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西村経済産業大臣の閣議後記者会見の概要

2023年7月28日(金曜日)
10時30分〜10時48分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

対ロシア輸出禁止措置

私から冒頭5点申し上げます。
1点目、ロシア連邦によるウクライナ侵略を受けまして、国際平和のための国際的な努力に我が国として貢献をするため、5月26日の閣議了解を踏まえ、本日ロシアの産業基盤強化に資する物品の輸出禁止措置に関する輸出貿易管理令の改正について閣議決定いたしました。8月2日に公布、8月9日に施行いたします。これにより1,900cc超の自動車やハイブリッドエンジン式乗用車、大型車両用タイヤなどについてロシア向けの輸出が8月9日から禁止されることになります。
経済産業省としては今後ともウクライナをめぐる情勢を注視しながら、G7を始めとする国際社会や関係省庁とも連携をし、輸出の禁止措置の実施に万全を期してまいります。
詳細は後ほど事務局から説明させます。

GX推進戦略

2点目です。
本日、「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」、いわゆる「GX推進戦略」について閣議決定いたしました。
GX推進法に基づき定めるGX推進戦略は、GX実行会議での議論も踏まえ本年2月に閣議決定しました「GX実現に向けた基本方針」に沿って定めるものでございます。この戦略に基づき関係省庁と連携して政策を早急に実行に移してまいります。
今後は先の通常国会でGX推進法が成立したことにより可能となったGX経済移行債を活用した脱炭素技術の研究開発や社会実装などに対する10年間で20兆円規模の先行的な投資促進策、トランジション・ファイナンスの拡大、成長志向型のカーボンプライシングなどの施策を実行してまいります。

経済安全保障推進法の認定

3点目、本日経済安全保障推進法に基づき技術開発や設備投資などの計画を認定いたしました。
具体的には半導体について、今回は半導体の製造に不可欠な希ガスなどの半導体原料の生産、備蓄を支援するべく、大陽日酸、岩谷産業への助成をはじめとする計5件、最大約200億円の助成を行います。半導体のサプライチェーン強化という観点で、部素材の更なる上流となる原料の国内生産能力などの増強を図ります。
また、工作機械、産業用ロボットにつきましては、新たにニデックドライブテクノロジーによる産業用ロボット向け減速機の生産能力強化に係る計画を認定いたします。この分野ではこれまでの案件も含め最大約400億円の助成を行うこととなります。一連の支援を通じて工作機械、産業用ロボットの性能を大きく左右し、経済安全保障上も重要な制御関連機器の国内生産能力の強化を図ります。
今後とも戦略的に不可欠な機微な技術、物資、こうしたものの開発、そして国内生産をしっかりと確保していきたいと考えております。

岩手・宮城出張

4点目、明日29日に岩手県、宮城県に出張いたします。
宮城県におきましては、宮城県漁協と面談を行う予定にしております。ALPS処理水の海洋放出につきまして御説明、そして意見交換を行う予定です。
ALPS処理水の処分は、福島第一原発の廃炉を進めていくためには避けては通れない課題であります。ALPS処理水の処分の必要性、安全性の確保と風評対策などについて、改めて私から直接漁協の皆様に御説明し、御意見をお聞きしたいと思っております。地元の漁業者の皆様と意思疎通を密にしてまいりたいと考えております。
また、キオクシア岩手株式会社のフラッシュメモリ製造工場、それから産総研の東北センター、東北大学のキャンパス内の次世代放射光施設、いわゆるナノテラスの視察、それから東北大学発のスタートアップとの意見交換を通じて最先端の製造研究拠点における取組、進捗状況や課題を確認したいと思っております。

