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西村経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

2023年11月7日(火曜日)
10時53分〜11時08分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

水産物輸入停止措置に関する資金繰り支援

私から冒頭2点申し上げます。
1点目、ALPS処理水の海洋放出以降、中国などが日本産水産物の全面輸入停止措置を実施したことに伴って、水産加工事業者などから資金繰りについて不安の声が寄せられています。私どもが行った調査からも不安の声がありまして、先般、宮城に出張した際も、加工事業者からそういった声を頂いたところです。
これ受け、影響を受けている事業者向けに、新たな販売先の開拓や、東京電力からの賠償金が入金されるまでの間のつなぎの資金繰り支援として、11月15日からセーフティネット保証2号を発動します。信用保証協会が民間金融機関からの借入れに対して、一般の保証額とは別に2億8,000万円まで100%保証します。
既に実施している各窓口での相談対応や、8月から実施している日本公庫のセーフティネット貸付けとともに、事業者に対して、引き続ききめ細かい支援をしていきたいと考えています。

データセンター公募結果

2点目ですが、政府としてデータセンターが東京、大阪などに集中している現状を踏まえ、大規模自然災害への備え、また再生可能エネルギーの活用の観点から、データセンターの地方分散を進めることとしています。
今般、経産省が実施していました大規模な地方のデータセンター整備補助事業の公募ですが、北海道苫小牧市において事業を実施するソフトバンク社を支援することとしました。支援額は、令和8年度までで最大300億円となります。詳細については、別途事務方から説明をさせていただきます。
私からは以上です。

質疑応答

経済対策

Q:先週、総合経済対策がまとめられました。大臣の受け止めをお願いします。
また、経済産業省としては、国内投資といった促進策や、中小企業などの賃上げ支援などを盛り込んでいますが、補正予算の編成に向けて、どのような事業に力を入れていくのでしょうか、よろしくお願いします。

A:今回の経済対策では、物価上昇に賃上げがまだ追い付いていないという状況ですから、特に家計が厳しい状況にあるということで、家計への支援、これが大きな一つの柱だと思います。厳しい状況にある方々を中心にしっかりと支援していこうと思います。物価高への対応が一つです。
もう一つの柱として、本来は賃金が上昇することで物価高を乗り越えて、その賃上げを確実なものにしていくことです。私は昨日の経済財政諮問会議でも申し上げましたが、過去20年分のデフレも取り返すという意味では、5%プラスアルファの賃金上昇が必要だと思っています。そうしたことを進めていくための様々な税制措置や支援策、そして賃上げが必要です。基本は生産性が上がっていくこと、あるいは成長していくことでありますので、その成長に向けた投資をしっかりと進めていくこと、これが大きな二つの柱だと私自身は理解しています。
そして、私どもが担当する投資という面で言いますと、大きく三つあって、一つはこれだけ海外の物価上昇、特にエネルギー価格の上昇に伴って、これまでガソリン価格、電気・ガス価格の支援、いわゆる激変緩和措置を継続していますけども、エネルギー危機に強い構造に変えていくための投資、これが省エネ投資で今回もかなり拡充をすることにしています。それが一つ目のカテゴリーです。
二つ目は、人手不足が構造的な問題となり、各地で悲鳴のような声が上がっています。これに応えていくための省力化・省人化投資を大胆に進めていきたいと思います。昨日は物流の拠点を視察いたしましたが、様々なロボットやAIを使うなど、いろんなことが考えられますので、これに対して大胆な支援を行っていきたいと思います。中堅企業も含めた支援に取り組んでいきたいと思います。
そして、三つ目がやはり成長への投資です。基本は世界経済中でやはり日本が技術で、イノベーションでリードしていくための投資、将来に向けた投資ということで、半導体、電池、あるいはDX、そしてエネルギー危機とも関連しますけども、GX、新しいエネルギーへの転換も含めた大胆な投資を是非進めていきたいと思います。
こうした投資をしっかりと補正予算の中で必要額を確保しながら、政府が呼び水となる投資支援を行って、民間の大胆な投資を是非引き出していきたいと考えています。デフレからインフレ状況に変わってきましたので、企業も基本的に現金で持つよりも投資した方が、収益が上がります。また、世界が大きく、今、デジタル、グリーン、地政学的な様々なリスクの中で大きな変化、変革を迎えており、企業も投資意欲がありますから、経済対策、そして補正予算で民間の投資をしっかりと引き出していくための支援を行っていきたいと思います。これにより、当面はエネルギー危機に強い構造、あるいは省人化・省力化投資ですが、長い目で見て世界をイノベーション、技術でリードしていくための大胆な投資、支援を行っていきたいと考えています。

