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「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」令和6年8月29日

6文科初第1126号
令和6年8月29日

各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長
各都道府県知事
附属学校を置く各国公立大学法人学長
構造改革特別区域法第12条第1項の認定
を受けた各地方公共団体の長 殿



文部科学省初等中等教育局長
望月 禎
(公印省略)

不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)


不登校児童生徒の中には、教育支援センター等の公的機関やフリースクール等の民間施設等の学校外の機関(以下、「学校外の機関」という。)や自宅等において懸命に学習を続けている者もおり、このような児童生徒の努力を学校として積極的に評価していくことが重要です。こうした観点から、これまでも「不登校児童生徒への支援の在り方について」(令和元年10月25日付け文部科学省初等中等教育局長通知)(以下、「令和元年通知」という。)において、我が国の義務教育制度を前提としつつ、不登校児童生徒の欠席中の学習成果に対して学習評価を適切に実施し、その結果を不登校児童生徒に積極的に伝えることの意義等について周知を行ってきたところです。

現在、義務教育段階の不登校児童生徒の数は10年連続で増加しており、特に令和3年度、令和4年度には2年連続で20万人を超えて過去最多を更新しています。他方、学校外の機関等で相談・指導等を受けたり、自宅においてICT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いされる児童生徒の数も増加傾向にあります。
また、令和5年3月に取りまとめた「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」(令和5年3月31日文部科学大臣決定)においては、不登校児童生徒が教育支援センターや自宅等で行った学習の成果が成績に反映されるようにすることとしており、「経済財政運営と改革の基本方針2023」(令和5年6月16日閣議決定)においても、教室外の学習成果の成績反映を促すための法令上の措置を行うこととしております。
これらを踏まえ、今般、不登校児童生徒の努力の成果の適切な評価を促進するため、学校教育法施行規則の一部を改正する省令(令和6年文部科学省令第24号。以下「本省令」という。)及び不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果を成績に反映する場合を定める告示(令和6年文部科学省告示第127号。以下「本告示」という。)を別添2、別添3の通り令和6年8月29日に公布し、同日付で施行しました。
本改正の趣旨、概要及び留意すべき事項は下記のとおりですので、都道府県・指定都市教育委員会にあっては、所管の学校及び域内の市区町村教育委員会等に対し、都道府県にあっては所管の学校法人及び私立学校に対し、附属学校を置く国立大学法人及び附属学校を置く公立大学法人にあっては附属学校に対し、構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体にあっては認可した学校に対し周知するようお願いします。
なお、周知にあたっては、例えば、教育委員会主催の管理職・教員研修の場において配布するなど、各教育委員会等において効果的な周知の工夫を行っていただきますよう、お願い申し上げます。

1.不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果の成績評価に係る学校教育法施行規則の改正について


(1)本省令の概要及び趣旨について
不登校児童生徒の中には、学校外の機関や自宅等において相談・指導を受け、社会的な自立に向けて懸命の努力を続けている者もいる。
我が国の義務教育制度を前提としつつ、このような児童生徒の努力を学校として評価し、支援することは重要であり、不登校児童生徒の学習の成果の成績評価を適切に行い、指導要録に記入したり、評価の結果を通知表等により、当該児童生徒や保護者、学校外の機関等に積極的に伝えることは、当該児童生徒の学習意欲に応え、自立を支援する上で意義が大きいこと。
このため、不登校児童生徒について成績評価を行うにあたっては、本通知2.の文部科学大臣が定める要件の下、学校の判断で不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果を考慮することができることとすること。
なお、令和元年通知にあるとおり、本省令の施行前においても、不登校児童生徒の成績評価を行うことは可能であり、本改正は令和元年通知の内容を法令上明確化するものであること。

