障害を理由とする差別の解消の推進に関する実施要領

1障害を理由とする差別の解消の推進に関する実施要領
実 施:平成28年 4月 1日
一部改訂:令和 4年 2月21日
この実施要領は、
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律
(平成25年法律第65号。
以下「障害者差別解消法」という。)及び障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律
第123号。以下「障害者雇用促進法」という。
)の規定を踏まえ、国立大学法人九州大学(以下
「本学」という。
)における障害を理由とする差別の解消の推進に関する規程(平成27年度九大
就規第14号。以下「規程」という。
)に即して、本学に勤務する職員及び役員(以下「職員等」
という。
)が適切に対応するために留意すべき事項、その他必要な事項を定めるものである。
規程第3条第1号に規定する
「本学の職員等及び学生その他本学が行う教育研究等の活動全般」
とは、本学が実施するすべての教育・研究活動、及び本学が実施する行事、並びにそれらの活動
に伴う学内施設の利用等のことであり、以下のものを含む。
(1)正課教育・研究活動
講義及び実験、実習及び演習、フィールドワーク並びに大学院における研究指導等の正課
教育及び研究活動(これらに対する予習・復習・課題への対応等を含む。)(2)正課外教育
履修指導、就職指導、学生相談、留学相談等
(3)学内施設の利用
附属図書館、情報処理室、学生寮、保健管理室等の学生支援関係施設等
(4)本学が主催する行事
オープンキャンパス、入学式及びオリエンテーション、卒業式等
(5)その他
上記(1)〜(4)と密接に関連する入学試験、履修登録、試験、休講等の各種情報の入
手又は奨学金の申請等
第1 障害を理由とする差別の解消の推進に係る基本的な考え方
職員等が、業務を行うに当たり、次の事項については、障害者差別解消法及び障害者雇用促進
法の規定により、法的義務を負っていることに留意すること。
(1)規程第4条で規定する不当な差別的取扱いの禁止
(2)規程第5条で規定する合理的配慮の提供
第2 不当な差別的取扱いとならない正当な理由の考え方
規程第3条第3号に規定する不当な差別的取扱いであるのかどうかの判断には、その取扱い
を行う正当な理由の有無が重要となる。正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理 2由として、
財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の
下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。職員等は、正
当な理由に相当するか否かについて、建設的対話や変更・調整の実施の努力を尽くすなど、具体
的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことのないよう、個別
の事案ごとに、障害者、第三者の権利利益(安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等)及び
本学の教育・研究その他本学が行う活動全般の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的
場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。
職員等は、正当な理由があると判断した場合には、障害者に根拠を示し、その理由を説明する
ものとし、理解を得るよう努めなければならない。
第3 不当な差別的取扱いの基本的考え方
障害者差別解消法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービス
や各種機会の提供を拒否すること又は提供に当たって場所・時間帯などを制限すること、
障害者
でない者に対しては付さない条件を付することなどにより、障害者の権利利益を侵害すること
を禁止している。
ただし、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な
差別的取扱いではない。
したがって、
障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い
(いわゆる積極的改善措置)、障害者差別解消法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異
なる取扱いや、
合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、
プライバシーに配慮しつつ障害者
に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。
このように、不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、問題となる本学の教育・
研究その他本学が行う活動全般について、本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より
不利に扱うことである点に留意する必要がある。
第4 合理的配慮の基本的な考え方
1.障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)第2条及び規程第3条第4号にお
いて、「合理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由
を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の
場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」
と定義されている。
障害者差別解消法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、全ての事業者に対し、
その事務又は事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を
必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないとき
は、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、合
理的配慮を行うことを求めている。
合理的配慮は、障害者が受ける制限は、障害のみに起因するという「医学モデル」のみなら 3ず、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるという「社会モデル」を統合した
