当社の原子力防災に係る
主な取組みについて
2024年7月9日
九州電力株式会社
第13回原子力に係る安全性・信頼性向上委員会資料 資料3
目 次
1.はじめに<原子力災害発生時の対応(概要)>
2.防災体制
3.住民避難支援に係る取組み
4.原子力防災訓練等の取り組み状況
5.今後の取組みについて
6.まとめ
1.はじめに<原子力災害発生時の対応(概要)>
原子力発電所の状況
原子力
事業者の
対応・役割
原子力プラントの安全レベル
が低下するような事態
(警戒事態)
例:非常用交流高圧母線喪失等
公衆を放射性物質から保護する
機能が喪失されるような事態
(施設敷地緊急事態)
例:冷却機能一部喪失等
原災法10条事象
放射性物質がプラント外へ放出され
立入制限が必要なエリアが特定
される事態
放射性物質がプラント外へ放出
される可能性が非常に高まる
ような事態
(全面緊急事態)
例:炉心損傷、冷却機能喪失等
原災法15条事象
事故収束活動
国および自治体等への通報、緊急時モニタリング
福祉車両による要支援者避難支援
避難退域時検査
場所への要員派遣
当社は、原子力事業者としての責務を果たすため、重大事故を防止する安全対策に限らず、万一、
重大事故が発生した場合の事故収束活動や発電所周辺地域における原子力災害対策についても
充実・強化に向け継続的に取り組んでいます。1PAZ内要支援者の避難、
屋内退避の準備開始
PAZ内要支援者の避難開始、
屋内退避
UPZ内の区域内の住民退避
(OIL※(注記)2)
事業者が支援する
原子力発電所
周辺住民の行動
※(注記) 運用上の介入レベル(Operational Intervention Level):放射線モニタリングなどの計測された値により、避難や
一時移転等の防護措置を実施するための判断基準
2.防災体制(原子力災害発生時の体制について)
ロボット、重機等の輸送
支援組織要員派遣 等
原子力緊急事態支援
センター
原子力事業者間協力協定(12社)
西日本5社間での相互協力協定
他原子力事業者の協力
発電所への物資の輸送 等
◇ 設置場所:薩摩川内市湯田用地 等
◇ 拠点長:原子力発電本部部長
原子力事業所
災害対策支援拠点
支援
支援
◇設置場所:発電所緊急時対策所
◇対策本部長:発電所長
【事故収束活動における役割】
事故拡大防止
発電所内外の放射線測定状況把握
設備の整備
初期消火活動
避難者の誘導
報道機関対応
通報連絡 等
発電所対策本部
◇設置場所:本店 施設事態即応センター
◇対策本部長:社長
【事故収束活動における役割】
情報収集及び災害状況把握
事故拡大防止措置の支援
外部電源供給
ERCへの情報連絡
報道機関対応
原子力事業所災害対策支援
拠点との連携
要支援者避難支援
本店対策本部
支援・情報
情報
支援
要員派遣
原子力災害対策本部
◇体制:内閣総理大臣以下
官邸
緊急時対応センター(ERC)
◇体制:原子力規制委員以下
原子力規制庁
原子力災害現地対策本部
◇体制:内閣府副大臣以下
オフサイトセンター
災害対策本部
◇体制:知事、市町長以下
各県庁等
プラント設計(三菱など)
重大事故等対策他(協力会社)
メーカ、協力会社 等
福島第一原子力発電所事故を踏まえ、発電所の防災体制を強化するだけではなく、本店などによる
支援体制を整備し、全社一丸となって事故収束活動を行うこととしています。2派遣要請
原子力災害医療(オンサイト医療)
原子力安全研究協会
2.防災体制(当社の体制と各班の役割)
当社は、あらかじめ以下の組織を設置し、原子力災害が発生するおそれがある場合又は発生した
場合、直ちに事故収束活動を行います。3原子力発電所 本 店
発電所対策本部 本店対策本部
本 部 長:原子力防災管理者(発電所長)
副本部長:副原子力防災管理者
拠点長
本 部 長:社長
副本部長:原子力発電本部長
総 括 班
運転支援班
安全管理班
保 修 班
運 転 班
広 報 班
総 務 班
土木建築班
原子力訓練センター班
事故拡大防止の検討 等
事故拡大防止の運転措置及び
保安上の技術的支援
放射能影響範囲の推定 等
事故復旧計画の策定 等