経済産業省こどもデー

5点目です。
毎年夏に経済産業省こどもデーを行っているのですが、今回は8月2日、3日に2日間にわたり開催をいたします。夏休み期間中に子供たちに広く社会を知ってもらうために各府省で連携して実施するこども霞が関見学デーの一環であります。
こどもデーにおきましては、これまで小学生、中学生を主な対象として開催をしてまいりましたが、今年は初めての取組として高校生、中学生向けの仕事体感プログラムを実施いたします。
具体的には、一つは理系のキャリアの道標ということで、特に大企業の中で、理系キャリアで活躍されている女性のお話を聞く会ということで、こうした先輩方から話を聞く。
それから、二つ目はスタートアップ関連で女性起業家やAI関連、社会課題解決型の多様な方、ここにありますように多くの方のお話を聞く会、それから産総研から様々な研究を行っている研究者の皆様、災害の地震の関係とかAI、量子の研究者から御自身のキャリアなどについてお話を伺います。
また、今AIが非常に関心を持たれていますので、東京大学の松尾研究室、それから上場しましたABEJA、チャットGPTについて、あるいはコンピュータ、AI関係でエンジニアの仕事ということでPreferred Networksから日本の最先端のAIの開発や活用に携わる皆さんにお話を頂き、実際に今話題の生成AIについても体験をできるプログラムを用意しております。
こうした体験が若い皆さんにとって今後のキャリアを考えていく、そうしたきっかけとなることを期待したいと思っております。
これらのプログラムにつきましてはまだ参加は可能ですので、是非全国の中学生、高校生の皆さん、こういう最先端の今日本の動き、技術開発の動向など、話を聞く機会にしていただければと思いますので、経済産業省のホームページから是非事前の申込みをお願いしたいと思います。私も時間が許せば視察をしたいと考えております。
よろしくお願いいたします。
私から以上です。

質疑応答

液化石油ガス法制度見直し、大阪・関西万博

Q:質問2点させていただきます。
経済産業省はLPガスの賃貸住宅向けの料金で、エアコンや給湯器といった関係のない設備費用の上乗せを禁止する方針を打ち出しました。LPガス業界のこうした商習慣はガス料金の高止まりや不透明さを招いてきたとされ、昭和の時代からこうした消費者トラブルが顕在化してきたとの指摘もありますが、経済産業省としてはなぜ今このタイミングで是正を図ろうと考えたのでしょうか。
続いて2問目の質問です。
2025年の大阪・関西万博の海外パビリオンの建設工事をめぐり、日本国際博覧会協会が万博工事に従事する建設労働者を2024年から適用される残業時間規制の対象外とするよう政府に要望しているとの報道がありました。開幕に間に合わない自体を避ける狙いとされていますが、本件についての事実確認と政府としての受け止めについてお聞かせください。

A:まず、LPガスの賃貸住宅向け料金の件です。
LPガス事業者が過大な利益供与を行う営業行為については独占禁止法上、いわゆる不当な顧客誘因にもなりうるなど、国会でも問題点を指摘されてきております。また、LPガスの利用者などから料金が不透明だといった声も私も直接聞いているところであります。
これまで経済産業省としても料金の内訳明記を求める制度整備などの取組を進めてきておりますけれども、依然として問題が解消していないということですので、本年3月から液化石油ガス流通ワーキンググループで議論を開始いたしました。
7月24日に開催されたワーキンググループにおきまして、この事業者による過大な営業行為を制限し、ガス消費と関係ない設備の利用料をガス料金に計上することを禁止するなど、液化石油ガス法に係る制度見直しの方向性を提示したところであります。LP事業者、それから消費者代表など、委員の皆さんからは制度見直しの方向性についておおむね賛同を頂いたところであります。
今後ワーキンググループで意見のあった関係省庁と連携した実効性の確保策、経過措置期間などについて更に検討を進めて、速やかな関係法令の整備を含め必要な措置を講じていきたいと考えております。
国土交通省、公正取引委員会、消費者庁などとも連携をして、できるだけ早く対応していきたいと考えております。
それから、万博のパビリオン建設についてのお話がございました。
来春に予定されております建設業界に対する時間外労働の上限規制につきましては、直接要請を受けてはいないのですが、海外パビリオンなどの準備を進めていくに当たって博覧会協会とともに様々な課題を洗い出す過程におきまして、話に上がったものの一つと承知しております。
現時点において一部の参加国で国内施工事業者との契約が進んでいないわけですが、その主な理由としては、一つにはドバイ万博の開催が1年後ろ倒しになっておりますので、参加国側の入札手続や設計などの準備が遅れていると、1年期間が短くなっているということ、それから国内建設市場が、非常に需給が逼迫しているということで金銭面によるギャップがあること、さらには外国の発注主体と折衝することは、そもそも中堅中小施工事業者にとってこれまで経験ない方も多いものですから、なかなか難しいといったような課題があると承知しておりますが、これら一つ一つについて協会側、そして私ども経済産業省と岡田大臣のチームで、そして国土交通省とも連携を取りながら対応を急いでいるところです。
様々な課題について総合的に検討を行っております。個別具体的な検討内容について今の段階では申し上げる段階にはありませんが、こうした課題について一つ一つ対応して、着実に建設が進むように取り組んでいきたいと考えております。