(2)本省令の対象について
本省令は、小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校前期課程、特別支援学校小学部・中学部に在籍しつつも、何らかの心理的、情緒的、身体的もしくは社会的要因又は背景によって、学校生活への適応が困難であるため相当の期間出席しない又はすることができない状況にある不登校児童生徒が行う学習について、成績評価を行うことができるとしているものであること。不登校であるか否かは、「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」における年間30日以上の欠席という定義が一つの参考になるが、その判断は学校又はその設置者が行うこととし、例えば不登校の傾向が見られる児童生徒も対象となり得るものであること。
そのため、上記の要因・背景によらず、例えば保護者の教育に関する考え方に基づき、正当な事由無く登校していない児童生徒については、本省令に基づく成績評価の対象とはならないこと。
なお、高等学校、中等教育学校後期課程、特別支援学校高等部の生徒が行う学習については、本省令の対象とはならないが、
・ 高等学校においては、学校教育法施行規則の一部を改正する省令(昭和22年文部省令第11号)第88条の4において、全日制、定時制に通う不登校生徒等は、教育上有益と認めるときは、自宅等で通信教育を受け、単位を取得することが可能となっていること
・ 特別支援学校高等部においては、学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第134条及び特別支援学校高等部学習指導要領(平成31年文部科学省告示第14号)第1章第2節第8款6に基づき、通信教育を行うことができることとされていること
等から、別途法令上の措置がなされているものであること。

2.不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果を成績に反映する場合を定める告示(文部科学大臣が定める要件)の概要及び趣旨について


不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果を成績に反映する際に満たすべき文部科学大臣が定める要件として、以下の第1号から第3号を全て満たしている必要があること。
1 第1号の概要及び趣旨について
小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校前期課程、特別支援学校小学部・中学部(以下、「学校」という。)は成績評価を行うに当たり、不登校児童生徒の学習の計画・内容が不登校児童生徒の在籍する学校の教育課程に照らし適切と認められるか確認を行う必要があること。
2 第2号の概要及び趣旨について
学校外の機関や自宅等では、保護者、教育支援センター等の公的機関や民間団体等の職員(以下、「保護者等」と いう。)が不登校児童生徒の学習状況等の把握や相談・指導を行う役割を担う場合もあることから、学校と保護者等の間に十分な連携協力体制が保たれるとともに、学校が保護者等を通じて当該児童生徒の学習活動の状況等について、定期的・継続的に把握する必要があること。
3 第3号の概要及び趣旨について
学校として不登校児童生徒を支援していくにあたっては、保護者等を通じて当該児童生徒の学習活動の状況等を把握するのみならず、学校が、不登校児童生徒本人と直接関わりを継続することが重要であること。
そのため、学校は訪問による対面指導やICTを活用したオンラインでの相談・指導等を通じて、不登校児童生徒本人の学習活動の状況等について、定期的・継続的に把握するとともに、不登校児童生徒との間に適切な関わりを維持できるよう努める必要があること。
その際、学校が当該児童生徒の学習活動の状況等について把握することは、学習支援や進路指導を行う上で重要であること。

