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インタビュー|資源・エネルギー分野|再生可能エネルギー

資源・エネルギー分野再生可能エネルギー

石井 孝裕資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー課 風力政策室長(2022年8月時点)

石井孝裕の正面写真

2050年カーボンニュートラル実現に向けた主力電源としての再エネ

エネルギーは全ての社会・経済活動を支える土台です。しかし、資源の乏しい我が国は、安全性(Safety)を大前提に、エネルギーの安定供給(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)の向上、環境への適合(Environment)を同時に達成すること、いわゆる"S+3E"を実現していくことが求められます。
他方で、この"S+3E"の全てを満たす完璧なエネルギー源は存在しません。このため、カーボンニュートラルを実現する上で、今後の技術革新などの不確実性も踏まえ、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)のみならず、原子力、火力、水素、 CCUS(二酸化炭素を回収・利用・貯留する技術)など、あらゆる選択肢を追求していく必要があります。
なかでも、再エネは、温室効果ガスを排出せず、国内で生産可能であることから、まさに、エネルギー安全保障にも寄与する有望で重要なエネルギー源であり、2021年に閣議決定された「エネルギー基本計画」では、2030年度の電源構成において36〜38%程度の再エネを導入する目標を掲げています。

洋上風力は再エネ主力電源化の 「切り札」、その市場を新たに創出

私は、再エネの中でも、風力発電を担当しています。特に、洋上風力については、再エネの主力電源化に向けた切り札として位置づけ、国内で 2030年までに10GW、2040年までに30〜45GWのプロジェクトを組成する ともに、2030年度までに 5.7GWの稼働を目標に、日々、取り組んでいます。風車が得るパワーは、風速の3乗とローター半径(羽根の長さ)の2乗の積に比例します。前者はその地域の自然条件で決まり、後者は技術開発により向上します。技術の進展は著しく、最近は出力約10MWの風車が当たり前です。洋上風力の黎明期にある我が国において、東京タワーとほぼ同じサイズの風車が、2030年度には 600本近く稼働することになります。
一方、2010年代後半に我が国のメーカーは風車の製造から撤退するなど、欧州を中心に諸外国と比べて遅れを取っているのが実態です。このため、我が国の風力産業の発展をも見据え、現在、3つの課題に取り組んでいます。

一つ目は、市場の創出。つまり、2019年に施行された「再エネ海域利用法」に基づき、国内で洋上風力を実施する海域を作り出していくこと。これは、先の目標そのものですが、言うは易しです。北は北海道から南は九州までの全国の風況の良いエリアで、都道府県や市町村と密に連携して、様々なステークホルダーのご理解を得つつ、年平均1GWのペースで新たにこの大規模な市場を作り出していきます。
加えて、1電気料金といった国民負担の抑制、2漁業者をはじめ海域を先行して利用されている方々と洋上風力の『共存共栄』の実現、3電力の安定供給に貢献する、国内サプライチェーンの形成。これらを同時に達成する、発電事業者の選定制度を立案し実施する ともに、自治体や漁協と一緒に地域の将来像を描き、その実現に向けた手段として風力発電をどのように位置づけていくか、漁業影響調査をどのように実施していくか、日々、現地を訪問し、地元の方々と議論を重ねています。

二つ目は、世界がしのぎを削る、浮体式洋上風力発電の技術力向上。2040年の目標を考慮すると、沖合にも発電設備を設置していく必要があります。その際、日本近海の特性上、浅い海域を対象とした着床式ではなく、比較的深い海域で使用される浮体式を採用する必要がありますが、この技術は世界的に見ても未だ本格的な商用段階にはありません。浮体式は、着床式に比べて、技術難易度が高く、造船分野の技術が適用できることから従来とは異なるプレーヤーの参入が想定されます。将来、我が国と同じような海洋環境を有する国外への展開をも睨み、大量生産可能な安価なシステムの実現に向けて、1,000億円超の予算を活用し、企業・大学とともに先進的な研究開発・実証プロジェクトを進めています。

三つ目は、我が国の将来を担う人材の育成。洋上風力をはじめ、急速に市場が形成される分野では、中長期的視点に立って、産業界と教育機関とが緊密に連携した取組が欠かせません。このため、産業界のみならず、大学におけるカリキュラム策定等の取組を強力にサポートしています。 こうした取組を進めていくと、先行する欧州の取組と比較されますが、海外の施策を直ちに採用することはできません。環境を含む前提条件が我が国とは異なるからです。同じ国内でも一様ではありません。その地域の伝統や文化、コミュニティの成り立ち、魚種も当然異なります。現場の実態をよく見極め、採否の判断や採用するとしてもカスタマイズする必要があります。

最も難しい政策実現フェーズを楽しむ

私は、学生時代、流体工学を専攻していました。このため、風力発電には親近感があります。省内を見渡しても、多くの政策領域で技術が関係 しています。理工系出身で、学生時代、院生から学部生までチームを組んで研究を進めてきた私としては、1次代を席巻し得るテクノロジーは何かを意識すること、2技術と社会のコミュニケーターの役割を果たすこと、3プロジェクトマネジメント力を発揮することを日々心がけています。こうした姿勢は、我が国の将来像を描き、そこからバックキャストして施策の仮説を打ち立てて検証し、室員一丸となって実施していく、まさに政策の立案・実行そのものに通じます。
戦略やビジョンは、あくまで仮説に過ぎず、検証・フィードバックを繰り返して洗練させる ともに、実現し、社会を変革して初めて意味があります。ただ、この実現フェーズは、ステークホルダーの共感や時には意識変革をも必要とし、最も難しい。論理では通じない局面もあります。そうした観点からも、取り組むべき課題は常に現地・現場にある。過去に体得したソリューションが簡単には適用できない現実を直視して、常に真剣勝負で挑む。そういった気概のある将来の同僚と一緒に働けることを楽しみにしています。

経済産業省Ministry of Economy, Trade and Industry, JAPAN

お問い合わせ先

経済産業省 大臣官房 秘書課 採用担当
E-Mail:bzl-recruit@meti.go.jp
TEL:03-3501-0085
(注記)基本は、メールでのお問い合わせをお願いします。

最終更新日:2023年12月21日

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