特殊容器制度について
1.特殊容器とは
計量法に基づく特殊容器とは、体積を計量する代わりに、ある高さまで液体商品を満たした場合、正
しい量が確保されるように製造された、透明又は半透明の容器(例えば、ビールびん、醤油びん、牛乳
びんなど)のことです。俗に「まるしょうびん」と呼ばれます。
計量法第 16 条では、取引又は証明において使用する体積の法定計量単位であるリットル(l)
、ミリリ
ットル(ml)を計量器でないものを使用して計量してはならないこととなっています。特殊容器は計量
器ではありませんが、その例外規定として、同法第 17 条で定める特殊容器については、計量法施行令で
定める商品(後述2.(1)参照)を計量法施行規則で定める高さ(後述2.(3)参照)まで満たせば使用する
ことができることとなっております。
2.制度の概要
(1)特殊容器の使用が認められている商品
特殊容器の使用が認められている商品は、計量法施行令第8条に次のように定められています。
一 牛乳(脱脂乳を除く。)、加工乳及び乳飲料
二 乳酸菌飲料
三 ウスターソース類
四 しょうゆ
五 食酢
六 飲料水
七 発泡性の清涼飲料
八 果実飲料
九 牛乳又は乳製品から造られた酸性飲料
十 みりん(次号に掲げる種類に該当するものを除く。)十一 酒類
(酒税法第 2 条第 1 項に規定する酒類
(同法第 3 条第 22 号に規定する粉末酒を除く。))
十二 液状の農薬
※(注記)酒税法第 2 条第 1 項に規定する酒類(漢数字は酒税法第 3 条の号番号)
七 清酒
八 合成清酒
九 連続式蒸留焼酎
十 単式蒸留焼酎
十一 みりん
十二 ビール
十三 果実酒
十四 甘味果実酒
十五 ウイスキー
十六 ブランデー
十七 原料用アルコール
十八 発泡酒
十九 その他の醸造酒※(注記)第三のビール等
二十 スピリッツ
二十一 リキュール※(注記)第三のビール等
二十三 雑種2(2)特殊容器の要件
計量法に基づく特殊容器の要件として、形状、材質等の性能に係る技術上の基準、試験の方法及び検
査の方法の基準などは計量法施行規則で定められています。具体的には日本工業規格(JIS) S2350「容
量表示付きガラス製びん(壜)
」 の本体及び附属書A〜Dに規定されています。
型式の例 JS-43-2 633ml ビールびん JS-52 1800ml 一升びん
(3) 特殊容器に商品を入れる場合の高さ
特殊容器内に充填される内容物の液面の最下部から特殊容
器を置いた平面までの垂線の⻑さを「入味線高さ」といいま
す(右図の a に該当)。特殊容器に商品を入れて使用するときには、特殊容器の容
量に応じた「入味線高さ」まで内容物を満たせば、容器に表
示されている容量に相当する量が満たされていることになり
ます。
一方、特殊容器に商品を入れて販売するときには、計量法
施行規則で定める「下限入味線高さ」を超えるように計量し
なければなりません。
これらの高さは特殊容器の型式や商品毎に異なり、具体的
には、JIS S2350 附属書Eの表.1に「入味線高さ」が、表
E.2 に「下限入味線高さ」が規定されています。
(4)特殊容器の表示
特殊容器は、経済産業大臣から指定を受けた者(指定製造者)が製造する
ことができます。指定製造者は、その指定を受けた工場又は事業場において
製造した特殊容器が、計量法第63条に適合するものであるとき(省令で定
める型式に属し、かつ、器差が容量公差を超えないこと)には、当該容器に
「表示(丸正マーク)
」を付すことができます。
a 入味線高さ
液面の最下部
特殊容器を
置いた平面a丸正マーク33.根拠法令条文
計量法(平成4年法律第51号)第16条第1項(使用の制限)
、第17条(特殊容器の使用)、第60条(指定の基準)
、第63条(表示)
計量法施行令(平成5年政令第392号)第8条(特殊容器の使用に係る商品)
計量法施行規則(平成5年経済産業省令第69号) 第4章 特殊容器製造事業
※(注記)後述、参考資料を参照。4-参考資料-
○しろまる計量法 抜粋
(使用の制限)
第十六条 次の各号の一に該当するもの(船舶の喫水により積載した貨物の質量の計量をする場合にお