考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が
個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であ
り、その実施に伴う負担が過重でないものである。
合理的配慮は、本学の教育・研究その他本学が行う活動全般の目的・内容・機能に照らし、
必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較にお
いて同等の機会の提供を受けるためのものであること、教育・研究その他本学が行う活動全般
の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。なお、合理的配
慮を提供したことを理由として、その障害者を不利益に扱うことは不当な差別的取り扱いとな
ることを留意する必要がある。
2.合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異な
り、多様かつ個別性の高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的
障壁の除去のための手段及び方法について、第5に掲げる要素を考慮し、代替措置の選択も含
め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなさ
れるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わ
り得るものである。合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮する
ものとする。
なお、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわ
たる場合等には、その都度の合理的配慮とは別に、4.に示す環境の整備を考慮に入れること
により、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要である。
3.意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要とし
ている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や
身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを
図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。
また、障害者からの意思表明のみでなく、知的障害、精神障害、発達障害及び難病等により
本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、支援者・介助者、法定代理人等、コミュニ
ケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。
なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、支援者・介助者、法定代理人等を伴っていない
場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としてい
ることが明白である場合には、障害者差別解消法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切
と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めなければ
ならない。
4.合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者
等の人的支援、
情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、
個々の障害者に対 4して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整
備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障害の状態等が変化すること
もあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮につい
て、適宜、見直しを行うことが重要である。
5.本学がその教育・研究その他本学が行う活動全般において実施する業務を事業者に委託等
する場合は、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生ずることにより障害者が不利益
を受けることのないよう、委託等の条件に、この実施要領を踏まえた合理的配慮の提供につ
いて盛り込むよう努めなければならない。
第5 過重な負担の基本的な考え方
過重な負担については、障害者差別解消法の趣旨を損なうこと(具体的な検討をせずに過重
な負担を拡大解釈することなど)なく、個別の事案ごとに、次に掲げる要素等を考慮し、具体的
場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。職員等は、過重な負担に当た
ると判断した場合は、障害者に根拠を示し、その理由を説明するものとし、理解を得るよう努め
なければならない。
(1) 教育・研究その他本学が行う活動全般への影響の程度(その目的・内容・機能を損なうか
否か)
(2) 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)
(3) 費用・負担の程度
(4) 本学の規模、財務状況
第6 相談窓口
規程第11条に定める本学の相談窓口は、下記のとおりとする。
1.キャンパスライフ・健康支援センター
(1) 健康相談室
(2) 学生相談室
(3) インクルージョン支援推進室
(4) コーディネート室
2.各学部・学府学生相談担当教員
3.所属部局(学生担当係、人事担当係)
4.事務局各部総務担当係
5.病院患者相談支援室
第7 不当な差別的取扱いに当たり得る具体例
不当な差別的取扱いに当たり得る具体例は次に掲げるとおりである。なお、第3で示したと
おり、
不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、
個別の事案ごとに判断されることとな 5る。
また、これらの具体例については、正当な理由が存在しないことを前提としていること、さら
に、
これらはあくまでも例示であり、
不当な差別的取扱いがこれらの具体例だけに限られるもの
ではないことに留意する必要がある。
1.学生・職員等・患者・その他本学が行う教育・研究その他本学が行う活動全般に参加する
