一言、やっぱりそのかなりの専門家が必要だということは、何かちょっと頭出しだけでもしていただければというのがお願いでした。
以上です。
【無藤座長】 幼児教育センターの充実、数として全国に広げるとともにその中身の質の充実というのがそろそろ求められてきていると思うんですが、御指摘のように、そのセンターそのものを担うセンター長なり、センター員なりというものが十分幼児教育、あるいは架け橋を理解するという可能性と、それから、多くの場合にそのセンターのさらに下というんですか、組織の中でアドバイザーというものを置く場合が多いと思うんですが、そのアドバイザーについての研修をどう進めるかと。その大きな2つの課題が見えてきたと思いますので、これについても幼児教育センターを推進するというのは文科省側だと思うんですけれど、こども家庭庁とも協力しながらぜひ今年度どこまで進めるか分からないんですけれども、踏み込んで少なくとも記述したいと思っております。ありがとうございました。
大体時間になってきたので、取りあえずよろしいですか。それでは、今日、すみません、最後駆け足になってしまって、せかしてしまいましたけれど、ここまでにさせていただきたいと思います。
なお、特に細かい文言等については、いろいろ御意見あると思いますので、お気づきの点はメールでぜひお寄せください。その上でなんですけれども、本日、基本的な御意見頂戴できたと思いますので、それを踏まえまして、私のほうで必要な修正をさせていただきたいと思います。そしてそれを中間整理、今までは中間整理案ですけれども、それを中間整理として取りまとめ、そして、その概略資料を作成するということをしたいと思います。そのことについて、私に御一任いただいて、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【無藤座長】 ありがとうございました。それでは、本日いただいた御意見を踏まえまして、中間整理を取りまとめて、その概略資料を作成して、追ってそれを事務局から委員の皆様に御連絡させていただきたいと思います。ただ、先ほど申し上げたように細かい、ここで言葉がとかという辺りを修正できないということはないので、8月から9月にかけて、そういう細かいところは修正できるようにしたいと思います。
それでは、最後に、事務局より連絡事項をよろしくお願いいたします。
【横田幼児教育企画官】 次回の有識者検討会は、資料2のとおり、8月9日15時半から17時半を予定しております。中間整理に関する関係団体の皆様からのヒアリングを行う予定です。どうぞよろしくお願いいたします。
【無藤座長】 今、目の前にスケジュールがありますけれど、8月、2回用意されているところで団体ヒアリング、幼稚園、保育園、こども園の関係の皆様にインタビューをさせていただくということでありますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日予定した議事は全て終了いたしましたので、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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