事故拡大防止に必要な運転上の措置 等
地域住民対応及び広報 等
避難者の誘導 等
土木建築設備の応急復旧計画の策定
及びそれに基づく措置
避難者の誘導
(原子力訓練センター見学者・研修生)
情報の収集及び災害状況把握 等
事故拡大防止措置の支援 等
外部電源供給 等
報道対応方針策定 等
原子力事業所災害対策支援拠点
との連携 等
要支援者避難支援 等
中央官庁等社外機関対応
東京支社
原子力技術班
復旧支援班
広 報 班
支 援 班
地域支援班
総 括 班
原子力事業所
災害対策支援拠点
拠点の運営 等
放射線管理 等
資機材、食料、飲料水等の調達・運搬等
原子力災害医療活動 等
支援
総 括 班
放射線管理班
支 援 班
医 療 班
※(注記)事態に応じて設置
2.防災体制(原子力緊急事態支援組織)
事業者が共同で、原子力発電所での緊急事態対応を支援するため、「美浜原子力緊急事態支援
センター」を設立しています。
必要なロボットや除染設備を配備し、各事業者の要員訓練を実施しています。
発電所においても、原子力緊急事態支援組織の資機材を用いて定期的に訓練を実施しています。
緊急時には、これらの資機材を発電所に向けて輸送し、支援を実施します。
300km
500km
800km
●くろまる:原子力事業所
【平常時】
要員参集
【緊急時】
出動要請
無線重機
○しろまる要員の訓練、育成
○しろまる緊急時の連絡体制確保
○しろまる資機材の維持管理、保守・改良 要員・資機材の搬送
障害物・瓦礫の撤去
○しろまる資機材、要員の拠点
○しろまる現地の全体統括
○しろまる資機材修理
資機材車
要員・
資機材
要員輸送車
無線ヘリ 小型ロボット
屋内外の情報収集
支援組織(福井)
発災発電所 災害対策支援拠点
事故状況把握
重機輸送車4:美浜原子力緊急
事態支援センター
2.防災体制(他原子力事業者との協力)
【原子力事業者間協力協定(12社間)】
事故収束活動で不足する放射線防護
資機材等の物的支援
環境放射線モニタリングや周辺地域の
汚染検査等への人的・物的支援(住民
避難支援要員として3,000人)
玄海、川内地域の自治体が主 催する
原子力防災訓練への参加
【西日本5社相互協力協定】
原子力災害の拡大防止対策及び復旧
対策の充実化を目的とした協力要員の
派遣及び資機材の提供
各地域の自治体が主催する原子力防災
訓練へ相互に参加し、情報連携、要員
派遣等を実施
GM管サーベイメータ
(348台)
全面マスク
(900個)
タイベックスーツ
(29,000着)
個人線量計
(900個)
【協力内容】
• 原子力災害時における協力
• 廃止措置実施における協力
• 特定重大事故等対処施設設置における協力5福島第一原子力発電所事故時の教訓を踏まえ、原子力安全研究協会の協力を得て初期医療に
係る体制の構築と充実化を図っています。
【取組状況】
当社を含む9電力、日本原子力発電、日本原燃
及び電源開発と、原子力安全研究協会において、
原子力災害時オンサイト医療に係る契約を締結
オンサイト常駐に係る医療スタッフ等の招集
体制を構築
発電所医療関係者等との連携・強化
オンサイト医療に活用する医療資機材を調達し、
その管理体制を構築
持ち込み資機材の整備
発電所医務室等の資機材整備
国・自治体・オフサイト側の
医療関係機関
原子力災害
拠点病院等 公設消防等と
協力し搬送
情報共有
原子力災害発生時に
医療スタッフを発電所
等に派遣・常駐
原子力安全研究協会
原子力発電所(オンサイト)
情報共有
派遣チーム
初期医療、トリアージ
除染の実施
2.防災体制(オンサイト医療に関する体制) 6
原子力安全研究協会の
医療スタッフと合同で、
放射線管理区域内での
傷病者発生を想定した
初期対応訓練を実施
オンサイト医療に係る体制
3.住民避難支援に係る取組み
【玄海/川内地域における事業者の主な実施事項】
原子力災害が発生した場合、発電所周辺に居住されている住民のみなさまの避難については、
原子力事業者として最大限の支援を行います。具体的には、地域ごとに設置された地域原子力
防災協議会での議論を踏まえ原子力防災会議において承認されたエリア毎の「緊急時対応」に
