当サイトではJavaScriptを使用しております。ご利用のブラウザ環境によっては、機能が一部限定される場合があります。
ブラウザの設定でJavaScriptを有効にしていただくことにより、より快適にご利用いただけます。

盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和6年8月30日)

令和6年8月30日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ

キーワード

岐阜県飛騨市の東京大学宇宙線研究所の視察,電気通信事業関連4団体に対する、学校のネットワークの改善に向けた協力に関する要請,不登校児童生徒の学習成果の成績評価に係る法令改正,いじめの重大事態の調査に関するガイドラインの改訂,鈴木孝幸選手によるパリ・パラリンピック第1号の金メダル獲得,令和7年度概算要求のポイント,教師を取り巻く環境整備総合推進パッケージ,教職調整額の引き上げ

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和6年8月30日(金曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年8月30日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和6年8月30日盛山正仁文部科学大臣記者会見((注記)「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
今日はちょっと多くて5件ございます。一昨日28日ですが、岐阜県飛騨市にあります東京大学宇宙線研究所を訪問いたしました。同研究所では、「ハイパーカミオカンデ」、「スーパーカミオカンデ」、大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」を視察しました。地下空間に広がる巨大な装置を目の当たりにし、世界のニュートリノ研究を我が国が先導してきたことを改めて実感するとともに、深い感銘を受けました。また、都竹飛騨市長などと意見交換を行い、世界最先端の研究活動への長きにわたる地域全体での御協力に対し、感謝を申し上げました。今回の視察も踏まえ、引き続き、我が国の研究力強化に向けた学術研究施策の充実に努めてまいります。
2点目です。昨日29日、学校規模等に対応した高速な通信サービスが選択可能となるよう、私、松本総務大臣、河野デジタル大臣の3大臣の連名で、電気通信事業関連4団体に対して協力を要請いたしました。要請の場においては、各団体の皆様からも前向きな回答をいただいたところであります。子供たちの教育環境の充実に向けた学校ネットワークの改善に御協力いただけることに感謝申し上げたいと考えております。現在、文部科学省が定めた「当面の推奨帯域」を満たす学校は残念ながら2割程度にとどまっております。今後、事業者等の御協力もいただきながら、学校のネットワーク環境の改善に取り組んでまいります。
3件目です。不登校児童生徒の中には、教育支援センターやフリースクール等の学校外の機関や自宅等で懸命に学習を続けている児童生徒もおり、このような児童生徒の努力を学校として評価し、支援することが重要と考えております。不登校児童生徒の学習成果の評価については、これまでも、通知を踏まえ、各学校において行われてきたところでありますが、不登校児童生徒の努力の成果の適切な評価を一層促進するため、昨日29日付けで、学校教育法施行規則の改正等を行い、一定の要件の下で、不登校児童生徒の学習成果について、成績評価を行うことができることを、法令上、明確化いたしました。今後、誰一人取り残されない学びの充実に向けて、今回の省令改正の趣旨や内容の周知・情報発信に努めてまいります。
4件目です。令和4年度に、いじめの重大事態の発生件数が過去最多となったほか、各教育委員会や学校における対応についても、様々な課題があったこと等を踏まえ、本日、「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」を改訂することといたしました。今般の改訂では、いじめの重大事態の発生を未然に防止するため、学校いじめ対策組織が平時から実効的な役割を果たし、学校設置者とも連携した対応を行うために必要な取組を記載したほか、重大事態調査において第三者が調査すべきケースを具体的に示すとともに、第三者性の確保に関する考え方を記載するとともに、調査の際の児童生徒等に対する事前説明の手順や説明事項の記載、調査すべき項目の明確化等を図ったところであります。文部科学省としては、今後、教育委員会や学校等における円滑かつ適切な重大事態調査の実施や、いじめを受けた児童生徒・保護者等に寄り添った対応を促すため、今般のガイドラインの改訂について、様々な機会を通じ、周知徹底に努めてまいります。
最後の5点目です。28日、日本時間では29日未明でございましたが、開幕いたしました、そして、昨日から競技が始まりましたパリのパラリンピックにおきまして、もう皆様御案内のとおりですが、競泳の鈴木孝幸選手が今大会第1号となる金メダルを獲得されたという大変嬉しいニュースが入りました。鈴木選手自身が持つ記録を更新し、日本新記録での金メダル、そしてパラリンピック通算11個目のメダルを獲得されたと承知しております。様々なプレッシャーに打ち勝ち、戦い抜かれたことに、深く敬意を表する次第です。大会はまだ始まったばかりであります。引き続き選手の皆さんが、日頃の厳しい練習の成果を思う存分発揮されて、そしてまたその姿を通じて、日本中に勇気と感動を届けてくれることを期待しているということでございます。以上です。