ALPS処理水

Q:処理水の放出計画に対する海外の反応についてお伺いしたいと思います。
このところ香港政府が日本産の生産物を輸入する際の放射性物質の検査を強化しています。実際に放出が始まれば10都県の生産物の輸入を禁止するという方針も示しています。また、中国本土でも日本の食品の通関に遅れが生じる事態が起きています。
日本政府は再三科学的な根拠に基づいて放出計画や日本の食品の安全性を訴えてきているところですが、中国や香港がこのような対応を取っていることについてどのように受け止めていらっしゃるかというのと、あと経済産業省としての今後の対応についてお考えがあればお聞かせください。

A:ALPS処理水の海洋放出についてですが、従来から各国、地域に対して丁寧に説明をしてきております。中国には科学的根拠に基づく議論を行うよう強く求めてきておりますし、また輸入検査の強化に対して強く懸念する旨を政府として申入れをしております。また、香港政府に対しましても更なる規制の強化を行わないよう強く要請をしているところです。
また、先日出席しましたインドでのG20のエネルギー移行大臣会合、この場においても、私から今月公表されましたIAEAの包括報告書においては、ALPS処理水の海洋放出は国際安全基準に合致していること、また人や環境への放射線影響は無視できる程度であるとの結論が示されたことを紹介しつつ、ALPS処理水の対応が科学的根拠と国際基準に基づいて進められていることを説明したところであります。
こうした内容も含めて、今後とも御指摘のように科学的根拠に基づいて透明性高い情報提供、情報発信を続けていきたいと考えております。
私自身も含めてあらゆるレベル、そして今後もいろいろな機会がありますので、様々な機会を捉えてしっかりと引き続き説明をしていきたいと思います。
いずれにしても、科学的根拠に基づいた対応を強く求めていきたいと思います。

中国技術移転規制

Q:1点お願いします。
複合機などのオフィス機器について、中国政府が外資企業に求めていた技術移転の方針を一部撤回する方針があるとの報道がありましたが、受け止めについて教えてください。

A:報道については承知をしておりますけれども、現時点では中国側から報道にあるようなオフィス機器の技術移転方針について一部撤回するといった方針が正式に公表されたわけではないと認識をしておりますので、コメントは差し控えたいと思います。
その上で一般論として申し上げれば、製品や部品の開発、設計、製造などの工程を国内で行うことを求めることは強制的な技術移転につながることから、WTOルール上問題が生じると承知をしております。
これまでも中国政府が中国で製造、調達される事務機器などを対象とした情報セキュリティについての新たな国家基準の策定を検討しているとの情報に接しておりますので、我が国としてWTOの関係会合において中国内での開発生産要求や事実上の強制技術移転につながる措置を取らないよう求めてきたところであります。政府としては国内企業に不当な不利益が生じないよう引き続き今後の動向を注視してまいりたいと思いますし、先ほど申し上げましたように、WTOのルールにのっとって、そうした強制的な技術移転を行わないということを強く求めていきたいと考えております。

対ロシア輸出禁止措置

Q:先ほど大臣から対ロシアの制裁に関して、自動車の部分をアメリカとヨーロッパに足並みをそろえて強化するというお考えを示されたと思うのですけれども、改めて強化する狙いなど意義を教えてください。お願いします。

A:これはG7の国々と連携をして輸出禁止措置を実施するということであります。ロシアによるウクライナ侵略を受けて、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するということが大きな理由であります。
国際社会と連携をして、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。

以上

最終更新日:2023年7月28日

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