基づき、原子力事業者としての役割を果たして参ります。
項 目 具 体 的 内 容
(1) 要支援者の避難に関する
支援
• PAZ内の要支援者の避難手段として不足
する福祉車両や運転手等の確保
• UPZ内の要支援者等の避難支援として
福祉車両を譲渡
(2) 避難退域時検査、緊急時
モニタリングへの支援
• 避難退域時検査・除染、緊急時モニタリングの要員及び
資機材の支援
(3) 生活物資の備蓄支援
• 屋内退避者のための備蓄品として不足する食料品など
の生活物資を支援
(4) 燃料補給の支援
• オフサイトセンター、放射線防護対策施設、モニタリング
ポストへの燃料補給支援7(車椅子仕様)
(ストレッチャー仕様)
4.原子力防災訓練等の取り組み状況(原子力防災訓練)
原子力災害対策特別措置法第10条第1項および第15条第1項に該当する事象に至る原子力災害
を想定した原子力防災訓練を実施し、事故への総合的な対応能力を検証・確認しています。
また、さらなる対応能力の向上を図るため、課題を抽出し、対策の立案を実施しています。
【玄海原子力発電所】2024年2月27日
【主な検証項目】
正確かつ確実に通報連絡ができること
【主な課題】
発電所対策本部が立案する戦略が本店対策
本部及び原子力規制庁ERCプラント班へ
正確に伝わっていない場面があった。
【対策】
発電所対策本部と本店対策本部間の情報共
有方法の見直しを検討する。
情報共有に関するマニュアルの充実を検討
する。
【川内原子力発電所】2023年12月19日
【主な検証項目】
正確かつ確実に通報連絡ができること
発電所対策本部における更なる簡潔・明瞭な
報告の実施
【主な課題】
発電所対策本部内の情報過多により本部長
の確認や判断を阻害する可能性があった。
【対策】
発電所対策本部長への情報共有手段につい
て、口頭による報告のみならず情報の優先
度に応じて他のツールを活用する等、情報共
有方法の改善を検討する。8発電所
発電所 本店(模擬記者会見場)
本店(即応センター)
1指揮者等(事故時に全体の指揮を行う全体指揮者、号炉ごとの指揮を行う指揮者及び通報連絡者
となる所長、次長他が対象)
・実働を含む原子力防災訓練(訓練進行のブラインド化)
・中央制御室及び緊急時対策所の指揮者等の判断能力向上を目的としたI型訓練
2運転員
・全交流動力電源喪失を想定した教育訓練
・シミュレータ訓練の内容に重大事故等を想定した教育訓練
3重大事故等対策要員(協力会社も含む)
・可搬型設備、モックアップを使用した電源確保及び水源確保等の教育訓練
・重大事故等発生時の高線量下、夜間、悪天候等を想定した教育訓練(放射線防護具の着用等)
4特重施設要員
・特定重大事故等対処施設の模擬制御盤等を使用した操作手順に係る教育訓練
発電所の事故収束活動に係る要員の対応能力向上を図るため、重大事故等発生時の物理挙動や
プラント挙動等の教育及びその役割に応じた教育訓練を実施しています。
4.原子力防災訓練等の取り組み状況(役割に応じた教育訓練) 9
取水用水中ポンプの現場設置訓練
原子力防災訓練(緊急時対策所) I型訓練(緊急時対策所)
4.原子力防災訓練等の取り組み状況(原子力事業所災害対策支援拠点等)
原子力災害発生時において、発電所の事故収束活動を支援する原子力事業所災害対策支援拠点の
対応能力の向上を図るため訓練を実施し、支援組織等との連携強化を図っています。
原子力事業所災害対策支援拠点設営・運営訓練
(いちき串木野市荒川用地)
設営訓練 運営訓練
海上自衛隊輸送艦への
資機材運搬車両搭載訓練
西日本空輸との資機材空輸訓練
宮里ヘリポートでの資機材積み降ろし
陸上自衛隊との資機材
運搬車両の除染訓練
資機材の空輸10鹿児島県原子力防災訓練において、住民避難支援を行うための訓練を実施し実効性を確認
しました。(2024年2月10日)
O避難退域時検査訓練
➣対応内容:UPZ内で住民のみなさまが広域避難する際の
検査及び除染要員の支援
➣対応場所:旧サンセット長島跡地広場 他2箇所
➣対 応 者:当社社員および他電力社員 27名
O要支援者等避難支援訓練