けるその船舶及び政令で定める特定計量器を除く。
)は、取引又は証明における法定計量単位による計
量(第二条第一項第二号に掲げる物象の状態の量であって政令で定めるものの第六条の経済産業省令
で定める計量単位による計量を含む。第十八条、第十九条第一項及び第百五十一条第一項において同
じ。
)に使用し、又は使用に供するために所持してはならない。
一 計量器でないもの
二 次に掲げる特定計量器以外の特定計量器
イ 経済産業大臣、都道府県知事、日本電気計器検定所又は経済産業大臣が指定した者(以下「指定
検定機関」という。
)が行う検定を受け、これに合格したものとして第七十二条第一項の検定証印が
付されている特定計量器
ロ 経済産業大臣が指定した者が製造した特定計量器であって、第九十六条第一項(第百一条第三項
において準用する場合を含む。次号において同じ。
)の表示が付されているもの
三 第七十二条第二項の政令で定める特定計量器で同条第一項の検定証印又は第九十六条第一項の表示
(以下「検定証印等」という。
)が付されているものであって、検定証印等の有効期間を経過したもの
(特殊容器の使用)
第十七条 経済産業大臣が指定した者が製造した経済産業省令で定める型式に属する特殊容器(透明又
は半透明の容器であって経済産業省令で定めるものをいう。以下同じ。
)であって、第六十三条第一項
(第六十九条第一項において準用する場合を含む。
次項において同じ。)の表示が付されているものに、
政令で定める商品を経済産業省令で定める高さまで満たして、体積を法定計量単位により示して販売
する場合におけるその特殊容器については、前条第一項の規定は、適用しない。
2 第六十三条第一項の表示が付された特殊容器に前項の経済産業省令で定める高さまでその特殊容器
に係る商品を満たしていないときは、その商品は、販売してはならない。ただし、同条第二項(第六
十九条第一項において準用する場合を含む。)の規定により表記した容量によらない旨を明示したとき
は、この限りでない。
(指定の基準)
第六十条 第六十七条の規定により指定を取り消され、その取消しの日から一年を経過しない製造者は、
第十七条第一項の指定を受けることができない。
2 経済産業大臣は、第十七条第一項の指定の申請が次の各号に適合すると認めるときでなければ、そ
の指定をしてはならない。5一 特殊容器の製造の方法が経済産業省令で定める基準に適合するものであること。
二 特殊容器の検査の方法が経済産業省令で定める基準に適合するものであること。
(表示)
第六十三条 指定製造者は、その指定に係る工場又は事業場において製造した特殊容器が次の各号に適
合するものであるときは、経済産業省令で定めるところにより、これに表示を付することができる。
一 第十七条第一項の経済産業省令で定める型式に属すること。
二 その器差が経済産業省令で定める容量公差を超えないこと。
2 指定製造者は、前項の表示をするときは、その特殊容器に、経済産業省令で定める方法により、第
五十九条第四号の規定により同条の申請書に記載した記号及びその型式について第十七条第一項の経
済産業省令で定める容量を表記しなければならない。
3 何人も、第一項(第六十九条第一項において準用する場合を含む。
)に規定する場合を除くほか、特
殊容器に第一項の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。
○しろまる計量法施行令 抜粋
(特殊容器の使用に係る商品)
第八条 法第十七条第一項 の政令で定める商品は、次のとおりとする。
一 牛乳(脱脂乳を除く。)、加工乳及び乳飲料
二 乳酸菌飲料
三 ウスターソース類
四 しょうゆ
五 食酢
六 飲料水
七 発泡性の清涼飲料
八 果実飲料
九 牛乳又は乳製品から造られた酸性飲料
十 みりん(次号に掲げる種類に該当するものを除く。)十一 酒類(酒税法第 2 条第 1 項に規定する酒類(同法第 3 条第 22 号に規定する粉末酒を除く。)※(注記)をいう。)十二 液状の農薬
○しろまる計量法施行規則 抜粋
第四章 特殊容器製造事業