3.留意事項について


1 令和元年通知及び「不登校の児童生徒等への支援の充実について」(令和5年11月17日付け文部科学省初等中等教育局長通知)で示したとおり、
・ 特に義務教育段階の学校は、多くの人たちとの関わりの中で様々な体験や経験を通じて、社会において自立的に 生きる基礎を養うとともに、国家・社会の形成者として必要とされる基本的な資質を培う質の担保された教育機関であり、その役割は極めて大きいことから、学校教育の一層の充実を図るための取組がもとより重要であること。
そのため、こうした学校教育を受ける機会、周囲の児童生徒と交流や切磋琢磨する機会を得られないことにより、当該児童生徒が将来にわたって社会的自立を目指すうえでリスクが存在することを踏まえ、児童生徒が不登校になってからの事後的な取組に先立ち、児童生徒が不登校にならない、誰もが安心して学べる魅力ある学校づくりを推進することが重要であること。
・ 不登校児童生徒への支援については、児童生徒が不登校となった要因を的確に把握し、学校関係者や家庭、必要に応じて関係機関が情報共有し、組織的・計画的な、個々の児童生徒に応じたきめ細やかな対応や、社会的自立へ向けて進路の選択肢を広げる支援を行うことが重要であること。
さらに、既存の学校教育になじめない児童生徒については、学校としてどのように受け入れていくかを検討し、なじめない要因の解消に努める必要があること。
2 学校外の機関や自宅等での学習の成績評価を行う際は、本省令の趣旨を踏まえ、学校が保護者等と十分な連携協力体制を保ち、不登校児童生徒本人と関わりを継続すること等により、必要な程度を超えて不登校の期間が長期にわたることを助長しないように留意すること。
3 成績評価の一環として、観点別学習状況及び評定を記載するにあたっては、一部教科において在籍する学年よりも下学年の学習を行っているなど、告示の要件を満たしていない教科がある場合や、告示の要件を満たしていても十分な評価材料が提出されていない場合などもあることから、必ずしもすべての教科・観点について観点別学習状況及び評定を記載することが求められるものではないこと。観点別学習状況または評定を記載することが困難な場合においても、指導要録の所見欄にその学習状況を文章記述するなど、次年度以降の当該児童生徒の指導の改善に生かすという観点に立った、適切な記載に努めることが求められるものであること。
併せて、通知表等を通じて当該児童生徒や保護者等に学習活動の成果を伝えることも考えられること。
4 フリースクール等の民間施設における相談・指導が個々の児童生徒にとって適切であるかどうかについては、校長が教育委員会と十分な連携をとって判断するものとすること。
このため、学校及び教育委員会においては、令和元年通知の別添3「民間施設についてのガイドライン(試案)」を参考として、上記判断を行う際の何らかの目安を設けておくことが望ましいこと。
5 当該児童生徒が複数の学校外の機関等において学習を行っている場合には、自宅も含めそれぞれの学校外の機関等における学習状況等を確認することが望ましいこと。
6 本告示第2号、第3号における当該児童生徒の学習活動の状況等の定期的・継続的な把握について、その頻度は当該児童生徒の状況等を踏まえ各学校において適切に判断していただくべきものであるが、最低限、学校における成績評価の通知の頻度(例えば学期ごと)に対応したタイミングで、学習状況等の把握を行う必要があること。
なお、これはあくまで成績評価を行うための学習活動の状況等の把握の頻度として示すものであり、当該児童生徒との関わりを学期ごとに一度で良いということを意味するものではなく、当該児童生徒の心理状況等を踏まえつつ、可能な限り細やかに学校が当該児童生徒や学校外の機関等との関わりを持ち続けていくことが重要であること。その際、担任による把握が困難な場合、学校全体の役割分担の下で、担任以外の教職員が行うことも考慮すること。
7 本告示第3号における不登校児童生徒への訪問による対面指導やICTを活用したオンラインでの相談・指導等に際して、とりわけ不登校児童生徒の自宅におけるICT等を活用した学習活動の成績評価を行う際には、原則として、訪問等を通じて定期的かつ継続的に対面での相談・指導を行うことが望まれること。
一方、不登校児童生徒の中には、対面での指導が困難な児童生徒もいることから、その場合にはICT等を活用した相談・指導を行うことも可能であること。
また、例えば、担任による相談・指導が困難な場合、他の教諭や養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等が相談・指導を行うことも考慮すること。
8 本省令は、あくまでも不登校児童生徒が欠席中に行った学習について、一定の要件の下で成績評価を行うことができる旨を法令上明確化したものであり、不登校児童生徒以外の児童生徒が欠席中に行った学習の成果について学習評価を行うことを妨げる趣旨ではないこと。例えば、ペーパーテストや実技テストの日に風邪で欠席した児童生徒が欠席中に行った別の課題の提出をもって成績評価を行う等の取組については、本省令に関わらず、引き続き行うことが可能であること。
9 教室に行くことができなくとも、校内教育支援センター等で教師等から相談・指導を受けている児童生徒については、本省令によらずとも、個別具体の事情も踏まえつつ、学校に登校しているものとして成績評価を行うことが可能であること。
10 不登校児童生徒の指導要録上の出欠の取扱いについては、引き続き令和元年通知に基づき対応するものとすること。

4.具体的な取組例


1 1人1台端末を活用して、教育支援センターや自宅から学校の授業にオンラインで参加している不登校児童生徒の学習成果を成績に反映。
2 学校から届いたプリントや教材等を活用して教育支援センターや自宅で学習した成果を成績に反映。
3 フリースクールに対して、定期的に不登校児童生徒の状況をまとめた報告書を学校に提出するように依頼し、学校とフリースクールが直接連絡を取れる体制を整備したうえで、フリースクールで学校の課題や定期テスト等の適切な教材に取り組んでいる不登校児童生徒について、その学習成果を成績に反映。
4 民間のeラーニング教材を活用して教育支援センターで学習を行っている不登校児童生徒について、教育支援センターの職員が保護者と連携しつつ、学習状況等を把握し、学校に情報共有することで、その学習成果を成績に反映。

【参考資料】
「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日付け文部科学省初等中等教育局長通知)
「不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方」(令和5年11月17日付け文部科学省初等中等教育局長通知別紙)((注記)PDF)
「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」(令和5年3月31日文部科学大臣決定)((注記)PDF)

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課

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