アークティック2

Q:エネルギー関連で1点お伺いいたします。アメリカの政府は2日にロシア向けの追加制裁を発表いたしました。ロシア北極圏でのLNGプロジェクト「アークティック2」の主要事業体がその対象に含まれておりますが、日本勢ではJOGMECや三井物産が参画しております。現時点での政府としての受け止めと日本のLNG特許への影響について教えてください。

A:御指摘の北極のLNG2のプロジェクトですが、今般、米国がその制裁を発表したことを承知しています。この北極LNG2のプロジェクトはウクライナ侵略以前に最終投資決定がなされたものです。当面、需給の逼迫が続くと見込まれるLNG市場において、日本のエネルギー安定供給にとっても重要なプロジェクトであるという認識を持っています。今回の措置は、前回9月ですが、米国による制裁措置と異なって、プロジェクト会社の本体に対する制裁ですので、事業への一定程度の影響は避けられないものと考えていますが、関係者とともに、その影響の詳細な精査をこれから行っていきたいと考えています。
その上で、G7とも連携しながら我が国のエネルギー安定供給を損なうことはないように総合的に判断をし、適切に対応していきたいと考えています。

賃上げ

Q:先ほど大臣がおっしゃった賃金のところなんですけど、5%プラスアルファの賃金が過去の長引いた停滞を取り戻すには必要だと考えられているということなんですけど、これ具体的に言うと、日本の場合、春闘が非常に大きなイベントになると思うんですけど、そこでも5%以上というふうに政府の立場からしては見ていきたいということなのかというところが1点と、それから、これは単年で賃金5%上がればいいのか、それともこれがずっと継続して、この後も5%ずっと上がっていけるような状態を維持できることが望ましいのかというところをお伺いできればと思います。よろしくお願いします。

A:私は昨年から、今回の物価上昇ということを踏まえながら、しかし過去20年のデフレ、30年の停滞、これを考えると内外の賃金差、所得の差を考えても、私自身は5%プラスアルファぐらいの賃金上昇、所得の向上を進めなければならないと思います。それにより、ある意味人への投資ということで、様々な人がそれぞれの持ち場持ち場でイノベーションに貢献をする中で、企業としても収益が上がる。言わば、投資という見方をしてもらって是非進めていただきたいという気持ちを持っています。
政府全体としては、今後どういう形で経済界に働きかけていくのか調整をしていくと思いますが、賃金上昇に向けて賃上げ税制であるとか、あるいは特に中小企業の皆さんがそれが可能となるような投資支援と、生産性を上げていくための投資や価格転嫁をしっかり行っていけるような転嫁対策も併せて進めなければならないと思っています。
そうしたことを総合的に講じていくことで、高い賃上げ率を実現していきたいと思いますし、今年、来年で終わればいいということではなく、この30年分を取り戻すという意味では、高いレベルの賃上げを継続していくことが、人手不足への対応の観点からも必要になってくると思います。
人手不足を乗り越える機運を、ある意味契機として新たな経済構造に変えていく、特に成長分野に労働移動を進めていくことも重要です。

リスキリングの予算を今回も拡充をする予定ですが、リスキリング、学び直し、新たな技能の習得を支援しながら、それぞれがキャリアアップしてもらう、あるいは成長分野に労働移動を円滑に進めていくための取組を進める中で、継続して賃金上昇につなげていきたいと考えています。

データセンター地方立地

Q:先ほどのデータセンターの件で、北海道苫小牧というのは公募でソフトバンクに決まったということですが、今後、地方にもデータセンターがこれから進んでいくということになろうかと思いますけれども、このことに関する大臣の所見、期待感とかをお伺いできればと思います。よろしくお願いします。

A:今、東京、大阪にデータセンターが集中していますので、大規模な災害が起こったときのリスクが大きいということです。そして、北海道でも九州でもそれ以外の地域でも、太陽光であったり風力であったり地熱であったり様々な再生可能エネルギーがある中で、データセンターは非常に大きな電力消費がありますので、地方に立地することで再生可能エネルギーの利用の促進にもつながります。
そういう意味で、地方に分散していくという政策を進めている中で、今回、ソフトバンク社が苫小牧に立地をするということですので、しっかりと支援をしていきたいと思いますし、今後もデータセンターの地方での立地を支援していきたいと考えています。

以上

最終更新日:2023年11月7日

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