記者)
昨日、来年度の概算要求が公表されました。特に力を入れた点や狙いについて教えてください。

大臣)
どれも大事なのですけれども、今回の令和7年度概算要求においては、骨太2024も踏まえた上で、総額5兆9,530億円、前年度予算額と比較して6,146億円増額の要求を行っています。その他にも事項要求というものがございます。その中では、例えば、教職調整額の改善をはじめとした教師の処遇改善や学校における働き方改革の更なる加速化、学校の指導・運営体制の充実、教師の育成支援の一体的・総合的な推進といったようなもの、あるいは持続可能な教育研究機能の強化に向けた、国立大学法人運営費交付金や私学助成等の基盤的経費の十分な確保と改革インセンティブとなる重点配分の徹底、そして私が取りまとめました「博士人材活躍プラン」に基づく取組の拡充、そして今話題でございます次世代半導体の研究開発・基盤整備・人材育成、そして先ほどもパラリンピックの話をしましたが、スポーツの関係で、2025年世界陸上・デフリンピック、2026年ミラノ・コルティナ大会等に向けた国際競技力の向上、文化財の保存・活用や多様な文化芸術の創造・発信等に必要な経費を盛り込んでおります。これらを含め、いずれも大事なものでございます。全ての項目について、必要な予算をしっかり確保でき、そしてそれによって施策を十分に実行することができるよう、文部科学省一丸となって全力で取り組むつもりでございます。以上です。

記者)
昨日、「教師を取り巻く環境整備推進本部」、大臣が本部長だと思いますが開かれて、「総合推進パッケージ」がまとまったかと思いますけれども、特に今後大事なのはこれをどう実行していくのか、どう実効性を持たせるかということだと思うのですが、それについての大臣の、案を作っただけではなくてどう実行していくかというお考えや意気込みなどがありましたらお願いします。

大臣)
昨日、今御指摘あったとおり、私が本部長でございます「教師を取り巻く環境整備推進本部」というものを設置し、そこで「総合推進パッケージ」というのを取りまとめたところであります。作文するだけでは駄目だというのは御指摘のとおりでございますので、これからどうするかということになりますが、先日の中教審の答申を踏まえて、学校における働き方改革の更なる加速化、学校の指導・運営体制の充実、教師の処遇改善を一体的・総合的に推進する、これをどのように実行していくかということではないかと思います。働き方改革については、時間外在校等時間が減少するという成果、データ的にも明らかにはなりつつあるところでございますけれども、それをもっと抜本的に実現していかなくてはならないのではないかという御批判もございます。教育委員会における取組状況に差が見られるといったような課題もございます。こういったことで、各教育委員会における時間外在校等時間や取組状況を公表する仕組みを構築する、PDCAサイクルの強化を図る、そして令和7年度概算要求においては、働き方改革に関する知見を有するサポーターの派遣による学校への伴走型支援、あるいは行政による学校問題解決のための支援体制の構築、次世代校務デジタルトランスフォーメーション環境の全国的な整備に向けた支援等に必要な経費を計上しております。こういったことも含めて、学校における働き方改革の更なる加速化を一層推進、一層具体化していきたいと考えています。また、指導・運営体制の充実や処遇の改善についても、予算で要求しているところでございますけれども、こういった課題を着実に乗り越えていくということで、こういった施策というものを前面に、前に進めていくことができるのではないかと我々は考えております。

記者)
教師の処遇改善の件についてお伺いします。今回、調整額を13%とした根拠についてお伺いしたいということと、また、教科担任などの加配を増やすことについては歓迎の声が上がっていますけれども、一方で人員を確保できるのかという疑問の声も上がっています。今後どのように取り組んでいかれるのかということについてお伺いできますでしょうか。

大臣)
とにかく、これまでの通常国会その他でも、よくこの辺については、私だけではなくて総理に対してもいろんな御質問が来ていたところでございます。また、それから先ほども申しました中教審の答申、ここでも働き方改革の加速化、指導・運営体制の充実に合わせて、教職調整額の引き上げという教師の処遇改善の必要性が提言されているところです。それに対してということで、私たちが数字の形で予算要求をしているのが、この13%へのアップということになるわけでございます。その内容ということ、根拠ということでございますけれども、人材確保法におきましては、一般行政職の公務員の給与水準に比較して教師の処遇について優遇措置が講じられなければならないとされているところでありますけれども、それ以来、人材確保法に伴う処遇改善ができましたのは昭和55年なのですけれども、そのときが過去最高水準である約7%の優遇分が確保されたということになります。現在、この優遇分が現実的には他の職員の方と比べてわずかになっているということもありますので、教職調整額の率を13%に引き上げるということで、当時の水準を上回る優遇分が確保できることにはなるのではないかなと考えているということで、13としたわけでございます。もう少し具体的なということについては御担当のほうとちょっとやっていただければありがたいと思います。それから、実際に教師を確保できるのかということでございますが、これについても私たちはしっかりと要求をして確保できるようにして、そうでなければやはり現場が大変でございますので、そういう問題意識は我々も持っておりますから、財政当局と折衝し、そしてまた多くの意欲のある方に教員になっていただく、あるいは一度教師になられて辞めておられる方もいらっしゃいますので、そういう方にも復帰していただく、こういうことを図っていきたいと考えています。

