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日本発の「自動車運転の衝突を回避する制御システム」に関する国際標準が発行されました

〜交通事故のない社会を目指して(ISO 23375)〜

2023年3月1日

経済産業
緊急場面で衝突を回避するため、自動的にハンドル操作を行う、もしくはドライバーのハンドル操作を支援するシステム(衝突回避横方向制御システム)を搭載した車が、市場に導入され始めています。この度、本システムに関する日本発の国際標準が発行されました。本標準に基づくシステムを搭載した自動車が普及することで、交通事故の減少につながることが期待されます。

1.背景

脇見運転や漫然運転時に前方の歩行者、自動車、ガードレールなどに気付くのが遅れてしまい、適切な回避操作を行えなかった結果、死亡事故に至るケースがあります(図1)。このような緊急場面において、周囲の状況を瞬時に正しく判断して、適切なハンドル操作を行うことは難しいと考えられます。現在、緊急場面でのハンドル操作による衝突回避、又は被害を軽減するため、横方向への回避を自動的に制御するシステム(衝突回避横方向制御システム)を搭載した自動車が市場に導入され始めています。この制御システムは、既に導入が進んでいる衝突被害軽減ブレーキシステムと合わせ、自動運転の高度化の下地となる大変重要な技術でもあります。

本標準は、国際的に統一された機能要件や性能評価手法に基づく、安全性の高い衝突回避横方向制御システムの一層の普及を目指し、公益社団法人自動車技術会が提案しました。日本が国際議長を務め、先進技術を用いた車両の運転システムや自動運転システムに関する標準作成を行っているISO(国際標準化機構)/TC204(ITS 高度道路交通システム)/WG14(走行制御)で議論され、令和5年2月23日に国際標準として発行されました。*1

図 1:令和3年度 法令違反別死亡事故(道路の交通に関する統計) *2

2.標準の概要

衝突回避横方向制御システムは、衝突危機のある場面において、以下2種類の動作を取ります。
  1. システムが自動的にハンドル操作回避を行う
  2. ドライバーが警報にて衝突危険に気付き、ハンドル操作を行ってからシステムがハンドル操作回避の支援を行う(ハンドル操作量不足を補う)

今回発行された国際標準ISO 23375では、どちらのシステムであっても対応できるように、それぞれの衝突回避を行う際の機能要件(対象障害物の設定、作動速度の条件、システムの状態通知、回避要件など)及び性能評価方法(試験手順、試験環境およびコース条件、ダミーターゲットの設置法、合否判定基準など)を規定しました。

図 2:衝突回避横方向制御システムの作動イメージ

本システムはハンドル操作を行う事から、誤作動や二次衝突を防ぐための非常に高い信頼性が求められます。日本の複数の部品メーカーは、この高い信頼性を担保する為に欠かせない高性能な各種部品(カメラ、レーダー、車載コンピューター、電動パワーステアリングなど)の供給が可能であり、日本の自動車メーカーもそれらの機能を構築できる技術力を有しています。
さらに、「1.システムが自動的にハンドル操作回避を行う」動作をとる車両を、日本の自動車メーカーが先行して市場に投入しており、今回の標準によって、その技術力を十分に発揮することが期待されます。

3.期待される効果

本標準に基づく、衝突回避横方向制御システムを搭載した、一定の安全性を有する自動車が普及することで、自動車による交通事故の減少につながることが期待されます。さらに、交通事故に起因する渋滞が減少することで、省エネルギーにつながることも期待されます。
*1 正式名称
ISO 23375:2023 Intelligent transport systems — Collision evasive lateral manoeuvre systems (CELM) —Requirements and test procedures
*2 「2022年03月03日 令和3年中における交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」(警察庁)(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00130002&tstat=000001027458&cycle=7&year=20210&month=0&tclass1val=0)をもとに作成
*3 今回発行された国際標準は、経済産業省の委託事業である「省エネルギーに関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費(省エネルギー等国際標準開発(国際標準分野))」の成果の一部によるものです。

関連リンク

担当

  • 国際標準について
    産業技術環境局国際標準課長 渡辺
    担当者: 田中、青山、野口
    電話:03-3501-9283(直通)
    bzl-s-kijun-ISO★meti.go.jp
    ※(注記) [★]を[@]に置き換えてください。
  • 自動運転について
    製造産業局自動車課
    ITS・自動走行推進室長 福永
    担当者:秋元、芝、奥野、神永
    電話:03-3501-1690(直通)
    exl-itshann★meti.go.jp
    ※(注記) [★]を[@]に置き換えてください。

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