➣対応内容:福祉車両等を用いたPAZ内要支援者や高齢者
の避難支援
※(注記)要支援者の一部は地元住民が代役
➣車 両:福祉車両 5台、バス 2台
➣対応場所:PAZ内の要支援者宅等から予め定められている
場所(バス集合場所等)までの搬送
➣対 応 者:当社社員および協力会社社員 33名
O燃料供給訓練
➣対応内容:非常用発電機の燃料タンクに備蓄されている
燃料の補給
➣対応場所:オフサイトセンター、モニタリングポスト
4.原子力防災訓練等の取り組み状況(川内地域)
(避難退域時検査訓練)
(要支援者等避難支援訓練)11プロセス 内 容 具体的な活動事例
【訓練計画・準備】
( P l a n )
訓練計画の策定
前年度改善事項反映
訓練実施時期
国、自治体等との事前調整
詳細な計画の作成
体制の整備
社内体制(発電所、本店)の整備
原子力事業者間協力協定(12社)
西日本5社相互協力協定
原子力緊急事態支援組織
ツールの改善
原子力災害情報システムの改善
社外関係機関との調整等
自衛隊、原子力安全研究協会等との相互連携 等
【 訓 練 実 施 】(Do) 国、自治体及び社内外関係箇所
との訓練実施
原子力防災訓練
訓練参加者へシナリオ非提示のブラインド訓練
複数号機同時発災を想定したシナリオによる訓練
重大事故等対処設備、特定重大事故等対処施設を
活用した訓練
原子力事業所災害対策支援拠点における訓練
社外関係機関との連携訓練
原子力事業者間協力協定(12社)、西日本5社相互
協力協定に基づく他原子力事業者の要員の参加 等
【 訓 練 報 告 】
(Check)
【 処 置 ・ 改 善 】
(Action)
訓練の振返り
改善事項の抽出、改善策の検討
防災訓練実施結果報告書の作成
訓練評価指標に基づく国の評価
訓練終了後、訓練参加者全員での振り返りの実施
社内及び社外から評価者を選定
事業者間レビューの実施
評価チェックシートを活用した評価の実施
振り返り、評価チェックシート等から改善事項の抽出
防災訓練実施結果報告書の作成、国へ提出 等
原子力防災訓練から得られた結果を踏まえ、PDCAを適切に実施することで、緊急時対応能力の
向上を図っています。
4.原子力防災訓練等の取り組み状況(評価・改善活動) 12
5.今後の取組みについて 13
【課題】
通報訓練において、一部の
通報連絡文のEAL※(注記)判断時刻
やEAL該当事象の発生時刻に
記載誤りがあった。
【改善結果】
「EAL該当事象の発生時刻や発出した
EALの判断時刻を一元的に管理する
一覧表」を活用することで、同時に
複数のEALを判断する状況下において
も、通報連絡文作成者は正確な通報
連絡文を作成するとともに、発電所
対策本部要員は、通報連絡文に記載
された内容に誤りがないことを確認
できた。(本内容の有効性については
2023年度訓練において確認済)
【改善方針】
正確な通報連絡文を作成するため、通報連絡文作成
等に係る要員が必要な情報を正確に入手できるよう、
EAL該当事象の発生時刻や発出したEALの判断時刻を
一元管理する一覧表の作成等を検討する。
<例:2023年度に実施した改善内容>
今後の委員会においては、前年度の訓練から抽出された課題に対する改善方針に
ついて付議することにより、原子力防災の更なる充実・強化につなげたいと考えています。
6.まとめ
当社は、万一、重大事故が発生した場合の事故収束活動について、原子力事業者
としての責務を果たすとともに、発電所周辺住民のみなさまの避難などの自治体の
避難計画に、原子力事業者として最大限の支援を行います。
社内における訓練及び国・自治体が主催する訓練等の活動を通じて、継続的に
初動対応体制の維持、資機材等の充実、対応能力の向上等に努めるとともに、
原子力緊急事態支援組織や他の原子力事業者との連携を進めてまいります。
引き続き、当社は、新規制基準の枠組みにとどまることなく、安全性をより一層
高める対策を、これまでと同様に自主的かつ継続的に進めてまいります。
今後も発電所の安全性・信頼性の向上に努め、当社の取り組みについて、
地元をはじめ皆さまにご理解いただけるよう全力で取り組んでまいります。14