記者)
2点ございます。今、最後のほうにおっしゃったこととちょっとかぶってしまうのですけれども、まさに今回の概算で示された給特法の改善、調整額の改善、そして処遇改善、あと指導・運営体制の拡充、ここについてまさにどういう現場の方々に対する思いを込めていらっしゃるのか、現場が大変だと今おっしゃっていましたけれども、改めてこの節目でどう思っていらっしゃるのかというところをお聞かせいただければと思います。
あと1点、話が変わって最初におっしゃっていたいじめのガイドラインの改訂について、いじめ事案の重大事態としながらも文科省への報告を行っていなかったような事案というのが昨今もあったように、いじめ防止対策推進法の趣旨についても未だ周知徹底、浸透しきっていないような現状だと思うのですけれども、学校現場も管理職も含めて働き方改革が進んでいる中で、現場側への更なる周知徹底、浸透のあり方について大臣は今どうお考えなのかということを付随してお伺いできればと思います。

大臣)
最初の部分は結果を見てもらうしかないということに尽きると思いますが、我々としてはいろいろ御議論がある中でこのような予算要求の形を出しているわけでございますから、我々文部科学省としても処遇改善だけではないわけでありますけれども、働き方改革と指導・運営体制、こういったところを合わせて取り組んでいくということで、私たちは頑張ろうとしているわけでございます。まずは金を取るというのも必要、財政当局との折衝がありますけれども、そういうことを含めて現実にどう変わっていくのか、それを教育関係者の方々にも見守っていただくということではないかと思います。また、そういった折衝の状況その他についても、記者の方々をはじめ、なぜどういうふうになっているのか、なかなか財政当局がうんと言わないのかも含めて、世の中全体で我々文部科学の分野だけではなく、財政当局も含めた日本全体としてどういう目で見ているのか、そういうことも考えていただければいいのではないかなと思います。
それから、いじめの話でございますけれども、今回ガイドラインを改訂をしてその内容の趣旨、そういったものについては各教育委員会ですとか学校にしっかり理解してもらえるよういろいろやってまいります。具体的には、全国の生徒指導担当者向けの説明会の開催、あるいは教育委員会が実施する研修会等への講師の派遣、こういったことはやっていきますけれども、やはり紙さえ作ればいい、指示さえ出せばいいという問題ではないというのはそのとおりでございます。現場の教育委員会であり学校の先生方にも他山の石として、他のところでこういうことが起こっている、こういう問題になっているということをよく御理解をしていただいて、他人事ではなく自分事として、そういう事案が自分のところで起こった場合にどうしなければならないのか、そういうことに理解を一層深めていただくことが必要ではないかなと思います。以上です。

記者)
教職調整額の件で関連して質問なのですけれども、今回は13%に上げるというところで、上げた分というのがどれぐらいの額になるのかというところと、それは純粋に増えるという認識でよろしいのでしょうか。というのも、財務省としてはあくまで増やすのであれば既存の文科省予算の中でやりくりしてほしいというようなスタンスかと思うのですけれども、そういうことではないという認識でよろしいでしょうか。

大臣)
我々としては、他を削ってここだけ増やすということ、そんな考えは全く毛頭持っておりませんので、当然増額の要求ということになります。具体的な金額ベースでいきますと、約190億円でございます。少し少ないなとお感じになると思いますが、これは令和8年の1月から3月までの3カ月分の追加的な所要額ということでの要求、190億でございます。逆に言うと、通年ベースでいくらになるのかと言うと、これは期末勤勉手当、こういうのもありますので、そういったものも含めますと、国費としては、1,000億を超える金額になる、これをどのように確保していくのか、今回だけでは当然ないわけですから、そういったことを含めての厳しい折衝が財政当局とこれからしっかり取り組まないといけない、そういう課題に直面しているということでございます。

記者)
冒頭発言でもありました不登校の児童生徒のサポート、校内のセンターに通っていらっしゃる方も多いということですけれども、夏休み明けでまた不登校、学校に行きたくないという児童生徒の方も増えると思われます。ただ、なかなか不登校の児童生徒さんに対する理解というものが世間でもまだ途上かなということで、今回の取組に関して改めて大臣の狙いをお聞かせ願えればと思います。

大臣)
例年のことでありますが、夏休み明けというタイミングで、長期の休みなものですから、そこで学校に行くのがちょっと億劫になるというお子さんが多いというのが例年の傾向でございます。今年も同じであるというふうに、今そんなことは断言はできないわけですが、やはりそういうふうになる可能性も高かろうということで、今回、不登校についての対策を新たにしたということでございます。それで、どういうふうにしていくのがいいのかということで、やはり不登校児童について成績の評価、そういうものをやはり入れてほしい、入れるべきではないか、こういうようなお声がやはりあるものですから、そうでないという御意見も実は中にはございましたけれども、多くの方はやはりそれは評価をしていくべきではないか、それが不登校から立ち直るきっかけになる、そんなふうに考えられるということでございますので、こういうような対策をとったということであります。趣旨については丁寧な周知・情報発信をこれから図っていきたいと、それによってできるだけ多くのお子さんに、とりあえず教育支援センターやフリースクール、こういう学校外の機関に行っている方についても、少しずつそういった内容を評価した上で、少しずつ学校に戻ってきていただきたいということでございます。以上です。

(了)

お問合せ先

大臣官房総務課広報室

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /