2023年10月20日(金曜日)
10時23分〜10時39分
於:本館10階記者会見室
冒頭発言
リサイクルの日、SBIR
私から冒頭2点申し上げます。
1点目、本日10月20日はリサイクルの日です。これは「資源がひとまわり(10)、ふたまわり(20)する」という語呂合わせで、1992年、平成2年に、リサイクルの日として制定されています。あまり知られていなかったようですが、経産省を含む8省庁で、この記念日を発展させ、毎年10月をリデュース・リユース・リサイクル推進月間、いわゆる「3R推進月間」として、3Rに対する理解と協力を求める活動を国民運動的に広げていく機会にしたいと展開しています。
ちなみに、日本の一般廃棄物のリサイクル率は19.9%で、アパレルの衣服について言えば、毎日10トントラックが120台分、1,200トンが毎日廃棄処分されていますから、かなりの改善余地があるということです。サーキュラーエコノミーの実現に向けた取組を展開しているところですが、先般は岸田総理を囲み、車座の対話集会も開かせていただきました。3Rの取組を発展させ、日本の高度な技術力を生かしつつ、産学官連携しながら資源循環型社会、いわゆるサーキュラーエコノミーの取組を強化していきたいと思っています。
先程1992年と言いましたが、1990年、平成2年の制定でした。
2点目、SBIRフェーズ3事業の採択事業者を公表します。御案内のとおり、SBIRフェーズ1でFS調査をする企業、それからフェーズ2で実用化の開発支援をする段階の企業、そして今回公表するのは社会実装に向けて大規模な技術実証する支援事業です。スタートアップ、ベンチャー企業の研究開発を政府調達などにつなげていくための事業です。
今回、大規模な技術支援について公表します。公募を経て、ディープテック、スタートアップについて、17件を補助事業者として採択しました。
次のページ、後ほど資料を出しますが、ispaceは、本年4月残念ながら月面着陸が直前でかなわなかったわけですが、今回120億の支援を行うことにしています。月面着陸船の設計、製造、組立て、打ち上げ、運用までの一連の技術実証を行います。
空飛ぶクルマでSkyDriveとテトラ・アビエーションの2社を採択し、大阪・関西万博に向けての運航実現、これを大阪で披露すべく、機体の開発・実証を進めてまいります。
それから、衛星関連で様々な技術を活用する企業を選んでいます。中には私が視察したところもありますし、また、海外出張に同行してくれた企業もあります。技術を磨きながらグローバルな市場も含めて展開をしていきます。
また、非常にニーズが高まっているデータを活かした事業であるとかドローンについて、支援していきます。
いずれにしても新しい時代に、デジタル化あるいは気候変動への対応、カーボンニュートラルも含めて、スタートアップが原動力となってイノベーションを起こしていく、技術で世界をリードしていく取組を更に強化していきたいと考えています。
私からは以上です。
※(注記) 実際の発言は「ispaceは、昨年残念ながら月面着陸が直前でかなわなかったわけですが」でしたが、事実関係を踏まえ上記のとおり修正しました。
質疑応答
米国半導体輸出規制
Q:アメリカの半導体輸出規制に関連してお伺いいたします。アメリカ政府は17日に先端半導体について中国への輸出規制を厳格化しました。これについて日本の半導体戦略への影響、また日本政府の今後の対応についてお聞かせください、よろしくお願いします。
A:昨年10月にアメリカは機微技術の軍事転用などに対する懸念から、機微な貨物及び技術を適切に管理するための輸出管理措置を講じてきていましたが、今般、10月17日の公表だと思いますが、この措置を改定しました。1か月後に施行されると聞いています。この半導体製造装置の輸出管理に関する改定については、日本では7月23日に施行した半導体製造装置の輸出管理措置と同水準の内容と評価しています。公平な競争環境の確保に資するものと考えています。
同時にAIチップの輸出管理に関する改定も行われていまして、他国に類似措置のない米国特有の措置です。仕向地として日本は入っておらず、日本向けの輸出は対象になっていませんが、幾つかの国が対象となっていますので、それぞれの国で展開する日本企業への影響を確認しているところですが、現時点で大きな影響があるとは聞いていません。引き続き日本企業への影響はしっかりと見ていきたいと思います。アメリカ政府ともこれまでもコミュニケーションを取ってきていますし、今後の運用状況についてもコミュニケーションをよく密にしていきたいと思っています。産業界に対しても情報提供をしっかり行っていきたいと考えています。
燃料価格激変緩和措置
Q:ガソリンなどの燃料に対する補助金について伺います。
補助金は価格を押し下げる効果がある一方で、国民負担が膨らみ続けることなど、課題も指摘されています。自民党からは今後の継続を求める提言が出されていますが、今後の補助金の在り方について、どのようなお考えか伺います。
また、経産省はガソリンからEVや合成燃料への転換も進めていますが、インフラやコスト面などの課題をどのように捉えて今後の政策を進めようとしているかについても併せてお願いします。
A:はい。足元の燃料価格の高騰、また中東情勢が非常に緊迫してきていますので、少し上昇傾向にあります。この燃料価格の高騰は、国民の皆さんの生活、そして経済活動に与える影響を考えますと、特にガソリン価格は過去最高の水準になっており、非常に大きな影響があるということで、負担軽減に向けた取組を当面継続していく必要があると考えています。
特に、冬は需要期にもなりますので、これは電気料金、ガス料金も含め、灯油も寒冷地では需要量が多くなりますし、そういったことを踏まえ、負担軽減策は継続していく必要があると認識しています。
ただ一方で、御指摘のように、脱炭素、GXも進めていかなければならない中で、省エネ型の社会・経済の構造に変えていく、エネルギー危機があってもそれに強い構造に変えていくという取組も強化したいと考えています。この機会に省エネ型の設備に換えていく、また断熱の窓、高効率な給湯器に換える取組も支援してきていますが、家庭や企業においてもエネルギー危機に強い構造を構築していく取組を進めていただきたいし、それをしっかり支援していきたいと考えています。
以上、申し上げたようなことを経済的対策の中で今詰めていますので、しっかりと盛り込んで対応していきたいですし、与党からも提言を頂いていますので、それも踏まえながら対応していきたいと考えています。
ただ、いつまでも永遠に続けるわけにはいきませんので、やはりそうした強い構造にしていく中で判断をしていかなければいけないと思いますが、中東情勢が非常に緊迫していることも踏まえながら、エネルギー価格を見ながら判断していきたいと思います。
いずれにしても、出口を見据えながら、この激変緩和措置を柔軟に、また機動的に対応しながら、エネルギー危機に強い経済構造へ転換していきたいと考えています。
それから、EVへの支援策などについての御質問もありました。
自動車業界においては、地殻変動とも言うべき大変革が生じております。カーボンニュートラルを実現するということと、産業競争力をどう維持していくかという、非常に大事な課題に直面しているところです。そうした中で、日本の各社においてもEV、あるいは水素、あるいは合成燃料、こうした多様な取組、多様な道筋を追求しているところです。
EVを進めても、その元となる電力が、特にアジアの国々は6割7割石炭に依存している国が多いわけですが、その状況でカーボンニュートラルにするのかという議論もあります。我々としては多様な道筋を追求しながら、それぞれの市場でしっかりと競争力を付けていく。日本の経済において自動車産業は非常に重要な位置付けにありますので、しっかりそうしたことに対応してもらいたいと思いますし、支援をしていきたいと思っています。
特に大きなゲームチェンジとも言うべき大きな変革の波が来ておりますので、危機感を持って日本の各メーカーも対応を加速していると認識していますし、経産省としてもしっかり支援していきたいと考えています。
そうした中で、市場の立ち上げが重要でして、EVの価格や充電インフラの整備が課題です。充電インフラについては、10月18日に整備指針を取りまとめまして、2030年目標を従来計画の2倍に相当する30万口まで引き上げています。また、合成燃料についても、コストが最大の課題ですので、グリーンイノベーション基金を通じて、低コスト化に向けた製造技術の確立を目指して取り組んでいるところです。
いずれにしても、新しい時代が来ていますので、そうした中で日本の自動車産業が引き続きグローバル市場をリードしていけるよう、官民一体で連携しながら取り組んでいきたいと考えています。
中国での邦人逮捕
Q:中国で拘束されていたアステラス社員がスパイ容疑で逮捕されました。日本企業の現地での事業展開に不透明感が増しているところだと思います。
大臣としての受け止めと、あと経産省として対応策などを検討されているようであればお考えを教えてください。よろしくお願いいたします。
A:本年3月、北京市で中国の国内法違反があったとして拘束された50代の邦人男性が、10月中旬に逮捕されたということは確認しています。
政府として、邦人保護の観点から、領事面会や御家族との連絡など、できる限りの支援を行ってきているところです。引き続き適切に対応していきたいと考えています。
日本企業にとって、中国市場における予見可能性や公平性、透明性の高い事業環境が重要です。そうしたことに支障となる取組があれば、中国での活動に大きな懸念が生じるわけですから、様々なレベルや機会を通じて、引き続き働きかけを継続していきたいと思います。予見可能性、そして透明性の高い事業環境、これが何より重要だと考えています。
最終更新日:2023年10月20日