(型式)6第二十五条 法第十七条第一項 の経済産業省令で定める型式は、
日本工業規格S二三五〇容量表示付き
ガラス製びん(壜)附属書Bによる。
(容器の材質)
第二十六条 法第十七条第一項 の経済産業省令で定めるものは、
日本工業規格S二三五〇容量表示付き
ガラス製びん(壜)の材質を有する容器とする。
(高さ)
第二十七条 法第十七条第一項 の経済産業省令で定める高さは、
日本工業規格S二三五〇容量表示付き
ガラス製びん(壜)附属書Eによる。
第二十八条 (指定の申請) (略)
第二十九条 削除
(指定の基準)
第三十条 法第六十条第二項第一号 の経済産業省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 ガラス原料の調合に関する事項一定の割合にガラス原料を計量して、目標組成に応じた均質な調
合原料にできる調合装置を用いること。
二 溶融ガラスの形成に関する事項
イ ガラス原料を加熱溶融し、均質な溶融ガラスが形成される温度制御ができるガラス溶融炉を用
いること。
ロ 素地面を自動的に計測して、その変動を小さくできる素地面制御装置を用いること。
三 溶融ガラスの成形機への供給に関する事項
イ 溶融ガラスを成形に適した温度に調整できる温度調整装置を用いること。
ロ 一定の質量の溶融ガラスを成形機と同調して供給できるガラス素地供給装置を用いること。
四 溶融ガラスの成形に関する事項
イ 適切な冷却装置を有し、中空のガラス容器を成形できる成形機を用いること。
ロ ガラス素地供給装置と連動する成形機を用いること。
ハ 成形する際は、第二十五条に定める型式の形状及び容量に適合する金型を用いること。
五 成形した容器の冷却に関する事項ガラスの徐冷点からひずみ点までの温度域を適切に徐冷でき
る装置を用いること。
六 設備及び金型の管理に関する事項
イ 前各号の設備をその精度が十分保持できるよう適切に管理すること。
ロ 金型検査を行いその各部の寸法を管理すること。
2 法第六十条第二項第二号 の経済産業省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 特殊容器の検査に必要な設備は、日本工業規格S二三五〇容量表示付きガラス製びん(壜)によ
ること。
二 法第六十三条第一項第一号 に適合しているかどうかの検査の方法は、
日本工業規格S二三五〇容7量表示付きガラス製びん(壜)附属書Cによること。
三 法第六十三条第一項第二号 に適合しているかどうかの検査の方法は、
日本工業規格S二三五〇容
量表示付きガラス製びん(壜)によること。
四 特殊容器の検査を行った場合は、速やかに次に掲げる事項を記載した検査記録を作成し、当該検
査を行った日から三年以上保存すること。
イ 検査を行った特殊容器の型式及び数
ロ 検査を行った特殊容器のロットの製造年月日及び数
ハ 検査を行った年月日及び場所
ニ 検査を行った者の氏名
ホ 検査の方法
ヘ 検査の結果
第三十一条 (変更の届出等) (略)
(表示)
第三十二条 指定製造者は、法第六十三条第一項 の規定により特殊容器に表示を付するときは、次の各
号に定めるところにより付するものとする。
一 表示は、容易に消滅せず、かつ、明りょうに読みとれるものとする。
二 表示の大きさ及び形状は、七ミリメートル以上の短径とし、短径と⻑径の比が三対四となる大き
さで、次のとおりとする。
三 表示を付する特殊容器の部分は、特殊容器の底面を除いた外側の部分であって、表示が折れ曲がら
ない部分とする。
2 法第六十三条第二項 の経済産業省令で定める方法は、次のとおりとする。
一 記号の表記は、容易に消滅せず、かつ、明瞭に読みとれるもので、前項第二号の表示に隣接した
部分又は底面に表記すること。
二 容量の表記は、容易に消滅せず、かつ、明瞭に読みとれるもので、日本工業規格S二三五〇容量
表示付きガラス製びん(壜)によること。
(容量公差)
第三十三条 法第六十三条第一項第二号 の経済産業省令で定める容量公差は、
日本工業規格S二三五〇
容量表示付きガラス製びん(壜)の附属書Aによる。
第三十四条(廃止の届出) 〜第三十七条 (指定の通知等) (略)