すべての者共通の対応(以下、
「共通の対応」という。)(1) 障害があることを理由に窓口対応を拒否すること。
(2) 障害があることを理由に式典、
行事、
説明会、
シンポジウムへの出席を拒否すること。
(3) 障害があることを理由に事務窓口等での対応順序を劣後させること。
(4) 障害があることを理由に施設等の利用やサービスの提供を拒否すること。
(5) 障害があることを理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒否
すること。
(6) 職務の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害があることを理由に、来
学の際に付き添い者の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支障がないにもか
かわらず、付き添い者の同行を拒んだりすること。
2.学生への対応
(1) 障害があることを理由に受験を拒否すること。
(2) 障害があることを理由に入学を拒否すること。
(3) 障害があることを理由に授業受講を拒否すること。
(4) 障害があることを理由に研究指導を拒否すること。
(5) 障害があることを理由に実習、研修、フィールドワーク等への参加を拒否すること。
(6) 障害があることを理由に学生寮への入居を拒否すること。
(7) 手話通訳、ノートテイク、パソコンノートテイクなどの情報保障手段を用意できない
からという理由で、障害のある学生等の授業受講や研修、講習、実習等への参加を拒否
すること。
(8) 試験等において、合理的配慮を受けたことを理由に評価に差をつけること。
(9) 運動能力の程度を確認することなく、
四肢に障害がある者は一律に運動能力に欠ける
等として体育授業や研修、講習、会議、実習、イベントへの参加を受付けないこと。
(10) 軽度の障害であることが明白であり、
教員や周囲の学生による簡単な配慮で授業受講
が可能な上、
本人も介助は不要と申請しているにもかかわらず、
介助者をともなって
参加することを条件付けること。
(11) 障害があることを理由に、授業受講を免除すること。
3.職員等への対応
(1) 障害があることを理由に宿舎への入居を拒否すること。 6(2) 障害があることを理由に施設等の利用やサービスの提供を拒否すること。
4.患者への対応
(1) 事務・事業の遂行上、特に必要ではないにもかかわらず、障害があることを理由
に、来院の際に付き添い者の同行を求めるなどの条件を付けること。
第8 合理的配慮に該当し得る配慮の具体例
合理的配慮は、
障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、
必要な人
材の配置、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、
その状況に応じて個別に実施される措置である。
その内容は、
障害の特性や社会的障壁の除去が
求められる具体的状況等に応じて異なり、
多様かつ個別性が高いものであり、
当該障害者が現に
置かれている状況を踏まえ、
社会的障壁の除去のための手段及び方法について、
必要かつ合理的
な範囲で、柔軟に対応する必要がある。
なお、合理的配慮は、以下の3種類に大別される。
(1)物理的環境への配慮
施設設備等を他の学生・教職員・患者等と同様に利用できるように配慮する
(2)意思疎通の配慮
情報の利用、発信のしやすさやコミュニケーションを円滑に進めるように配慮する
(3)ルール・慣行の柔軟な変更
定められているルールやルールとしては明示されていない慣行を変更・調整するため
の配慮
また、次に掲げる具体例については、過重な負担が存在しないことを前提とし、次に掲げる具
体例以外にも合理的配慮は多数存在することに留意すること。
さらに、下記具体例のほか、独立行政法人日本学生支援機構が作成する「大学等における障害
のある学生への支援・配慮事例」や「教職員のための障害学生修学支援ガイド」も参考とするこ
と。
(物理的環境への配慮の具体例)
1.共通の対応
(1) 車椅子利用者のためにキャスター上げ等の補助をし、又は段差に携帯スロープを渡す
こと。
(2) 障害により移動に困難のある者のために、普段よく利用する施設に近い位置に駐車場
を確保すること。
(3) 配架棚の高い所に置かれた図書やパンフレット等の置き場所を変えること。
(4) 障害特性により、授業・就業・受診中などに、頻繁に離席の必要がある障害者等につ
いて、座席位置を出入口の付近に確保すること。
(5) 不随意運動等により書類等を押さえることが難しい障害者に対し、バインダー等 7の固定器具を提供したりすること。
2.学生への対応
(1) 図書館やコンピュータ室、実験・実習室等の施設・設備を、他の学生等と同様に利用
できるように改善すること。
(2) 移動に困難のある学生等が参加している授業で、使用する教室をアクセスしやすい場
所に変更すること。
(3) 易疲労状態の障害者からの別室での休憩の申し出に対し、休憩室の確保に努めるとと
もに、休憩室の確保が困難な場合、教室内に長いすを置いて臨時の休憩スペースを設け
ること。
(4) 教室内で、講師や板書・スクリーン等に近い席を確保すること。
(5) オンライン授業などを個別で受講する環境を設けること。
(6) 各教室の施設・設備について、障害特性に応じた日照、室温、音の影響等に配慮する
こと。
3.職員等への対応
(1) 易疲労状態の障害者からの別室での休憩の申し出に対し、休憩室の確保に努めるとと
もに、休憩室の確保が困難な場合、臨時の休憩スペースを設けること。
(意思疎通の配慮の具体例)
1.共通の対応
(1) 筆談、読み上げ、手話通訳などのコミュニケーション手段を用いること。
(2) 事務手続きの際に、職員等や支援者が必要書類の代筆を行うこと。
(3) 意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認すること。
(4) 目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせて歩いたり、前後・左
右・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりすること。
(5) 図書やパンフレット等の位置を分かりやすく伝えること。
(6) 危険箇所や危険の発生等を視覚で確認できるようにすること。
2.学生への対応
(1) 授業や実習、研修、行事等のさまざまな機会において、手話通訳、ノートテイク、パ
ソコンノートテイク、補聴システムなどの情報保障を行うこと。
(2) シラバスや教科書・教材等の印刷物にアクセスできるよう、学生等の要望に応じて電
子ファイルや点字・拡大資料等を提供すること。
(3) 聞き取りに困難のある学生等が受講している授業で、ビデオ等の視聴覚教材に字幕を
付与して用いること。
(4) 授業中教員が使用する資料を事前に提供し、事前に一読したり、読みやすい形式に変 8換したりする時間を与えること。
(5) 障害のある学生等で、視覚情報が優位な者に対し、手続きや申請の手順を矢印やイラ
スト等で分かりやすく伝えること。
(6) 間接的な表現が伝わりにくい場合に、より直接的な表現を使って説明すること。
(7) 授業でのディスカッションに参加しにくい場合に、発言しやすいような配慮をしたり、
テキストベースでの意見表明を認めたりすること。
(8) 入学試験や定期試験、または授業関係の注意事項や指示を、口頭で伝えるだけでなく
紙に書いて伝達すること。
(9) オンライン授業を行う際には、指示詞(ここ、そこなど)を使用せず、具体的に説明す
ること。
3.職員等への対応
(1) 会議の進行に当たっては、議事次第のどこを議論しているかわかりやすく伝えるこ
と。
(2) 障害のある職員等で、視覚情報が優位な者に対し、手続きや申請の手順を矢印やイラ
スト等で分かりやすく伝えること。
(3) 間接的な表現が伝わりにくい場合に、より直接的な表現を使って説明すること。
(4) 口頭の指示だけでは伝わりにくい場合に、指示を書面で伝えること。
4.患者への対応
(1) 駐車場などで、通常、口頭で行う案内を紙にメモをして渡すこと。
(2) 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、分かりやすい記述で
伝達したりすること。
(3) 比喩表現等が苦手な障害者に対し、比喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに説明
すること。
(4) 知的障害者から申し出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が
理解されたことを確認しながら応対すること。また、なじみのない外来語は避け、漢数
字は用いないこと。時刻は24時間表記ではなく午前・午後で表記するなどの配慮を念
頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡すこと。
(ルール・慣行の柔軟な変更の具体例)
1.共通の対応
(1) 大学行事や講演、講習、研修等において、適宜休憩を取ることを認めたり、休憩時間
を延長したりすること。
(2) 移動に困難のある障害者に配慮し、車両乗降場所を施設の出入り口に近い場所へ変更
すること。
(3) 外部の人々の立ち入りを禁止している施設等において、介助者等の立ち入りを認める 9こと。
2.学生への対応
(1) 入学試験や定期試験において、個々の学生の障害特性に応じて、試験時間を延長した
り、別室受験や支援機器の利用、音声読み上げソフトによる問題の読み取り、点字や拡
大文字の使用を認めたりすること。
(2) 成績評価において、本来の教育目標と照らし合わせ、公平性を損なわない範囲で柔軟
な評価方法を検討すること。
(3) 教育実習等の学外実習において、合理的配慮の提供が可能な機関での実習を認めるこ
と。
(4) 教育実習、病棟実習等の実習授業において、事前に実習施設の見学や事前の話し合い
を行うこと、通常よりも詳しいマニュアルを提供すること。
(5) 外国語のリスニングが難しい学生等について、リスニングが必須となる授業を他の形
態の授業に代替すること。
(6) 障害のある学生等が参加している実験・実習等において、特別にティーチングアシス
タント等を配置すること。
(7) IC レコーダーや画面キャプチャー等を用いた授業の録音・録画を認めること。
(8) 授業中、ノートを取ることが難しい学生に、板書を写真撮影することを認めること。
(9) 不随意運動等により特定の作業が難しい障害者に対し、教職員や支援学生を配置して
作業の補助を行うこと。
(10) 感覚過敏等がある学生等に、サングラス、イヤーマフ、ノイズキャンセリングヘッド
フォンの着用を認めること。
(11) 体調が悪くなるなどして、レポート等の提出期限に間に合わない可能性が高いときに、
期限の延長を認めること。
(12) 履修登録の際、履修制限のかかる可能性のある選択科目において、機能障害による制
約を受けにくい授業を確実に履修できるようにすること。
(13) 入学時のガイダンス等が集中する時期に、必要書類やスケジュールの確認などを個別
に行うこと。
(14) 治療等で学習空白が生じる学生等に対して、補講を行う等、学習機会を確保できる方
法を工夫すること。
(15) 授業出席に介助者が必要な場合には、介助者が授業の受講生でなくとも入室を認める
こと。
(16) 視覚障害や肢体不自由のある学生等の求めに応じて、事務窓口で同行の介助者の代筆
による手続きを認めること。
(17) 入院や通院による欠席や大人数教室での受講が難しい場合に、授業をオンライン
での受講を認めること。
(18) オンライン授業の際には、学生側にカメラオンを強要しないこと。 103.職員等への対応
(1) 面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること。
(2) 本人のプライバシーに配慮した上で、他の職員等に対し、障害の内容や必要な配慮等
を説明すること。
(3) 業務指導や相談に関し、担当者を定めること。
(4) 業務の優先順位や目標を明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順を分かりやすく示
したマニュアルを作成するなどの対応を行うこと。
(5) 出退勤時刻・勤務場所・休憩・休暇に関し、通院・体調に配慮すること。
(6) 危険箇所や危険の発生等を視覚で確認できるようにすること。
(7) 本人の負担の程度に応じ、業務量等を調整すること。
4.患者への対応
(1) 順番を待つことが苦手な障害者に対し、周囲の者の理解を得た上で、手続き順を
入れ替えることを考慮すること。
(2) 立って列に並んで順番を待っている揚合に、周囲の者の理解を得た上で、当該障
害者の順番が来るまで別室や席を用意することを考慮すること。
(3) 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張により、不随意の発声等がある
場合、当該障害者に説明の上、施設の状況に応じて別室を準備することを考慮する
こと。
附 記
この要領は、平成28年4月1日から実施する。
附 記
この要領は、令和4年4月1日から実施する。

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /